レンズ駆動装置
【課題】 リードスクリューとナットとの噛み合いや空転を防止し、制御性の良いレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】 モータ(ステッピングモータ12A、12B)の回転軸(14)上に取り付けられて回転するスクリュー(リードスクリュー16)にナット(18)を螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダー(レンズホルダーユニット8)を移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパー(41A、41B、立壁部22)に前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置(2)であって、前記スクリューに形成されたネジ山(52)の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷(54)の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にさせている。
【解決手段】 モータ(ステッピングモータ12A、12B)の回転軸(14)上に取り付けられて回転するスクリュー(リードスクリュー16)にナット(18)を螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダー(レンズホルダーユニット8)を移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパー(41A、41B、立壁部22)に前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置(2)であって、前記スクリューに形成されたネジ山(52)の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷(54)の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にさせている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ回転によってレンズホルダーを水平移動又は垂直移動させる等、回転を直線移動に変換してレンズホルダーを駆動するレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置等には媒体の回転やトラッキング制御を行うため、または、球面収差補正のため、回転を直線移動に変換する回転・移動変換装置として、モータ回転によってレンズホルダー等を水平方向に移動させるレンズ駆動装置が用いられている。
【0003】
このレンズ駆動装置に関し、特許文献1には、リードスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転をナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを駆動することが記載され、スクリューの一端部のネジ山径を小さくしてナットとの螺合を緩慢にさせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−072555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ディスク装置等の光ピックアップを駆動するレンズ駆動装置では小型化や軽量化のため、リードスクリューは金属、ナットは合成樹脂で構成される。レンズ駆動装置が電源オフされた後に再立上げのため電源入力されると、先ず、レンズ駆動装置の原点出しとしてレンズホルダーの基準位置設定が行われる。このレンズホルダーを基準位置に設定する際、レンズホルダーがリードスクリューのどのような位置にあっても、先ずモータを回転させ、レンズホルダーに嵌合されたナットを可動範囲最終位置まで移動させてベースの立壁部に衝突させて回転停止位置に停止させた後に、所定数だけモータを逆回転させてナットの位置を戻し、その位置を基準位置とする制御方法が行われている。この場合、ナットが回転停止位置に到達していても、モータから回転力が与えられ、ナットのネジ山とリードスクリューのネジ山がその回転力を受けて噛み込むことにより、その後のモータの逆回転ができなくなる回転制御不能に陥る不都合がある。ナットがモータの近傍にある場合にはナットに過剰な回転力が付与され、その危険性が大である。また、ナットがベースの立壁部に衝突した後に、ナットとリードスクリューが空転して空回りすると、ナットを基準位置まで戻すことができなくなるため、レンズホルダーの基準位置の設定が不可能になる。
【0006】
レンズ駆動装置に用いられるステッピングモータは、ノートPC等に搭載される薄型BDドライブに使用される収差補正用モータと同様に、小型、薄型が要求される。モータが小型化されるに従いトルクも小さくなるが、この問題を解決するには、モータ軸を減速してトルクを稼ぎ推力を得る方法と、モータ軸に取付けるリードスクリューのリード径を小さくすることで、同じトルクでありながら推力を大きくする方法の2つがある。減速した場合はレンズ駆動のスピードが遅くなる問題があるため、リード径を小さくすることで対応すると、径が小さいモータ軸に精度良くネジをきることと、リードスクリューの強度を確保することが要求される。
