説明

レンズ付き包装容器及びそのレンズシートの製造方法

【課題】紙箱などの包装容器においてマイクロレンズシートを可変画像が印刷された包装容器基材の外面部分に、可変画像を構成する可変画素に対してスライド移動可能に取り付け、レンズシートを可変画素に対してスライド移動させることにより可変画像を観察できるようにしたレンズ付き包装容器とレンズシートの製造方法。
【解決手段】直方体又は立方体形状の包装容器Aの外面の一部領域に所定画素ピッチにて形成された光学視可能な可変画素層Cを備え、該可変画素層C上に前記ピッチと整合するレンズピッチにて形成されたレンズアレイB1 を有するマイクロレンズシートBをスライド移動可能に重ね合わせて取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器の表面にレンズシートをスライド可能に取り付けたレンズ付き包装容器及びそのレンズシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズ付き包装容器としては、偏平状のプラスチック製のマイクロレンズシート(例えばストライプ状のレンチキュラースクリーンシート、蠅の目状のレンズシート、蜂の巣状のレンズシート)と、そのマイクロレンズシートのレンズアレイにより光学視するための印刷画素シート(例えば立体視用、可変画像用の印刷画素シート)とを、そのレンズピッチと画素ピッチを整合させて貼り合わせて形成した光学画像シート(例えば立体印刷シート)を、紙箱などの包装容器の表面に接着剤にて貼り合わせたマイクロレンズ付き包装容器がある。
【0003】
また紙箱などの包装容器の基材表面に直接印刷した立体視用の印刷画素面に、偏平状のプラスチック製のレンチキュラースクリーンシート(マイクロレンズシート)を貼り合わせて形成したマイクロレンズ付き包装容器がある。また、包装材料の基材表面に各種印刷を施して意匠性を高めた包装材料や包装容器としては、例えば、特許文献1、2などがある。
【0004】
そして、視覚的立体効果を発生させるためのレンチキュラースクリーンシートやキュービクラーレンズシート(マイクロ凸レンズアレイシート)、あるいは、視覚的拡大効果を発生させるためのリニアフレネルレンズアレイシートやロータリーフレネルレンズアレイシートなどのマイクロレンズシートを使用した立体効果や拡大効果等の視覚表現方法も様々提案されている。
【0005】
レンチキュラースクリーンなどのマイクロレンズシートを使用した視覚表現は、従来より様々な方法が提案されている。これらの基本的な構成は、包材基材面に施された視覚的効果(拡大画像、立体画像、可変画像など)を発生させる画像層や図柄層(画素層)上に透明層(透明基材)があり、その上にレンズ層(レンズアレイ)を熱プレス成型方式や印刷方式などにて形成したマイクロレンズシートが被覆されている。
【0006】
また、このようなマイクロレンズ付き包装容器に貼り付けるために使用するマイクロレンズシートには、容器本体の包装機能やブランクシートを用いた製造工程に支障がないように、また、その包装容器のブランクシートに使用するフィルムとして柔軟で折り曲げ加工し易くするために、比較的に薄いシートやフィルムを使用する必要がある。
【0007】
紙箱などの包装容器の表面に視覚的効果を発生させるために、包装容器の基材(包材)表面に施した画素層上に、マイクロレンズアレイと透明基材とを配置する場合には、透明基材としては、紙箱などの容器を装填できる外表面にレンズアレイを配置した透明なスリーブケースのようなマイクロレンズ構成も考えられる。
【0008】
このようなストライプ状のレンチキュラースクリーンシートや、蠅の目状のレンズシート、蜂の巣状のレンズシートなどのマイクロレンズシートを用いて、画像を可変的に光学視するための可変画像用の印刷画素を形成した画素シート(シート中央に対して左寄り方向から見るための左画素と、右寄り方向から見るための右画素とを1ピッチ内に収納した画素シート)上に重ね合わせて、その可変画像を観察する場合には、レンズシートと画素シートとを重ね合わせて貼着固定し、レンズシート中央に対して観察者の眼の位置を左又
は右寄りに移動させる方法と、レンズシートと画素シートとを互いにスライド可能に重ね合わせて、そのいずれか一方のシートを左方向又は右方向にスライド移動させる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−114654号
