説明

レンズ駆動装置

【課題】レンズホルダーの移動に伴って生じる中心ズレや傾斜を抑制することのできるレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ11を保持するレンズホルダー12と、ケース13と、レンズホルダー12をケース13に揺動可能に懸架支持するバネ部材16A,16Bと、被写体方向であるZ軸周りに巻き回された駆動用コイル14と、駆動用コイル14と空隙を隔てて配置される駆動用磁石15と、駆動用コイル14と同軸に巻き回される補助コイル(前側補助コイル17もしくは後側補助コイル)とを備え、補助コイルが駆動用コイル14の被写体側に配置されている場合には、補助コイルの通電方向を駆動用コイル14の通電方向と逆方向とし、補助コイルが駆動用コイル14の被写体側とは反対側に配置されている場合には、補助コイルの通電方向を駆動用コイル14の通電方向と同方向とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関するもので、特に、レンズホルダーの移動に伴って生じる中心ズレや傾斜を抑制できるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来のボイスコイルモータ型のレンズ駆動装置50の一例を示す図である。
レンズ駆動装置50は、レンズ51を保持するレンズホルダー52を固定部材であるケース53にバネ部材54A,54Bで懸架するとともに、レンズ51の光軸周りに巻き回された駆動用コイル55をレンズホルダー52に装着し、レンズホルダー52の軸線に対して放射方向に着磁された円筒状の磁石から成る駆動用磁石56をケース53に配置し、駆動用コイル55に通電することで、駆動用コイル55に同図の矢印で示す被写体方向へ向けたローレンツ力を発生させ、レンズホルダー52をバネ部材54A,54Bの復元力と釣り合った位置に移動させることにより、レンズ51を所定の位置に移動させる。
また、駆動用磁石56からの磁界を駆動用コイル55に導くため、駆動用磁石56の径方向外側に配置される外側ヨーク片と駆動用コイル55の径方向内側に配置される内側ヨーク片と外側ヨーク片と内側ヨーク片とを連結する水平ヨーク片とを有する断面U字状の磁気ヨークを設けたレンズ駆動装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−280031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10は、従来のレンズ駆動装置50の駆動用磁石56と同じ、高さ(Z軸に沿った長さ)が2mmの永久磁石の磁極面から磁極面に垂直な方向に0.3mm離れた箇所である駆動用コイル55のコイル径近傍における磁束密度を測定した結果を示す図である。同図の横軸は、図9の矢印で示す被写体方向をZ軸前方(以下、+Z側という)とし永久磁石の中心位置をz=0としたときのZ軸方向の位置[mm]で、縦軸は磁束密度[T]で、実線が磁束密度のZ軸方向成分、破線が径方向成分である。
このように、従来のレンズ駆動装置50においては、図9に示すように、駆動用コイル55に印加される磁界は、中心部では駆動用コイル55の径方向を向いているが、+Z側の端部では+Z方向を向いているので、駆動用コイル55の+Z側の端部に常には半径方向外向きのローレンツ力が加わる。一方、駆動用コイル55の−Z側の端部では駆動用コイル55に印加される磁界が−Z方向を向いているので、駆動用コイル55の−Z側の端部に常には半径方向内向きのローレンツ力が加わる。
【0005】
駆動用コイル55と駆動用磁石56とが正確に同軸の位置にある場合には、前記ローレンツ力はコイル全周分で釣り合ってゼロになるが、駆動用コイル55もしくは駆動用磁石56が中心ズレしていると、駆動用コイル55に作用するローレンツ力のバランスが崩れ、駆動用コイル55の+Z側もしくは−Z側が駆動用磁石56側に引き寄せられるので、レンズホルダー52に中心ズレや傾きが発生し易いといった問題点があった。
前記ローレンツ力は、駆動用コイル55が駆動用磁石56に近づくにつれて大きくなるので、一旦生じた中心ズレや傾きは、レンズホルダー52の移動量を増すために通電量を増すと一層悪化する傾向を示す。
【0006】
レンズホルダー52に中心ズレが発生すると、撮影画像が図示しないイメージセンサ上の有効撮影領域から外れてしまう恐れがある。
また、レンズホルダー52に傾きが発生すると、撮影画像が歪んだり焦点ズレを起こして鮮明な画像が得られなくなる。
このような現象は、特許文献1に開示された断面U字状の磁気ヨークを設けたレンズ駆動装置においても発生する。
【0007】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、レンズホルダーの移動に伴って生じる中心ズレや傾斜を抑制することのできるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に記載の発明は、レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーの軸周りに巻き回されて前記レンズホルダーに装着される駆動用コイルと、前記ケースに前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記レンズホルダーに装着され前記駆動用コイルの通電方向とは逆方向に通電される前側補助コイルを備え、前記前側補助コイルは、被写体側をZ軸前方としたとき、前記駆動用コイルのZ軸前方側に、前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする。
