説明

レンズモジュール、カメラモジュール及びカメラモジュールの製造方法

【課題】レンズユニットとバレル保持部との間の螺合部分へ接着剤を容易に注入できるカメラモジュールを提供する。
【解決手段】カメラモジュール1は、入射される光を集光して出射する第1及び第2のレンズ4,6と、第1及び第2のレンズ4,6を収納するバレル2aとを含むレンズユニット2と、レンズユニット2が螺合され接着剤25により固着されるバレル保持部8と、バレル保持部8を周方向に摺動可能で光軸方向に移動可能な状態にて収納するレンズ収納部3aと、出射された光を電気信号に変換して出力するセンサ16を収納するセンサ収納部3bとを有する台座3と、バレル保持部8がレンズ収納部3aに収納された状態を保つばね10と、バレル保持部8との間でばね10を挟持するばね押さえ9とを備え、ばね押さえ9は、螺合部分に接着剤25を注入する切り欠き部9aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等に搭載されるモード切替機能付のレンズモジュール等に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影機能付き携帯電話機や監視用カメラ等に用いられる小型カメラモジュールには、簡易な方法で標準撮影モード(無限遠モード)と接写モードとを切り替えるモード切替機能付のカメラモジュールが登場してきている。
撮影モードの切替機能が付いたカメラモジュールにおいて組み立て時の作業性向上に関する公報記載の従来技術として、例えば、レンズを保持しレンズホルダと、レンズホルダを光軸方向に移動可能に保持するホルダと、レンズホルダの外周部分に接着剤により固定される調整部材とを具備し、レンズホルダの外周に被写体側に向かって縮径するテーパを設けるカメラモジュールの技術が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−195682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レンズユニットをバレル保持部に螺合するカメラモジュールの場合、振動等で螺合状態が変化することがある。かかる場合、レンズから出射された光が撮像領域に適切に結像しない恐れがある。このような事態を避けるため、レンズユニットをバレル保持部に螺合して結像調節した後、接着剤等を用いて固着することが行われている。モード切替機能付きのカメラモジュールでは、バレル保持部は、ばねとばね押さえとによって押さえられて光軸方向に移動可能な状態で収納され保持されている。よって、通常の振動の他にモード切替時の振動によっても螺合状態が変化し、接着剤による固着は特に重要である。
しかし、カメラモジュールに対する近年の小型化の要求に応じて、ばね押さえによって螺合部分が塞がれて、接着剤を注入するためのスペースを確保することが困難になってきている。
【0005】
本発明は、レンズユニットとバレル保持部との間の螺合部分への接着剤の注入を容易に行うことができる小型のカメラモジュール等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるレンズモジュールは、外部から入射される光を集光して出射するレンズと、レンズを収納するバレルとを含むレンズユニットと、レンズユニットが螺合され、接着剤によりレンズユニットが固着されるバレル保持部と、バレル保持部を周方向に摺動可能で、レンズの光軸方向に移動可能な状態にて収納するバレル収納部と、レンズから出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子を収納する撮像素子収納部とを有する台座マウントと、バレル保持部が台座マウントのバレル収納部に収納された状態を保つように押し付ける弾性部材と、台座マウントに嵌着され、バレル保持部との間で弾性部材を挟持する挟持部材とを備え、挟持部材は、レンズユニットとバレル保持部との螺合部分に接着剤を注入するための切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、挟持部材は、レンズユニットがバレル保持部に螺合される雌ねじの開口側に向けて切り欠き部が形成されていることを特徴とすれば、切り欠き部を介して雌ねじの開口側からレンズユニットとバレル保持部との螺合部分に接着剤を注入することができる。
また、バレル保持部は、レンズユニットが螺合される雌ねじの開口部にテーパが形成されていることを特徴とすれば、螺合部分への接着剤の注入が容易になる。
