レンズ鏡筒及び撮像装置
【課題】簡素な構成でレンズ鏡筒を構成できるとともに、焦点位置を容易に調整する。
【解決手段】レンズ鏡筒は、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動可能に保持する固定筒108と、固定筒108に対して回動可能に設けられ、回動に伴って第1群レンズ保持筒110及び第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動する回転筒(外筒102、中筒104及び内筒106)と、を備え、回転筒は、第1群レンズ保持筒110を光軸方向に移動する中筒104と、第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動する外筒102及び内筒106とを含み、中筒104に対する外筒102及び内筒106の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備える。
【解決手段】レンズ鏡筒は、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動可能に保持する固定筒108と、固定筒108に対して回動可能に設けられ、回動に伴って第1群レンズ保持筒110及び第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動する回転筒(外筒102、中筒104及び内筒106)と、を備え、回転筒は、第1群レンズ保持筒110を光軸方向に移動する中筒104と、第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動する外筒102及び内筒106とを含み、中筒104に対する外筒102及び内筒106の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されているように、2群構成のズームレンズにおいて、固定筒に対してカム筒を回動させて、第1レンズ保持筒と第2レンズ保持筒をともに光軸方向に移動する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−352406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、フォーカスを調整するために、第1レンズ保持筒を移動筒に対して光軸方向に移動させる構成とされており、構造が複雑になるとともに、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡素な構成でレンズ鏡筒を構成できるとともに、焦点位置を容易に調整することが可能な、新規かつ改良されたレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を備え、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備えるレンズ鏡筒が提供される。
【0007】
上記構成によれば、第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒は、第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、調整部は、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。従って、フォーカス調整用の筒を別途に設けることなく、簡素な構成で2群構成のズームレンズを構成することができる。
【0008】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられる。この構成により、偏芯ピンを調整用の孔に対して回動することで、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することが可能となる。
【0009】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させる。この構成により、第2群レンズの近傍の大きさを最小限に抑えることが可能となる。
【0010】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形される。この構成により、固定筒に対する雌ヘリコイドの角度位置の精度を大幅に高めることができ、第1群レンズと第2群レンズの間隔を高精度に規定することができる。
【0011】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成される。この構成により、第2群レンズが固定筒の内側にかん合する構成においても、第4の回転筒の回動を第2群レンズに対して伝達することが可能となる。
【0012】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。この構成により、第1の回転筒に対する第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができ、この結果、第1の回転筒に対する第4の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができる。
【0013】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動する。この構成により、第1の回転筒の固定筒に対する光軸方向の位置精度を緩和できるため、製造コストを低減することができる。
【0014】
レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用される。この構成により、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することで、所望の位置にピントを合わせることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を有し、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を有するレンズ鏡筒と、前記第1群レンズ及び前記第2群レンズにより被写体像が結像される撮像面を有する撮像素子と、を備える撮像装置が提供される。
【0016】
上記構成によれば、第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒は、第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、調整部は、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。従って、フォーカス調整用の筒を別途に設けることなく、簡素な構成で2群構成のズームレンズを構成することができる。
【0017】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられる。この構成により、偏芯ピンを調整用の孔に対して回動することで、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することが可能となる。
【0018】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させる。この構成により、第2群レンズの近傍の大きさを最小限に抑えることが可能となる。
【0019】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形される。この構成により、固定筒に対する雌ヘリコイドの角度位置の精度を大幅に高めることができ、第1群レンズと第2群レンズの間隔を高精度に規定することができる。
【0020】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成される。この構成により、第2群レンズが固定筒の内側にかん合する構成においても、第4の回転筒の回動を第2群レンズに対して伝達することが可能となる。
【0021】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。この構成により、第1の回転筒に対する第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができ、この結果、第1の回転筒に対する第4の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができる。
