説明

ルーフ部材の配設構造

【課題】ルーフ部材を締結する締結力を、ルーフ部材を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材の介装に不具合を生じさせたりすることのない締結力に収めるようにする。
【解決手段】第1螺子部材51は、ルーフ側雄螺子部52が樹脂ルーフ20に形成された雌螺子部に対して螺合することにより、樹脂ルーフ20と一体化した状態となる。この第1螺子部材51のナット側雄螺子部53は、第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部に対して螺合することにより、第2螺子部材55の締着側螺子部材57と一体化した状態となる。ここで、浮上り防止機構50の締結力が予め設定される上限となった場合には、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合を停止させるように、第2螺子部材55の螺子回しは第1螺子部材55に対して空回り状態に切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ボデーに設けられた天井開口部にルーフ部材を配設するルーフ部材の配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車には、車両天井部分に例えば透明の樹脂ルーフ等のルーフ部材が設けられるものが知られている。このルーフ部材は、車両ボデーの天井部分に設けられた開口部(以下、天井開口部)に対して設置される。この際、天井開口部とルーフ部材との間には、互いの気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材が介装されている(例えば、特許文献1参照)。このゴム樹脂介装部材は、溶剤が乾いた後に天井開口部とルーフ部材とを互いにシールするウレタン接着剤が用いられている。このように天井開口部とルーフ部材との間にこれらを互いにシールするゴム樹脂介装部材が設けられていると、外部からの水漏れを防止する気密構造とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−263169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、このゴム樹脂介装部材(ウレタン接着剤)は、上記した気密構造とするシール性のほか、天井開口部に対してルーフ部材を接着させるための接着性も備えている。このため、天井開口部とルーフ部材とは、ウレタン接着剤の接着力によって互いを接着させるものとしている。しかしながら、このような接着作業の後に、内装部材を取り付けるような外部に向けてルーフ部材を押すような内装作業を行うと、この天井開口部からルーフ部材を浮き上がらせてしまって、上記したゴム樹脂介装部材としてのシール性を損なうおそれがある。このようにゴム樹脂介装部材としてのシール性を損なうと、上記した気密構造を損なうこととなり、外部からの水漏れの原因となってしまう。そこで、上記したような内装作業が行われる場合でも、天井開口部に対するルーフ部材の浮上りを防止するように、天井開口部に対してルーフ部材を締結させる締結構造が創案される。
【0005】
他方、上記した理由にて創案される締結構造の締結力が強くなり過ぎていると、例えばルーフ部材が外気温に応じて面方向で伸び縮みする場合に、このルーフ部材の面方向の伸び縮みを許容することができなくなり、ルーフ部材を痛めてしまうことがある。また同様に、例えばルーフ部材の材質に強度が弱い材質が選択されている場合には、締結力の強さに負けてルーフ部材を痛めてしまうことがある。また同様に、締結力を強すぎてしまうと、上記したゴム樹脂介装部材を介装させておくための介装空間を潰してしまう等の悪影響を与えてしまうこともあり、ゴム樹脂介装部材の介装に不具合を生じさせることがある。
このようなことから、上記した浮上り防止手段によりルーフ部材を天井開口部に締結するには、不具合を生じさせることなくルーフ部材を天井開口部に締結させておきたく、このような締結力に設定された締結構造を創案する努力をしてきている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両ボデーに設けられた天井開口部にルーフ部材を配設するルーフ部材の配設構造であって、ルーフ部材を天井開口部に対して締結させることにより天井開口部に対するルーフ部材の浮上りを防止して気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材を介装させることができつつ、このルーフ部材を締結する締結力をルーフ部材を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材の介装に不具合を生じさせたりすることのない締結力に収めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るルーフ部材の配設構造は、次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係るルーフ部材の配設構造は、車両ボデーに設けられた天井開口部にルーフ部材を配設するルーフ部材の配設構造であって、前記天井開口部と前記ルーフ部材との間には、これらの間を気密状態とするように互いをシールするゴム樹脂介装部材が介装されており、前記ルーフ部材側に係止するルーフ側係止部と、前記天井開口部を形成する車両ボデー側に係止するボデー側係止部とを備えて、該ルーフ部材を該天井開口部に締結させることにより該天井開口部に対する該ルーフ部材の浮上りを防止する浮上り防止手段が設けられており、前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結する前記浮上り防止手段の締結力の下限は、前記天井開口部に対する前記ルーフ部材の浮上り移動を規制する強度に設定されているのに対して、前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結する前記浮上り防止手段の締結力の上限は、前記ルーフ部材の配設状態および前記ゴム樹脂介装部材の介装状態に対して干渉しない強度に設定されていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、浮上り防止手段の締結力の下限が天井開口部に対するルーフ部材の浮上り移動を規制する強度に設定されているので、この浮上り防止手段の締結力により天井開口部に対するルーフ部材の浮上り移動を規制することができる。これによって、これら天井開口部とルーフ部材との間に介装されるゴム樹脂介装部材のシール性を損なうことなく気密構造を維持することができる。
また、この第1の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、浮上り防止手段の締結力の上限がルーフ部材の配設状態に対して干渉しない強度に設定されているので、ルーフ部材が外気温に応じて面方向で伸び縮みする場合であっても、このルーフ部材の面方向の伸び縮みを許容することができ、ルーフ部材の材質に強度が弱い材質が選択されている場合であってもルーフ部材が締結力の強さに負けてしまうことがない。また加えて、浮上り防止手段の締結力の上限はゴム樹脂介装部材の介装状態に対して干渉しない強度に設定されているので、ゴム樹脂介装部材を介装させておくための介装空間を潰してしまう等の悪影響を与えてしまうこともなくなる。
これによって、この第1の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、ルーフ部材を天井開口部に対して締結させることにより天井開口部に対するルーフ部材の浮上りを防止して気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材を介装させることができつつ、このルーフ部材の天井開口部に対する締結力を上記した上限に収めることによりルーフ部材を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材の介装に不具合を生じさせたりすることのないものとできる。
【0009】
