ループ部材を用いて組織に加えた力を維持するための装置
本実施形態は、組織に力を加えることによる組織治療装置とその方法を提供する。ある実施形態では、当該装置は、近位領域と遠位領域及び両領域の間を伸びる本体とを有する留置(展開)可能セグメントと、当該留置可能セグメントの遠位領域に形成されるループ部材を有する。孔を有するカニューレは、ループ部材に対して近位の位置において、本体の少なくとも一部の周辺を囲むような大きさに合わせ、バネ部材は、カニューレとループ部材の間に配置される。バネ部材の近位端はカニューレに付着し、当該バネ部材の遠位端は移動可能で、圧力を加えて、ループ部材の開口部の大きさを調整し、ループ部材の開口部内に配置される組織を圧縮する。別の実施形態では、当該カニューレは除かれ、ループ部材の直径は、留置可能セグメントの最終留置の前に、何度も縮小拡大するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本発明は、2009年10月30日に出願し、発明の名称が「ループ部材を用いて組織に加えた力を維持するための装置と方法」という、米国仮特許出願第61/256,430号の利益を主張し、その開示は、その内容を完全な形で本明細書に引用したものとする。
【0002】
本実施形態は、一般的に、医療装置に関し、特に、ループ部材を用いて組織に力を加えるための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
留置可能なスネアを送給して組織と係合するのに必要となり、或いは望ましい様々な具体例がある。例えば、そのようなスネアは、ポリープ切除、食道静脈瘤出血、胃静脈瘤出血及び消化管間質腫瘍の際の止血を誘導するために使用することができる。さらに、留置可能なスネアは、静脈瘤やポリープの結紮、消化管瘻の閉鎖及びその他の処置において有用である。
【0004】
多様な商業上入手可能な留置可能スネアがある。留置可能スネアは、ナイロン、1つ以上の細長いワイヤ、縫合糸、および/又はその他の材料からなる1つのループを有する。ループの大きさや構造は、ループの第1端と第2端を囲む大きさのストッパーやシンチ部材を用いて調整することができる。ストッパーやシンチ部材は、ループに対して遠位に進むに従って、ループの大きさは、縮小し、所要の大きさの力が標的組織にかかるようにすることができる。
【0005】
当該スネアは、標的組織に最初の圧力を提供するのには便利であるが、ループの直径は、一般的に、医師が調整したもともとの構造で固定したままである。特に、ストッパーやシンチ部材は、ループのもともとの直径と構造を維持する。組織が壊死し始めると、もともとループによって囲まれていた当該組織の形が、輪郭が変わり、特に、大きさが小さくなることを出願人は発見した。そのため、ループがそのもともとの固定された構造のままである場合、ループは早期に組織から離脱し、時間の経過によって組織に継続的な力を維持することができなくなる。
【発明の概要】
【0006】
本実施形態は、ループ部材を用いて組織に力を維持することによる組織処理のための装置と方法を提供する。ある実施形態では、当該装置は、近位領域と遠位領域と両領域の間を伸びる本体を有する留置(展開)可能セグメントを有する。ループ部材は、留置可能セグメントの遠位領域に形成される。孔を有するカニューレは、ループ部材に対して近位の位置で本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさをしている。そして、カニューレとループ部材の間にバネ部材が配置している。バネ部材の近位端は、カニューレに取り付け、バネ部材の遠位端は、移動可能で圧力を加えてループ部材の開口部の大きさを調整し、ループ部材の開口部内に配置される組織を圧縮する。
【0007】
都合がよいことに、バネ部材を設けることで組織への圧縮力を生じ、ループ部材が標的組織を確実にしっかりと継続的に囲む。特に、組織が壊死したり形が変わったりする場合は、バネ部材がループ部材をそれに対応した縮小した直径となるようにする。そのため、固定した直径を有するその他の装置とは異なり、ループ部材は、早期に標的組織との係合を失うことはない。
【0008】
当該装置は、カテーテルとスタイレットを配置させて送給することができる。ある実施例では、第1固定装置が留置可能セグメントの近位領域に配置され、第2固定装置がスタイレットの遠位端に配置される。第1固定装置と第2固定装置が共に連結している場合は、スタイレットの長手方向の動きは、留置可能セグメントの対応する長手方向の動きを生じる。カテーテルが第1固定装置と第2固定装置の双方を越えて位置する場合は、第2固定装置は、第1固定装置に連結するよう構成され、更に、カテーテルによってもはや覆われない場合は、第2固定装置は第1固定装置から外れるように構成されている。
【0009】
他の実施形態では、カニューレが省かれ、ループ部材の直径は、留置可能セグメントが最終的に留置するまで、何度も縮小・拡大するよう構成されている。また他の実施形態では、硬化剤がループ部材の少なくとも一部から放出され、所望の生物学的効果を達成する。
【0010】
以下の特徴や詳細な記述の審査の際に、本発明の他のシステム、方法、特徴及び利点があったり、生じたり、当業者が思いつくこともあろう。そうした付随的システム、方法、特徴及び利点は、本発明の範囲内であり、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の図面と説明を参照することでよりよく理解することができる。図面の構成要素は必ずしも、本発明の原理を説明する代わりに縮小したり強調するものではない。さらに、当該図面では、同じ参照番号は、異なる図面の対応する部分を示す。
【図1】留置可能セグメントと送給セグメントが組み立てられていない状態の、組織に力を維持する為の装置の第1実施形態の側面図である。
【図2】組み立てられた状態の図1の装置の側面図である。
【図3A】カニューレと図1の留置可能セグメントの本体の一部を描く側断面図である。
【図3B】図1の装置の第1固定装置と第2固定装置が組み合わされた状態を示す側断面図である。
【図4】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図5】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図6】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図7】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図8】図1と図2のループ部材の別の実施形態の側面図である。
【図9】図1と図2のループ部材の更に別の実施形態の側面図である。
【図10】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図11】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図12】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図13】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願では、「近位の」という用語は、通常、医療処置の際に、医者に向かう方向を指し、「遠位の」という用語は、通常、医療処置の際に人体の標的組織に向かう方向を指す。
【0013】
図1を参照すると、組織に力を維持する装置20の第1実施形態が示されている。装置20は、一般的に、留置可能セグメント30と送給セグメント70を有する。以下に詳細に説明するように、留置可能セグメント30は、送給セグメント70から外されて、組織と係合したままで、連続して圧力を提供するようにすることができる。
【0014】
留置可能セグメント30は、近位領域32と遠位領域34と通常その間を伸びる本体33を有する。近位領域32は、第1固定装置50を有し、第1固定装置50は、以下で説明するように、送給セグメント70に連結することができる。図1が概括的に示しているように、遠位領域34は、開口部36を有するループ部材35と第1端37と第2端38を有する。ループ部材35は、1つ以上の細長いワイヤ、縫合糸、ナイロン、ニチノール、ステンレス鋼、および/または、上記要素の組み合わせ、もしくは、特定されていないその他の要素から形成することができる。
【0015】
留置可能セグメント30の本体33は、ループ部材35から近位方向に伸びる。本体33は、ループ部材35の第1端37と第2端38が、近位領域32に向かって近位方向へ互いに隣り合って伸びる状態の第1端37と第2端38の一部を有する。本実施形態では、第1端37と第2端38の一部は、ループ部材から一定の距離はなれたところで、一緒に熱収縮されるか、そうでなければ連結され、近位領域32と遠位領域34の間に延びる略円筒形のセグメントを形成するようにすることができる。
【0016】
別の実施形態では、本体33は、例えばループ部材35の第1端37と第2端38と区別される、独立の部材とすることができる。例えば、本体33は、ループ部材35の第1端37と第2端38に連結し、そこから近位に伸びる、ある長さのワイヤとしてもよい。連結は、接着剤、はんだ、溶接、熱収縮チュービング、機械的結合、その他適切な方法を用いて行うことができる。
【0017】
図1を参照すると、留置可能セグメント30は、更に、近位端42、遠位端44及びそれらの間に配置される複数の巻回部分41を備えるバネ部材40を有する。バネ部材40は、少なくとも本体33の一部とループ部材35の第1端37と第2端38の周辺を囲む。バネ部材40は、本明細書の実施形態で示されているように、圧縮バネを有し、金属、プラスチックあるいは他の適切な材料から形成してもよい。バネ部材40は、可変力バネあるいは、定荷重バネを有していてもよい。または、バネ部材40は、随意的に複数の回転部を有する弾力性のある圧縮部材を有してよい。後者の例では、バネ部材は、圧縮され、本明細書に記載される圧力を加える硬いエラストマー部品を有してもよい。
【0018】
バネ部材40は、所定の利用に基づいて合わせられる材料、形及び構造を有することができる。特に、直径、ワイヤの厚さ、剛性、および/又はバネ部材40のその他の特徴は、特定の処置の必要に応じて様々であり、解剖学的制約に見合い、および/又は、組織セグメントに加わる力を多様化する。例えば、実質的に硬いバネ部材40は、ループ部材35に対して増大した力を提供し、以下図4から図7で説明するように、留置後に留置可能セグメント30が組織から外れる可能性を減らすことができる。