これにより、前側補助コイルにZ軸前方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、レンズホルダーに装着されている前側補助コイルにレンズホルダーの半径方向内側を向いたローレンツ力を発生させることができる。したがって、仮に、レンズホルダーが偏芯または傾斜しかけていても、レンズホルダーは中心に押し戻されるので、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を効果的に抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルのZ軸後方側の端部が前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸後方側まで延長していることを特徴とする。
これにより、駆動用コイルのZ軸後方側にはZ軸後方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、前側補助コイルと駆動用コイルのZ軸後方側とにレンズホルダーの半径方向内側を向いたローレンツ力を発生させることができる。したがって、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を更に効果的に抑制することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記レンズホルダーに装着され前記駆動用コイルの通電方向と同方向に通電される後側補助コイルを備え、前記後側補助コイルは、前記駆動用コイルのZ軸後方側に、前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする。
レンズホルダーに装着された駆動用コイルのZ軸後方に設けられた後側補助コイルにはZ軸後方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、前側補助コイルと後側補助コイルとにレンズホルダーの半径方向内側を向いたローレンツ力を発生させることができる。したがって、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を更に効果的に抑制することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーの軸周りに巻き回されて前記ケースに装着される駆動用コイルと、前記レンズホルダーに前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記ケースに装着され前記駆動用コイルの通電方向とは逆方向に通電される後側補助コイルを備え、前記後側補助コイルは、被写体側をZ軸前方としたとき、前記駆動用コイルのZ軸後方側に、前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする。
これにより、ケースに装着された後側補助コイルにZ軸前方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、後側補助コイルにはレンズホルダーの半径方向外側を向いたローレンツ力が発生し、レンズホルダーに装着された駆動用磁石にはレンズホルダーの半径方向内側を向いた反力が発生する。したがって、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を効果的に抑制することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルのZ軸前方側の端部が前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸前方側まで延長していることを特徴とする。
これにより、駆動用コイルのZ軸前方側にはZ軸後方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、後側補助コイルと駆動用コイルのZ軸前方側とにレンズホルダーの半径方向外側を向いたローレンツ力が発生し、レンズホルダーに装着された駆動用磁石にはレンズホルダーの半径方向内側を向いた反力が発生する。したがって、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を更に効果的に抑制することができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のレンズ駆動装置であって、前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記ケースに装着され前記駆動用コイルの通電方向と同方向に通電される前側補助コイルを備え、前記前側補助コイルは、前記駆動用コイルのZ軸前方側に、前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする。