第2の発明に係るルーフ部材の配設構造は、前記第1の発明に係るルーフ部材の配設構造において、前記浮上り防止手段は、前記ルーフ側係止部を具備する第1螺子部材と、前記ボデー側係止部を具備しつつ前記第1螺子部材に対する螺合により前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結させる第2螺子部材とを備え、前記第2螺子部材は、前記第1螺子部材に対して前記第2螺子部材を螺子回しすることにより前記第1螺子部材に対して螺合したものとなり、この螺合により前記浮上り防止手段の締結力が前記上限を超えた場合には、該上限にて前記第1螺子部材に対する前記第2螺子部材の螺合を停止させるように、該第1螺子部材に対する該第2螺子部材の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この第2の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、第2螺子部材は、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺合により浮上り防止手段の締結力が上限を超えた場合には、この上限にて第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺合を停止させるように、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わるように構成されているので、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺合により浮上り防止手段の締結力が上限を超えた場合には、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わることとなる。
これによって、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わることにより、この浮上り防止手段の締結力の上限にて第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺合は、停止することとなる。したがって、上記した第1の発明に係るルーフ部材の配設構造による作用効果を奏するにあたり、第1螺子部材に対する第2螺子部材の螺合により締結させることにより、部材点数の少なくした機械的な締結構成とすることができ、もって上記した第1の発明に係るルーフ部材の配設構造による作用効果を簡単かつ確実に奏することができる。つまり、ルーフ部材の天井開口部に対する締結力を上記した上限に収めるにあたって、機械的な締結構成が採用されていることにより、締結力を設定する際に管理される回転トルクを簡単かつ確実に設定することができて有利である。
【0011】
第3の発明に係るルーフ部材の配設構造は、前記第1の発明に係るルーフ部材の配設構造において、前記ルーフ部材の外周縁部位に沿って延在し且つ該外周縁部位と接着状態で配設されるモールを備え、前記ルーフ部材の前記外周縁部位と接着状態にある前記モールは、前記ルーフ側係止部として一面側が該ルーフ部材の該外周縁部位に接着し且つ該ルーフ部材の該外周縁部位の延びる方向と同方向に延びる板状体と、該板状体の他面側にて該板状体の延びる方向に対して交差する厚み方向に突出するダム部と、前記ボデー側係止部として該ダム部の突出量よりも該厚み方向に突出して該ルーフ部材に対向する側とは反対側の前記天井開口部の内周縁部位に位置する挟み部とを備え、前記モールの前記ダム部が前記天井開口部の前記内周縁部位に対して前記厚み方向で当接することによって、前記天井開口部の前記内周縁部位と前記モールの前記板状体との前記厚み方向にて前記ゴム樹脂介装部材を介装するための介装空間が形成されるようになっており、前記浮上り防止手段は、前記モールの前記挟み部が前記モールの前記ダム部とともに前記天井開口部の前記内周縁部位の両面を厚み方向で挟み込むことにより、前記モールが前記天井開口部の前記内周縁部位を把持し、該モールと接着状態にある前記ルーフ部材の前記外周縁部位を前記天井開口部の前記内周縁部位に対して締結状態とすることを特徴とする。
なお、上記した『外周縁部位』とは、外周端縁および外周端縁周辺を含む意味で用いており、上記した『内周縁部位』とは、この内周端縁および内周端縁周辺を含む意味で用いている。
【0012】
この第3の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、モールの挟み部がモールのダム部とともに天井開口部の内周縁部位の両面を厚み方向で挟み込むことにより、モールが天井開口部の内周縁部位を把持し、モールと接着状態にあるルーフ部材の外周縁部位を天井開口部の内周縁部位に対して締結状態とするので、ルーフ部材の外周縁部位に沿って延在するモールに締結構成を兼ねさせることにより、上記した第1の発明に係るルーフ部材の配設構造による作用効果を奏することできることとなる。これによって、上記した第1の発明に係るルーフ部材の配設構造による作用効果を奏することができながら、部材点数を最小化させることができ、もって製造コストを安価にし、製造時の作業性も簡単化することができる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材を介装させることができつつ、ルーフ部材を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材の介装に不具合を生じさせたりすることのないものとできる。
第2の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、部材点数の少なくした機械的な締結構成とすることができ、締結力を設定する際に管理される回転トルクを簡単かつ確実に設定することができて有利である。
第3の発明に係るルーフ部材の配設構造によれば、部材点数を最小化させることができ、もって製造コストを安価にし、製造時の作業性も簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】天井部分に樹脂ルーフが設けられる車両の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の樹脂ルーフの配設構造を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態のモールの配設部分を拡大して示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態の浮上り防止機構を拡大して示す分解斜視図である。
【図5】第2の実施の形態の浮上り防止機構を拡大して示す分解斜視図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面矢視を拡大して示す断面図である。
【図7】第3の実施の形態の樹脂ルーフの配設構造を示す断面図である。
【図8】図7の樹脂ルーフの配設構造を拡大して示す断面図である。
【図9】第3の実施の形態の第1の変形例を拡大して示す断面図である。
【図10】第3の実施の形態の第2の変形例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係るルーフ部材の配設構造を実施するための最良の形態の一つである第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態においては、ルーフ部材として樹脂ルーフ20が配設される構造について説明する。図1は、車両ボデー11の天井部分に樹脂ルーフ20が設けられる車両10の斜視図である。
図1に示す車両10は、天井部分から外が見えるように透明の樹脂ルーフ20が設けられた自動車である。この車両10は、図示するように、車両ボデー11の天井部分に、樹脂ルーフ20を設けるための天井開口部12が形成されている。このように形成された天井開口部12に配設される樹脂ルーフ20は、光を透過することができる透明樹脂製にて形成される。このため、この樹脂ルーフ20は、天井部分から外が見える機能を有しつつ、車両10の天井部分として機能するものとなっている。なお、車両10の天井開口部12に設けられる樹脂ルーフ20の車室内側には、外部が見えるように自動的に開けたり、外部を遮光するように閉めたりするシェード機構18が配設されている。
図2は、第1の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造を示す断面図である。なお、図2にて示す断面視は、天井開口部12に樹脂ルーフ20を設置している場合の例えば図1におけるII−II断面矢視を示すものである。図3は、第1の実施の形態のモール30の配設部分を拡大して示す断面図である。図4は、第1の実施の形態の浮上り防止機構50を拡大して示す分解斜視図である。図2に示すように、車両ボデー11の天井開口部12に樹脂ルーフ20を配設するにあたっては、樹脂ルーフ20の配設構造S1により配設される。
【0016】
