説明

レンズ駆動装置

【課題】衝撃力が加わった場合でもソレノイドによりレンズホルダの位置を保持することのできるレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ12を保持するレンズホルダ4と、レンズホルダ4をレンズ12の光軸方向に移動させる移動機構5と、移動機構5を駆動するソレノイド6とを備え、移動機構5はレンズホルダ4と連係するように設けられた可動片30を有し、可動片30を駆動電流を加えられたソレノイド6が吸引することでレンズホルダ4を移動させ、ソレノイド6には、可動片30を吸引してレンズホルダ4を所定位置まで移動させたら、駆動電流より小さくレンズホルダ4を所定位置に保持するのに必要な保持電流と、駆動電流と同等な大きさの維持電流とが所定周期で交互に加えられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを保持したレンズホルダをレンズの光軸方向に移動させることのできるレンズ駆動装置に関し、特にソレノイドを用いてレンズホルダを移動させるレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子機器に内蔵されるカメラモジュールは、レンズを保持したレンズホルダと、レンズからの光を受光し電気信号に変換する撮像素子とを有して構成される。ここで、レンズの焦点距離を変化させるために、レンズホルダの位置を移動させるための機構を設けることがある。レンズホルダを移動させる機構としては、モータを用いたものも考えられるが、大型化や高コスト化を招くこととなるため、より簡易な機構が求められている。
【0003】
このため、ソレノイドを用いた機構が従来、用いられている。ソレノイドを用いることで、モータを用いるより簡易に構成することができ、小型化も図ることができる。しかし、ソレノイドを用いた場合には、ソレノイドによってレンズホルダを移動させ保持している間は、常に電力を消費することとなるため、ソレノイドの消費電力を低減することが求められていた。これに対し、例えば特許文献1に示すように、ソレノイドに通電して駆動を行ったあと、残留磁束が存在する時間帯の間は通電を休止し、その後周期的に残留磁束を存在させるように通電を行うことで、保持時における消費電力の低減を図ったものがある。
【特許文献1】特開平9−162033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術の制御方法を行った場合には、ソレノイドに対する通電を休止している間は着磁力が急激に低下するため、衝撃力が加わった場合などにソレノイドによる保持が解除されてしまう場合があった。また一旦、ソレノイドによる保持が解除されてしまうと、再び駆動を行うだけの磁束が発生しないために、保持状態を維持することができなかった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、衝撃力が加わった場合でもソレノイドによりレンズホルダの位置を保持することのできるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るレンズ駆動装置は、レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダを前記レンズの光軸方向に移動させる移動機構と、該移動機構を駆動するソレノイドとを備えたレンズ駆動装置において、
前記移動機構は前記レンズホルダと連係するように設けられた可動片を有し、該可動片を駆動電流を加えられた前記ソレノイドが吸引することで前記レンズホルダを移動させ、
前記ソレノイドには、前記可動片を吸引して前記レンズホルダを所定位置まで移動させたら、前記駆動電流より小さく前記レンズホルダを所定位置に保持するのに必要な保持電流と、前記駆動電流と同等な大きさの維持電流とが所定周期で交互に加えられることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係るレンズ駆動装置は、前記ソレノイドには前記保持電流が第1所定時間に渡って加えられ、前記維持電流が前記第1所定時間より短い第2所定時間に渡って加えられることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係るレンズ駆動装置は、前記ソレノイドは第1のソレノイドと第2のソレノイドとが前記レンズホルダを挟んで対向配置され、前記維持電流が前記第1のソレノイドと第2のソレノイドに対し時間をずらして加えられることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るレンズ駆動装置によれば、ソレノイドには、可動片を吸引してレンズホルダを所定位置まで移動させたら、駆動電流より小さくレンズホルダを所定位置に保持するのに必要な保持電流と、駆動電流と同等な大きさの維持電流とが所定周期で交互に加えられることにより、衝撃等により可動片のソレノイドに対する磁着状態が解除されても、所定時間内に元の磁着状態に復帰させることができるので、省電力化を図りつつ確実にレンズホルダの保持状態を維持することができる。
