レシートガイド機構
【課題】プリンタにおける連続用紙のレシートガイド機構の構造の簡素化と操作の便宜化を図ろうとすること。
【解決手段】レシートを搬送するための搬送通路を有するハウジング2と、搬送通路2aに対向して配置されるレシートガイド6とを備え、レシートガイド6は、レシートを搬送する方向におけるレシートガイド6の下流側の端部が搬送通路2aから遠ざかる方向に移動可能であるように、ハウジング2に固定された軸に回転可能に取り付けられているレシートガイド機構。
【解決手段】レシートを搬送するための搬送通路を有するハウジング2と、搬送通路2aに対向して配置されるレシートガイド6とを備え、レシートガイド6は、レシートを搬送する方向におけるレシートガイド6の下流側の端部が搬送通路2aから遠ざかる方向に移動可能であるように、ハウジング2に固定された軸に回転可能に取り付けられているレシートガイド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシートガイド機構に関し、特に、プリンタにおけるレシートガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の技術として、複写機における羽根車による複写用紙の搬送機構について、図11を参照して説明する。
【0003】
羽根車31は、回転軸32に固定され、周囲に3枚の単純な羽根31aを有する。羽根車31が回転すると、3枚の羽根31aによって順次複写用紙を搬送する。
【0004】
従来の第2の技術として、連続用紙の折畳みスタッカについて、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図12(A)は、要部の正面図であり、一対の羽根車45を用いて連続用紙pのミシン目を折畳むようにして、連続用紙pを載置台43上に積載する状況を示す。
【0006】
載置台43の上面に中央部分が最高となる左右対称形の山型の枕46が、固定されている。枕46が存在しないと、ミシン目部分が完全に折畳まれないので、積載される連続用紙pは、積載量が増加するに連れて左右両側において膨らみ、中央部分が最低となる谷状となり、崩れる。これを防止するために、枕46は、使用される。
【0007】
載置台43は、支持板47の上にスライドレール48を介して筐体41の正面開口(図示せず)から引き出し自在に取付けられている。支持板47は、昇降機構49に支持されており、羽根車45により押圧される連続用紙pが一定量になる都度に、圧力センサ等を用いて検知され、昇降機構49が制御駆動されて、載置台43を所定量ずつ下降する。
【0008】
一対の羽根車45は、載置台43の左右両側に所定の間隔をもって配置されている。羽根車45は、回転軸45aの軸方向に適当な間隔をもって複数枚の羽根45bを、軸周り方向に角度を順次ずらした位置に固着して構成されている。
【0009】
このようにして、プリンタ等の排出口から排出される連続用紙pは、その自重で筐体41の上面開口42から載置台43の上面に向けて降下し、連続用紙pのミシン目を有する屈曲部が回転する羽根車45により捕捉され、枕46の上面に押し付けられる。これにより、連続用紙pは、折り畳まれて積載される。
【0010】
図12(B)は、羽根車と揺動板との連動機構の正面図である。
【0011】
各羽根車45の上方に、揺動板50が設けられている。図12(B)には、便宜上図12(A)の左側の揺動板50のみを示す。この揺動板50は、幅方向一端部において筐体41に支持された回転軸51により揺動自在に支持され、他端部が載置台43の上面方向に倒れるようにばね又は重力で付勢されている。筐体41内には、各羽根車45の回転軸45a上に固着されたプーリ52と、回転軸53に固着されたプーリ54との間にベルト55を掛け渡され、回転軸53上にカム56が固着されている。
【0012】
カム56の周面には、支点57で支持されたカムレバー58の一端部に取付けられたカムフォロア59が当接されている。カムレバー58の他端部は、揺動板50の基端部付近まで延長されて、その揺動板50に当接されている。そして、カムフォロア59がカム56の小径部56aに当接している間は、ばね又は重力で付勢されている揺動板50を、実線で示すように、その先端が下位に存して載置台43の上面方向に下り傾斜する状態に保持している。
【0013】
これに対して、羽根車45の回転に連動してカム56が回転し、その大径部56bにカムフォロア59が当接した場合は、カムレバー58が回転して、一点鎖線で示すように、揺動板50を上方にほぼ垂直状態になるまで回転させる。そして、揺動板50の起立と傾倒は、プリンタ等の排出口から降下する連続用紙pの一つのミシン目部分が開口42に落下する度に、少なくとも1回行われるように、タイミングが設定されている。
【0014】
従来の第3の技術として、プリンタにおける用紙の強制排出機構について、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献2参照。)。
【0015】
図13は、カッタ装置が連続紙を切断する過程を示す側面図である。ここで、カッタ装置61では、可動刃63と固定刃62との間に案内経路73が位置付けられ、案内経路73はその部分からレシート発行口(図示せず)まで至る。その間の領域において、可動刃63の上面に形成された案内面63aと、案内面63aに対面するカッタカバー71の中央部分の領域に形成された規制部材76とによって案内経路73が形成される。そして、この領域における案内経路73は、その隙間が0.3mm〜0.9mmに形成された狭小案内経路77として形成されている。ここで、狭小案内経路77の0.3mm〜0.9mmという隙間は、レシート用紙として用いられる一般的な連続紙78の厚さよりも僅かに広い間隔を持つ隙間である。このため、図13(C)に示されるように、狭小案内経路77に切断後の連続紙78であるレシート79が残留する場合、この残留するレシート79に後続して排出搬送される連続紙78が重なり合うとき、狭小案内経路77の内部では残留するレシート79の表面と後続する連続紙78の裏面とが接触するので、残留するレシート79は後続する連続紙78との摩擦によって排出されるという機能が営まれる。
【0016】
また、下部ユニット(図示せず)における下部下流案内板72は、可動刃63に形成された案内面63aよりも僅かに高さが高く形成されている。そして、下部下流案内板72の可動刃63に対面する側壁は、案内面63aよりも僅かに高さが高い当接面72aに形成されている。
【0017】