ケースに装着され駆動用コイルのZ軸前方に設けられた前側補助コイルにはZ軸後方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、前側補助コイルと後側補助コイルとにレンズホルダーの半径方向外側を向いたローレンツ力を発生させることができる。これにより、レンズホルダーに装着された駆動用磁石にはレンズホルダーの半径方向内側を向いた反力が発生するので、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーと前記ケースのうちの一方に装着される駆動用コイルと、前記レンズホルダーと前記ケースのうちの他方に前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、被写体側をZ軸前方としたとき、前記駆動用コイルは、Z軸に直交する軸周りに巻き回されてZ軸周りに均等な角度で配置される複数個のコイルを備え、前記駆動用コイルが前記レンズホルダーに装着されているときには、前記複数個のコイルのZ軸前方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸前方側に位置し、Z軸後方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸前方側に位置し、前記駆動用コイルが前記ケースに装着されているときには、前記複数個のコイルのZ軸後方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸後方側に位置し、Z軸前方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸後方側に位置していることを特徴とする。
これにより、駆動用コイルがレンズホルダーに装着されているときには、複数個のコイルのZ軸後方側の辺にはそれぞれレンズホルダー側へ向かう放射状の磁界が印加され、Z軸前方側の辺にはそれぞれZ軸前方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、Z軸後方側の辺にレンズホルダーの軸方向を向いたローレンツ力を発生させるとともに、Z軸前方側の辺にレンズホルダーの半径方向内側を向いたローレンツ力を発生させることができる。したがって、レンズホルダーをZ軸方向に駆動させつつ、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を効果的に抑制することができる。
このとき、Z軸後方側の辺を駆動用磁石のZ軸方向の中心近傍に位置させれば、レンズホルダーの軸方向を向いたローレンツ力を大きくできるので、更に好ましい。
また、駆動用コイルがケースに装着されているときには、複数個のコイルのZ軸前方側の辺にはそれぞれレンズホルダー側へ向かう放射状の磁界が印加され、Z軸後方側の辺にはそれぞれZ軸前方に向かう磁界が印加されるので、レンズホルダーの駆動時には、Z軸前方側の辺にはレンズホルダーの軸方向を向いたローレンツ力が発生し、Z軸後方側の辺にはレンズホルダーの半径方向外側を向いたローレンツ力が発生する。その結果、レンズホルダーに装着された駆動用磁石にはレンズホルダーの軸方向を向いた反力とレンズホルダーの半径方向内側を向いた反力とが発生するので、レンズホルダーをZ軸方向に駆動させつつ、レンズホルダーの中心ズレや傾斜を効果的に抑制することができる。
この場合には、Z軸前方側の辺を駆動用磁石のZ軸方向の中心近傍に位置させれば、レンズホルダーの軸方向を向いたローレンツ力を大きくできるので、更に好ましい。
【0013】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレンズ駆動装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】実施の形態1に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】後側補助コイルを備えたレンズ駆動装置の一例を示す図である。
【図4】磁気ヨークを備えたレンズ駆動装置の一例を示す図である。
【図5】実施の形態2に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図6】本発明によるレンズ駆動装置の他の構成を示す図である。
【図7】実施の形態3に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図8】本発明によるレンズ駆動装置の他の構成を示す図である。
【図9】従来のレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図10】駆動用コイルのコイル径近傍の磁束密度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係るレンズ駆動装置10の構成を示す図である。
レンズ駆動装置10は、レンズ11を保持するレンズホルダー12と、ケース13と、駆動用コイル14と、駆動用磁石15と、前側及び後側バネ部材16A,16Bと、前側補助コイル17とを備える。
以下、レンズ11の光軸方向をZ軸方向、被写体側をZ軸前方(+Z側)とする。
レンズホルダー12は、内側に対物レンズや接眼レンズの組み合わせから成るレンズ11を保持する円筒状の部材で、その外周側面には駆動用コイル14と前側補助コイル17とが装着される。
ケース13は、レンズホルダー12の外側にレンズホルダー12を囲むように配置されて、前側及び後側バネ部材16A,16Bによりレンズホルダー12をZ軸方向に移動自在に懸架する。
ケース13は、詳細には、図2に示すように、開口部13pが形成された円筒状の台座13aと、台座13aの外縁部に立設される筒状の側壁13bと、台座13aの内縁部から+Z側に突出するように設けられた係止部13cとを備える。側壁13bの内壁には、駆動用磁石15を取付けるための凹部13sが周方向に沿うように形成されている。
【0017】
駆動用コイル14と前側補助コイル17とは、被覆導線をレンズホルダー12の外周にZ軸周りに巻き回されて形成されたコイルで、+Z側から見たときの外形はいずれもレンズホルダー12と同じ円筒状である。
前側補助コイル17は駆動用コイル14の+Z側に装着され、駆動用コイル14の−Z側の端部は、駆動用磁石15の−Z側の端部よりもZ軸後方側まで延長している。すなわち、本例のレンズ駆動装置10では、駆動用磁石15の+Z側の端部には前側補助コイル17が空隙を隔てて対向し、駆動用磁石15の−Z側の端部には駆動用コイル14の−Z側の端部が空隙を隔てて対向している。