【0022】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動する。この構成により、第1の回転筒の固定筒に対する光軸方向の位置精度を緩和できるため、製造コストを低減することができる。
【0023】
レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用される。この構成により、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することで、所望の位置にピントを合わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡素な構成でレンズ鏡筒を構成できるとともに、焦点位置を容易に調整することが可能なレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】レンズ鏡筒の外観を示す斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒の光軸に沿った断面を示す模式図である。
【図4】内筒に設けられた突起と、第2群レンズ保持筒に設けられたリブを示す斜視図である。
【図5】ズームロックピンの機能を説明するための模式図である。
【図6】雌ヘリコイドを6条のヘリコイドで構成した場合を示す模式図である。
【図7】雌ヘリコイドを3条のヘリコイドで構成した場合を示す模式図である。
【図8】パンフォーカスを調整する際に用いる偏芯ピンを示す斜視図である。
【図9】偏芯ピンによってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。
【図10】偏芯ピンによってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。
【図11】偏芯ピンを挿入した状態において、偏芯ピンの中心軸の位置における断面を示す模式図である。
【図12】偏芯ピンを挿入した状態において、偏芯ピンの中心軸の位置における断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像装置のレンズ鏡筒100について説明する。一例として、本実施形態に係るレンズ鏡筒100は、監視カメラなどの撮像装置に用いることができる。
【0028】
レンズ鏡筒100は、2群構成のズームレンズに適用されるものである。一例として、本実施形態では、2群構成のパンフォーカスズームレンズに適用した場合を説明する。パンフォーカスズームレンズは、至近から無限遠の全域でピントが合った状態の画像を撮像することができるレンズであり、至近から無限遠の全域でピントが合った状態で焦点距離をワイド(Wide)からテレ(Tele)まで変化させることができる。
【0029】
バリフォーカルのズームレンズの場合、ズームにより焦点距離を動かすと、ピントがずれてしまう。このため、監視カメラ等に適用した場合は、カメラを所望の位置に設置した後にズーミングを行うと、ピントも合わせる必要があり、作業が煩雑となる。これに対し、パンフォーカスズームレンズの場合は、カメラ設置後にズーム調整のみを行えばよく、ピント調整が不要であるため、設置時の作業を大幅に軽減することができる。
【0030】
図1は、レンズ鏡筒100の外観を示す斜視図である。また、図2は、レンズ鏡筒100の分解斜視図である。また、図3は、レンズ鏡筒100の光軸に沿った断面を示す模式図である。
【0031】
図1〜図3に示すように、レンズ鏡筒100は、外筒102、中筒104、内筒106、固定筒108、第1群レンズ保持筒110、第2群レンズ保持筒112を有して構成されている。第1群レンズ保持筒110には、第1群レンズ120が装着されている。また、第2群レンズ保持筒112には、第2群レンズ122が装着されている。中筒104には、ユーザが外筒102を回動させる際に手で保持するとともに、ズーム位置をロックするためのズームロックピン118が装着されている。
【0032】
図3に示すように、固定筒108の外周に中筒104が回動可能にかん合している。中筒104の外周には、外筒102がネジ114によって固定され、外筒102と中筒104は一体化されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、中筒104の内周面には、3つの直進溝104aが設けられている。また、固定筒108の前側には、3つのカム溝108a(斜行カム)が設けられている。
【0034】
固定筒108内には、前側(被写体側)に第1群レンズ保持筒110が挿入され、後側に第2群レンズ保持筒112が挿入されている。第1群レンズ保持筒110の外周には、3つのカムフォロワ110aが設けられている。3つのカムフォロワ110aは、中筒104の3つの直進溝104aと、固定筒108の3つのカム溝108aに対応する位置に設けられている。3つのカムフォロワ110aのそれぞれは、固定筒108の前側に設けられたカム溝108aに挿通され、中筒104の3つの直進溝104aに挿入されている。
【0035】
内筒106は、固定筒108内の第1群レンズ保持筒110よりも後ろ側に挿入されており、固定筒108に対して回動可能とされている。固定筒108には、カム溝108aよりも後側に溝108bが3箇所設けられている。外筒102の外周には3つのネジ116が挿入され、3つのネジ116のそれぞれは、3つの溝108bを挿通して内筒106のネジ孔106aに固定されている。これにより、外筒102と内筒106がネジ116によって一体化されている。つまり、外筒102、中筒104、内筒106は、ネジ114及びネジ116によって一体化されている。ネジ116は、固定筒108の円周方向に延在して形成された溝108bに挿入されているため、外筒102、中筒104、及び内筒106は、一体化された状態で回動することができる。
【0036】
内筒106には、後側に向かって延在する突起106aが設けられている。突起106aは、第2群レンズ保持筒112に設けられたリブ112aと係合している。第2群レンズ保持筒112の外周面には、雄ヘリコイド112aが設けられている。雄ヘリコイド112aは、固定筒108の後側の内面に設けられた雌ヘリコイド108cと係合している。このように、第2群レンズ保持筒112をヘリコイドで固定筒108に支持するようにしたため、第2群レンズ保持筒112の外側における固定筒108の外径を最小限に抑えることができる。従って、レンズ鏡筒100の後側(撮像素子130側)に設けられるレンズマウント部の外径を縮小することができ、撮像装置の小型化を達成できる。
【0037】
図3では、レンズ鏡筒100とともに、レンズ鏡筒100の後側に配置された撮像素子130を示している。撮像素子130の撮像面には、第1群レンズ120及び第2群レンズ122によって被写体像が結像される。本実施形態に係る撮像装置は、レンズ鏡筒100と撮像素子130を有して構成されている。
【0038】
図4は、内筒106に設けられた突起106aと、第2群レンズ保持筒112に設けられたリブ112aを示す斜視図である。図4に示すように、内筒106に設けられた突起106aには溝106bが設けられている。また、第2群レンズ保持筒112には穴112bが設けられ、2つの穴102bの間にリブ112aが設けられている。溝106bの幅は、リブ112aの幅に対応しており、溝106bはリブ112aに挿入されてリブ112aと係合している。
【0039】
図5は、ズームロックピン118の機能を説明するための模式図である。図5(B)は、ズームロックピン118の位置におけるレンズ鏡筒100の断面を示す模式図であって、レンズ鏡筒100を被写体側から見た状態を示す図5(A)の一点鎖線I−I’に沿った断面を示している。図5(B)に示すように、ズームロックピン118に設けられた雄ネジ118bは、中筒104に設けられた雌ネジ104bと係合している。ユーザがズームロックピン118を締め込むと、ズームロックピン118の先端が固定筒108の外周面に当接し、中筒104が固定筒108に対して固定される。一方、ユーザがズームロックピン118を緩めると、ズームロックピン118の先端が固定筒108の外周から離間する。従って、ユーザはズームロックピン118を操作することで、中筒104を回動させるとともに、中筒104と一体化された外筒102、内筒106を回動させることができる。
【0040】
また、図5(B)は、内筒106の突起106aが、第2群レンズ保持筒112の穴112bに挿入された位置における断面を示している。図5に示すように、突起106aが、穴112bに挿入されることによって、溝106bがリブ112aに挿入される。
【0041】
