説明

レンズモジュール、撮像装置、および電子機器

【課題】平板状の変位素子をレンズの駆動用に用いた構成において、小型化および薄型化の達成が可能なレンズモジュールを提供する。
【解決手段】レンズモジュール1-1は、レンズ体3と、光軸zを傾けることなく光軸zに沿ってレンズ体3を移動可能に保持するレンズ保持部材5とを備えている。また、光軸zに沿ったレンズ体3の側方において一端縁を自由端13bとして配置され、電圧の印加によって自由端13bがレンズ体3に接近自在に変位する平板状の変位素子13を備えている。さらに変位素子13の自由端13bに設けられ、変位素子13のレンズ体3への接近によって、レンズ体3において光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれることによりレンズ体3を光軸z方向に押し上げる押上部材15を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、レンズモジュール、撮像装置、および電子機器に関し、特には電圧の印加によって変形する平板状の変位素子を用いてレンズ駆動を行うレンズモジュール、このレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいはPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器の高機能化が著しく進んでおり、レンズモジュールを搭載することにより撮像機能を備えたものが一般的となっている。このような携帯型電子機器においては、カメラモジュールのオートフォーカスを実現するために、レンズを光軸に沿って被写体方向に往復に動かす必要がある。
【0003】
従来、レンズモジュール内のレンズの移動は、ボイスコイルモータやステッピングモータなどを駆動部として行う方法が一般的であったが、最近では、コンパクト化の観点から、ポリマーアクチュエータ素子を駆動部として利用したものが開発されている。ポリマーアクチュエータ素子とは、例えば一対の電極間にイオン交換樹脂膜を挟んで構成されたもので、一対の電極間に電位差が生じることによりイオン交換樹脂膜が膜面に対して直交する方向へ変位する。
【0004】
このようなポリマーアクチュエータ素子を用いたレンズモジュールとして、例えばレンズ群を保持する移動鏡枠を光軸に沿って移動可能に支持するガイド軸を設け、移動鏡枠と光軸方向に重なる位置にポリマーアクチュエータ素子を配置した構成が示されている。このような構成によれば、ポリマーアクチュエータ素子の変形によって移動鏡枠が光軸方向に移動する(例えば下記特許文献1参照)。
【0005】
またこの他の構成として、湾曲方向が互いに異なる1組のポリマーアクチュエータ素子を組み合わせ、このポリマーアクチュエータ素子の一方の端部にレンズを取り付けた構成のレンズモジュールが示されている(例えば下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−293006号公報
【特許文献2】特開2006−172635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示されたレンズモジュールでは、レンズ群を保持する移動鏡枠に対して、光軸方向に重なる位置にポリマーアクチュエータ素子を配置しているため、レンズモジュールおよびこれを用いた電子機器の薄型化が阻害される。
【0008】
また上記特許文献2に示されたレンズモジュールでは、ポリマーアクチュエータ素子の端部にレンズを取り付けているため、レンズの移動範囲を大きくするにはポリマーアクチュエータ素子にある程度の長さが必要になる。これは、レンズモジュールおよびこれを用いた電子機器の小型化を阻害する要因となる。
【0009】
そこで本技術は、平板状の変位素子をレンズの駆動用に用いた構成において、小型化および薄型化の達成が可能なレンズモジュールを提供し、これによってレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器の小型化および薄型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するための本技術のレンズモジュールは、レンズ体と、光軸を傾けることなく当該光軸に沿ってレンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材とを備えている。また、光軸に沿ったレンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端がレンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子を備えている。さらに変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子のレンズ体への接近によって、当該レンズ体において光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材を備えている。
【0011】
このような構成のレンズモジュールによれば、変位素子の自由端の変位により、自由端に設けた押上部材がレンズ体の一端面側に差し込まれてレンズ体が押し上げられる。この際、レンズ保持部材に保持されたレンズ体は、光軸を傾けることなく光軸に沿って移動する。これにより、光軸方向へのチルトのないレンズ体の移動が、レンズ体の側方に光軸に沿って配置された変位素子の変位によってなされることになる。したがって、レンズ体の光軸方向に変位素子を重ねたり、変位素子の端部にレンズ体を保持させた構成と比較し、レンズモジュールの薄型化および小型化を達成することが可能になる。
【0012】
また本技術は、このようなレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器でもある。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本技術によれば、レンズ体の側方において光軸に沿って配置した変位素子の変位によって、当該レンズ体をチルトなく光軸方向に移動させることができる。このため、レンズモジュールおよびこれを用いた撮像装置および電子機器の薄型化および小型化を達成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図2】第1実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。
【図3】ポリマーアクチュエータ素子の詳細構成例と基本動作について説明するための断面模式図である。
【図4】第2実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図5】第3実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図6】第3実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。
【図7】第4実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図8】第4実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。
【図9】第5実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図10】第5実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図である。
【図11】第6実施形態の撮像装置の構成図である。
【図12】第7実施形態の電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.第1実施形態(レンズモジュール)
2.第2実施形態(支持体に平板を用いたレンズモジュール)
3.第3実施形態(支持体にリンクバーを用いたレンズモジュール)
4.第4実施形態(変位素子の両端を自由端としたレンズモジュール)
5.第5実施形態(変位素子の下端を自由端としたレンズモジュール)
6.第6実施形態(撮像装置)
7.第7実施形態(電子機器)
【0016】
≪1.第1実施形態≫(レンズモジュール)
