レバースイッチのノブ回動ロック構造
【課題】ライトスイッチノブ、固定ノブおよびフォグスイッチノブが隣接配置されたレバースイッチを組み立て容易な構成とする。
【解決手段】ロックピース50を保持するスライダブロック40を1つのノブのスライダブロック収納部に保持し、ノブの回動に応じて軸方向に変位可能とし、ライトスイッチノブが「ヘッドライト」時以外はロックピースを対向するノブのロック穴に係合させてフォグスイッチノブをロックする。スライダブロックのロックピース保持部41の壁にスリット46を設け、ロックピースはスリットをスライドする突起52を備え、スリットは上端を閉じてロックピースの脱落を阻止する。スライダブロックも同様に突起45を備えてスライダブロック収納部の溝をスライドするが、溝の上端を閉じて脱落が阻止される。ロックピース、スライダブロックがノブにサブアセンブリされ、脱落の心配なく組立作業ができる。
【解決手段】ロックピース50を保持するスライダブロック40を1つのノブのスライダブロック収納部に保持し、ノブの回動に応じて軸方向に変位可能とし、ライトスイッチノブが「ヘッドライト」時以外はロックピースを対向するノブのロック穴に係合させてフォグスイッチノブをロックする。スライダブロックのロックピース保持部41の壁にスリット46を設け、ロックピースはスリットをスライドする突起52を備え、スリットは上端を閉じてロックピースの脱落を阻止する。スライダブロックも同様に突起45を備えてスライダブロック収納部の溝をスライドするが、溝の上端を閉じて脱落が阻止される。ロックピース、スライダブロックがノブにサブアセンブリされ、脱落の心配なく組立作業ができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの先端部に2つの回動ノブを備えるレバースイッチのノブ回動ロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には種々のスイッチが設置され、操作性向上のためその多くのスイッチをステアリングコラム部にいわゆるコンビネーションスイッチとして集中させるようにしている。このコンビネーションスイッチは操作レバーが付設されて、その操作により種々のスイッチを作動させるレバースイッチとして構成される。
例えば、ヘッドライト、テールライトのライト種切り換え用ロータリスイッチノブと、フォグライトの点滅用のロータリースイッチノブが同軸上に配置される。
【0003】
ここで、ライト種切り換えロータリスイッチノブ(以下、ライトスイッチノブ)と、フォグライトの点滅用ロータリスイッチノブ(以下、フォグスイッチノブ)とが互いに独立的に操作できるようにした場合、ヘッドライトは点灯させずにフォグライトのみを点灯させたときフォグライトの消し忘れの虞がある。
このため、ヘッドライトのオン条件下のもとでだけフォグライトがオン可能であり、ヘッドライトがオフの状態では、フォグライトはオン操作できないようにしたものが提案されている。
このようなレバースイッチとして、例えば特許第3740316号公報に開示されたものがある。
【0004】
図14は、特許第3740316号公報に開示されたノブ回動ロック構造の要部を示す。
操作レバーの端部近傍において、ライトスイッチノブ140、固定ノブ130、およびリヤフォグライト用のフォグスイッチノブ150が軸方向に隣接して配置される。図中、矢示Zはライトスイッチノブ140およびフォグスイッチノブ150の回動操作方向を示す。
固定ノブ130には、ロックリリースピース161が、ピース収納穴128内に収納されている。ロックリリースピース161はライトスイッチノブ140側にロック面164、ロック面164よりもライトスイッチノブ140側に突き出した非ロック面165、および両面164、165を連結する斜面166を備えている。
【0005】
ロックリリースピース161とピース収納穴128の底部との間にはコイルスプリング167が配置され、ロックリリースピース161をライトスイッチノブ140から延びる突起122に対して常時当接させている。
固定ノブ130はフォグスイッチノブ150側の壁を貫通する挿通孔170を備え、ロックリリースピース161の下面からは突部169が延びて、挿通孔170内をスライド可能となっている。
フォグスイッチノブ150には、ロックピース172が収納穴171に配置されており、コイルスプリング173により、常時固定ノブ130側に付勢されている。ロックピース172は固定ノブ130の挿通孔170内に係入可能となっている。
【0006】
ライトスイッチノブ140が「オフ」に位置し、フォグスイッチノブ150が「フォグオフ」に位置している場合、ヘッドライト、テールライト、リヤフォグライトは消灯している。
この状態では、ライトスイッチノブ140の突起122は、図14の(a)に示すP1位置にあり、ロックリリースピース161は、コイルスプリング167の付勢力によりロック面164が突起122に当接するまでライトスイッチノブ140側へスライドする。これによりロックピース172がコイルスプリング173の付勢力によりロックリリースピース161の突部169に当接した状態で挿通孔170内に係入する。
したがって、フォグスイッチノブ150はロックピース172が挿通孔170と収納穴171の双方に係合してロックされ、回動操作が不能になっている。
【0007】
次に、この状態から、ライトスイッチノブ140を「オフ」から「テールランプ」に回動すると、テールライトが点灯し、図14の(b)に示すように、突起122はP2位置に移動する。この状態においても、ロックピース172はロックされているため、フォグスイッチノブ150の回動操作が不能になっている。
【0008】
次に、ライトスイッチノブ140を「テールランプ」から「ヘッドライト」位置に回動すると、ヘッドライトが点灯し、突起122は、図14の(c)に示すようにP3位置となる。ここでは、突起122がコイルスプリング167、173に抗してロックリリースピース161の非ロック面165を押圧するため、突部169の下面が固定ノブ130とフォグスイッチノブ150の対向面と略面一となる。この結果、ロックピース172が挿通孔170から押し出され、フォグスイッチノブ150の操作が可能となる。
したがって、(d)に示すように、フォグスイッチノブ150を「フォグオフ」のZ1位置から「フォグライト」のZ2位置へ回動することができ、リヤフォグライトが点灯する。
【0009】
このあと、ライトスイッチノブ140を「テールランプ」位置へ戻し、突起122がロック面164に当接するP2位置になっても、図14の(e)に示すように、フォグスイッチノブ150の収納穴171に収納されたロックピース172は、固定ノブ130の対向面に当接しているだけであり、「フォグライト」位置を保持してリヤフォグライトの点灯を維持することができる。
【0010】
以上のように、特許第3740316号公報に開示されたレバースイッチでは、ライトスイッチノブ140を「ヘッドライト」位置にしないと、フォグスイッチノブ150を操作することができず、ヘッドライトを点灯させない限り、リヤフォグライトの点灯が不可能である。これにより、例えばヘッドライト点灯を要しない明るい時間帯でリヤフォグライトのみを単独で点灯させて、後刻消灯忘れを招くようなおそれは解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3740316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記従来のノブ回動ロック構造においては、レバースイッチの組立は以下の順序で行うことになる。
まずフォグスイッチノブ150をレバー上の所定位置に組み付ける。そして、ロックピース172をコイルスプリング173とともにフォグスイッチノブ150の収納穴171に挿入してから、固定ノブ130をフォグスイッチノブ150に重ねて取り付ける。次に、固定ノブ130のピース収納穴128にその底面との間にコイルスプリング167を挟んでロックリリースピース161を嵌めこむ。そしてその後にライトスイッチノブ140を組み付けることになる。
【0013】
しかし、上記固定ノブ130をフォグスイッチノブ150に重ねて取り付けるに際しては、自由長に延びたコイルスプリング173によりロックピース172が収納穴171から脱落し易い。このため、脱落のないように注意しながら行わなければならないにもかかわらず、固定ノブ130の裏面に隠れるこれらロックピース172およびコイルスプリング173がとくに小さい部品であることから、同様にライトスイッチノブ140の裏側に隠れる比較的大サイズのロックリリースピース161とは異なり、確認が困難で時間を要するので、組み付け工数の増大により、高コストとなるという問題がある。
【0014】
上述した従来例はリヤフォグライトの消灯忘れ防止にかかるものであるが、リヤフォグライトだけでなく、フロントやサイドのフォグライト、その他の複数種のライトのスイッチ間にも適用できるものであり、さらにはライト以外の複数装置のスイッチに適用する場合にも、同様の問題が残る。
したがって本発明は、上記従来の問題点に着目し組み立ての容易なレバースイッチのノブ回動ロック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、
レバーの軸方向にそって第1の回動ノブ、固定ノブおよび第2の回動ノブが隣接して配置され、第1の回動ノブは第1のスイッチ位置および第1のスイッチ位置以外の所定のスイッチ位置を有し、第2の回動ノブは第1のスイッチ位置と第2のスイッチ位置とを有し、第1の回動ノブと第2の回動ノブの回動によりそれぞれ対応するスイッチ接点が切り換えられるレバースイッチにおいて、
固定ノブまたは第2の回動ノブの一方には軸方向に変位可能にスライダブロックを保持し、
回動に応じてスライダブロックを軸方向に変位させるカム機構を設け、
スライダブロックには、固定ノブまたは第2の回動ノブの他方に向けて突出方向に付勢されたロックピースが保持され、
固定ノブまたは第2の回動ノブの他方にはスライダブロックから突出するロックピースと係合可能なロック穴を備え、
ロックピースとスライダブロックの間には、ロックピースの抜け止め手段が設けられ、
カム機構は、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときはスライダブロックを固定ノブまたは第2の回動ノブの他方側に変位させ、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときはスライダブロックを固定ノブまたは第2の回動ノブの他方から離間する側に変位させるものであり、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときにロックピースがロック穴に係合し、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときにロックピースがロック穴との係合から解放されるものとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の回動ノブがその所定のスイッチ位置になければ、第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置から回動させようとしてもロックされていてその第2のスイッチ位置にすることができないから、後刻第2の回動ノブの第1のスイッチ位置への戻し忘れを招くようなおそれが解消される。
【0017】
そして、ロックピースはスライダブロックに抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、作業者から目視確認が不可能でも、ロックピースが脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施例の分解斜視図である。
【図3】第1の実施例におけるノブを軸方向から見た図である。
【図4】第1の実施例におけるスライダブロックの外観斜視図である。
【図5】第1の実施例におけるロック/キャンセル機構を示す図である。
【図6】第1の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例の構成を示す縦断面図である。
【図8】第2の実施例の分解斜視図である。
【図9】第2の実施例におけるノブを軸方向から見た図である。
【図10】第2の実施例におけるスライダブロックの外観斜視図である。
【図11】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構を示す図である。
【図12】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図13】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図14】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
以下、本発明を車両のステアリングコラムまわりに設置されるコンビネーションスイッチの操作レバーに適用した第1の実施例について説明する。
図1は第1の実施例の構成を示す縦断面図、図2は分解斜視図である。
操作レバー1は、先端部(外方端)を除く略全長にわたって、外筒を形成する第1レバー2の内側に第2レバー3および第3レバー4を備えた3重構造となっている。
第1レバー2はステアリングコラムに固定される不図示のスイッチケース側部材に支持され、第2レバー3は第1レバー2と一体に形成されている。 操作レバー1は、全体をスイッチケース側の支持点まわりに揺動させることにより、スイッチケース内の可動スイッチ部材を変位させ、ターンシグナル、ヘッドライト照射方向切り換え等のスイッチ操作を行なえるようになっている。
【0020】
第2レバー3は第1レバー2の外方端の先まで延びている。
第3レバー4は第2レバー3を貫通して、スイッチケース側の一端は不図示の可動接点部材と係合し、他端は第2レバー3の外方端の先まで延びている。第3レバー4は第2レバー3に対して回動可能である。
操作レバー1の第3レバー4の先端部には、連結部材5を介して、第1の回動ノブとしてのライトスイッチノブ10が結合され、第2レバー3の先端部には固定ノブ20が固定され、そして第1レバー2の先端部と固定ノブ20の間に、第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ30が第2レバー3上に回動可能に配置されている。
これにより、操作レバー1の先端から順次にライトスイッチノブ10、固定ノブ20、およびフォグスイッチノブ30が隣接して並ぶことになる。
【0021】
ライトスイッチノブ10を回動させると、第2レバー3に対して第3レバー4が回動して、スイッチケース側の不図示の可動接点部材を操作し、テールライトおよびヘッドライトのオン、オフが切り換えられる。
本実施例ではライトスイッチノブ10の回動位置として、「オフ」(ヘッドライトおよびテールライトオフ)、「テール」(テールライトオン)および「ヘッドライト」(ヘッドライトおよびテールライトオン)の3位置が設定される。
【0022】
第1レバー2の先端部近傍には、第2レバー3との間の空間に固定接点盤6が設けられ、これに対向する可動接点7がフォグスイッチノブ30に支持されて回動可能となっている。これらは図2には省略している。
固定接点盤6からの図示しない配線は第1レバー2と第2レバー3間の空間を前述のスイッチケース側の支持点方向へ延びる。これにより、フォグスイッチノブ30の回動に応じてフォグライトのオン、オフが切り換えられる。フォグスイッチノブの回動位置として、「フォグオフ」(フォグライトオフ)および「フォグライト」(フォグライトオン)の2位置が設定されている。
【0023】
第1レバー2の先端はその外周が段差状に切り欠かれて小径部2aとなっている。
とくに図1に示すように、固定ノブ20は、基本形状として、外筒21と、第2レバー3への固定用のハブ部23と、外筒21とハブ部23をつなぐディスク壁部22からなる。外筒21はフォグスイッチノブ30側に小径部21aを備えている。
ライトスイッチノブ10は有底筒状をなし、その開口部分に固定ノブ20の外筒21の内径側に進入する小径部10aを備えるとともに、ライトスイッチノブ10の外周面と固定ノブ20(外筒21)の外周面が滑らかに連続するようになっている。
【0024】
フォグスイッチノブ30は、基本形状が厚肉円盤状で、固定接点盤6近傍まで延びて可動接点7を支持する延長ボス部を備え、第2レバー3上をスライド(回動)可能の中心穴を有している。また外周部の両端に固定ノブ20の小径部21aを囲む張出し部と第1レバー2の小径部2aを囲む張出し部とを備えている。操作しやすいようにフォグスイッチノブ30の外周面は軸方向両側の固定ノブ20および第1レバー2よりわずかに膨出している。
固定ノブ20の軸心はライトスイッチノブ10およびフォグスイッチノブ30の各軸心と一致している。
【0025】
ライトスイッチノブ10、固定ノブ20、およびフォグスイッチノブ30間には、スライダブロック40を用いたフォグスイッチノブ30のロック/キャンセル機構が形成されている。以下、このロック/キャンセル機構について詳細に説明する。
図3の(a)は固定ノブ20をライトスイッチノブ10側から見た図である。
固定ノブ20には、ライトスイッチノブ10から延びるキャンセルレバー12を通す貫通長穴25が固定ノブ20の軸心を中心とする弧状に設けられている。
また、裏面(フォグスイッチノブ30と対向する側)にはロック穴27が設けられている。