駆動用磁石15は、Z軸周りに等間隔(ここでは、90°間隔)で配置される円弧柱状の永久磁石から成る第1〜第4の磁石片15a〜15dを備える。第1〜第4の磁石片15a〜15dは、それぞれが中心軸であるレンズホルダー12の軸線に対して放射状に着磁されてケース13の側壁13bに形成された凹部13sに装着される。
本例では、駆動用磁石15を構成する第1〜第4の磁石片15a〜15dの着磁方向を全てレンズホルダー12側がN極となるように着磁した。
なお、駆動用磁石15として円筒状の磁石を用いてもよい。
【0018】
前側及び後側バネ部材16A,16Bは、円環状の外周部16a及び内周部16bと、外周部16aと内周部16bとを連結する略円弧状の4本の腕部16cとを備える。
前側バネ部材16Aの外周部16aはケース13の側壁13bの+Z側の内縁部に固定され、内周部16bはレンズホルダー12に+Z側の外縁部に固定される。後側バネ部材16Bの外周部16aは、ケース13の台座13aに固定され、内周部16bはレンズホルダー12のZ軸後方の外縁部に固定される。4本の腕部16cがレンズホルダー12をケース13に懸架するバネとして機能する。
【0019】
次に、レンズ駆動装置10の動作について説明する。
駆動用コイル14には第1〜第4の磁石片15a〜15dから電流の方向にほぼ直交する磁界が印加されているので、駆動用コイル14にZ軸方向時計回りの電流Ia(図2参照)を流すと、駆動用コイル14には+Z側を向いたローレンツ力Faが発生する。
一方、前側補助コイル17には第1〜第4の磁石片15a〜15dから+Z方向を向く磁界が印加されているので、前側補助コイル17に駆動用コイル14とは通電方向が逆方向であるZ軸方向反時計回りの電流Ib(図2参照)を流すと、前側補助コイル17には径方向内向きのローレンツ力fbが発生する。
また、駆動用コイル14の−Z側の端部には第1〜第4の磁石片15a〜15dから−Z方向を向く磁界が印加されているので、駆動用コイル14の−Z側の端部には径方向内向きのローレンツ力faが発生する。
これにより、レンズホルダー12は、+Z側と−Z側とにおいて径方向内向きの力を受けながら、+Z方向に移動してローレンツ力Faと前側及び後側バネ部材16A,16Bの復元力とが釣り合った位置まで移動する。
仮に、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていても、前側補助コイル17に作用する径方向内向きのローレンツ力fbと駆動用コイル14の−Z側の端部に作用する径方向内向きのローレンツ力faとが増大するので、レンズホルダー12は中心に押し戻される。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0020】
このように、レンズ駆動装置10では、駆動用コイル14と同軸(Z軸周り)に巻き回された前側補助コイル17を、駆動用コイル14の+Z側に装着するとともに、駆動用コイル14の−Z側の端部を駆動用磁石15の−Z側の端部もZ軸後方側まで延長した構成とし、レンズホルダー12の駆動時には、レンズホルダー12を中心に押し戻す力を発生させるようにしたので、レンズホルダー12の中心ズレや傾きが発生した場合でも、これらを効果的に抑制できる。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向に移動させることができるので、鮮明な画像を撮影することができる。
【0021】
なお、前記実施の形態1では、レンズホルダー12及びケース13の形状を円筒状としたが、四角筒状、あるいは、八角筒状であってもよい。また、駆動用磁石15の形状は、円環状や円弧状に限らず、平板形や三角柱状であってもよい。また、駆動用コイル14及び前側補助コイル17の形状も、四角筒状、あるいは、八角筒状であってもよい。
また、前側及び後側バネ部材16A,16Bの形状も円環状に限らず、レンズホルダー12やケース13の形状に合わせて多角環状としてもよい。
また、前側補助コイル17は駆動用コイル14と直列もしくは並列に接続して通電してもよいし、駆動用コイル14と独立して通電してもよい。
【0022】
また、前記例では、駆動用磁石15を構成する第1〜第4の磁石片15a〜15dの着磁方向をレンズホルダー12側が全てN極になるように着磁したが、レンズホルダー12側が全てS極になるように着磁してもよい。なお、この場合には、駆動用コイル14及び前側補助コイル17に流す電流の方向を前記実施の形態1とは逆方向にすれば、実施の形態1と同様に、レンズホルダー12の+Z側と−Z側とに径方向内向きの力を与えながら、レンズホルダー12を+Z方向に移動させることができる。
【0023】
また、前記例では、駆動用コイル14の−Z側の端部を駆動用磁石15の−Z側の端部よりもZ軸後方側まで延長させて、駆動用コイル14の−Z側の端部に径方向内向きの力を発生させる構成としたが、駆動用コイル14のZ軸方向の長さが短い場合や駆動用磁石15のZ軸方向の長さが長い場合には、図3に示すように、駆動用コイル14の−Z側に駆動用磁石15のZ軸後方側の端部に空隙を隔てて対向し、駆動用コイル14の通電方向と同方向に通電される後側補助コイル18を設ける構成としてもよい。
後側補助コイル18には、実施の形態1の駆動用コイル14の−Z側の端部と同様に、第1〜第4の磁石片15a〜15dから−Z方向を向く磁界が印加されているので、後側補助コイル18に駆動用コイル14と同じ通電方向であるZ軸方向時計回りの電流を流せば、後側補助コイル18には径方向内向きのローレンツ力fcが発生する。