【0007】
ところで、レンズホルダーの基準位置設定及び制御にあたり、レンズ駆動装置がレンズホルダーの可動端部にセンサーを備え、センサーでレンズホルダーを感知した位置を原点としてレンズホルダーを制御する。ナットのネジ山とリードスクリューのネジ山が噛み合うことを防止できるものの、レンズ駆動装置の構造が複雑になり、センサーを取り付けるための場所を確保する必要がある。また、リードスクリュー端の近傍部分を径小に加工して、リードスクリューとナットとの螺合を緩慢にさせると、リードスクリューとナットとの噛み合いを防止できるものの、リードスクリュー端を精度良く2次研削加工した後、必要に応じて焼き入れする等の2次加工が必要になりスクリューの構造が複雑になる。
【0008】
このような課題について、既述の特許文献1にはその開示や解決手段についての開示や示唆はない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、リードスクリューとナットとの噛み合いや空転を防止し、制御性の良いレンズ駆動装置を提供することにある。
【0010】
本願発明の他の目的は、レンズ駆動装置の構造の簡単化を図ることにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、レンズ駆動装置において、駆動力を増大させるとともに、モータの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のレンズ駆動装置は、モータの回転軸上に取り付けられて回転するスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパーに前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置であって、前記スクリューに形成されたネジ山の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にしている。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0013】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記ネジ山を形成する一方の傾斜が前記ネジ谷の傾斜に点接触するとともに、前記ネジ山を形成する他の傾斜が前記ネジ谷の傾斜から離間させてもよいし、前記谷角度が、前記山角度に比して5%以上大きいか、前記山角度が、前記谷角度に比して5%以上大きくされてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0014】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記ナット及び前記レンズホルダーは、互いに対向する対向面を備え、前記ナットの対向面又は前記レンズホルダーの対向面は、突部を有する構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0015】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記突部が球面形状を有する構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0016】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0017】
(1) モータ回転力がリードスクリューに加えられてナットによって回転運動を軸方向の直線運動に変換できるとともに、ナット又はレンズホルダーがリードスクリューのスクリュー端に向け移動してストッパーに接触して停止した場合には、リードスクリューのネジ山の角度とナットのネジ谷の角度の違いによってナットとリードスクリューとの螺合が緩慢になるので、ネジ山とネジ谷の噛み合いを防止できる。
【0018】
(2) ナットとリードスクリューの噛み合いを防止できるので、噛み合いによる磨耗や回転制御不能に陥ることがなく、経年変化による制御性の低下を防止できる。
【0019】
(3) ナットとリードスクリューの噛み合いを防止できることから、レンズホルダーの基準位置の設定が正確に行われるようになり、レンズ駆動装置の動作の信頼性が高められる。
【0020】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置を示す分解斜視図である。
【図3】レンズホルダーユニットとナットの係合を示す図である。
【図4】モータ駆動部を示す断面図である。
【図5】リードスクリューの始端部分を示す図である。
【図6】リードスクリューとナットの螺合状態を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るリードスクリューの始端部分を示す断面図である。