ここで、カッタ装置61が連続紙78を切断する動作について説明する。印字済み連続紙78は、案内経路73を通過し、可動刃63に形成された案内面63aとカッタカバー71に形成された規制部材76との間に形成された狭小案内経路77に案内されてレシート発行口(図示せず)から排出される。この状態で、連続紙78を切断する命令が、カッタ装置61に入ると、可動刃63が駆動される。すると、可動刃63は、図13(A)の状態から図13(B)の状態に可動刃軸64を支点として回転し、切断位置CPで固定刃62とかみ合う。これにより、案内経路73に案内されて切断位置CPに位置する連続紙78が切断され、切断された連続紙78は取引明細が記録されたレシート79としてレシート発行口(図示せず)から発行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実開平6−87360号公報
【特許文献2】特開2002−144657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前記従来の第1の技術として説明した複写機における羽根車による複写用紙の搬送機構には、羽根車が使用されているが、羽根車の作用は、単純な羽根によって複写用紙を搬送することにとどまる。
【0020】
また、前記従来の第2の技術として説明した連続用紙の折畳みスタッカにおいては、羽根車が使用されているが、羽根車は、折り畳まれて積載された連続用紙を押さえる作用を行うに過ぎない。
【0021】
更に、前記従来の第3の技術として説明したプリンタにおける用紙の強制排出機構においては、図13(C)における残留するレシート79に後続して排出搬送される連続紙78が重なり合うとき、狭小案内経路77の内部では残留するレシート79の表面と後続する連続紙78の裏面とが接触するので、残留するレシート79は後続する連続紙78との摩擦によって排出されるという機能が営まれる。
【0022】
そこで、本発明は、前記諸従来の技術の欠点を改良し、プリンタにおける連続用紙のレシートガイド機構の構造の簡素化と操作の便宜化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。なお、実施例の部材部位に付されている符号を本発明の構成の次に記入する。
【0024】
1.レシート21を搬送するための搬送通路2aを有するハウジング2と、前記搬送通路2aに対向して配置されるレシートガイド6とを備え、前記レシートガイド6は、前記レシート21を搬送する方向における前記レシートガイド6の下流側の端部が前記搬送通路2aから遠ざかる方向に移動可能であるように、前記ハウジング2に固定された軸に回転可能に取り付けられているレシートガイド機構。
【0025】
2.前記レシートガイド6は、長い平面部6bと、前記平面部6bに連続する短い傾斜部6cとを一体に有している前記1に記載のレシートガイド機構。
【0026】
3.前記レシートガイド6の先端の中央部には、切り欠き部6dが設けられている前記1または前記2に記載のレシートガイド機構。
【0027】
4.前記ハウジング2に回転軸3が設置され、前記回転軸3に羽根車4が固定され、前記羽根車4は、周囲に複数枚の弾性変形可能な羽根4aを有し、前記各羽根4aは、前記羽根車4が回転すると、前記ハウジング2の内面に形成されている前記搬送通路2aに漸次接近して、レシート21を前記搬送通路2aに押圧し、摩擦力によって前記レシート21を連行し、前記羽根車4が停止すると、前記レシート21を前記羽根4aと前記搬送通路2aとによって挟持して保持する前記1乃至前記3のいずれかに記載のレシートガイド機構。
【発明の効果】
【0028】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0029】
1.羽根車によって、レシートの搬送と保持を行うことができるので、構造が簡素で、しかも、レシートは、ハウジングの外側から不所望に軽く引張られたり、風に吹かれたりしても、ハウジングから排出することを防止される。
【0030】
2.各羽根は、羽根車の周囲から、ハウジングの通路に漸次接近するように突出する曲面部と、曲面部に連続する平面部とから構成されるので、まず、曲面部がレシートの感熱面に緩やかに接触するため、感熱面の発色が抑制される。次に、平面部がレシートの感熱面に接触するから、羽根車にかかる負荷が軽減するので、羽根車の耐久性が向上する。
【0031】
3.プリンタからレシートの排出を阻止された場合には、若干の程度のレシートのスタックが可能となり、また、スタックが所定の程度を超過した場合には、プリンタのジャムの検知装置を動作することができる。更に、レシートガイドを回転して押し上げるときの動力やセンサが、不要である。更に、レシートガイド機構がレシートスタック機構を兼ねるので、部品点数が少ない。
【0032】
4.レシートガイドが長い平面部とこれに連続する短い傾斜部とから一体に構成されるので、プリンタはコンパクトに構成される。
【0033】
5.レシートの先端が排出口まで到達しない場合、レシートガイドの先端の中央部には、切り欠き部が設けられているから、この切り欠き部から手指を挿入してレシートの先端を摘まんで引き出すことができるので、便利である。
【0034】
6.用紙交換の際に手指掛け部が操作されると、レシートガイドはハウジングにロックされ、対向する扉が閉じられる際に扉当接部が操作されると、レシートガイドはハウジングに自動的にセットされるので、便利である。
【0035】
7.レシートガイドの付勢に引張りコイルばねを採用するので、作用がスムーズで、レシートガイドとハウジングへの取付けが簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1のプリンタにおける羽根車式レシート搬送及び保持機構の断面図である。
【図2】同機構の羽根車の諸図であり、(A)は正面図で2個の同羽根車の合計6枚の羽根が60°ずつ位相がずれた状態、(B)は側面図、(C)は同羽根車の部分拡大図、(D)は2個の同羽根車の斜視図を、それぞれ示す。
【図3】同羽根車が回転を停止したときのレシートの後端の位置の一例を示す断面図である。
【図4】同羽根車の接触面の変化図であり、(A)は同羽根車の搬送通路への接触の瞬間、(B)は同羽根車の平面部の搬送通路への接触状態を、それぞれ示す。
【図5】本発明の実施例2のプリンタにおけるレシートスタック機構を兼ねるレシートガイド機構の断面図であり、(A)は同機構における同レシートの通常搬送時の状態、(B)は異常搬送に起因するレシートスタック時の状態を、それぞれ示す。