すなわち、駆動用コイル14に+Z側を向いたローレンツ力Faが発生し、前側補助コイル17と後側補助コイル18とには、それぞれ径方向内向きのローレンツ力fb,fcが発生するので、レンズホルダー12は、+Z側と−Z側とにおいて径方向内向きの力を受けながら、+Z方向に移動してローレンツ力Faと前側及び後側バネ部材16A,16Bの復元力とが釣り合った位置まで移動する。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0024】
また、前記例では、磁気ヨークのないレンズ駆動装置について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図4(a)に示すような、断面L字状の磁気ヨーク19Lを備えたレンズ駆動装置10Lや、図4(b)に示すような、断面J字状の磁気ヨーク19Jを備えたレンズ駆動装置10Jにも適用可能である。
断面L字状の磁気ヨーク19Lは軟磁性体材料から成り、駆動用磁石15のレンズホルダー12側とは反対側の面に当接する外周側垂直片19aと、外周側垂直片19aの+Z側の端部からレンズホルダー12側に突出する前側水平片19bとを備える。
磁気ヨーク19Lを設けることで、駆動用コイル14を通る磁束の密度は増加するが、前側補助コイル17に印加される磁界の方向は磁気ヨークのない場合と同様に+Z方向を向いている。したがって、駆動用コイル14の+Z側に前側補助コイル17を設けて、駆動用コイル14の通電方向とは逆方向に通電して、前側補助コイル17に径方向内向きのローレンツ力fbを発生させれば、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていてもレンズホルダー12を中心に押し戻せるので、磁気ヨーク19Lを備えたレンズ駆動装置10Lにおいても、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0025】
また、断面J字状の磁気ヨーク19Jは、外周側垂直片19aと、前側水平片19bと、前側水平片19bのレンズホルダー12側の端部から−Z側に突出する内側垂直片19cとを備える。なお、レンズ駆動装置10Jでは、レンズホルダー12に、当該レンズホルダー12の周面の−Z側の端部から径方向外側へ突出するコイル支持部12aを設け、このコイル支持部12aに駆動用コイル14を搭載することで、レンズホルダー12と駆動用コイル14との間に空隙を設け、この空隙に内側垂直片19cを配置する。
磁気ヨーク19Jを設けた場合には、駆動用コイル14を通る磁束の密度は更に増加するが、前側補助コイル17に印加される磁界の方向は磁気ヨーク19Lを用いた場合と同様に+Z方向を向く。したがって、磁気ヨーク19Jを備えたレンズ駆動装置10Jにおいても、駆動用コイル14の+Z側に前側補助コイル17を設けて、駆動用コイル14の通電方向とは逆方向に通電することで、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0026】
実施の形態2.
前記実施の形態1では、駆動用コイル14をレンズホルダー12の外周に装着し、駆動用磁石15をケース13に取付けるとともに、前側補助コイル17を駆動用コイル14の+Z側に設けたが、例えば、図5に示すように、駆動用コイル24と後側補助コイル28とを図示しないケースに装着し、駆動用磁石25をレンズホルダー12の外周に装着する構成としてもよい。このとき、後側補助コイル28を駆動用コイル24の−Z側に、駆動用磁石25のZ軸後方側の端部と空隙を隔てて対向するように配設するとともに、駆動用コイル24の+Z側の端部を駆動用磁石25の+Z側の端部よりも+Z側に延長する。
なお、後側補助コイル28は、前側補助コイル17と同様に、駆動用コイル24と同軸に巻き回されて駆動用コイル24の通電方向とは逆方向に通電される。
また、本実施の形態2のレンズ駆動装置20では、前記実施の形態1と同様に、駆動用磁石25を構成する第1〜第4の磁石片25a〜25dの着磁方向を全てレンズホルダー12側がN極になるように着磁している。すなわち、駆動用磁石25の駆動用コイル24側の磁極は全てS極である。
【0027】
次に、レンズ駆動装置20の動作について説明する。
駆動用コイル24には第1〜第4の磁石片25a〜25dから電流の方向にほぼ直交する磁界が印加されているので、駆動用コイル24にZ軸方向反時計回りの電流を流すと、駆動用コイル24には−Z側を向いたローレンツ力Faが発生する。駆動用コイル24は固定側の部材であるケースに装着されているので、可動部材であるレンズホルダー12に取付けられている第1〜第4の磁石片25a〜25dには、前記ローレンツ力Faと大きさが同じでかつ反対方向(+Z側)を向いた反力FAが作用する。
一方、後側補助コイル28には第1〜第4の磁石片25a〜25dから+Z方向を向く磁界が印加されているので、後側補助コイル28に駆動用コイル24とは通電方向が逆方向であるZ軸方向時計回りの電流を流すと、後側補助コイル28には径方向外向きのローレンツ力fbが発生する。したがって、第1〜第4の磁石片25a〜25dには、前記ローレンツ力fbと大きさが同じでかつローレンツ力fbとは反対方向(径方向内向き)の反力f Bが作用する。
また、駆動用コイル24の+Z側の端部には第1〜第4の磁石片25a〜25dから−Z方向を向く磁界が印加されているので、駆動用コイル24の+Z側の端部には径方向外向きのローレンツ力faが発生する。したがって、第1〜第4の磁石片25a〜25dには、前記ローレンツ力faと大きさが同じでかつ前記ローレンツ力faとは反対方向(径方向内向き)の反力fAが作用する。
