説明

レンズモジュール、撮像装置、電子機器、変位素子シート、および変位素子シートの製造方法

【課題】特別な位置センサを別体として設けることなく、変位素子によるレンズの移動をクローズドループ制御することが可能で、これにより簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えられたレンズモジュールを提供する。
【解決手段】レンズ体3と、これを保持するレンズ保持部材5と、電圧の印加によって変形しこの変形によってレンズ保持部材5に保持されたレンズ体3を光軸zを傾けることなく光軸zに沿って移動させる平板状の変位素子11とを備えている。またさらに、レンズ体3の移動に伴って変位素子11に流れる電流に基づき、変位素子11の変形によるレンズ体3の光軸z方向への移動量が設定された値となるように、変位素子11に印加する電圧を制御する制御部15を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電圧の印加によって変形する平板状の変位素子を用いてレンズ駆動を行うレンズモジュール、このレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器、さらには変位素子として用いる変位素子シート、および変位素子シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいはPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器の高機能化が著しく進んでおり、レンズモジュールを搭載することにより撮像機能を備えたものが一般的となっている。このような携帯型電子機器においては、カメラモジュールのオートフォーカスを実現するために、レンズを光軸に沿って被写体方向に往復に動かす必要がある。
【0003】
従来、レンズモジュール内のレンズの移動は、ボイスコイルモータやピエゾ素子などを駆動部として行う方法が一般的であったが、最近では、コンパクト化や消費電力削減の観点から、ポリマーアクチュエータ素子を駆動部として利用したものが開発されている(例えば下記特許文献1,2参照)。ポリマーアクチュエータ素子とは、例えば一対の電極間にイオン交換樹脂膜を挟んで構成されたもので、一対の電極間に電位差が生じることによりイオン交換樹脂膜が膜面に対して直交する方向へ変位する。
【0004】
このようなポリマーアクチュエータ素子を用いたレンズモジュールにおいては、ポリマーアクチュエータ素子の変位によるレンズの移動量をクローズドループ制御するために、例えばホール素子のような位置センサを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−293006号公報
【特許文献2】特開2006−172635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらホール素子を用いた構成では、レンズモジュール内にホール素子と共に磁石を配置する必要があるため、部品点数が増加する。このような部品点数の増加は、レンズモジュールの組み立て工程の煩雑化と製造コストの上昇を招く要因となる。
【0007】
そこで本技術は、特別な位置センサを別体として設けることなく、変位素子によるレンズの移動をクローズドループ制御することが可能で、これにより簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えられたレンズモジュールを提供することを目的とする。さらに本技術は、このレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器、さらには変位素子として用いる変位素子シート、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本技術のレンズモジュールは、レンズ体と、これを保持するレンズ保持部材と、電圧の印加によって変形しこの変形によってレンズ保持部材に保持されたレンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子とを備えている。またさらに、レンズ体の移動に伴って変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように、当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部を備えている。
【0009】
このような構成のレンズモジュールでは、変位素子に流れる電流に基づいて、変位素子を変形させるための電圧が制御される。変位素子に流れる電流は、変位素子の変形量に依存している。このため、特別な位置センサを設けることなく変位素子の変形によるレンズ体の移動量がクローズドループ制御される。
【0010】
また本技術は、このようなレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器でもある。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本技術によれば、特別な位置センサを設けることなく変位素子の変形によるレンズ体の移動量をクローズドループ制御可能である。これにより、部品点数を抑えることができ、簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えられたレンズモジュール、さらにはこのレンズモジュールを用いた撮像装置および電子機器を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図2】第1実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図である。
【図3】ポリマーアクチュエータ素子の詳細構成例と基本動作について説明するための断面模式図である。
【図4】制御部による電圧の制御を説明する図である。
【図5】第2実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図6】第2実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図である。
【図7】第3実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図である。
【図8】第3実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する断面図および側面図である。
【図9】第3実施形態のレンズモジュールに用いる変位素子シートの構成を説明する平面図である。
【図10】第3実施形態のレンズモジュールに用いる変位素子シートの構成を説明する断面図である。
【図11】第4実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図である。
【図12】本技術の変位素子シートの製造手順を示す平面工程図である。
【図13】第5実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図である。
【図14】第6実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図である。
【図15】第7実施形態の撮像装置の構成図である。
【図16】第8実施形態の電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.第1実施形態(レンズモジュール)
2.第2実施形態(測定用変位素子を設けたレンズモジュール)
3.第3実施形態(変位素子と一体の測定用変位素子を設けたレンズモジュール)
4.第4実施形態(マスクを用いた変位素子シートの製造方法)
5.第5実施形態(印刷法を適用した変位素子シートの製造方法)
6.第6実施形態(凸版圧着を適用した変位素子シートの製造方法)