【図6】同機構の同レシートの先端が排出口まで到達しない場合の対策構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3におけるプリンタにおける自己復帰機能を有するレシートガイド開閉機構の正面図であり、(A)は同機構における同レシートの交換時のロック状態、(B)はレシートガイドのセット状態を、それぞれ示す。
【図8】同機構において、筐体側の扉を閉める際の同レシートガイドの移動状況を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1,2が設置されているプリンタの全体構成を示す断面図であり、印字後の同レシートが排出される瞬間の状態を示す。
【図10】本発明の実施例1,2が設置されているプリンタの全体構成を示す断面図であり、印字後の同レシートがレシートガイドにより案内された後の状態を示す。
【図11】従来の第1の技術の複写用紙の搬送に使用される羽根車であり、(A)は正面図、(B)は側面図を、それぞれ示す。
【図12】従来の第2の技術の連続用紙の折畳みスタッカの正面図であり、(A)は全体図、(B)は羽根車と揺動板との連動機構を、それぞれ示す。
【図13】従来の第3の技術のプリンタにおける用紙の強制排出機構の作動過程を順次(A)〜(C)に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明のプリンタにおける連続用紙の搬送、ガイド及び保持機構の3つの実施例について説明する。各実施例のプリンタはサーマルプリンタであり、また、レシートはサーマルレシートである。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1のプリンタにおける羽根車式レシート搬送及び保持機構について図1〜図4(B)を参照して説明する。
【0039】
羽根車4は、図示しないステッピングモータによって駆動される。プリンタ内部でレシート印字のためにレシート用紙の搬送が開始されると、羽根車4も回転を開始する。その後、プリンタ内部で印字が終了し、レシート用紙が切断されると、切断後の所定時間経過後に羽根車4は回転を停止し、切断後のレシートを保持する。
【0040】
図1は、プリンタ1(全体構成については図9,10参照)における連続用紙から切断されて羽根車4によって搬送されるレシート21の搬送時の断面図である。
【0041】
図1〜図4(B)に示されるように、プリンタ1のハウジング2に設置されている軸受(図示せず)に回転軸3が回転可能に支持され、回転軸3にはその軸方向に2個の羽根車4が固定されている。各羽根車4は、シリコーンゴムから製造され、周囲に3枚の弾性変形可能な羽根4aを有する。
【0042】
各羽根4aは、羽根車4の周囲から、ハウジング2の内面に形成されている搬送通路2a(図4参照)に漸次接近するように突出するサイクロイド状等の曲面部4a1と、これに連続する平面部4a2とから構成される。
【0043】
レシート21は、搬送通路2aと中間レシートガイド5及びレシートガイド6との間を搬送されるが、レシートガイド6については後述する。
【0044】
各羽根車4が左回転すると、まず、各羽根4aの曲面部4a1がレシート21の感熱面21aに緩やかに弾性変形しながら接触し、次に、平面部4a2がレシート21の感熱面21aを左方向に押して、レシート21の非感熱面21bをハウジング2の搬送通路2aに押圧する。すると、各平面部4a2が摩擦力によってレシート21を下方向に連行するので、レシート21はハウジング2の排出口2bから排出される。排出口2bの付近は、筐体側のカバー11によって被覆されている。
【0045】
必要な摩擦力が生じるためには、各羽根4aの平面部4a2の面積を相当に広く構成する。
【0046】
図2(A)〜(D)は羽根車4の諸図であり、(A)は正面図で2個の羽根車4の合計6枚の羽根4aが60°ずつ位相がずれた状態、(B)は側面図、(C)は羽根車4の部分拡大図、(D)は2個の羽根車4の斜視図を、それぞれ示す。
【0047】
図3は、羽根車4が回転を停止したときのレシート21の後端21cの位置の一例を示す。羽根車4の回転軸3の基準線を0mmとすれば、羽根車4の搬送通路2aへの初期接触点は4.9mmである。
【0048】
図4は羽根車4の接触面の変化図であり、図4(A)は羽根車4の搬送通路2aへの接触の瞬間、図4(B)は羽根車4の平面部4a2の搬送通路2aへの接触状態を、それぞれ示す。
【0049】
図4に示すように羽根車4の回転とともに羽根4aの接触面が変化するが、必ず1枚以上の羽根4aが搬送通路2aと接触する為、羽根車4が回転を停止したときにレシートの後端21cが羽根車4の搬送通路2aへの初期接触点よりも上となるようにレシート切断後から羽根車停止までの時間を設定することで、確実にレシートをハウジング2の搬送通路2aと挟持してレシート保持できる。
【0050】
図4(B)の位置では、レシート21の上端付近は、羽根4aの平面部4a2とハウジング2の搬送通路2aとによって挟持されているので、レシート21は、ハウジング2の外側から不所望に軽く引っ張られたり、風に吹かれたりしても、ハウジング2から排出することを防止される。
【実施例2】
【0051】
本発明の実施例2のプリンタにおけるレシートスタック機構を兼ねるレシートガイド機構について図5と図6を参照して説明する。ただし、実施例2については、実施例1と同様な点の説明を省略し、相違する点の説明を行う。
【0052】
図5(A)は、プリンタ1における連続用紙から切断されて羽根車4によって搬送されるレシート21の通常搬送時の断面図である。
【0053】
レシート21は、ハウジング2の内面に形成されている搬送通路2aと中間レシートガイド5の下面5a及びレシートガイド6の下面6aとの間を搬送される。
【0054】
レシートガイド6は、長い平面部6bとこれに連続する短い傾斜部6cとから一体に構成される。レシートガイド6は、ハウジング2に固定されている軸7に回転可能に取付けられている。
【0055】
図5(A)の通常搬送時の状態では、レシート21は、中間レシートガイド5の下面5a及びレシートガイド6の下面6aとハウジング2の搬送通路2aとの間を通過して、ハウジング2の排出口2bから外部に排出される。
【0056】
図5(B)は、異常搬送に起因するレシートスタック時の断面図である。
【0057】