【0026】
図3の(b)はフォグスイッチノブ30を固定ノブ20側から見た図である。
フォグスイッチノブ30の周方向の所定長さ範囲にわたっての固定ノブ20側端面に開口するスライダブロック収納部35が形成されている。スライダブロック収納部35は後掲の図5の(b)に示されるように、平坦な底面を有し、底面には後述するスプリング支持突部37が設けられている。スライダブロック収納部35の周方向両端にはスライダブロック収納部35の開口面で閉じた軸方向の溝36、36が形成されている。図3の(b)には一端側のみ断面で溝36を示している。
【0027】
図4はスライダブロック40をロックピース50およびリターンスプリング48、スプリング54とともに示す外観斜視図である。
スライダブロック40は、全体形状が弧状の樹脂製ブロック体で、周方向一端にロックピース50を収納保持するピース保持部41を備え、ピース保持部41に対して周方向に順次隣接してスプリング収納部42(図5参照)およびカム面43を備えている。
カム面43は上面から軸方向に退避して、すなわち下方にオフセットして形成されており、弧の周方向すなわちキャンセルレバー12がカム面43上を移動する方向に沿った両端の壁面44a、44bに挟まれている。
カム面43は、壁面44a(スプリング収納部42側)側の低領域43a、他端の壁面44b側の高領域43c、およびこれらの間をつなぐ傾斜領域43bとからなっている。
【0028】
スライダブロック40の底面は上面と平行で平坦である。ピース保持部41は上面に開口し、スプリング収納部42は底面に開口している。
なお、ここではスライダブロック収納部35に収納されて組み込まれた状態で固定ノブ20に対向する側を上方、反対側を下方として説明する。
【0029】
スライダブロック40の周方向一端(ピース保持部41側)の外面は軸方向に平行な平坦面であるが、下側に傾斜面を備える爪45を有している。スライダブロック40の周方向他端(カム面43側)の外面も同様で、爪45を有している。スライダブロック40をその底面を先にして固定ノブ20側からフォグスイッチノブ30のスライダブロック収納部35に押し込んで組み付けた後は、爪45はスライダブロック収納部35の溝36をスライドするとともに、溝36がスライダブロック収納部35の開口面側で閉じているため、スライダブロック40は抜け止めされる。
なお、スライダブロック40の軸方向高さ(上面と底面間の距離)はスライダブロック収納部35の深さよりも小さく、スライダブロック収納部35の深さ範囲内で所定のスライド量が得られるように設定されている。
【0030】
ピース保持部41は、軸に垂直な断面が矩形である穴として形成されており、内周側および外周側の壁には上下方向に延びるスリット46が形成されている。
ロックピース50は、ピース保持部41の穴に対応する矩形の断面を有してスライド可能にピース保持部41に保持され、スライダブロック40の上面から外方に臨む先端はスライダブロックの周方向に沿う面内において滑らかな弧状をなしており、あるいは球面でもよい。
【0031】
ロックピース50の内周側および外周側の側面には突起52が設けられ、ロックピース50をピース保持部41に押し込んで組み付けた後は、突起52がピース保持部のスリット46をスライドするとともに、突起52のスライド範囲がスリット46の上端で規制されて、ロックピース50の抜け止めとなるように設定されている。
なお、ロックピース50は、上記のとおり矩形の断面で基本外形が直方体であるため、ピース保持部41の穴形状に合わせて押し込めば自動的に突起52がスリット46内に嵌まり込むので、突起52とスリット46の位置合わせが容易である。
ロックピース50とピース保持部41の底壁との間にはスプリング54が設けられ、これによりロックピース50はその先端がスライダブロック40の上面から突出する方向に付勢される。
【0032】
図5の(a)はスライダブロック収納部35にスライダブロック40を収納した状態を固定ノブ20側から見た図、(b)は(a)における周方向に沿ったA−A部断面図である。
スライダブロック40のスプリング収納部42に配置されたリターンスプリング48が、一端をスプリング収納部42の上壁に当接させ、他端をスライダブロック収納部35底面のスプリング支持突部37に位置決めされて、スライダブロック40をスライダブロック収納部35の底面から離間させる方向に付勢している。
スライダブロック40はこの付勢によりその爪45がスライダブロック収納部35の周方向両端の溝36をスライドしてフォグスイッチノブ30の固定ノブ20側端面から突出するが、溝36の上端(スライダブロック収納部35の開口面側)は上述のように閉じているから、フォグスイッチノブ30から脱落することはない。
【0033】
また、ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック40の上面から突出するが、上述のように突起52がピース保持部41のスリット46の端部で抜け止めされて、スライダブロック40から脱落することはない。
したがって、フォグスイッチノブ30については、まずスライダブロック40にロックピース50(およびスプリング54)を組み付けて一次サブアセンブリとし、この一次サブアセンブリをフォグスイッチノブ30に組み付けて二次サブアセンブリとすることができる。
【0034】
固定ノブ20の貫通長穴25は、ライトスイッチノブ10が「オフ」から「テール」を経て「ヘッドライト」位置まで回動する間、キャンセルレバー12が貫通状態で支障なく回動可能なように、その周方向の長さが設定されている。
そして、フォグスイッチノブ30におけるスライダブロック収納部35の位置は、該スライダブロック収納部35に収納されたスライダブロック40のカム面43が固定ノブ20の貫通長穴25の周方向長さに対応して、キャンセルレバー12がライトスイッチノブ10の回動に対応してカム面43の周方向一端から他端までの間(すなわち、壁面44a、44b間)を移動可能となるように設定されている。
【0035】
固定ノブ20のフォグスイッチノブ30との対向面には、フォグスイッチノブ30が「フォグオフ」位置にあるときのロックピース50と対向する位置にロック穴27が設けてあり、フォグスイッチノブ30の端面から突出するロックピース50の先端がロック穴27と係合可能となっている。
【0036】
各レバーへの取り付けは、まず第2レバー3上に回動可能に、スライダブロック40を組み込んで二次サブアセンブリとしたフォグスイッチノブ30を取り付け、次に固定ノブ20を第2レバー3に固定し、それから第2レバー3の先端から突出する第3レバー4に連結部材5とともにライトスイッチノブ10を固定する。
なお、各ノブ間にはライトスイッチノブ10、フォグスイッチノブ30の回動位置ごとに当該位置を保持する公知のクリック機構を設けることができるが、ここでは図示省略している。
【0037】
図6は上述したロック/キャンセル機構の動作過程を示す図である。図6は図5の(b)に相当する断面図であるが、ライトスイッチノブ10の一部と固定ノブ20とが併せて示されている。
ここでは便宜のため、必要に応じて、固定ノブ20のライトスイッチノブ10側を上方、フォグスイッチノブ30側を下方として説明する。
図6の(a)はライトスイッチノブ10とフォグスイッチノブ30がそれぞれ「オフ」、「フォグオフ」位置にある状態を示す。
ライトスイッチノブ10のキャンセルレバー12が、固定ノブ20の貫通長穴25を貫通し、スライダブロック40の壁面44aに接して位置し、カム面の低領域43aを押圧している。スライダブロック40はリターンスプリング48に抗して押下げられ、上面が固定ノブ20の下面と面一またはわずかな間隙をもって実質面一となっている。
【0038】
なお、キャンセルレバー12がカム面の低領域43aを押圧しているが、スライダブロック40の上面が固定ノブ20の下面に規制されて、キャンセルレバー12の先端(下端)とカム面の低領域43aとの間にはわずかな間隙があってもよい。いずれにおいても、スライダブロック40はその下面とスライダブロック収納部35底面との間に所定の間隙を残した高位置にある。したがってここでは、両者を含んで、スライダブロックの高位置状態と呼ぶ。
スライダブロック40の上面から突出したロックピース50の先端は固定ノブ20のロック穴27に進入しており、これにより、フォグスイッチノブ30はロックされて回動することはできない。
【0039】
ライトスイッチノブ10を「テール」位置へ回動すると、図6の(b)に示す状態となる。なお、図中の単線矢示は直前の状態からの回動方向を示す。
ライトスイッチノブ10のキャンセルレバー12は固定ノブ20の貫通長穴25の周方向中間へ移動するが、キャンセルレバー12の先端は依然としてカム面の低領域43aにあって、スライダブロック40は高位置状態を継続している。
したがって、ライトスイッチノブ10が「オフ」位置にあるときと同じく、フォグスイッチノブ30はロックされて、「フォグオフ」から「フォグライト」位置へ回動させることができない。
【0040】
図6の(c)はライトスイッチノブ10を「ヘッドライト」位置に回動した状態を示す。
キャンセルレバー12は固定ノブ20の貫通長穴25を貫通し、カム面の傾斜領域43bを経て高領域43cへ移動して、壁面44bに当接または接近する。キャンセルレバー12による押圧位置がカム面の高領域43cに移動すると、スライダブロック40は、押下げられて、スライダブロック40の上面と固定ノブ20の下面との間に間隙sを形成した低位置状態へ変位する。
ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック40の上面から突出しているが、脱落しないように突起52によりピース保持部41から抜け止め状態にスライダブロック40に保持されている構成のため、ロックピース50はスライダブロックと一体に下方へ変位する。これにより、ロックピース50の先端が固定ノブ20のロック穴27から抜け出て、ロックが解除される。
【0041】
したがって、フォグスイッチノブ30はもはや移動を阻止されないから、「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動可能となる。
なお、スライダブロック40の下方への変位量は、ロックピース50がロック穴27内に進入していた長さ以上であることが望ましいが、それより短くても、ロックピース50の先端の弧状斜面によってフォグスイッチノブ30の回動時に接触するロック穴27の開口縁で滑らかに押下げられる関係にあればよい。
【0042】
このあと「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動する際には、まず、スライダブロック40と一体に下方へ移動したロックピース50は間隙sが形成されている固定ノブ40の下面下に入り込む。フォグスイッチノブ30の回動が進むにつれて、キャンセルレバー12は相対的にカム面の傾斜領域43bを経て低領域43aへ移動する。
この結果、スライダブロック40はリターンスプリング48により上方へ変位するが、スライダブロック40に保持されたロックピース50はすでにロック穴27から外れているので、ロックピース50はスプリング54を圧縮して先端を固定ノブ20の下面に滑らせながら移動する。
【0043】
図6の(d)はライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置にあり、フォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動した状態を示す。
以上のように、ライトスイッチノブ10が先ず「ヘッドライト」位置まで回動されてヘッドライトが点灯すると、フォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動させてフォグライトを点灯させることができる。
なお、立上り壁44はキャンセルレバー12から離間する。
【0044】
図6の(e)は、ヘッドライトとフォグライトとが点灯している状態から、ライトスイッチノブ10を「テール」位置へ回動した状態を示す。
キャンセルレバー12はスライダブロック40の壁面44aに接近した位置に来るが、フォグスイッチノブ30はライトスイッチノブ10の回動に影響を受けず、ロックピース50の位置も(d)と変わらない。
【0045】
図6の(e)の状態から、さらにライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動させると、キャンセルレバー12が壁面44aに当接してスライダブロック40を周方向(図中左方)へ押し、フォグスイッチノブ30を回動させ「フォグオフ」位置まで戻す。
これにより、(a)の状態に復帰する。すなわち、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動させると、連動してフォグスイッチノブ30が「フォグオフ」位置まで戻され、自動的に「フォグライト」が消灯される。
【0046】
なお、ヘッドライトが点灯している図6の(d)の状態、あるいはテールライトが点灯している図6の(e)の状態からフォグスイッチノブ30だけを「フォグオフ」位置へ戻すことは、スライダブロック40の壁面44aがキャンセルレバー12から離間するだけであるから、何らの支障なく可能である。
【0047】
本実施例では、操作レバー1が発明におけるレバーに、ライトスイッチノブ10が第1の回動ノブに、フォグスイッチノブ30が第2の回動ノブにそれぞれ該当する。
また、「オフ」位置が発明における第1の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「ヘッドライト」位置が第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にそれぞれ対応し、「フォグオフ」位置が第2の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「フォグライト」位置が第2の回動ノブの第2のスイッチ位置に対応している。
キャンセルレバー12とカム面43とで発明におけるカム機構を構成し、スライダブロック40の壁面44aをキャンセルレバー12で押す構造が戻し機構を形成している。
ロックピース50の突起52がスライドするロックピース保持部41のスリット46におけるロックピース保持部41の開口側を閉じた構造が発明におけるロックピースの抜け止め手段を形成し、スライダブロック40の突起45がスライドするスライダブロック収納部35の溝36におけるスライダブロック収納部35の開口側を閉じた構造がスライダブロックの抜け止め手段を形成している。
【0048】
本実施の形態は以上のように構成され、
フォグスイッチノブ30には軸方向に変位可能にスライダブロック40を保持し、スライダブロック40に形成されたカム面43とライトスイッチノブ10から固定ノブの貫通穴25を通って先端をカム面43に当接させたキャンセルレバー12とによりライトスイッチノブ10とスライダブロック40の相対回動に応じてスライダブロック40を軸方向に変位させるようにし、
スライダブロック40には、固定ノブ20に向けて突出方向に付勢されたロックピース50が抜け止めされて保持され、
固定ノブ20にはロックピース50と係合可能なロック穴27を備えて、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置以外にあるときはスライダブロック40を固定ノブ20側に変位させてロックピース50がロック穴27に係合し、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置にあるときにスライダブロック40を固定ノブ20から離間する側に変位させてロックピースがロック穴との係合から解放されるものとした。
【0049】
これにより、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置以外にあるときはロックされてフォグスイッチノブ30を回動できず、「フォグライト」位置にすることができないから、フォグライトのみを単独で点灯させて後刻消灯忘れを招くようなおそれが解消される。
【0050】
そして、ロックピース50はスライダブロック40から突出方向に付勢されているが、スライダブロックに抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、固定ノブ20の裏面側になって目視確認が不可能でも、ロックピース50やこれを付勢するスプリングなどの小部品が脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【0051】
また、フォグスイッチノブ30が「フォグライト」位置にある場合、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際に、キャンセルレバー12がスライダブロック40における壁面44aを押すことにより、スライダブロック40を保持するフォグスイッチノブ30を「フォグオフ」位置へ回動させるようにしたので、ライトスイッチノブ10を「ヘッドライト」位置にすることによりロックが解除されてフォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動したあとは、フォグライトを点灯させたことが忘れられていても、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際に自動的にフォグライトも消灯される。
【0052】