【0019】
図1と図2の実施形態では、バネ部材はカニューレ45とループ部材35の間に配置している。バネ部材40の近位端42は、接着剤、はんだ、溶接、機械的連結、その他の適切なメカニズムを用いて、カニューレに固定することができる。 図1と図3Aで最もよく分かるように、留置可能セグメント30の本体33はカニューレ45の孔46を通って伸びる。
【0020】
ある実施形態では、ワンウエイメカニズムが用いられて、留置可能セグメント30の本体33が、医師による所定の引っ張り力でカニューレ45を通って近位方向に進むことができるが、遠位方向に進むことはできないようにされている。従って、カニューレ45は、図5により良く示されるように、バネ部材40を留め置くための「ストッパ」の役目を果たす。
【0021】
カニューレ45の孔46の内側領域と本体33の外側部分は、一方向で連結するワンウエイ連結メカニズムを有し、本体33がカニューレ45内を近位方向のみに動くようにするか、または、摩擦係合により、本体33がカニューレ45の近位側でカニューレに固定され遠位方向への進行を防止するようにすることができる。例えば、図3Aで示した実施形態では、カニューレ45に関して本体33が一方向に動けるように、歯49がカニューレ45の孔46へ近位方向に傾斜して延びるようにしてある。このようにして、バネ部材40は、カニューレ45とループ部材35の間に維持され、圧縮されてループ部材に力を加える。とりわけ、カニューレ45は、本明細書で述べるように、比較的短いカラーのような構造としてもよく、又は、それよりも長くしてもよい。
【0022】
送給セグメント70は、概ね、内側カテーテル80と外側カテーテル90を有しており、それぞれ、近位端と遠位端とその間を伸びるルーメンを有する。図1で概括的に示すように、内側カテーテル80は、外側カテーテル90のルーメン内に配置するように構成されている。内側カテーテル80の遠位領域は、補強カニューレ84に連結しているか、或いは、補強カニューレ84と統合して形成されてもよい。図2に示し以下で説明するように、内側カテーテル80の補強カニューレ84は、本体33に配置されたカニューレ45に当接することができる。
【0023】
送給セグメント70は更に、スタイレット75を有し、当該スタイレットは、内側カテーテル80のルーメン内を動くように構成される外径を有する。ある実施形態では、スタイレット75と本体33は、概ね、同一の外側直径を有し、両方の構成要素が結合された状態で、内側カテーテル80のルーメン内を進むことができる。
【0024】
送給セグメント70を用いて、留置可能セグメント30を標的組織場所へと送給するために、留置可能セグメント30の第1固定装置50は、送給セグメント70の第2固定装置60に連結される。第2固定装置60は、スタイレット75の遠位領域と統合して形成されるか、又は、連結される。
【0025】
スタイレット75は、近位方向に伸び、医師が操作するハンドルに連結してもよい。以下で詳細に説明するように、使用の際、第1固定装置50は、第2固定装置に連結し、スタイレット75の長手方向の動きは、ループ部材35のサイズに影響を及ぼす。ループ部材35の望まれる大きさになると、第1固定装置50は、第2固定装置60から外れるよう構成され、図6と図7で説明するように、留置可能セグメント30のみを体内に残す。
【0026】
多様なタイプの相補的な第1固定装置50と第2固定装置60が、本実施形態に係る留置可能セグメント30の制御された取り外しを容易にするために用いられる。適切な相補的な第1固定装置50と第2固定装置60が2007年5月30日に出願され、通常通り指定された米国特許出願番号第11/807,827号(以下、「827号出願」と称する)に記述されているが、その内容を完全な形で本明細書に引用する。そのため、本出願で示す第1固定装置50と第2固定装置60は、留置可能セグメント30の取り外しを制御するためのメカニズムを保つ多様で可能なタイプの一つである。
【0027】
本実施形態では、第2固定装置60は第1固定装置50に対して補完的で、第1固定装置50と第2固定装置60は、はめ合わせて連結することができる。図3Bに示すように、第1固定装置は、切り込み56に近位に配置しているノブ55を有する。対称的には、図3Bで示すように、第2固定装置60は、切り込み66の遠位に配置するノブ65を有する。図3Bに描かれるように、ノブ55とノブ65は、平らな表面を有する半円筒形に近い形をしている。または、「827号出願」に述べられているように、丸い構造をしていてもよい。
【0028】
第1固定装置50のノブ55を第2固定装置60の切り込み66内に置くことによって、また、第2固定装置60のノブ65を第1固定装置50の切り込み56内に置くことによって、第1固定装置50と第2固定装置60を互いに連結させる。連結すると、第1固定装置50と第2固定装置60は、図3Bに示すように、実質的に同じ外側直径を有する実質的に連続した円筒形を形成する。図3Bに描かれるように、好ましくは、一致した場合には、第1固定装置50と第2固定装置60の外側直径は、内側カテーテル80の内側直径より少し小さく、さらに、好ましくは、本体33の外側直径と実質的に同一である。
【0029】
第1固定装置50は、第2固定装置60とはめ合わせて連結しても、共に保持されなければ連結場所を保つことがないことに留意しなければならない。図3Bで示すように、内側カテーテル80は、はめ合わされた第1固定装置50と第2固定装置よりも内側直径が少し大きいので、内側カテーテル80が、はめ合っている第1固定装置と第2固定装置の双方を覆っている限り、内側カテーテル80は、はめ合い場所で第1固定装置50と第2固定装置60を保持する。
【0030】
さて、図4から図7を参照すると、装置20の具体的使用が示されている。第1段階では、留置可能セグメント30は、患者の人体の外側にある送給セグメント70に連結されている。スタイレット75は、内側カテーテル80に押し込まれ、第2固定装置60は、内側カテーテル80の補強カニューレ84のちょうど遠位に伸びる。留置可能セグメント30の第1固定装置50は、上述のように、第2固定装置60と対になって連結している。そして、対になった第1固定装置50と第2固定装置60は、内側カテーテル80に押し込まれて近位方向に進む。図4で描かれているように、本体33上のカニューレ45が、内側カテーテル80の遠位端において、補強カニューレ84に隣接するまで、留置可能セグメント30は、内側カテーテル80へと近位に進むことができる。この時、ループ部材35は、相対的に開いた直径構造で提供され、バネ部材40に対して遠位に配置される。図4で示すように、バネ部材40は、長さL1の弛緩した状態にある。
【0031】
この状態で、外側カテーテル90は、全ての構成要素上を遠位に進み、ループ部材35を囲む。内視鏡が患者の人体を通って送給され、標的組織Tへと近位に配置される。外側カテーテル90は、そこに押し込められた構成要素を有し、外側カテーテル90の遠位領域が内視鏡の遠位に位置するまで、当該内視鏡のルーメンを通って進むことができる。この時、図4で示すように、外側カテーテル90は、他の構成要素に関して、近位に後退し、ループ部材35と内側カテーテルの遠位端を露出する。それから、ループ部材35は、内視鏡の直接の視覚化のもとで、および/又は、その他の視覚化技術を用いて、標的組織Tの辺りに配置する。
【0032】
図5を参照すると、次の段階では、ループ部材35の大きさは、縮小し、標的組織T辺りに圧力を加える。特に、スタイレット75は、カテーテル80に関して、近位方向に後退する。スタイレット75の第2固定装置60が内側カテーテルの内側にある留置可能セグメント30の第1固定装置50と係合しているので、留置可能セグメント30は、また、近位方向に後退する。この時、図3Aと図5に描かれているように、留置可能セグメント30の本体33は、カニューレ45を通じて近位方向へと動く。カニューレ45は、本体33に沿って、より遠位に位置するようになるので、ループ部材は、カニューレ45に関してより近位に位置し、バネ部材45が圧縮する。
【0033】
内側カテーテル80は、スタイレット75の後退の際、その位置に保持される。本体33とループ部材35がスタイレット75によって後退する時、カニューレ45は、補強カニューレ84に当接し、さらに後退することができず、そのため、バネ部材40の圧力が制限される。実際には、本体33、および/又は、第1固定装置37と第2固定装置38が固定されたカニューレ45内を引っ張られ、ループ部材35は、標的組織Tの辺りに、締め付けられている。
【0034】
後退と同時に、ループ部材35は、バネ部材40を弛緩時の長さL1から圧縮時の長さL2へと圧縮する。特に、バネ部材40の遠位端44は、ループ部材35および/又は組織Tによって、近位に強く動かされ、バネ部材40の近位端42は、内側カテーテル80の補強カニューレ84に当接するカニューレ40によって、固定されたままでいる。
【0035】
上記に記したように、本体33は、摩擦による固定、及び/又は、一方向メカニズムを用いて、カニューレ45を通じて、近位方向にのみ進む、ワンウエイ構造とされる。それ故、ループ部材35は、標的組織Tの辺りで堅く締め付けられる時、本体33は、カニューレ45に関して遠位に滑ることができず、何らかの事情で、ループ部材35の直径が増大するということはない。この時、ループ部材が標的組織Tの辺りで堅く締め付けられ、バネ部材40は、圧縮されて、ループ部材35に対して遠位方向に押し、標的組織Tの辺りでループ部材35の閉鎖を促進する。
【0036】
図6を参照すると、ループ部材35が標的組織Tの辺りで堅く締め付けられると、医師は、内側カテーテル80に関してスタイレット75を遠位に進め、第1固定装置50と第2固定装置60の間の連結を露出させ、それによって、当該固定装置をはずし、留置可能セグメント30を標的組織Tに連結したままにする。又は、医師は、スタイレット75に関して、内側カテーテル80を近位に後退させ、当該固定装置の連結部を露出させる。一旦外れると、内側カテーテル80と外側カテーテル90は、スタイレット75とともに、患者から取り除かれる。
【0037】
さて、図7を参照すると、標的組織Tは、時間が経過し、壊死する。こうなると、標的組織Tの大きさは、小さくなる。好都合なことには、バネ部材40の提供によって、圧力が継続的に加わり、確実に、ループ部材35は、標的組織Tの辺りで、継続して堅く締め付けられる。特に、組織が壊死すると、バネ部材40によって、ループ部材35が、それに対応して、直径を縮小することになる。それ故、固定したループを有する他の装置と違って、ループ部材35は、当該組織が壊死したり変形したりしても、早期に標的組織との係合を失うことはない。一旦、標的組織Tが十分に治療されると、留置可能セグメント30は、その係合を失い、自然に体内を通り過ぎる。