以上の構成において、ユーザがズームロックピン118を緩めてズームロックピン118を操作することで、一体化された外筒102、中筒104、内筒106を回動させることができる。中筒104が回動すると、中筒104の直進溝104aが光軸を中心として回動することにより、第1群レンズ保持筒110の3つのカムフォロワ110aが、固定筒108のカム溝108aに沿って移動する。これにより、第1群レンズ保持筒110は、カム溝108aに沿って回動しながら光軸方向に移動する。
【0042】
また、内筒106が回動すると、内筒106の溝106bが第2群レンズ保持筒112のリブ112aと係合しているため、第2群レンズ保持筒112が内筒106とともに回動する。第2群レンズ保持筒112は、雄ヘリコイド112aが固定筒108の雌ヘリコイド108cと係合しているため、回動に伴い光軸方向に移動する。この際、内筒106は光軸方向に移動することなく回動し、第2群レンズ保持筒112は雄ヘリコイド112a及び雌ヘリコイド108cにより回動しながら光軸方向へ移動するため、溝106bとリブ112aの光軸方向の相対的な位置は変化する。
【0043】
従って、本実施形態によれば、非常に簡素な構成で、外筒102のズームロックピン118を回動させることによって、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動させることが可能となる。この際、カム溝108aによる第1群レンズ保持筒110の光軸方向の移動量と、雄ヘリコイド112a及び雌ヘリコイド108cによる第2群レンズ保持筒112の光軸方向の移動量は異なるため、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112は、光軸方向の相対的な位置が変化しながら光軸方向に移動する。
【0044】
また、第1群レンズ保持筒110のカムフォロワ110aは、固定筒108に設けられたカム溝108aに沿って移動し、回動する中筒104に対しては直進溝104aと係合している。従って、固定筒108に対して中筒104が光軸方向にガタの分だけ移動したとしても、第1群レンズ保持筒110の光軸方向の位置はカム溝108aによって正確に規定される。同様に、第2群レンズ保持筒112の光軸方向の位置は、雌ヘリコイド108cに対する雄ヘリコイド112aの角度位置によって規定され、内筒106の光軸方向の位置がガタのだけ移動したとしても、第2群レンズ保持筒112の光軸方向の位置は雌ヘリコイド108c及び雄ヘリコイド112aによって正確に規定される。
【0045】
従って、一体化された外筒102、中筒104、内筒106は、光軸方向の位置については、ある程度の余裕を持たせて規定することができる。具体的には、ネジ116が固定筒108の溝108bを挿通しているため、一体化された外筒102、中筒104、及び内筒106の光軸方向の位置を規定することができるが、一体化された外筒102、中筒104、及び内筒106の光軸方向移動は、第1群レンズ保持筒110及び第2群レンズ保持筒112の位置に影響を与えない。従って、ネジ116に対する溝108bの幅に余裕を持たせることができるとともに、溝108bの位置、ネジ116の位置などに関する精度を必要以上に高めることが不要となり、製造コストを低減することができる。
【0046】
また、第2群レンズ保持筒112は、雄ヘリコイド112aによって固定筒108とかん合しているため、内筒106の外径は、固定筒108にはかん合しておらず、高い精度が不要となる。従って、製造コストを低減することが可能である。
【0047】
以上の構成において、外筒102、中筒104、内筒106は一体に回動する。ここで、本明細書及び特許請求の範囲では、一体化された外筒102、中筒104及び内筒106の全体を「回転筒」と称し、中筒104を「第1の回転筒」と称し、一体化された外筒102及び内筒106を「第2の回転筒」と称する。更に、「第2の回転筒」のうち、外筒102を「第3の回転筒」と称し、内筒106を「第4の回転筒」と称するものとする。
【0048】
次に、固定筒108の雌ヘリコイド108cの構成について説明する。図6及び図7は、雌ヘリコイド108cの構成を示す断面図であって、光軸に沿った断面を示している。ここで、図6は雌ヘリコイド108cを6条のヘリコイドで構成した場合を示しており、図7は雌ヘリコイド108cを3条のヘリコイドで構成した場合を示している。図6のように雌ヘリコイド108cを6条のヘリコイドで構成した場合、ヘリコイドの始点の終点が角度位置でオーバーラップしてしまうため、図6のヘリコイドを形成するためには、固定筒108を成型する金型を廻し抜きしなければならない。この場合、第1群のカム溝108aに対する雌ヘリコイド108cの位相バラツキ(光軸を中心とする角度位置のバラツキ)が大きくなり、この結果、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の相対的な位置の誤差が大きくなる。
【0049】
一方、図7のように雌ヘリコイド108cを3条のヘリコイドで構成した場合、ヘリコイドの始点P1と終点P2が角度位置でオーバーラップしないため、金型を廻し抜きする必要がなく、金型を直進抜きすることができる。これにより、カム溝108aに対する雌ヘリコイド108cの寸法誤差を最小限に抑えることができるため、焦点深度の深いレンズであればパンフォーカスの調整が不要となる。また、焦点深度の浅いレンズでもパンフォーカスの調整余裕を小さく設定出来るため、鏡筒設計の自由度を大幅に高めることができる。
【0050】
次に、第1群と第2群の間隔の調整方法について説明する。上述したように、本実施形態のレンズ鏡筒100は、パンフォーカスズームレンズに適用可能であり、至近から無限遠の全域でピントが合った状態の画像を撮像することができる。一方、第1群レンズ120と第2群ンズ122の位置は、部品公差に応じてバラツキが発生するため、レンズ鏡筒100を組み立てた状態では、撮像素子130の撮像面上でピントが合っていない場合が想定される。このため、第1群レンズ120と第2群レンズ122の位置を調節して、撮像面上でピントが合うように調整を行う。
【0051】
上述したように、外筒102と中筒104と、ネジ114によって一体化されている。図1及び図5(A)に示すように、ネジ114は、端部のフランジが中筒104の面104cに密着することによって、外筒102に対して中筒104を固定する。ここで、面104cの大きさは、ネジ114の端部のフランジよりも大きく形成されており、面104c上でネジ114を固定する位置を調整できるように構成されている。これにより、外筒102に対する中筒104の光軸を中心とする角度位置を相対的に調整することが可能である。
【0052】
外筒102に対する中筒104の角度位置が変化すると、内筒106が外筒102に対して固定されているため、結果として中筒104と内筒106の光軸を中心とする角度位置が変化する。そして、第1群レンズ保持筒110は中筒104の直進溝104aの角度位置によって光軸方向の位置が規定され、第2群レンズ保持筒112は内筒106の溝106bの角度位置によって光軸方向の位置が規定されるため、中筒104と内筒106の相対的な角度位置が変化すると、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の光軸方向における相対的な位置が変化する。従って、面104c上でネジ114を固定する位置を調整することによって、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の光軸方向における相対的な位置を調整することができる。
【0053】
本実施形態のようにパンフォーカスのズームレンズに適用した場合、至近から無限遠の全てのズーム域で合焦した状態とするためには、所定のズーム位置(例えばワイド端)において、第1群レンズ120と第2群レンズ122の間隔を設計値通りに設定し、第1群レンズ120と第2群レンズ122を設計値通りの位置に配置する。一方、第1群レンズ120と第2群レンズ122の光軸方向の位置を規定する各構成要素には、製造上の寸法誤差があるため、第1群レンズ120と第2群レンズ122の間隔及び位置が設計値通りとならない場合が想定される。このような場合においても、本実施形態のレンズ鏡筒100によれば、面104c上でネジ114を固定する位置を調整することによって、外筒102に対する中筒104の相対的な角度位置を調整することができるため、第1群レンズ120と第2群レンズ122を所望の位置に調整することができ、至近から無限遠の全域で合焦したパンフォーカスの状態とすることができる。
【0054】