更に、弾性部材は、バレル保持部の上端面の外縁部に接触して配され、挟持部材は、挟持部材が弾性部材を挟持する位置とは離間した位置に切り欠き部が形成されていることを特徴とすれば、注入される接着剤は、弾性部材に接することなく、螺合部分へ確実に注入することができる。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかるカメラモジュールは、外部から入射される光を集光して出射するレンズと、レンズを保持するバレルとを含むレンズユニットと、レンズユニットが螺合され、接着剤によりレンズユニットが固着されるバレル保持部と、レンズにより出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子と、バレル保持部を周方向に摺動可能で、レンズの光軸方向に移動可能な状態にて収納するバレル収納部と、撮像素子を収納する撮像素子収納部とを有する台座マウントと、バレル保持部が台座マウントのバレル収納部に収納された状態を保つように押し付ける弾性部材と、台座マウントに嵌着され、バレル保持部との間で弾性部材を挟持する挟持部材とを備え、挟持部材は、レンズユニットとバレル保持部との螺合部分に接着剤を注入するための切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるカメラモジュールの製造方法は、外部から入射される光を集光して出射するレンズと、レンズを保持するバレルとを含むレンズユニットをバレル保持部に螺合する工程と、レンズユニットが螺合されたバレル保持部を、バレル保持部が周方向に摺動可能で、レンズの光軸方向に移動可能な状態にて、台座マウントのバレル収納部に収納する工程と、台座マウントのバレル収納部に収納されたバレル保持部に弾性部材を配する工程と、台座マウントに挟持部材を嵌着し、挟持部材とバレル保持部との間で弾性部材を挟持する工程と、レンズにより出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子を台座マウントの撮像素子収納部に収納する工程と、レンズから出射される光が撮像素子の受光領域に結像するように、バレル保持部内でレンズユニットの螺合を調節をする工程と、挟持部材に形成された切り欠き部を介して、レンズユニットとバレル保持部との螺合部分に接着剤を注入する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズユニットとバレル保持部との間の螺合部分への接着剤の注入を容易に行うことができる小型のカメラモジュール等を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかるカメラモジュール1を示す外観斜視図であり、図2は、本実施形態にかかるカメラモジュール1の分解斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、カメラモジュール1は、外部から入射される光を集光して出射する複数のレンズを収納して保持し(図3参照)、センサ16(図3参照)の受光領域(撮像エリア)16a(図3参照)上に入射光を結像するレンズユニット2と、レンズユニット2を保持する台座マウントの一例としての台座3とを備えている。台座3には、挟持部材の一例としてのばね押さえ9が嵌め込まれて取り付けられている。ばね押さえ9は、レンズユニット2の結像調節(後述)後に、レンズユニット2とバレル保持部8との螺合部分に接着剤25(図3参照)を注入するための切り欠き部9aが形成されている。また、ばね押さえ9と台座3との間から後述するバレル保持部8(図3参照)のレバー8aが突出している。
台座3は、接着剤(図示省略)を使って回路基板20に接着されている。回路基板20において、台座3が接着された位置とは反対側の端にコネクタ21が接続されている。台座3は、回路基板20に埋め込まれた図示しない回路パターンによってコネクタ21に電気的に接続されている。
【0013】
図2に示すように、カメラモジュール1は、複数のレンズを収納して保持するレンズユニット2と、レンズユニット2が螺合され接着剤によって固着されるバレル保持部8とを有している。また、カメラモジュール1は、バレル保持部8の上端面の外縁部に接触し、バレル保持部8が台座3のレンズ収納部3a(後述)に収納された状態を保つように押し付ける弾性部材の一例としてのばね10と、台座3に嵌着されバレル保持部8との間でばね10を挟持するばね押さえ9とを有している。ばね押さえ9は、台座3に嵌め込まれて固定される。