図2に示す樹脂ルーフ20の配設構造S1では、図示左側に向いて樹脂ルーフ20の外周端縁211が位置するように、図示右側に向いては樹脂ルーフ20の中央部分(不図示)が位置するように図示されている。なお、図2においては、図示の左右方向が略平板状の樹脂ルーフ20が延びる樹脂ルーフ平面方向であり、図示上下方向が略平板状の樹脂ルーフ20の厚みとなる樹脂ルーフ厚み方向となっている。
図2に示すように、詳細には樹脂ルーフ20の上面は、僅かに上に凸とする丸みを有した略平板形状にて形成されている。ここで、樹脂ルーフ20の外周縁部位21と、天井開口部12の内周縁部位13との間にはモール30が配設される。このモール30は、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に沿って延在するものであり、樹脂ルーフ20の外周縁部位21と接着状態で配設される。なお、この樹脂ルーフ20の外周縁部位21は、外周端縁211の周辺部分にて設定される。これに対して天井開口部12の内周縁部位13は、内周端縁131の周辺部分にて設定される。また、図2に示す符号40は、第1内装部材41と第2内装部材42と含む内装部材であり、上記したシェード機構18に対して適宜の接着部材43により接着されている。なお、ここでいう『外周縁部位21』は、外周端縁および外周端縁周辺を含む意味で用いており、『内周縁部位13』とは、この内周端縁および内周端縁周辺を含む意味で用いている。
【0017】
次に、上記した外周縁部位21と内周縁部位13との間に配設されるモール30について、図2および図3を参照しながら説明する。図示するように、モール30は長尺の樹脂成形品にて形成されるものであり、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に沿った長さを有している。このモール30は、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に沿って延在するように配設される。モール30は、概略、接着板状部31と、意匠用ヒレ部32と、ダム部35とを備えて構成され、適宜の弾性および剛性を有する樹脂の一体成形品となっている。
接着板状部31は、本発明に係る板状体に相当する部分であり、意匠用ヒレ部32(第1ヒレ部33および第2ヒレ部34)と、ダム部35とが形成される基幹部分となっている。この接着板状部31は、略平板状に形成されており、本発明に係るルーフ側係止部として一面側(図示上面側)が樹脂ルーフ20の外周縁部位21に接着している。また、この接着板状部31は、樹脂ルーフ20の外周縁部位21の延びる方向と同方向に延びている。この接着板状部31は、両面テープ27により上記した樹脂ルーフ20の外周縁部位21に貼着されている。このようにして、モール30は、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に対して接着された状態で配設されている。
意匠用ヒレ部32は、樹脂ルーフ20から車両ボデー11に向かって連続的な外観意匠を呈するために設けられる部分である。この意匠用ヒレ部32は、上記した接着板状部31に対し周方向外側(図示左側)に延びるように設けられる。この意匠用ヒレ部32は、この接着板状部31から周方向外側(図示左側)に二股に分岐するように形成される。すなわち、意匠用ヒレ部32は、第1ヒレ部33と第2ヒレ部34との2つのヒレ部を有して構成される。第1ヒレ部33と第2ヒレ部34とは、樹脂ルーフ20の外周縁部位21から車両ボデー11の内周縁部位13に向かって連続的な外観意匠を呈するように機能する。具体的には、第1ヒレ部33と第2ヒレ部34とは、上記した接着板状部31から、樹脂ルーフ20の外周縁部位21と天井開口部12を形成する車両ボデー11の内周縁部位13との平面方向(図示左右方向)重なり部分に対して配置されるように配設される。このため、第1ヒレ部33と第2ヒレ部34とは、これら外周縁部位21(樹脂ルーフ20)と内周縁部位13(車両ボデー11の天井開口部12)との間に生ずる隙間を埋めるかのように、上記した接着板状部31に形成されるものとなっている。なお、第1ヒレ部33は主として樹脂ルーフ20に対して被覆するのに対して、第2ヒレ部34は主として樹脂ルーフ20に隣接する隙間を埋めるように被覆するようになっており、第1ヒレ部33と第2ヒレ部34とは互いは交差方向に延びている。
【0018】
より詳しくは、第1ヒレ部33は、樹脂ルーフ20の外周端縁211を被覆するように設けられる部分であり、この外周端縁211を覆い込むような断面視略コ字状をなして形成されている。つまり、第1ヒレ部33の端縁331は、樹脂ルーフ20に対して接着板状部31が配置される側とは反対側に配置されるものとなっている。このため、第1ヒレ部33の端縁331は、樹脂ルーフ20の外周端縁211が外から見えないように目隠し機能を有するようになっており、この樹脂ルーフ20の外周端縁211は外観としては見えないものとなっている。
第2ヒレ部34は、略平板状に形成された接着板状部31を、この接着板状部31から周方向外側(図示左側)に平板を延ばすようにして形成されている。この第2ヒレ部34は、上記した外観意匠の観点から、少なくとも天井開口部12の内周縁部位13を被覆する大きさを有して形成される。具体的には、図示符号17となる立壁部が天井開口部12の内周縁部位13を最外周に一致する部分となっており、この立壁部17に対して第2ヒレ部34は長さを余した状態で当接する大きさに設定されて形成されている。この第2ヒレ部34の端縁341は、長さを余して上向くようにして立壁部17に当接している。なお、第2ヒレ部34の端縁341が、このように長さを余した状態で立壁部17に当接していると、樹脂ルーフ20が天井開口部12に対して熱伸縮した場合であっても、樹脂ルーフ20の外周端縁211から車両ボデー11の立壁部17までの間となる車両ボデー11の内周縁部位13を、隙間を生じること無く被覆することができる。
このように第1ヒレ部33と第2ヒレ部34とは、樹脂ルーフ20の外周端縁211は外観としては見えないようにして、この樹脂ルーフ20の外周端縁211から車両ボデー11の立壁部17までの間の車両ボデー11の内周縁部位13を被覆することにより、これらの間に生ずる隙間を埋めるようになり、連続的な外観意匠を呈する機能を発揮するものとなっている。
【0019】
ダム部35は、車両ボデー11の天井開口部12の内周縁部位13に対して、モール30の離間距離を確保するために設けられる部分である。ダム部35は、上記した接着板状部31の他面側(図示下面側)にて、この接着板状部31の延びる方向に対して交差する厚み方向となる、上記した接着板状部31に対して樹脂ルーフ20設置面とは反対側面に突出して配設される。具体的には、ダム部35は、接着板状部31に対して上記した意匠用ヒレ部32が設けられる側とは反対側に配設されるようになっている。このダム部35は、接着板状部31の延在方向に対して直交方向(図示下側)に略矩形の形状で突出して配設されている。
このようにモール30にダム部35が設けられることにより、モール30のダム部35が天井開口部12の内周縁部位13に対して厚み方向で当接し、モール30の車両ボデー11の天井開口部12の内周縁部位13に対する離間距離は確保される。
これにより、樹脂ルーフ20の車両ボデー11に対する高さ位置は接着するモール30の接着板状部31に対して適切の離間距離に設定され、モール30はモール30の車両ボデー11の天井開口部12の内周縁部位13に対する離間距離は確保され、モール30と天井開口部12の内周縁部位13との厚み方向重なり部分に、本発明に係るゴム樹脂接着剤としてのウレタン接着剤Aを塗布させるための介装空間Dを形成されることとなる。このように形成された天井開口部12と樹脂ルーフ20との間の介装空間Dには、これらの間を気密状態とするように互いをシールするゴム樹脂介装部材Bが介装されることとなる。すなわち、天井開口部12と樹脂ルーフ20との間にウレタン接着剤Aを塗布し、この塗布されたウレタン接着剤Aが乾くことによって、樹脂ルーフ20を弾性変形可能に接着支持するゴム樹脂介装部材Bが介装されることとなる。なお、このダム部35は、塗布されるウレタン接着剤Aの食み出しも阻止する機能も有している。
【0020】
次に、上記したようにモール30が配設された樹脂ルーフ20の配設構造S1について、図2および図4を参照しながら説明する。
図示するように、樹脂ルーフ20は、配設構造S1によって天井開口部12に配設されるものである。この樹脂ルーフ20の配設構造S1にあっては、天井開口部12に対しての樹脂ルーフ20の浮上りを防止するための浮上り防止機構50を用いて樹脂ルーフ20を配設している。