【特許文献2】特開2007−98785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、紙箱などの包装容器において、マイクロレンズシートを可変画像が印刷された包装容器基材の外面部分に、可変画像を構成する可変画素に対してスライド移動可能に取り付け、レンズシートを可変画素に対してスライド移動させることにより可変画像を観察できるようにしたレンズ付き包装容器と、その容器に使用するレンズシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、直方体又は立方体形状の包装容器Aの外面の一部領域に所定画素ピッチ値にて形成された光学視可能な可変画素層を備え、該可変画素層上に前記ピッチ値と整合するレンズピッチ値にて形成されたレンズアレイを有するマイクロレンズシートをスライド移動可能に重ね合わせて取り付けられていることを特徴とするレンズ付き包装容器である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係るレンズ付き包装容器において、前記マイクロレンズシートのレンズアレイのレンズ形状が、シリンドリカルなレンチキュラースクリーン形状、又は蠅の眼レンズ形状であることを特徴とするレンズ付き包装容器である。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、透明なレンズ基材層の一面に、撥液性ニスを用いて等間隔な規則的ピッチにて細線パターン状又は網点パターン状に所定の層厚の撥液性層を形成して乾燥させた後、該撥液性層に対して濡れ性の低い透明な紫外線硬化型樹脂を該撥液性層上より全面に撥液性層以上の層厚にて塗布して、各々撥液性層間の前記樹脂を凸状に盛り上がるように成形してレンズアレイ層を形成し、次に該レンズアレイ層を紫外線照射して硬化させてレンズ基材層と一体化することを特徴とするレンズシートの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレンズ付き包装容器によれば、画像や絵柄や色調などが変化する視覚表現効果を発生させるための可変画素層が施された包装容器の基材面に、該可変画素層を可変画像として可視するためのマイクロレンズシートなどレンズシートを該可変画素層に対してスライド移動可能に取り付けたので、レンズシートを可変画素に対してスライド移動させることにより、レンズシートを透して画像や絵柄や色調などが変化する可変画像を観察することができ、菓子、食品、雑貨品などを包装する包装容器に、多彩な趣向的効果を付帯させることができるものである。
【0015】
本発明のレンズシートの製造方法によれば、多数の微小な凸レンズが透明プラスチックシート面に規則的に配列されたレンチキュラーレンズや、キュービクラーレンズなど、比較的厚みが薄いマイクロレンズシートなどのレンズシートを容易に製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明のレンズ付き包装容器及びそのレンズシートの取り付け態様の一実施例を説明する全体斜視図、(b)は本発明のレンズ付き包装容器及びそのレンズシートの取り付け態様の他の実施例を説明する全体斜視図、(c)は本発明のレンズ付き包装容器及びそのレンズシートの取り付け態様のその他の実施例を説明する全体斜視図。
【図2】本発明のレンズ付き包装容器及びそのレンズシートの取り付け態様のその他の実施例を説明する全体斜視図。
【図3】(a)は本発明のレンズ付き包装容器に取り付けられるシリンドリカル(レンチキュラー)形状のレンズアレイを有するレンズシートの上面図、(b)はその側面図。
【図4】(a)は90°方向に交差する二直線上に配列された蠅の眼レンズ形状のレンズアレイを有するレンズシートの上面図、(b)は60°方向に交差する三直線上に配列された蠅の眼レンズ形状のレンズアレイを有するレンズシートの上面図。
【図5】(a)は本発明のレンズ付き包装容器に取り付けられるシリンドリカル(レンチキュラー)形状のレンズアレイを有するレンズシートと、容器本体外面の一部領域に形成される可変画素層との関係を説明する側断面図。
【図6】(a)〜(d)は本発明のレンズ付き包装容器に使用するレンズシートの製造方法を説明する側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のレンズ付き包装容器を、図1(a)〜(c)及び図2に示すレンズ付き包装容器Aの全体斜視図、図5(a)〜(b)のレンズ付き包装容器Aの部分拡大断面図に基づいて以下に詳細に説明する。
【0018】