7.第7実施形態(撮像装置)
8.第8実施形態(電子機器)
【0014】
≪1.第1実施形態≫(レンズモジュール)
図1は第1実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図2は第1実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図である。以下に、これらの図に基づいて、第1実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。
【0015】
[第1実施形態のレンズモジュールの構成]
図1および図2に示すレンズモジュール1-1は、例えば撮像装置や光ピックアップ装置に設けられるものであって、光軸zを固体撮像素子の結像面に対して傾けることなく光軸zに沿ってレンズLnを移動させるためのものである。
【0016】
このようなレンズモジュール1-1は、レンズLnを用いて構成されたレンズ体3、このレンズ体3を光軸zと平行な側壁方向から保持するレンズ保持部材5を備えている。さらにレンズモジュール1-1は、レンズ保持部材5に対向配置された固定部材7、固定部材7の端部からレンズ体3に重なる方向に延設された支持体9、さらにはレンズ保持部材5と固定部材7との間に延設された変位素子11および連結部材13を備えている。また特に第1実施形態のレンズモジュール1-1は、変位素子11の変位を制御するための制御部15を備えている。以下、これらの各構成要素の詳細を順次説明する。
【0017】
<レンズ体3>
レンズ体3は、撮像装置や光ピックアップ装置の対物レンズを用いて構成されたものである。このレンズ体3は、複数枚のレンズLnを光軸z方向に組み合わせてバレル状に一体化したもの、またはレンズLn単体であっても良い。バレル状のレンズ体3であれば、円筒型または直方体型のどちらであっても良く、さらに光軸z方向に配置される各レンズLnの径に合わせて、レンズ体3の径が光軸z方向に変化していても良い。
【0018】
<レンズ保持部材5>
レンズ保持部材5は、レンズ体3を光軸zに沿った側壁において保持するものである。このレンズ保持部材5は、レンズ体3の光軸zに沿って配置された壁部5aを備え、さらにこの壁部5aからレンズ体3の側周を掴む状態で延設された保持アーム5bを備えている。
【0019】
<固定部材7>
固定部材7は、このレンズモジュール1-1を撮像装置や光ピックアップ装置の筐体内に固定するためのものであって、レンズ体3を挟んでレンズ保持部材5の壁部5aに対向配置されている。このような固定部材7は、例えば光軸z方向に積層された3つの固定部分からなり、2つの固定部分間のそれぞれに平板状の変位素子11が挟持されている。またこのような固定部材7において変位素子11を挟持する部分は、変位素子11に電圧を印加するための端子として構成されていることとする。
【0020】
尚、固定部材7において、レンズ保持部材5の保持アーム5bと重なる高さ位置には、保持アーム5bの移動を妨げることのないように、開口7aを設けても良い。これにより、保持アーム5bの一部がこの開口7a内を移動できるようになるため、スペースを有効活用することができ、レンズモジュール1-1の小型化を図ることが可能となる。
【0021】
<支持体9>
支持体9は、レンズモジュール1-1全体を支持するためのベース部材(基体)である。この支持体9は、固定部材7の一端側からレンズ体3の光軸zに垂直な方向に延設され、レンズ体3と重ねて配置される。このような支持体9には、レンズ体3で集光された光を通過させる開口9aが設けられていることとする。
【0022】
<変位素子11>
変位素子11は、電圧の印加によって変形する素子であって、この変形によってレンズ保持部材5に保持されたレンズ体3を光軸zを傾けることなく光軸zに沿って移動させる駆動源となるものである。このような変位素子11は、電圧の印加によって面方向に湾曲する平板状の素子であって、湾曲する面、すなわち駆動面が光軸zに対して垂直を保って配置される。
【0023】
このような変位素子11の平面形状は、レンズ体3に接触することなくレンズ体3を挟み込む二つのアーム部分を有するU字型に整形されている。このような平面形状の変位素子11は、レンズ体3を挟み込む二つのアーム部分を連結する部分、すなわち平面形状U字型における底部側の端縁を固定端11aとし、この固定端11aにおいて固定部材7に固定されている。ここでは、2枚の変位素子11が、レンズ保持部材5の保持アーム5bを光軸z方向から挟む状態で固定されていることとする。これら2枚の変位素子11は、同一の平面形状である。
【0024】
また各変位素子11において固定部材7に固定された固定端11aに対する他端縁、すなわちレンズ体3を挟み込むアーム部分の先端11bは、4つの連結部材13によってそれぞれレンズ保持部材5の壁部5aに連結されている。この状態において、2枚の変位素子11は、光軸z方向の異なる高さ位置において、レンズ保持部材5の壁部5aと固定部材7との間に平行を保って掛け渡された状態となっている。
【0025】
以上のような変位素子11は、例えばポリマーアクチュエータ素子であることとする。図3には、ポリマーアクチュエータ素子の詳細構成例と基本動作について説明するための断面模式図を示す。図3に示すように、変位素子(11)として設けられるポリマーアクチュエータ素子21は、イオン導電性高分子化合物膜23の両面に一対の電極膜25A,25Bが接着された断面構造を有する。換言すると、ポリマーアクチュエータ素子21は、一対の電極膜25A,25Bと、これらの電極膜25A,25Bの間に挿設されたイオン導電性高分子化合物膜23とを有している。尚、ポリマーアクチュエータ素子21および電極膜25A,25Bは、それらの周囲が、高弾性を有する材料(例えばポリウレタンなど)からなる絶縁性の保護膜によって覆われていてもよい。尚、このイオン導電性高分子化合物膜23は、エレクトロアクティブポリマー(Electro Active Polymer:EAP)シートとも言われる。またイオン導電性高分子化合物膜23および電極膜25A,25Bの詳しい構成については、後の第4実施形態で詳細に説明する。
【0026】
以上のようなポリマーアクチュエータ素子21は、次のように動作する。まず、陽イオン物質として、陽イオンと極性溶媒とを含むものを用いた場合について説明する。
【0027】
この場合、図3Aに示すように、電圧無印加状態におけるポリマーアクチュエータ素子21は、陽イオン物質がイオン導電性高分子化合物膜23中にほぼ均一に分散することから、湾曲することなく平面状となる。ここで、図3Bに示すように、電圧印加部17を用いて電圧印加状態とすると、ポリマーアクチュエータ素子21は以下のような挙動を示す。すなわち、例えば電極膜25Aがマイナスの電位、電極膜25Bがプラスの電位となるように電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜25A側に移動する。この際、イオン導電性高分子化合物膜23中では陰イオンがほとんど移動できないため、イオン導電性高分子化合物膜23では、電極膜25A側が膨潤し、電極膜25B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25B側に湾曲する。こののち、電極膜25A,25Bの間の電位差を無くし、電圧無印加状態とすると、イオン導電性高分子化合物膜23中において電極膜25A側に偏っていた陽イオン物質(陽イオンおよび極性溶媒)が拡散し、図3Aに示した平面状態に戻る。また、図3Aに示した電圧無印加状態から、電極膜25Aがプラスの電位、電極膜25Bがマイナスの電位となるように、電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜25B側に移動する。この場合、イオン導電性高分子化合物膜23では、電極膜25A側が収縮して電極膜25B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25A側に湾曲する。