そして、ロックピース50の抜け止めについては、スライダブロック40が穴形状のロックピース保持部41を備え、ロックピース保持部41の壁には軸方向のスリット46が設けられ、ロックピース50は側面に突起52を備えて、この突起52がスリット46をスライドするようにロックピース保持部41に組み付けられ、スリット46はロックピース保持部41の開口側が閉じているので、簡単な構成でロックピース50の脱落を禁止する。
【0053】
また、本実施例では、カム面43がスライダブロック40の固定ノブ20に対向する上面から軸方向に退避した底部に形成され、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際にキャンセルレバー12が押す壁面44aは、スライダブロック40における上記固定ノブ20に対向する上面からカム面43が位置する底部を結ぶ壁面としているので、フォグスイッチノブ30を「フォグオフ」位置へ戻すために専用の壁面を別途設ける必要がなく、簡単な構造で実現できる。
【0054】
さらに、スライダブロック40は、フォグスイッチノブ30に形成されたスライダブロック収納部35に収納され、スライダブロック収納部35の側壁には軸方向の溝36が設けられ、スライダブロック40は側面に突起45を備えて、該突起45が溝36をスライドするようにスライダブロック収納部35に組み付けられ、溝36におけるスライダブロック収納部35の開口側が閉じて、スライダブロック40の抜け止めとなっているので、レバーへのノブ組み付けに際してスライダブロック40の脱落も心配することなく作業ができる。
【実施例2】
【0055】
つぎに、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例も車両のステアリングコラムまわりに設置されるコンビネーションスイッチの操作レバーに適用したものである。
図7は第2の実施例の構成を示す縦断面図、図8は分解斜視図である。
操作レバー1’では、第1の実施例と同様に、第2レバー3が第1レバー2の外方端の先まで延びている。
第3レバー4は第2レバー3を貫通して、スイッチケース側の一端は不図示の可動接点部材と係合し、他端は第2レバー3の外方端の先まで延びている。第3レバー4は第2レバー3に対して回動可能である。
【0056】
操作レバー1’の第3レバー4の先端部には、連結部材5’を介して、第1の回動ノブとしてのライトスイッチノブ60が結合され、第2レバー3の先端部には固定ノブ70が固定され、そして第1レバー2の先端部と固定ノブ70の間に、第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ80が第2レバー3上に回動可能に配置されている。
これにより、操作レバー1’の先端から順次にライトスイッチノブ60、固定ノブ70、およびフォグスイッチノブ80が隣接して並ぶことになる。
【0057】
ライトスイッチノブ60を回動させると、第2レバー3に対して第3レバー4が回動して、スイッチケース側の不図示の可動接点部材を操作し、テールライトおよびヘッドライトのオン、オフが切り換えられる。本実施の形態ではライトスイッチノブ60の回動位置として、「オフ」(ヘッドライトおよびテールライトオフ)、「テール」(テールライトオン)および「ヘッドライト」(ヘッドライトおよびテールライトオン)の3位置が設定される。
【0058】
第1レバー2の先端部近傍には、第2レバー3との間の空間に固定接点盤6が設けられ、これに対向する可動接点7がフォグスイッチノブ80に支持されて回動可能となっている。これらは図8には省略している。
固定接点盤6からの図示しない配線は第1レバー2と第2レバー3間の空間を前述のスイッチケース側の支持点方向へ延びる。これにより、フォグスイッチノブ80の回動に応じてフォグライトのオン、オフが切り換えられる。フォグスイッチノブ80の回動位置として、「フォグオフ」(フォグライトオフ)および「フォグライト」(フォグライトオン)の2位置が設定されている。
【0059】
第1レバー2の先端はその外周が段差状に切り欠かれて小径部2aとなっている。
とくに図7に示すように、固定ノブ70は基本形状が厚肉円盤状で、外周にはライトスイッチノブ60側に張出し部71a、フォグスイッチノブ80側に小径部71bを備えている。
ライトスイッチノブ60は有底筒状をなし、その開口部分に固定ノブ70の張出し部71aの内径側に進入する小径部60aを備えるとともに、ライトスイッチノブ60の外周面と固定ノブ70の外周面が滑らかに連続するようになっている。
【0060】
フォグスイッチノブ80は、基本形状として、外筒81と、第2レバー3への固定用のハブ部83と、外筒81とハブ部83をつなぐディスク壁部82からなり、第2レバー3上を回動可能の中心穴を有している。ハブ部83は固定接点盤6近傍まで延びて可動接点7を支持する。
ディスク壁部82の固定ノブ70側端面には、中心穴と同心の扇形凹部86が形成され、中心側は中心穴に開口している。
また外筒81の両端は、固定ノブ70の小径部71bと第1レバー2の小径部2aに被さって囲み、これによりフォグスイッチノブ80の外周面は軸方向両側の固定ノブ70および第1レバー2よりわずかに膨出している。
固定ノブ70の軸心はライトスイッチノブ60およびフォグスイッチノブ80の各軸心と一致している。
【0061】
ライトスイッチノブ60、固定ノブ70、およびフォグスイッチノブ80間には、スライダブロック90を用いたフォグスイッチノブ80のロック/キャンセル機構が形成されている。以下、このロック/キャンセル機構について詳細に説明する。
図9の(a)は、ライトスイッチノブ60の開口端を固定ノブ70側から見た図、(b)は(a)におけるB矢視図である。
ライトスイッチノブ60の開口端には、後述するスライダブロック90のカムフォロワ93に対応させたリリースカム65が形成されている。とくに図9の(b)に示すように、リリースカム65はライトスイッチノブ60の端面tから軸方向に固定ノブ70側へ突出して形成された高領域65cを含み、高領域65cに隣接する端面tの一部を低領域65aとし、高領域65cと低領域65aの間が傾斜領域65bとなっている。
【0062】
図9の(c)は、固定ノブ70をライトスイッチノブ60側から見た図である。
固定ノブ70には、その周方向の所定長さ範囲にわたってライトスイッチノブ60側端面に開口する弧状のスライダブロック収納部75が形成されている。
スライダブロック収納部75は、平坦な底面を有し、底面には後述するスプリング支持突部77が設けられている。周方向両端の側壁にはスライダブロック収納部の開口面側で閉じた軸方向の溝76、76が形成されている。図9の(c)には一端側のみ断面で溝76を示している。
スライダブロック収納部75の底面には、後述のスライダブロック90のピース保持部91の開口まわりを受入可能な窓79が設けられている。
【0063】
図9の(d)はフォグスイッチノブ80を固定ノブ70側から見た図である。
フォグスイッチノブ80のディスク壁部82の固定ノブ70側端面には、フォグスイッチノブ80が「フォグオフ」位置にあるときの後述するロックピース50と対向する位置にロック穴85が設けてある。
同じくディスク壁部82には前述のとおり中心穴と同心の扇形凹部86が形成されている。そして、第3レバー4にはリリースピン15が径方向に延びて扇形凹部86内に臨むように結合されている。
【0064】
ライトスイッチノブ60と一体に第3レバー4が回動すると、リリースピン15が扇形凹部86内で、当該扇形凹部86を区画する周方向両端の端壁87、88間を移動する。
第2レバー3には、リリースピン15の移動を可能にする開口が設けられている。
なお、リリースピン15は、第2レバー3上にフォグスイッチノブ80を組み込んだ後、第3レバー4に結合する組み付け順序となるが、必要に応じてフォグスイッチノブ80の外周面から第3レバー4のリリースピン結合孔に向けてリリースピン15を挿入できるように、フォグスイッチノブ80の外周面から扇形凹部86へ貫通する作業孔を設けることができる。
【0065】
図10はスライダブロック90をロックピース50およびリターンスプリング98、スプリング54とともに示す外観斜視図である。
なお、ここではスライダブロック90がスライダブロック収納部75に収納されて組み込まれた状態でライトスイッチノブ60に対向する側を上方、反対側を下方として説明する。
スライダブロック90は、全体形状が弧状の樹脂製で、周方向一端側にロックピース50を収納保持するピース保持部91を備え、ピース保持部91に対して周方向に離間させてスプリング収納部92およびカムフォロワ93を備えている。
【0066】
スライダブロック90の上面は平坦である。ピース保持部91とスプリング収納部92はいずれも下方に開口しているが、ピース保持部91が開口する底面90aはスプリング収納部92が開口する底面90bよりも低い。すなわち、上面と底面間の距離はピース保持部91側の方が、固定ノブ70におけるスライダブロック収納部75の底壁78の板厚分よりも大きく設定されている。
ピース保持部91が開口する底面90aおよびスプリング収納部92が開口する底面90bはそれぞれ上面と平行かつ平坦である。
カムフォロワ93は、スプリング収納部92近傍において上面に形成され、先端は球面をなしている。
【0067】
スライダブロック90の周方向一端(ピース保持部91側)の外面は軸方向に平行な平坦面であるが、下側に傾斜面を備える爪95を有している。スライダブロック90の周方向他端(スプリング収納部92側)の外面も同様で、爪95を有している。スライダブロック90をその底面を先にして固定ノブ70のスライダブロック収納部75に押し込んで組み付けた後は、爪95はスライダブロック収納部75の溝76をスライドするとともに、溝76がスライダブロック収納部75の開口面側で閉じているため、スライダブロック90は抜け止めされる。
【0068】
ピース保持部91は、前実施例のピース保持部41と同じく、軸に垂直な断面が矩形である穴として形成されており、内周側および外周側の壁には上下方向に延びるスリット96が形成されている。
ロックピース50は、前実施例におけるものと同じで、スライド可能にピース保持部91に保持される。ロックピース50とピース保持部91の上壁との間にはスプリング54が設けられ、これによりロックピース50はその先端がスライダブロック90の底面から突出する方向に付勢される。
ロックピース50をピース保持部91に押し込んで組み付けた後は、突起52がピース保持部のスリット96をスライドするとともに、突起52のスライド範囲がスリット96の下端で規制されて、ロックピース50の抜け止めとなるように設定されている。
【0069】
図11の(a)はスライダブロック収納部75にスライダブロック90を収納した状態の固定ノブ70をライトスイッチノブ60側から見た図、(b)は(a)における周方向に沿ったC−C部断面図である。
スライダブロック90のスプリング収納部92に配置されたリターンスプリング98が、一端をスプリング収納部92の上壁に当接させ、他端をスライダブロック収納部75底面のスプリング支持突部77に位置決めされて、スライダブロック90をスライダブロック収納部75の底面から離間させる方向に付勢している。
スライダブロック90はこの付勢によりその爪95がスライダブロック収納部75の周方向両端の溝76をスライドして固定ノブ70のライトスイッチノブ60側端面から突出するが、溝76の上端(スライダブロック収納部75の開口面側)は上述のように閉じているから、固定ノブ70から脱落することはない。
【0070】
また、ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック90の底面90aから突出するが、上述のように突起52がピース保持部91のスリット96の端部で抜け止めされて、スライダブロック90から脱落することはない。
したがって、固定ノブ70については、まずスライダブロック90にロックピース50(およびスプリング54)を組み付けて一次サブアセンブリとし、この一次サブアセンブリを固定ノブ70に組み付けて二次サブアセンブリとすることができる。
【0071】
各レバーへの取り付けは、まず第2レバー3上に回動可能にフォグスイッチノブ80を取り付け、リリースピン15を第3レバー4に取付け、次にスライダブロック90を組み込んで二次サブアセンブリとした固定ノブ70を第2レバー3に固定し、それから第2レバー3の先端から突出する第3レバー4に連結部材5’とともにライトスイッチノブ60を固定する。
各ノブ間にはライトスイッチノブ60、フォグスイッチノブ80の回動位置ごとに当該位置を保持する公知のクリック機構を設けることができる。
【0072】
図12、図13は上述したロック/キャンセル機構の動作過程を示す図である。図12は図11の(b)に相当する断面図であるが、ライトスイッチノブ60とフォグスイッチノブ80の各一部が併せて示されている。ここでは便宜のため、必要に応じて、固定ノブ70のライトスイッチノブ60側を上方、フォグスイッチノブ80側を下方として説明する。
また、図13はフォグスイッチノブ80の扇形凹部86とリリースピン15の相対関係を示す。
【0073】
まず、ライトスイッチノブ60とフォグスイッチノブ80がそれぞれ「オフ」、「フォグオフ」位置にある状態を、図12、図13の各(a)に示す。
図12の(a)のように、ライトスイッチノブ60のリリースカム65の高領域65cが、スライダブロック90のカムフォロワ93に対向してこれを押圧し、スライダブロック90はスライダブロック収納部75内でリターンスプリング98に抗して押下げられる。
これにより、ピース保持部91が開口する底面90aが固定ノブ70の窓79に入ってフォグスイッチノブ80の端面(すなわちディスク壁部82の固定ノブ70に対向する面)と面一またはわずかな間隙をもって実質面一となった低位置状態となっている。
【0074】
そしてスライダブロック90の底面90aから突出したロックピース50の先端はフォグスイッチノブ80のロック穴85に進入しており、これにより、フォグスイッチノブ80はロックされて回動することはできない。
一方、図13の(a)のように、第3レバー4を介してライトスイッチノブ60と一体回動するリリースピン15は、フォグスイッチノブ80の扇形凹部86の端壁87に接触状態で沿う位置にある。
【0075】
ライトスイッチノブ60を「テール」位置へ回動すると、図12、図13の各(b)に示す状態となる。なお、図中の単線矢示は直前の状態からの回動方向を示す。
ライトスイッチノブ60のリリースカム65が移動するが、依然として高領域65cがカムフォロワ93に対向しており、スライダブロック90は低位置状態を継続している。
したがって、ライトスイッチノブ10が「オフ」位置にあるときと同じく、フォグスイッチノブ30はロックされて、「フォグオフ」から「フォグライト」位置へ回動させることができない。
このとき、リリースピン15は扇形凹部86の端壁87、88間の略中間位置に移動している。
【0076】
つぎに、図12、図13の各(c)は、ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置に回動した状態を示す。
ライトスイッチノブ60と一体回動するリリースピン15は、扇形凹部86の端壁88近傍まで移動する。
一方、とくに図12の(c)のように、リリースカム65はその傾斜領域65bを経て低領域65aがカムフォロワ93に対向する位置へ移動する。
リターンスプリング98に付勢されているスライダブロック90は、低領域65aと高領域65cの高さの差分だけ上方へ移動し、スライダブロック90の底面90aとフォグスイッチノブ80の上面との間に間隙sを形成した高位置状態へ変位する。
ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック90の底面90aから突出しているが、脱落しないように突起52によりピース保持部91から抜け止め状態にスライダブロック90に保持されている構成のため、ロックピース50はスライダブロック90と一体に上方へ変位する。これにより、ロックピース50の先端がフォグスイッチノブ80のロック穴85から抜け出て、ロックが解除される。
【0077】
したがって、フォグスイッチノブ80はもはや移動を阻止されないから、「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動可能となる。
なお、スライダブロック90の上方への変位量は、ロックピース50がロック穴85内に進入していた長さ以上であることが望ましいが、それより短くても、ロックピース50の先端の弧状斜面によってフォグスイッチノブ80の回動時に接触するロック穴85の開口縁で滑らかに押上げられる関係にあればよい。
【0078】
ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置にして、フォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動すると、図12、図13の各(d)に示す状態となる。
この間、第3レバー4と連結部材5’とを介してライトスイッチノブ60に連結されたリリースピン15は移動しないが、フォグスイッチノブ80の回動により扇形凹部86が移動して相対的に扇形凹部86の端壁87、88間の中間位置となるだけで、フォグスイッチノブ80の回動に影響を与えない。 以上のように、ライトスイッチノブ60が先ず「ヘッドライト」位置まで回動されてヘッドライトが点灯すると、フォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動させてフォグライトを点灯させることができる。