このように、外筒102に係合するネジ114と中筒104の面104cによって、外筒102に対する中筒104の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部が設けられている。
【0055】
特に、撮像素子130の高画素化に伴い、1群と2群の間隔はより高い精度が必要になる。調整の方法としては、ズームロックピン118で第1群レンズ120の位置を所定の位置に固定した後、調整部により第2群レンズ122を所定の位置に調整する。または、第2群レンズ122の位置を所定の位置に固定した後、調整部により第1群レンズ120を所定の位置に調整しても良い。本実施形態のパンフォーカスズームレンズは、一例として2mの被写体にピントを合わせると、至近から無限遠の全域にピントが合うように構成されている。
【0056】
なお、調整部により第1群レンズ120と第2群レンズ122の位置を調整することにより、パンフォーカス以外のズームレンズにおいても、ピント調整を行うことが可能である。従って、本実施形態のレンズ鏡筒100は、パンフォーカスズームレンズへの適用に限定されるものではない。
【0057】
以下、パンフォーカスの調整方法について詳細に説明する。図8は、パンフォーカスを調整する際に用いる偏芯ピン200を示す斜視図である。偏芯ピン200の先端には、中心軸から偏芯した位置に突起200aが設けられている。また、偏芯ピン200の先端には、所定の直径を有する外周面200bが設けられている。
【0058】
図1に示すように、外筒102には、偏芯ピン200が挿入される調整用の孔102cが設けられている。孔102cの内径は、偏芯ピン200の外周面200bの外径と対応している。そして、中筒104の外周面において、孔102cに対応する位置には溝104dが設けられている。
【0059】
図9及び図10は、偏芯ピン200によってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。パンフォーカスの調整時には、図9及び図10に示すように、偏芯ピン200を調整用の孔102cに挿入し、突起200aを溝104dに係合させる。そして、この状態で偏芯ピン200を回動させて、中筒104に対する外筒102の光軸を中心とする相対的な角度位置を調整する。
【0060】
図11及び図12は、偏芯ピン200を挿入した状態において、偏芯ピン200の中心軸の位置における断面を示す模式図である。ここで、図11は光軸に沿った断面(図9の一点鎖線II−II’に沿った断面)を示しており、図10は、光軸に直交する方向に沿った断面(図10の一点鎖線III−III’に沿った断面)を示している。図9に示すように、偏芯ピン200を調整用の孔102cに挿入すると、偏芯ピン200の外周面200bは、調整用の孔102cに対して回動可能にかん合する。偏芯ピン200の突起200aを中筒104の溝104dに係合させた状態で偏芯ピン200を回動させると、偏芯ピン200の突起200aは孔102cの中心に対して偏芯しているため、孔102cに対して溝104dの位置が相対的に移動する。これにより、孔102cが設けられた外筒102に対して、溝104dが設けられた中筒104を、光軸を中心として回動させることができる。
【0061】
調整の際には、ネジ114を緩めておき、偏芯ピン200を回動させて外筒102に対する中筒104の角度位置を所望の位置に調整した後、ネジ114を締めることによって外筒102に対する中筒104の角度位置を固定する。なお、調整の際には、偏芯ピン200を回動させながら、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112によって被写体像が結像される撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサなど)の撮像面上での合焦状態を検出し、もっともピントが合った位置でネジ114を締めるようにする。これにより、至近から無限遠の全域でピントが合ったパンフォーカスの状態に調整することができる。
【0062】
なお、調整は偏芯ピン200による方法に限定されるものではなく、外筒102と中筒104の相対的な角度位置を調整できる方法であれば、様々な手法を用いることができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態によれば、レンズ鏡筒100を簡単な鏡筒構造にすることができるとともに、組み立て作業性を向上することができ、製造コストを低減することが可能となる。また、外筒102と中筒104の相対的な角度位置を調整可能な構成により、第1群レンズ120と第2群レンズの間隔を微調整することが可能となる。従って、焦点の位置を高精度に調整することが可能となり、パンフォーカスズームレンズにおけるパンフォーカス調整を容易に行うことが可能となる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
100 レンズ鏡筒
102 外筒
102c 孔
104 中筒
104d 溝
106 内筒
108 固定筒
108a カム溝
108c 雌ヘリコイド
110 第1群レンズ保持筒
112 第2群レンズ保持筒
112a 雄ヘリコイド
120 第1群レンズ
122 第2群レンズ
200 偏芯ピン
200a 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されているように、2群構成のズームレンズにおいて、固定筒に対してカム筒を回動させて、第1レンズ保持筒と第2レンズ保持筒をともに光軸方向に移動する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−352406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、フォーカスを調整するために、第1レンズ保持筒を移動筒に対して光軸方向に移動させる構成とされており、構造が複雑になるとともに、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡素な構成でレンズ鏡筒を構成できるとともに、焦点位置を容易に調整することが可能な、新規かつ改良されたレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を備え、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備えるレンズ鏡筒が提供される。
【0007】
上記構成によれば、第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒は、第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、調整部は、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。従って、フォーカス調整用の筒を別途に設けることなく、簡素な構成で2群構成のズームレンズを構成することができる。
【0008】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられる。この構成により、偏芯ピンを調整用の孔に対して回動することで、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することが可能となる。
【0009】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させる。この構成により、第2群レンズの近傍の大きさを最小限に抑えることが可能となる。
【0010】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形される。この構成により、固定筒に対する雌ヘリコイドの角度位置の精度を大幅に高めることができ、第1群レンズと第2群レンズの間隔を高精度に規定することができる。
【0011】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成される。この構成により、第2群レンズが固定筒の内側にかん合する構成においても、第4の回転筒の回動を第2群レンズに対して伝達することが可能となる。
【0012】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。この構成により、第1の回転筒に対する第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができ、この結果、第1の回転筒に対する第4の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができる。