【図8】図8(A)は、ナットの正面図8(B)はナットのVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係るモータ駆動部を示す断面図である。
【図10】リードスクリューとナットの他の螺合状態を示す図である。
【図11】図11(A)は、他のナットの正面図11(B)はナットのXIB−XIB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
【0023】
第1の実施の形態について、図1、図2および図3を参照する。図1は、第1の実施の形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図、図2は、レンズ駆動装置を示す分解斜視図、図3は、レンズホルダーユニットとナットの係合を示す図である。図1、図2及び図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0024】
このレンズ駆動装置2は、図1及び図2に示すように、光ディスク装置に搭載されて球面収差補正のために光ピックアップを駆動する駆動手段であって、ベース4と、モータ駆動部6Aと、レンズホルダーユニット8とを備えている。
【0025】
ベース4は、レンズ駆動装置2の装置フレームの一例であって、図示しない光ディスク装置等の光ピックアップ部に固定される。
【0026】
モータ駆動部6Aは、回転駆動源であって、例えばモータの回転を軸方向の直線移動に変換する手段の一例であって、モータにはステッピングモータ12Aが設置され、このステッピングモータ12Aの回転軸14上に設置されたリードスクリュー16と、このリードスクリュー16に取り付けられたナット18とを備えている。ナット18は、リードスクリュー16に螺合している。ステッピングモータ12Aの回転軸14は軸受フレーム部20にある立壁部22を通して軸受部24で支持されている。
【0027】
レンズホルダーユニット8はナット18を保持してナット18の移動を受けて摺動する摺動体の一例であるとともにレンズ26の保持手段であって、ガイドシャフト28、30に摺動可能に設置されている。レンズホルダーユニット8は、図2及び図3に示すように、ナット保持部9に窓部10とナット当接部11を有し、この窓部10にナット18の外周に形成された突起19が嵌合され、ナット18をナット当接部11に当接することでナット18がナット保持部9に固定される。すなわち、ナットは突起19を介してレンズホルダーユニット8に固定される。レンズ26は、レンズ固定部に固定されている。ガイドシャフト28、30は、レンズホルダーユニット8を回転軸14の軸方向に摺動させるため、リードスクリュー16と平行に設置されている。ベース4には軸固定部32、34、36、38が形成され、軸固定部32、34にガイドシャフト28、軸固定部36、38にガイドシャフト30が支持されている。ガイドシャフト30は、ガイドシャフト28より長く、レンズホルダーユニット8と軸固定部38との間に弾性体として例えば、コイルバネ40が圧縮状態で設置されている。圧縮状態にあるコイルバネ40の復元力Fがレンズホルダーユニット8と軸固定部38との間に付与されて、ナット18とレンズホルダーユニット8とが当接状態に維持される。この場合、復元力Fと同方向に張力を作用させる構成としてもよい。
【0028】
ステッピングモータ12Aが回転すると、回転軸14の回転により、ナット18が回転軸14の軸上を移動する。この場合、レンズホルダーユニット8はナット18の移動に連動して回転軸14の軸方向に移動する。レンズホルダーユニット8の移動範囲は、ベース4に形成されたストッパー41A、41Bにより規制される。このストッパー41A、41Bは、たとえばベース4の内壁を利用して形成する。レンズホルダーユニット8がステッピングモータ12A側に移動し、ストッパー41Aに接触することで、レンズホルダーユニット8の位置設定を行なう。なお、レンズホルダーユニット8の位置設定は、レンズホルダーユニット8をステッピングモータ12Aから離れる方向に移動させ、ストッパー41Bに接触させることで、行なってもよい。
【0029】
次に、モータ駆動部の詳細について、図4、図5及び図6を参照する。図4は、レンズ駆動装置のモータ駆動部を示す断面図、図5は、リードスクリューの始端部分を示す図、図6は、リードスクリューとナットの螺合状態を示す図である。図4〜図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図4〜図6において、図1と同一部分には同一符号を付してある。図4に示す断面は、リードスクリューの回転の中心を通るモータ駆動部の断面である。図6は、リードスクリューとナットの螺合状態をリードスクリューの回転の中心を通る断面で表している。なお、図6では、角度α、βの違いを図において示すため、角度の差を視認できるようにしている。角度α、βの違いは、図6の図示に限定されるものではない。
【0030】