【0038】
図8を参照すると、別の実施形態では、留置可能セグメント30’は、上記で説明した留置可能セグメントと同じであるが、留置可能セグメント30’は、組織Tをしっかり固定する複数の棘(barb)を有するという、違いがある。棘を提供することで、緊張が加えられ、当該組織の辺りのループ部材の直径が縮小されているとき、ループ部材35’が組織から滑り外れる可能性を減らすことができる。棘は、ループ部材35’と一体的に形成され、或いは、はんだ付けやその他の技術を用いて付着される。好ましくは、棘は、図8で描かれているように、比較的容易に、バネ部材40を通じて後退できるようにある角度で傾斜している。
【0039】
図9を参照すると、更に別の実施形態では、留置可能セグメント30’’は、上述の留置可能セグメント30に類似しているが、主な違いは、ループ部材35’’は、硬化療法を提供するように構成され、傷跡の形成を促し、止血を容易にし、或いは別の好ましい機能を果たすことである。具体的には、硬化剤がループ部材35’’の外側表面に形成された出口孔を通じて送給される。硬化剤が当該孔97に注入されるか、ループ部材35’’がその中にルーメンを有し、孔97を通じて散布する為に硬化剤を保管する。他には、1つ以上の硬化剤を、組織への溶出のため、ループ部材35’’の外側表面で覆う。数多くの適切な硬化剤がループ部材35’’との連結に用いられるが、1つの具体的硬化剤として、ヒドロキシポリエトキシドデカンがある。
【0040】
更に別の実施形態では、内側カテーテル80は、留置可能セグメント30の一部に結合するトルクケーブル等のトルク部材を有し、ループ部材35の回転を可能にし、それによって、標的組織辺りのループ部材35の適応と配置を容易にする。本実施例では、内側カテーテル80は、トルクケーブルを有し、ループ部材35の回転を可能にするか、別のケーブルが留置可能セグメント30に直接結合することもできる。
【0041】
さて、図10から図13を参照すると、別の実施形態では、ループ部材135を有する装置120は、組織に力を加えるために提供される。装置120は、概括的には、留置可能セグメント130、スタイレット165、プラグ部材175及び取り外し可能な端領域190を有する外側カテーテル180を有する。
【0042】
好ましくは、装置120の留置可能セグメント130は、上述の留置可能セグメント30に類似しているが、主な違いは、カニューレ45が除外されていることである。さらに、留置可能セグメント130の近位領域132は、フックの形態をした第1固定装置150を有している。以下に詳しく説明するように、第1固定装置150は、スタイレット165から伸びるループの形態をする第2固定装置160から係合したり外れたりする。図10に示すように、留置可能セグメント130は、本体133、遠位領域134及び開口部136を有するループ部材135をさらに有する。
【0043】
図10から図13の実施形態では、外側カテーテル180は、多数の構成要素を受ける大きさのルーメン182を有する。留置可能セグメント130に連結するスタイレット165に加えて、ルーメン182は、プラグ部材175に取り外し可能に連結するスタイレット173を受ける大きさをしている。スタイレット173とプラグ部材175は、図10に描かれているように、ルーメン182内にあるスタイレット165の隣に配置している。
【0044】
取り外し可能端領域190は、近位セグメント192と遠位セグメント194とそれらの中に形成されるルーメン195を有する。近位セグメント192と遠位セグメント194は、連続した内側表面を形成するが、図10に示すように、近位セグメント192は、図10で示すように、遠位セグメント194と比べて縮小した外側直径を有する。外側カテーテル180の遠位領域182は、取り外し可能端領域190の近位セグメント192辺りで摩擦で連結し、それによって、図10で描かれているように、実質的に面一な外側直径を提供する。
【0045】
図10で示されているように、バネ部材140は、取り外し可能な端領域190の遠位セグメント194に連結し、そこから遠位方向に伸びる。本実施形態では、バネ部材140が随意的に次第に細くなり、より大きな近位直径が取り外し可能端領域190に連結され、ルーメン195を取り巻き、他方で、図10で示されるように、より小さな遠位直径は、留置可能セグメント130の本体133よりわずかだけ大きい。
【0046】
使用の際、装置120は、上述のように、標的組織の場所のほうへ送給される。特に、カテーテルは、ループ部材135を覆うために用いられ、構成要素は、内視鏡のルーメンを通って送給される。標的組織は、図10から図13の実施形態では示されていない。しかし、ループ部材135の標的組織との係合は、上記の図4から図7までに示されているものに類似する。
【0047】
第1ステップでは、ループ部材135は、上述のように、直接の内視鏡的視覚化の下、および/又は、その他の視覚化技術を用いて、標的組織の辺りに位置する。次のステップでは、図11に描かれているように、ループ部材135の大きさが縮小され、標的組織の辺りに圧力を加える。特に、スタイレット165は、近位方向に後退する。スタイレット165の第2固定装置160は、留置可能セグメント130の第1固定装置150に係合するので、留置可能セグメント130は、また、近位方向に後退する。この時、留置可能セグメントの本体133は、図11に描かれているように、バネ部材140を通って近位方向へと動く。
【0048】
好ましくは、外側カテーテル180は、スタイレット165とループ部材130の後退時に動かされずにしっかり固定されたままである。それ故、ループ部材135は、標的組織の辺りに堅く締め付けられ、本体133、及び/又は、第1端137と第2端138は、バネ部材140を通じて引かれる。これにより、ループ部材135は、バネ部材を図10に示す弛緩された長さから図11に示す圧縮された長さへと圧縮する。
【0049】
都合がよいことには、本実施形態では、医師は、当該組織の辺りにあるループ部材135の最初の直径を望む回数だけ拡大したり縮小することができる。例えば、図11に示すように、スタイレット165を後退させて、ループ部材135の直径を縮小させた後、大きさが好ましくないとき、医師はスタイレット165をただ遠位方向に進め、ループ部材135を遠位方向に前進させることによって、ループ部材135の大きさを大きくする。スタイレット165の一連の前進と後退、及び、それに対応するループ部材135の大きさの変化は、組織辺りにあるループ部材135の当初の大きさを決める際に、必要に応じて行われる。
【0050】
図12を参照すると、組織辺りのループ部材の望ましい大きさになると、取り外し可能なプラグ部材175に連結するスタイレット173は、外側カテーテル180のルーメン内を遠位に前進する。図12に示すように、取り外し可能なプラグ部材175の遠位領域177が、取り外し可能な端領域190のルーメン内にある留置可能セグメント130の本体133の隣に押し込められるまで、スタイレット173は前進する。本実施形態では、取り外し可能なプラグ部材175は、摩擦によるはめ合いを用いてスタイレット173の遠位端に係合する大きさを有する近位孔178を有するエラストマーその他の適切な素材を備える。図12に描かれるように、遠位領域177は、テーパー端を有し、外側カテーテル180のルーメン182内を遠位方向に進み、取り外し可能な端領域190のルーメン195に進むことを容易にする。さらに、輻射状の突起が、取り外し可能なプラグ部材175に提供され、本体133、取り外し可能なプラグ部材175及び取り外し可能な端領域190の間のしっかりとした係合を促進する。図12に示した状態では、本体133とループ部材135の配置は、圧縮されたバネ部材140に関して固定されている。
【0051】
次のステップでは、医師は、外側カテーテル180をスタイレット165に関して近位に後退させ、第1固定装置150と第2固定装置160の間の連結を露出し、それによって、当該固定装置を引き離す。さらに、外側カテーテル180の取り外し可能な端領域190に関する近位の後退は、所定の摩擦力の閾値を超えると、取り外し可能な端領域190が外側カテーテル180から外れる。同様に、スタイレット173の近位の後退は、所定の摩擦力の閾値を超えると、プラグ部材175がスタイレット173から外れる。図13に示されているように、一旦外れると、外側カテーテル180は、スタイレット165と173と共に患者から外され、留置可能セグメント130を標的組織に連結されたままにする。プラグ部材175と取り外し可能な端領域190は、留置可能セグメント130と係合したままである。
【0052】
上記のように、ループ部材135の標的組織は、時間の経過によって、壊死する。このようなことが起きると、標的組織の大きさは、縮小する。都合がよいことには、バネ部材140は、継続的な圧力を与え、確実に、ループ部材が継続的に標的組織を囲むことになる。特に、組織が壊死すると、バネ部材140は、ループ部材135が、それに対応して縮小した直径を有することになり、組織が壊死する等、変形しても、ループ部材135は、標的組織との係合を早期に喪失することにはならない。一旦、標的組織が十分に処置され、大きさが縮小されて、留置可能セグメント130、プラグ部材175及び取り外し可能な端組織190は、体内を自然に通っていくことになる。
【0053】
さらに別の実施形態では、上述のバネ部材40と140は省いてもよく、ループ部材35と135が、pH、気温、及び/又は、光に対して反応する材料を有するようにすることができる。当該実施形態では、ユーザーは、上述のように、最初に望ましい張力を標的組織の辺りのループ部材に与える。ループ部材が胃やその他の体管のpH或いは温度にさらされたり、内視鏡から光をあてられたりすると、ループ部材の直径が、縮小して、標的組織に対して更なら圧縮力を維持することになる。好ましいPH反応材料は、キトサンやポリアクリル酸があり、好ましい温度反応材料には、ポリオレフィンがあり、好ましい光反応材料には、アゾベンゼンから作られる光装置がある。さらに別の実施形態では、ループ部材は、適切な力が標的組織に望ましい時間にわたって加えられた後で、劣化するように構成されている生分解可能な材料を有する。
【0054】