【0010】
また、本発明に係るレンズ駆動装置によれば、ソレノイドには保持電流が第1所定時間に渡って加えられ、維持電流が第1所定時間より短い第2所定時間に渡って加えられることにより、ソレノイドによる可動片の磁着を確保しつつもさらに省電力化を図ることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るレンズ駆動装置によれば、ソレノイドは第1のソレノイドと第2のソレノイドとがレンズホルダを挟んで対向配置され、維持電流が第1のソレノイドと第2のソレノイドに対し時間をずらして加えられることにより、同時に大きな電流を流す必要がないので、電力供給のための構成を簡易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるレンズ駆動装置の斜視図を、図2にはレンズ駆動装置の分解斜視図を、図3には上面カバーを取り外した状態のレンズ駆動装置の平面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態におけるレンズ駆動装置は、方形状の基板1上に基部2と箱状のハウジング3とを設け、ハウジング3内にはレンズ12を保持したレンズホルダ4と、レンズホルダ4をレンズ12の光軸方向に移動させる移動機構5と、移動機構5を駆動するソレノイド6とを納め、ハウジング3の上面にはレンズ12が露出するように上面カバー8が設けられてなるものである。
【0013】
図2に示すようにレンズホルダ4は、レンズ12を保持する円筒状の鏡筒4aと、鏡筒4aの下部に取付けられ、それと一体化されるリング状の鏡筒保持部材4bとから構成されている。鏡筒4aと鏡筒保持部材4bは、互いの位置をレンズ12の光軸方向に調整可能な位置調整機構20を備えている。位置調整機構20は、鏡筒4aの外周面に形成される突出部21と、鏡筒保持部材4bの内周面に形成される載置部22とからなっている。その詳細な構成については後述する。
【0014】
鏡筒保持部材4bの周面には互いに対向する2箇所にそれぞれ上方に向かって突出する円柱状のバネ保持部23を有している。バネ保持部23には付勢バネ7が取付けられ、レンズホルダ4を下方に向かって付勢するようにしている。これによって、レンズホルダ4を上方に押し上げられた状態から元の位置に自動復帰させることができる。
バネ保持部23の一方側には貫通孔が設けられており、この貫通孔にガイドピン9が取り付けられる。このガイドピン9はレンズホルダ4が上下方向に移動する際にレンズ12の光軸方向に対して傾かないようにするものである。
【0015】
レンズホルダ4に保持されたレンズ12は、撮像対象からの光を、基板1上に配置された撮像素子10上に集光し、撮像素子10はそれを電気信号に変換して出力する。ここで、レンズホルダ4は移動機構5によって、初期状態における位置のほか、レンズ12の光軸方向において異なる3つのポジションに移動することができる。各ポジション毎にレンズ12と撮像素子10との距離が異なるため、レンズ12の焦点距離を4通り設定することができる。
【0016】
基部2には、レンズ12の光軸上にフィルタ11を配設している。フィルタ11は、レンズ12からの光のうち赤外線を遮断する機能を有している。また、ハウジング3は下面が基部2の上面に係合し固定される。ハウジング3は、外面は略方形状となるように形成されると共に、内面にはレンズホルダ4の外周面に略適合するように形成されたホルダ収容部30と、ソレノイド6の外周面に略適合するように形成されたソレノイド収容部31とが形成されている。
【0017】
ソレノイド6は、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41とから構成される。図3の平面図に示すように、これらはハウジング3内においてレンズホルダ4を挟んで互いに対向するように配置される。また、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41は、いずれも第1のコイル42と第2のコイル43とが並設配置され構成されている。
【0018】
ソレノイド6の構成についてさらに詳しく説明する。図4には、ソレノイド6の分解斜視図を、図5にはソレノイド6及び可動片30の配置関係を表した斜視図を、それぞれ示している。図4に示すようにソレノイド6は、駆動部材となる第1のコイル42と第2のコイル43とが横方向に並設され、それぞれに鉄芯44が設けられると共に、鉄芯44の一端部から他端部に向かって延びるヨーク45が各コイル42、43を覆うように取付けられる。
【0019】
図5に示すように、ヨーク45が取付けられた鉄芯44の一端部と反対側の他端部に対向するように、可動片30が配置される。図5は第1のコイル42及び第2のコイル43に通電していない状態を示しており、この状態で可動片30は鉄芯44の他端部と離隔しており、ソレノイド6に対して傾斜状に配置されている。第1のコイル42及び第2のコイル43に通電されると、可動片30は鉄芯44の他端部に吸引されてそれに磁着し、それに伴って揺動する。