レシート21の先端がレシート21の搬送を妨害する顧客の手指等の障害物12に突き当たると、レシート21は、先端から複数回ループ状に不規則に折り曲げられる。この結果、レシートガイド6は、レシート21の複数のループ状の山部21dによって、軸7を支点として左回転して押し上げられる。
【0058】
したがって、レシート21の先端付近は、レシートガイド6の下面6aとハウジング2の搬送通路2aとの間の断面三角形状のスペースに溜め込まれる。よって、異常搬送時に直ちにジャム(紙詰り)の検知装置を動作させずに、若干の程度のレシート溜めが可能となる。
【0059】
図6は、レシート21の先端21eが排出口2bまで到達しない場合の対策構造を示す断面図である。レシートガイド6の先端の中央部には、切り欠き部6dが設けられている。この切り欠き部6dから手指を挿入してレシート21の先端21eを摘まんで引き出す。なお、レシートガイド6に隠れて見えないレシート21の部分21fに斜線を施した。
【0060】
レシートスタック量の変更又はレシート21の種類に応じて、適切なねじりばねを軸7のねじりばね取付け部7aに取り付ける。
【実施例3】
【0061】
本発明の実施例3におけるプリンタにおける自己復帰機能を有するレシートガイド開閉機構について図7と図8を参照して説明する。
【0062】
図7(A)は、プリンタ1における用紙の交換の際に、作業者の手指がレシートガイド16の一端に設けられている手指掛け部16dを左方向に引くことによりレシートガイド16がロックされた状態の正面図である。
【0063】
プリンタ1のハウジング2には、軸17が固定され、軸17にレシートガイド16が回転可能に取付けられている。ハウジング2の下部に設けられているフック2cとレシートガイド16の他端に設けられているフック16eとの間に、引張りコイルばね18が掛け渡されている。
【0064】
図7(A)の状態においては、引張りコイルばね18は、矢印方向にレシートガイド16を引張っている。したがって、レシートガイド16は、軸17を中心として矢印方向(左回転)のモーメントを与えられ、レシートガイド16の中間部に設けられている第1被ストッパ16fは、ハウジング2の上部に設けられている第1ストッパ2dに当接し、レシートガイド16は、ハウジング2にロックされている。この状態で、作業者は、用紙の交換を行うことができる。
【0065】
図7(B)は、筐体側の扉13(図8参照)が閉じられることにより、レシートガイド16が自動的にロックされた状態の正面図である。
【0066】
図7(A)の状態において、作業者が扉13を矢印方向に閉めると、扉13の右側はレシートガイド16の一端に設けられている扉当接部16gに当接するので、レシートガイド16は、軸17を中心として矢印方向(右回転)のモーメントを与えられ、図8に示めされる左側の2点鎖線の位置から右側の2点鎖線の位置を経て実線の位置へ右回転する。このとき、引張りコイルばね18には、張力が作用し、引張りコイルばね18の中心線(すなわち、ハウジング2の下部に設けられているフック2cとレシートガイド16の他端に設けられているフック16eとを結ぶ直線)が、軸17の一方側から他方側に移動するので、レシートガイド16は、図7(B)に示される位置まで起立する。この位置で、レシートガイド16の一端付近に設けられている第2被ストッパ16hは、ハウジング2の上部に設けられている第2ストッパ2eに当接し、レシートガイド16は、ハウジング2の所定位置に自動的にセットされる。
【0067】
図9は、本発明の実施例1,2が設置されているプリンタ1の全体構成を示す断面図であり、印字後のレシート21が排出される瞬間の状態を示す。プリンタ1は、プリンタの制御基板8に搭載されている諸機器によって制御され、羽根車4は、羽根車機構の制御基板9に搭載されている諸機器によって制御される。プリンタ1の制御基板8と羽根車機構の制御基板9は接続されている為、プリンタ1の動作に同期させて羽根車4の回転と停止を制御できる。
【0068】
図10は、同プリンタ1の全体構成を示す断面図であり、印字後のレシート21がレシートガイド6により案内された後の状態を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ
2 ハウジング
2a 搬送通路
2b 排出口
2c フック(第2のばね固定部)
2d 第1ストッパ
2e 第2ストッパ
3 回転軸
4 羽根車
4a 羽根
4a1 曲面部
4a2 平面部
5 中間レシートガイド
5a 下面
6 レシートガイド
6a 下面
6b 長い平面部
6c 短い傾斜部
6d 切り欠き部
7 軸
7a ねじりばね取付け部
8 プリンタの制御基板
9 羽根車機構の制御基板
11 筐体側のカバー
12 障害物
13筐体側の扉
16 レシートガイド
16d 手指掛け部
16e フック(第1のばね固定部)
16f 第1被ストッパ
16g 扉当接部
16h 第2被ストッパ
17 軸
18 引張りコイルばね
21 レシート
21a 感熱面
21b 非感熱面
21c レシートの後端
21d ループ状の山部
21e レシートの先端
21f レシートガイドに隠れて見えないレシートの部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシートガイド機構に関し、特に、プリンタにおけるレシートガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の技術として、複写機における羽根車による複写用紙の搬送機構について、図11を参照して説明する。
【0003】
羽根車31は、回転軸32に固定され、周囲に3枚の単純な羽根31aを有する。羽根車31が回転すると、3枚の羽根31aによって順次複写用紙を搬送する。
【0004】
従来の第2の技術として、連続用紙の折畳みスタッカについて、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図12(A)は、要部の正面図であり、一対の羽根車45を用いて連続用紙pのミシン目を折畳むようにして、連続用紙pを載置台43上に積載する状況を示す。
【0006】
載置台43の上面に中央部分が最高となる左右対称形の山型の枕46が、固定されている。枕46が存在しないと、ミシン目部分が完全に折畳まれないので、積載される連続用紙pは、積載量が増加するに連れて左右両側において膨らみ、中央部分が最低となる谷状となり、崩れる。これを防止するために、枕46は、使用される。
【0007】