別の方法では、上述の装置20及び120は、消化管間質腫瘍(GIST)などの組織の実質的な全層局所切除術に使用できる。この方法では、組織開創器具は、ループ部材35と135へと全ての消化管間質腫瘍(GIST)を引き抜くために使用される。それから、上述のように、ループ部材35と135は、留置され、消化管間質腫瘍(GIST)への血液供給を滞らせ、その結果、壊死や廃肉が形成される。ループ場所での傷跡の形成は、組織の壁に穴があくことを防止する。当該方法は、組織の切開と孔を塞ぐという第2段階で行われる現在の手術方法に比較して合併症がより少なくなるという改善が見られる。
【0055】
さらに別の方法では、本明細書で述べられたループ部材35は、消化管内の孔等の傷を塞ぐために使用することができる。本実施例では、ループ部材35は、組織後退部材と連結して用い、ループ部材35が留置される前に、傷辺りの組織を束ねる。例えば、組織後退部材は、バルーンか、開口部を通して配置され、開口部辺りにあるポリープのような組織を形成するために使用される連結装置を有する。これは、2009年10月30日に出願された米国特許出願番号61/256,619号(以下、「619号出願」と称す。)に概ね記述されており、本明細書に完全な形で引用して援用する。「619号出願」で説明しているように、組織後退部材は、収縮状態の時に、体の開口部を通って遠位方向に進み、開口部に対して遠位の場所で収縮状態から拡張状態へと作動する。それから、組織後退部材は、近位に後退し、少なくとも部分的に開口部を囲む、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域に係合し、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域が、ポリープのように隣り合わせに配置される。この時、本実施形態のループ部材35は、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域の辺りに置かれ、留置されて上述のように圧力を加え維持し、その結果、組織領域を束ねて開口部を塞ぐ。
【0056】
組織後退部材として、バルーンか連結装置を使う代わりのものとして、T型アンカーを傷口に置くことができる。この実施形態では、T型アンカーが傷口におかれた後、当該T型アンカーに連結した縫合糸が後退して、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域がポリープのように隣同士に配置される。それに続いて、ループ部材35は、縫合糸上を進み、隣の組織セグメントの辺りで締め付けられ、それらを束ねる。代わりに、複数の異なるT型アンカーを傷口の辺りの組織に置き、近位方向に後退させてポリープのような塊を作り、その周りにループ部材35を置くようにすることができる。
【0057】
さらに、上述の方法が一般に体組織に力を加える装置を含み、本システム、装置及び方法が人体あるいは動物体及び体腔に関連しているか関連していないか如何なる材料層(例えば、繊維、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック及びゴム)に用いられることを、当業者は認識するであろう。例えば、当該システム、装置および方法は、人体あるいは動物体への適用を見つけようが見つけまいがその材料層に力を加えるための実験及び工業環境における使用が見られる。その具体例として、製造、人工組織の作業、動物研究、獣医学の応用、検死活動の際に、組織に力を維持することが含まれる。
【0058】
本発明の様々な実施形態が記述されているが、本発明は、添付した特許請求の範囲とその等価物を踏まえたものを除いて限定されない。さらに、本明細書で述べた利点は、必ずしも本発明の唯一の利点ではなく、本発明の全ての実施形態が記述した利点を達成することが必ずしも予想されるものではない。
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本発明は、2009年10月30日に出願し、発明の名称が「ループ部材を用いて組織に加えた力を維持するための装置と方法」という、米国仮特許出願第61/256,430号の利益を主張し、その開示は、その内容を完全な形で本明細書に引用したものとする。
【0002】
本実施形態は、一般的に、医療装置に関し、特に、ループ部材を用いて組織に力を加えるための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
留置可能なスネアを送給して組織と係合するのに必要となり、或いは望ましい様々な具体例がある。例えば、そのようなスネアは、ポリープ切除、食道静脈瘤出血、胃静脈瘤出血及び消化管間質腫瘍の際の止血を誘導するために使用することができる。さらに、留置可能なスネアは、静脈瘤やポリープの結紮、消化管瘻の閉鎖及びその他の処置において有用である。
【0004】
多様な商業上入手可能な留置可能スネアがある。留置可能スネアは、ナイロン、1つ以上の細長いワイヤ、縫合糸、および/又はその他の材料からなる1つのループを有する。ループの大きさや構造は、ループの第1端と第2端を囲む大きさのストッパーやシンチ部材を用いて調整することができる。ストッパーやシンチ部材は、ループに対して遠位に進むに従って、ループの大きさは、縮小し、所要の大きさの力が標的組織にかかるようにすることができる。
【0005】
当該スネアは、標的組織に最初の圧力を提供するのには便利であるが、ループの直径は、一般的に、医師が調整したもともとの構造で固定したままである。特に、ストッパーやシンチ部材は、ループのもともとの直径と構造を維持する。組織が壊死し始めると、もともとループによって囲まれていた当該組織の形が、輪郭が変わり、特に、大きさが小さくなることを出願人は発見した。そのため、ループがそのもともとの固定された構造のままである場合、ループは早期に組織から離脱し、時間の経過によって組織に継続的な力を維持することができなくなる。
【発明の概要】
【0006】
本実施形態は、ループ部材を用いて組織に力を維持することによる組織処理のための装置と方法を提供する。ある実施形態では、当該装置は、近位領域と遠位領域と両領域の間を伸びる本体を有する留置(展開)可能セグメントを有する。ループ部材は、留置可能セグメントの遠位領域に形成される。孔を有するカニューレは、ループ部材に対して近位の位置で本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさをしている。そして、カニューレとループ部材の間にバネ部材が配置している。バネ部材の近位端は、カニューレに取り付け、バネ部材の遠位端は、移動可能で圧力を加えてループ部材の開口部の大きさを調整し、ループ部材の開口部内に配置される組織を圧縮する。
【0007】
都合がよいことに、バネ部材を設けることで組織への圧縮力を生じ、ループ部材が標的組織を確実にしっかりと継続的に囲む。特に、組織が壊死したり形が変わったりする場合は、バネ部材がループ部材をそれに対応した縮小した直径となるようにする。そのため、固定した直径を有するその他の装置とは異なり、ループ部材は、早期に標的組織との係合を失うことはない。
【0008】
当該装置は、カテーテルとスタイレットを配置させて送給することができる。ある実施例では、第1固定装置が留置可能セグメントの近位領域に配置され、第2固定装置がスタイレットの遠位端に配置される。第1固定装置と第2固定装置が共に連結している場合は、スタイレットの長手方向の動きは、留置可能セグメントの対応する長手方向の動きを生じる。カテーテルが第1固定装置と第2固定装置の双方を越えて位置する場合は、第2固定装置は、第1固定装置に連結するよう構成され、更に、カテーテルによってもはや覆われない場合は、第2固定装置は第1固定装置から外れるように構成されている。
【0009】
他の実施形態では、カニューレが省かれ、ループ部材の直径は、留置可能セグメントが最終的に留置するまで、何度も縮小・拡大するよう構成されている。また他の実施形態では、硬化剤がループ部材の少なくとも一部から放出され、所望の生物学的効果を達成する。
【0010】
以下の特徴や詳細な記述の審査の際に、本発明の他のシステム、方法、特徴及び利点があったり、生じたり、当業者が思いつくこともあろう。そうした付随的システム、方法、特徴及び利点は、本発明の範囲内であり、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の図面と説明を参照することでよりよく理解することができる。図面の構成要素は必ずしも、本発明の原理を説明する代わりに縮小したり強調するものではない。さらに、当該図面では、同じ参照番号は、異なる図面の対応する部分を示す。
【図1】留置可能セグメントと送給セグメントが組み立てられていない状態の、組織に力を維持する為の装置の第1実施形態の側面図である。
【図2】組み立てられた状態の図1の装置の側面図である。
【図3A】カニューレと図1の留置可能セグメントの本体の一部を描く側断面図である。
【図3B】図1の装置の第1固定装置と第2固定装置が組み合わされた状態を示す側断面図である。
【図4】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図5】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図6】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図7】組織に力を維持するための図1と図2の装置を利用する方法の具体的な方法段階の模式図である。
【図8】図1と図2のループ部材の別の実施形態の側面図である。
【図9】図1と図2のループ部材の更に別の実施形態の側面図である。
【図10】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図11】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図12】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【図13】組織に力を維持するための別の装置を用いるための方法の具体的な方法段階の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願では、「近位の」という用語は、通常、医療処置の際に、医者に向かう方向を指し、「遠位の」という用語は、通常、医療処置の際に人体の標的組織に向かう方向を指す。
【0013】