この浮上り防止機構50は、樹脂ルーフ20を天井開口部12に締結させることにより天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上りを防止するものであり、本発明に係る浮上り防止手段に相当する部分である。浮上り防止機構50は、図4に示すように、概略、第1螺子部材51と、第1螺子部材51に対する螺合により天井開口部12を形成する内周縁部位13に樹脂ルーフ20を締結させる第2螺子部材55とを備える。なお、図4に示すように、第1螺子部材51と第2螺子部材55とを螺合させるにあたっては、螺子部材差込孔15に第1螺子部材51を挿し込んだ状態で互いを螺合するものとなっている。この螺子部材差込孔15は、天井開口部12を形成する内周縁部位13に形成される孔であり、この螺子部材差込孔15の大きさとしては、挿し込まれる第1螺子部材51の外径と比較して大きく設定された所謂バカ孔(ばかあな)にて形成される。なお、この螺子部材差込孔15は、第2螺子部材55の留まりフランジ部571の外径と比較して小さくされた大きさにて形成されている。
図4に示すように第1螺子部材51は、略棒状に形成される螺子部材であり、適宜中間部に留まり用フランジ部54が形成されている。具体的には、第1螺子部材51の図示上端側周部分には、樹脂ルーフ20に形成された雌螺子部23に対して螺合するルーフ側雄螺子部52が形成されている。これに対して、第1螺子部材51の図示下端側周部分には、第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部(見えないため不図示)に対して螺合するナット側雄螺子部53が形成されている。このため、この第1螺子部材51は、本発明に係るルーフ部材(樹脂ルーフ20)側に係止するルーフ側係止部に相当する部分であり、ルーフ側雄螺子部52が樹脂ルーフ20に形成された雌螺子部23に対して螺合することにより、樹脂ルーフ20と一体化した状態となる。この際、樹脂ルーフ20に形成された雌螺子部23に対してルーフ側雄螺子部52が螺合している場合には、上記した留まり用フランジ部54は、図2に示すように樹脂ルーフ20に当接した状態となっている。なお、第1螺子部材51のナット側雄螺子部53は、第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部(見えないため不図示)に対して螺合することにより、第2螺子部材55の締着側螺子部材57と一体化した状態となる。
【0021】
第2螺子部材55について説明する。第2螺子部材55は、第1螺子部材51に対して第2螺子部材55を螺子回しすることにより第1螺子部材51に対して第2螺子部材55を螺合させるものである。なお、この第2螺子部材55は、この螺合により浮上り防止機構50の締結力が予め設定される上限を超えた場合には、この上限にて第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合を停止させるように、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺子回しが空回り状態に切り替わるように構成されている。具体的には、次のように構成される。
図4に示すように、第2螺子部材55は、概略、締着側螺子部材57と、この回転操作側螺子部材59との、少なくとも2つに分割された部材を有して構成される。
【0022】
まず、締着側螺子部材57について説明すると、締着側螺子部材57は、図4に示すように、概略、留まりフランジ部571と、回転操作雄螺子部572と、レンチ操作部573とを備える。留まりフランジ部571は、第2螺子部材55を構成部品のうち最も螺子部材差込孔15に近接する部分であり、適宜のフランジ形状を有して形成される。なお、この締着側螺子部材57の内部には、上記したように第1螺子部材51のナット側雄螺子部53と螺合する雌螺子部(見えないため不図示)が形成されている。また、この留まりフランジ部571の大きさは、上記したように、螺子部材差込孔15の大きさと比較して大きく形成されている。このため、留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)は、第1螺子部材51と第2螺子部材55とを螺合させた際、螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して摩擦力が発生するものとなっている。この摩擦力は、第1螺子部材51に対して螺合する第2螺子部材55の相対的な螺子込み量に依存するものであり、螺子込み量が予め設定される量を超えると、留まりフランジ部571と接触する螺子部材差込孔15の周辺部分との間に発生するものとなっている。この摩擦力は、浮上り防止機構50の締結力に相当する力である。なお、上記した留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)は、本発明に係る天井開口部を形成する車両ボデー側に係止するボデー側係止部に相当する部分である。
回転操作雄螺子部572は、後に説明する回転操作側螺子部材59の内部に形成された雌螺子部593に対して螺合する部分である。この回転操作雄螺子部572は、上記した第1螺子部材51のナット側雄螺子部53の雄螺子形状とは逆回転方向で螺合する雄螺子形状にて形成されている。つまり、この回転操作雄螺子部572は、第1螺子部材51のナット側雄螺子部53に対して、いわゆる逆螺子形状を有して形成されるものである。このため、回転操作雄螺子部572と螺合する回転操作側螺子部材59の内部に形成された雌螺子部593も、上記した第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部593の雌螺子形状とは逆回転方向で螺合する雌螺子形状にて形成されている。つまり、締着側螺子部材57を回転操作側螺子部材59に螺合させる回転方向と、第1螺子部材51を締着側螺子部材57に螺合させる回転方向とは、互いに逆向きとなる方向に設定されることとなる。
【0023】
なお、第2螺子部材55は、締着側螺子部材57と回転操作側螺子部材59との螺合により一体化させるものである。ここで、回転操作雄螺子部572(締着側螺子部材57)と雌螺子部593(回転操作側螺子部材59)との螺合は、螺合解除方向の螺子回し力が所定の力に達した場合に、この回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合を解除するように、締着側螺子部材57に対して回転操作側螺子部材59を相対的に回転可能状態となる。つまり、この螺合解除方向の螺子回し力が所定の力に達していない場合には、回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合は解除されないままに維持されるものとなっている。なお、この回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合を解除させる所定の力は、本発明に係る「螺合による浮上り防止機構50(浮上り防止手段)の締結力の上限」に相当する力である。また、この螺合解除方向の螺子回し力は、留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して発生した摩擦力に依存して増加するものとなっている。このため、この摩擦力が発生するまでは、螺合解除方向の螺子回し力は増加することなく一定の螺子回し力となっている。
詳しく言えば、留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して摩擦力が発生した場合の螺合解除方向の螺子回し力が、本発明に係る「螺合による浮上り防止機構50(浮上り防止手段)の締結力の下限」に相当する力である。この摩擦力が発生した場合の螺合解除方向の螺子回し力は、螺子部材差込孔15の周辺部分に対して留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が接触した場合に発生するものである。このため、この浮上り防止機構50は、天井開口部12に対して樹脂ルーフ20の浮上り移動を規制するようになり、この摩擦力が発生した場合の螺合解除方向の螺子回し力は、このこの浮上り移動を規制する機能を発揮する強度を鑑みて設定されたものとなっている。