【0079】
つぎに、ヘッドライトとフォグライトとが点灯している状態から、ライトスイッチノブ60を「テール」位置へ回動すると、図12、図13の各(e)に示す状態となる。
リリースカム65が移動してその高領域65cがカムフォロワ93に対向する位置に来る。スライダブロック90は、押下げられて低位置状態へ変位する。
この際、スライダブロック90の底面90aから下方に突出していたロックピース50は、フォグスイッチノブ80の上面に当接してスプリング54を圧縮しながらピース保持部91内に押し込まれる。
一方、リリースピン15はライトスイッチノブ60の回動とともに、扇形凹部86内の中間位置から端壁87に当接または近傍位置へ移動する。
したがって、フォグスイッチノブ80はライトスイッチノブ60の回動に影響を受けず、フォグライトの点灯状態が継続する。
【0080】
この状態から、さらにライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動させると、
扇形凹部86の端壁87に対し当接または近傍位置にあったリリースピン15が、ライトスイッチノブ60の回動に伴って端壁87を押し、フォグスイッチノブ80を回動させ「フォグオフ」位置まで戻す。
これにより、図12、図13の各(a)に示した状態に復帰する。すなわち、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動させると、連動してフォグスイッチノブ80が「フォグオフ」位置まで戻され、自動的に「フォグライト」が消灯される。
【0081】
なお、ヘッドライトが点灯している図12、図13の各(d)の状態、およびテールライトが点灯している各(e)の状態からフォグスイッチノブ80だけを「フォグオフ」位置へ戻すことは、フォグスイッチノブ80の端壁88がリリースピン15から離間しているため、何らの支障なく可能である。
【0082】
本実施の形態では、操作レバー1’が発明におけるレバーに該当し、とくに第2レバー3が第1のレバーに相当し、第3レバー4が第2のレバーに相当している。そして、ライトスイッチノブ60が第1の回動ノブに、フォグスイッチノブ80が第2の回動ノブにそれぞれ該当する。 また、「オフ」位置が発明における第1の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「ヘッドライト」位置が第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にそれぞれ対応し、「フォグオフ」位置が第2の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「フォグライト」位置が第2の回動ノブの第2のスイッチ位置に対応している。
リリースカム65がカム面に該当し、リリースカム65とカムフォロワ93とで発明におけるカム機構を形成し、フォグスイッチノブ80における扇形凹部86の壁面87をリリースピン15で押す構造が戻し機構を形成している。 ロックピース50の突起52がスライドするロックピース保持部91のスリット96におけるロックピース保持部91の開口側を閉じた構造が発明におけるロックピースの抜け止め手段を形成し、スライダブロック90の突起95がスライドするスライダブロック収納部75の溝76におけるスライダブロック収納部75の開口側を閉じた構造がスライダブロックの抜け止め手段を形成している。
【0083】
第2の実施例は以上のように構成され、
固定ノブ70に軸方向に変位可能にスライダブロック90を保持し、
ライトスイッチノブ60に形成したリリースカム65とスライダブロック90に設けたカムフォロワ93とで、ライトスイッチノブ60とスライダブロック90の相対回動に応じてスライダブロック90を軸方向に変位させるようにし、
スライダブロック90には、フォグスイッチノブ80に向けて突出方向に付勢されたロックピース50が抜け止めされて保持され、
フォグスイッチノブ80にはスライダブロック90から突出するロックピース50と係合可能なロック穴85を備えて、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置以外にあるときはスライダブロック90をフォグスイッチノブ80側に変位させてロックピース50がロック穴85に係合し、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置にあるときはスライダブロック90をフォグスイッチノブ80から離間する側に変位させて、ロックピース50がロック穴85との係合から解放されるものとした。
【0084】
これにより、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置以外にあるときはロックされてフォグスイッチノブ80を回動できず、「フォグライト」位置にすることができないから、フォグライトのみを単独で点灯させて後刻消灯忘れを招くようなおそれが解消される。
【0085】
そして、ロックピース50はスライダブロック90から突出方向に付勢されているが、スライダブロック90に抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、固定ノブ70の裏面側になって目視確認が不可能でも、ロックピース50やこれを付勢するスプリングなどの小部品が脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【0086】
また、フォグスイッチノブ80が「フォグライト」位置にある場合、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際に、リリースピン15がフォグスイッチノブ80の壁面87を押すことにより、フォグスイッチノブ80を「フォグオフ」位置へ回動させるようにしたので、ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置にすることによりロックが解除されてフォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動したあとは、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際に、フォグスイッチノブ80も「フォグオフ」位置へ強制的に回動されるので、フォグライトを点灯させたことが忘れられていても、自動的にフォグライトも消灯される。
【0087】
そして、ロックピース50の抜け止めについては、スライダブロック90が穴形状のロックピース保持部91を備え、ロックピース保持部91の壁には軸方向のスリット96が設けられ、ロックピース50は側面に突起52を備えて、この突起52がスリット96をスライドするようにロックピース保持部91に組み付けられ、スリット96はロックピース保持部91の開口側が閉じているので、簡単な構成でロックピース50の脱落を禁止する。
【0088】
また、本実施例では、フォグスイッチノブ80における固定ノブ70に対向する面に扇形凹部86を形成し、この扇形凹部86を画成する回動方向の壁面87を、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際にリリースピン15が押す壁面としているので、簡単な構造でフォグスイッチノブ80の「フォグオフ」位置への強制回動を実現できる。
なお、扇形凹部86はフォグスイッチノブ80における固定ノブ70に対向する面に限定されず、固定ノブ70とは反対側の面に形成してもよく、この場合にはハブ部83を一部切り欠くことによりリリースピン15を第3レバー4から当該扇形凹部内へ延ばすことができる。
【0089】
また、第2の実施例ではリリースカム65をライトスイッチノブ60に形成し、カムフォロワ93をスライダブロック90に設けたが、これとは反対に、リリースカム65をスライダブロック90に形成し、カムフォロワ93をライトスイッチノブ60に設けてもよい。
さらに、スライダブロック90は、固定ノブ70に形成されたスライダブロック収納部75に収納され、スライダブロック収納部75の側壁には軸方向の溝76が設けられ、スライダブロック90は側面に突起95を備えて、該突起95が溝76をスライドするようにスライダブロック収納部75に組み付けられ、溝76におけるスライダブロック収納部75の開口側が閉じて、スライダブロック90の抜け止めとなっているので、レバーへのノブ組み付けに際してスライダブロック90の脱落も心配することなく作業ができる。
【0090】
なお、各実施例におけるロックピース50は、図示では基本外形を直方体としひとつの断面において先端を弧状としたが、これに限定されず、外形を円柱状として先端を球面等にすることもできる。
また、各実施例では、ライトスイッチノブ10、60を連結部材5、5’を介して第3レバー4に結合するものとしているが、ライトスイッチノブ10、60は直接第3レバー4に結合するようにしてもよい。
【0091】
さらに、各実施例は車両用の操作レバーに適用し、第1の回動ノブとしてライトスイッチノブ10、60を所定のスイッチ位置として「オフ」から2つ目の「ヘッドライト」位置まで回動させたとき初めて第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ30、80を回動可能にするものとしたが、第2の回動ノブを回動可能とする第1の回動ノブのスイッチ位置は2つ目に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は車両用の操作レバーをはじめ、他の種々のスイッチレバーに適用することができ、その組立作業が容易である点で有用である。
【符号の説明】
【0093】
1、1’ 操作レバー(レバー)
2 第1レバー
3 第2レバー(第1のレバー)
4 第3レバー(第2のレバー)
5、5’ 連結部材
10、60 ライトスイッチノブ(第1の回動ノブ) 12 キャンセルレバー
15 リリースピン
20、70 固定ノブ 21 外筒
22 ディスク壁部
23 ハブ部
25 貫通長穴
27、85 ロック穴
30、80 フォグスイッチノブ(第2の回動ノブ) 35、75 スライダブロック収納部
36、76 溝
40、90 スライダブロック
41、91 ピース保持部
42、92 スプリング収納部
43 カム面
43a 低領域
43b 傾斜領域
43c 高領域
44a、44b 壁面
45、95 爪
46、96 スリット
48、98 リターンスプリング
50 ロックピース
54 スプリング
52 突起
65 リリースカム(カム面)
65a 低領域
65b 傾斜領域
65c 高領域
78 底壁
79 窓
81 外筒
82 ディスク壁部
83 ハブ部
86 扇形凹部
87、88 端壁
93 カムフォロワ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの先端部に2つの回動ノブを備えるレバースイッチのノブ回動ロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には種々のスイッチが設置され、操作性向上のためその多くのスイッチをステアリングコラム部にいわゆるコンビネーションスイッチとして集中させるようにしている。このコンビネーションスイッチは操作レバーが付設されて、その操作により種々のスイッチを作動させるレバースイッチとして構成される。
例えば、ヘッドライト、テールライトのライト種切り換え用ロータリスイッチノブと、フォグライトの点滅用のロータリースイッチノブが同軸上に配置される。
【0003】
ここで、ライト種切り換えロータリスイッチノブ(以下、ライトスイッチノブ)と、フォグライトの点滅用ロータリスイッチノブ(以下、フォグスイッチノブ)とが互いに独立的に操作できるようにした場合、ヘッドライトは点灯させずにフォグライトのみを点灯させたときフォグライトの消し忘れの虞がある。
このため、ヘッドライトのオン条件下のもとでだけフォグライトがオン可能であり、ヘッドライトがオフの状態では、フォグライトはオン操作できないようにしたものが提案されている。
このようなレバースイッチとして、例えば特許第3740316号公報に開示されたものがある。
【0004】
図14は、特許第3740316号公報に開示されたノブ回動ロック構造の要部を示す。
操作レバーの端部近傍において、ライトスイッチノブ140、固定ノブ130、およびリヤフォグライト用のフォグスイッチノブ150が軸方向に隣接して配置される。図中、矢示Zはライトスイッチノブ140およびフォグスイッチノブ150の回動操作方向を示す。
固定ノブ130には、ロックリリースピース161が、ピース収納穴128内に収納されている。ロックリリースピース161はライトスイッチノブ140側にロック面164、ロック面164よりもライトスイッチノブ140側に突き出した非ロック面165、および両面164、165を連結する斜面166を備えている。
【0005】
ロックリリースピース161とピース収納穴128の底部との間にはコイルスプリング167が配置され、ロックリリースピース161をライトスイッチノブ140から延びる突起122に対して常時当接させている。
固定ノブ130はフォグスイッチノブ150側の壁を貫通する挿通孔170を備え、ロックリリースピース161の下面からは突部169が延びて、挿通孔170内をスライド可能となっている。
フォグスイッチノブ150には、ロックピース172が収納穴171に配置されており、コイルスプリング173により、常時固定ノブ130側に付勢されている。ロックピース172は固定ノブ130の挿通孔170内に係入可能となっている。
【0006】
ライトスイッチノブ140が「オフ」に位置し、フォグスイッチノブ150が「フォグオフ」に位置している場合、ヘッドライト、テールライト、リヤフォグライトは消灯している。
この状態では、ライトスイッチノブ140の突起122は、図14の(a)に示すP1位置にあり、ロックリリースピース161は、コイルスプリング167の付勢力によりロック面164が突起122に当接するまでライトスイッチノブ140側へスライドする。これによりロックピース172がコイルスプリング173の付勢力によりロックリリースピース161の突部169に当接した状態で挿通孔170内に係入する。
したがって、フォグスイッチノブ150はロックピース172が挿通孔170と収納穴171の双方に係合してロックされ、回動操作が不能になっている。
【0007】
次に、この状態から、ライトスイッチノブ140を「オフ」から「テールランプ」に回動すると、テールライトが点灯し、図14の(b)に示すように、突起122はP2位置に移動する。この状態においても、ロックピース172はロックされているため、フォグスイッチノブ150の回動操作が不能になっている。
【0008】
次に、ライトスイッチノブ140を「テールランプ」から「ヘッドライト」位置に回動すると、ヘッドライトが点灯し、突起122は、図14の(c)に示すようにP3位置となる。ここでは、突起122がコイルスプリング167、173に抗してロックリリースピース161の非ロック面165を押圧するため、突部169の下面が固定ノブ130とフォグスイッチノブ150の対向面と略面一となる。この結果、ロックピース172が挿通孔170から押し出され、フォグスイッチノブ150の操作が可能となる。
したがって、(d)に示すように、フォグスイッチノブ150を「フォグオフ」のZ1位置から「フォグライト」のZ2位置へ回動することができ、リヤフォグライトが点灯する。
【0009】
このあと、ライトスイッチノブ140を「テールランプ」位置へ戻し、突起122がロック面164に当接するP2位置になっても、図14の(e)に示すように、フォグスイッチノブ150の収納穴171に収納されたロックピース172は、固定ノブ130の対向面に当接しているだけであり、「フォグライト」位置を保持してリヤフォグライトの点灯を維持することができる。
【0010】
以上のように、特許第3740316号公報に開示されたレバースイッチでは、ライトスイッチノブ140を「ヘッドライト」位置にしないと、フォグスイッチノブ150を操作することができず、ヘッドライトを点灯させない限り、リヤフォグライトの点灯が不可能である。これにより、例えばヘッドライト点灯を要しない明るい時間帯でリヤフォグライトのみを単独で点灯させて、後刻消灯忘れを招くようなおそれは解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3740316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記従来のノブ回動ロック構造においては、レバースイッチの組立は以下の順序で行うことになる。
まずフォグスイッチノブ150をレバー上の所定位置に組み付ける。そして、ロックピース172をコイルスプリング173とともにフォグスイッチノブ150の収納穴171に挿入してから、固定ノブ130をフォグスイッチノブ150に重ねて取り付ける。次に、固定ノブ130のピース収納穴128にその底面との間にコイルスプリング167を挟んでロックリリースピース161を嵌めこむ。そしてその後にライトスイッチノブ140を組み付けることになる。
【0013】