【0028】
次に、陽イオン物質として、液状の陽イオンを含むものであるイオン液体を用いた場合について説明する。
【0029】
この場合においても、図3Aに示すように、電圧無印加状態では、イオン液体がイオン導電性高分子化合物膜23中にほぼ均一に分散しているので、ポリマーアクチュエータ素子21は平面状となる。ここで、図3Bに示すように、電圧印加部17を用いて電圧印加状態とすると、ポリマーアクチュエータ素子21は以下のような挙動を示す。例えば電極膜25Aがマイナスの電位、電極膜25Bがプラスの電位となるように電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加する。これにより、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜25A側に移動するが、陰イオンは陽イオン交換膜であるイオン導電性高分子化合物膜23中を移動できない。このためイオン導電性高分子化合物膜23では、その電極膜25A側が膨潤し、電極膜25B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25B側に湾曲する。こののち、電極膜25A,25Bの間の電位差を無くし、電圧無印加状態とすると、イオン導電性高分子化合物膜23中において電極膜25A側に偏っていた陽イオンが拡散し、図3Aに示した平面状態に戻る。また、図3Aに示した電圧無印加状態から、電極膜25Aがプラスの電位、電極膜25Bがマイナスの電位となるように、電極膜25A,25Bの間に所定の駆動電圧を印加すると、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜25B側に移動する。この場合、イオン導電性高分子化合物膜23では、電極膜25A側が収縮して電極膜25B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子21は全体として、電極膜25A側に湾曲する。
【0030】
以上のような駆動に際しては、ポリマーアクチュエータ素子21の耐電圧以上の電圧(例えば、3V程度)が、電極膜25A,25Bに長時間(例えば、1秒程度)印加されないようにするのが良い。これにより、ポリマーアクチュエータ素子21の耐久性を向上させることができるからである。尚、変位素子11は、電圧の印加によって変形する板状の素子であれば、上述したポリマーアクチュエータ素子に限定されることはない。このような変位素子11の他の例としては、例えば形状記憶合金を用いたものや、ピエゾ素子が例示される。
【0031】
ここで先の図1および図2に示すように、例えばポリマーアクチュエータ素子からなる変位素子11に対しては、固定部材7に対して固定された固定端11a側に電圧が印加される構成となっている。
【0032】
<連結部材13>
連結部材13は、変位素子11の先端11bをレンズ保持部材5の壁部5aに対して連結するための部材である。このような連結部材13は、各変位素子11と同等以下の剛性を有する柔軟な材料からなる。例えば変位素子11がポリマーアクチュエータ素子からなる場合であれば、各連結部材13はポリイミドフィルム等のフレキシブルフィルムからなる。尚、連結部材13の耐熱温度は、例えば200℃程度以上であることが望ましい。これにより、例えばリフロー工程等の高温プロセスを通しても特性が変化しないようにすることができるからである。
【0033】
<制御部15>
制御部15は、変位素子11の変形によるレンズ体3の光軸z方向への移動量が設定された値となるように、変位素子11に印加する電圧を制御する部分である。この制御部15は、変位素子11に電圧を印加するための電圧印加部17と、変位素子11に流れる電流値を測定するための電流測定部19とに接続されている。また制御部15には、レンズ体3を光軸z方向に移動させる際の移動量の設定値が入力される構成となっている。変位素子11が、ポリマーアクチュエータ素子からなる場合であれば、電圧印加部17は変位素子11の両面に配置された電極膜間に所定の電圧を印加する。また、電流測定部19は、変位素子11の両面に配置された電極膜に流れる電流を測定する。
【0034】
ここで、図4に示すように、変位素子11に印加する電圧[V]と、変位素子11に流れる電流[I]とは、一定の関係を有している。また、変位素子11の変形量、すなわちレンズ体3の光軸z方向への移動量[d]と、変位素子11に流れる電流[I]とは、一定の関係を有している。このため変位素子11に流れる電流値[I]を測定することで、レンズ体3の移動量[d]が得られる。そこで制御部15には、変位素子11に印加する電圧[V]と、変位素子11に流れる電流[I]と、レンズ体3の移動量[d]との関係を、例えば関数[I]=f[V],[d]=f[I]として予め記憶させておく。これにより、所望の移動量に直接移動させる場合は、その関係から計算される電圧を直接印加する制御方法を取ることも可能になる。
【0035】
このような制御部15においては、先ず、レンズ体3の移動量[d]の設定値d0が入力される。これにより、入力された設定値[d]=d0が得られるような電流[I]=I0を目標値として算出し、さらにこの目標値I0が得られるように変位素子11に対して所定の電圧[V]=V1を印加する。この際に、変位素子11に実際に流れる電流[I]=I1を測定し、この測定結果に基づいて、電流[I]=I0となるように、変位素子11に印加する電圧[V]を[V]=V2に補正する。制御部15は、このような処理を繰り返し行うことで、電流[I]=I0の目標値となるように、変位素子11に印加する電圧[V]を制御する。
【0036】
[第1実施形態のレンズモジュールの駆動]
次にレンズモジュール1-1の駆動について説明する。先ず図1および図2Aに示すように、変位素子11に対して電圧を印加しない状態では、変位素子11は湾曲することなく平面状に保たれる。この際、レンズ保持部材5に保持されたレンズ体3は、初期の位置に保たれる。
【0037】
一方、図2Bに示すように、レンズ体3を光軸z方向に移動量[d]=d0だけ変位させたい場合、制御部15にこの設定値[d]=d0が入力される。これにより、制御部15では、設定値[d]=d0が得られる電流[I]=I0を目標値とし、変位素子11に対して所定の電圧[V]=V1を印加する。このような電圧の印加によって各変位素子11が湾曲し、レンズ保持部材5に保持されたレンズ体3は、変位素子11の湾曲方向に持ち上げられる。この際、2枚の変位素子11は、同一の平面形状であって、その湾曲面(駆動面)が光軸zに対して垂直に配置されている。このため、これらの変位素子11が掛け渡されたレンズ保持部材5の壁部5aと固定部材7とは、対向状態を保ったまま、光軸zを傾けることなくレンズ体3が光軸z方向に押し上げられる。
【0038】
この状態において制御部15では、電流測定部19で測定された変位素子11に流れる電流[I]=I1に基づいて、設定された移動量[d]=d0が得られる電流[I]=I0となるように、変位素子11に印加する電圧[V]=V1を[V]=V2に補正する。制御部15は、このような処理を繰り返し行うことで、電流[I]=I0となるように、変位素子11に印加する電圧[V]を制御し、設定された移動量[d]=d0だけレンズ体3を光軸z方向に変位させる。
【0039】
以上により、制御部15では、変位素子11に流れる電流[I]をフィードバックして、変位素子11に印加する電圧[V]を補正する。これにより、変位素子11の変形によるレンズ体3の移動量[d]がクローズドループ制御され、たとえば使用環境に起因して発生する駆動バラツキを補正することができる。
【0040】
またこの状態から変位素子11への電圧の印加を停止すると、図2Aに示したように変位素子11が湾曲した状態から平面状に戻る。これにより、レンズ体3は初期の位置に引き下される。