このモータ駆動部6Aに設置されたステッピングモータ12Aは、図4に示すように、外ヨーク42と、内ヨーク44と、回転子46と、回転軸14とを備えている。外ヨーク42は軸受フレーム部20の立壁部22に取り付けられ、内ヨーク44は外ヨーク42に固定されている。回転子46が取り付けられた回転軸14が立壁部22の貫通孔48を貫通させ、対向側の軸受部24に支持されている。
【0031】
この実施の形態では、回転軸14には同径のシャフトが用いられ、軸受部24と立壁部22とに跨がる部分にリードスクリュー16が取り付けられている。このリードスクリュー16は、回転軸14と同様に、ステンレス等の金属で形成され、リードスクリュー16の始端部側は、立壁部22の貫通孔48に挿入され、その中間部まで延長されている。このリードスクリュー16には既述のナット18が螺合されている。
【0032】
リードスクリュー16は外周に複数のネジ山52(図6)を備えている。ナット18は、ナットの内側面に複数のネジ谷54(図6)を備えている。隣り合うネジ山52との間隔及び隣り合うネジ谷54との間隔は、それぞれ等間隔であり、ネジ山52とネジ谷54の間隔を等しくすることにより、ネジ山52とネジ谷54が一対一の対応を以て嵌合可能にしている。
【0033】
図6に示すように、リードスクリュー16の外周に形成された傾斜58A、58Bにより山の角度(山角度)αのネジ山52が形成されている。また、ナット18の内側面に形成された傾斜60A、60Bにより谷の角度(谷角度)βのネジ谷54が形成されている。ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βは、それぞれ鋭角であって、例えば、山角度α=60[度]、谷角度β=65[度]とし、谷角度β>山角度αになるようにしている。山角度αと谷角度βを異ならせることで、リードスクリューの回転の中心を通る断面において、ネジ山52とネジ谷54を接触点Cで点接触させることができる。この場合、リードスクリュー16とナット18の接触は、ら線状の線接触となるので、山角度αと谷角度βが同一角度の場合、即ち、断面視においてネジ山52とネジ谷54が傾斜全体で接触する場合に比べ、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくすることができる。また、谷角度βが山角度αより大きいので、ネジ山52とネジ谷54が嵌合すると、一側方ではネジ山52の傾斜58Aとネジ谷54の傾斜60Aが点接触し、他の側方ではネジ山52の傾斜58Bとネジ谷54の傾斜60Bがナット18の移動方向に距離Lで離間する。即ち、一対の嵌合では、接触が一点になり、ネジ山52とネジ谷54の接触が抑制される。谷角度βは、山角度αに比べて5%以上大きい角度にすることが好ましい。谷角度βが山角度αに比べて5%以上大きいと、断面視における点接触を精度良く再現することができる。なお、谷角度βと山角度αの角度差の上限は、ネジ山とネジ谷の離間距離Lが、レンズホルダーの位置精度の範囲内となるようにすれば良く、特に限定されない。
【0034】
斯かる構成とすれば、ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βが異なり、β>αであるので、ステッピングモータ12Aを所定回転させてレンズホルダーユニット8をストッパー41Aの位置に到達させ、接触させた際に、図6に示すように、断面視において、ネジ山とネジ谷が点接触となり、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくできる。これにより、ネジ山52とネジ谷54の噛み合いが防止される。このため、両者のロック状態を防止でき、リードスクリュー16を所定回転させることにより、ストッパー41Aに当接したレンズホルダーユニット8を所定の基準位置に移動させることができる。ステッピングモータ12Aは入力したパルス数に応じた回転移動を行うため、レンズホルダーユニット8をストッパー41Aに衝突させてから、所定のパルスを入力して基準位置に移動させる原点出しの制御が容易に行えるため、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いが防止されることにより、ナット18を所定の基準位置に正確に移動させることができるようになる。
【0035】
また、ネジ山52は、山角度αのネジ山を形成するように調整された雄ねじ切り(ダイス)を用いてリードスクリュー16にネジ山を切ることで得られ、ネジ谷54は、谷角度βのネジ谷を形成するように調整された雌ねじ切り(タップ)を用いてナット18にネジ谷を切ることで得られる。なお、ナット18を樹脂で構成する場合はネジ谷54を金型成形にて形成することもできる。雄ねじ切り及び雌ねじ切りの調整や金型成形により角度を異ならせるといった、簡便な方法で角度を異ならせることができ、レンズ駆動装置2、リードスクリュー16及びナット18の構成も簡単である。また、2次加工によりネジ山52やネジ谷54に再加工を施す必要がない。その結果、装置の価格を抑え、かつ信頼性を向上させることができる。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