載置台43は、支持板47の上にスライドレール48を介して筐体41の正面開口(図示せず)から引き出し自在に取付けられている。支持板47は、昇降機構49に支持されており、羽根車45により押圧される連続用紙pが一定量になる都度に、圧力センサ等を用いて検知され、昇降機構49が制御駆動されて、載置台43を所定量ずつ下降する。
【0008】
一対の羽根車45は、載置台43の左右両側に所定の間隔をもって配置されている。羽根車45は、回転軸45aの軸方向に適当な間隔をもって複数枚の羽根45bを、軸周り方向に角度を順次ずらした位置に固着して構成されている。
【0009】
このようにして、プリンタ等の排出口から排出される連続用紙pは、その自重で筐体41の上面開口42から載置台43の上面に向けて降下し、連続用紙pのミシン目を有する屈曲部が回転する羽根車45により捕捉され、枕46の上面に押し付けられる。これにより、連続用紙pは、折り畳まれて積載される。
【0010】
図12(B)は、羽根車と揺動板との連動機構の正面図である。
【0011】
各羽根車45の上方に、揺動板50が設けられている。図12(B)には、便宜上図12(A)の左側の揺動板50のみを示す。この揺動板50は、幅方向一端部において筐体41に支持された回転軸51により揺動自在に支持され、他端部が載置台43の上面方向に倒れるようにばね又は重力で付勢されている。筐体41内には、各羽根車45の回転軸45a上に固着されたプーリ52と、回転軸53に固着されたプーリ54との間にベルト55を掛け渡され、回転軸53上にカム56が固着されている。
【0012】
カム56の周面には、支点57で支持されたカムレバー58の一端部に取付けられたカムフォロア59が当接されている。カムレバー58の他端部は、揺動板50の基端部付近まで延長されて、その揺動板50に当接されている。そして、カムフォロア59がカム56の小径部56aに当接している間は、ばね又は重力で付勢されている揺動板50を、実線で示すように、その先端が下位に存して載置台43の上面方向に下り傾斜する状態に保持している。
【0013】
これに対して、羽根車45の回転に連動してカム56が回転し、その大径部56bにカムフォロア59が当接した場合は、カムレバー58が回転して、一点鎖線で示すように、揺動板50を上方にほぼ垂直状態になるまで回転させる。そして、揺動板50の起立と傾倒は、プリンタ等の排出口から降下する連続用紙pの一つのミシン目部分が開口42に落下する度に、少なくとも1回行われるように、タイミングが設定されている。
【0014】
従来の第3の技術として、プリンタにおける用紙の強制排出機構について、本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献2参照。)。
【0015】
図13は、カッタ装置が連続紙を切断する過程を示す側面図である。ここで、カッタ装置61では、可動刃63と固定刃62との間に案内経路73が位置付けられ、案内経路73はその部分からレシート発行口(図示せず)まで至る。その間の領域において、可動刃63の上面に形成された案内面63aと、案内面63aに対面するカッタカバー71の中央部分の領域に形成された規制部材76とによって案内経路73が形成される。そして、この領域における案内経路73は、その隙間が0.3mm〜0.9mmに形成された狭小案内経路77として形成されている。ここで、狭小案内経路77の0.3mm〜0.9mmという隙間は、レシート用紙として用いられる一般的な連続紙78の厚さよりも僅かに広い間隔を持つ隙間である。このため、図13(C)に示されるように、狭小案内経路77に切断後の連続紙78であるレシート79が残留する場合、この残留するレシート79に後続して排出搬送される連続紙78が重なり合うとき、狭小案内経路77の内部では残留するレシート79の表面と後続する連続紙78の裏面とが接触するので、残留するレシート79は後続する連続紙78との摩擦によって排出されるという機能が営まれる。
【0016】
また、下部ユニット(図示せず)における下部下流案内板72は、可動刃63に形成された案内面63aよりも僅かに高さが高く形成されている。そして、下部下流案内板72の可動刃63に対面する側壁は、案内面63aよりも僅かに高さが高い当接面72aに形成されている。
【0017】
ここで、カッタ装置61が連続紙78を切断する動作について説明する。印字済み連続紙78は、案内経路73を通過し、可動刃63に形成された案内面63aとカッタカバー71に形成された規制部材76との間に形成された狭小案内経路77に案内されてレシート発行口(図示せず)から排出される。この状態で、連続紙78を切断する命令が、カッタ装置61に入ると、可動刃63が駆動される。すると、可動刃63は、図13(A)の状態から図13(B)の状態に可動刃軸64を支点として回転し、切断位置CPで固定刃62とかみ合う。これにより、案内経路73に案内されて切断位置CPに位置する連続紙78が切断され、切断された連続紙78は取引明細が記録されたレシート79としてレシート発行口(図示せず)から発行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実開平6−87360号公報
【特許文献2】特開2002−144657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前記従来の第1の技術として説明した複写機における羽根車による複写用紙の搬送機構には、羽根車が使用されているが、羽根車の作用は、単純な羽根によって複写用紙を搬送することにとどまる。
【0020】
また、前記従来の第2の技術として説明した連続用紙の折畳みスタッカにおいては、羽根車が使用されているが、羽根車は、折り畳まれて積載された連続用紙を押さえる作用を行うに過ぎない。
【0021】
更に、前記従来の第3の技術として説明したプリンタにおける用紙の強制排出機構においては、図13(C)における残留するレシート79に後続して排出搬送される連続紙78が重なり合うとき、狭小案内経路77の内部では残留するレシート79の表面と後続する連続紙78の裏面とが接触するので、残留するレシート79は後続する連続紙78との摩擦によって排出されるという機能が営まれる。
【0022】
そこで、本発明は、前記諸従来の技術の欠点を改良し、プリンタにおける連続用紙のレシートガイド機構の構造の簡素化と操作の便宜化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。なお、実施例の部材部位に付されている符号を本発明の構成の次に記入する。
【0024】