これに対して、留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して発生した摩擦力は、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の相対的な螺子込み量に依存して増大する。この増大する摩擦力は、螺合解除方向の螺子回し力にも一致する。この摩擦力が所定の摩擦力となった場合には、この摩擦力に応じた螺合解除方向の螺子回し力も所定の力に達した場合となり、この回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合を解除するように、締着側螺子部材57に対して回転操作側螺子部材59を相対的に回転可能状態となる。なお、この回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合を解除させる所定の力は、本発明に係る「螺合による浮上り防止機構50(浮上り防止手段)の締結力の上限」に相当する力である。この螺合を解除させる螺子回し力は、樹脂ルーフ20の配設状態およびゴム樹脂介装部材Bの介装状態に対して干渉しない強度に設定されている。なお、この「干渉しない強度」としては、具体的には、樹脂ルーフ20が外気温に応じて面方向で伸び縮みする場合に樹脂ルーフ20の面方向の伸び縮みを許容可能な強度という意味であり、ゴム樹脂介装部材Bを介装させておくための介装空間Dを潰すことのない強度という意味である。
レンチ操作部573は、例えば締着側螺子部材57を回転操作側螺子部材59に螺合させる場合の回転操作時に適宜のレンチにて締着側螺子部材57を把持する部分である。このため、このレンチ操作部573は、適宜のレンチにて把持することができるように適宜の六角形状を有して形成されている。
【0024】
次に、回転操作側螺子部材59について説明すると、回転操作側螺子部材59は、図4に示すように、概略、螺子基部591と、レンチ操作部592とを備える。この螺子基部591(回転操作側螺子部材59)は、上記したように内部に回転操作雄螺子部572と螺合する雌螺子部593が形成される。なお、上記したように、螺子基部591(回転操作側螺子部材59)の内部に形成される雌螺子部は、第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部593の雌螺子形状とは逆回転方向で螺合する雌螺子形状にて形成されている。
また、レンチ操作部592は、上記した締着側螺子部材57のレンチ操作部573と同様に構成される部分であり、締着側螺子部材57を回転操作側螺子部材59に螺合させる場合や、この回転操作側螺子部材59と螺合した締着側螺子部材57を第1螺子部材51に螺合させる場合の回転操作時に適宜のレンチにて締着側螺子部材57を把持する部分である。このため、このレンチ操作部592も、適宜のレンチにて把持することができるように適宜の六角形状を有して形成されている。
【0025】
上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1では、次のような手順にて樹脂ルーフ20を配設するものとなっている。
まず、両面テープ27により上記した樹脂ルーフ20の外周縁部位21にモール30を貼着して、樹脂ルーフ20のモール30が配設された状態としておく。また、浮上り防止機構50のうち、締着側螺子部材57(回転操作雄螺子部572)と回転操作側螺子部材59(雌螺子部593)とを螺合させて、第2螺子部材55として一体化した状態としておく。
次いで、浮上り防止機構50のうち、第1螺子部材51のルーフ側雄螺子部52を樹脂ルーフ20の雌螺子部23に対して螺合させておく。この状態で、モール30のダム部35に隣接し上記した介装空間Dと対向部分の接着板状部31にウレタン接着剤Aを塗布する。次いで、このウレタン接着剤Aが塗布された部分を天井開口部12の内周縁部位13に接着させる。そうすると、図2に示すように、樹脂ルーフ20の雌螺子部23に螺合する第1螺子部材51のナット側雄螺子部53は、螺子部材差込孔15を挿通した状態で樹脂ルーフ20配設側とは反対側に突出した状態となる。
ここで、この第1螺子部材51に、締着側螺子部材57と回転操作側螺子部材59とを螺合して一体化した第2螺子部材55を螺合させる。すなわち、第1螺子部材51のナット側雄螺子部53に対して、第2螺子部材55の締着側螺子部材57の内部に形成された雌螺子部(見えないため不図示)を螺合させる。つまり、第2螺子部材55は、第1螺子部材51に対して第2螺子部材55を螺子回しすることにより、第1螺子部材51に対して螺合する。そうすると、一体化した第2螺子部材55は第1螺子部材51に対して相対的に接近し、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の相対的な螺子込み量は次第に長くなる。そして、この締着側螺子部材57の留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が、螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して摩擦力が発生する。この摩擦力は、上記したように浮上り防止機構50の締結力に相当するものである。この摩擦力が所定の摩擦力となった場合には、この摩擦力に応じた螺合解除方向の螺子回し力も所定の力に達した場合(締結力が上限を超えた場合)となり、この回転操作雄螺子部572と雌螺子部593との螺合を解除するように、締着側螺子部材57に対して回転操作側螺子部材59を相対的に回転可能状態となる。つまり、この第2螺子部材55は、上限状態にて第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合を停止させるように、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺子回しが空回り状態に切り替わるように構成されている。
このようにして、締着側螺子部材57に対して回転操作側螺子部材59が相対的に回転しはじめると、第2螺子部材55の締着側螺子部材57は第1螺子部材51に締着したまま、回転操作側螺子部材59は締着側螺子部材57から取り外されることとなる。このようにして、上記した下限から上限までの範囲に設定された締結力にて、第2螺子部材55の締着側螺子部材57は、第1螺子部材51に締着させた状態とすることができる。
【0026】
上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1によれば、次のような作用効果を奏することができる。すなわち、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1によれば、浮上り防止機構50の締結力の下限が天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上り移動を規制する強度に設定されているので、この浮上り防止機構50の締結力により天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上り移動を規制することができる。これによって、これら天井開口部12と樹脂ルーフ20との間に介装されるゴム樹脂介装部材Bのシール性を損なうことなく気密構造を維持することができる。
また、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1によれば、浮上り防止機構50の締結力の上限が樹脂ルーフ20の配設状態に対して干渉しない強度に設定されているので、樹脂ルーフ20が外気温に応じて面方向で伸び縮みする場合であっても、この樹脂ルーフ20の面方向の伸び縮みを許容することができ、樹脂ルーフ20の材質に強度が弱い材質が選択されている場合であっても樹脂ルーフ20が締結力の強さに負けてしまうことがない。また加えて、浮上り防止機構50の締結力の上限はゴム樹脂介装部材Bの介装状態に対して干渉しない強度に設定されているので、ゴム樹脂介装部材Bを介装させておくための介装空間Dを潰してしまう等の悪影響を与えてしまうこともなくなる。
これによって、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1によれば、樹脂ルーフ20を天井開口部12に対して締結させることにより天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上りを防止して気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材Bを介装させることができつつ、この樹脂ルーフ20の天井開口部12に対する締結力を上記した上限に収めることにより樹脂ルーフ20を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材Bの介装に不具合を生じさせたりすることのないものとできる。