図1は第1実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図2は第1実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。以下に、これらの図に基づいて、第1実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。
【0017】
[第1実施形態のレンズモジュールの構成]
図1および図2に示すレンズモジュール1-1は、例えば撮像装置や光ピックアップ装置に設けられるものであって、光軸zを傾けることなく光軸zに沿ってレンズLnを移動させるためのものである。このようなレンズモジュール1-1は、レンズLnで構成されたレンズ体3と共に、レンズ体3を移動可能に保持するレンズ保持部材5を備えている。このレンズ保持部材5は、保持体7、固定体9、および支持体11で構成される。さらにレンズモジュール1-1は、レンズ体3を移動させるための駆動源となる平板状の変位素子13と、変位素子13の自由端13bに設けられた押上部材15とを備えている。次に、これらの各構成要素の詳細を順次説明する。
【0018】
<レンズ体3>
レンズ体3は、撮像装置や光ピックアップ装置の対物レンズを用いて構成されたものである。このレンズ体3は、複数枚のレンズLnを光軸z方向に組み合わせてバレル状に一体化したもの、またはレンズLn単体であっても良い。バレル状のレンズ体3であれば、円筒型または直方体型のどちらであっても良く、さらに光軸z方向に配置される各レンズLnの径に合わせて、レンズ体3の径が光軸z方向に変化していても良い。図示した一例では、光軸zに沿って径の大きさ順に複数のレンズLnが配置され、これに追従して円筒型バレル状のレンズ体3の径が光軸zに沿って拡大した構成となっている。
【0019】
<レンズ保持部材5>
レンズ保持部材5は、レンズ体3の光軸zを傾けることなく、この光軸zに沿ってレンズ体3を移動可能に保持するものである。このようなレンズ保持部材5は、例えば以下に説明するように、レンズ体3を保持する保持体7と、保持体7に対向配置された固定体9と、保持体7と固定体9との間に掛け渡された複数の支持体11とで構成されている。
【0020】
<保持体7>
保持体7は、レンズ体3を光軸zに沿った側壁において保持するものであって、レンズ体3の光軸zに沿って配置されている。ここでは、例えばレンズ体3の光軸zと垂直方向に延設された2本の平板状の保持体7が、光軸zの延設方向に沿って並列に配置されている例を示した。これらの保持体7に対して、アーム状のレンズホルダー7aを介してレンズ体3が固定された状態となっている。したがって、レンズホルダー7aは、保持体7の一部を構成するものでもある。尚、保持体7は、このような平板状の物に限定されることはなく、安定的にレンズ体3を保持できれば剛性を有するワイヤー状であっても良い。この場合、保持体7は、次に説明する支持体11と一体化したものであっても良い。
【0021】
<固定体9>
固定体9は、このレンズモジュール1-1を撮像装置や光ピックアップ装置の筐体内に固定するための部材である。この固定体9は、保持体7との間にレンズ体3を挟んだ状態で、保持体7に対して対向配置された壁部9aを有する。この壁部9aは、光軸zと垂直方向の幅が保持体7と同程度かそれ以上であることとする。
【0022】
また固定体9は、壁部9aの一端側からレンズ体3の光軸zに垂直な方向に延設された台座9bを備えている。この台座9bは、レンズ体3と重ねて配置される。尚、説明のため、図2の底面図においては台座9bの図示は省略した。
【0023】
この台座9bには、レンズ体3で集光された光を通過させる開口9c(側面図参照)が設けられていることとする。この台座9bにおいて、レンズ体3が配置される側の上面で、後に説明する押上部材15が載置される面には、押上部材15と嵌合する軌道aが設けられている。この軌道aは、変位素子13の自由端13bの変位による押上部材15の移動経路に沿って配置され、例えば図示したような溝形状で形成されるか、または凸条(レール形状)に形成されていることとする。
【0024】
<支持体11>
支持体11は、レンズ体3を挟む位置において保持体7と固定体9の壁部9aとの間に複数本が掛け渡され、保持体7およびこれに保持されたレンズ体3を光軸zに沿って移動可能に支持するものである。これらの各支持体11は、ある程度の剛性を有しつつも可撓性を有する材料で構成されることとする。このような材料として弾性ワイヤーが用いられる。弾性ワイヤーは、曲げた状態であっても直線状に戻る復元力を有する材料である。
【0025】
以上のような各支持体11は、レンズ体3を側壁方向から挟んだ位置に2本ずつ、合計4本が配置される。レンズ体3の一方側に配置された2本の支持体11,11は、光軸zに沿って異なる高さ位置に配置されている。またレンズ体3の他方側に配置された2本の支持体11,11も、光軸zに沿って異なる高さ位置に配置されている。ここで、レンズ体3を挟んで配置された一対の支持体11,11は、例えば光軸zに対して同一高さに配置される。
【0026】
以上の各支持体11は、同一の長さおよび同等の復元力を備えていることとする。これにより、レンズ体3に力が加わらない初期状態においては、図2Aの側面図に示すように、保持体7および固定体9の壁部9aに対して支持体11が90°に保たれ、レンズ体3の光軸zと支持体11が90°に保たれる。また、保持体7およびレンズ体3に力が加わった場合であっても、この初期状態に戻ろうとする。
【0027】
また各支持体11と、固定体9の壁部9aとの連結部、および保持体7との連結部には、支持体11が光軸zと平行な面内のみで湾曲するように、ねじれ防止体17が設けられている。このねじれ防止体17は、例えばL字型の弾性ヒンジが用いられる。
【0028】
<変位素子13>
変位素子13は、電圧の印加によって変形する素子であって、ここでは電圧の印加によって湾曲する平板状の素子であることとする。この変位素子13は、保持体7側において光軸zに沿ったレンズ体3の側方に配置され、光軸zに平行な一端縁を固定部13aとして固定体9の台座9bに固定されている。この固定部13aには、全長にわたって電極端子19を接続させておく。一方、この固定部13aに対向する他端縁を自由端13bとする。これにより、電極端子19から変位素子13の固定部13aに電圧を印加して変位素子13を変形させた場合、変位素子13の自由端13bをレンズ体3に接近自在に変位させることが可能になる。
【0029】
以上のような変位素子13は、例えばポリマーアクチュエータ素子であることとする。図3には、ポリマーアクチュエータ素子の詳細構成例と基本動作について説明するための断面模式図を示す。図3に示すように、変位素子(13)として設けられるポリマーアクチュエータ素子21は、イオン導電性高分子化合物膜23(以下、単に高分子化合物膜23という)の両面に一対の電極膜25A,25Bが接着された断面構造を有する。換言すると、ポリマーアクチュエータ素子21は、一対の電極膜25A,25Bと、これらの電極膜25A,25Bの間に挿設された高分子化合物膜23とを有している。尚、ポリマーアクチュエータ素子21全体、または電極膜25A,25Bの露出面は、それらの周囲が、高弾性を有する材料(例えばポリウレタンなど)からなる絶縁性の保護膜によって覆われていてもよい。尚、この高分子化合物膜23は、エレクトロアクティブポリマー(Electro Active Polymer:EAP)シートとも言われる。
【0030】
以上のようなポリマーアクチュエータ素子21は、次のように動作する。まず、陽イオン物質として、陽イオンと極性溶媒とを含むものを用いた場合について説明する。
【0031】
この場合、図3Aに示すように、電圧無印加状態におけるポリマーアクチュエータ素子21は、陽イオン物質が高分子化合物膜23中にほぼ均一に分散することから、湾曲することなく平面状となる。ここで、図3Bに示すように、電圧印加手段27を用いて電圧印加状態とすると、ポリマーアクチュエータ素子21は以下のような挙動を示す。すなわち、例えば電極膜25Aがマイナスの電位、電極膜25Bがプラスの電位となるように電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜25A側に移動する。この際、高分子化合物膜23中では陰イオンがほとんど移動できないため、高分子化合物膜23では、電極膜25A側が膨潤し、電極膜25B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25B側に湾曲する。こののち、電極膜25A,25Bの間の電位差を無くし、電圧無印加状態とすると、高分子化合物膜23中において電極膜25A側に偏っていた陽イオン物質(陽イオンおよび極性溶媒)が拡散し、図3Aに示した平面状態に戻る。また、図3Aに示した電圧無印加状態から、電極膜25Aがプラスの電位、電極膜25Bがマイナスの電位となるように、電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜25B側に移動する。この場合、高分子化合物膜23では、電極膜25A側が収縮して電極膜25B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25A側に湾曲する。