1.レシート21を搬送するための搬送通路2aを有するハウジング2と、前記搬送通路2aに対向して配置されるレシートガイド6とを備え、前記レシートガイド6は、前記レシート21を搬送する方向における前記レシートガイド6の下流側の端部が前記搬送通路2aから遠ざかる方向に移動可能であるように、前記ハウジング2に固定された軸に回転可能に取り付けられているレシートガイド機構。
【0025】
2.前記レシートガイド6は、長い平面部6bと、前記平面部6bに連続する短い傾斜部6cとを一体に有している前記1に記載のレシートガイド機構。
【0026】
3.前記レシートガイド6の先端の中央部には、切り欠き部6dが設けられている前記1または前記2に記載のレシートガイド機構。
【0027】
4.前記ハウジング2に回転軸3が設置され、前記回転軸3に羽根車4が固定され、前記羽根車4は、周囲に複数枚の弾性変形可能な羽根4aを有し、前記各羽根4aは、前記羽根車4が回転すると、前記ハウジング2の内面に形成されている前記搬送通路2aに漸次接近して、レシート21を前記搬送通路2aに押圧し、摩擦力によって前記レシート21を連行し、前記羽根車4が停止すると、前記レシート21を前記羽根4aと前記搬送通路2aとによって挟持して保持する前記1乃至前記3のいずれかに記載のレシートガイド機構。
【発明の効果】
【0028】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0029】
1.羽根車によって、レシートの搬送と保持を行うことができるので、構造が簡素で、しかも、レシートは、ハウジングの外側から不所望に軽く引張られたり、風に吹かれたりしても、ハウジングから排出することを防止される。
【0030】
2.各羽根は、羽根車の周囲から、ハウジングの通路に漸次接近するように突出する曲面部と、曲面部に連続する平面部とから構成されるので、まず、曲面部がレシートの感熱面に緩やかに接触するため、感熱面の発色が抑制される。次に、平面部がレシートの感熱面に接触するから、羽根車にかかる負荷が軽減するので、羽根車の耐久性が向上する。
【0031】
3.プリンタからレシートの排出を阻止された場合には、若干の程度のレシートのスタックが可能となり、また、スタックが所定の程度を超過した場合には、プリンタのジャムの検知装置を動作することができる。更に、レシートガイドを回転して押し上げるときの動力やセンサが、不要である。更に、レシートガイド機構がレシートスタック機構を兼ねるので、部品点数が少ない。
【0032】
4.レシートガイドが長い平面部とこれに連続する短い傾斜部とから一体に構成されるので、プリンタはコンパクトに構成される。
【0033】
5.レシートの先端が排出口まで到達しない場合、レシートガイドの先端の中央部には、切り欠き部が設けられているから、この切り欠き部から手指を挿入してレシートの先端を摘まんで引き出すことができるので、便利である。
【0034】
6.用紙交換の際に手指掛け部が操作されると、レシートガイドはハウジングにロックされ、対向する扉が閉じられる際に扉当接部が操作されると、レシートガイドはハウジングに自動的にセットされるので、便利である。
【0035】
7.レシートガイドの付勢に引張りコイルばねを採用するので、作用がスムーズで、レシートガイドとハウジングへの取付けが簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1のプリンタにおける羽根車式レシート搬送及び保持機構の断面図である。
【図2】同機構の羽根車の諸図であり、(A)は正面図で2個の同羽根車の合計6枚の羽根が60°ずつ位相がずれた状態、(B)は側面図、(C)は同羽根車の部分拡大図、(D)は2個の同羽根車の斜視図を、それぞれ示す。
【図3】同羽根車が回転を停止したときのレシートの後端の位置の一例を示す断面図である。
【図4】同羽根車の接触面の変化図であり、(A)は同羽根車の搬送通路への接触の瞬間、(B)は同羽根車の平面部の搬送通路への接触状態を、それぞれ示す。
【図5】本発明の実施例2のプリンタにおけるレシートスタック機構を兼ねるレシートガイド機構の断面図であり、(A)は同機構における同レシートの通常搬送時の状態、(B)は異常搬送に起因するレシートスタック時の状態を、それぞれ示す。
【図6】同機構の同レシートの先端が排出口まで到達しない場合の対策構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3におけるプリンタにおける自己復帰機能を有するレシートガイド開閉機構の正面図であり、(A)は同機構における同レシートの交換時のロック状態、(B)はレシートガイドのセット状態を、それぞれ示す。
【図8】同機構において、筐体側の扉を閉める際の同レシートガイドの移動状況を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1,2が設置されているプリンタの全体構成を示す断面図であり、印字後の同レシートが排出される瞬間の状態を示す。
【図10】本発明の実施例1,2が設置されているプリンタの全体構成を示す断面図であり、印字後の同レシートがレシートガイドにより案内された後の状態を示す。
【図11】従来の第1の技術の複写用紙の搬送に使用される羽根車であり、(A)は正面図、(B)は側面図を、それぞれ示す。
【図12】従来の第2の技術の連続用紙の折畳みスタッカの正面図であり、(A)は全体図、(B)は羽根車と揺動板との連動機構を、それぞれ示す。
【図13】従来の第3の技術のプリンタにおける用紙の強制排出機構の作動過程を順次(A)〜(C)に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明のプリンタにおける連続用紙の搬送、ガイド及び保持機構の3つの実施例について説明する。各実施例のプリンタはサーマルプリンタであり、また、レシートはサーマルレシートである。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1のプリンタにおける羽根車式レシート搬送及び保持機構について図1〜図4(B)を参照して説明する。
【0039】
羽根車4は、図示しないステッピングモータによって駆動される。プリンタ内部でレシート印字のためにレシート用紙の搬送が開始されると、羽根車4も回転を開始する。その後、プリンタ内部で印字が終了し、レシート用紙が切断されると、切断後の所定時間経過後に羽根車4は回転を停止し、切断後のレシートを保持する。
【0040】