【0027】
また、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1によれば、第2螺子部材55は、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合により浮上り防止機構50の締結力が上限を超えた場合には、この上限にて第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合を停止させるように、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わるように構成されているので、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合により浮上り防止機構50の締結力が上限を超えた場合には、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わることとなる。
これによって、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺子回しが螺合空回り状態に切り替わることにより、この浮上り防止機構50の締結力の上限にて第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合は、停止することとなる。したがって、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1による作用効果を奏するにあたり、第1螺子部材51に対する第2螺子部材55の螺合により締結させることにより、部材点数の少なくした機械的な締結構成とすることができ、もって上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1による作用効果を簡単かつ確実に奏することができる。つまり、樹脂ルーフ20の天井開口部12に対する締結力を上記した上限に収めるにあたって、機械的な締結構成が採用されていることにより、締結力を設定する際に管理される回転トルクを簡単かつ確実に設定することができて有利である。
【0028】
[第2の実施の形態]
次に、上記した第1の実施の形態とは異なる第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態においては、上記した第1の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造S1のうち、浮上り防止機構50の構成(詳しくは「第2螺子部材55」の構成)のみについてが相違する構成となっている。このため、以下においては、第2の実施の形態のうち、この相違する浮上り防止機構60の構成についてのみを説明する。
図5は、第2の実施の形態の浮上り防止機構60を拡大して示す分解斜視図である。図6は、図5におけるVI−VI断面矢視を拡大して示す断面図である。
第2の実施の形態の浮上り防止機構60は、上記した第1の実施の形態の浮上り防止機構50と比較して、第2螺子部材55の構成についてのみが相違するものとなっている。このため、第2の実施の形態の第1螺子部材61は、第1の実施の形態の第1螺子部材51と同様に構成されるため、図示同一符号を付して説明を省略する。第2螺子部材65について説明する。この第2螺子部材65は、第1螺子部材61に対して第2螺子部材65を螺子回しすることにより第1螺子部材61に対して第2螺子部材65を螺合させるものである。具体的には、次のように構成される。図5に示すように、第2螺子部材65は、概略、締着側ギア部材67と、この回転操作側ギア部材69とを組み付けて構成される。まず、締着側ギア部材67について説明すると、締着側ギア部材67は、図5に示すように、概略、留まりフランジ部671と、係止傾斜歯672と、取付け部673を備える。
【0029】
留まりフランジ部671は、第2螺子部材65を構成部品のうち最も螺子部材差込孔15に近接する部分であり、適宜のフランジ形状を有して形成される。なお、この締着側ギア部材67の内部には、上記したように第1螺子部材61のナット側雄螺子部53と螺合する雌螺子部(見えないため不図示)が形成されている。また、この留まりフランジ部671の大きさは、上記したように、螺子部材差込孔15の大きさと比較して大きく形成されている。このため、留まりフランジ部671のボデー接触部分675(図示上面部分)は、第1螺子部材61と第2螺子部材65とを螺合させた際、螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して摩擦力が発生するものとなっている。なお、この摩擦力は、上記した第1の実施の形態における留まりフランジ部571のボデー接触部分575(図示上面部分)が発生する摩擦力と同様の摩擦力である。なお、上記した留まりフランジ部671のボデー接触部分675(図示上面部分)は、本発明に係る天井開口部を形成する車両ボデー側に係止するボデー側係止部に相当する部分である。
係止傾斜歯672は、図6にも示すように、回転操作側ギア部材69の内部突設される係止歯694が噛合するものである。この係止傾斜歯672は、図6にも示すように、所謂つめ車装置(ラチェット)に設けられるの歯のように、次に説明するギア基部691の径方向に沿って突出する通常のギアの歯に比して、ギア基部691の周方向に傾斜した形状を有して形成されている。なお、この係止傾斜歯672が傾斜する方向は、第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の相対的な螺子込み方向と一致するようになっており、図示例においては右螺子回し方向に傾斜したものとなっている。
取付け部673は、締着側ギア部材67に対して回転操作側ギア部材69を一体回転可能および相対回転可能に、締着側ギア部材67に取り付けるために設けられるものである。このため、この取付け部673は、適宜に突出して回転操作側ギア部材69を取り付けるための取付け形状を有して形成されいる。
【0030】
回転操作側ギア部材69は、上記した取付け部673にて取り付けられて締着側ギア部材67と一体化されるものである。この回転操作側ギア部材69は、概略、ギア基部691と、レンチ操作部692とを備える。ギア基部691には、上記したように内部に係止歯694が突設されている。この係止歯694は、揺動部693の端位置にて内部中心に向かって突出して形成されている。ここで、揺動部693は、ギア基部691の周方向に沿って適宜のスリットが設けられることにより形成されており、ギア基部691の径方向に揺動するようになっている。このため、係止歯694も、この揺動部693の揺動に伴って、ギア基部691の内部に出没可能に移動することができるものとなっている。
また、レンチ操作部692は、上記した第1の実施の形態におけるレンチ操作部573と同様に構成される部分であり、締着側ギア部材67(第2螺子部材65)を第1螺子部材61に螺合させる場合の回転操作時に適宜のレンチにて締着側ギア部材67を把持する部分である。このため、このレンチ操作部592も、適宜のレンチにて把持することができるように適宜の六角形状を有して形成されている。
【0031】
上記した締着側ギア部材67と回転操作側ギア部材69とを組み付け構成される第2螺子部材65は、第1螺子部材61に対して螺合する際、浮上り防止機構60の締結力が予め設定される上限を超えた場合には、この上限にて第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の螺合を停止させるように、第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の螺子回しが空回り状態に切り替わるようになっている。
すなわち、上記した第1の実施の形態の浮上り防止機構50と同様、留まりフランジ部671のボデー接触部分675(図示上面部分)が螺子部材差込孔15の周辺部分と接触して発生する摩擦力は、本発明に係る締結力に相当するものであり、第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の螺子回し力と一致する。このため、上記した第1の実施の形態の浮上り防止機構50と同様、この摩擦力に応じた螺子回し力(締結力)が所定の力に達した場合のように、摩擦力が上記したような上限となる摩擦力となった場合には、この上限の摩擦力にて第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の螺合を停止させるように、第1螺子部材61に対する第2螺子部材65の螺子回しが空回り状態に切り替わる。具体的には、螺子回し力が摩擦力を超えるため、それまで噛合していた回転操作側ギア部材69の係止歯694が、締着側ギア部材67の係止傾斜歯672を乗り越えるように移動する。つまり、第1螺子部材61に対して第2螺子部材65の螺子回しが空回りすることとなる。