【0020】
このように、ソレノイド6について2つのコイル42、43を並設して構成し、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41とを、レンズホルダ4を挟むように対向配置することにより、コイル42、43を低背化しても、その駆動力を充分に確保することができ、またレンズホルダ4が傾倒しないように移動させることができる。
【0021】
図2に示すように、移動機構5は、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41に対してそれぞれ設けられる2つの可動片30と、これら可動片30によって揺動され、レンズホルダ4を押圧してレンズ12の光軸方向に移動させる揺動部材31とから構成されている。可動片30は各ソレノイド6の下部に配置され、また揺動部材31は可動片30及びレンズホルダ4の下部に配置されて、いずれかまたは両方の可動片30がソレノイド6に吸引されるのに伴い、初期状態から傾倒し、当接するレンズホルダ4を移動させるようにしている。すなわち、可動片30は揺動部材31を介してレンズホルダ4と連係しており、その動作に伴いレンズホルダ4をレンズ12の光軸方向に移動させることができる。その動作の詳細については後述する。
【0022】
次に、レンズホルダ4の構成について詳細に説明する。図6にはレンズホルダ4を構成する鏡筒4aと鏡筒保持部材4bとの分解斜視図を示している。前述のように、鏡筒4aの外周面には突出部21が形成され、一方で鏡筒保持部材4bの内周面には載置部22が形成されている。
【0023】
鏡筒4aの突出部21の上下方向中間位置には、段差が形成されており、これによって下方を向いた傾斜面21aが形成されている。また、突出部21の下部には、フック状の係合部21bが形成されている。
【0024】
鏡筒保持部材4bの載置部22の上下方向中間位置には、内方に向かって突出する段部が形成されており、その上面が傾斜状の傾斜面22aとして形成されている。載置部22の傾斜面22aは、突出部21の傾斜面21aが載置され、それに適合する傾斜の向き及び角度を有して形成される。これによって、レンズホルダ4を回転させて突出部21に載置部22上を摺動させると、それによって鏡筒4aは鏡筒保持部材4bに対する上下方向(レンズ12の光軸方向)位置を変化させることができる。
【0025】
また、突出部21の下部に形成される係合部21bは、載置部22の下部に対して係合する。図7にはレンズホルダ4の断面図を示している。この図に示すように、突出部21の係合部21bは、突出部21の傾斜面21aが載置部22の傾斜面22aに載置された状態において、載置部22の下部に対して上下方向に遊びを有するように係合されている。これによって、鏡筒4aが鏡筒保持部材4bから抜けないように仮止め状態としつつ、鏡筒4aの鏡筒保持部材4bに対する上下方向位置を所定範囲で変化させることができる。
【0026】
図8にはレンズホルダ4の平面図を示している。この図に示すように、鏡筒4aの突出部21は、鏡筒保持部材4bの載置部22より周方向に短く形成されている。このため、突出部21は載置部22内において周方向に所定範囲で摺動させることができ、突出部21の傾斜面21aと載置部22の傾斜面22aの構成によって鏡筒4aを上下方向に移動させることができる。
【0027】
このように、突出部21の傾斜面21aを載置部22の傾斜面22aに載置し、さらに鏡筒4aを鏡筒保持部材4bに対して上下方向及び周方向に所定範囲で移動できるように構成したことにより、鏡筒4aを回転させることで鏡筒保持部材4bに対する上下方向位置を調整することができ、レンズ12の位置調整を容易に行うことができる。また、鏡筒4aは係合部21bを有していることにより、鏡筒4aを鏡筒保持部材4bから抜けないように仮止めした状態で、鏡筒4aを回転させることでレンズ12の位置調整を行うことができるので、特殊な治具を使用しなくても簡易な製造設備で位置調整を行うことができる。なお、この位置調整を行った後は、突出部21及び載置部22の部分に接着剤を流し込み、固定することで鏡筒4aと鏡筒保持部材4bを一体化する。
【0028】
次に、移動機構5によるレンズホルダ4の移動について説明する。図9には、ハウジング3と付勢バネ7及び上面カバー8を除いたレンズ駆動装置の側面図であって、ソレノイド6の動作に伴う各状態を表した図を示している。図9(a)は第1のソレノイド40と第2のソレノイド41のいずれも通電されていない初期状態を表している。
【0029】
図9(a)に示すように、揺動部材31の下面には、基部2の上面に当接する第1の当接部31aと第2の当接部31bとが形成されている。第1の当接部31aは、図9に示す左右方向において、第1のソレノイド40側の端部に形成され、一方で第2の当接部31bは、図9に示す左右方向において、第2のソレノイド41側であって、中央位置と端部との中間位置に形成されている。
【0030】