図1は、プリンタ1(全体構成については図9,10参照)における連続用紙から切断されて羽根車4によって搬送されるレシート21の搬送時の断面図である。
【0041】
図1〜図4(B)に示されるように、プリンタ1のハウジング2に設置されている軸受(図示せず)に回転軸3が回転可能に支持され、回転軸3にはその軸方向に2個の羽根車4が固定されている。各羽根車4は、シリコーンゴムから製造され、周囲に3枚の弾性変形可能な羽根4aを有する。
【0042】
各羽根4aは、羽根車4の周囲から、ハウジング2の内面に形成されている搬送通路2a(図4参照)に漸次接近するように突出するサイクロイド状等の曲面部4a1と、これに連続する平面部4a2とから構成される。
【0043】
レシート21は、搬送通路2aと中間レシートガイド5及びレシートガイド6との間を搬送されるが、レシートガイド6については後述する。
【0044】
各羽根車4が左回転すると、まず、各羽根4aの曲面部4a1がレシート21の感熱面21aに緩やかに弾性変形しながら接触し、次に、平面部4a2がレシート21の感熱面21aを左方向に押して、レシート21の非感熱面21bをハウジング2の搬送通路2aに押圧する。すると、各平面部4a2が摩擦力によってレシート21を下方向に連行するので、レシート21はハウジング2の排出口2bから排出される。排出口2bの付近は、筐体側のカバー11によって被覆されている。
【0045】
必要な摩擦力が生じるためには、各羽根4aの平面部4a2の面積を相当に広く構成する。
【0046】
図2(A)〜(D)は羽根車4の諸図であり、(A)は正面図で2個の羽根車4の合計6枚の羽根4aが60°ずつ位相がずれた状態、(B)は側面図、(C)は羽根車4の部分拡大図、(D)は2個の羽根車4の斜視図を、それぞれ示す。
【0047】
図3は、羽根車4が回転を停止したときのレシート21の後端21cの位置の一例を示す。羽根車4の回転軸3の基準線を0mmとすれば、羽根車4の搬送通路2aへの初期接触点は4.9mmである。
【0048】
図4は羽根車4の接触面の変化図であり、図4(A)は羽根車4の搬送通路2aへの接触の瞬間、図4(B)は羽根車4の平面部4a2の搬送通路2aへの接触状態を、それぞれ示す。
【0049】
図4に示すように羽根車4の回転とともに羽根4aの接触面が変化するが、必ず1枚以上の羽根4aが搬送通路2aと接触する為、羽根車4が回転を停止したときにレシートの後端21cが羽根車4の搬送通路2aへの初期接触点よりも上となるようにレシート切断後から羽根車停止までの時間を設定することで、確実にレシートをハウジング2の搬送通路2aと挟持してレシート保持できる。
【0050】
図4(B)の位置では、レシート21の上端付近は、羽根4aの平面部4a2とハウジング2の搬送通路2aとによって挟持されているので、レシート21は、ハウジング2の外側から不所望に軽く引っ張られたり、風に吹かれたりしても、ハウジング2から排出することを防止される。
【実施例2】
【0051】
本発明の実施例2のプリンタにおけるレシートスタック機構を兼ねるレシートガイド機構について図5と図6を参照して説明する。ただし、実施例2については、実施例1と同様な点の説明を省略し、相違する点の説明を行う。
【0052】
図5(A)は、プリンタ1における連続用紙から切断されて羽根車4によって搬送されるレシート21の通常搬送時の断面図である。
【0053】
レシート21は、ハウジング2の内面に形成されている搬送通路2aと中間レシートガイド5の下面5a及びレシートガイド6の下面6aとの間を搬送される。
【0054】
レシートガイド6は、長い平面部6bとこれに連続する短い傾斜部6cとから一体に構成される。レシートガイド6は、ハウジング2に固定されている軸7に回転可能に取付けられている。
【0055】
図5(A)の通常搬送時の状態では、レシート21は、中間レシートガイド5の下面5a及びレシートガイド6の下面6aとハウジング2の搬送通路2aとの間を通過して、ハウジング2の排出口2bから外部に排出される。
【0056】
図5(B)は、異常搬送に起因するレシートスタック時の断面図である。
【0057】
レシート21の先端がレシート21の搬送を妨害する顧客の手指等の障害物12に突き当たると、レシート21は、先端から複数回ループ状に不規則に折り曲げられる。この結果、レシートガイド6は、レシート21の複数のループ状の山部21dによって、軸7を支点として左回転して押し上げられる。
【0058】
したがって、レシート21の先端付近は、レシートガイド6の下面6aとハウジング2の搬送通路2aとの間の断面三角形状のスペースに溜め込まれる。よって、異常搬送時に直ちにジャム(紙詰り)の検知装置を動作させずに、若干の程度のレシート溜めが可能となる。
【0059】
図6は、レシート21の先端21eが排出口2bまで到達しない場合の対策構造を示す断面図である。レシートガイド6の先端の中央部には、切り欠き部6dが設けられている。この切り欠き部6dから手指を挿入してレシート21の先端21eを摘まんで引き出す。なお、レシートガイド6に隠れて見えないレシート21の部分21fに斜線を施した。
【0060】
レシートスタック量の変更又はレシート21の種類に応じて、適切なねじりばねを軸7のねじりばね取付け部7aに取り付ける。
【実施例3】
【0061】
本発明の実施例3におけるプリンタにおける自己復帰機能を有するレシートガイド開閉機構について図7と図8を参照して説明する。
【0062】
図7(A)は、プリンタ1における用紙の交換の際に、作業者の手指がレシートガイド16の一端に設けられている手指掛け部16dを左方向に引くことによりレシートガイド16がロックされた状態の正面図である。
【0063】
プリンタ1のハウジング2には、軸17が固定され、軸17にレシートガイド16が回転可能に取付けられている。ハウジング2の下部に設けられているフック2cとレシートガイド16の他端に設けられているフック16eとの間に、引張りコイルばね18が掛け渡されている。
【0064】
図7(A)の状態においては、引張りコイルばね18は、矢印方向にレシートガイド16を引張っている。したがって、レシートガイド16は、軸17を中心として矢印方向(左回転)のモーメントを与えられ、レシートガイド16の中間部に設けられている第1被ストッパ16fは、ハウジング2の上部に設けられている第1ストッパ2dに当接し、レシートガイド16は、ハウジング2にロックされている。この状態で、作業者は、用紙の交換を行うことができる。
【0065】
図7(B)は、筐体側の扉13(図8参照)が閉じられることにより、レシートガイド16が自動的にロックされた状態の正面図である。