しかし、上記固定ノブ130をフォグスイッチノブ150に重ねて取り付けるに際しては、自由長に延びたコイルスプリング173によりロックピース172が収納穴171から脱落し易い。このため、脱落のないように注意しながら行わなければならないにもかかわらず、固定ノブ130の裏面に隠れるこれらロックピース172およびコイルスプリング173がとくに小さい部品であることから、同様にライトスイッチノブ140の裏側に隠れる比較的大サイズのロックリリースピース161とは異なり、確認が困難で時間を要するので、組み付け工数の増大により、高コストとなるという問題がある。
【0014】
上述した従来例はリヤフォグライトの消灯忘れ防止にかかるものであるが、リヤフォグライトだけでなく、フロントやサイドのフォグライト、その他の複数種のライトのスイッチ間にも適用できるものであり、さらにはライト以外の複数装置のスイッチに適用する場合にも、同様の問題が残る。
したがって本発明は、上記従来の問題点に着目し組み立ての容易なレバースイッチのノブ回動ロック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、
レバーの軸方向にそって第1の回動ノブ、固定ノブおよび第2の回動ノブが隣接して配置され、第1の回動ノブは第1のスイッチ位置および第1のスイッチ位置以外の所定のスイッチ位置を有し、第2の回動ノブは第1のスイッチ位置と第2のスイッチ位置とを有し、第1の回動ノブと第2の回動ノブの回動によりそれぞれ対応するスイッチ接点が切り換えられるレバースイッチにおいて、
固定ノブまたは第2の回動ノブの一方には軸方向に変位可能にスライダブロックを保持し、
回動に応じてスライダブロックを軸方向に変位させるカム機構を設け、
スライダブロックには、固定ノブまたは第2の回動ノブの他方に向けて突出方向に付勢されたロックピースが保持され、
固定ノブまたは第2の回動ノブの他方にはスライダブロックから突出するロックピースと係合可能なロック穴を備え、
ロックピースとスライダブロックの間には、ロックピースの抜け止め手段が設けられ、
カム機構は、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときはスライダブロックを固定ノブまたは第2の回動ノブの他方側に変位させ、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときはスライダブロックを固定ノブまたは第2の回動ノブの他方から離間する側に変位させるものであり、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときにロックピースがロック穴に係合し、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときにロックピースがロック穴との係合から解放されるものとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の回動ノブがその所定のスイッチ位置になければ、第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置から回動させようとしてもロックされていてその第2のスイッチ位置にすることができないから、後刻第2の回動ノブの第1のスイッチ位置への戻し忘れを招くようなおそれが解消される。
【0017】
そして、ロックピースはスライダブロックに抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、作業者から目視確認が不可能でも、ロックピースが脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施例の分解斜視図である。
【図3】第1の実施例におけるノブを軸方向から見た図である。
【図4】第1の実施例におけるスライダブロックの外観斜視図である。
【図5】第1の実施例におけるロック/キャンセル機構を示す図である。
【図6】第1の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例の構成を示す縦断面図である。
【図8】第2の実施例の分解斜視図である。
【図9】第2の実施例におけるノブを軸方向から見た図である。
【図10】第2の実施例におけるスライダブロックの外観斜視図である。
【図11】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構を示す図である。
【図12】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図13】第2の実施例におけるロック/キャンセル機構の作用を示す説明図である。
【図14】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
以下、本発明を車両のステアリングコラムまわりに設置されるコンビネーションスイッチの操作レバーに適用した第1の実施例について説明する。
図1は第1の実施例の構成を示す縦断面図、図2は分解斜視図である。
操作レバー1は、先端部(外方端)を除く略全長にわたって、外筒を形成する第1レバー2の内側に第2レバー3および第3レバー4を備えた3重構造となっている。
第1レバー2はステアリングコラムに固定される不図示のスイッチケース側部材に支持され、第2レバー3は第1レバー2と一体に形成されている。 操作レバー1は、全体をスイッチケース側の支持点まわりに揺動させることにより、スイッチケース内の可動スイッチ部材を変位させ、ターンシグナル、ヘッドライト照射方向切り換え等のスイッチ操作を行なえるようになっている。
【0020】
第2レバー3は第1レバー2の外方端の先まで延びている。
第3レバー4は第2レバー3を貫通して、スイッチケース側の一端は不図示の可動接点部材と係合し、他端は第2レバー3の外方端の先まで延びている。第3レバー4は第2レバー3に対して回動可能である。
操作レバー1の第3レバー4の先端部には、連結部材5を介して、第1の回動ノブとしてのライトスイッチノブ10が結合され、第2レバー3の先端部には固定ノブ20が固定され、そして第1レバー2の先端部と固定ノブ20の間に、第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ30が第2レバー3上に回動可能に配置されている。
これにより、操作レバー1の先端から順次にライトスイッチノブ10、固定ノブ20、およびフォグスイッチノブ30が隣接して並ぶことになる。
【0021】
ライトスイッチノブ10を回動させると、第2レバー3に対して第3レバー4が回動して、スイッチケース側の不図示の可動接点部材を操作し、テールライトおよびヘッドライトのオン、オフが切り換えられる。
本実施例ではライトスイッチノブ10の回動位置として、「オフ」(ヘッドライトおよびテールライトオフ)、「テール」(テールライトオン)および「ヘッドライト」(ヘッドライトおよびテールライトオン)の3位置が設定される。
【0022】
第1レバー2の先端部近傍には、第2レバー3との間の空間に固定接点盤6が設けられ、これに対向する可動接点7がフォグスイッチノブ30に支持されて回動可能となっている。これらは図2には省略している。
固定接点盤6からの図示しない配線は第1レバー2と第2レバー3間の空間を前述のスイッチケース側の支持点方向へ延びる。これにより、フォグスイッチノブ30の回動に応じてフォグライトのオン、オフが切り換えられる。フォグスイッチノブの回動位置として、「フォグオフ」(フォグライトオフ)および「フォグライト」(フォグライトオン)の2位置が設定されている。
【0023】
第1レバー2の先端はその外周が段差状に切り欠かれて小径部2aとなっている。
とくに図1に示すように、固定ノブ20は、基本形状として、外筒21と、第2レバー3への固定用のハブ部23と、外筒21とハブ部23をつなぐディスク壁部22からなる。外筒21はフォグスイッチノブ30側に小径部21aを備えている。
ライトスイッチノブ10は有底筒状をなし、その開口部分に固定ノブ20の外筒21の内径側に進入する小径部10aを備えるとともに、ライトスイッチノブ10の外周面と固定ノブ20(外筒21)の外周面が滑らかに連続するようになっている。
【0024】
フォグスイッチノブ30は、基本形状が厚肉円盤状で、固定接点盤6近傍まで延びて可動接点7を支持する延長ボス部を備え、第2レバー3上をスライド(回動)可能の中心穴を有している。また外周部の両端に固定ノブ20の小径部21aを囲む張出し部と第1レバー2の小径部2aを囲む張出し部とを備えている。操作しやすいようにフォグスイッチノブ30の外周面は軸方向両側の固定ノブ20および第1レバー2よりわずかに膨出している。
固定ノブ20の軸心はライトスイッチノブ10およびフォグスイッチノブ30の各軸心と一致している。
【0025】
ライトスイッチノブ10、固定ノブ20、およびフォグスイッチノブ30間には、スライダブロック40を用いたフォグスイッチノブ30のロック/キャンセル機構が形成されている。以下、このロック/キャンセル機構について詳細に説明する。
図3の(a)は固定ノブ20をライトスイッチノブ10側から見た図である。
固定ノブ20には、ライトスイッチノブ10から延びるキャンセルレバー12を通す貫通長穴25が固定ノブ20の軸心を中心とする弧状に設けられている。
また、裏面(フォグスイッチノブ30と対向する側)にはロック穴27が設けられている。
【0026】
図3の(b)はフォグスイッチノブ30を固定ノブ20側から見た図である。
フォグスイッチノブ30の周方向の所定長さ範囲にわたっての固定ノブ20側端面に開口するスライダブロック収納部35が形成されている。スライダブロック収納部35は後掲の図5の(b)に示されるように、平坦な底面を有し、底面には後述するスプリング支持突部37が設けられている。スライダブロック収納部35の周方向両端にはスライダブロック収納部35の開口面で閉じた軸方向の溝36、36が形成されている。図3の(b)には一端側のみ断面で溝36を示している。
【0027】
図4はスライダブロック40をロックピース50およびリターンスプリング48、スプリング54とともに示す外観斜視図である。
スライダブロック40は、全体形状が弧状の樹脂製ブロック体で、周方向一端にロックピース50を収納保持するピース保持部41を備え、ピース保持部41に対して周方向に順次隣接してスプリング収納部42(図5参照)およびカム面43を備えている。
カム面43は上面から軸方向に退避して、すなわち下方にオフセットして形成されており、弧の周方向すなわちキャンセルレバー12がカム面43上を移動する方向に沿った両端の壁面44a、44bに挟まれている。
カム面43は、壁面44a(スプリング収納部42側)側の低領域43a、他端の壁面44b側の高領域43c、およびこれらの間をつなぐ傾斜領域43bとからなっている。
【0028】
スライダブロック40の底面は上面と平行で平坦である。ピース保持部41は上面に開口し、スプリング収納部42は底面に開口している。
なお、ここではスライダブロック収納部35に収納されて組み込まれた状態で固定ノブ20に対向する側を上方、反対側を下方として説明する。
【0029】
スライダブロック40の周方向一端(ピース保持部41側)の外面は軸方向に平行な平坦面であるが、下側に傾斜面を備える爪45を有している。スライダブロック40の周方向他端(カム面43側)の外面も同様で、爪45を有している。スライダブロック40をその底面を先にして固定ノブ20側からフォグスイッチノブ30のスライダブロック収納部35に押し込んで組み付けた後は、爪45はスライダブロック収納部35の溝36をスライドするとともに、溝36がスライダブロック収納部35の開口面側で閉じているため、スライダブロック40は抜け止めされる。
なお、スライダブロック40の軸方向高さ(上面と底面間の距離)はスライダブロック収納部35の深さよりも小さく、スライダブロック収納部35の深さ範囲内で所定のスライド量が得られるように設定されている。
【0030】
ピース保持部41は、軸に垂直な断面が矩形である穴として形成されており、内周側および外周側の壁には上下方向に延びるスリット46が形成されている。
ロックピース50は、ピース保持部41の穴に対応する矩形の断面を有してスライド可能にピース保持部41に保持され、スライダブロック40の上面から外方に臨む先端はスライダブロックの周方向に沿う面内において滑らかな弧状をなしており、あるいは球面でもよい。
【0031】
ロックピース50の内周側および外周側の側面には突起52が設けられ、ロックピース50をピース保持部41に押し込んで組み付けた後は、突起52がピース保持部のスリット46をスライドするとともに、突起52のスライド範囲がスリット46の上端で規制されて、ロックピース50の抜け止めとなるように設定されている。
なお、ロックピース50は、上記のとおり矩形の断面で基本外形が直方体であるため、ピース保持部41の穴形状に合わせて押し込めば自動的に突起52がスリット46内に嵌まり込むので、突起52とスリット46の位置合わせが容易である。
ロックピース50とピース保持部41の底壁との間にはスプリング54が設けられ、これによりロックピース50はその先端がスライダブロック40の上面から突出する方向に付勢される。
【0032】
図5の(a)はスライダブロック収納部35にスライダブロック40を収納した状態を固定ノブ20側から見た図、(b)は(a)における周方向に沿ったA−A部断面図である。
スライダブロック40のスプリング収納部42に配置されたリターンスプリング48が、一端をスプリング収納部42の上壁に当接させ、他端をスライダブロック収納部35底面のスプリング支持突部37に位置決めされて、スライダブロック40をスライダブロック収納部35の底面から離間させる方向に付勢している。
スライダブロック40はこの付勢によりその爪45がスライダブロック収納部35の周方向両端の溝36をスライドしてフォグスイッチノブ30の固定ノブ20側端面から突出するが、溝36の上端(スライダブロック収納部35の開口面側)は上述のように閉じているから、フォグスイッチノブ30から脱落することはない。
【0033】
また、ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック40の上面から突出するが、上述のように突起52がピース保持部41のスリット46の端部で抜け止めされて、スライダブロック40から脱落することはない。
したがって、フォグスイッチノブ30については、まずスライダブロック40にロックピース50(およびスプリング54)を組み付けて一次サブアセンブリとし、この一次サブアセンブリをフォグスイッチノブ30に組み付けて二次サブアセンブリとすることができる。
【0034】
固定ノブ20の貫通長穴25は、ライトスイッチノブ10が「オフ」から「テール」を経て「ヘッドライト」位置まで回動する間、キャンセルレバー12が貫通状態で支障なく回動可能なように、その周方向の長さが設定されている。
そして、フォグスイッチノブ30におけるスライダブロック収納部35の位置は、該スライダブロック収納部35に収納されたスライダブロック40のカム面43が固定ノブ20の貫通長穴25の周方向長さに対応して、キャンセルレバー12がライトスイッチノブ10の回動に対応してカム面43の周方向一端から他端までの間(すなわち、壁面44a、44b間)を移動可能となるように設定されている。
【0035】
固定ノブ20のフォグスイッチノブ30との対向面には、フォグスイッチノブ30が「フォグオフ」位置にあるときのロックピース50と対向する位置にロック穴27が設けてあり、フォグスイッチノブ30の端面から突出するロックピース50の先端がロック穴27と係合可能となっている。
【0036】
各レバーへの取り付けは、まず第2レバー3上に回動可能に、スライダブロック40を組み込んで二次サブアセンブリとしたフォグスイッチノブ30を取り付け、次に固定ノブ20を第2レバー3に固定し、それから第2レバー3の先端から突出する第3レバー4に連結部材5とともにライトスイッチノブ10を固定する。
なお、各ノブ間にはライトスイッチノブ10、フォグスイッチノブ30の回動位置ごとに当該位置を保持する公知のクリック機構を設けることができるが、ここでは図示省略している。
【0037】
図6は上述したロック/キャンセル機構の動作過程を示す図である。図6は図5の(b)に相当する断面図であるが、ライトスイッチノブ10の一部と固定ノブ20とが併せて示されている。
ここでは便宜のため、必要に応じて、固定ノブ20のライトスイッチノブ10側を上方、フォグスイッチノブ30側を下方として説明する。
図6の(a)はライトスイッチノブ10とフォグスイッチノブ30がそれぞれ「オフ」、「フォグオフ」位置にある状態を示す。
ライトスイッチノブ10のキャンセルレバー12が、固定ノブ20の貫通長穴25を貫通し、スライダブロック40の壁面44aに接して位置し、カム面の低領域43aを押圧している。スライダブロック40はリターンスプリング48に抗して押下げられ、上面が固定ノブ20の下面と面一またはわずかな間隙をもって実質面一となっている。
【0038】
なお、キャンセルレバー12がカム面の低領域43aを押圧しているが、スライダブロック40の上面が固定ノブ20の下面に規制されて、キャンセルレバー12の先端(下端)とカム面の低領域43aとの間にはわずかな間隙があってもよい。いずれにおいても、スライダブロック40はその下面とスライダブロック収納部35底面との間に所定の間隙を残した高位置にある。したがってここでは、両者を含んで、スライダブロックの高位置状態と呼ぶ。
スライダブロック40の上面から突出したロックピース50の先端は固定ノブ20のロック穴27に進入しており、これにより、フォグスイッチノブ30はロックされて回動することはできない。