図1を参照すると、組織に力を維持する装置20の第1実施形態が示されている。装置20は、一般的に、留置可能セグメント30と送給セグメント70を有する。以下に詳細に説明するように、留置可能セグメント30は、送給セグメント70から外されて、組織と係合したままで、連続して圧力を提供するようにすることができる。
【0014】
留置可能セグメント30は、近位領域32と遠位領域34と通常その間を伸びる本体33を有する。近位領域32は、第1固定装置50を有し、第1固定装置50は、以下で説明するように、送給セグメント70に連結することができる。図1が概括的に示しているように、遠位領域34は、開口部36を有するループ部材35と第1端37と第2端38を有する。ループ部材35は、1つ以上の細長いワイヤ、縫合糸、ナイロン、ニチノール、ステンレス鋼、および/または、上記要素の組み合わせ、もしくは、特定されていないその他の要素から形成することができる。
【0015】
留置可能セグメント30の本体33は、ループ部材35から近位方向に伸びる。本体33は、ループ部材35の第1端37と第2端38が、近位領域32に向かって近位方向へ互いに隣り合って伸びる状態の第1端37と第2端38の一部を有する。本実施形態では、第1端37と第2端38の一部は、ループ部材から一定の距離はなれたところで、一緒に熱収縮されるか、そうでなければ連結され、近位領域32と遠位領域34の間に延びる略円筒形のセグメントを形成するようにすることができる。
【0016】
別の実施形態では、本体33は、例えばループ部材35の第1端37と第2端38と区別される、独立の部材とすることができる。例えば、本体33は、ループ部材35の第1端37と第2端38に連結し、そこから近位に伸びる、ある長さのワイヤとしてもよい。連結は、接着剤、はんだ、溶接、熱収縮チュービング、機械的結合、その他適切な方法を用いて行うことができる。
【0017】
図1を参照すると、留置可能セグメント30は、更に、近位端42、遠位端44及びそれらの間に配置される複数の巻回部分41を備えるバネ部材40を有する。バネ部材40は、少なくとも本体33の一部とループ部材35の第1端37と第2端38の周辺を囲む。バネ部材40は、本明細書の実施形態で示されているように、圧縮バネを有し、金属、プラスチックあるいは他の適切な材料から形成してもよい。バネ部材40は、可変力バネあるいは、定荷重バネを有していてもよい。または、バネ部材40は、随意的に複数の回転部を有する弾力性のある圧縮部材を有してよい。後者の例では、バネ部材は、圧縮され、本明細書に記載される圧力を加える硬いエラストマー部品を有してもよい。
【0018】
バネ部材40は、所定の利用に基づいて合わせられる材料、形及び構造を有することができる。特に、直径、ワイヤの厚さ、剛性、および/又はバネ部材40のその他の特徴は、特定の処置の必要に応じて様々であり、解剖学的制約に見合い、および/又は、組織セグメントに加わる力を多様化する。例えば、実質的に硬いバネ部材40は、ループ部材35に対して増大した力を提供し、以下図4から図7で説明するように、留置後に留置可能セグメント30が組織から外れる可能性を減らすことができる。
【0019】
図1と図2の実施形態では、バネ部材はカニューレ45とループ部材35の間に配置している。バネ部材40の近位端42は、接着剤、はんだ、溶接、機械的連結、その他の適切なメカニズムを用いて、カニューレに固定することができる。 図1と図3Aで最もよく分かるように、留置可能セグメント30の本体33はカニューレ45の孔46を通って伸びる。
【0020】
ある実施形態では、ワンウエイメカニズムが用いられて、留置可能セグメント30の本体33が、医師による所定の引っ張り力でカニューレ45を通って近位方向に進むことができるが、遠位方向に進むことはできないようにされている。従って、カニューレ45は、図5により良く示されるように、バネ部材40を留め置くための「ストッパ」の役目を果たす。
【0021】
カニューレ45の孔46の内側領域と本体33の外側部分は、一方向で連結するワンウエイ連結メカニズムを有し、本体33がカニューレ45内を近位方向のみに動くようにするか、または、摩擦係合により、本体33がカニューレ45の近位側でカニューレに固定され遠位方向への進行を防止するようにすることができる。例えば、図3Aで示した実施形態では、カニューレ45に関して本体33が一方向に動けるように、歯49がカニューレ45の孔46へ近位方向に傾斜して延びるようにしてある。このようにして、バネ部材40は、カニューレ45とループ部材35の間に維持され、圧縮されてループ部材に力を加える。とりわけ、カニューレ45は、本明細書で述べるように、比較的短いカラーのような構造としてもよく、又は、それよりも長くしてもよい。
【0022】
送給セグメント70は、概ね、内側カテーテル80と外側カテーテル90を有しており、それぞれ、近位端と遠位端とその間を伸びるルーメンを有する。図1で概括的に示すように、内側カテーテル80は、外側カテーテル90のルーメン内に配置するように構成されている。内側カテーテル80の遠位領域は、補強カニューレ84に連結しているか、或いは、補強カニューレ84と統合して形成されてもよい。図2に示し以下で説明するように、内側カテーテル80の補強カニューレ84は、本体33に配置されたカニューレ45に当接することができる。
【0023】
送給セグメント70は更に、スタイレット75を有し、当該スタイレットは、内側カテーテル80のルーメン内を動くように構成される外径を有する。ある実施形態では、スタイレット75と本体33は、概ね、同一の外側直径を有し、両方の構成要素が結合された状態で、内側カテーテル80のルーメン内を進むことができる。
【0024】
送給セグメント70を用いて、留置可能セグメント30を標的組織場所へと送給するために、留置可能セグメント30の第1固定装置50は、送給セグメント70の第2固定装置60に連結される。第2固定装置60は、スタイレット75の遠位領域と統合して形成されるか、又は、連結される。
【0025】
スタイレット75は、近位方向に伸び、医師が操作するハンドルに連結してもよい。以下で詳細に説明するように、使用の際、第1固定装置50は、第2固定装置に連結し、スタイレット75の長手方向の動きは、ループ部材35のサイズに影響を及ぼす。ループ部材35の望まれる大きさになると、第1固定装置50は、第2固定装置60から外れるよう構成され、図6と図7で説明するように、留置可能セグメント30のみを体内に残す。
【0026】
多様なタイプの相補的な第1固定装置50と第2固定装置60が、本実施形態に係る留置可能セグメント30の制御された取り外しを容易にするために用いられる。適切な相補的な第1固定装置50と第2固定装置60が2007年5月30日に出願され、通常通り指定された米国特許出願番号第11/807,827号(以下、「827号出願」と称する)に記述されているが、その内容を完全な形で本明細書に引用する。そのため、本出願で示す第1固定装置50と第2固定装置60は、留置可能セグメント30の取り外しを制御するためのメカニズムを保つ多様で可能なタイプの一つである。
【0027】
本実施形態では、第2固定装置60は第1固定装置50に対して補完的で、第1固定装置50と第2固定装置60は、はめ合わせて連結することができる。図3Bに示すように、第1固定装置は、切り込み56に近位に配置しているノブ55を有する。対称的には、図3Bで示すように、第2固定装置60は、切り込み66の遠位に配置するノブ65を有する。図3Bに描かれるように、ノブ55とノブ65は、平らな表面を有する半円筒形に近い形をしている。または、「827号出願」に述べられているように、丸い構造をしていてもよい。
【0028】
第1固定装置50のノブ55を第2固定装置60の切り込み66内に置くことによって、また、第2固定装置60のノブ65を第1固定装置50の切り込み56内に置くことによって、第1固定装置50と第2固定装置60を互いに連結させる。連結すると、第1固定装置50と第2固定装置60は、図3Bに示すように、実質的に同じ外側直径を有する実質的に連続した円筒形を形成する。図3Bに描かれるように、好ましくは、一致した場合には、第1固定装置50と第2固定装置60の外側直径は、内側カテーテル80の内側直径より少し小さく、さらに、好ましくは、本体33の外側直径と実質的に同一である。
【0029】
第1固定装置50は、第2固定装置60とはめ合わせて連結しても、共に保持されなければ連結場所を保つことがないことに留意しなければならない。図3Bで示すように、内側カテーテル80は、はめ合わされた第1固定装置50と第2固定装置よりも内側直径が少し大きいので、内側カテーテル80が、はめ合っている第1固定装置と第2固定装置の双方を覆っている限り、内側カテーテル80は、はめ合い場所で第1固定装置50と第2固定装置60を保持する。
【0030】
さて、図4から図7を参照すると、装置20の具体的使用が示されている。第1段階では、留置可能セグメント30は、患者の人体の外側にある送給セグメント70に連結されている。スタイレット75は、内側カテーテル80に押し込まれ、第2固定装置60は、内側カテーテル80の補強カニューレ84のちょうど遠位に伸びる。留置可能セグメント30の第1固定装置50は、上述のように、第2固定装置60と対になって連結している。そして、対になった第1固定装置50と第2固定装置60は、内側カテーテル80に押し込まれて近位方向に進む。図4で描かれているように、本体33上のカニューレ45が、内側カテーテル80の遠位端において、補強カニューレ84に隣接するまで、留置可能セグメント30は、内側カテーテル80へと近位に進むことができる。この時、ループ部材35は、相対的に開いた直径構造で提供され、バネ部材40に対して遠位に配置される。図4で示すように、バネ部材40は、長さL1の弛緩した状態にある。
【0031】
この状態で、外側カテーテル90は、全ての構成要素上を遠位に進み、ループ部材35を囲む。内視鏡が患者の人体を通って送給され、標的組織Tへと近位に配置される。外側カテーテル90は、そこに押し込められた構成要素を有し、外側カテーテル90の遠位領域が内視鏡の遠位に位置するまで、当該内視鏡のルーメンを通って進むことができる。この時、図4で示すように、外側カテーテル90は、他の構成要素に関して、近位に後退し、ループ部材35と内側カテーテルの遠位端を露出する。それから、ループ部材35は、内視鏡の直接の視覚化のもとで、および/又は、その他の視覚化技術を用いて、標的組織Tの辺りに配置する。
【0032】