【0013】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動する。この構成により、第1の回転筒の固定筒に対する光軸方向の位置精度を緩和できるため、製造コストを低減することができる。
【0014】
レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用される。この構成により、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することで、所望の位置にピントを合わせることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を有し、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を有するレンズ鏡筒と、前記第1群レンズ及び前記第2群レンズにより被写体像が結像される撮像面を有する撮像素子と、を備える撮像装置が提供される。
【0016】
上記構成によれば、第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒は、第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、調整部は、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。従って、フォーカス調整用の筒を別途に設けることなく、簡素な構成で2群構成のズームレンズを構成することができる。
【0017】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられる。この構成により、偏芯ピンを調整用の孔に対して回動することで、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することが可能となる。
【0018】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させる。この構成により、第2群レンズの近傍の大きさを最小限に抑えることが可能となる。
【0019】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形される。この構成により、固定筒に対する雌ヘリコイドの角度位置の精度を大幅に高めることができ、第1群レンズと第2群レンズの間隔を高精度に規定することができる。
【0020】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成される。この構成により、第2群レンズが固定筒の内側にかん合する構成においても、第4の回転筒の回動を第2群レンズに対して伝達することが可能となる。
【0021】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する。この構成により、第1の回転筒に対する第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができ、この結果、第1の回転筒に対する第4の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することができる。
【0022】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動する。この構成により、第1の回転筒の固定筒に対する光軸方向の位置精度を緩和できるため、製造コストを低減することができる。
【0023】
レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用される。この構成により、第1の回転筒に対する第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することで、所望の位置にピントを合わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡素な構成でレンズ鏡筒を構成できるとともに、焦点位置を容易に調整することが可能なレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】レンズ鏡筒の外観を示す斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒の光軸に沿った断面を示す模式図である。
【図4】内筒に設けられた突起と、第2群レンズ保持筒に設けられたリブを示す斜視図である。
【図5】ズームロックピンの機能を説明するための模式図である。
【図6】雌ヘリコイドを6条のヘリコイドで構成した場合を示す模式図である。
【図7】雌ヘリコイドを3条のヘリコイドで構成した場合を示す模式図である。
【図8】パンフォーカスを調整する際に用いる偏芯ピンを示す斜視図である。
【図9】偏芯ピンによってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。
【図10】偏芯ピンによってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。
【図11】偏芯ピンを挿入した状態において、偏芯ピンの中心軸の位置における断面を示す模式図である。
【図12】偏芯ピンを挿入した状態において、偏芯ピンの中心軸の位置における断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像装置のレンズ鏡筒100について説明する。一例として、本実施形態に係るレンズ鏡筒100は、監視カメラなどの撮像装置に用いることができる。
【0028】
レンズ鏡筒100は、2群構成のズームレンズに適用されるものである。一例として、本実施形態では、2群構成のパンフォーカスズームレンズに適用した場合を説明する。パンフォーカスズームレンズは、至近から無限遠の全域でピントが合った状態の画像を撮像することができるレンズであり、至近から無限遠の全域でピントが合った状態で焦点距離をワイド(Wide)からテレ(Tele)まで変化させることができる。
【0029】
バリフォーカルのズームレンズの場合、ズームにより焦点距離を動かすと、ピントがずれてしまう。このため、監視カメラ等に適用した場合は、カメラを所望の位置に設置した後にズーミングを行うと、ピントも合わせる必要があり、作業が煩雑となる。これに対し、パンフォーカスズームレンズの場合は、カメラ設置後にズーム調整のみを行えばよく、ピント調整が不要であるため、設置時の作業を大幅に軽減することができる。
【0030】
図1は、レンズ鏡筒100の外観を示す斜視図である。また、図2は、レンズ鏡筒100の分解斜視図である。また、図3は、レンズ鏡筒100の光軸に沿った断面を示す模式図である。
【0031】
図1〜図3に示すように、レンズ鏡筒100は、外筒102、中筒104、内筒106、固定筒108、第1群レンズ保持筒110、第2群レンズ保持筒112を有して構成されている。第1群レンズ保持筒110には、第1群レンズ120が装着されている。また、第2群レンズ保持筒112には、第2群レンズ122が装着されている。中筒104には、ユーザが外筒102を回動させる際に手で保持するとともに、ズーム位置をロックするためのズームロックピン118が装着されている。
【0032】
図3に示すように、固定筒108の外周に中筒104が回動可能にかん合している。中筒104の外周には、外筒102がネジ114によって固定され、外筒102と中筒104は一体化されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、中筒104の内周面には、3つの直進溝104aが設けられている。また、固定筒108の前側には、3つのカム溝108a(斜行カム)が設けられている。
【0034】
固定筒108内には、前側(被写体側)に第1群レンズ保持筒110が挿入され、後側に第2群レンズ保持筒112が挿入されている。第1群レンズ保持筒110の外周には、3つのカムフォロワ110aが設けられている。3つのカムフォロワ110aは、中筒104の3つの直進溝104aと、固定筒108の3つのカム溝108aに対応する位置に設けられている。3つのカムフォロワ110aのそれぞれは、固定筒108の前側に設けられたカム溝108aに挿通され、中筒104の3つの直進溝104aに挿入されている。
【0035】