このように構成された第2の実施の形態の浮上り防止機構60を具備して上記した樹脂ルーフ20の配設構造S1を構成した場合には、上記した第1の実施の形態の浮上り防止機構50を具備して樹脂ルーフ20の配設構造S1を構成した場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に、上記した第1および第2の実施の形態とは異なる第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、第3の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造S2を示す断面図である。図8は、図7の樹脂ルーフ20の配設構造S2を拡大して示す断面図である。なお、以下に説明する第3の実施の形態においては、第1および第2の実施の形態における浮上り防止機構50の構成を無くし、代わりに上記したモール30自身に本発明に係る浮上り防止手段を組み込んで構成した形態である。なお、図7に示すように、第3の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造S2では上記した浮上り防止機構50,60の構成を無くしているため、天井開口部12を構成する内周縁部位13の配設範囲は、上記した第1および第2の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造S1に比して縮小されている。
この第3の実施の形態においては、モール自身に組み込まれた浮上り防止手段に相当する部分以外は、上記した第1の実施の形態にて説明したモール30と同様に構成される。このため、以下に説明するモール301,302,303にあっては、第1の実施の形態にて説明したモール30と相違する構成について重点的に説明し、このモール30と同一に構成される部分については、このモール30に付されるは符号と同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、以下に説明する第3の実施の形態の樹脂ルーフ20の配設構造S2のモール301,302,303は、上記したモール30と同様に、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に沿って延在し且つ外周縁部位21と接着状態で配設される。
【0033】
モール301について、図8を参照しながら説明する。このモール301には、上記したモール30に対して挟み部37が設けられることにより構成される。この挟み部37は、上記したダム部35とともに天井開口部12の内周縁部位13の両面を厚み方向で挟み込むことにより、このモール301にて天井開口部12の内周縁部位13を把持するものである。このため、この挟み部37は、上記した接着板状部31のうち天井開口部12の開口側に形成されるものであり、上記したダム部35の厚み方向の突出量よりも厚み方向に突出して形成されている。このため、この挟み部37は、天井開口部12の内周縁部位13に対して、樹脂ルーフ20に対向する側とは反対側の位置に配置されるものとなっている。具体的には、挟み部37は、ダム部35の周方向内側隣接位置から図示下側に延びて配設される。このため、挟み部37は、上記した接着板状部31に対し周方向最内側(図示最右側)に配設される。この挟み部37は、上記した接着板状部31に対して樹脂ルーフ20設置面とは反対側面に突出して配設される。この挟み部37は、弾性を有することによりダム部35とともに天井開口部12の内周縁部位13の内周端縁131を挟み込む構造にて形成されている。具体的には、挟み部37は、図示断面視略コ字をなすような爪形状を有しており、ダム部35とともに内周縁部位13の内周端縁131を挟み込む爪端部38を備える。このため、爪端部38は、ダム部35の突出方向に延長上に位置するように形成されている。この爪端部38には、ダム部35とともに内周縁部位13の内周端縁131を挟み込む取付け作業を行い易くするためのテーパ面381が形成されている。
ここで、挟み部37は、ダム部35とともに天井開口部12の内周縁部位13の両面を厚み方向で挟み込むことにより、モール301が天井開口部12の内周縁部位13を把持するものとなっている。このようにして、両面テープ27によりモール301と接着状態にある樹脂ルーフ20の外周縁部位21は、天井開口部12の内周縁部位13に対して締結された状態となる。
【0034】
つまり、このモール301(302,303を含む)は、本発明に係る浮上り防止手段に相当する部分であり、このモール301を構成する挟み部37とダム部35とは、本発明に係るボデー側係止部に相当する部分である。ここで、天井開口部12の内周縁部位13の両面を厚み方向で挟み込むことにより、モール301が天井開口部12の内周縁部位13を把持する挟み込み力が、本発明に係る樹脂ルーフを天井開口部に締結する浮上り防止手段の締結力として設定される。このため、上記したように、このモール301の挟み込み力の下限は、天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上り移動を規制する強度に設定されているのに対して、このモール301の挟み込み力の上限は、樹脂ルーフ20の配設状態およびゴム樹脂介装部材Bの介装状態に対して干渉しない強度に設定されている
なお、樹脂ルーフ20を天井開口部12に配設するにあたっては、次のような手順にて配設するものとなっている。
まず、両面テープ27の一面側をモール301に対して貼着させる。次いで、この両面テープ27の他面側を樹脂ルーフ20の外周縁部位21に対して貼着する。このようにして、モール301は、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に対して接着された状態となる。次いで、このモール301のうち上記したダム部35に隣接し且つ上記した介装空間Dと対向する部分となる接着板状部31の部分にウレタン接着剤Aを塗布する。次いで、このウレタン接着剤Aが塗布された部分を天井開口部12の内周縁部位13に接着させる。この際、上記した挟み部37は、天井開口部12の内周縁部位13の内周端縁131をダム部35に対して挟み込む位置となるように、この樹脂ルーフ20の外周縁部位21を天井開口部12の内周縁部位13に押し当てる。そうすると、図示するように挟み部37が天井開口部12の内周縁部位13の内周端縁131を、ダム部35に対して挟み込む位置となる。その後、図7に示すように、樹脂ルーフ20に対してシェード機構18を含めた内装部材40を取り付ける作業を行う。なお、このように樹脂ルーフ20に対してシェード機構18を含めた内装部材40を取り付ける作業を行った場合であっては、樹脂ルーフ20は車室内から車室外に向けて押されることとなるが、樹脂ルーフ20はモール30(挟み部37)によって仮留めされた状態となっているので、樹脂ルーフ20の外周縁部位21は天井開口部12の内周縁部位13に対して浮き上がらないものとなる。
【0035】
上記した第3の実施の形態の樹脂ルーフ20の接着構造S2によれば、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S2によれば、モール301の挟み部37がモール301のダム部35とともに天井開口部12の内周縁部位13の両面を厚み方向で挟み込むことにより、モール301が天井開口部の内周縁部位を把持し、モール301と接着状態にある樹脂ルーフ20の外周縁部位21を天井開口部12の内周縁部位13に対して締結状態とする。これによって、樹脂ルーフ20の外周縁部位21に沿って延在するモール301に締結構成を兼ねさせて、上記した第1の実施の形態にて説明した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。つまり、樹脂ルーフ20を天井開口部12に対して締結させることにより天井開口部12に対する樹脂ルーフ20の浮上りを防止して気密性を保持するようにゴム樹脂介装部材Bを介装させることができつつ、この樹脂ルーフ20の天井開口部12に対する締結力を上記した上限に収めることにより樹脂ルーフ20を痛めてしまったりゴム樹脂介装部材Bの介装に不具合を生じさせたりすることのないものとできる。さらに加えて、上記した樹脂ルーフ20の配設構造S2によれば、モール301自身に本発明に係る浮上り防止手段を組み込んで構成した形態であるので、部材点数を最小化させることができ、もって製造コストを安価にし、製造時の作業性も簡単化することができる。