【0037】
次に、第2の実施の形態について、図7及び図8を参照する。図7は、第2の実施の形態に係るリードスクリューの始端部分を示す断面図、図8(A)は、ナットの正面図、図8(B)はナットのVIIIB−VIIIB線断面図である。図7及び図8に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図7及び図8において、図1及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0038】
第2の実施の形態では、レンズホルダーユニット8に対向して接触するナット18の面、すなわちナット18のレンズホルダー対向面70に、先端が球面形状を有している突部72A〜72Hを設けている。そして、ナット18とレンズホルダーユニット8を点接触させている。レンズホルダーユニット8とストッパー41Aが接触して、ナット18とレンズホルダーユニット8がリードスクリュー16から立壁部22向きの駆動力DFを受けた状態で停止した際に、ナット18とレンズホルダーユニット8の間で噛み合うことを防止している。図8(A)に示すように複数の突部72A〜72Hは、ナット18のネジ穴74の中心RCから同一距離に配置され、ネジ穴74の中心RCを中心とする周上に均等に配置する。また、複数の突部72A〜72Hでは、図8(B)に示すように、突起の高さが同じ高さHに設定してあり、突部72A〜72Hの最高点が一平面上になるようにしてある。
【0039】
その他の構成については第一の実施の形態と同様であり、その説明を省略する。
【0040】
このような構成によれば、第1の実施の形態で既述の利点の他、レンズホルダーユニット8とストッパー41Aとが接触した際、荷重に偏りが発生することが防止され、レンズホルダーユニット8の位置精度を向上させることができる。また、レンズホルダーユニット8には、コイルバネ40による復元力Fが作用して、レンズホルダーユニット8がナット18側に押し付けられて接触状態となる。突部72A〜72Hを介してレンズホルダーユニット8とナット18を接触させることで、リードスクリュー16の回転の勢いによりレンズホルダーユニット8とストッパー41Aが勢いよく接触した場合であってもその後の復帰が容易にできる。
【0041】
〔第3の実施の形態〕
【0042】
第3の実施の形態について、図9を参照する。図9は、第3の実施の形態に係るモータ駆動部を示す図である。図9に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0043】
この実施の形態のモータ駆動部6Bでは、ステッピングモータ12Bの回転軸14が径大部82と径小部84とを備え、径大部82に回転子46が固定され、径小部84側にリードスクリュー16が固定されている。即ち、リードスクリュー16のネジ山径をa、径大部82の軸径をb、径小部84の軸径をcとすれば、これらの大小関係はb>a>cに設定されている。
【0044】
この場合、第1の実施の形態のステッピングモータ12Aの回転軸14の軸径をdとし、ステッピングモータ12Bの回転軸14の径大部82の軸径b(=d)と同一に設定するものとすれば、b=d>a>cとなる。
【0045】
斯かる構成とすれば、ステッピングモータ12Bの回転軸14の径大部82に発生させた駆動力は、リードスクリュー16に径小部84により伝達されるが、径大部82の軸径bに対し、リードスクリュー16のスクリュー径即ち、ネジ山径aが小さく設定されているので、リードスクリュー16の駆動力(推力)を増大させることができる。即ち、ステッピングモータ12B側を小型化して十分な駆動力を得ることができる。
【0046】
以上述べた第3の実施の形態について、特徴事項、利点等を以下に列挙する。
【0047】
(A) リードスクリュー16のスクリュー径aをステッピングモータ12Bの軸径bより小さくすることで、小型化したモータにおいて、同じトルクでありながらレンズホルダーの推力を大きくすることができる。
【0048】
(B) リードスクリュー16のスクリュー径を小さくすると、慣性負荷を低減させることができ、モータ特性を向上させることができる。
【0049】
(C) リードスクリュー部を転造加工で行えば、シャフトはステンレス、又は真鍮(非磁性材のため)で構成することができ、その場合でも十分な機械的強度が得られる。
【0050】
(D) リードスクリュー部の表面処理としては、耐磨耗性向上のため窒化処理を行えばよい。
【0051】
〔その他の実施の形態〕
【0052】
(1) 上記実施の形態では、レンズ駆動装置について説明したが、本発明のステッピングモータは、レンズ駆動装置以外のノートPCにおける回転駆動源に用いることができ、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