内筒106は、固定筒108内の第1群レンズ保持筒110よりも後ろ側に挿入されており、固定筒108に対して回動可能とされている。固定筒108には、カム溝108aよりも後側に溝108bが3箇所設けられている。外筒102の外周には3つのネジ116が挿入され、3つのネジ116のそれぞれは、3つの溝108bを挿通して内筒106のネジ孔106aに固定されている。これにより、外筒102と内筒106がネジ116によって一体化されている。つまり、外筒102、中筒104、内筒106は、ネジ114及びネジ116によって一体化されている。ネジ116は、固定筒108の円周方向に延在して形成された溝108bに挿入されているため、外筒102、中筒104、及び内筒106は、一体化された状態で回動することができる。
【0036】
内筒106には、後側に向かって延在する突起106aが設けられている。突起106aは、第2群レンズ保持筒112に設けられたリブ112aと係合している。第2群レンズ保持筒112の外周面には、雄ヘリコイド112aが設けられている。雄ヘリコイド112aは、固定筒108の後側の内面に設けられた雌ヘリコイド108cと係合している。このように、第2群レンズ保持筒112をヘリコイドで固定筒108に支持するようにしたため、第2群レンズ保持筒112の外側における固定筒108の外径を最小限に抑えることができる。従って、レンズ鏡筒100の後側(撮像素子130側)に設けられるレンズマウント部の外径を縮小することができ、撮像装置の小型化を達成できる。
【0037】
図3では、レンズ鏡筒100とともに、レンズ鏡筒100の後側に配置された撮像素子130を示している。撮像素子130の撮像面には、第1群レンズ120及び第2群レンズ122によって被写体像が結像される。本実施形態に係る撮像装置は、レンズ鏡筒100と撮像素子130を有して構成されている。
【0038】
図4は、内筒106に設けられた突起106aと、第2群レンズ保持筒112に設けられたリブ112aを示す斜視図である。図4に示すように、内筒106に設けられた突起106aには溝106bが設けられている。また、第2群レンズ保持筒112には穴112bが設けられ、2つの穴102bの間にリブ112aが設けられている。溝106bの幅は、リブ112aの幅に対応しており、溝106bはリブ112aに挿入されてリブ112aと係合している。
【0039】
図5は、ズームロックピン118の機能を説明するための模式図である。図5(B)は、ズームロックピン118の位置におけるレンズ鏡筒100の断面を示す模式図であって、レンズ鏡筒100を被写体側から見た状態を示す図5(A)の一点鎖線I−I’に沿った断面を示している。図5(B)に示すように、ズームロックピン118に設けられた雄ネジ118bは、中筒104に設けられた雌ネジ104bと係合している。ユーザがズームロックピン118を締め込むと、ズームロックピン118の先端が固定筒108の外周面に当接し、中筒104が固定筒108に対して固定される。一方、ユーザがズームロックピン118を緩めると、ズームロックピン118の先端が固定筒108の外周から離間する。従って、ユーザはズームロックピン118を操作することで、中筒104を回動させるとともに、中筒104と一体化された外筒102、内筒106を回動させることができる。
【0040】
また、図5(B)は、内筒106の突起106aが、第2群レンズ保持筒112の穴112bに挿入された位置における断面を示している。図5に示すように、突起106aが、穴112bに挿入されることによって、溝106bがリブ112aに挿入される。
【0041】
以上の構成において、ユーザがズームロックピン118を緩めてズームロックピン118を操作することで、一体化された外筒102、中筒104、内筒106を回動させることができる。中筒104が回動すると、中筒104の直進溝104aが光軸を中心として回動することにより、第1群レンズ保持筒110の3つのカムフォロワ110aが、固定筒108のカム溝108aに沿って移動する。これにより、第1群レンズ保持筒110は、カム溝108aに沿って回動しながら光軸方向に移動する。
【0042】
また、内筒106が回動すると、内筒106の溝106bが第2群レンズ保持筒112のリブ112aと係合しているため、第2群レンズ保持筒112が内筒106とともに回動する。第2群レンズ保持筒112は、雄ヘリコイド112aが固定筒108の雌ヘリコイド108cと係合しているため、回動に伴い光軸方向に移動する。この際、内筒106は光軸方向に移動することなく回動し、第2群レンズ保持筒112は雄ヘリコイド112a及び雌ヘリコイド108cにより回動しながら光軸方向へ移動するため、溝106bとリブ112aの光軸方向の相対的な位置は変化する。
【0043】
従って、本実施形態によれば、非常に簡素な構成で、外筒102のズームロックピン118を回動させることによって、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112を光軸方向に移動させることが可能となる。この際、カム溝108aによる第1群レンズ保持筒110の光軸方向の移動量と、雄ヘリコイド112a及び雌ヘリコイド108cによる第2群レンズ保持筒112の光軸方向の移動量は異なるため、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112は、光軸方向の相対的な位置が変化しながら光軸方向に移動する。
【0044】
また、第1群レンズ保持筒110のカムフォロワ110aは、固定筒108に設けられたカム溝108aに沿って移動し、回動する中筒104に対しては直進溝104aと係合している。従って、固定筒108に対して中筒104が光軸方向にガタの分だけ移動したとしても、第1群レンズ保持筒110の光軸方向の位置はカム溝108aによって正確に規定される。同様に、第2群レンズ保持筒112の光軸方向の位置は、雌ヘリコイド108cに対する雄ヘリコイド112aの角度位置によって規定され、内筒106の光軸方向の位置がガタのだけ移動したとしても、第2群レンズ保持筒112の光軸方向の位置は雌ヘリコイド108c及び雄ヘリコイド112aによって正確に規定される。
【0045】
従って、一体化された外筒102、中筒104、内筒106は、光軸方向の位置については、ある程度の余裕を持たせて規定することができる。具体的には、ネジ116が固定筒108の溝108bを挿通しているため、一体化された外筒102、中筒104、及び内筒106の光軸方向の位置を規定することができるが、一体化された外筒102、中筒104、及び内筒106の光軸方向移動は、第1群レンズ保持筒110及び第2群レンズ保持筒112の位置に影響を与えない。従って、ネジ116に対する溝108bの幅に余裕を持たせることができるとともに、溝108bの位置、ネジ116の位置などに関する精度を必要以上に高めることが不要となり、製造コストを低減することができる。
【0046】
また、第2群レンズ保持筒112は、雄ヘリコイド112aによって固定筒108とかん合しているため、内筒106の外径は、固定筒108にはかん合しておらず、高い精度が不要となる。従って、製造コストを低減することが可能である。
【0047】
以上の構成において、外筒102、中筒104、内筒106は一体に回動する。ここで、本明細書及び特許請求の範囲では、一体化された外筒102、中筒104及び内筒106の全体を「回転筒」と称し、中筒104を「第1の回転筒」と称し、一体化された外筒102及び内筒106を「第2の回転筒」と称する。更に、「第2の回転筒」のうち、外筒102を「第3の回転筒」と称し、内筒106を「第4の回転筒」と称するものとする。
【0048】
次に、固定筒108の雌ヘリコイド108cの構成について説明する。図6及び図7は、雌ヘリコイド108cの構成を示す断面図であって、光軸に沿った断面を示している。ここで、図6は雌ヘリコイド108cを6条のヘリコイドで構成した場合を示しており、図7は雌ヘリコイド108cを3条のヘリコイドで構成した場合を示している。図6のように雌ヘリコイド108cを6条のヘリコイドで構成した場合、ヘリコイドの始点の終点が角度位置でオーバーラップしてしまうため、図6のヘリコイドを形成するためには、固定筒108を成型する金型を廻し抜きしなければならない。この場合、第1群のカム溝108aに対する雌ヘリコイド108cの位相バラツキ(光軸を中心とする角度位置のバラツキ)が大きくなり、この結果、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の相対的な位置の誤差が大きくなる。
【0049】
一方、図7のように雌ヘリコイド108cを3条のヘリコイドで構成した場合、ヘリコイドの始点P1と終点P2が角度位置でオーバーラップしないため、金型を廻し抜きする必要がなく、金型を直進抜きすることができる。これにより、カム溝108aに対する雌ヘリコイド108cの寸法誤差を最小限に抑えることができるため、焦点深度の深いレンズであればパンフォーカスの調整が不要となる。また、焦点深度の浅いレンズでもパンフォーカスの調整余裕を小さく設定出来るため、鏡筒設計の自由度を大幅に高めることができる。