レンズユニット2が螺合されるバレル保持部8は、台座3に収納される。また、カメラモジュール1は、外光の特定の周波数成分を除去するフィルタ15と、受光領域16aに入射した光を電気信号に変換する撮像素子の一例としてのセンサ16(図3参照)と、フィルタ15とセンサ16との間に配置された方形のガラスカバー17とを備えている。
【0014】
図3は、図1の断面X−X’の位置におけるカメラモジュール1の縦断面図である。
図3に示すように、レンズユニット2は、レンズユニット2本体を構成する略円筒状のバレル2a内に、入射側に配置される第1のレンズ4と出射側に配置される第2のレンズ6とを保持している。また、レンズユニット2は、第1及び第2のレンズ4,6の間に中間環5を備えている。更に、レンズユニット2は、レンズ押さえ7を有しており、第2のレンズ6を所定位置に保持している。
【0015】
バレル2aは、略円筒形状を有している。バレル2aは、外光が入射する端面側に開口部2bが形成されている。バレル2aの外周面には、雄ねじ2cが形成されている。
バレル2aは、例えば、黒色のポリカーボネート(PC)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフタルアミド(PFA)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等の遮光性を有する合成樹脂により構成される。
【0016】
第1及び第2のレンズ4,6は、外光を透過してセンサ16の受光領域(撮像エリア)16aに結像させるための光学素子である。即ち、バレル2aの開口部2bから入射した外光が第1及び第2のレンズ4,6によってセンサ16の受光領域16aに結像させるように、第1及び第2のレンズ4,6が所定の光学系を形成する。尚、本実施形態では、レンズユニット2は、第1及び第2のレンズ4,6という2枚のレンズで構成されるが、レンズは1枚或いは3枚であっても構わない。所定の光学系は、単一のレンズ又は複数枚のレンズ群で構成される。
第1及び第2のレンズ4,6は、例えば、透明なポリカーボネート(PC)樹脂や環状オレフィン(COP)樹脂等の熱可塑性樹脂、或いは、シリコーン樹脂(シリコーンレジン)やガラスなど透光性を有する材料で構成される。
【0017】
中間環5は、薄板円環形状を有している。中間環5は、例えば、カーボンブラックを練り込んだ延伸ポリエステル(PET)等の合成樹脂フィルムで構成されている。中間環5は、第1のレンズ4と第2のレンズ6の面間距離を一定に保つと共に、通過光量を制限する絞り機能を有しており、光学系の開口径を決定する光学絞り、或いは、ゴースト、フレア等の不要光を遮光する遮光絞りとして使われる。
レンズ押さえ7は、略円環形状を有している。レンズ押さえ7は、例えば、黒色のポリカーボネート(PC)樹脂等で構成される。図示しない接着剤にてバレル2aの内壁面に接着されている。
レンズユニット2は、バレル保持部8にねじ込まれる。バレル保持部8の上部にはばね10が取り付けられ、ばね押さえ9が台座3の所定位置に嵌め込まれることによって、レンズユニット2が螺合されたバレル保持部8は台座3のレンズ収納部3aに収納される。
【0018】
バレル保持部8は、例えば、黒色のポリカーボネート(PC)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフタルアミド(PFA)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等の遮光性を有する合成樹脂により構成される。
バレル保持部8は、概ね円筒形状であって、外周面にレバー8a(図1,2参照)が突出して形成されている。このレバー8aを操作することにより、バレル保持部8は台座3のレンズ収納部3a内で摺動して回転する。また、バレル保持部8は、内壁面にバレル2aの雄ねじ2cと螺合する雌ねじ8bが形成されている。この雌ねじ8bの開口部にはテーパ8cが形成されている。
バレル保持部8は、レンズユニット2を収納した状態で台座3にセットされる。このとき、バレル保持部8の下端面が台座3のレンズ収納部3aに形成された環状凹部3eの底面に当接する。
【0019】
ばね押さえ9は、後述するばね10を押さえるように覆いかぶさった状態でばね10を挟持して取り付けられる円環部と、その円環部の周囲に形成されたスカート部とを有している。そして、スカート部が台座3に嵌まり込むことで、ばね押さえ9は台座3に固定される。ばね押さえ9は、円環部の孔にバレル2aが入り込んで配置されている。