【0032】
次に、陽イオン物質として、液状の陽イオンを含むものであるイオン液体を用いた場合について説明する。
【0033】
この場合においても、図3Aに示すように、電圧無印加状態では、イオン液体が高分子化合物膜23中にほぼ均一に分散しているので、ポリマーアクチュエータ素子21は平面状となる。ここで、図3Bに示すように、電圧印加手段27を用いて電圧印加状態とすると、ポリマーアクチュエータ素子21は以下のような挙動を示す。例えば電極膜25Aがマイナスの電位、電極膜25Bがプラスの電位となるように電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加する。これにより、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜25A側に移動するが、陰イオンは陽イオン交換膜である高分子化合物膜23中を移動できない。このため高分子化合物膜23では、その電極膜25A側が膨潤し、電極膜25B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25B側に湾曲する。この後、電極膜25A,25Bの間の電位差を無くし、電圧無印加状態とすると、高分子化合物膜23中において電極膜25A側に偏っていた陽イオンが拡散し、図3Aに示した平面状態に戻る。また、図3Aに示した電圧無印加状態から、電極膜25Aがプラスの電位、電極膜25Bがマイナスの電位となるように、電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜25B側に移動する。この場合、高分子化合物膜23では、電極膜25A側が収縮して電極膜25B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25A側に湾曲する。
【0034】
以上のような駆動に際しては、ポリマーアクチュエータ素子21の耐電圧以上の電圧(例えば、3V程度)が、電極膜25A,25Bに長時間(例えば、1秒程度)印加されないようにするのが良い。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21の耐久性を向上させることができるからである。尚、変位素子13は、電圧の印加によって変形する平板状の素子であれば、上述したポリマーアクチュエータ素子に限定されることはない。このような変位素子13の他の例としては、例えば形状記憶合金を用いたものや、ピエゾ素子が例示される。
【0035】
また、以上のような変位素子13は、電極端子19の長さが大きいほど自由端13bに大きな推力を得ることができ、また電極端子19から自由端13bまでの長さが大きいほど自由端13bの変位量を大きくすることができる。このため、変位素子13の平面形状は、図示したように単純な矩形形状であっても良いが、自由端13bが台座9bの上面に接するか近接して存在すれば、固定部13a側の長さよりも自由端13b側の長さを短くした台形形状であっても良い。
【0036】
<押上部材15>
押上部材15は、変位素子13の自由端13bに設けられ、変位素子13のレンズ体3への接近によって、レンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれ、これによりレンズ体3を光軸z方向に押し上げるものである。
【0037】
この押上部材15は、変位素子13の自由端13bからレンズ体3側に突出する状態で自由端13bに固定され、台座9bの上部に載置されている。押上部材15の形状は、自由端13bから先端に向かって薄型化した直角三角柱形状であり、自由端13bに固定された面と、台座9bに載置された面と、レンズ体3側に向かって傾斜した傾斜面とを備えている。これにより、変位素子13の自由端13bがレンズ体3に近接して移動した場合に、押上部材15の先端が台座9bとレンズ体3を保持する保持体7およびレンズホルダー7aとの間に差し込まれ易くなっている。また、差し込まれた押上部材15の位置によって、レンズ体3の光軸z方向へ変位量が調整される構成となっている。つまり、押上部材15は、変位素子13の自由端13bの変位によって押上部材15が横方向に移動する力を、これとは垂直な方向に変換してレンズ体3を押し上げる部材である。
【0038】
このような押上部材15は、台座9bの上面に対してレンズ体3を押し上げる傾斜面の斜度が45°であれば、変位素子13の湾曲による押上部材15の変位量を、レンズ体3の光軸z方向への変位量(以下、昇降量とする)に1:1で変換することができる。また、この傾斜面の斜度が45°より小さい場合、押上部材15の変位量に対するレンズ体3の昇降量は小さくなるが、押上部材15の変位量に対する変位素子13の自由端13bに必要な押圧力は小さくなる。これに対して、この傾斜面の斜度が45°より大きい場合、押上部材15の変位量に対するレンズ体3の昇降量は大きくなるが、押上部材15の変位量に対する変位素子13の自由端13bに必要な押圧力は大きくなる。したがって、変位素子13の変位特性によって、押上部材15の傾斜面の斜度を調整すれば良く、レンズ体3の昇降速度や昇降に必要な推力は、押上部材15の傾斜面の斜度によっても調整される。さらに、レンズ体3の昇降量、すなわちストロークは、押上部材15における傾斜面の高さによって調整される。
【0039】
尚、押上部材15の形状は、押上部材15の先端が台座9b側に向かって徐々に薄型化していれば、三角柱形状に限定されることはなく、レンズ体3を押し上げる面が湾曲した形状に整形されていても良い。
【0040】
以上のような押上部材15は、レンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれた場合に、レンズ体3のレンズLnと重なることのない位置に設けられることが重要である。
【0041】
また、押上部材15の台座9bに向かう面には、台座9bに設けた軌道aに嵌合する突起部15aが設けられていて良い。尚、軌道aが、凸条(レール形状)である場合、押上部材15の台座9bに向かう面には、レールに嵌合する溝が設けられる。
【0042】
ここで、レンズ体3または保持体7において、押上部材15の先端が差し込まれる導入部となる出隅部分には、切り欠き部bが設けられている。ここでは、保持体7とレンズホルダー7aとに、切り欠き部bが設けられている。これにより変位素子13の自由端13bの変位によって、押上部材15の移動方向のみにレンズ体3および保持体7が押し圧され、変位素子13が押し圧方向と逆にあおられることを防止する。尚、切り欠き部bは、レンズ体3または保持体7において、押上部材15の先端が差し込まれる導入部となる出隅部分に丸みを付けたラウンド形状であっても良い。
【0043】
さらに、レンズ体3または保持体7において、押上部材15の先端が差し込まれる部分は、押上部材15の傾斜面に沿って整形されていても良い。これにより、レンズ体3を押上げた状態で、この整形された面部分を押上部材15の傾斜面に面接触させることができ、状態の安定化を図ることができる。
【0044】
尚、押上部材15と台座9bとの接触面は、すべりが良好となるような材質で構成されていれば良い。
【0045】
[第1実施形態のレンズモジュールの駆動]
次にレンズモジュール1-1の駆動について説明する。先ず図1および図2Aに示すように、変位素子13に対して電圧を印加しない状態では、変位素子13は湾曲することなく平面状に保たれる。このため、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に押上部材15が差し込まれることはない。したがって、弾性ワイヤーからなる4本の支持体11は、直線状に保たれ、レンズ体3は台座9bの直上に維持される。