これにより、レンズホルダー12は、+Z側と−Z側とにおいて径方向内向きの力を受けながら、+Z方向に移動して前記反力FAと前側及び後側バネ部材16A,16Bの復元力とが釣り合った位置まで移動する。
したがって、仮に、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていても、レンズホルダー12に作用する径方向内向きの反力fA,fBが増大するので、レンズホルダー12は中心に押し戻される。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0028】
また、前記実施の形態2では、駆動用コイル24の+Z側の端部を駆動用磁石25の+Z側の端部よりもZ軸前方側まで延長させて、駆動用コイル24の+Z側の端部に径方向外向きの力が発生させることで、駆動用磁石25の+Z側の端部に径方向内向きの反力を作用させたが、駆動用コイル24のZ軸方向の長さが短い場合や駆動用磁石25のZ軸方向の長さが長い場合には、図6に示すように、駆動用コイル24の+Z側に駆動用磁石25の+Z軸前方側の端部に空隙を隔てて対向し、駆動用コイル24の通電方向と同方向に通電される前側補助コイル27を設ける構成としてもよい。
前側補助コイル27には、実施の形態2の駆動用コイル24の+Z側の端部と同様に、第1〜第4の磁石片25a〜25dから−Z方向を向く磁界が印加されているので、前側補助コイル27に駆動用コイル24と同じ通電方向であるZ軸方向反時計回りの電流を流せば、前側補助コイル27には径方向外向きのローレンツ力fdが発生する。その結果、第1〜第4の磁石片25a〜25dには、前記ローレンツ力fdと大きさが同じでかつ前記ローレンツ力fdとは反対方向(径方向内向き)の反力fDが作用する。
これにより、レンズホルダー12は、+Z側と−Z側とにおいて径方向内向きの力(反力)を受けながら、+Z方向に移動して前記反力FAと前側及び後側バネ部材16A,16Bの復元力とが釣り合った位置まで移動する。
したがって、仮に、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていても、レンズホルダー12に作用する径方向内向きの反力fB,fDが増大するので、レンズホルダー12は中心に押し戻される。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0029】
実施の形態3.
前記実施の形態1では、被覆導線をZ軸周りに巻き回して形成した駆動用コイル14及び前側補助コイル17を備えたレンズ駆動装置10について説明したが、図7(a),(b)に示すような、被覆導線をX軸周りまたはY軸周りに巻き回して形成される偶数個の駆動用コイル34a〜34dをZ軸周りに均等な角度(ここでは、90°)で配置した構成のレンズ駆動装置30においても、図示しないケースに装着された駆動用磁石35との位置関係を適宜設定すれば、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
具体的には、駆動用磁石35を、図7(b)に示すような、Z軸周りに均等な角度で配置された円弧状の永久磁石から成る第1〜第4の磁石片35a〜35d、もしくは、円筒状の永久磁石から構成するとともに、駆動用コイル34a〜34dの+Z側の辺34pがそれぞれ第1〜第4の磁石片35a〜35d(もしくは、円筒状の永久磁石)の+Z側の端部よりも+Z側に位置し、駆動用コイル34a〜34dの−Z側の辺34qがそれぞれ第1〜第4の磁石片35a〜35d(もしくは、円筒状の永久磁石)の中心近傍に空隙を隔てて対向するように駆動用コイル34a〜34dを配置する。
【0030】
本実施の形態3のレンズ駆動装置30では、前記実施の形態1と同様に、駆動用磁石35を構成する第1〜第4の磁石片35a〜35dの着磁方向を全て駆動用コイル34a〜34d側(レンズホルダー12側)がN極になるように着磁している。
駆動用コイル34aは、X軸周りに巻き回されて、第1の磁石片35aに空隙を隔てて対向するように、レンズホルダー12の+X側の外周に配置され、駆動用コイル34bは、Y軸周りに巻き回されて、第2の磁石片35bに空隙を隔てて対向するように、レンズホルダー12の+Y側の外周に配置される。駆動用コイル34cは、X軸周りに巻き回されて、第3の磁石片35cに空隙を隔てて対向するように、レンズホルダー12の−X側の外周に配置され、駆動用コイル34dは、Y軸周りに巻き回されて、第4の磁石片35dに空隙を隔てて対向するように、レンズホルダー12の−Y側の外周に配置される。
【0031】
次に、レンズ駆動装置30の動作について説明する。
駆動用コイル34aの−Z側の辺34qには第1の磁石片35aから−X方向の磁界が印加されているので、駆動用コイル34aにX軸方向時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34aの−Z側の辺34qには+Z側を向いたローレンツ力Fqが発生する。
また、駆動用コイル34bの−Z側の辺34qには第2の磁石片35bから−Y方向の磁界が印加されているので、駆動用コイル34bにY軸方向時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34bの−Z側の辺34qには+Z側を向いたローレンツ力Fqが発生する。
同様に、駆動用コイル34cにX軸方向反時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34cの−Z側の辺34qには+Z側を向いたローレンツ力Fqが発生し、駆動用コイル34dにY軸方向反時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34dの−Z側の辺34qには+Z側を向いたローレンツ力Fqが発生する。