図5を参照すると、次の段階では、ループ部材35の大きさは、縮小し、標的組織T辺りに圧力を加える。特に、スタイレット75は、カテーテル80に関して、近位方向に後退する。スタイレット75の第2固定装置60が内側カテーテルの内側にある留置可能セグメント30の第1固定装置50と係合しているので、留置可能セグメント30は、また、近位方向に後退する。この時、図3Aと図5に描かれているように、留置可能セグメント30の本体33は、カニューレ45を通じて近位方向へと動く。カニューレ45は、本体33に沿って、より遠位に位置するようになるので、ループ部材は、カニューレ45に関してより近位に位置し、バネ部材45が圧縮する。
【0033】
内側カテーテル80は、スタイレット75の後退の際、その位置に保持される。本体33とループ部材35がスタイレット75によって後退する時、カニューレ45は、補強カニューレ84に当接し、さらに後退することができず、そのため、バネ部材40の圧力が制限される。実際には、本体33、および/又は、第1固定装置37と第2固定装置38が固定されたカニューレ45内を引っ張られ、ループ部材35は、標的組織Tの辺りに、締め付けられている。
【0034】
後退と同時に、ループ部材35は、バネ部材40を弛緩時の長さL1から圧縮時の長さL2へと圧縮する。特に、バネ部材40の遠位端44は、ループ部材35および/又は組織Tによって、近位に強く動かされ、バネ部材40の近位端42は、内側カテーテル80の補強カニューレ84に当接するカニューレ40によって、固定されたままでいる。
【0035】
上記に記したように、本体33は、摩擦による固定、及び/又は、一方向メカニズムを用いて、カニューレ45を通じて、近位方向にのみ進む、ワンウエイ構造とされる。それ故、ループ部材35は、標的組織Tの辺りで堅く締め付けられる時、本体33は、カニューレ45に関して遠位に滑ることができず、何らかの事情で、ループ部材35の直径が増大するということはない。この時、ループ部材が標的組織Tの辺りで堅く締め付けられ、バネ部材40は、圧縮されて、ループ部材35に対して遠位方向に押し、標的組織Tの辺りでループ部材35の閉鎖を促進する。
【0036】
図6を参照すると、ループ部材35が標的組織Tの辺りで堅く締め付けられると、医師は、内側カテーテル80に関してスタイレット75を遠位に進め、第1固定装置50と第2固定装置60の間の連結を露出させ、それによって、当該固定装置をはずし、留置可能セグメント30を標的組織Tに連結したままにする。又は、医師は、スタイレット75に関して、内側カテーテル80を近位に後退させ、当該固定装置の連結部を露出させる。一旦外れると、内側カテーテル80と外側カテーテル90は、スタイレット75とともに、患者から取り除かれる。
【0037】
さて、図7を参照すると、標的組織Tは、時間が経過し、壊死する。こうなると、標的組織Tの大きさは、小さくなる。好都合なことには、バネ部材40の提供によって、圧力が継続的に加わり、確実に、ループ部材35は、標的組織Tの辺りで、継続して堅く締め付けられる。特に、組織が壊死すると、バネ部材40によって、ループ部材35が、それに対応して、直径を縮小することになる。それ故、固定したループを有する他の装置と違って、ループ部材35は、当該組織が壊死したり変形したりしても、早期に標的組織との係合を失うことはない。一旦、標的組織Tが十分に治療されると、留置可能セグメント30は、その係合を失い、自然に体内を通り過ぎる。
【0038】
図8を参照すると、別の実施形態では、留置可能セグメント30’は、上記で説明した留置可能セグメントと同じであるが、留置可能セグメント30’は、組織Tをしっかり固定する複数の棘(barb)を有するという、違いがある。棘を提供することで、緊張が加えられ、当該組織の辺りのループ部材の直径が縮小されているとき、ループ部材35’が組織から滑り外れる可能性を減らすことができる。棘は、ループ部材35’と一体的に形成され、或いは、はんだ付けやその他の技術を用いて付着される。好ましくは、棘は、図8で描かれているように、比較的容易に、バネ部材40を通じて後退できるようにある角度で傾斜している。
【0039】
図9を参照すると、更に別の実施形態では、留置可能セグメント30’’は、上述の留置可能セグメント30に類似しているが、主な違いは、ループ部材35’’は、硬化療法を提供するように構成され、傷跡の形成を促し、止血を容易にし、或いは別の好ましい機能を果たすことである。具体的には、硬化剤がループ部材35’’の外側表面に形成された出口孔を通じて送給される。硬化剤が当該孔97に注入されるか、ループ部材35’’がその中にルーメンを有し、孔97を通じて散布する為に硬化剤を保管する。他には、1つ以上の硬化剤を、組織への溶出のため、ループ部材35’’の外側表面で覆う。数多くの適切な硬化剤がループ部材35’’との連結に用いられるが、1つの具体的硬化剤として、ヒドロキシポリエトキシドデカンがある。
【0040】
更に別の実施形態では、内側カテーテル80は、留置可能セグメント30の一部に結合するトルクケーブル等のトルク部材を有し、ループ部材35の回転を可能にし、それによって、標的組織辺りのループ部材35の適応と配置を容易にする。本実施例では、内側カテーテル80は、トルクケーブルを有し、ループ部材35の回転を可能にするか、別のケーブルが留置可能セグメント30に直接結合することもできる。
【0041】
さて、図10から図13を参照すると、別の実施形態では、ループ部材135を有する装置120は、組織に力を加えるために提供される。装置120は、概括的には、留置可能セグメント130、スタイレット165、プラグ部材175及び取り外し可能な端領域190を有する外側カテーテル180を有する。
【0042】
好ましくは、装置120の留置可能セグメント130は、上述の留置可能セグメント30に類似しているが、主な違いは、カニューレ45が除外されていることである。さらに、留置可能セグメント130の近位領域132は、フックの形態をした第1固定装置150を有している。以下に詳しく説明するように、第1固定装置150は、スタイレット165から伸びるループの形態をする第2固定装置160から係合したり外れたりする。図10に示すように、留置可能セグメント130は、本体133、遠位領域134及び開口部136を有するループ部材135をさらに有する。
【0043】
図10から図13の実施形態では、外側カテーテル180は、多数の構成要素を受ける大きさのルーメン182を有する。留置可能セグメント130に連結するスタイレット165に加えて、ルーメン182は、プラグ部材175に取り外し可能に連結するスタイレット173を受ける大きさをしている。スタイレット173とプラグ部材175は、図10に描かれているように、ルーメン182内にあるスタイレット165の隣に配置している。
【0044】
取り外し可能端領域190は、近位セグメント192と遠位セグメント194とそれらの中に形成されるルーメン195を有する。近位セグメント192と遠位セグメント194は、連続した内側表面を形成するが、図10に示すように、近位セグメント192は、図10で示すように、遠位セグメント194と比べて縮小した外側直径を有する。外側カテーテル180の遠位領域182は、取り外し可能端領域190の近位セグメント192辺りで摩擦で連結し、それによって、図10で描かれているように、実質的に面一な外側直径を提供する。
【0045】
図10で示されているように、バネ部材140は、取り外し可能な端領域190の遠位セグメント194に連結し、そこから遠位方向に伸びる。本実施形態では、バネ部材140が随意的に次第に細くなり、より大きな近位直径が取り外し可能端領域190に連結され、ルーメン195を取り巻き、他方で、図10で示されるように、より小さな遠位直径は、留置可能セグメント130の本体133よりわずかだけ大きい。
【0046】
使用の際、装置120は、上述のように、標的組織の場所のほうへ送給される。特に、カテーテルは、ループ部材135を覆うために用いられ、構成要素は、内視鏡のルーメンを通って送給される。標的組織は、図10から図13の実施形態では示されていない。しかし、ループ部材135の標的組織との係合は、上記の図4から図7までに示されているものに類似する。
【0047】
第1ステップでは、ループ部材135は、上述のように、直接の内視鏡的視覚化の下、および/又は、その他の視覚化技術を用いて、標的組織の辺りに位置する。次のステップでは、図11に描かれているように、ループ部材135の大きさが縮小され、標的組織の辺りに圧力を加える。特に、スタイレット165は、近位方向に後退する。スタイレット165の第2固定装置160は、留置可能セグメント130の第1固定装置150に係合するので、留置可能セグメント130は、また、近位方向に後退する。この時、留置可能セグメントの本体133は、図11に描かれているように、バネ部材140を通って近位方向へと動く。
【0048】
好ましくは、外側カテーテル180は、スタイレット165とループ部材130の後退時に動かされずにしっかり固定されたままである。それ故、ループ部材135は、標的組織の辺りに堅く締め付けられ、本体133、及び/又は、第1端137と第2端138は、バネ部材140を通じて引かれる。これにより、ループ部材135は、バネ部材を図10に示す弛緩された長さから図11に示す圧縮された長さへと圧縮する。
【0049】
都合がよいことには、本実施形態では、医師は、当該組織の辺りにあるループ部材135の最初の直径を望む回数だけ拡大したり縮小することができる。例えば、図11に示すように、スタイレット165を後退させて、ループ部材135の直径を縮小させた後、大きさが好ましくないとき、医師はスタイレット165をただ遠位方向に進め、ループ部材135を遠位方向に前進させることによって、ループ部材135の大きさを大きくする。スタイレット165の一連の前進と後退、及び、それに対応するループ部材135の大きさの変化は、組織辺りにあるループ部材135の当初の大きさを決める際に、必要に応じて行われる。
【0050】
図12を参照すると、組織辺りのループ部材の望ましい大きさになると、取り外し可能なプラグ部材175に連結するスタイレット173は、外側カテーテル180のルーメン内を遠位に前進する。図12に示すように、取り外し可能なプラグ部材175の遠位領域177が、取り外し可能な端領域190のルーメン内にある留置可能セグメント130の本体133の隣に押し込められるまで、スタイレット173は前進する。本実施形態では、取り外し可能なプラグ部材175は、摩擦によるはめ合いを用いてスタイレット173の遠位端に係合する大きさを有する近位孔178を有するエラストマーその他の適切な素材を備える。図12に描かれるように、遠位領域177は、テーパー端を有し、外側カテーテル180のルーメン182内を遠位方向に進み、取り外し可能な端領域190のルーメン195に進むことを容易にする。さらに、輻射状の突起が、取り外し可能なプラグ部材175に提供され、本体133、取り外し可能なプラグ部材175及び取り外し可能な端領域190の間のしっかりとした係合を促進する。図12に示した状態では、本体133とループ部材135の配置は、圧縮されたバネ部材140に関して固定されている。