【0046】
一方、図2Bに示すように、変位素子13に電圧を印加することにより、変位素子13を湾曲させた状態では、変位素子13の自由端13bに固定した押上部材15が移動する。押上部材15の移動は、自由端13bの変位に沿って敷設された軌道aに導かれる。これにより、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に押上部材15が差し込まれ、保持体7に保持されたレンズ体3が押し上げられる。この際、保持体7と固定体9の壁部9aとの間は、同一長さの弾性ワイヤーからなる4本の支持体11で連結されているため、保持体7と固定体9の壁部9aとが対向状態を保ったまま、光軸zを傾けることなくレンズ体3が光軸z方向に押し上げられる。特に、各支持体11と、保持体7との連結部、および固定体9の壁部9aとの連結部には、ねじれ防止体17が設けられ、支持体11が光軸zと平行な面内のみで湾曲するように構成されている。これにより、保持体7と固定体9の壁部9aとの対向状態が確実に保たれ、光軸zを傾けることなく、すなわちチルト無くレンズ体3が光軸z方向に持ち上げられる。
【0047】
またこの状態から変位素子13への電圧の印加を停止すると、図2Aに示したように変位素子13が湾曲状態から平面状に戻る。これにより、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に差し込まれていた押上部材15は、保持体7およびレンズホルダー7aの下方から引き出される。これにともない、支持体11が直線状に復元し、レンズ体3は光軸zを傾けることなく台座9bの直上に引き戻される。
【0048】
以上の駆動において、レンズ体3の光軸z方向への昇降量は、変位素子13の自由端13bの変位量、すなわち変位素子13に対する電圧の印加量、さらには押上部材15の傾斜面の高さによって制御される。また、変位素子13の湾曲方向は、上述した変位素子13の構成において説明したように、変位素子13を構成する電極への電圧の印加状態によって制御される。
【0049】
[第1実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第1実施形態のレンズモジュール1-1によれば、レンズ体3の側方に光軸zに沿って配置された変位素子13の変位によって、光軸z方向を保ったレンズ体3の移動がなされる。尚、支持体11として設けた弾性ワイヤーは非常に細い針のようなもので構成可能である。このため、レンズ体3の光軸z方向に変位素子13を重ねたり、変位素子13の端部にレンズ体3を保持させた構成と比較して、レンズモジュールの薄型化および小型化を達成することが可能になる。またこれにより、レンズLnの口径に対して、レンズモジュール1-1の外径を小さくすることが可能となる。
【0050】
また変位素子13は、その自由端13bを変位させる機能を有していれば良いため、単純な矩形形状や台形形状であれば良い。したがって、例えばポリマーアクチュエータ素子であれば、EAPシートの形状が単純化される。このため、例えばレンズ体の光軸側に重ねてポリマーアクチュエータ素子を配置する場合と比較し、1シートあたりのEAPシート(ずなわちポリマーアクチュエータ素子)の収率(取れ個数)が飛躍的に増加し、コストを下げることが可能になる。
【0051】
≪2.第2実施形態≫(支持体に平板を用いたレンズモジュール)
図4は、第2実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。以下、図4に基づいて、第2実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールと同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0052】
[第2実施形態のレンズモジュールの構成]
図4に示すレンズモジュール1-2が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、保持体7と固定体9の壁部9aとの間に、薄い平板で構成された平板状支持体11aが掛け渡されているところにあり、他の構成は同様である。これらの平板状支持体11aは、例えば剛性を有する金属材料で構成されており、レンズ体3の光軸z方向に薄い平板で構成されている。これにより、平板状支持体11aは、板厚の薄い方向、すなわち光軸zと平行な方向のみに可撓性を有すると共に、金属材料の持つ剛性によって曲げても直線状に戻る復元力を有する。
【0053】
このような平板状支持体11aは、レンズ体3の径が比較的小さい部分においてレンズ体3を挟む位置に2本が配置されている。これらの平板状支持体11aは、例えば光軸zに対して同一高さに配置されることとする。またレンズ体3の比較的径が大きい部分には、第1実施形態で説明したと同様の状態で、弾性ワイヤーからなる2本の支持体11が配置されていることとする。
【0054】
これらの支持体11と平板状支持体11aとは、同一の長さと同等の復元力とを備えていることとする。これにより、レンズ体3に力が加わらない通常状態においては、保持体7および固定体9の壁部9aに対して支持体11,11aが90°に保たれ、レンズ体3の光軸zと支持体11,11aが90°に保たれる。また、保持体7およびレンズ体3に力が加わった場合であっても、この状態に戻ろうとする。
【0055】
尚、弾性ワイヤーからなる支持体11と、保持体7との連結部および固定体9との連結部には、支持体11が光軸zと平行な面内のみで湾曲するように、ねじれ防止体17が設けられている。一方、平板状支持体11aは、板厚の薄い方向、すなわち光軸zと平行な方向のみに可撓性を有するため、保持体7との連結部および固定体9との連結部にねじれ防止体17を設ける必要はない。
【0056】
[第2実施形態のレンズモジュールの駆動]
以上のようなレンズモジュール1-2の駆動は、第1実施形態のレンズモジュールの駆動と同様に行われる。
【0057】
[第2実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第2実施形態のレンズモジュール1-2であっても、レンズ体3の側方に光軸zに沿って配置された変位素子13の変位によって、光軸z方向を保ったレンズ体3の移動がなされる。このため、第1実施形態のレンズモジュールと同様の効果を得ることが可能である。また、平板状支持体11aを設けたことにより、レンズ体3をチルト無く安定した姿勢に保つことが可能になる。また平板状支持体11aを設けたことにより、連結部分にはねじれ防止体17を設ける必要はない。このため第1実施形態のレンズモジュールよりも部品点数を削減することができる。尚、本第2実施形態では、レンズ体3の径が比較的小さい部分に2本の平板状支持体11aを配置する構成とした。しかしながら、支持体の配置に余裕があれば、他の部分の支持体11も平板状支持体11aに置き換えても良い。
【0058】
≪3.第3実施形態≫(支持体にリンクバーを用いたレンズモジュール)
図5は第3実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図6は第3実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。以下に、これらの図に基づいて、第3実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールと同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0059】
[第3実施形態のレンズモジュールの構成]
図5および図6に示すレンズモジュール1-3が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、保持体7と固定体9の壁部9aとの間に、支持体としてリンクバー31と連結部材33とを設けたところにあり、他の構成は同様である。これらのリンクバー31は、保持体7と固定体9の壁部9aとの間に掛け渡されている。またリンクバー31と固定体9の壁部9aとの連結部、およびリンクバー31と保持体7との連結部には、リンクバー31を回動自在に連結する連結部材33が設けられている。
【0060】
<リンクバー31>