本発明の包装容器Aは、その全体形状は特に限定されるものではないが、例えば、紙箱など直方体又は立方体形状の外面に六面の平坦な構造面を備えた容器、あるいはその六面のうち一部の面に一次的湾曲面を備えた容器が適当であり、その容器外面の少なくとも一面の一部領域には、スライド移動可能に、所定のレンズピッチP毎(例えばP=1mm、または2mm、または3mm程度)に微小の単位レンズが繰り返されて配列されたレンズアレイB1 を備えたレンズシートB(マイクロレンズシート)が重ね合わせられて取り付けられている。
【0019】
本発明の包装容器Aの構造基材1の外面の少なくとも一面は、平坦面又は一次的湾曲面となっていて、その外面の一部領域又は全領域には、視覚的効果を発生させる可変光学視可能な可変画素層Cを備えている。なお、本発明の包装容器Aの構造基材1の外面とは、その容器Aの外側に被覆された他の包装材(着色された透明又は半透明乃至不透明なプラスチックフィルム、シュリンクフィルム、用紙、アルミニウム箔など)に孔設した窓部を介して容器Aの構造基材1が外側に露呈されている外面であってもよい。
【0020】
本発明の包装容器A本体にレンズシートBをスライド移動可能に一体的に取り付ける様式としては、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば、図1(a)に示すように、略直方体又は立方体形状(六面体)の容器A本体の画素層Cを備えた構造基材1の平坦な一面又は緩やかな一次湾曲面の二次平坦面に、互いに対向する二本の切込線2、2を刻切し、レンズアレイB1 を備えた矩形状のレンズシートB(プラスチックシート)のレンズアレイB1 を画素層C面上に重ね合わせるとともに、該プラスチックシートの対向する両端部B2 、B2 (平坦なそれぞれ端部、又はLの字型に折り曲げたそれぞれ端部)を、前記切込線2、2から容器A本体内に差し込むことにより、レンズシートBを包装容器A本体に対して矢印方向にスライド可能に取り付ける様式がある。
【0021】
また、図1(b)に示すように、略直方体又は立方体形状(六面体)の容器A本体の画素層Cが形成された面を含めて互いに対向する4面を被覆するように、容器A本体の外面に、レンズアレイB1 を備えたプラスチックシートを角筒状にした筒状体のレンズシートBを、そのレンズアレイB1 と画素層Cとが重なるように嵌合して、包装容器A本体に対してレンズシートBを矢印方向にスライド移動可能に一体的に取り付ける様式がある。
【0022】
また、図1(c)に示すように、略直方体又は立方体形状(六面体)の容器A本体の画素層Cが形成された面にレンズアレイB1 を備えた矩形状のレンズシートB(プラスチックシート)のレンズアレイB1 を挟む対向するプラスチックシート両端部B2 、B2 を、それぞれコの字型に折り曲げ、そのコの字型の両端部B2 、B2 により、容器A本体をホールドして、包装容器A本体に対してレンズシートBを矢印方向にスライド移動可能に一体的に取り付ける様式がある。
【0023】
また、本発明の包装容器A本体にレンズシートBをスライド移動可能に一体的に取り付ける様式としては、図2に示すように、前述した図1(b)に示す筒状体のレンズシートBの筒両端開口部のうち、いすれか一方の開口部がプラスチックシートにて閉塞した筒状体のレンズシートBを、そのレンズアレイB1 と画素層Cとが重なるように包装容器A本体に嵌合して、包装容器A本体に対してレンズシートBを矢印方向にスライド移動可能に一体的に取り付ける様式がある。
【0024】
レンズシートBのレンズアレイB1 のレンズ形状としては、図3(a)の平面図、図3(b)の側断面図に示すように、ストライプ状のシリンドリカルレンズ(谷部11(撥液性層11のパターン形成相当部)とかまぼこ状レンズ山部12とからなるレンチキュラースクリーン)を配列したレンズアレイB1 を備えたレンチキュラースクリーン形状でもよい。なおレンチキュラースクリーン形状のレンズアレイB1 の谷部が所定幅の撥液性層11の形成された位置となる。また図4(a)の平面図に示すように、互いに90°方向に交差する二直線上にキュービクラーレンズ(マイクロ凸レンズ群)を配列したレンズ形状や、図4(b)の平面図に示すように、互いに60°方向に交差する三直線上にキュービクラーレンズ(マイクロ凸レンズ群)を配列したレンズ形状である蠅の眼レンズ形状、あるいはリニアフレネルレンズ、ロータリーフレネルレンズ等の公知のレンズアレイのレンズ形状を使用することができる。なお図4(a)(b)において、レンズアレイB1 の谷部は、所定幅の撥液性層11の形成された位置(斜線部)であり、図5(a)(b)において、円形状の凸レンズ山部12、あるいは図5(b)において、蜂の巣状の凸レンズ山部12を備える。
【0025】