レンズホルダ4には、その底面に突起部24が形成されており、その先端が揺動部材31の上面に中央位置で当接している。したがって、揺動部材31が左右いずれかに揺動または全体が上方に引き上げられると、突起部24で揺動部材31に当接しているレンズホルダ4は、それに伴って図9(a)の状態より上方に移動する。
【0031】
図9(a)の状態では、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41のいずれにも通電されていないので、可動片30はいずれも鉄芯44から離隔して傾斜配置された状態となっている。これに対して、図9(b)に示すように、第1のソレノイド40のみ通電された状態とすると、第1のソレノイド40側の可動片30は鉄芯44に吸引され、磁着した状態となる。それに伴い、揺動部材31は第1のソレノイド40側の一端部が引き上げられ、それによって第1の当接部31aは基部2の上面から離隔し、第2の当接部31bを支点として片側に傾倒した状態となる。
【0032】
第1のソレノイド40への通電により揺動部材31が傾倒すると、突起部24で揺動部材31に当接しているレンズホルダ4は、上方に向かって押し上げられ、これによってレンズホルダ4は図9(a)の状態と比べてレンズ12の光軸方向に所定距離aだけ移動する。
【0033】
一方、図9(c)に示すように、第2のソレノイド41のみ通電された状態とすると、第2のソレノイド41側の可動片30は鉄芯44に吸引され、磁着した状態となる。それに伴い、揺動部材31は第2のソレノイド41側の一端部が引き上げられ、それによって第2の当接部31bは基部2の上面から離隔し、第1の当接部31aを支点として片側に傾斜した状態となる。
【0034】
第2のソレノイド41への通電により揺動部材31が傾倒すると、突起部24で揺動部材31に当接しているレンズホルダ4は、上方に向かって押し上げられ、これによってレンズホルダ4は図9(a)の状態と比べてレンズ12の光軸方向に所定距離bだけ移動する。
【0035】
ここで、支点となる第1の当接部31aからレンズホルダ4の突起部24が当接する揺動部材31の中央部までの距離は、第2の当接部31bから揺動部材31の中央部までの距離よりも大きく、かつ第2のソレノイド41によって可動片30が上方に移動する距離は、第1のソレノイド40によって可動片30が上方に移動する距離と同じなので、レンズホルダ4が移動する所定距離bは、図9(b)における所定距離aよりも大きくなる。
【0036】
また、図9(d)に示すように、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41の両方に通電されると、両方の可動片30が各鉄芯44に吸引され、磁着した状態となる。それに伴い、揺動部材31は全体が引き上げられ、第1の当接部31aと第2の当接部31bは両方とも基部2の上面から離隔する。
【0037】
第1のソレノイド40及び第2のソレノイド41への通電により揺動部材31の全体が持ち上げられると、突起部24で揺動部材31に当接しているレンズホルダ4は、上方に向かって押し上げられ、これによってレンズホルダ4は図9(a)の状態と比べてレンズ12の光軸方向に所定距離cだけ移動する。この場合の所定距離cは、揺動部材31が傾倒してレンズホルダ4が持ち上げられたことによる所定距離aや所定距離bよりも大きくなる。このように、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41の片方または両方に通電することで、レンズホルダ4を4つのポジションのいずれかに位置させることができる。
【0038】
次に、各ソレノイド40、41に対する通電について説明する。図10には、各ソレノイド40、41のコイル42、43に対する電力供給のチャート図を示している。この図では、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41の両方に通電する場合について示している。まず時間t0において通電が開始され、第1のソレノイド40に対して可動片30を吸引するために必要な駆動電流Iaが供給される。それから時間t1が経過するまでの間に、可動片30は第1のソレノイド40の鉄芯44に磁着する。その後は、第1のソレノイド40に対して駆動電流Iaより小さい保持電流Ibが供給される。保持電流Ibは、可動片30の磁着によりレンズホルダ4の位置を保持できる大きさの電流であって、例えば駆動電流の半分程度の大きさとすることができる。
【0039】
第1のソレノイド40に対して保持電流Ibが供給開始されると同時に、第2のソレノイド41に対して駆動電流Iaの供給が開始される。また、駆動電流Iaの供給開始から時間t1が経過した後は、駆動電流Iaより小さい保持電流Ibが供給される。第1のソレノイド40と第2のソレノイド41は、共に時間t2の間に渡って保持電流Ibが供給され、その後、時間t1の間に渡って再びIaの大きさの維持電流が供給される。維持電流は、駆動電流と同等の大きさであって、保持電流が供給されている間に、レンズホルダ4に衝撃等が加わり可動片30の磁着状態が解除された場合であっても、再び可動片30を吸引することができる大きさを有している。