このうちリンクバー31は、保持体7と固定体9の壁部9aとの間に複数本掛け渡され、レンズ体3の側壁に沿って平行リンク機構を構成するものである。各リンクバー31は、同一の長さを有し、剛性を有し撓みの発生が抑えられた材料で構成されば良く、断面形状は平板状、円形、楕円形など、特に限定されることはない。
【0061】
以上のような各リンクバー31の配置状態は、第1実施形態で説明した支持体の配置状態と同様であって、レンズ体3を側壁方向から挟んだ位置に2本ずつ、合計4本が配置される。レンズ体3の一方側に配置された2本のリンクバー31,31は、光軸zに沿って異なる高さ位置に配置され、保持体7と固定体9の壁部9aと共に、平行リンク機構を構成している。またレンズ体3の他方側に配置された2本のリンクバー31,31も、光軸zに沿って異なる高さ位置に配置され、保持体7と固定体9の壁部9aと共に、平行リンク機構を構成している。ここで、レンズ体3を挟んで配置された一対のリンクバー31,31は、光軸zに対して同一高さに配置されることとする。
【0062】
これにより、光軸zの一方向に配置された2本のリンクバー31,31と固定体9の壁部9aと保持体7とで構成された1対の平衡リンク機構が、光軸zに対して同一高さにおいてレンズ体3を側壁方向から挟む状態で配置されることになる。
【0063】
<連結部材33>
連結部材33は、保持体7および固定体9の壁部9aに対して、各リンクバー31を回動自在に連結するための部材である。この連結部材33は、保持体7と固定体9の壁部9aとの間に掛け渡されたリンクバー31を一定状態に保持しながらも、リンクバー31に力を加えることによって光軸zと平行な面においてリンクバー31を回動自在に連結する。ここでは、力が加わらない初期状態においては、図6A側面図に示すように、平行リンク機構の内角θ(ここではリンクバー31と固定体9の壁部9aとのなす角度)は、90°に保たれることとする。このような連結部材33としては、例えば弾性ヒンジ、ストッパ付きの兆番、さらにはコイルバネ等が用いられる。
【0064】
[第3実施形態のレンズモジュールの駆動]
次にレンズモジュール1-3の駆動について説明する。先ず図5および図6Aに示すように、変位素子13に対して電圧を印加しない初期状態では、変位素子13は湾曲することなく平面状に保たれる。このため、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に押上部材15が差し込まれることはない。
【0065】
この状態においては、4本のリンクバー31にも力が加わることはない。したがって、これらのリンクバー31と保持体7と固定体9の壁部9aとで構成される平行リンク機構は矩形であって内角θ=90°に保たれ、レンズ体3は台座9bの直上に維持される。
【0066】
一方、図6Bに示すように、変位素子13に電圧を印加することにより、変位素子13をレンズ体3側に湾曲させた状態では、変位素子13の自由端13bに固定した押上部材15が移動する。押上部材15の移動は、自由端13bの変位に沿って敷設された軌道aに導かれる。これにより、押上部材15が、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に差し込まれ、保持体7に保持されたレンズ体3が押し上げられる。
【0067】
この際、保持体7と固定体9の壁部9aとの間には、4本の同一長さのリンクバー31が連結されているため、保持体7と固定体9の壁部9aとが対向状態を保ったまま、光軸zを傾けることなくレンズ体3が光軸z方向に押し上げられる。特に、リンクバー31と、保持体7との連結部、および固定体9の壁部9aとの連結部には、光軸zと平行な面においてリンクバー31を回動自在に連結する連結部材33が設けられている。これにより、保持体7と固定体9の壁部9aとの対向状態が確実に維持され、光軸zの傾きなくレンズ体3が光軸z方向に持ち上げられる。この状態においては、リンクバー31と保持体7と固定体9の壁部9aとで構成される平行リンク機構において、リンクバー31と固定体9の壁部9aとが成す内角θは、内角θ=(90+α)°に変位する。
【0068】
またこの状態から、変位素子13への電圧の印加を停止すると、図6Aに示したように変位素子13が湾曲状態から平面状に戻る。これにより、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に差し込まれていた押上部材15は、保持体7およびレンズホルダー7aの下方から引き出される。これにともない、リンクバー31と保持体7と固定体9の壁部9aとで構成される平行リンク機構の内角θは、内角θ=90°に戻され、レンズ体3は光軸zを傾けることなく台座9bの直上の初期の位置に戻される。
【0069】
以上の駆動において、レンズ体3の光軸z方向への昇降量は、変位素子13の自由端13bの変位量、すなわち変位素子13に対する電圧の印加量、さらには押上部材15の傾斜面の高さによって制御される。また、変位素子13の湾曲方向は、上述した変位素子13の構成において説明したように、変位素子13を構成する電極への電圧の印加状態によって制御される。
【0070】
[第3実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第3実施形態のレンズモジュール1-3であっても、レンズ体3の側方に光軸zに沿って配置された変位素子13の変位によって、光軸z方向を保ったレンズ体3の移動がなされる。このため、第1実施形態のレンズモジュールと同様の効果を得ることが可能である。
【0071】
≪4.第4実施形態≫(変位素子の両端を自由端としたレンズモジュール)
図7は第4実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図8は第4実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。以下に、これらの図に基づいて、第4実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールと同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0072】
[第4実施形態のレンズモジュールの構成]
図7および図8に示すレンズモジュール1-4が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、変位素子13に2つの自由端13b,13bが設けられているところにあり、他の構成は同様であることとする。すなわち変位素子13は、保持体7側において光軸zに沿ったレンズ体3の側方に配置され、光軸zに平行な中央部を固定部13aとして固定体9の台座9bに固定されている。この固定部13aには、全長にわたって電極端子19を接続させておく。そして、この固定部13aに対する変位素子13の両側の端縁を、それぞれ自由端13b,13bとする。これにより、電極端子19から変位素子13の固定部13aに電圧を印加して変位素子13を変形させた場合、変位素子13の両端に配置された自由端13b,13bがレンズ体3に接近自在に変位することになる。
【0073】
尚、このような変位素子13の平面形状は、図示したように単純な矩形形状であって良いが、各自由端13b,13bが台座9bの上面に接するか近接して存在すれば、固定部13a側の長さよりも各自由端13b側の長さを短くした形状であっても良い。さらに変位素子13は、固定部13aにおいて分割された2つの変位素子で構成されていても良い。このような変位素子13は、電圧の印加によって変形する平板状の素子であれば、ポリマーアクチュエータ素子を用いても良く、さらに他の例としては、例えば形状記憶合金を用いたものや、ピエゾ素子が例示されることは、第1実施形態と同様である。
【0074】
以上のような変位素子13における2つの自由端13b,13bには、それぞれ押上部材15が固定される。これらの押上部材15は、第1実施形態で説明した押上部材15と同様であり、変位素子13のレンズ体3への接近によってレンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれることにより、レンズ体3を光軸z方向に押し上げるものである。
【0075】
以上のような各押上部材15は、光軸zを挟んだ保持体7の両側に、互いにある程度の間隔を有して配置される。また、各押上部材15は、レンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれた場合に、レンズ体3のレンズLnと重なることのない位置に設けられることが重要であることは第1実施形態と同様である。