(2) ネジ山を形成するリードスクリュー16の2つの傾斜58A、58Bの傾斜角度α1、α2は同じ角度であってもよいし異なる角度であってもよい。また、ネジ谷を形成するナット18の2つの傾斜60A、60Bの傾斜角度β1、β2は同じ角度であってもよいし異なる角度であってもよい。図10では、傾斜60Aの傾斜角度β1と傾斜60Bの傾斜角度β2の角の大きさを異ならせている。たとえば、傾斜角度β1を57.5[度]、傾斜角度β2を52.5[度]にして谷角度βを70[度]にしている。傾斜58A、58Bの傾斜角度α1、α2を60[度]にして、山角度αを60[度]にしても、ネジ山とネジ谷を点接触させることができ、第一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。ネジ谷の傾斜角度β1、β2のみを異ならせるほか、ネジ山の傾斜角度α1、α2のみを異ならせてもよいし、ネジ山とネジ谷の傾斜角度の両方を異ならせてもよい。尚、傾斜角度はリードスクリュー16の回転の中心線に対する角度とし、山角度αと傾斜角度α1、α2の関係及び谷角度βと傾斜角度β1、β2の関係は、
α+α1+α2=180[度] (1)
β+β1+β2=180[度] (2)
となる。
【0054】
(3) リードスクリュー16の表面に1[μm]以上の大きさの凹凸を付したディンプル構造を形成して、リードスクリュー16の表面の摩擦を小さくするようにしてもよい。表面の凹凸は、微少な丸い金属球(ショット)等の粉体又は粒体を高速でリードスクリュー16に衝突させることで形成することができ、ショットピーニング等の表面加工手段を用いて形成することができる。リードスクリュー16とナット18の間に生じる摩擦力が低下することで、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いが防止される。1[μm]以上の凹凸は加工痕を設けることにより形成してもよく、電着塗装等のコーティングにより形成してもよい。
【0055】
(4) 第2の実施の形態では、ナット18のレンズホルダー対向面70に複数の突部72A〜72Hを設けたが、突部の形成は、ナット18のレンズホルダー対向面70に限らない。たとえば、ナット18に対向して接触するレンズホルダーユニット8の面、即ち、レンズホルダーユニット8のナット当接部11に、突部を設けてもよい。この場合、突部をナット18の突部72A〜72Hと同様の配置にすることができる。レンズホルダーユニット8に突部を設けてもナット18に突部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(5) 第2の実施の形態では、ナット18の表面に複数の突部72A〜72Hを設けたが、図11に示すように、突部92をナット18のネジ穴74の中心RCを中心とする一つの円環として形成してもよい。突部92の先端は、例えば、円筒面形状やアーチ形状にすると、ナット18とレンズホルダーユニット8との接触を、円形状の線接触にすることができる。このような突部92を設けても複数の突部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(6) 突部をナット18又はレンズホルダーユニット8の何れに形成するか並びに突部の個数、形状及び配置は既述の形態に限定されるものではなく、様々な形態に変更してもよい。例えば、突部の先端の形状は、球面形状及又は円筒面形状に代えて先端を平面にしてもよく、この平面の角部に面取り加工を施した形状にしてもよい。斯かる形状としても、ナット18とレンズホルダーユニット8との接触面積を低減でき、噛み合いを防止することができる。また、突部をナット18とレンズホルダーユニット8の双方に形成してもよい。
【0058】
(7) 既述の実施の形態では、リードスクリュー16の全てのネジ山52の山角度αをナット18のネジ谷54の谷角度βと異ならせたがこれに限定されない。たとえば、リードスクリュー16の始端部の近傍部分の角度のみ異ならせて他の部分の角度は同じ角度に設定するようにしてもよい。斯かる構成であってもナット18が始端部(ナット18と立壁部22が接触する位置)において、リードスクリュー16とナット18の接触面積を低下させ、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いを防止することができる。
【0059】
(8) 既述の実施の形態では、レンズホルダーユニット8をストッパー41Aに接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ったが斯かる設定に限定されない。たとえば、リードスクリュー16の端部近傍に配置されている立壁部22にストッパーとしての機能を持たせて、この立壁部22にレンズホルダーユニット8を接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ってもよい。斯かる形態においても既述の効果を得ることができる。
【0060】
(9) 既述の実施の形態では、レンズホルダーユニット8の窓部10とナット当接部11によりナット18をナット保持部9に固定したが斯かる固定に限定されない。たとえば、ナット18の外周でレンズホルダーユニット8にナット18を固定するようにしてもよい。この場合、立壁部22にナット18を接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ってもよい。斯かる形態においても既述の効果を得ることができる。