【0041】
[第1実施形態のレンズモジュールの効果]
以上説明した第1実施形態のレンズモジュール1-1によれば、変位素子11に流れる電流[I]に基づいて、変位素子11を変形させるための電圧[V]を制御することにより、位置センサを設けることなくレンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能である。これにより、レンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能なレンズモジュール1-1において、部品点数を抑えることができ、簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えることが可能になる。
【0042】
≪2.第2実施形態≫(測定用変位素子を設けたレンズモジュール)
図5は、第2実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図6は第2実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する側面図である。以下に、これらの図に基づいて、第2実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールとの同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
[第2実施形態のレンズモジュールの構成]
図5および図6に示すレンズモジュール1-2が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、変位素子11とは別体で測定用変位素子31が設けられ、この測定用変位素子31に制御部15を接続させたところにあり、他の構成は同様である。
【0044】
<測定用変位素子31>
測定用変位素子31は、変位素子11と同一構成の素子であって、例えばポリマーアクチュエータ素子からなる。このような測定用変位素子31は、湾曲する面、すなわち駆動面が光軸zに対して垂直を保って配置されると共に、レンズ体3の移動に追従して変形する状態で設けられているところが特徴的である。また、測定用変位素子31は、レンズ体3に追従した変形において、負荷が掛けられることのないように配置されていることが重要である。尚、測定用変位素子31は、平面矩形状であって良い。
【0045】
以上のような測定用変位素子31の配置の一例として、レンズ保持部材5の壁部5aに孔部Hを設け、この孔部Hに測定用変位素子31の自由端31aを摺動自在に差し込む構成が例示される。また測定用変位素子31の自由端31aに対する他端部は、このレンズモジュール1-2が組み込まれる装置の筐体(図示省略)に対する固定部33に挟持させて固定する。この場合、変位素子11が湾曲せずに平面状に保たれた状態では、測定用変位素子31は平面状に保たれることが重要である。このような固定部33において測定用変位素子31を挟持する部分は、測定用変位素子31に流れる電流を測定するための端子として構成されている。尚、この測定用変位素子31には、電圧印加部17を接続する必要はない。
【0046】
<制御部15>
制御部15は、第1実施形態の制御部と同様であるが、この制御部15は測定用変位素子31に流れる電流値を測定するための電流測定部19に接続されているところが第1実施形態とは異なる。
【0047】
ここで、測定用変位素子31に流れる電流[I]は、測定用変位素子31の変形量、すなわちレンズ体3の移動量[d]に比例し、[I]=(1/k)×[d](kは定数)である。このため、測定用変位素子31に流れる電流値[I]を測定することで、レンズ体3の移動量[d]が得られる。そこで制御部15には、変位素子11に印加する電圧[V]と、測定用変位素子31に流れる電流[I]と、レンズ体3の移動量[d]との関係が予め記憶されていることとする。
【0048】
このような接続状態の制御部15においては、先ず、レンズ体3の移動量[d]の設定値d0が入力されると、この設定値[d]=d0が得られる電流[I]=I0を目標値とし、変位素子11に対して所定の電圧[V]=V1を印加する。この際に、測定用変位素子31に流れる電流[I]=I1を測定し、この測定結果に基づいて、測定用変位素子31に流れる電流[I]=I0となるように、変位素子11に印加する電圧[V]を[V]=V2に補正する。制御部15は、このような処理を繰り返し行うことで、測定用変位素子31に流れる電流[I]=I0となるように、変位素子11に印加する電圧[V]を制御する。
【0049】
[第2実施形態のレンズモジュールの駆動]
以上のようなレンズモジュール1-2の駆動は、第1実施形態のレンズモジュールの駆動と同様に行われる。ただし、変位素子11に印加する電圧[V]の制御は、測定用変位素子31に流れる電流[I]に基づいて行われる。
【0050】
[第2実施形態のレンズモジュールの効果]
以上のような構成の第2実施形態のレンズモジュール1-2では、変位素子11と同一に構成された測定用変位素子31に流れる電流[I]に基づいて、変位素子11を変形させるための電圧[V]が制御される。このため、第1実施形態と同様に、位置センサを設けることなくレンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能である。これにより、レンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能なレンズモジュール1-2において、部品点数を抑えることができ、簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えることが可能になる。
【0051】
また本第2実施形態のレンズモジュール1-2では、測定用変位素子31の固定部33側から自由端31aまでの長さを短くすることにより、測定用変位素子31の湾曲度合いを大きくできる。これにより、電流[I]の測定レンジを拡大し、誤差の小さい電流[I]の測定値に基づいて、レンズ体3の移動量の精密な制御を行うことが可能になる。さらに、端子からの長さを短くすることで、端子から遠い部分の抵抗成分を含む電流値がノイズとして検出されることを防止できる。これによっても、誤差の小さい電流[I]の測定値に基づいて、レンズ体3の移動量の精密な制御を行うことが可能になる。
【0052】
≪3.第3実施形態≫(変位素子と一体の測定用変位素子を設けたレンズモジュール)
図7は、第3実施形態のレンズモジュールの構成を説明する斜視図であり、図8は第3実施形態のレンズモジュールの構成および駆動を説明する断面図(A1,B1)と側面図(A2,B2)である。また図9はこのレンズモジュールに用いられる変位素子シートの平面構成図であり、図10は図9の(a)−(a)’断面図である。以下に、これらの図に基づいて、第3実施形態のレンズモジュールの構成およびレンズモジュールの駆動を説明する。尚、第1実施形態で説明したレンズモジュールとの同一の構成要素については同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0053】
[第3実施形態のレンズモジュールの構成]
図7および図8に示すレンズモジュール1-3が、第1実施形態のレンズモジュールと異なるところは、変位素子11’と測定用変位素子31とを一体化した変位素子シート41を用いたところにある。また制御部15は、測定用変位素子31に接続されており、他の構成は第1実施形態のレンズモジュールと同様である。先ず、このレンズモジュール1-3に用いる変位素子シート41の構成から説明する。
【0054】
<変位素子シート41>
図9および図10に示すように、変位素子シート41は、一対の変位素子11’の間に測定用変位素子31を配置してこれらを一体化した物である。これらの変位素子11’と測定用変位素子31とは、先に説明したポリマーアクチュエータ素子からなり、イオン導電性高分子化合物膜23を電極膜25A,25Bで挟持した共通の層構造を有する。