【0076】
また各押上部材15が対向する台座9bの上面には、各押上部材15と嵌合する軌道aがそれぞれ設けられている。これらの軌道aは、変位素子13の各自由端13bの変位による各押上部材15の移動経路に沿ってそれぞれ配置され、例えば図示したような溝形状で形成されるか、または凸条(レール形状)に形成されていることとする。
【0077】
各押上部材15において台座9bに向かう面には、台座9bに設けた軌道aに嵌合する突起部15aがそれぞれ設けられている。尚、軌道aが、凸条(レール形状)である場合、押上部材15の台座9bに向かう面には、レールに嵌合する溝が設けられる。
【0078】
さらに、レンズ体3および保持体7において、各押上部材15の先端が差し込まれる導入部となる各出隅部分には、切り欠き部bがそれぞれ設けられる。これにより変位素子13の自由端13bの変位によって、各押上部材15の移動方向のみにレンズ体3および保持体7が押し圧され、変位素子13が押し圧方向と逆にあおられることを防止する。尚、切り欠き部bは、レンズ体3または保持体7において、2つの押上部材15の先端が差し込まれる導入部となる各出隅部分に丸みを付けたラウンド形状であっても良い。
【0079】
さらに、レンズ体3または保持体7において、押上部材15の先端が差し込まれる各部分は、押上部材15の傾斜面に沿って整形されていても良い。これにより、レンズ体3を押上げた状態で、この整形された面部分を押上部材15の傾斜面に面接触させることができ、状態の安定化を図ることができる。
【0080】
尚、押上部材15と台座9bとの接触面は、すべりが良好となるような材質で構成されていれば良いことも第1実施形態と同様である。
【0081】
[第4実施形態のレンズモジュールの駆動]
以上のようなレンズモジュール1-4の駆動は、第1実施形態のレンズモジュールの駆動と同様に行われる。この際、変位素子13に設けた2つの自由端13b,13bに固定した各押上部材15の移動により、レンズ体3の昇降がなされる。
【0082】
[第4実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第4実施形態のレンズモジュール1-4であっても、レンズ体3の側方に光軸zに沿って配置された変位素子13の変位によって、光軸z方向を保ったレンズ体3の移動がなされる。このため、第1実施形態のレンズモジュールと同様の効果を得ることが可能である。さらに、本第4実施形態のレンズモジュール1-4においては、2つの押上部材15が、光軸zを挟んだ保持体7の両側にある程度の間隔を有して配置される。このため、レンズ体3を昇降させる力が強く、しかもレンズ体3を光軸zに対してチルトなく昇降させる効果が高い。
【0083】
尚、本第4実施形態は、第2実施形態と組み合わせ平板状支持体を用いることができ、組み合わせることによって第2実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また本第4実施形態は、第3実施形態と組み合わせ平行リンク機構を適用しても良い。
【0084】
≪5.第5実施形態≫(変位素子の下端を自由端としたレンズモジュール)
図9は第5実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図10は第5実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図および底面図である。以下に、これらの図に基づいて、第5実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールとの同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0085】
[第5実施形態のレンズモジュールの構成]
図9および図10に示すレンズモジュール1-5が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、変位素子13の固定部13aおよび自由端13bが、レンズ体3の光軸zと垂直な端縁に設定されているところにある。また、自由端13bに固定された押上部材51が、自由端13bにおいてレンズ体3の光軸と垂直な方向に延設されているところにある。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0086】
<変位素子13>
すなわち平板状の変位素子13は、保持体7側において光軸zに沿ったレンズ体3の側方に配置され、光軸zに垂直な端縁を固定部13aとし、ここでの図示を省略した部材によって固定体9の例えば台座9bに固定されている。この固定部13aには、全長にわたって電極端子19を接続させておく。この変位素子13は、固定部13aから台座9bに向かって垂下され、垂下された他端縁を自由端13bとしている。自由端13bは、台座9bの上面に対して近接して配置される。これにより、電極端子19からの電圧の印加によって変位素子13を変形させた場合、変位素子13の自由端13bが、レンズ体3において光軸zと垂直をなす一端面側(ここでは下端面)に対してに接近自在に変位することになる。
【0087】
尚、このような変位素子13の平面形状は、図示したように単純な矩形形状であって良く、これにより固定部13aと電極端子19との接続長さを確保でき、かつ自由端13bに固定する押上部材51の長さを確保できる。さらに、このような変位素子13は、電圧の印加によって変形する平板状の素子であれば、ポリマーアクチュエータ素子を用いても良く、さらに他の例としては、例えば形状記憶合金を用いたものや、ピエゾ素子が例示されることは、第1実施形態と同様である。
【0088】
<押上部材51>
押上部材51は、変位素子13の自由端13bに、自由端13bの全長にわって設けられている。この押上部材51は、変位素子13のレンズ体3への接近によって、レンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれることにより、レンズ体3を光軸z方向に押し上げるものである。
【0089】
この押上部材51は、変位素子13の自由端13bからレンズ体3側に突出する状態で自由端13bに固定され、台座9bの上部に載置されている。押上部材51の形状は、自由端13bから先端に向かって薄型化した直角三角柱形状であり、自由端13bに固定された面と、台座9bに載置された面と、レンズ体3側に向かって傾斜した傾斜面とを備えている。これにより、変位素子13の自由端13bがレンズ体3に近接して移動した場合に、押上部材51の先端が台座9bとレンズ体3を保持する保持体7およびレンズホルダー7aとの間に差し込まれ易くなっている。また、差し込まれた押上部材51の位置によって、レンズ体3の光軸z方向への変位量が調整される構成となっている。つまり、押上部材51は、変位素子13の自由端13bの変位によって押上部材51が横方向に移動する力を、これとは垂直な方向に変換してレンズ体3を押し上げる部材である。
【0090】
このような押上部材51は、台座9bの上面に対してレンズ体3を押し上げる傾斜面が、レンズ体3を効果的に押し上げることが可能な角度に整形されていることとする。またこのような押上部材51は、レンズ体3における光軸zと垂直をなす一端面側に差し込まれた場合に、レンズ体3のレンズLnと重なることのない形状と配置状態で設けられていることが重要である。
【0091】
ここで、レンズ体3または保持体7において、押上部材51の先端が差し込まれる導入部となる出隅部分には、切り欠き部bが設けられる。ここでは、保持体7とレンズホルダー7aとに、切り欠き部bが設けられている。これにより変位素子13の自由端13bの変位によって、押上部材51の移動方向のみにレンズ体3および保持体7が押し圧され、変位素子13が押し圧方向と逆にあおられることを防止する。尚、切り欠き部bは、レンズ体3または保持体7において、押上部材51の先端が差し込まれる導入部となる各出隅部分に丸みを付けたラウンド形状であっても良い。
【0092】
[第5実施形態のレンズモジュールの駆動]