【0061】
(10) 既述の実施の形態では、ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βが、谷角度β>山角度αになるように設定したが、山角度αと谷角度βは、斯かる関係に限定されない。山角度αと谷角度βの関係は、いずれか一方の角度が他方の角度に対して大きい関係にあればよい。たとえば、ネジ山52の山角度αがネジ谷54の谷角度βより大きくなるようにして、山角度α>谷角度βに設定してもよい。リードスクリューの回転の中心を通る断面において、ネジ山52とネジ谷54を点接触させることができ、リードスクリュー16とナット18の接触は、ら線状の線接触となるので、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくすることができる。また、既述の実施の形態では、谷角度βが山角度αに比べて5%以上大きい角度に設定したが、いずれか一方の角度が他方の角度に対して5%以上大きい関係にあれば好ましく、たとえば、山角度αは、谷角度βに比べて5%以上大きい角度にしても好ましい。山角度αが谷角度βに比べて5%以上大きいと、断面視における点接触を精度良く再現することができる。
【0062】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のレンズ駆動装置は、光ディスク装置等の光ピックアップを駆動するレンズ駆動装置等、回転運動を直線運動に変換する手段として利用され、リードスクリューとナットとのロック状態あるいは空転状態を防止でき、有用である。
【符号の説明】
【0064】
2 レンズ駆動装置
8 レンズホルダーユニット
11 ナット当接部
14 回転軸
16 リードスクリュー
18 ナット
22 立壁部
41A、41B ストッパー
52 ネジ山
54 ネジ谷
58A、58B、60A、60B 傾斜
70 レンズホルダー対向面
72A〜72H 突部
92 突部
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ回転によってレンズホルダーを水平移動又は垂直移動させる等、回転を直線移動に変換してレンズホルダーを駆動するレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置等には媒体の回転やトラッキング制御を行うため、または、球面収差補正のため、回転を直線移動に変換する回転・移動変換装置として、モータ回転によってレンズホルダー等を水平方向に移動させるレンズ駆動装置が用いられている。
【0003】
このレンズ駆動装置に関し、特許文献1には、リードスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転をナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを駆動することが記載され、スクリューの一端部のネジ山径を小さくしてナットとの螺合を緩慢にさせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−072555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ディスク装置等の光ピックアップを駆動するレンズ駆動装置では小型化や軽量化のため、リードスクリューは金属、ナットは合成樹脂で構成される。レンズ駆動装置が電源オフされた後に再立上げのため電源入力されると、先ず、レンズ駆動装置の原点出しとしてレンズホルダーの基準位置設定が行われる。このレンズホルダーを基準位置に設定する際、レンズホルダーがリードスクリューのどのような位置にあっても、先ずモータを回転させ、レンズホルダーに嵌合されたナットを可動範囲最終位置まで移動させてベースの立壁部に衝突させて回転停止位置に停止させた後に、所定数だけモータを逆回転させてナットの位置を戻し、その位置を基準位置とする制御方法が行われている。この場合、ナットが回転停止位置に到達していても、モータから回転力が与えられ、ナットのネジ山とリードスクリューのネジ山がその回転力を受けて噛み込むことにより、その後のモータの逆回転ができなくなる回転制御不能に陥る不都合がある。ナットがモータの近傍にある場合にはナットに過剰な回転力が付与され、その危険性が大である。また、ナットがベースの立壁部に衝突した後に、ナットとリードスクリューが空転して空回りすると、ナットを基準位置まで戻すことができなくなるため、レンズホルダーの基準位置の設定が不可能になる。
【0006】
レンズ駆動装置に用いられるステッピングモータは、ノートPC等に搭載される薄型BDドライブに使用される収差補正用モータと同様に、小型、薄型が要求される。モータが小型化されるに従いトルクも小さくなるが、この問題を解決するには、モータ軸を減速してトルクを稼ぎ推力を得る方法と、モータ軸に取付けるリードスクリューのリード径を小さくすることで、同じトルクでありながら推力を大きくする方法の2つがある。減速した場合はレンズ駆動のスピードが遅くなる問題があるため、リード径を小さくすることで対応すると、径が小さいモータ軸に精度良くネジをきることと、リードスクリューの強度を確保することが要求される。