【0055】
変位素子11’と測定用変位素子31とは、イオン導電性高分子化合物膜23において一体化され、電圧が印加される電極膜25A,25B部分が電気的に分離されている。つまり、変位素子11’は、1枚のイオン導電性高分子化合物膜23の一部分を一対の電極膜25A,25Bで挟持した部分からなる。また測定用変位素子31は、同じイオン導電性高分子化合物膜23の他の一部分を一対の電極膜25A,25Bで挟持した部分からなる。これらの変位素子11’および測定用変位素子31のそれぞれは、平面形状が矩形形状であって良い。
【0056】
図7および図8に示したように、以上のような変位素子11’と測定用変位素子31とを一体化した変位素子シート41は、レンズ体3に接触することなくレンズ体3を挟み込む二つのアーム部分を有するU字型に整形されている。そしてレンズ体3を挟み込む二つのアーム部分が変位素子11’として構成され、これらの変位素子11’を連結する部分、すなわち平面形状U字型における底部の中央が測定用変位素子31として構成されている。
【0057】
また変位素子シート41は、レンズ体3を挟み込む二つのアーム部分を連結する部分、すなわち平面形状U字型における底部側の端縁を固定端とし、この固定端において固定部材7に固定されている。ここでは、2枚の変位素子シート41が、レンズ保持部材5の保持アーム5bを光軸z方向から挟んだ状態で固定されていることとする。これら2枚の変位素子シート41は、同一の平面形状とする。尚、変位素子シート41の固定部材7に対する固定状態は、第1実施形態において説明した変位素子の固定部材7に対する固定状態と同様である。ただし、図7の斜視図においては、説明のため固定部材7の一部のみを図示している。
【0058】
ここで変位素子シート41における測定用変位素子31は、変位素子11’に連結された部分が固定端として固定部材7に固定され、この固定端からレンズ体3側に自由端31aを突出させている。このような測定用変位素子31は、レンズ体3の移動に追従して変形する状態で設けられているところが特徴的である。また、測定用変位素子31は、レンズ体3に追従した変形において、負荷が掛けられることのないように配置されていることが重要である。
【0059】
以上のような測定用変位素子31の配置の一例として、レンズ保持部材5の固定部材7に対向する位置に、2つの孔部Hを設けて各測定用変位素子31の自由端31aを摺動自在に差し込む構成が例示される。このような孔部Hを設けるために、保持アーム5bにおいて固定部材7に対向する位置に対向壁部5cを設け、この対向壁部5cに孔部Hを設けても良い。この場合、変位素子11’が湾曲せずに平面状に保たれた状態では、測定用変位素子31も平面状に保たれることが重要である。
【0060】
また以上のような変位素子シート41を固定する固定部材7において、各変位素子11’を挟持する部分は、各変位素子11’に電圧を印加するための端子として構成されている。一方、測定用変位素子31を挟持する部分は、測定用変位素子31に流れる電流を電流測定部19によって測定するための端子として構成されている。これらの測定用変位素子31には、電圧印加部17を接続する必要がないことは、第2実施形態と同様である。尚、説明のため、図7の斜視図においては、一方の変位素子シート41のみに、電圧測定部17および電流測定部19を接続させた構成を示したが、2枚の変位素子シート41の両方に、電圧測定部17および電流測定部19が接続される。
【0061】
<制御部15>
制御部15は、第1実施形態の制御部と同様であるが、この制御部15に接続された電流測定部19は、測定用変位素子31に流れる電流値を測定するためものであるところが第1実施形態とは異なる。このような制御部15は、第2実施形態で説明したと同様に、測定用変位素子31に流れる電流[I]に基づいて、変位素子11’に印加する電圧[V]を[V]=V2に補正する。
【0062】
[第3実施形態のレンズモジュールの駆動]
以上のようなレンズモジュール1-3の駆動は、第1実施形態のレンズモジュールの駆動と同様に行われる。ただし、変位素子11’に印加する電圧[V]の制御は、測定用変位素子31に流れる電流[I]に基づいて行われる。
【0063】
[第3実施形態のレンズモジュールの効果]
以上のような構成の第3実施形態のレンズモジュール1-3では、変位素子11’と同一に構成された測定用変位素子31に流れる電流[I]に基づいて、変位素子11’を変形させるための電圧[V]が制御される。このため、第1実施形態と同様に、位置センサを設けることなくレンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能である。特に測定用変位素子31と変位素子11’とが一体化されているため、レンズ体3の移動量をクローズドループ制御可能なレンズモジュール1-3において、部品点数を抑えることができ、簡便に組み立て可能で製造コストが低く抑えることが可能になる。
【0064】
また本第3実施形態のレンズモジュール1-3では、測定用変位素子31の固定部側から自由端31aまでの長さが短いため、測定用変位素子31の変形量を大きくできる。これにより、電流[I]の測定レンジを拡大し、誤差の小さい電流[I]の測定値に基づいて、レンズ体3の移動量の精密な制御を行うことが可能になる。さらに、端子からの長さが短いため、端子から遠い部分の抵抗成分を含む電流値がノイズとして検出されることがない。このことからも、誤差の小さい電流[I]の測定値に基づいて、レンズ体3の移動量の精密な制御を行うことが可能になる。
【0065】
尚、本技術のレンズモジュールは以上説明した第1実施形態〜第3実施形態の構成に限定されることはなく、電圧によって変形する変位素子を駆動源として用いたレンズモジュールに広く適用可能であり、同様の効果を得ることが可能である。
【0066】
≪4.第4実施形態≫(マスクを用いる変位素子シートの製造方法)
図11は第4実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図であり、図12は図11の工程に続けて行われる本技術の変位素子シートの製造手順を示す平面工程図である。以下に、これらの図に基づいて、第3実施形態で用いた変位素子シートの製造方法として、マスクを用いる変位素子シートの製造方法を第4実施形態として説明する。
【0067】
<図11A>
先ず、図11Aに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23を用意する。このイオン導電性高分子化合物膜23には、複数の変位素子シート部分41aが設けられている。このイオン導電性高分子化合物膜23の両面に、例えばステンレス製のマスク層43を配置する。マスク層43には、変位素子および測定用変位素子の形成部に対応して、独立した開口が設けられていることとする。
【0068】
ここでイオン導電性高分子化合物膜23は、例えばフッ素樹脂あるいは炭化水素系などを骨格としたイオン交換樹脂にイオン物質を含浸させた構成である。ここでの「イオン物質」とは、陽イオンおよび/または陰イオンと極性溶媒とを含むもの、あるいは液状の陽イオンおよび/または陰イオンを含むものを意味する。前者としては、例えば、陽イオンおよび/または陰イオンに極性溶媒が溶媒和したものが挙げられ、後者としては、例えばイオン液体が挙げられる。
【0069】
またイオン交換樹脂としては、陽イオン物質が含浸される場合には陽イオン交換樹脂が好ましく、陰イオン物質が含浸される場合には陰イオン交換樹脂が好ましい。
【0070】
陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基あるいはカルボキシル基などの酸性基が導入されたものが挙げられる。具体的には、酸性基を有するポリエチレン、酸性基を有するポリスチレンあるいは酸性基を有するフッ素樹脂などである。中でも、陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基あるいはカルボン酸基を有するフッ素樹脂が好ましく、例えばナフィオン(デュポン株式会社製)が挙げられる。
【0071】
イオン導電性高分子化合物膜23に含浸されている陽イオン物質は、金属イオンと水とを含むもの、有機陽イオンと水とを含むもの、あるいはイオン液体であることが好ましい。金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、リチウムイオン(Li+)あるいはマグネシウムイオン(Mg2+)などの軽金属イオンが挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの陽イオンは、イオン導電性高分子化合物膜23中において水和物として存在している。よって、陽イオンと水とを含む陽イオン物質がイオン導電性高分子化合物膜23中に含浸されている場合には、変位素子および測定用変位素子としてのポリマーアクチュエータ素子では、水の揮発を抑制するために全体として封止されていることが好ましい。
【0072】
イオン液体とは、常温溶融塩とも言われるものであり、燃性および揮発性が低い陽イオンと陰イオンとを含んでいる。イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム環系化合物、ピリジニウム環系化合物あるいは脂肪族系化合物などが挙げられる。
【0073】
中でも、陽イオン物質は、イオン液体であることが好ましい。揮発性が低いため、高温雰囲気中あるいは真空中においても変位素子および測定用変位素子としてのポリマーアクチュエータ素子が良好に動作するからである。
【0074】
<図11B>
次に、図11Bに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23の両面に、マスク層43を介してフィルム状の電極膜25A,25Bを配置し、両面から加圧する。これにより、マスク層43の開口に露出しているイオン導電性高分子化合物膜23の表面に、電極膜25A,25Bを圧着させる。この際、必要に応じて加熱を行っても良い。
【0075】
ここで用いる電極膜25A,25Bは、それぞれ1種あるいは2種以上の導電性材料を含んでいる。電極膜25A,25Bは、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着されたものが好ましい。電極膜25A,25Bの柔軟性が高まるからである。導電性材料粉末としてはカーボン粉末が好ましい。導電性が高く、比表面積が大きいため、より大きい変形量が得られるからである。カーボン粉末としては、ケッチェンブラックが好ましい。イオン導電性高分子としては、上記したイオン導電性高分子化合物膜23の構成材料と同様のものが好ましい。
【0076】
また電極膜25A,25Bは、多層構造になっていてもよく、その場合、イオン導電性高分子化合物膜23の側から順に、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着された層と金属層とが積層された構造を有していることが好ましい。これにより、電極膜25A,25Bの面内方向において電位がより均一な値に近づき、より優れた変形性能を得られるからである。金属層を構成する材料としては、金あるいは白金などの貴金属が挙げられる。金属層の厚さは任意であるが、電極膜25A,25Bに電位が均一になるように連続膜となっていることが好ましい。金属層を形成する方法としては、めっき法、蒸着法あるいはスパッタ法などが挙げられる。
【0077】
尚、電極膜25A,25Bの配置は、フィルム状の電極膜25A,25Bを用いることに限定されることはない。例えば、分散媒に導電性材料粉末と導電性高分子とを分散させた塗料を用い、マスク層43が配置されたイオン導電性高分子化合物膜23上から塗布し、その後、乾燥させて電極膜25A,25Bとしても良い。
【0078】
<図11C>
その後、図11Cに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23の両面からマスク層43を引き剥がす。これにより、マスク層43上の電極膜25A,25Bがマスク層43と共に除去され、イオン導電性高分子化合物膜23に圧着された電極膜25A,25Bのみが、マスク層43の開口底部に残される。この状態においては、各変位素子シート部分41aに、イオン導電性高分子化合物膜23を共通層とした変位素子11’と測定用変位素子31とが独立して形成される。
【0079】
<図12A>
図12Aは、図11Cに対応する平面図である。この図にも示すように、イオン導電性高分子化合物膜23に設定された各変位素子シート部分41aには、2つの変位素子11’と、これらの間に配置された測定用変位素子31とが形成された状態となる。
【0080】
<図12B>
次に、図12Bに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23を、各変位素子シート41の形状にカットする。これにより、一対の変位素子11’の間に測定用変位素子31が配置され、イオン導電性高分子化合物膜23においてこれらの変位素子11’および測定用変位素子31が一体化された、複数の変位素子シート41が得られる。
【0081】
≪5.第5実施形態≫(印刷法を適用した変位素子シートの製造方法)
図13は第5実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図である。以下に、これらの図に基づいて、第3実施形態で用いた変位素子シートの製造方法として、印刷法を適用した変位素子シートの製造方法を第5実施形態として説明する。尚、他の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0082】
<図13A>
先ず図13Aに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23を用意する。このイオン導電性高分子化合物膜23には、複数の変位素子シート部分41aが設けられている。このイオン導電性高分子化合物膜23の一主面上に、印刷法を適用して電極膜25Aをパターン形成する。ここでは、分散媒に導電性材料粉末と導電性高分子とを分散させた塗料を印刷用インクとして用い、各変位素子シート部分41aの変位素子および測定用変位素子の形成部に、電極膜25Aをパターン形成する。
【0083】
<図13B>
次に、図13Bに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23の他主面上に、印刷法を適用して電極膜25Bをパターン形成する。この電極膜25Bは、電極膜25Aの形成と同様に行う。ここでは、イオン導電性高分子化合物膜23の一主面上にパターン形成された電極膜25Aに一致させて電極膜25Bをパターン形成する。
【0084】
この状態においては、各変位素子シート部分41aに、イオン導電性高分子化合物膜23を共通層とした変位素子11’と測定用変位素子31とが独立して形成される。
【0085】
以上の後には、第4実施形態において図12を用いて説明した手順と同様に、イオン導電性高分子化合物膜23を、各変位素子シート41の形状にカットする。これにより、一対の変位素子11’の間に測定用変位素子31が配置され、イオン導電性高分子化合物膜23においてこれらの変位素子11’および測定用変位素子31が一体化された、複数の変位素子シート41が得られる。
【0086】
≪6.第6実施形態≫(凸版圧着を適用した変位素子シートの製造方法)