【0032】
一方、駆動用コイル34aの+Z側の辺34pは、第1の磁石片35aの+Z側の端部よりも+Z側に位置しているので、駆動用コイル34aの+Z側の辺34pには第1の磁石片35aから+Z方向の磁界が印加されている。したがって、駆動用コイル34aにX軸方向時計回りの電流を流すと、駆動用コイル34aの+Z側の辺34pには径方向内側を向いたローレンツ力Fpが発生する。
また、駆動用コイル34bの+Z側の辺34pは、第2の磁石片35bの+Z側の端部よりも+Z側に位置しているので、+Z側の辺34pには第2の磁石片35bから+Z方向の磁界が印加されている。したがって、駆動用コイル34bにY軸方向時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34bの+Z側の辺34pには径方向内側を向いたローレンツ力Fpが発生する。
同様に、駆動用コイル34cにX軸方向反時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34cの+Z側の辺34pには径方向内側を向いたローレンツ力Fpが発生し、駆動用コイル34dにY軸方向反時計回りの電流Iを流すと、駆動用コイル34dの+Z側の辺34pには径方向内側を向いたローレンツ力Fpが発生する。
【0033】
これにより、駆動用コイル34a〜34dにはそれぞれ、+Z側を向いたローレンツ力Fqと径方向内側を向いたローレンツ力Fpとが発生する。したがって、レンズホルダー12は、前記実施の形態1と同様に、径方向内向きの力を受けながら+Z方向に移動するので、仮に、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていても、駆動用コイル34a〜34dの+Z側の辺34pに発生する径方向内側を向いたローレンツ力Fpが増大するので、レンズホルダー12は中心に押し戻される。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0034】
なお、前記実施の形態3では、駆動用コイル34a〜34dをレンズホルダー12に装着し、第1〜第4の磁石片35a〜35dを図示しないケースに装着したが、例えば、図8に示すように、駆動用コイル34a〜34dをケースに装着し、第1〜第4の磁石片35a〜35dをレンズホルダー12の外周に装着する構成としてもよい。
図8のレンズ駆動装置30Zでは、駆動用コイル34a〜34dの+Z側の辺34pをそれぞれ第1〜第4の磁石片35a〜35dの中心近傍に空隙を隔てて対向するように配置し、−Z側の辺34qをそれぞれ第1〜第4の磁石片35a〜35dの−Z側の端部よりも−Z側に位置するように配置している。
これにより、駆動用コイル34a〜34dにはそれぞれ、−Z側を向いたローレンツ力Fpと径方向外側を向いたローレンツ力Fqとが発生する。駆動用コイル34a〜34dは固定部材であるケースに装着されているので、可動部材であるレンズホルダー12に取付けられている第1〜第4の磁石片35a〜35dには、前記ローレンツ力Fpと大きさが同じでかつ反対方向(+Z側)を向いた反力FPと、前記ローレンツ力Fqと大きさが同じでかつ反対方向(径方向内側)を向いた反力FQとが作用する。
したがって、レンズホルダー12は、前記実施の形態3と同様に、径方向内向きの力を受けながら+Z方向に移動するので、仮に、レンズホルダー12が偏芯または傾斜しかけていても、駆動用コイル34a〜34dの−Z側の辺34qに発生する径方向外側を向いたローレンツ力Fqが増大し、それに伴って、第1〜第4の磁石片35a〜35dに作用する径方向内側を向いた反力FQが増大するので、レンズホルダー12は中心に押し戻される。したがって、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0035】
また、前記例では、X軸周りもしくはY軸周りに巻き回された4つの駆動用コイル34a〜34dをZ軸周りに均等な角度で配置した場合について説明したが、これに限るものではなく、X軸周りに巻き回された2つの駆動用コイルを、レンズホルダー12の+X側と−X側に配置したり、Y軸周りに巻き回された2つの駆動用コイルを、レンズホルダー12の+Y側と−Y側に配置したりするなど、2つの駆動用コイルをZ軸周りに180°間隔で配置してもよい。
あるいは、Z軸を中心にXY平面を120°分割した軸周りに巻き回された3つの駆動用コイルをZ軸周りに120°間隔で配置したり、60°分割した軸周りに巻き回された6つの駆動用コイルをZ軸周りに60°間隔で配置したり、45°分割した軸周りに巻き回された8つの駆動用コイルをZ軸周りに45°間隔で配置したりしてもよい。
なお、駆動用磁石35を複数の円弧状の磁石片から構成する場合は、磁石片は駆動用コイルと同様に、Z軸周りに180°もしくは120°間隔で配置することが好ましい。
いずれの場合も、駆動用コイルがレンズホルダー12に装着されているときには、駆動用コイルの+Z側の辺34pを駆動用磁石35の+Z側の端部よりも+Z側に位置させ、−Z側の辺34qを駆動用磁石35の中心近傍に空隙を隔てて対向するように駆動用コイルを配置することが肝要で、駆動用コイルがケースに装着されているときには、駆動用コイルの+Z側の辺34pを駆動用磁石35の中心近傍に位置させ、−Z側の辺34qを駆動用磁石35の−Z側の端部よりも−Z側に配置することが肝要である。これにより、レンズホルダー12を中心に安定保持しながら+Z方向へ移動させることができる。