【0039】
ライトスイッチノブ10を「テール」位置へ回動すると、図6の(b)に示す状態となる。なお、図中の単線矢示は直前の状態からの回動方向を示す。
ライトスイッチノブ10のキャンセルレバー12は固定ノブ20の貫通長穴25の周方向中間へ移動するが、キャンセルレバー12の先端は依然としてカム面の低領域43aにあって、スライダブロック40は高位置状態を継続している。
したがって、ライトスイッチノブ10が「オフ」位置にあるときと同じく、フォグスイッチノブ30はロックされて、「フォグオフ」から「フォグライト」位置へ回動させることができない。
【0040】
図6の(c)はライトスイッチノブ10を「ヘッドライト」位置に回動した状態を示す。
キャンセルレバー12は固定ノブ20の貫通長穴25を貫通し、カム面の傾斜領域43bを経て高領域43cへ移動して、壁面44bに当接または接近する。キャンセルレバー12による押圧位置がカム面の高領域43cに移動すると、スライダブロック40は、押下げられて、スライダブロック40の上面と固定ノブ20の下面との間に間隙sを形成した低位置状態へ変位する。
ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック40の上面から突出しているが、脱落しないように突起52によりピース保持部41から抜け止め状態にスライダブロック40に保持されている構成のため、ロックピース50はスライダブロックと一体に下方へ変位する。これにより、ロックピース50の先端が固定ノブ20のロック穴27から抜け出て、ロックが解除される。
【0041】
したがって、フォグスイッチノブ30はもはや移動を阻止されないから、「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動可能となる。
なお、スライダブロック40の下方への変位量は、ロックピース50がロック穴27内に進入していた長さ以上であることが望ましいが、それより短くても、ロックピース50の先端の弧状斜面によってフォグスイッチノブ30の回動時に接触するロック穴27の開口縁で滑らかに押下げられる関係にあればよい。
【0042】
このあと「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動する際には、まず、スライダブロック40と一体に下方へ移動したロックピース50は間隙sが形成されている固定ノブ40の下面下に入り込む。フォグスイッチノブ30の回動が進むにつれて、キャンセルレバー12は相対的にカム面の傾斜領域43bを経て低領域43aへ移動する。
この結果、スライダブロック40はリターンスプリング48により上方へ変位するが、スライダブロック40に保持されたロックピース50はすでにロック穴27から外れているので、ロックピース50はスプリング54を圧縮して先端を固定ノブ20の下面に滑らせながら移動する。
【0043】
図6の(d)はライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置にあり、フォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動した状態を示す。
以上のように、ライトスイッチノブ10が先ず「ヘッドライト」位置まで回動されてヘッドライトが点灯すると、フォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動させてフォグライトを点灯させることができる。
なお、立上り壁44はキャンセルレバー12から離間する。
【0044】
図6の(e)は、ヘッドライトとフォグライトとが点灯している状態から、ライトスイッチノブ10を「テール」位置へ回動した状態を示す。
キャンセルレバー12はスライダブロック40の壁面44aに接近した位置に来るが、フォグスイッチノブ30はライトスイッチノブ10の回動に影響を受けず、ロックピース50の位置も(d)と変わらない。
【0045】
図6の(e)の状態から、さらにライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動させると、キャンセルレバー12が壁面44aに当接してスライダブロック40を周方向(図中左方)へ押し、フォグスイッチノブ30を回動させ「フォグオフ」位置まで戻す。
これにより、(a)の状態に復帰する。すなわち、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動させると、連動してフォグスイッチノブ30が「フォグオフ」位置まで戻され、自動的に「フォグライト」が消灯される。
【0046】
なお、ヘッドライトが点灯している図6の(d)の状態、あるいはテールライトが点灯している図6の(e)の状態からフォグスイッチノブ30だけを「フォグオフ」位置へ戻すことは、スライダブロック40の壁面44aがキャンセルレバー12から離間するだけであるから、何らの支障なく可能である。
【0047】
本実施例では、操作レバー1が発明におけるレバーに、ライトスイッチノブ10が第1の回動ノブに、フォグスイッチノブ30が第2の回動ノブにそれぞれ該当する。
また、「オフ」位置が発明における第1の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「ヘッドライト」位置が第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にそれぞれ対応し、「フォグオフ」位置が第2の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「フォグライト」位置が第2の回動ノブの第2のスイッチ位置に対応している。
キャンセルレバー12とカム面43とで発明におけるカム機構を構成し、スライダブロック40の壁面44aをキャンセルレバー12で押す構造が戻し機構を形成している。
ロックピース50の突起52がスライドするロックピース保持部41のスリット46におけるロックピース保持部41の開口側を閉じた構造が発明におけるロックピースの抜け止め手段を形成し、スライダブロック40の突起45がスライドするスライダブロック収納部35の溝36におけるスライダブロック収納部35の開口側を閉じた構造がスライダブロックの抜け止め手段を形成している。
【0048】
本実施の形態は以上のように構成され、
フォグスイッチノブ30には軸方向に変位可能にスライダブロック40を保持し、スライダブロック40に形成されたカム面43とライトスイッチノブ10から固定ノブの貫通穴25を通って先端をカム面43に当接させたキャンセルレバー12とによりライトスイッチノブ10とスライダブロック40の相対回動に応じてスライダブロック40を軸方向に変位させるようにし、
スライダブロック40には、固定ノブ20に向けて突出方向に付勢されたロックピース50が抜け止めされて保持され、
固定ノブ20にはロックピース50と係合可能なロック穴27を備えて、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置以外にあるときはスライダブロック40を固定ノブ20側に変位させてロックピース50がロック穴27に係合し、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置にあるときにスライダブロック40を固定ノブ20から離間する側に変位させてロックピースがロック穴との係合から解放されるものとした。
【0049】
これにより、ライトスイッチノブ10が「ヘッドライト」位置以外にあるときはロックされてフォグスイッチノブ30を回動できず、「フォグライト」位置にすることができないから、フォグライトのみを単独で点灯させて後刻消灯忘れを招くようなおそれが解消される。
【0050】
そして、ロックピース50はスライダブロック40から突出方向に付勢されているが、スライダブロックに抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、固定ノブ20の裏面側になって目視確認が不可能でも、ロックピース50やこれを付勢するスプリングなどの小部品が脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【0051】
また、フォグスイッチノブ30が「フォグライト」位置にある場合、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際に、キャンセルレバー12がスライダブロック40における壁面44aを押すことにより、スライダブロック40を保持するフォグスイッチノブ30を「フォグオフ」位置へ回動させるようにしたので、ライトスイッチノブ10を「ヘッドライト」位置にすることによりロックが解除されてフォグスイッチノブ30を「フォグライト」位置へ回動したあとは、フォグライトを点灯させたことが忘れられていても、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際に自動的にフォグライトも消灯される。
【0052】
そして、ロックピース50の抜け止めについては、スライダブロック40が穴形状のロックピース保持部41を備え、ロックピース保持部41の壁には軸方向のスリット46が設けられ、ロックピース50は側面に突起52を備えて、この突起52がスリット46をスライドするようにロックピース保持部41に組み付けられ、スリット46はロックピース保持部41の開口側が閉じているので、簡単な構成でロックピース50の脱落を禁止する。
【0053】
また、本実施例では、カム面43がスライダブロック40の固定ノブ20に対向する上面から軸方向に退避した底部に形成され、ライトスイッチノブ10を「オフ」位置へ回動する際にキャンセルレバー12が押す壁面44aは、スライダブロック40における上記固定ノブ20に対向する上面からカム面43が位置する底部を結ぶ壁面としているので、フォグスイッチノブ30を「フォグオフ」位置へ戻すために専用の壁面を別途設ける必要がなく、簡単な構造で実現できる。
【0054】
さらに、スライダブロック40は、フォグスイッチノブ30に形成されたスライダブロック収納部35に収納され、スライダブロック収納部35の側壁には軸方向の溝36が設けられ、スライダブロック40は側面に突起45を備えて、該突起45が溝36をスライドするようにスライダブロック収納部35に組み付けられ、溝36におけるスライダブロック収納部35の開口側が閉じて、スライダブロック40の抜け止めとなっているので、レバーへのノブ組み付けに際してスライダブロック40の脱落も心配することなく作業ができる。
【実施例2】
【0055】
つぎに、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例も車両のステアリングコラムまわりに設置されるコンビネーションスイッチの操作レバーに適用したものである。
図7は第2の実施例の構成を示す縦断面図、図8は分解斜視図である。
操作レバー1’では、第1の実施例と同様に、第2レバー3が第1レバー2の外方端の先まで延びている。
第3レバー4は第2レバー3を貫通して、スイッチケース側の一端は不図示の可動接点部材と係合し、他端は第2レバー3の外方端の先まで延びている。第3レバー4は第2レバー3に対して回動可能である。
【0056】
操作レバー1’の第3レバー4の先端部には、連結部材5’を介して、第1の回動ノブとしてのライトスイッチノブ60が結合され、第2レバー3の先端部には固定ノブ70が固定され、そして第1レバー2の先端部と固定ノブ70の間に、第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ80が第2レバー3上に回動可能に配置されている。
これにより、操作レバー1’の先端から順次にライトスイッチノブ60、固定ノブ70、およびフォグスイッチノブ80が隣接して並ぶことになる。
【0057】
ライトスイッチノブ60を回動させると、第2レバー3に対して第3レバー4が回動して、スイッチケース側の不図示の可動接点部材を操作し、テールライトおよびヘッドライトのオン、オフが切り換えられる。本実施の形態ではライトスイッチノブ60の回動位置として、「オフ」(ヘッドライトおよびテールライトオフ)、「テール」(テールライトオン)および「ヘッドライト」(ヘッドライトおよびテールライトオン)の3位置が設定される。
【0058】
第1レバー2の先端部近傍には、第2レバー3との間の空間に固定接点盤6が設けられ、これに対向する可動接点7がフォグスイッチノブ80に支持されて回動可能となっている。これらは図8には省略している。
固定接点盤6からの図示しない配線は第1レバー2と第2レバー3間の空間を前述のスイッチケース側の支持点方向へ延びる。これにより、フォグスイッチノブ80の回動に応じてフォグライトのオン、オフが切り換えられる。フォグスイッチノブ80の回動位置として、「フォグオフ」(フォグライトオフ)および「フォグライト」(フォグライトオン)の2位置が設定されている。
【0059】
第1レバー2の先端はその外周が段差状に切り欠かれて小径部2aとなっている。
とくに図7に示すように、固定ノブ70は基本形状が厚肉円盤状で、外周にはライトスイッチノブ60側に張出し部71a、フォグスイッチノブ80側に小径部71bを備えている。
ライトスイッチノブ60は有底筒状をなし、その開口部分に固定ノブ70の張出し部71aの内径側に進入する小径部60aを備えるとともに、ライトスイッチノブ60の外周面と固定ノブ70の外周面が滑らかに連続するようになっている。
【0060】
フォグスイッチノブ80は、基本形状として、外筒81と、第2レバー3への固定用のハブ部83と、外筒81とハブ部83をつなぐディスク壁部82からなり、第2レバー3上を回動可能の中心穴を有している。ハブ部83は固定接点盤6近傍まで延びて可動接点7を支持する。
ディスク壁部82の固定ノブ70側端面には、中心穴と同心の扇形凹部86が形成され、中心側は中心穴に開口している。
また外筒81の両端は、固定ノブ70の小径部71bと第1レバー2の小径部2aに被さって囲み、これによりフォグスイッチノブ80の外周面は軸方向両側の固定ノブ70および第1レバー2よりわずかに膨出している。
固定ノブ70の軸心はライトスイッチノブ60およびフォグスイッチノブ80の各軸心と一致している。
【0061】
ライトスイッチノブ60、固定ノブ70、およびフォグスイッチノブ80間には、スライダブロック90を用いたフォグスイッチノブ80のロック/キャンセル機構が形成されている。以下、このロック/キャンセル機構について詳細に説明する。
図9の(a)は、ライトスイッチノブ60の開口端を固定ノブ70側から見た図、(b)は(a)におけるB矢視図である。
ライトスイッチノブ60の開口端には、後述するスライダブロック90のカムフォロワ93に対応させたリリースカム65が形成されている。とくに図9の(b)に示すように、リリースカム65はライトスイッチノブ60の端面tから軸方向に固定ノブ70側へ突出して形成された高領域65cを含み、高領域65cに隣接する端面tの一部を低領域65aとし、高領域65cと低領域65aの間が傾斜領域65bとなっている。
【0062】
図9の(c)は、固定ノブ70をライトスイッチノブ60側から見た図である。
固定ノブ70には、その周方向の所定長さ範囲にわたってライトスイッチノブ60側端面に開口する弧状のスライダブロック収納部75が形成されている。
スライダブロック収納部75は、平坦な底面を有し、底面には後述するスプリング支持突部77が設けられている。周方向両端の側壁にはスライダブロック収納部の開口面側で閉じた軸方向の溝76、76が形成されている。図9の(c)には一端側のみ断面で溝76を示している。
スライダブロック収納部75の底面には、後述のスライダブロック90のピース保持部91の開口まわりを受入可能な窓79が設けられている。
【0063】
図9の(d)はフォグスイッチノブ80を固定ノブ70側から見た図である。
フォグスイッチノブ80のディスク壁部82の固定ノブ70側端面には、フォグスイッチノブ80が「フォグオフ」位置にあるときの後述するロックピース50と対向する位置にロック穴85が設けてある。
同じくディスク壁部82には前述のとおり中心穴と同心の扇形凹部86が形成されている。そして、第3レバー4にはリリースピン15が径方向に延びて扇形凹部86内に臨むように結合されている。
【0064】
ライトスイッチノブ60と一体に第3レバー4が回動すると、リリースピン15が扇形凹部86内で、当該扇形凹部86を区画する周方向両端の端壁87、88間を移動する。
第2レバー3には、リリースピン15の移動を可能にする開口が設けられている。
なお、リリースピン15は、第2レバー3上にフォグスイッチノブ80を組み込んだ後、第3レバー4に結合する組み付け順序となるが、必要に応じてフォグスイッチノブ80の外周面から第3レバー4のリリースピン結合孔に向けてリリースピン15を挿入できるように、フォグスイッチノブ80の外周面から扇形凹部86へ貫通する作業孔を設けることができる。
【0065】
図10はスライダブロック90をロックピース50およびリターンスプリング98、スプリング54とともに示す外観斜視図である。
なお、ここではスライダブロック90がスライダブロック収納部75に収納されて組み込まれた状態でライトスイッチノブ60に対向する側を上方、反対側を下方として説明する。
スライダブロック90は、全体形状が弧状の樹脂製で、周方向一端側にロックピース50を収納保持するピース保持部91を備え、ピース保持部91に対して周方向に離間させてスプリング収納部92およびカムフォロワ93を備えている。