次にレンズモジュール1-5の駆動について説明する。先ず図9および図10Aに示すように、変位素子13に対して電圧を印加しない状態では、変位素子13は湾曲することなく平面状に保たれる。このため、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に押上部材51が差し込まれることはない。したがって、弾性ワイヤーからなる4本の支持体11は、直線状に保たれ、レンズ体3は台座9bの直上に維持される。
【0093】
一方、図10Bに示すように、変位素子13に電圧を印加することにより、変位素子13を湾曲させた状態では、変位素子13の自由端13bに固定した押上部材51が移動し、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に差し込まれる。これにより、保持体7に保持されたレンズ体3が押し上げられる。この際、保持体7と固定体9の壁部9aとの間が、同一長さの弾性ワイヤーからなる4本の支持体11で連結されており、さらにねじれ防止体17が設けられていることにより、光軸zの傾きなくレンズ体3が光軸z方向に持ち上げられることは、第1実施形態と同様である。しかも、光軸zに垂直な方向に延設された押上部材51が、保持体7及びレンズホルダー7aの下方に全体的に差し込まれるため、これによっても光軸zの傾きが防止される。
【0094】
またこの状態から変位素子13への電圧の印加を停止すると、図10Aに示したように変位素子13が湾曲状態から平面状に戻る。これにより、保持体7およびレンズホルダー7aの下方に差し込まれていた押上部材51は、保持体7およびレンズホルダー7aの下方から引き出される。これにともない、支持体11が直線状に復元し、レンズ体3は光軸zを傾けることなく台座9bの直上に引き戻される。
【0095】
以上の駆動において、レンズ体3の光軸z方向への昇降量は、変位素子13の自由端13bの変位量、すなわち変位素子13に対する電圧の印加量、さらには押上部材51の斜度およびその高さによって制御される。また、変位素子13の湾曲方向は、変位素子13の構成において説明したように、変位素子13を構成する電極への電圧の印加状態によって制御される。
【0096】
[第5実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第5実施形態のレンズモジュール1-5であっても、レンズ体3の側方に光軸zに沿って配置された変位素子13の変位によって、光軸z方向を保ったレンズ体3の移動がなされる。このため、第1実施形態のレンズモジュールと同様の効果を得ることが可能である。さらに、本第5実施形態のレンズモジュール1-5においては、光軸zと垂直をなす方向に延設された押上部材51によって、レンズ体3を保持する保持体7に対して広い範囲で力を加えることができる。したがって、レンズ体3を昇降させる力を効果的に得ることが可能であると共に、光軸zの傾きを抑える効果が高い。
【0097】
尚、本第5実施形態は、第2実施形態と組み合わせ平板状支持体を用いることができ、組み合わせることによって第2実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また本第5実施形態は、第3実施形態と組み合わせ平行リンク機構を適用しても良い。
【0098】
≪6.第6実施形態≫(撮像装置)
次に第6実施形態として、本技術の撮像装置の構成を説明する。図11には、本技術を適用したレンズモジュールを用いた撮像装置61の構成図を示す。この図に示す撮像装置61は、先に説明した本技術のレンズモジュール(ここでは代表して第1実施形態のレンズモジュール1-1)を、オートフォーカスモジュールとして用いている。このような撮像装置61は、このレンズモジュール1-1と共に、固体撮像素子63、駆動回路65、さらに必要に応じて信号処理回路67を備えている。
【0099】
固体撮像素子63は、レンズモジュール1-1を構成するレンズ体3により結像される撮像信号を取得する素子である。この固体撮像素子63は、例えば電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を搭載したイメージセンサを備えている。このような固体撮像素子63は、レンズモジュール1-1の光軸z方向に重なる位置に配置される。より詳しくは、固体撮像素子63におけるイメージセンサの受光面が、レンズ体3の光軸z上で、かつ光軸zに対して垂直となるように、レンズモジュール1-1に対して固体撮像素子63が重ねて配置される。例えば固定体9の台座9b側に固体撮像素子63を配置する場合であれば、台座9bに設けた開口9cに対してイメージセンサの受光面を対向させるように固体撮像素子63を配置する。
【0100】
これらのレンズモジュール1-1および固体撮像素子63は、ここでの図示を省略した撮像装置の筐体内に固定される。
【0101】
また駆動回路65は、固体撮像素子63を駆動するものであり、イメージセンサにおいて光電変換された信号電荷の蓄積および読み出しを制御する。このような駆動回路65は、固体撮像素子63の外部回路として設けられていても良いが、固体撮像素子63に内部回路として組み込まれていても良い。
【0102】
また信号処理回路67は、駆動回路65によって読み出された信号を映像信号として処理するものであり、必要に応じて信号処理が行われた映像信号をメモリなどの記憶媒体やモニタに出力する。
【0103】
このような構成の撮像装置61では、レンズモジュール1-1のレンズ体3が、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子63の受光面上に結像させる。この際、駆動回路65での駆動により、固体撮像素子63内に一定期間信号電荷を蓄積し、その後信号電荷の読み出しを行うことで、映像信号を得る。
【0104】
以上のような構成の撮像装置61は、本技術のレンズモジュール1-1をオートフォーカスモジュールとして用いたことにより、薄型化および小型化が図られたものとなる。この結果、特に高画質が要求される撮像装置61においては、大口径レンズが必要とされるが、この場合であっても撮像装置61も薄型化および小型化を達成することが可能である。
【0105】
≪7.第7実施形態≫(電子機器)
次に第7実施形態として、本技術を適用した電子機器の構成例を説明する。図12には、このような電子機器の一例として、撮像機能付き携帯電話(携帯電話100)の概略構成を示す斜視図である。
【0106】
この携帯電話100は、2つの筐体101A,101B同士が、図示しないヒンジ機構を介して折り畳み自在に連結されている。
【0107】
図12Aに示したように、筐体101Aの一方側の面には、各種の操作キー102が複数配設されると共に、その下端部にマイクロフォン103が配設されている。操作キー102は使用者(ユーザ)による所定の操作を受け付けて情報を入力するためのものである。マイクロフォン103は、通話時等における使用者の音声を入力するためのものである。
【0108】
また図12Aに示したように、筐体101Bの一方側の面には、例えば液晶表示パネル等を用いた表示部104が配設されると共に、その上端部には、スピーカー105が配設されている。表示部104には、例えば、電波の受信状況や電池残量、通話相手の電話番号、電話帳として登録されている内容(相手先の電話番号や氏名等)、発信履歴、着信履歴等の各種の情報が表示されるようになっている。スピーカー105は、通話時等における通話相手の音声等を出力するためのものである。
【0109】
図12Bに示したように、筐体101Aの他方側の面にはカバーガラス106が配設されていると共に、筐体101A内部のカバーガラス106に対応する位置に、先に説明した撮像装置61が設けられている。この撮像装置61は、物体側(カバーガラス106側)に例えば第1実施形態で説明したレンズモジュール1-1、像側(筐体101Aの内部側)に固体撮像素子63が配置されるように、筐体101A内に固定されている。
【0110】
この携帯電話100には、撮像装置61の固体撮像素子63から読み出された信号電荷に基づいて各種の信号処理を行う信号処理回路(67)が設けられている。これにより、信号処理回路(67)によって処理された映像信号が、内蔵メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、または表示部104に出力される構成となっている。
【0111】
このような構成の携帯電話100は、本技術、例えば第1実施形態で説明したレンズモジュール1-1を備えた撮像装置61を内蔵したことにより、小型化が図られたものとなる。特に、レンズの光軸方向の薄型化を図ることが可能である。