図5(a)〜(b)のレンズ付き包装容器Aの部分拡大断面図に示すように、前記包装容器Aの構造基材1外面の平坦面、又は一次的湾曲面の一部領域又は全領域には、所定の画素ピッチp(p=レンズピッチP/画像数n)にて2画像以上複数n画像のそれぞれ画像(図5(a)では、2種類の画像、図5(b)では6種類の画像)を分割形成して形成した可変光学視可能な視覚的効果を発生させる画素ピッチp(p=P/n)の微細な2画素以上複数画素Cn(画素C1 、C2 以上、複数の画素C1 、C2 、C3 、・・・Cn、図5(a)ではn=2、図5(b)ではn=6)をレンズピッチPの各単位レンズ内に合成配列して構成される前記可変画素層Cを備えている。そして、その包装容器Aの可変画素層C上に前記レンズアレイB1 を有するレンズシートBがスライド移動可能に重ね合わせられて取り付けられている。
【0026】
なお、可変画素層Cの形成領域外側の基材1表面には、レンズシートBが包装容器Aの可変画素層C面上にて、その各画素Csの画素ピッチpに対してレンズシートBのレンズアレイB1 による焦点距離(光集束幅)が一致しながらスライド移動が円滑にできるように、シルクスクリーン印刷、凹版印刷などのインキ厚膜(厚盛り)印刷方式、プレス加工方式、プラスチックテープ、紙テープなどを用いたテープ貼り方式などにより、互いに離間対向する一対の各々凸堤(又はコの字型若しくは環状型、部分円弧型などの形状にパターン状に囲繞するように凸堤、図示せず)が設けられていてもよい。また、前記画素層Cは、紙、プラスチック、金属箔等のフィルムやシート等に印刷等により形成された画素シートを、容器Aの構造基材1の表面に貼り合わせたものであっもよいし、容器Aの構造基材1の表面に直接、印刷等により厚盛り印刷にて形成されたものであってもよい。
【0027】
また、本発明のレンズ付き包装容器Aにスライド移動可能に取り付けられ重ね合わせて使用するレンズシートBには、容器A本体の包装機能やブランクシートを用いた製造工程に支障がないように、また、その包装容器のブランクシートに使用するフィルムとして柔軟で折り曲げ加工し易くするために、比較的に薄いシートやフィルムを使用することが望ましい。
【0028】
本発明の包装容器Aの外面に視覚的効果を発生させるためにスライド移動可能に重ね合わせて取り付けるレンズシートBは、組み立てる前の包装容器のブランクシートに予めスライド可能に取り付けられていてもよいし、包装容器を組み立て製函した後にスライド可能に取り付けるようにしてもよい。
【0029】
本発明のレンズ付き包装容器Aの可変画素層Cを形成する容器構造基材1(包装材料、可変画素層Cのベースシート1)に使用する素材としては、コート紙、アート紙、上質紙などの用紙、板紙、厚紙などであり、例えば、カード紙、NewDV、坪量270g/m2 (北越製紙製)がある。
【0030】
次に本発明のレンズシートの製造方法を以下に詳細に説明すれば、図6(a)〜(d)に基づいて以下に詳細に説明する。
【0031】
図6(a)に示すように、例えばポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリプロピレン樹脂など透明なプラスチック製のシートやフィルム(具体的にはスーパービュアレイSG−140TC、厚さ300μm、出光ユニテック製)からなる透明なレンズ基材層1を準備する。なお、レンズ基材1の素材としては、後述する紫外線硬化型樹脂液Lに使用する主樹脂と同様の光屈折率を有する樹脂を使用することができ、例えばアクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレート樹脂)やポリエステル系樹脂を使用することができる。またレンズ基材層1の厚さは、包装容器Aの製函工程、包装内容物の充填包装工程、包装容器の取扱いや使用等に支障がないものであれば特に限定されない。
【0032】
次に、図6(b)に示すように、レンズ基材層1の片面に、後に塗布するレンズアレイ層を形成するための紫外線硬化型樹脂液に対して、硬化乾燥後の層膜が撥液性を有する(濡れ性の低い)撥液性ニスを用いて、等間隔な規則的ピッチにて細線パターン状又は網点パターン状に、所定の層厚の撥液性層11を、凹版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷方式又は塗布方式にて形成し乾燥させて撥液性層11を形成する。
【0033】
使用する撥液性ニス(撥液性インキ)としては、特に限定はされないが、そのニスの硬化乾燥後の撥液性層11が、レンズアレイ層を形成するための紫外線硬化型樹脂液を弾く撥液性を有するものであればよく、水性又は水性エマルジョンタイプのニス(インキ)又