ばね押さえ9は、円環部の内周側の壁面に、バレル2aの雄ねじ2cとバレル保持部8の雌ねじ8bとの螺合部分に接着剤25を注入するための切り欠き部9aが中心対称の位置に例えば2箇所設けられている(図2参照)。切り欠き部9aは、ばね押さえ9がバレル保持部8と共にばね10(後述)を挟持する位置とは離間した位置に形成されて、注入される接着剤25がばね10に触れるのを防いでいる。
【0020】
ばね押さえ9は、例えば、黒色のポリカーボネート(PC)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフタルアミド(PFA)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等の遮光性を有する合成樹脂により構成される。ばね押さえ9は、後述する台座3に嵌め込まれ固定されて使用されるので、カメラモジュール1の使用環境下の温度における台座3との膨張差を考慮して材料が選択される。例えば、台座3と同じ材料が好ましい。
ばね10は、略円環形状で、周方向に山と谷とが交互に且つ等間隔に複数形成された波状の薄板である。例えば、板厚が0.05mm程度のリン青銅やSUS鋼板等の一般的なばね材で構成される。ばね10は、バレル保持部8の上端面の外縁部に接触し、バレル保持部8が台座3のレンズ収納部3aに収納された状態を保つように押し付ける。ばね10は、ばね押さえ9と共に、バレル保持部8を上方から下方に向かって押し付ける機能を有している。これにより、バレル保持部8の下端面が台座3の環状凹部3eの底面に当接する。
【0021】
台座3は、レンズユニット2が取り付けられるバレル収納部の一例としてのレンズ収納部3aと、フィルタ15やセンサ16、ガラスカバー17を収容保持する撮像素子収納部の一例としてのセンサ収納部3bとが一体に構成されている。また、台座3は、レンズ収納部3aの内部空間とセンサ収納部3bの内部空間とが連続するように構成されている。また、台座3は、内面から延びて内部空間を狭めるように形成されたフランジ部3cを有する。
更に、台座3のレンズ収納部3aには、内壁面に凸部3dが形成されている。更にまた、フランジ部3cのレンズ収納部3a側の底面でバレル保持部8の下端面が当接する位置には、全周にわたって環状凹部3eが形成されている。
【0022】
台座3は、レンズ収納部3aの内壁面には複数の凸部3dが形成されている。そして、この凸部3dがバレル保持部8の外壁面に接触している。
また、台座3は、レンズ収納部3aの底面(図3におけるレンズ収納部3aの下面)に、内壁面に沿って全周にわたって、環状凹部3eが形成されている。
台座3は、例えば、黒色のポリカーボネート(PC)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフタルアミド(PFA)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等の遮光性を有する合成樹脂により構成される。
【0023】
フィルタ15は、外光の特定の波長成分を除去する薄板の部材である。本実施形態では、多層膜による光の干渉によって赤外光をカットする赤外線除去フィルタ(IRCF:Infrared Cut Filter)を用いている。フィルタ15は、台座3のフランジ部3cに取り付けられる。フィルタ15がフランジ部3cに取り付けられたとき、台座3の内部空間はレンズ収納部3aとセンサ収納部3bの2つに仕切られる。このフィルタ15は、センサ16の近傍に配置されており、センサ16側を密閉して異物がセンサ16側に浸入することを防止している。
センサ16は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ(撮像素子)である。本実施形態では、CSP(Chip Scale Package)構造を有するセンサを用いている。センサ16は、レンズユニット2を介して受光領域16aに結像した光に応じて電気信号を生成し、出力する。
【0024】
ガラスカバー17は、フィルタ15とセンサ16との間に配置されている。ガラスカバー17には、センサ16の受光領域16a側の面をガラスカバー17に向けた状態でセンサ16が固着されている。これにより、センサ16の受光領域16aに埃等が直接落ちることを防いでいる。
ガラスカバー17は、方形を有している。ガラスカバー17は、例えば、ガラス又は石英ガラス等の可視光に対して透光性を有する透明体により構成される。このガラスカバー17の撮像素子側の面(図3における下側)には、配線パターン17aが形成されている。
【0025】