【0040】
以後、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41共に、保持電流Ibと維持電流Iaとが周期的に交互に供給される。第1のソレノイド40に対する駆動電流の供給開始と、第2のソレノイド41に対する駆動電流の供給開始は、時間t1だけずれているので、維持電流が供給されるタイミングも時間t1ずつずれており、第1のソレノイド40と第2のソレノイド41の両方に対し、同時に維持電流が供給されることはないようにしている。
【0041】
また、保持電流が供給される時間t2は駆動電流及び維持電流が供給される時間t1よりも長く設定されている。具体的には例えば、時間t1には前述のように、可動片30がソレノイド6に磁着されるのに必要な時間として50msecを設定し、時間t2にはそれよりも長い450msecを設定する。これによって、500msecの周期で維持電流が供給されるので、衝撃等により可動片30の磁着状態が解除されても、0.5秒以内に復帰することができる。
【0042】
このように、各ソレノイド40、41に対しては駆動電流が所定時間供給された後は、駆動電流より小さい保持電流と駆動電流と同等の大きさの維持電流とが、所定周期で交互に供給されるので、駆動電流を供給し続ける場合に比べて電流消費を少なくすることができると共に、衝撃等により可動片30の磁着状態が一旦解除されても、所定時間内に磁着状態に復帰させてレンズホルダ4の位置を保持することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用され得るものである。例えば、本実施形態では第1のソレノイド40と第2のソレノイド41で、電流の供給タイミングをずらしているが、これに限らず同じタイミングで電流を供給するようにしてもよい。また、維持電流と保持電流を切り替える周期についても、適宜設定することができる。さらに、1つのソレノイドでレンズホルダを駆動するものであっても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態におけるレンズ駆動装置の斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】上面カバーを取り外した状態におけるレンズ駆動装置の平面図である。
【図4】ソレノイドの分解斜視図である。
【図5】ソレノイド及び可動片の配置関係を表した斜視図である。
【図6】レンズホルダを構成する鏡筒と鏡筒保持部材との分解斜視図である。
【図7】レンズホルダの断面図である。
【図8】レンズホルダの平面図である。
【図9】ハウジングと付勢バネ及び上面カバーを除いたレンズ駆動装置の側面図であって、ソレノイドの動作に伴う各状態を表した図である。
【図10】ソレノイドのコイルに対する電力供給のチャート図である。
【符号の説明】
【0045】
1 基板
2 基部
3 ハウジング
4 レンズホルダ
4a 鏡筒
4b 鏡筒保持部材
5 移動機構
6 ソレノイド
20 位置調整機構
21 突出部
21a 傾斜面
21b 係合部
22 載置部
22a 傾斜面
24 突起部
30 可動片
31 揺動部材
40 第1のソレノイド
41 第2のソレノイド
42 第1のコイル
43 第2のコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダを前記レンズの光軸方向に移動させる移動機構と、該移動機構を駆動するソレノイドとを備えたレンズ駆動装置において、
前記移動機構は前記レンズホルダと連係するように設けられた可動片を有し、該可動片を駆動電流を加えられた前記ソレノイドが吸引することで前記レンズホルダを移動させ、
前記ソレノイドには、前記可動片を吸引して前記レンズホルダを所定位置まで移動させたら、前記駆動電流より小さく前記レンズホルダを所定位置に保持するのに必要な保持電流と、前記駆動電流と同等な大きさの維持電流とが所定周期で交互に加えられることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ソレノイドには前記保持電流が第1所定時間に渡って加えられ、前記維持電流が前記第1所定時間より短い第2所定時間に渡って加えられることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ソレノイドは第1のソレノイドと第2のソレノイドとが前記レンズホルダを挟んで対向配置され、前記維持電流が前記第1のソレノイドと第2のソレノイドに対し時間をずらして加えられることを特徴とする請求項1または2記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−145630(P2008−145630A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331397(P2006−331397)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】