【0051】
次のステップでは、医師は、外側カテーテル180をスタイレット165に関して近位に後退させ、第1固定装置150と第2固定装置160の間の連結を露出し、それによって、当該固定装置を引き離す。さらに、外側カテーテル180の取り外し可能な端領域190に関する近位の後退は、所定の摩擦力の閾値を超えると、取り外し可能な端領域190が外側カテーテル180から外れる。同様に、スタイレット173の近位の後退は、所定の摩擦力の閾値を超えると、プラグ部材175がスタイレット173から外れる。図13に示されているように、一旦外れると、外側カテーテル180は、スタイレット165と173と共に患者から外され、留置可能セグメント130を標的組織に連結されたままにする。プラグ部材175と取り外し可能な端領域190は、留置可能セグメント130と係合したままである。
【0052】
上記のように、ループ部材135の標的組織は、時間の経過によって、壊死する。このようなことが起きると、標的組織の大きさは、縮小する。都合がよいことには、バネ部材140は、継続的な圧力を与え、確実に、ループ部材が継続的に標的組織を囲むことになる。特に、組織が壊死すると、バネ部材140は、ループ部材135が、それに対応して縮小した直径を有することになり、組織が壊死する等、変形しても、ループ部材135は、標的組織との係合を早期に喪失することにはならない。一旦、標的組織が十分に処置され、大きさが縮小されて、留置可能セグメント130、プラグ部材175及び取り外し可能な端組織190は、体内を自然に通っていくことになる。
【0053】
さらに別の実施形態では、上述のバネ部材40と140は省いてもよく、ループ部材35と135が、pH、気温、及び/又は、光に対して反応する材料を有するようにすることができる。当該実施形態では、ユーザーは、上述のように、最初に望ましい張力を標的組織の辺りのループ部材に与える。ループ部材が胃やその他の体管のpH或いは温度にさらされたり、内視鏡から光をあてられたりすると、ループ部材の直径が、縮小して、標的組織に対して更なら圧縮力を維持することになる。好ましいPH反応材料は、キトサンやポリアクリル酸があり、好ましい温度反応材料には、ポリオレフィンがあり、好ましい光反応材料には、アゾベンゼンから作られる光装置がある。さらに別の実施形態では、ループ部材は、適切な力が標的組織に望ましい時間にわたって加えられた後で、劣化するように構成されている生分解可能な材料を有する。
【0054】
別の方法では、上述の装置20及び120は、消化管間質腫瘍(GIST)などの組織の実質的な全層局所切除術に使用できる。この方法では、組織開創器具は、ループ部材35と135へと全ての消化管間質腫瘍(GIST)を引き抜くために使用される。それから、上述のように、ループ部材35と135は、留置され、消化管間質腫瘍(GIST)への血液供給を滞らせ、その結果、壊死や廃肉が形成される。ループ場所での傷跡の形成は、組織の壁に穴があくことを防止する。当該方法は、組織の切開と孔を塞ぐという第2段階で行われる現在の手術方法に比較して合併症がより少なくなるという改善が見られる。
【0055】
さらに別の方法では、本明細書で述べられたループ部材35は、消化管内の孔等の傷を塞ぐために使用することができる。本実施例では、ループ部材35は、組織後退部材と連結して用い、ループ部材35が留置される前に、傷辺りの組織を束ねる。例えば、組織後退部材は、バルーンか、開口部を通して配置され、開口部辺りにあるポリープのような組織を形成するために使用される連結装置を有する。これは、2009年10月30日に出願された米国特許出願番号61/256,619号(以下、「619号出願」と称す。)に概ね記述されており、本明細書に完全な形で引用して援用する。「619号出願」で説明しているように、組織後退部材は、収縮状態の時に、体の開口部を通って遠位方向に進み、開口部に対して遠位の場所で収縮状態から拡張状態へと作動する。それから、組織後退部材は、近位に後退し、少なくとも部分的に開口部を囲む、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域に係合し、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域が、ポリープのように隣り合わせに配置される。この時、本実施形態のループ部材35は、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域の辺りに置かれ、留置されて上述のように圧力を加え維持し、その結果、組織領域を束ねて開口部を塞ぐ。
【0056】
組織後退部材として、バルーンか連結装置を使う代わりのものとして、T型アンカーを傷口に置くことができる。この実施形態では、T型アンカーが傷口におかれた後、当該T型アンカーに連結した縫合糸が後退して、第1漿膜組織領域と第2漿膜組織領域がポリープのように隣同士に配置される。それに続いて、ループ部材35は、縫合糸上を進み、隣の組織セグメントの辺りで締め付けられ、それらを束ねる。代わりに、複数の異なるT型アンカーを傷口の辺りの組織に置き、近位方向に後退させてポリープのような塊を作り、その周りにループ部材35を置くようにすることができる。
【0057】
さらに、上述の方法が一般に体組織に力を加える装置を含み、本システム、装置及び方法が人体あるいは動物体及び体腔に関連しているか関連していないか如何なる材料層(例えば、繊維、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック及びゴム)に用いられることを、当業者は認識するであろう。例えば、当該システム、装置および方法は、人体あるいは動物体への適用を見つけようが見つけまいがその材料層に力を加えるための実験及び工業環境における使用が見られる。その具体例として、製造、人工組織の作業、動物研究、獣医学の応用、検死活動の際に、組織に力を維持することが含まれる。
【0058】
本発明の様々な実施形態が記述されているが、本発明は、添付した特許請求の範囲とその等価物を踏まえたものを除いて限定されない。さらに、本明細書で述べた利点は、必ずしも本発明の唯一の利点ではなく、本発明の全ての実施形態が記述した利点を達成することが必ずしも予想されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に力を加えることによる組織処理装置であって、
近位領域と遠位領域、及びその間を伸びる本体を有する留置可能セグメントと
前記留置可能セグメントの前記遠位領域に形成されるループ部材であって、大きさを調整できる開口部を形成する、ループ部材と、
貫通する穴を有するカニューレであって、前記ループ部材に対して近位の位置にある本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさに合わせたカニューレと、
前記カニューレと前記ループ部材の間に配置されるスプリング部材であって、近位端と遠位端を有し、本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさとされたスプリング部材と、
を有し、
前記スプリング部材の近位端は、カニューレに取り付けられ、前記スプリング部材の遠位端は、前記ループ部材の開口部の大きさを調整し、前記ループ部材の開口部内に配置される組織を圧縮する圧縮力を加えるために移動可能とされている、
組織処理装置。
【請求項2】
前記カニューレが、前記ループ部材の本体に摩擦係合する、請求項1に記載の組織処理装置。
【請求項3】
前記スプリング部材が前記カニューレと前記本体との間の摩擦を克服するだけの十分な力を有していない、請求項2に記載の組織処理装置。
【請求項4】
前記留置可能セグメントの前記本体が、前記カニューレを通って近位方向にのみ長手方向に動くように構成されている、請求項2に記載の組織処理装置。
【請求項5】
前記カニューレに対して前記本体が一方向に動くように、カニューレの穴の中に近位方向に斜めに延びる歯をさらに有する請求項4に記載の組織処理装置。
【請求項6】
前記本体が前記カニューレを通って近位方向に後退する際に、前記ループ部材が前記スプリング部材を圧縮する、請求項4に記載の組織処理装置。
【請求項7】
前記ループ部材の少なくとも一部から溶出するよう構成された硬化剤を、さらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記ループ部材に連結され、前記組織に係合する大きさにされた少なくとも1つの棘(barb)を有する、請求項1に記載の組織処理装置。
【請求項9】
組織に力を加えることによる組織処理方法であって、
前記方法は、
近位領域と、遠位領域と、前記領域の間を伸びる本体と、前記遠位領域に形成されるループ部材とを有する留置可能セグメントを提供し、
前記ループ部材に対して近位の位置にある前記本体の少なくとも一部の周りにカニューレを配置し、前記カニューレと前記ループ部材の間にバネ部材を配置し、
前記ループ部材が比較的大きな直径の状態で、標的組織の周りに前記ループ部材を留置し、
前記カニューレと前記バネ部材に対して相対的に、前記ループ部材を後退させ、前記ループ部材の直径を収縮して、前記組織にしっかりと係合すること、
を含み、
前記ループ部材の後退により、前記バネ部材が弛緩した状態から圧縮した状態とされ、
それにより、前記バネ部材が、前記ループ部材の開口部の大きさを調整して、前記ループ部材の開口部内に配置された組織を圧縮するための圧縮力を加えるようにした、
組織処理方法。
【請求項10】
前記カニューレは、前記留置可能セグメントの前記本体に摩擦係合する、請求項9に記載の組織処理方法。
【請求項11】
前記バネ部材が、前記カニューレと前記本体の間の摩擦を克服する十分な力を有していない、請求項10に記載の組織処理方法。
【請求項12】
前記留置可能セグメントの前記本体が、前記カニューレを通って、近位方向にのみ長手方向へ動くようにされている、請求項10に記載の組織処理方法。
【請求項13】