ガラスカバー17の出射面(図3における下面)側には、配線パターン17aが予め設けられている。そして、この配線パターン17aの電極とセンサ16とをつなぐように複数の半田バンプ18が位置している。電極の位置に取り付けられた半田バンプ18によって、センサ16はガラスカバー17に固定されると共に、ガラスカバー17の電極と電気的に接続されている。
ここで、センサ16とガラスカバー17との離間距離は、半田バンプ18の大きさによって決定される。半田バンプ18の大きさを制御することは容易であるから、センサ16とガラスカバー17との位置決めを正確に行うことが可能である。また、複数の半田バンプ18により位置決めすることから、センサ16とガラスカバー17との離間距離が平均化される。
【0026】
ガラスカバー17の出射面側の電極の別の位置には、半田バンプ19が配置されている。この半田バンプ19により、ガラスカバー17と回路基板20との間の電気的な接続が確保される。この半田バンプ19は、ガラスカバー17に固定されているセンサ16と回路基板20とが互いに離間するためのスペーサとしても用いられている。
回路基板20は、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂を主材とする絶縁性材料で構成され、表面に銅等の導体箔層を形成し、更に導体箔層の上に絶縁体層を被せて保護している。本実施形態に使用する回路基板20は、厚さが約0.3mm以上である。尚、ポリイミド樹脂を主体とするフレキシブルプリント基板で構成されても良い。
【0027】
(カメラモジュール1の製造方法)
以上の構成を有するカメラモジュール1の製造方法を以下に説明する。
まず最初に、第1のレンズ4と中間環5と第2のレンズ6とをバレル2a内に収納して、レンズ押さえ7を取り付けて図示しない接着剤により接着してレンズユニット2を組み立てる。そして、組み立てたレンズユニット2をバレル保持部8に螺合(仮固定)する。
【0028】
続いて、レンズユニット2が螺合されたバレル保持部8を、台座3のレンズ収納部3aに収納する。このとき、バレル保持部8は、周方向に摺動可能で、光軸方向に移動可能な状態にて収納される。
台座3のレンズ収納部3aに収納されたバレル保持部8の上端面の外縁部にばね10を配し、台座3にばね押さえ9を嵌着し、ばね押さえ9とバレル保持部8の上端面との間でばねを挟持する。
フィルタ15を台座3のセンサ収納部3bに収納し、センサ16が取り付けられたガラスカバー17が実装された回路基板20にガラスカバー17を覆うように台座3のセンサ収納部3bを被せる。
【0029】
レンズユニット2から出射される光がセンサ16の受光領域16aにて結像するように、バレル保持部8内でレンズユニット2の螺合を調節する。このとき、レバー8aを操作して、レンズユニット2がセンサ16に近い位置(第1の位置)の無限遠モード(標準撮影モード)と、バレル保持部8がセンサ16から離れた位置(第2の位置)の接写モードのいずれの撮影モードにおいても焦点が合うように結像調節をする。
ばね押さえ9に形成された切り欠き部9aからノズル30を挿入して、ノズル30の先端を螺合部分に接触させる。図示しないディスペンサから定量の接着剤25を吐出して、レンズユニット2とバレル保持部8との螺合部分に接着剤25を注入する。
以上の手順により、カメラモジュール1は組み立てられる。
【0030】
このように、本実施形態にかかるカメラモジュール1によれば、ばね押さえ9には、バレル2aの雄ねじ2cとバレル保持部8の雌ねじ8bとの螺合部分には接着剤25を注入するための切り欠き部9aが形成されているので、螺合部分への接着剤25の注入は容易に行うことができる。
また、切り欠き部9aは、バレル保持部8の雌ねじ8bの開口側に形成されているので、雌ねじ8bの開口側から注入された接着剤25を螺合部分全体に浸透させることができる。
更に、バレル保持部8の雌ねじ8bの開口側にはテーパ8cが形成されているので、注入される接着剤25は溢れることなく容易に螺合部分へ入り込むことができる。
更にまた、切り欠き部9aとは離間した位置にばね10は配置されるので、切り欠き部9aから注入された接着剤25は、ばね10に触れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態にかかるカメラモジュールの外観斜視図である。
【図2】図1に示すカメラモジュールの分解斜視図である。