【0112】
尚、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材とを備えた
レンズモジュール。
【0113】
(2)
前記変位素子は、ポリマーアクチュエータ素子である
(1)記載のレンズモジュール。
【0114】
(3)
前記押上部材は、前記変位素子の自由端から前記レンズ体側に向かって先端が薄型化している
(1)または(2)記載のレンズモジュール。
【0115】
(4)
前記レンズ保持部材は、
前記レンズ体を光軸に沿った側壁で保持する保持体と、
前記レンズ体を挟んで前記保持体に対向配置された固定体と、
前記レンズ体を前記側壁方向から挟む位置において前記保持体と前記固定体との間に掛け渡され、当該保持体を前記光軸に沿って当該移動可能に支持する支持体とを備えた
(1)〜(3)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0116】
(5)
前記支持体は、弾性ワイヤーで構成されている
(4)記載のレンズモジュール。
【0117】
(6)
前記支持体は、前記レンズ体の光軸方向に薄い平板で構成されている
(4)記載のレンズモジュール。
【0118】
(7)
前記支持体は、剛性を有するリンクバーと、前記固定体と前記保持体との間に当該リンクバーを回動自在に連結する連結部材とで構成されている
(4)記載のレンズモジュール。
【0119】
(8)
前記変位素子は、前記レンズ体の光軸と平行な中央部を固定部とし、その両端縁を自由端として設けられ、
前記押上部材は、前記変位素子の両端に設けられた自由端にそれぞれ配置され、当該変位素子の変位によって前記レンズ体の一端面側において当該レンズ体の両端に差し込まれる
(1)〜(7)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0120】
(9)
前記変位素子は、前記光軸と垂直な端縁を固定部とし、当該固定部に対する他端縁を前記自由端として設けられ、
前記押上部材は、前記自由端にわたって前記レンズ体の光軸と垂直な方向に延設されている
(1)〜(7)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0121】
(10)
前記レンズ保持部材は、前記変位素子が固定されると共に前記押上部材が載置される台座を備え、
前記台座において前記押上部材が載置される面には、前記変位素子の自由端の変位による当該該押上部材の移動経路に沿って、当該押上部材と嵌合する軌道が敷設されている
(1)〜(8)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0122】
(11)
前記レンズ体または前記レンズ保持部材において前記押上部材が差し込まれる出隅部分には切り欠き部が設けられている
(1)〜(10)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0123】
(12)
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子とを備えた
撮像装置。
【0124】
(13)
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの出力信号を処理する信号処理回路とを備えた
電子機器。
【符号の説明】
【0125】
1-1,1-2,1-3,1-4,1-5…レンズモジュール、3…レンズ体、5…レンズ保持部材、7…保持体、9…固定体、9b…台座、11…支持体(弾性ワイヤー)、11a…平板状支持体、13…変位素子、13a…固定部,13b…自由端、15,51…押上部材、21…ポリマーアクチュエータ素子、31…リンクバー(支持体)、33…連結部材(支持体)、63…固体撮像素子、61…撮像装置、67…信号処理回路、100…電子機器、a…軌道、b…切り欠き部、z…光軸、



【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材とを備えた
レンズモジュール。
【請求項2】
前記変位素子は、ポリマーアクチュエータ素子である
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記押上部材は、前記変位素子の自由端から前記レンズ体側に向かって先端が薄型化している
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記レンズ保持部材は、
前記レンズ体を光軸に沿った側壁で保持する保持体と、
前記レンズ体を挟んで前記保持体に対向配置された固定体と、
前記レンズ体を前記側壁方向から挟む位置において前記保持体と前記固定体との間に掛け渡され、当該保持体を前記光軸に沿って当該移動可能に支持する支持体とを備えた
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記支持体は、弾性ワイヤーで構成されている
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記支持体は、前記レンズ体の光軸方向に薄い平板で構成されている
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記支持体は、剛性を有するリンクバーと、前記固定体と前記保持体との間に当該リンクバーを回動自在に連結する連結部材とで構成されている
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項8】
前記変位素子は、前記レンズ体の光軸と平行な中央部を固定部とし、その両端縁を自由端として設けられ、
前記押上部材は、前記変位素子の両端に設けられた自由端にそれぞれ配置され、当該変位素子の変位によって前記レンズ体の一端面側において当該レンズ体の両端に差し込まれる
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項9】
前記変位素子は、前記光軸と垂直な端縁を固定部とし、当該固定部に対する他端縁を前記自由端として設けられ、
前記押上部材は、前記自由端にわたって前記レンズ体の光軸と垂直な方向に延設されている
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項10】
前記レンズ保持部材は、前記変位素子が固定されると共に前記押上部材が載置される台座を備え、
前記台座において前記押上部材が載置される面には、前記変位素子の自由端の変位による当該該押上部材の移動経路に沿って、当該押上部材と嵌合する軌道が敷設されている
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項11】
前記レンズ体または前記レンズ保持部材において前記押上部材が差し込まれる出隅部分には切り欠き部が設けられている
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項12】
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子とを備えた
撮像装置。
【請求項13】
レンズ体と、
前記レンズ体の光軸を傾けることなく当該光軸に沿って当該レンズ体を移動可能に保持するレンズ保持部材と、
前記光軸に沿った前記レンズ体の側方において一端縁を自由端として配置され、電圧の印加によって当該自由端が前記レンズ体に接近自在に変位する平板状の変位素子と、
前記変位素子の自由端に設けられ、当該変位素子の前記レンズ体への接近によって当該レンズ体において前記光軸と垂直をなす一端面側に差し込まれることにより当該レンズ体を当該光軸方向に押し上げる押上部材と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの出力信号を処理する信号処理回路とを備えた
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−208208(P2012−208208A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72176(P2011−72176)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】