前記カニューレに関して前記本体が一方向にだけ動くように、前記カニューレの穴の中へと近位方向に斜めに延びる歯を提供することをさらに含む、請求項12に記載の組織処理方法。
【請求項14】
前記本体が前記カニューレを通って近位方向に後退するとき、前記ループ部材が前記バネ部材を圧縮するようにした、請求項12に記載の組織処理方法。
【請求項15】
前記ループ部材の少なくとも一部から、硬化剤を放出することを更に含む、 請求項9に記載の組織処理方法。
【請求項16】
組織に力を加えることによる組織処理装置であって、
近位領域と遠位領域と、前記領域の間を伸びる本体を有する留置可能セグメントと、
留置セグメントの遠位領域に形成されるループ部材であって、大きさの調整可能な開口部を形成するループ部材と、
前記ループ部材に対して近位に配置されるバネ部材であって、近位端と遠位端を有し、前記本体の少なくとも一部の周辺を囲むように大きさとされたバネ部材と、
を有し、
前記バネ部材の遠位端は、前記ループ部材の開口部の大きさを調整し、前記ループ部材の開口部内に配置された組織を圧縮する圧縮力をかけるように移動可能とされ、
前記ループ部材の直径が、留置可能なセグメントの最終留置の前に、何度も収縮したり拡大するように構成されている、
組織処理装置。
【請求項17】
前記留置可能セグメントの近位端に配置する第1固定装置と、
近位端と遠位端を有するスタイレットと、
前記スタイレットの遠位端に配置する第2固定装置と、
をさらに有し、
前記第1固定装置と第2固定装置が連結されたとき、前記スタイレットの長手方向の動きが、対応する前記留置可能セグメントの長手方向の動きを生じる、請求項16に記載の組織処理装置。
【請求項18】
前記スタイレットの動きを可能とする大きさのルーメンを有するカテーテルと、
近位セグメントと遠位セグメントと、その間を伸びるルーメンを有する取り外し可能な端領域と、
を有し、
前記近位セグメントは、前記カテーテルの遠位端に取り外し可能に連結され、遠位セグメントは、バネ部材に取り付けられ、
前記留置可能セグメントの本体は、バネ部材を貫いて伸び、取り外し可能な端領域のルーメンを通って、少なくとも部分的に前記カテーテルの前記ルーメン内に伸び、前記カテーテルのルーメン内で前記第2固定装置と係合する、
請求項17に記載の組織処理装置。
【請求項19】
前記スタイレットの近位方向への後退が、前記第1固定装置と前記第2固定装置の連結を介して、前記ループ部材を近位方向へ後退させ、対応して前記バネ部材を圧縮させ、それにより、前記ループ部材の直径を選択的に縮小し、前記スタイレットの遠位方向への前進が前記ループ部材を遠位方向へ前進させ、それにより前記ループ部材の直径を選択的に拡張させる、請求項18に記載の組織処理装置。
【請求項20】
前記カテーテルの前記ルーメン内で前進できる大きさとされ、さらに、前記取り外し可能な端領域の前記ルーメン内の前記留置可能セグメントの前記本体に対してくさび係合して前記取り外し可能な端領域の前記本体に対する位置を固定するようにされた
プラグ部材をさらに有する、請求項19に記載の装置。
【請求項1】
組織に力を加えることによる組織処理装置であって、
近位領域と遠位領域、及びその間を伸びる本体を有する留置可能セグメントと
前記留置可能セグメントの前記遠位領域に形成されるループ部材であって、大きさを調整できる開口部を形成する、ループ部材と、
貫通する穴を有するカニューレであって、前記ループ部材に対して近位の位置にある本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさに合わせたカニューレと、
前記カニューレと前記ループ部材の間に配置されるスプリング部材であって、近位端と遠位端を有し、本体の少なくとも一部の周辺を囲む大きさとされたスプリング部材と、
を有し、
前記スプリング部材の近位端は、カニューレに取り付けられ、前記スプリング部材の遠位端は、前記ループ部材の開口部の大きさを調整し、前記ループ部材の開口部内に配置される組織を圧縮する圧縮力を加えるために移動可能とされている、
組織処理装置。
【請求項2】
前記カニューレが、前記ループ部材の本体に摩擦係合する、請求項1に記載の組織処理装置。
【請求項3】
前記スプリング部材が前記カニューレと前記本体との間の摩擦を克服するだけの十分な力を有していない、請求項2に記載の組織処理装置。
【請求項4】
前記留置可能セグメントの前記本体が、前記カニューレを通って近位方向にのみ長手方向に動くように構成されている、請求項2に記載の組織処理装置。
【請求項5】
前記カニューレに対して前記本体が一方向に動くように、カニューレの穴の中に近位方向に斜めに延びる歯をさらに有する請求項4に記載の組織処理装置。
【請求項6】
前記本体が前記カニューレを通って近位方向に後退する際に、前記ループ部材が前記スプリング部材を圧縮する、請求項4に記載の組織処理装置。
【請求項7】
前記ループ部材の少なくとも一部から溶出するよう構成された硬化剤を、さらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記ループ部材に連結され、前記組織に係合する大きさにされた少なくとも1つの棘(barb)を有する、請求項1に記載の組織処理装置。
【請求項9】
組織に力を加えることによる組織処理方法であって、
前記方法は、
近位領域と、遠位領域と、前記領域の間を伸びる本体と、前記遠位領域に形成されるループ部材とを有する留置可能セグメントを提供し、
前記ループ部材に対して近位の位置にある前記本体の少なくとも一部の周りにカニューレを配置し、前記カニューレと前記ループ部材の間にバネ部材を配置し、
前記ループ部材が比較的大きな直径の状態で、標的組織の周りに前記ループ部材を留置し、
前記カニューレと前記バネ部材に対して相対的に、前記ループ部材を後退させ、前記ループ部材の直径を収縮して、前記組織にしっかりと係合すること、
を含み、
前記ループ部材の後退により、前記バネ部材が弛緩した状態から圧縮した状態とされ、
それにより、前記バネ部材が、前記ループ部材の開口部の大きさを調整して、前記ループ部材の開口部内に配置された組織を圧縮するための圧縮力を加えるようにした、
組織処理方法。
【請求項10】
前記カニューレは、前記留置可能セグメントの前記本体に摩擦係合する、請求項9に記載の組織処理方法。
【請求項11】
前記バネ部材が、前記カニューレと前記本体の間の摩擦を克服する十分な力を有していない、請求項10に記載の組織処理方法。
【請求項12】
前記留置可能セグメントの前記本体が、前記カニューレを通って、近位方向にのみ長手方向へ動くようにされている、請求項10に記載の組織処理方法。
【請求項13】
前記カニューレに関して前記本体が一方向にだけ動くように、前記カニューレの穴の中へと近位方向に斜めに延びる歯を提供することをさらに含む、請求項12に記載の組織処理方法。
【請求項14】
前記本体が前記カニューレを通って近位方向に後退するとき、前記ループ部材が前記バネ部材を圧縮するようにした、請求項12に記載の組織処理方法。
【請求項15】
前記ループ部材の少なくとも一部から、硬化剤を放出することを更に含む、 請求項9に記載の組織処理方法。
【請求項16】
組織に力を加えることによる組織処理装置であって、
近位領域と遠位領域と、前記領域の間を伸びる本体を有する留置可能セグメントと、
留置セグメントの遠位領域に形成されるループ部材であって、大きさの調整可能な開口部を形成するループ部材と、
前記ループ部材に対して近位に配置されるバネ部材であって、近位端と遠位端を有し、前記本体の少なくとも一部の周辺を囲むように大きさとされたバネ部材と、
を有し、
前記バネ部材の遠位端は、前記ループ部材の開口部の大きさを調整し、前記ループ部材の開口部内に配置された組織を圧縮する圧縮力をかけるように移動可能とされ、
前記ループ部材の直径が、留置可能なセグメントの最終留置の前に、何度も収縮したり拡大するように構成されている、
組織処理装置。
【請求項17】
前記留置可能セグメントの近位端に配置する第1固定装置と、
近位端と遠位端を有するスタイレットと、
前記スタイレットの遠位端に配置する第2固定装置と、
をさらに有し、
前記第1固定装置と第2固定装置が連結されたとき、前記スタイレットの長手方向の動きが、対応する前記留置可能セグメントの長手方向の動きを生じる、請求項16に記載の組織処理装置。
【請求項18】
前記スタイレットの動きを可能とする大きさのルーメンを有するカテーテルと、
近位セグメントと遠位セグメントと、その間を伸びるルーメンを有する取り外し可能な端領域と、
を有し、
前記近位セグメントは、前記カテーテルの遠位端に取り外し可能に連結され、遠位セグメントは、バネ部材に取り付けられ、
前記留置可能セグメントの本体は、バネ部材を貫いて伸び、取り外し可能な端領域のルーメンを通って、少なくとも部分的に前記カテーテルの前記ルーメン内に伸び、前記カテーテルのルーメン内で前記第2固定装置と係合する、
請求項17に記載の組織処理装置。
【請求項19】
前記スタイレットの近位方向への後退が、前記第1固定装置と前記第2固定装置の連結を介して、前記ループ部材を近位方向へ後退させ、対応して前記バネ部材を圧縮させ、それにより、前記ループ部材の直径を選択的に縮小し、前記スタイレットの遠位方向への前進が前記ループ部材を遠位方向へ前進させ、それにより前記ループ部材の直径を選択的に拡張させる、請求項18に記載の組織処理装置。
【請求項20】
前記カテーテルの前記ルーメン内で前進できる大きさとされ、さらに、前記取り外し可能な端領域の前記ルーメン内の前記留置可能セグメントの前記本体に対してくさび係合して前記取り外し可能な端領域の前記本体に対する位置を固定するようにされた
プラグ部材をさらに有する、請求項19に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−509254(P2013−509254A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537001(P2012−537001)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054284
【国際公開番号】WO2011/053645
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054284
【国際公開番号】WO2011/053645
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】
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