【図3】図1に示す断面X−X’位置でのカメラモジュールの縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…カメラモジュール、2…レンズユニット、2a…バレル、3…台座(台座マウント)、3a…レンズ収納部(バレル収納部)、3b…センサ収納部(撮像素子収納部)、4…第1のレンズ、5…中間環、6…第2のレンズ、7…レンズ押さえ、8…バレル保持部、8a…レバー、9…ばね押さえ(挟持部材)、10…ばね(弾性部材)、16…センサ(撮像素子)、25…接着剤、30…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射される光を集光して出射するレンズと、当該レンズを収納するバレルとを含むレンズユニットと、
前記レンズユニットが螺合され、接着剤により当該レンズユニットが固着されるバレル保持部と、
前記バレル保持部を周方向に摺動可能で、前記レンズの光軸方向に移動可能な状態にて収納するバレル収納部と、当該レンズから出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子を収納する撮像素子収納部とを有する台座マウントと、
前記バレル保持部が前記台座マウントの前記バレル収納部に収納された状態を保つように押し付ける弾性部材と、
前記台座マウントに嵌着され、前記バレル保持部との間で前記弾性部材を挟持する挟持部材と
を備え、
前記挟持部材は、前記レンズユニットと前記バレル保持部との螺合部分に接着剤を注入するための切り欠き部が形成されていることを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記挟持部材は、前記レンズユニットが前記バレル保持部に螺合される雌ねじの開口側に向けて前記切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記バレル保持部は、前記レンズユニットが螺合される雌ねじの開口部にテーパが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記バレル保持部の上端面の外縁部に接触して配され、
前記挟持部材は、当該挟持部材が前記弾性部材を挟持する位置とは離間した位置に前記切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
外部から入射される光を集光して出射するレンズと、当該レンズを保持するバレルとを含むレンズユニットと、
前記レンズユニットが螺合され、接着剤により当該レンズユニットが固着されるバレル保持部と、
前記レンズにより出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子と、
前記バレル保持部を周方向に摺動可能で、前記レンズの光軸方向に移動可能な状態にて収納するバレル収納部と、前記撮像素子を収納する撮像素子収納部とを有する台座マウントと、
前記バレル保持部が前記台座マウントの前記バレル収納部に収納された状態を保つように押し付ける弾性部材と、
前記台座マウントに嵌着され、前記バレル保持部との間で前記弾性部材を挟持する挟持部材と
を備え、
前記挟持部材は、前記レンズユニットと前記バレル保持部との螺合部分に接着剤を注入するための切り欠き部が形成されていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項6】
外部から入射される光を集光して出射するレンズと、当該レンズを保持するバレルとを含むレンズユニットをバレル保持部に螺合する工程と、
前記レンズユニットが螺合された前記バレル保持部を、当該バレル保持部が周方向に摺動可能で、前記レンズの光軸方向に移動可能な状態にて、台座マウントのバレル収納部に収納する工程と、
前記台座マウントの前記バレル収納部に収納された前記バレル保持部に弾性部材を配する工程と、
前記台座マウントに挟持部材を嵌着し、当該挟持部材と前記バレル保持部との間で前記弾性部材を挟持する工程と、
前記レンズにより出射された光を受けて電気信号に変換して出力する撮像素子を前記台座マウントの撮像素子収納部に収納する工程と、
前記レンズから出射される光が前記撮像素子の受光領域に結像するように、前記バレル保持部内で前記レンズユニットの螺合を調節をする工程と、
前記挟持部材に形成された切り欠き部を介して、前記レンズユニットと前記バレル保持部との螺合部分に接着剤を注入する工程と
を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−75270(P2009−75270A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243097(P2007−243097)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】