【0050】
次に、第1群と第2群の間隔の調整方法について説明する。上述したように、本実施形態のレンズ鏡筒100は、パンフォーカスズームレンズに適用可能であり、至近から無限遠の全域でピントが合った状態の画像を撮像することができる。一方、第1群レンズ120と第2群ンズ122の位置は、部品公差に応じてバラツキが発生するため、レンズ鏡筒100を組み立てた状態では、撮像素子130の撮像面上でピントが合っていない場合が想定される。このため、第1群レンズ120と第2群レンズ122の位置を調節して、撮像面上でピントが合うように調整を行う。
【0051】
上述したように、外筒102と中筒104と、ネジ114によって一体化されている。図1及び図5(A)に示すように、ネジ114は、端部のフランジが中筒104の面104cに密着することによって、外筒102に対して中筒104を固定する。ここで、面104cの大きさは、ネジ114の端部のフランジよりも大きく形成されており、面104c上でネジ114を固定する位置を調整できるように構成されている。これにより、外筒102に対する中筒104の光軸を中心とする角度位置を相対的に調整することが可能である。
【0052】
外筒102に対する中筒104の角度位置が変化すると、内筒106が外筒102に対して固定されているため、結果として中筒104と内筒106の光軸を中心とする角度位置が変化する。そして、第1群レンズ保持筒110は中筒104の直進溝104aの角度位置によって光軸方向の位置が規定され、第2群レンズ保持筒112は内筒106の溝106bの角度位置によって光軸方向の位置が規定されるため、中筒104と内筒106の相対的な角度位置が変化すると、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の光軸方向における相対的な位置が変化する。従って、面104c上でネジ114を固定する位置を調整することによって、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112の光軸方向における相対的な位置を調整することができる。
【0053】
本実施形態のようにパンフォーカスのズームレンズに適用した場合、至近から無限遠の全てのズーム域で合焦した状態とするためには、所定のズーム位置(例えばワイド端)において、第1群レンズ120と第2群レンズ122の間隔を設計値通りに設定し、第1群レンズ120と第2群レンズ122を設計値通りの位置に配置する。一方、第1群レンズ120と第2群レンズ122の光軸方向の位置を規定する各構成要素には、製造上の寸法誤差があるため、第1群レンズ120と第2群レンズ122の間隔及び位置が設計値通りとならない場合が想定される。このような場合においても、本実施形態のレンズ鏡筒100によれば、面104c上でネジ114を固定する位置を調整することによって、外筒102に対する中筒104の相対的な角度位置を調整することができるため、第1群レンズ120と第2群レンズ122を所望の位置に調整することができ、至近から無限遠の全域で合焦したパンフォーカスの状態とすることができる。
【0054】
このように、外筒102に係合するネジ114と中筒104の面104cによって、外筒102に対する中筒104の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部が設けられている。
【0055】
特に、撮像素子130の高画素化に伴い、1群と2群の間隔はより高い精度が必要になる。調整の方法としては、ズームロックピン118で第1群レンズ120の位置を所定の位置に固定した後、調整部により第2群レンズ122を所定の位置に調整する。または、第2群レンズ122の位置を所定の位置に固定した後、調整部により第1群レンズ120を所定の位置に調整しても良い。本実施形態のパンフォーカスズームレンズは、一例として2mの被写体にピントを合わせると、至近から無限遠の全域にピントが合うように構成されている。
【0056】
なお、調整部により第1群レンズ120と第2群レンズ122の位置を調整することにより、パンフォーカス以外のズームレンズにおいても、ピント調整を行うことが可能である。従って、本実施形態のレンズ鏡筒100は、パンフォーカスズームレンズへの適用に限定されるものではない。
【0057】
以下、パンフォーカスの調整方法について詳細に説明する。図8は、パンフォーカスを調整する際に用いる偏芯ピン200を示す斜視図である。偏芯ピン200の先端には、中心軸から偏芯した位置に突起200aが設けられている。また、偏芯ピン200の先端には、所定の直径を有する外周面200bが設けられている。
【0058】
図1に示すように、外筒102には、偏芯ピン200が挿入される調整用の孔102cが設けられている。孔102cの内径は、偏芯ピン200の外周面200bの外径と対応している。そして、中筒104の外周面において、孔102cに対応する位置には溝104dが設けられている。
【0059】
図9及び図10は、偏芯ピン200によってパンフォーカス調整を行う様子を示す模式図である。パンフォーカスの調整時には、図9及び図10に示すように、偏芯ピン200を調整用の孔102cに挿入し、突起200aを溝104dに係合させる。そして、この状態で偏芯ピン200を回動させて、中筒104に対する外筒102の光軸を中心とする相対的な角度位置を調整する。
【0060】
図11及び図12は、偏芯ピン200を挿入した状態において、偏芯ピン200の中心軸の位置における断面を示す模式図である。ここで、図11は光軸に沿った断面(図9の一点鎖線II−II’に沿った断面)を示しており、図10は、光軸に直交する方向に沿った断面(図10の一点鎖線III−III’に沿った断面)を示している。図9に示すように、偏芯ピン200を調整用の孔102cに挿入すると、偏芯ピン200の外周面200bは、調整用の孔102cに対して回動可能にかん合する。偏芯ピン200の突起200aを中筒104の溝104dに係合させた状態で偏芯ピン200を回動させると、偏芯ピン200の突起200aは孔102cの中心に対して偏芯しているため、孔102cに対して溝104dの位置が相対的に移動する。これにより、孔102cが設けられた外筒102に対して、溝104dが設けられた中筒104を、光軸を中心として回動させることができる。
【0061】
調整の際には、ネジ114を緩めておき、偏芯ピン200を回動させて外筒102に対する中筒104の角度位置を所望の位置に調整した後、ネジ114を締めることによって外筒102に対する中筒104の角度位置を固定する。なお、調整の際には、偏芯ピン200を回動させながら、第1群レンズ保持筒110と第2群レンズ保持筒112によって被写体像が結像される撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサなど)の撮像面上での合焦状態を検出し、もっともピントが合った位置でネジ114を締めるようにする。これにより、至近から無限遠の全域でピントが合ったパンフォーカスの状態に調整することができる。
【0062】
なお、調整は偏芯ピン200による方法に限定されるものではなく、外筒102と中筒104の相対的な角度位置を調整できる方法であれば、様々な手法を用いることができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態によれば、レンズ鏡筒100を簡単な鏡筒構造にすることができるとともに、組み立て作業性を向上することができ、製造コストを低減することが可能となる。また、外筒102と中筒104の相対的な角度位置を調整可能な構成により、第1群レンズ120と第2群レンズの間隔を微調整することが可能となる。従って、焦点の位置を高精度に調整することが可能となり、パンフォーカスズームレンズにおけるパンフォーカス調整を容易に行うことが可能となる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
100 レンズ鏡筒
102 外筒
102c 孔
104 中筒
104d 溝
106 内筒
108 固定筒
108a カム溝
108c 雌ヘリコイド
110 第1群レンズ保持筒
112 第2群レンズ保持筒
112a 雄ヘリコイド
120 第1群レンズ
122 第2群レンズ
200 偏芯ピン
200a 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、