は油性のニス(インキ)のいずれでもよく、セルローズ系、ポリアミド系、塩酢ビ系、変性ポリオレフィン系、ゴム系アクリル系、ウレタン系などの樹脂成分にワックスやシリコンを添加したものが使用でき、好ましくは紫外線硬化型の撥液性を有するニスが使われ、紫外線硬化型の撥液性を有するニスの場合は、アクリル系や不飽和ポリエステル系のプレポリマーに、アクリルやスチレンなどのモノマー成分、及び、光重合開始剤の混合物にワックスやシリコンを添加したものが用いられる。例えば具体的な紫外線硬化型の撥液性を有するニスとしては、ダイキュアハイブライトメジュームEM((株)DIC製)、HKRウェットOPニス((株)ティーアンドケイ東華製)がある。
【0034】
レンズ基材層1の片面に形成する前記撥液性層11は、図4(a)、(b)の平面図に示すレンズシートBの領域において、凸レンズ状の各々レンズアレイB1 (凸レンズ12)を除く領域にパターン形成されることが適当である。
【0035】
続いて、図6(c)に示すように、硬化乾燥した前記撥液性層11に対して撥液性を有する透明な紫外線硬化型樹脂液Lを用いて、該撥液性層11上より全面に、その撥液性層11の層厚以上の層厚にて塗布する。紫外線硬化型樹脂液Lの主樹脂としては、紫外線硬化乾燥した撥液性層11に対して撥液性を有し、レンズ基材層1面に対して密着性のある樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、紫外線硬化樹脂液Lとしては、アクリル系や不飽和ポリエステル系のプレポリマーに、アクリルやスチレンモノマー成分、光重合開始剤及びその他添加剤を組成成分とするニス(インキ)が挙げられる。例えば、具体的には、ダイキュアクリヤーUV−1601EM−TS(DIC製)が使用される。又、塗工方法は、特に限定されること無く、目的に応じてフレキソ、グラビア、オフセット、ロールコート、リバースコートなどの方式が利用可能である。
【0036】
塗布された紫外線硬化型樹脂液Lは、図6(c)に示すように、その樹脂液Lと乾燥固化させた撥液性層11との接液界面における樹脂液Lの撥液性層11に対する撥液と表面張力により、各々撥液性層11、11の間において凸レンズアレイ状に盛り上がる。
【0037】
続いて、レンズ基材層1の撥液性層11側から、凸レンズアレイ状に盛り上がった前記樹脂液Lを紫外線照射して硬化させることにより、レンズ基材層1面の各撥液性層11、11の間に、該レンズ基材層1と一体化した凸レンズ12が規則的に多数配列されたレンズアレイ層B1 が形成される。これにより、図6(c)に示すように、レンズ基材層1上に多数の凸レンズ12が規則的に配列されたレンズアレイ層B1 を備える本発明のレンズ付き包装容器Aに使用するレンズシートBが形成される。
【符号の説明】
【0038】
1…包装容器基材
2…凸堤部
3…画素層
4…マイクロレンズシート
5…透明基材層
6…マイクロレンズアレイ
7…間隙部
8…凹陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体又は立方体形状の包装容器Aの外面の一部領域に所定画素ピッチ値にて形成された光学視可能な可変画素層を備え、該可変画素層上に前記ピッチ値と整合するレンズピッチ値にて形成されたレンズアレイを有するマイクロレンズシートをスライド移動可能に重ね合わせて取り付けられていることを特徴とするレンズ付き包装容器。
【請求項2】
前記マイクロレンズシートのレンズアレイのレンズ形状が、シリンドリカルなレンチキュラースクリーン形状、又は蠅の眼レンズ形状であることを特徴とする請求項1記載のレンズ付き包装容器。
【請求項3】
透明なレンズ基材層の一面に、撥液性ニスを用いて等間隔な規則的ピッチにて細線パターン状又は網点パターン状に所定の層厚の撥液性層を形成して乾燥させた後、該撥液性層に対して濡れ性の低い透明な紫外線硬化型樹脂を該撥液性層上より全面に撥液性層以上の層厚にて塗布して、各々撥液性層間の前記樹脂を凸状に盛り上がるように成形してレンズアレイ層を形成し、次に該レンズアレイ層を紫外線照射して硬化させてレンズ基材層と一体化することを特徴とするレンズシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11785(P2011−11785A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156657(P2009−156657)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】