図14は第6実施形態の変位素子シートの製造手順を示す断面工程図である。以下に、これらの図に基づいて、第3実施形態で用いた変位素子シートの製造方法として、凸版圧着を適用した変位素子シートの製造方法を第6実施形態として説明する。尚、他の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0087】
<図14A>
先ず図14Aに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23を用意する。このイオン導電性高分子化合物膜23には、複数の変位素子シート部分41aが設けられている。このイオン導電性高分子化合物膜23の一主面上に、フィルム状の電極膜25Aを載置する。電極膜25Aの載置面側に、凸版45を対向配置して電極膜25Aに押し圧する。この凸版45は、変位素子および測定用変位素子の形成部に対応して、独立した島状の凸部を有する。これにより、凸部に対応する電極膜25A部分がイオン導電性高分子化合物膜23に圧着される。
【0088】
<図14B>
次に、図14Bに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23から電極膜25Aを剥がし取る。これにより、電極膜25Aにおいて、イオン導電性高分子化合物膜23に対して圧着されていない部分のみが剥がし取られ、イオン導電性高分子化合物膜23に対して圧着された電極膜25A部分のみが、イオン導電性高分子化合物膜23上に残される。
【0089】
<図14C>
次いで、図14Cに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23の他主面上に、フィルム状の電極膜25Bを載置する。電極膜25Bの載置面側に、凸版45を対向配置して電極膜25Bに押し圧する。この凸版45は、変位素子および測定用変位素子の形成部に対応して、独立した島状の凸部を有する。これにより、凸部に対応する電極膜25B部分がイオン導電性高分子化合物膜23に圧着される。尚ここでは、イオン導電性高分子化合物膜23の一主面上に設けられた電極膜25Aに、凸版45の凸部を一致させることが重要である。
【0090】
<図14D>
その後、図14Dに示すように、イオン導電性高分子化合物膜23から電極膜25Bを剥がし取る。これにより、電極膜25Bにおいて、イオン導電性高分子化合物膜23に対して圧着されていない部分のみが剥がし取られ、イオン導電性高分子化合物膜23に対して圧着された電極膜25B部分のみが、イオン導電性高分子化合物膜23上に残される。
【0091】
この状態においては、各変位素子シート部分41aに、イオン導電性高分子化合物膜23を共通層とした変位素子11’と測定用変位素子31とが独立して形成される。
【0092】
尚、以上までの工程において、図14Aおよび図14Cを用いて説明した工程は、同時に行っても良い。
【0093】
以上の後には、第4実施形態において図12を用いて説明した手順と同様に、イオン導電性高分子化合物膜23を、各変位素子シート41の形状にカットする。これにより、一対の変位素子11’の間に測定用変位素子31が配置され、イオン導電性高分子化合物膜23においてこれらの変位素子11’および測定用変位素子31が一体化された、複数の変位素子シート41が得られる。
【0094】
尚、第4実施形態〜第6実施形態においては、本技術の変位素子シートの製造方法を第3実施形態で説明した構成の変位素子シートの製造に適用した場合を説明した。しかしながら本技術の変位素子シートの製造方法は、同一構成の測定用変位素子と変位素子とが一体化し、かつ電圧が印加される電極部分が分離された構成の変位素子シートの製造に広く適用可能である。
【0095】
≪7.第7実施形態≫(撮像装置)
次に第7実施形態として、本技術の撮像装置の構成を説明する。図15には、本技術を適用したレンズモジュールを用いた撮像装置61の構成図を示す。この図に示す撮像装置61は、先に説明した本技術のレンズモジュール(ここでは代表して第1実施形態のレンズモジュール1-1)を、オートフォーカスモジュールとして用いている。このような撮像装置61は、このレンズモジュール1-1と共に、固体撮像素子63、駆動回路65、さらに必要に応じて信号処理回路67を備えている。
【0096】
固体撮像素子63は、レンズモジュール1-1を構成するレンズ体3により結像される撮像信号を取得する素子である。この固体撮像素子63は、例えば電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を搭載したイメージセンサを備えている。このような固体撮像素子63は、レンズモジュール1-1の光軸z方向に重なる位置に配置される。より詳しくは、固体撮像素子63におけるイメージセンサの受光面が、レンズ体3の光軸z上で、かつ光軸zに対して垂直となるように、レンズモジュール1-1に対して固体撮像素子63が重ねて配置される。例えば支持体9側に固体撮像素子63を配置する場合であれば、支持体9に設けた開口9aに対してイメージセンサの受光面を対向させるように固体撮像素子63を配置する。
【0097】
これらのレンズモジュール1-1および固体撮像素子63は、ここでの図示を省略した撮像装置の筐体内に固定される。
【0098】
また駆動回路65は、固体撮像素子63を駆動するものであり、イメージセンサにおいて光電変換された信号電荷の蓄積および読み出しを制御する。このような駆動回路65は、固体撮像素子63の外部回路として設けられていても良いが、固体撮像素子63に内部回路として組み込まれていても良い。
【0099】
また信号処理回路67は、駆動回路65によって読み出された信号を映像信号として処理するものであり、必要に応じて信号処理が行われた映像信号をメモリなどの記憶媒体やモニタに出力する。
【0100】
このような構成の撮像装置61では、レンズモジュール1-1のレンズ体3が、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子63の受光面上に結像させる。この際、駆動回路65での駆動により、固体撮像素子63内に一定期間信号電荷を蓄積し、その後信号電荷の読み出しを行うことで、映像信号を得る。
【0101】
以上のような構成の撮像装置61は、本技術のレンズモジュール1-1をオートフォーカスモジュールとして用いたことにより、薄型化および小型化が図られたものとなる。この結果、特に高画質が要求される撮像装置61においては、大口径レンズが必要とされるが、この場合であっても撮像装置61も薄型化および小型化を達成することが可能である。
【0102】
≪8.第8実施形態≫(電子機器)
次に第8実施形態として、本技術を適用した電子機器の構成例を説明する。図16は、このような電子機器の一例として、撮像機能付き携帯電話(携帯電話100)の概略構成を示す斜視図である。
【0103】
この携帯電話100は、2つの筐体101A,101B同士が、図示しないヒンジ機構を介して折り畳み自在に連結されている。
【0104】
図16Aに示したように、筐体101Aの一方側の面には、各種の操作キー102が複数配設されると共に、その下端部にマイクロフォン103が配設されている。操作キー102は使用者(ユーザ)による所定の操作を受け付けて情報を入力するためのものである。マイクロフォン103は、通話時等における使用者の音声を入力するためのものである。
【0105】
また図16Aに示したように、筐体101Bの一方側の面には、例えば液晶表示パネル等を用いた表示部104が配設されると共に、その上端部には、スピーカー105が配設されている。表示部104には、例えば、電波の受信状況や電池残量、通話相手の電話番号、電話帳として登録されている内容(相手先の電話番号や氏名等)、発信履歴、着信履歴等の各種の情報が表示されるようになっている。スピーカー105は、通話時等における通話相手の音声等を出力するためのものである。
【0106】