【0036】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
10 レンズ駆動装置、11 レンズ、12 レンズホルダー、13 ケース、
13a 台座、13b 側壁、13c 係止部、13p 開口部、13s 凹部、
14 駆動用コイル、15 駆動用磁石、15a〜15d 磁石片、
16A,16B 前側及び後側バネ部材、17 前側補助コイル、
18 後側補助コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーの軸周りに巻き回されて前記レンズホルダーに装着される駆動用コイルと、前記ケースに前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、
前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記レンズホルダーに装着され前記駆動用コイルの通電方向とは逆方向に通電される前側補助コイルを備え、
前記前側補助コイルは、被写体側をZ軸前方としたとき、前記駆動用コイルのZ軸前方側に、前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記駆動用コイルのZ軸後方側の端部が前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸後方側まで延長していることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記レンズホルダーに装着され前記駆動用コイルの通電方向と同方向に通電される後側補助コイルを備え、
前記後側補助コイルは、前記駆動用コイルのZ軸後方側に、前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーの軸周りに巻き回されて前記ケースに装着される駆動用コイルと、前記レンズホルダーに前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、
前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記ケースに装着され前記駆動用コイルの通電方向とは逆方向に通電される後側補助コイルを備え、
前記後側補助コイルは、被写体側をZ軸前方としたとき、前記駆動用コイルのZ軸後方側に、前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記駆動用コイルのZ軸前方側の端部が前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸前方側まで延長していることを特徴とする請求項4に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記駆動用コイルと同軸に巻き回されて前記ケースに装着され前記駆動用コイルの通電方向と同方向に通電される前側補助コイルを備え、
前記前側補助コイルは、前記駆動用コイルのZ軸前方側に、前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部と空隙を隔てて対向して配置されていることを特徴とする請求項4に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに揺動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーと前記ケースのうちの一方に装着される駆動用コイルと、前記レンズホルダーと前記ケースのうちの他方に前記駆動用コイルと空隙を隔てて装着される駆動用磁石とを備えたレンズ駆動装置であって、
被写体側をZ軸前方としたとき、
前記駆動用コイルは、Z軸に直交する軸周りに巻き回されてZ軸周りに均等な角度で配置される複数個のコイルを備え、
前記駆動用コイルが前記レンズホルダーに装着されているときには、
前記複数個のコイルのZ軸前方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸前方側に位置し、Z軸後方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸前方側に位置し、
前記駆動用コイルが前記ケースに装着されているときには、
前記複数個のコイルのZ軸後方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸後方側の端部よりもZ軸後方側に位置し、Z軸前方側の辺がそれぞれ前記駆動用磁石のZ軸前方側の端部よりもZ軸後方側に位置していることを特徴とするレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−109214(P2013−109214A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255067(P2011−255067)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(507186609)マイクロウインテック株式会社 (26)
【出願人】(502426061)大立光電股▲ふん▼有限公司 (34)
【出願人】(509035613)
【出願人】(511116177)厦▲門▼新▲鴻▼洲精密科技有限公司 (10)
【氏名又は名称原語表記】XINHONGZHOU PRECISION TECHNOLOGY CO,.LTD
【住所又は居所原語表記】No.11 Xintian Road,Xinchun,Houxi Town,Jimei District,Xiamen,China
【Fターム(参考)】