【0066】
図7(A)の状態において、作業者が扉13を矢印方向に閉めると、扉13の右側はレシートガイド16の一端に設けられている扉当接部16gに当接するので、レシートガイド16は、軸17を中心として矢印方向(右回転)のモーメントを与えられ、図8に示めされる左側の2点鎖線の位置から右側の2点鎖線の位置を経て実線の位置へ右回転する。このとき、引張りコイルばね18には、張力が作用し、引張りコイルばね18の中心線(すなわち、ハウジング2の下部に設けられているフック2cとレシートガイド16の他端に設けられているフック16eとを結ぶ直線)が、軸17の一方側から他方側に移動するので、レシートガイド16は、図7(B)に示される位置まで起立する。この位置で、レシートガイド16の一端付近に設けられている第2被ストッパ16hは、ハウジング2の上部に設けられている第2ストッパ2eに当接し、レシートガイド16は、ハウジング2の所定位置に自動的にセットされる。
【0067】
図9は、本発明の実施例1,2が設置されているプリンタ1の全体構成を示す断面図であり、印字後のレシート21が排出される瞬間の状態を示す。プリンタ1は、プリンタの制御基板8に搭載されている諸機器によって制御され、羽根車4は、羽根車機構の制御基板9に搭載されている諸機器によって制御される。プリンタ1の制御基板8と羽根車機構の制御基板9は接続されている為、プリンタ1の動作に同期させて羽根車4の回転と停止を制御できる。
【0068】
図10は、同プリンタ1の全体構成を示す断面図であり、印字後のレシート21がレシートガイド6により案内された後の状態を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ
2 ハウジング
2a 搬送通路
2b 排出口
2c フック(第2のばね固定部)
2d 第1ストッパ
2e 第2ストッパ
3 回転軸
4 羽根車
4a 羽根
4a1 曲面部
4a2 平面部
5 中間レシートガイド
5a 下面
6 レシートガイド
6a 下面
6b 長い平面部
6c 短い傾斜部
6d 切り欠き部
7 軸
7a ねじりばね取付け部
8 プリンタの制御基板
9 羽根車機構の制御基板
11 筐体側のカバー
12 障害物
13筐体側の扉
16 レシートガイド
16d 手指掛け部
16e フック(第1のばね固定部)
16f 第1被ストッパ
16g 扉当接部
16h 第2被ストッパ
17 軸
18 引張りコイルばね
21 レシート
21a 感熱面
21b 非感熱面
21c レシートの後端
21d ループ状の山部
21e レシートの先端
21f レシートガイドに隠れて見えないレシートの部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシートを搬送するための搬送通路を有するハウジングと、前記搬送通路に対向して配置されるレシートガイドとを備え、
前記レシートガイドは、前記レシートを搬送する方向における前記レシートガイドの下流側の端部が前記搬送通路から遠ざかる方向に移動可能であるように、前記ハウジングに固定された軸に回転可能に取り付けられていることを特徴とするレシートガイド機構。
【請求項2】
前記レシートガイドは、長い平面部と、前記平面部に連続する短い傾斜部とを一体に有していることを特徴とする請求項1に記載のレシートガイド機構。
【請求項3】
前記レシートガイドの先端の中央部には、切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレシートガイド機構。
【請求項4】
前記ハウジングに回転軸が設置され、
前記回転軸に羽根車が固定され、
前記羽根車は、周囲に複数枚の弾性変形可能な羽根を有し、
前記各羽根は、前記羽根車が回転すると、前記ハウジングの内面に形成されている前記搬送通路に漸次接近して、レシートを前記搬送通路に押圧し、摩擦力によって前記レシートを連行し、
前記羽根車が停止すると、前記レシートを前記羽根と前記搬送通路とによって挟持して保持することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレシートガイド機構。
【請求項1】
レシートを搬送するための搬送通路を有するハウジングと、前記搬送通路に対向して配置されるレシートガイドとを備え、
前記レシートガイドは、前記レシートを搬送する方向における前記レシートガイドの下流側の端部が前記搬送通路から遠ざかる方向に移動可能であるように、前記ハウジングに固定された軸に回転可能に取り付けられていることを特徴とするレシートガイド機構。
【請求項2】
前記レシートガイドは、長い平面部と、前記平面部に連続する短い傾斜部とを一体に有していることを特徴とする請求項1に記載のレシートガイド機構。
【請求項3】
前記レシートガイドの先端の中央部には、切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレシートガイド機構。
【請求項4】
前記ハウジングに回転軸が設置され、
前記回転軸に羽根車が固定され、
前記羽根車は、周囲に複数枚の弾性変形可能な羽根を有し、
前記各羽根は、前記羽根車が回転すると、前記ハウジングの内面に形成されている前記搬送通路に漸次接近して、レシートを前記搬送通路に押圧し、摩擦力によって前記レシートを連行し、
前記羽根車が停止すると、前記レシートを前記羽根と前記搬送通路とによって挟持して保持することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレシートガイド機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−53009(P2013−53009A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277650(P2012−277650)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−149779(P2008−149779)の分割
【原出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−149779(P2008−149779)の分割
【原出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
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