図16Bに示したように、筐体101Aの他方側の面にはカバーガラス106が配設されていると共に、筐体101A内部のカバーガラス106に対応する位置に、先に説明した撮像装置61が設けられている。この撮像装置61は、物体側(カバーガラス106側)に例えば第1実施形態で説明したレンズモジュール1-1、像側(筐体101Aの内部側)に固体撮像素子63が配置されるように、筐体101A内に固定されている。
【0107】
この携帯電話100には、撮像装置61の固体撮像素子63から読み出された信号電荷に基づいて各種の信号処理を行う信号処理回路(67)が設けられている。これにより、信号処理回路(67)によって処理された映像信号が、内蔵メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、または表示部104に出力される構成となっている。
【0108】
このような構成の携帯電話100は、本技術、例えば第1実施形態で説明したレンズモジュール1-1を備えた撮像装置61を内蔵したことにより、小型化が図られたものとなる。特に、レンズの光軸方向の薄型化を図ることが可能である。
【0109】
尚、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部とを備えた
レンズモジュール。
【0110】
(2)
前記変位素子は、ポリマーアクチュエータ素子である
(1)記載のレンズモジュール。
【0111】
(3)
前記制御部は、前記変位素子において測定された電流値に基づいて当該変位素子に印加する電圧を補正する
(1)または(2)記載のレンズモジュール。
【0112】
(4)
前記変位素子と同様の構成を有し、前記レンズ体の移動に追従して変形する状態で設けられた測定用変位素子を備え、
前記制御部は、前記レンズ体の移動に伴って前記測定用変位素子に流れる電流値を前記変位素子に流れる電流値として、当該変位素子に印加する電圧を補正する
(1)または(2)記載のレンズモジュール。
【0113】
(5)
前記測定用変位素子は、前記変位素子とは別体で設けられた
(4)記載のレンズモジュール。
【0114】
(6)
前記測定用変位素子と前記変位素子とは、電圧が印加される電極部分が分離された一体物として設けられた
(4)記載のレンズモジュール。
【0115】
(7)
前記測定用変位素子は、前記レンズ保持部材に設けた孔部に摺動自在に自由端を差し込んだ状態で、当該自由端に対する他端部を固定して設けられた
(4)〜(6)の何れかに記載のレンズモジュール。
【0116】
(8)
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子とを備えた
撮像装置。
【0117】
(9)
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの出力信号を処理する信号処理回路とを備えた
電子機器。
【0118】
(10)
イオン導電性高分子化合物膜の一部分を一対の電極膜で挟持した層構造を有する変位素子と、
前記イオン導電性高分子化合物膜の他の一部分を電極膜で挟持した層構造を有し、当該イオン導電性高分子化合物膜によって前記変位素子と一体化され、かつ当該変位素子とは電気的に分離された測定用変位素子とを備えた
変位素子シート。
【0119】
(11)
イオン導電性高分子化合物膜の複数個所に、当該イオン導電性高分子化合物膜を両面から挟持する状態で電極膜をパターン形成する工程と、
前記電極膜がパターン形成された複数個所のうちの少なくとも2箇所を含むように前記イオン導電性化合物膜を分割し、当該電極膜によって当該イオン導電性化合物膜を挟持した構成を有する変位素子と測定用変位素子とが当該イオン導電性化合物膜によって一体化された各変位素子シートを切り出す工程とを含む
変位素子シートの製造方法。
【符号の説明】
【0120】
1-1,1-2,1-3…レンズモジュール、3…レンズ体、5…レンズ保持部材、5a…壁部(レンズ保持部材)、5b…保持アーム(レンズ保持部材)、11,11’…変位素子、15…制御部、21…ポリマーアクチュエータ素子、23…イオン導電性高分子化合物膜、25A,25B…電極膜、31…測定用変位素子、41…変位素子シート、61…撮像装置、63…固体撮像素子、67…信号処理回路、100…携帯電話(電子機器)、H…孔部、z…光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部とを備えた
レンズモジュール。
【請求項2】
前記変位素子は、ポリマーアクチュエータ素子である
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記制御部は、前記変位素子において測定された電流値に基づいて当該変位素子に印加する電圧を補正する
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記変位素子と同様の構成を有し、前記レンズ体の移動に追従して変形する状態で設けられた測定用変位素子を備え、
前記制御部は、前記レンズ体の移動に伴って前記測定用変位素子に流れる電流値を前記変位素子に流れる電流値として、当該変位素子に印加する電圧を補正する
請求項1記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記測定用変位素子は、前記変位素子とは別体で設けられた
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記測定用変位素子と前記変位素子とは、電圧が印加される電極部分が分離された一体物として設けられた
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記測定用変位素子は、前記レンズ保持部材に設けた孔部に摺動自在に自由端を差し込んだ状態で、当該自由端に対する他端部を固定して設けられた
請求項4記載のレンズモジュール。
【請求項8】
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子とを備えた
撮像装置。
【請求項9】
レンズ体と、
前記レンズ体を保持するレンズ保持部材と、
電圧の印加によって変形し、この変形によって前記レンズ保持部材に保持された前記レンズ体を光軸を傾けることなく当該光軸に沿って移動させる平板状の変位素子と、
前記レンズ体の移動に伴って前記変位素子に流れる電流に基づき、当該変位素子の変形による当該レンズ体の光軸方向への移動量が設定された値となるように当該変位素子に印加する電圧を制御する制御部と、
前記レンズ体による結像位置に配置された固体撮像素子と、
前記固体撮像素子からの出力信号を処理する信号処理回路とを備えた
電子機器。
【請求項10】
イオン導電性高分子化合物膜の一部分を一対の電極膜で挟持した層構造を有する変位素子と、
前記イオン導電性高分子化合物膜の他の一部分を電極膜で挟持した層構造を有し、当該イオン導電性高分子化合物膜によって前記変位素子と一体化され、かつ当該変位素子とは電気的に分離された測定用変位素子とを備えた
変位素子シート。
【請求項11】
イオン導電性高分子化合物膜の複数個所に、当該イオン導電性高分子化合物膜を両面から挟持する状態で電極膜をパターン形成する工程と、
前記電極膜がパターン形成された複数個所のうちの少なくとも2箇所を含むように前記イオン導電性高分子化合物膜を分割し、当該電極膜によって当該イオン導電性化合物膜を挟持した構成を有する変位素子と測定用変位素子とが当該イオン導電性化合物膜によって一体化された各変位素子シートを切り出す工程とを含む
変位素子シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−212053(P2012−212053A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78177(P2011−78177)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】