【0066】
スライダブロック90の上面は平坦である。ピース保持部91とスプリング収納部92はいずれも下方に開口しているが、ピース保持部91が開口する底面90aはスプリング収納部92が開口する底面90bよりも低い。すなわち、上面と底面間の距離はピース保持部91側の方が、固定ノブ70におけるスライダブロック収納部75の底壁78の板厚分よりも大きく設定されている。
ピース保持部91が開口する底面90aおよびスプリング収納部92が開口する底面90bはそれぞれ上面と平行かつ平坦である。
カムフォロワ93は、スプリング収納部92近傍において上面に形成され、先端は球面をなしている。
【0067】
スライダブロック90の周方向一端(ピース保持部91側)の外面は軸方向に平行な平坦面であるが、下側に傾斜面を備える爪95を有している。スライダブロック90の周方向他端(スプリング収納部92側)の外面も同様で、爪95を有している。スライダブロック90をその底面を先にして固定ノブ70のスライダブロック収納部75に押し込んで組み付けた後は、爪95はスライダブロック収納部75の溝76をスライドするとともに、溝76がスライダブロック収納部75の開口面側で閉じているため、スライダブロック90は抜け止めされる。
【0068】
ピース保持部91は、前実施例のピース保持部41と同じく、軸に垂直な断面が矩形である穴として形成されており、内周側および外周側の壁には上下方向に延びるスリット96が形成されている。
ロックピース50は、前実施例におけるものと同じで、スライド可能にピース保持部91に保持される。ロックピース50とピース保持部91の上壁との間にはスプリング54が設けられ、これによりロックピース50はその先端がスライダブロック90の底面から突出する方向に付勢される。
ロックピース50をピース保持部91に押し込んで組み付けた後は、突起52がピース保持部のスリット96をスライドするとともに、突起52のスライド範囲がスリット96の下端で規制されて、ロックピース50の抜け止めとなるように設定されている。
【0069】
図11の(a)はスライダブロック収納部75にスライダブロック90を収納した状態の固定ノブ70をライトスイッチノブ60側から見た図、(b)は(a)における周方向に沿ったC−C部断面図である。
スライダブロック90のスプリング収納部92に配置されたリターンスプリング98が、一端をスプリング収納部92の上壁に当接させ、他端をスライダブロック収納部75底面のスプリング支持突部77に位置決めされて、スライダブロック90をスライダブロック収納部75の底面から離間させる方向に付勢している。
スライダブロック90はこの付勢によりその爪95がスライダブロック収納部75の周方向両端の溝76をスライドして固定ノブ70のライトスイッチノブ60側端面から突出するが、溝76の上端(スライダブロック収納部75の開口面側)は上述のように閉じているから、固定ノブ70から脱落することはない。
【0070】
また、ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック90の底面90aから突出するが、上述のように突起52がピース保持部91のスリット96の端部で抜け止めされて、スライダブロック90から脱落することはない。
したがって、固定ノブ70については、まずスライダブロック90にロックピース50(およびスプリング54)を組み付けて一次サブアセンブリとし、この一次サブアセンブリを固定ノブ70に組み付けて二次サブアセンブリとすることができる。
【0071】
各レバーへの取り付けは、まず第2レバー3上に回動可能にフォグスイッチノブ80を取り付け、リリースピン15を第3レバー4に取付け、次にスライダブロック90を組み込んで二次サブアセンブリとした固定ノブ70を第2レバー3に固定し、それから第2レバー3の先端から突出する第3レバー4に連結部材5’とともにライトスイッチノブ60を固定する。
各ノブ間にはライトスイッチノブ60、フォグスイッチノブ80の回動位置ごとに当該位置を保持する公知のクリック機構を設けることができる。
【0072】
図12、図13は上述したロック/キャンセル機構の動作過程を示す図である。図12は図11の(b)に相当する断面図であるが、ライトスイッチノブ60とフォグスイッチノブ80の各一部が併せて示されている。ここでは便宜のため、必要に応じて、固定ノブ70のライトスイッチノブ60側を上方、フォグスイッチノブ80側を下方として説明する。
また、図13はフォグスイッチノブ80の扇形凹部86とリリースピン15の相対関係を示す。
【0073】
まず、ライトスイッチノブ60とフォグスイッチノブ80がそれぞれ「オフ」、「フォグオフ」位置にある状態を、図12、図13の各(a)に示す。
図12の(a)のように、ライトスイッチノブ60のリリースカム65の高領域65cが、スライダブロック90のカムフォロワ93に対向してこれを押圧し、スライダブロック90はスライダブロック収納部75内でリターンスプリング98に抗して押下げられる。
これにより、ピース保持部91が開口する底面90aが固定ノブ70の窓79に入ってフォグスイッチノブ80の端面(すなわちディスク壁部82の固定ノブ70に対向する面)と面一またはわずかな間隙をもって実質面一となった低位置状態となっている。
【0074】
そしてスライダブロック90の底面90aから突出したロックピース50の先端はフォグスイッチノブ80のロック穴85に進入しており、これにより、フォグスイッチノブ80はロックされて回動することはできない。
一方、図13の(a)のように、第3レバー4を介してライトスイッチノブ60と一体回動するリリースピン15は、フォグスイッチノブ80の扇形凹部86の端壁87に接触状態で沿う位置にある。
【0075】
ライトスイッチノブ60を「テール」位置へ回動すると、図12、図13の各(b)に示す状態となる。なお、図中の単線矢示は直前の状態からの回動方向を示す。
ライトスイッチノブ60のリリースカム65が移動するが、依然として高領域65cがカムフォロワ93に対向しており、スライダブロック90は低位置状態を継続している。
したがって、ライトスイッチノブ10が「オフ」位置にあるときと同じく、フォグスイッチノブ30はロックされて、「フォグオフ」から「フォグライト」位置へ回動させることができない。
このとき、リリースピン15は扇形凹部86の端壁87、88間の略中間位置に移動している。
【0076】
つぎに、図12、図13の各(c)は、ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置に回動した状態を示す。
ライトスイッチノブ60と一体回動するリリースピン15は、扇形凹部86の端壁88近傍まで移動する。
一方、とくに図12の(c)のように、リリースカム65はその傾斜領域65bを経て低領域65aがカムフォロワ93に対向する位置へ移動する。
リターンスプリング98に付勢されているスライダブロック90は、低領域65aと高領域65cの高さの差分だけ上方へ移動し、スライダブロック90の底面90aとフォグスイッチノブ80の上面との間に間隙sを形成した高位置状態へ変位する。
ロックピース50はスプリング54により付勢されてスライダブロック90の底面90aから突出しているが、脱落しないように突起52によりピース保持部91から抜け止め状態にスライダブロック90に保持されている構成のため、ロックピース50はスライダブロック90と一体に上方へ変位する。これにより、ロックピース50の先端がフォグスイッチノブ80のロック穴85から抜け出て、ロックが解除される。
【0077】
したがって、フォグスイッチノブ80はもはや移動を阻止されないから、「フォグオフ」位置から「フォグライト」位置へ回動可能となる。
なお、スライダブロック90の上方への変位量は、ロックピース50がロック穴85内に進入していた長さ以上であることが望ましいが、それより短くても、ロックピース50の先端の弧状斜面によってフォグスイッチノブ80の回動時に接触するロック穴85の開口縁で滑らかに押上げられる関係にあればよい。
【0078】
ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置にして、フォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動すると、図12、図13の各(d)に示す状態となる。
この間、第3レバー4と連結部材5’とを介してライトスイッチノブ60に連結されたリリースピン15は移動しないが、フォグスイッチノブ80の回動により扇形凹部86が移動して相対的に扇形凹部86の端壁87、88間の中間位置となるだけで、フォグスイッチノブ80の回動に影響を与えない。 以上のように、ライトスイッチノブ60が先ず「ヘッドライト」位置まで回動されてヘッドライトが点灯すると、フォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動させてフォグライトを点灯させることができる。
【0079】
つぎに、ヘッドライトとフォグライトとが点灯している状態から、ライトスイッチノブ60を「テール」位置へ回動すると、図12、図13の各(e)に示す状態となる。
リリースカム65が移動してその高領域65cがカムフォロワ93に対向する位置に来る。スライダブロック90は、押下げられて低位置状態へ変位する。
この際、スライダブロック90の底面90aから下方に突出していたロックピース50は、フォグスイッチノブ80の上面に当接してスプリング54を圧縮しながらピース保持部91内に押し込まれる。
一方、リリースピン15はライトスイッチノブ60の回動とともに、扇形凹部86内の中間位置から端壁87に当接または近傍位置へ移動する。
したがって、フォグスイッチノブ80はライトスイッチノブ60の回動に影響を受けず、フォグライトの点灯状態が継続する。
【0080】
この状態から、さらにライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動させると、
扇形凹部86の端壁87に対し当接または近傍位置にあったリリースピン15が、ライトスイッチノブ60の回動に伴って端壁87を押し、フォグスイッチノブ80を回動させ「フォグオフ」位置まで戻す。
これにより、図12、図13の各(a)に示した状態に復帰する。すなわち、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動させると、連動してフォグスイッチノブ80が「フォグオフ」位置まで戻され、自動的に「フォグライト」が消灯される。
【0081】
なお、ヘッドライトが点灯している図12、図13の各(d)の状態、およびテールライトが点灯している各(e)の状態からフォグスイッチノブ80だけを「フォグオフ」位置へ戻すことは、フォグスイッチノブ80の端壁88がリリースピン15から離間しているため、何らの支障なく可能である。
【0082】
本実施の形態では、操作レバー1’が発明におけるレバーに該当し、とくに第2レバー3が第1のレバーに相当し、第3レバー4が第2のレバーに相当している。そして、ライトスイッチノブ60が第1の回動ノブに、フォグスイッチノブ80が第2の回動ノブにそれぞれ該当する。 また、「オフ」位置が発明における第1の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「ヘッドライト」位置が第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にそれぞれ対応し、「フォグオフ」位置が第2の回動ノブの第1のスイッチ位置に、「フォグライト」位置が第2の回動ノブの第2のスイッチ位置に対応している。
リリースカム65がカム面に該当し、リリースカム65とカムフォロワ93とで発明におけるカム機構を形成し、フォグスイッチノブ80における扇形凹部86の壁面87をリリースピン15で押す構造が戻し機構を形成している。 ロックピース50の突起52がスライドするロックピース保持部91のスリット96におけるロックピース保持部91の開口側を閉じた構造が発明におけるロックピースの抜け止め手段を形成し、スライダブロック90の突起95がスライドするスライダブロック収納部75の溝76におけるスライダブロック収納部75の開口側を閉じた構造がスライダブロックの抜け止め手段を形成している。
【0083】
第2の実施例は以上のように構成され、
固定ノブ70に軸方向に変位可能にスライダブロック90を保持し、
ライトスイッチノブ60に形成したリリースカム65とスライダブロック90に設けたカムフォロワ93とで、ライトスイッチノブ60とスライダブロック90の相対回動に応じてスライダブロック90を軸方向に変位させるようにし、
スライダブロック90には、フォグスイッチノブ80に向けて突出方向に付勢されたロックピース50が抜け止めされて保持され、
フォグスイッチノブ80にはスライダブロック90から突出するロックピース50と係合可能なロック穴85を備えて、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置以外にあるときはスライダブロック90をフォグスイッチノブ80側に変位させてロックピース50がロック穴85に係合し、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置にあるときはスライダブロック90をフォグスイッチノブ80から離間する側に変位させて、ロックピース50がロック穴85との係合から解放されるものとした。
【0084】
これにより、ライトスイッチノブ60が「ヘッドライト」位置以外にあるときはロックされてフォグスイッチノブ80を回動できず、「フォグライト」位置にすることができないから、フォグライトのみを単独で点灯させて後刻消灯忘れを招くようなおそれが解消される。
【0085】
そして、ロックピース50はスライダブロック90から突出方向に付勢されているが、スライダブロック90に抜け止めされているので、レバーに各ノブを順次に組み付けていく際、固定ノブ70の裏面側になって目視確認が不可能でも、ロックピース50やこれを付勢するスプリングなどの小部品が脱落するおそれがなく、確実な組立が短時間で行え、組み立て工数が低減するという効果を有する。
【0086】
また、フォグスイッチノブ80が「フォグライト」位置にある場合、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際に、リリースピン15がフォグスイッチノブ80の壁面87を押すことにより、フォグスイッチノブ80を「フォグオフ」位置へ回動させるようにしたので、ライトスイッチノブ60を「ヘッドライト」位置にすることによりロックが解除されてフォグスイッチノブ80を「フォグライト」位置へ回動したあとは、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際に、フォグスイッチノブ80も「フォグオフ」位置へ強制的に回動されるので、フォグライトを点灯させたことが忘れられていても、自動的にフォグライトも消灯される。
【0087】
そして、ロックピース50の抜け止めについては、スライダブロック90が穴形状のロックピース保持部91を備え、ロックピース保持部91の壁には軸方向のスリット96が設けられ、ロックピース50は側面に突起52を備えて、この突起52がスリット96をスライドするようにロックピース保持部91に組み付けられ、スリット96はロックピース保持部91の開口側が閉じているので、簡単な構成でロックピース50の脱落を禁止する。
【0088】
また、本実施例では、フォグスイッチノブ80における固定ノブ70に対向する面に扇形凹部86を形成し、この扇形凹部86を画成する回動方向の壁面87を、ライトスイッチノブ60を「オフ」位置へ回動する際にリリースピン15が押す壁面としているので、簡単な構造でフォグスイッチノブ80の「フォグオフ」位置への強制回動を実現できる。
なお、扇形凹部86はフォグスイッチノブ80における固定ノブ70に対向する面に限定されず、固定ノブ70とは反対側の面に形成してもよく、この場合にはハブ部83を一部切り欠くことによりリリースピン15を第3レバー4から当該扇形凹部内へ延ばすことができる。
【0089】
また、第2の実施例ではリリースカム65をライトスイッチノブ60に形成し、カムフォロワ93をスライダブロック90に設けたが、これとは反対に、リリースカム65をスライダブロック90に形成し、カムフォロワ93をライトスイッチノブ60に設けてもよい。
さらに、スライダブロック90は、固定ノブ70に形成されたスライダブロック収納部75に収納され、スライダブロック収納部75の側壁には軸方向の溝76が設けられ、スライダブロック90は側面に突起95を備えて、該突起95が溝76をスライドするようにスライダブロック収納部75に組み付けられ、溝76におけるスライダブロック収納部75の開口側が閉じて、スライダブロック90の抜け止めとなっているので、レバーへのノブ組み付けに際してスライダブロック90の脱落も心配することなく作業ができる。
【0090】
なお、各実施例におけるロックピース50は、図示では基本外形を直方体としひとつの断面において先端を弧状としたが、これに限定されず、外形を円柱状として先端を球面等にすることもできる。
また、各実施例では、ライトスイッチノブ10、60を連結部材5、5’を介して第3レバー4に結合するものとしているが、ライトスイッチノブ10、60は直接第3レバー4に結合するようにしてもよい。
【0091】