【0036】
以下、上記した第3の実施の形態におけるモール301は、次のように変形して構成されるものであってもよい。以下、第3の実施の形態におけるモール301の2つの変形例について説明する。
第3の実施の形態の第1の変形例について説明する。図9は、第3の実施の形態の第1の変形例を拡大して示す断面図である。なお、この変形例となるモール302は、上記したモール301と比較して、接着板状部31に対してダム部35が配設されている位置が相違するものである。このため、上記したウレタン接着剤Aが塗布される介装空間Dも、ダム部35と挟み部37との間に設定されたものとなっている。この変形例となるモール302を具備して構成した場合には、樹脂ルーフ20の高さ位置を設定するように支持するダム部35が周方向外側に位置することとなるので、樹脂ルーフ20の高さ位置をより精密に設定することができる。また、モール302を具備して構成した場合には、ウレタン接着剤Aが塗布される介装空間Dはダム部35と挟み部37との間に設定されるので、介装空間Dの容量を大きくすることができる。
第3の実施の形態の第2の変形例について説明する。図10は、第3の実施の形態の第2の変形例を拡大して示す断面図である。なお、この変形例となるモール303は、上記したモール301,302と比較して、接着板状部31に対してダム部35が配設されている位置が相違するものであり、挟み部37と一体化するようにしたものである。この変形例となるモール303を具備して構成した場合には、モール303全体の構造を簡素化することができるので、モール303の製造を簡単化し、作業性の向上やコストの削減を図ることができる。
【0037】
なお、本発明に係るルーフ部材の配設構造にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜に変更することができる。
例えば、上記した実施の形態の配設構造S1,S2にあっては、ルーフ部材として樹脂ルーフ20を例示して説明するものであった。しかしながら、本発明に係るルーフ部材としては、これに限定されることなく、天井開口部に対して配設され、車両の天井部分として機能する部材であれば適宜に構成されるものであってもよい。
例えば、上記した実施の形態の配設構造S1,S2にあっては、介装空間Dに介装されるゴム樹脂接着剤としては、ウレタン接着剤Aが利用されるものであった。しかしながら、この介装空間Dに介装されるゴム樹脂接着剤としては、この例に限定されることなく、天井開口部12の内周縁部位13に対して樹脂ルーフ20を弾性変形可能に接着支持するゴム樹脂介装部材となるものであれば、適宜のものを選択することができる。
また、上記した実施の形態のモール30にあっては、少なくとも、接着板状部31と、意匠用ヒレ部32と、ダム部35とが一体成形される部材となっていた。しかしながら、本発明に係るモールとしては、これに限定されることなく、適宜の構成が付加されるものであってもよい。なお、モール30として成形するにあたっては、上記したダム部35と挟み部37とは弾性変形し難いような剛性を高く設定して成形し、これに対して意匠用ヒレ部は弾性変形し易いように剛性を低く設定して成形するものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 車両
11 車両ボデー
12 天井開口部
13 内周縁部位
131 内周端縁
15 螺子部材差込孔
17 立壁部
18 シェード機構
20 樹脂ルーフ(ルーフ部材)
21 外周縁部位
211 外周端縁
23 雌螺子部
27 両面テープ
30(301,302,303) モール
31 接着板状部
32 意匠用ヒレ部
33 第1ヒレ部
34 第2ヒレ部
35 ダム部
37 挟み部
38 爪端部
381 テーパ面
40 内装部材
41 第1内装部材
42 第2内装部材
43 接着部材
50,60 浮上り防止機構(浮上り防止手段)
51,61 第1螺子部材
52 ルーフ側雄螺子部
53 ナット側雄螺子部
54 留まり用フランジ部
55,65 第2螺子部材
57 締着側螺子部材
571 留まりフランジ部
572 回転操作雄螺子部
573 レンチ操作部
575 ボデー接触部分
59 回転操作側螺子部材
591 螺子基部
592 レンチ操作部
593 雌螺子部
671 留まりフランジ部
672 係止傾斜歯
673 取付け部
675 ボデー接触部分
67 締着側ギア部材
69 回転操作側ギア部材
691 ギア基部
692 レンチ操作部
693 揺動部
694 係止歯
A ウレタン接着剤
B ゴム樹脂介装部材
D 介装空間
S1,S2 配設構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボデーに設けられた天井開口部にルーフ部材を配設するルーフ部材の配設構造であって、
前記天井開口部と前記ルーフ部材との間には、これらの間を気密状態とするように互いをシールするゴム樹脂介装部材が介装されており、
前記ルーフ部材側に係止するルーフ側係止部と、前記天井開口部を形成する車両ボデー側に係止するボデー側係止部とを備えて、該ルーフ部材を該天井開口部に締結させることにより該天井開口部に対する該ルーフ部材の浮上りを防止する浮上り防止手段が設けられており、
前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結する前記浮上り防止手段の締結力の下限は、前記天井開口部に対する前記ルーフ部材の浮上り移動を規制する強度に設定されているのに対して、
前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結する前記浮上り防止手段の締結力の上限は、前記ルーフ部材の配設状態および前記ゴム樹脂介装部材の介装状態に対して干渉しない強度に設定されていることを特徴とするルーフ部材の配設構造。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフ部材の配設構造において、
前記浮上り防止手段は、前記ルーフ側係止部を具備する第1螺子部材と、前記ボデー側係止部を具備しつつ前記第1螺子部材に対する螺合により前記ルーフ部材を前記天井開口部に締結させる第2螺子部材とを備え、
前記第2螺子部材は、前記第1螺子部材に対して前記第2螺子部材を螺子回しすることにより前記第1螺子部材に対して螺合したものとなり、この螺合により前記浮上り防止手段の締結力が前記上限を超えた場合には、該上限にて前記第1螺子部材に対する前記第2螺子部材の螺合を停止させるように、該第1螺子部材に対する該第2螺子部材の螺子回しが空回り状態に切り替わるように構成されていることを特徴とするルーフ部材の配設構造。
【請求項3】
請求項1に記載のルーフ部材の配設構造において、
前記ルーフ部材の外周縁部位に沿って延在し且つ該外周縁部位と接着状態で配設されるモールを備え、
前記ルーフ部材の前記外周縁部位と接着状態にある前記モールは、前記ルーフ側係止部として一面側が該ルーフ部材の該外周縁部位に接着し且つ該ルーフ部材の該外周縁部位の延びる方向と同方向に延びる板状体と、該板状体の他面側にて該板状体の延びる方向に対して交差する厚み方向に突出するダム部と、前記ボデー側係止部として該ダム部の突出量よりも該厚み方向に突出して該ルーフ部材に対向する側とは反対側の前記天井開口部の内周縁部位に位置する挟み部とを備え、
前記モールの前記ダム部が前記天井開口部の前記内周縁部位に対して前記厚み方向で当接することによって、前記天井開口部の前記内周縁部位と前記モールの前記板状体との前記厚み方向にて前記ゴム樹脂介装部材を介装するための介装空間が形成されるようになっており、
前記浮上り防止手段は、前記モールの前記挟み部が前記モールの前記ダム部とともに前記天井開口部の前記内周縁部位の両面を厚み方向で挟み込むことにより、前記モールが前記天井開口部の前記内周縁部位を把持し、該モールと接着状態にある前記ルーフ部材の前記外周縁部位を前記天井開口部の前記内周縁部位に対して締結状態とすることを特徴とするルーフ部材の配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−246090(P2011−246090A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124128(P2010−124128)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)