前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を備え、
前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、
前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備えることを特徴とする、レンズ鏡筒。
【請求項2】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、
前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられたことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形されたことを特徴とする、請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することを特徴とする、請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動することを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
パンフォーカスズームレンズに適用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を有し、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を有するレンズ鏡筒と、
前記第1群レンズ及び前記第2群レンズにより被写体像が結像される撮像面を有する撮像素子と、
を備えることを特徴とする、撮像装置。
【請求項10】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、
前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられたことを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させることを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形されたことを特徴とする、請求項9記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項14】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することを特徴とする、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動することを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用されることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項1】
第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、
前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を備え、
前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、
前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を備えることを特徴とする、レンズ鏡筒。
【請求項2】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、
前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられたことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形されたことを特徴とする、請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することを特徴とする、請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動することを特徴とする、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
パンフォーカスズームレンズに適用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
第1群レンズと第2群レンズを光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、前記固定筒に対して回動可能に設けられ、回動に伴って前記第1群レンズ及び前記第2群レンズを光軸方向に移動する回転筒と、を有し、前記回転筒は、前記第1群レンズを光軸方向に移動する第1の回転筒と、前記第2群レンズを光軸方向に移動する第2の回転筒とを含み、前記第1の回転筒に対する前記第2の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整する調整部を有するレンズ鏡筒と、
前記第1群レンズ及び前記第2群レンズにより被写体像が結像される撮像面を有する撮像素子と、
を備えることを特徴とする、撮像装置。
【請求項10】
前記第2の回転筒には前記調整のために偏芯ピンが挿入される調整用の孔が設けられ、
前記第1の回転筒の前記調整用の孔に対応する位置には前記偏芯ピンの偏芯した突起が挿入される溝が設けられたことを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2群レンズは、ヘリコイドにより前記固定筒と係合し、前記第2の回転筒は回動に伴い前記第2群レンズを回動させて光軸方向へ移動させることを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記固定筒の内周面に雌ヘリコイドが設けられ、前記雌ヘリコイドは、成形型の直進抜きによって成形されたことを特徴とする、請求項9記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2の回転筒は、前記固定筒の外周に配置された第3の回転筒と、前記固定筒の内周に配置された第4の回転筒から構成されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項14】
前記調整部は、前記第1の回転筒に対する前記第3の回転筒の光軸を中心とする角度位置を調整することを特徴とする、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1群レンズは、前記第1の回転筒の回動に伴い、前記固定筒の斜行カムに沿って回動しながら光軸方向へ移動することを特徴とする、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記レンズ鏡筒は、パンフォーカスズームレンズに適用されることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−64848(P2013−64848A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203150(P2011−203150)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(500548884)三星テクウィン株式会社 (156)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Techwin Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】28 Sungju−dong,Changwon−city,Kyongsangnam−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(500548884)三星テクウィン株式会社 (156)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Techwin Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】28 Sungju−dong,Changwon−city,Kyongsangnam−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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