さらに、各実施例は車両用の操作レバーに適用し、第1の回動ノブとしてライトスイッチノブ10、60を所定のスイッチ位置として「オフ」から2つ目の「ヘッドライト」位置まで回動させたとき初めて第2の回動ノブとしてのフォグスイッチノブ30、80を回動可能にするものとしたが、第2の回動ノブを回動可能とする第1の回動ノブのスイッチ位置は2つ目に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は車両用の操作レバーをはじめ、他の種々のスイッチレバーに適用することができ、その組立作業が容易である点で有用である。
【符号の説明】
【0093】
1、1’ 操作レバー(レバー)
2 第1レバー
3 第2レバー(第1のレバー)
4 第3レバー(第2のレバー)
5、5’ 連結部材
10、60 ライトスイッチノブ(第1の回動ノブ) 12 キャンセルレバー
15 リリースピン
20、70 固定ノブ 21 外筒
22 ディスク壁部
23 ハブ部
25 貫通長穴
27、85 ロック穴
30、80 フォグスイッチノブ(第2の回動ノブ) 35、75 スライダブロック収納部
36、76 溝
40、90 スライダブロック
41、91 ピース保持部
42、92 スプリング収納部
43 カム面
43a 低領域
43b 傾斜領域
43c 高領域
44a、44b 壁面
45、95 爪
46、96 スリット
48、98 リターンスプリング
50 ロックピース
54 スプリング
52 突起
65 リリースカム(カム面)
65a 低領域
65b 傾斜領域
65c 高領域
78 底壁
79 窓
81 外筒
82 ディスク壁部
83 ハブ部
86 扇形凹部
87、88 端壁
93 カムフォロワ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーの軸方向にそって第1の回動ノブ、固定ノブおよび第2の回動ノブが隣接して配置され、第1の回動ノブは第1のスイッチ位置と第1のスイッチ位置以外の所定のスイッチ位置を有し、第2の回動ノブは第1のスイッチ位置と第2のスイッチ位置を有し、第1の回動ノブと第2の回動ノブの回動によりそれぞれ対応するスイッチ接点が切り換えられるレバースイッチにおいて、
前記固定ノブまたは第2の回動ノブの一方には軸方向に変位可能にスライダブロックを保持し、
前記第1の回動ノブとスライダブロックの間に当該第1の回動ノブとスライダブロックの相対回動に応じてスライダブロックを軸方向に変位させるカム機構を設け、
前記スライダブロックには、前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方に向けて突出方向に付勢されたロックピースが保持され、
前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方にはスライダブロックから突出する前記ロックピースと係合可能なロック穴を備え、
前記ロックピースと前記スライダブロックの間には、ロックピースの抜け止め手段が設けられ、
前記カム機構は、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方から離間する側に変位させるものであり、
前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときに前記ロックピースが前記ロック穴に係合し、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときに前記ロックピースが前記ロック穴との係合から解放されることを特徴とするレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項2】
前記スライダブロックを前記第2の回動ノブに保持し、
前記カム機構を、前記スライダブロックに形成されたカム面と、前記第1の回動ノブから前記固定ノブに形成された貫通穴を通って延び、先端を前記カム面に当接させたキャンセルレバーとで構成し、
前記ロックピースは、前記スライダブロックから前記固定ノブに向けて突出方向に付勢され、
前記ロック穴は前記固定ノブの前記第2の回動ノブに対向する面に設けて、
前記カム機構が、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブ側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブから離間する側に変位させることを特徴とする請求項1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項3】
前記第1の回動ノブと第2の回動ノブの間には、第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、第2の回動ノブが当該第2の回動ノブの第2のスイッチ位置にある場合に第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動させる戻し機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項4】
前記カム面がスライダブロックの前記固定ノブに対向する面から軸方向に退避した底部に形成され、
前記戻し機構は、前記キャンセルレバーと、前記スライダブロックにおける前記固定ノブに対向する面から前記底部を結ぶ壁面とで構成し、
前記第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、前記キャンセルレバーが前記スライダブロックにおける回動方向の前記壁面を押すことにより、前記スライダブロックを保持する前記第2の回動ノブを第2のスイッチ位置からその第1のスイッチ位置へ回動させることを特徴とする請求項3に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項5】
前記スライダブロックを前記固定ノブに保持し、
前記カム機構を、前記第1の回動ノブまたは前記スライダブロックの一方に形成したカム面と、前記第1の回動ノブまたは前記スライダブロックの他方に設けたカムフォロワとで構成し、
前記ロックピースは、前記スライダブロックから前記第2の回動ノブに向けて突出方向に付勢され、
前記ロック穴は前記第2の回動ノブの前記固定ノブに対向する面に設けて、
前記カム機構が、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記第2の回動ノブ側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記第2の回動ノブから離間する側に変位させることを特徴とする請求項1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項6】
前記第1の回動ノブと第2の回動ノブの間には、第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、第2の回動ノブが当該第2の回動ノブの第2のスイッチ位置にある場合に第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動させる戻し機構が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項7】
前記レバーが前記固定ノブを固定した第1のレバーと、前記第1の回動ノブと一体回転する第2のレバーを含み、
前記戻し機構は、前記第2の回動ノブに形成した凹部と、前記第2のレバーに結合されて前記凹部内に延びるリリースピンとで構成し、
前記第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、前記リリースピンが前記第2の回動ノブにおける凹部を画成する回動方向の壁面を押すことにより、前記第2の回動ノブを第2のスイッチ位置からその第1のスイッチ位置へ回動させることを特徴とする請求項6に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項8】
前記スライダブロックは穴形状のロックピース保持部を備え、該ロックピース保持部の壁には軸方向のスリットが設けられ、 前記ロックピースは側面に突起を備えて、該突起が前記スリットをスライドするように前記ロックピース保持部に組み付けられて、
前記スリットにおける前記ロックピース保持部の開口側を閉じることにより前記ロックピースの抜け止め手段が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項9】
前記スライダブロックは、前記固定ノブまたは第2の回動ノブの一方に形成されたスライダブロック収納部に収納され、
前記スライダブロックと前記スライダブロック収納部の間には、スライダブロックの抜け止め手段が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項10】
前記スライダブロック収納部の側壁には軸方向の溝が設けられ、 前記スライダブロックは側面に突起を備えて、該突起が前記溝をスライドするように前記スライダブロック収納部に組み付けられて、
前記溝における前記スライダブロック収納部の開口側を閉じることにより前記スライダブロックの抜け止め手段が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項1】
レバーの軸方向にそって第1の回動ノブ、固定ノブおよび第2の回動ノブが隣接して配置され、第1の回動ノブは第1のスイッチ位置と第1のスイッチ位置以外の所定のスイッチ位置を有し、第2の回動ノブは第1のスイッチ位置と第2のスイッチ位置を有し、第1の回動ノブと第2の回動ノブの回動によりそれぞれ対応するスイッチ接点が切り換えられるレバースイッチにおいて、
前記固定ノブまたは第2の回動ノブの一方には軸方向に変位可能にスライダブロックを保持し、
前記第1の回動ノブとスライダブロックの間に当該第1の回動ノブとスライダブロックの相対回動に応じてスライダブロックを軸方向に変位させるカム機構を設け、
前記スライダブロックには、前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方に向けて突出方向に付勢されたロックピースが保持され、
前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方にはスライダブロックから突出する前記ロックピースと係合可能なロック穴を備え、
前記ロックピースと前記スライダブロックの間には、ロックピースの抜け止め手段が設けられ、
前記カム機構は、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブまたは第2の回動ノブの他方から離間する側に変位させるものであり、
前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときに前記ロックピースが前記ロック穴に係合し、第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときに前記ロックピースが前記ロック穴との係合から解放されることを特徴とするレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項2】
前記スライダブロックを前記第2の回動ノブに保持し、
前記カム機構を、前記スライダブロックに形成されたカム面と、前記第1の回動ノブから前記固定ノブに形成された貫通穴を通って延び、先端を前記カム面に当接させたキャンセルレバーとで構成し、
前記ロックピースは、前記スライダブロックから前記固定ノブに向けて突出方向に付勢され、
前記ロック穴は前記固定ノブの前記第2の回動ノブに対向する面に設けて、
前記カム機構が、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブ側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記固定ノブから離間する側に変位させることを特徴とする請求項1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項3】
前記第1の回動ノブと第2の回動ノブの間には、第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、第2の回動ノブが当該第2の回動ノブの第2のスイッチ位置にある場合に第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動させる戻し機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項4】
前記カム面がスライダブロックの前記固定ノブに対向する面から軸方向に退避した底部に形成され、
前記戻し機構は、前記キャンセルレバーと、前記スライダブロックにおける前記固定ノブに対向する面から前記底部を結ぶ壁面とで構成し、
前記第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、前記キャンセルレバーが前記スライダブロックにおける回動方向の前記壁面を押すことにより、前記スライダブロックを保持する前記第2の回動ノブを第2のスイッチ位置からその第1のスイッチ位置へ回動させることを特徴とする請求項3に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項5】
前記スライダブロックを前記固定ノブに保持し、
前記カム機構を、前記第1の回動ノブまたは前記スライダブロックの一方に形成したカム面と、前記第1の回動ノブまたは前記スライダブロックの他方に設けたカムフォロワとで構成し、
前記ロックピースは、前記スライダブロックから前記第2の回動ノブに向けて突出方向に付勢され、
前記ロック穴は前記第2の回動ノブの前記固定ノブに対向する面に設けて、
前記カム機構が、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記第2の回動ノブ側に変位させ、前記第1の回動ノブが当該第1の回動ノブの所定のスイッチ位置にあるときは前記スライダブロックを前記第2の回動ノブから離間する側に変位させることを特徴とする請求項1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項6】
前記第1の回動ノブと第2の回動ノブの間には、第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、第2の回動ノブが当該第2の回動ノブの第2のスイッチ位置にある場合に第2の回動ノブを当該第2の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動させる戻し機構が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項7】
前記レバーが前記固定ノブを固定した第1のレバーと、前記第1の回動ノブと一体回転する第2のレバーを含み、
前記戻し機構は、前記第2の回動ノブに形成した凹部と、前記第2のレバーに結合されて前記凹部内に延びるリリースピンとで構成し、
前記第1の回動ノブを当該第1の回動ノブの第1のスイッチ位置へ回動する際に、前記リリースピンが前記第2の回動ノブにおける凹部を画成する回動方向の壁面を押すことにより、前記第2の回動ノブを第2のスイッチ位置からその第1のスイッチ位置へ回動させることを特徴とする請求項6に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項8】
前記スライダブロックは穴形状のロックピース保持部を備え、該ロックピース保持部の壁には軸方向のスリットが設けられ、 前記ロックピースは側面に突起を備えて、該突起が前記スリットをスライドするように前記ロックピース保持部に組み付けられて、
前記スリットにおける前記ロックピース保持部の開口側を閉じることにより前記ロックピースの抜け止め手段が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項9】
前記スライダブロックは、前記固定ノブまたは第2の回動ノブの一方に形成されたスライダブロック収納部に収納され、
前記スライダブロックと前記スライダブロック収納部の間には、スライダブロックの抜け止め手段が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【請求項10】
前記スライダブロック収納部の側壁には軸方向の溝が設けられ、 前記スライダブロックは側面に突起を備えて、該突起が前記溝をスライドするように前記スライダブロック収納部に組み付けられて、
前記溝における前記スライダブロック収納部の開口側を閉じることにより前記スライダブロックの抜け止め手段が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のレバースイッチのノブ回動ロック構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−282875(P2010−282875A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136064(P2009−136064)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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