【0007】
ところで、レンズホルダーの基準位置設定及び制御にあたり、レンズ駆動装置がレンズホルダーの可動端部にセンサーを備え、センサーでレンズホルダーを感知した位置を原点としてレンズホルダーを制御する。ナットのネジ山とリードスクリューのネジ山が噛み合うことを防止できるものの、レンズ駆動装置の構造が複雑になり、センサーを取り付けるための場所を確保する必要がある。また、リードスクリュー端の近傍部分を径小に加工して、リードスクリューとナットとの螺合を緩慢にさせると、リードスクリューとナットとの噛み合いを防止できるものの、リードスクリュー端を精度良く2次研削加工した後、必要に応じて焼き入れする等の2次加工が必要になりスクリューの構造が複雑になる。
【0008】
このような課題について、既述の特許文献1にはその開示や解決手段についての開示や示唆はない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、リードスクリューとナットとの噛み合いや空転を防止し、制御性の良いレンズ駆動装置を提供することにある。
【0010】
本願発明の他の目的は、レンズ駆動装置の構造の簡単化を図ることにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、レンズ駆動装置において、駆動力を増大させるとともに、モータの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のレンズ駆動装置は、モータの回転軸上に取り付けられて回転するスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパーに前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置であって、前記スクリューに形成されたネジ山の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にしている。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0013】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記ネジ山を形成する一方の傾斜が前記ネジ谷の傾斜に点接触するとともに、前記ネジ山を形成する他の傾斜が前記ネジ谷の傾斜から離間させてもよいし、前記谷角度が、前記山角度に比して5%以上大きいか、前記山角度が、前記谷角度に比して5%以上大きくされてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0014】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記ナット及び前記レンズホルダーは、互いに対向する対向面を備え、前記ナットの対向面又は前記レンズホルダーの対向面は、突部を有する構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0015】
本発明のレンズ駆動装置において、好ましくは、前記突部が球面形状を有する構成としてもよい。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0016】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0017】
(1) モータ回転力がリードスクリューに加えられてナットによって回転運動を軸方向の直線運動に変換できるとともに、ナット又はレンズホルダーがリードスクリューのスクリュー端に向け移動してストッパーに接触して停止した場合には、リードスクリューのネジ山の角度とナットのネジ谷の角度の違いによってナットとリードスクリューとの螺合が緩慢になるので、ネジ山とネジ谷の噛み合いを防止できる。
【0018】
(2) ナットとリードスクリューの噛み合いを防止できるので、噛み合いによる磨耗や回転制御不能に陥ることがなく、経年変化による制御性の低下を防止できる。
【0019】
(3) ナットとリードスクリューの噛み合いを防止できることから、レンズホルダーの基準位置の設定が正確に行われるようになり、レンズ駆動装置の動作の信頼性が高められる。
【0020】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置を示す分解斜視図である。
【図3】レンズホルダーユニットとナットの係合を示す図である。
【図4】モータ駆動部を示す断面図である。
【図5】リードスクリューの始端部分を示す図である。
【図6】リードスクリューとナットの螺合状態を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るリードスクリューの始端部分を示す断面図である。
【図8】図8(A)は、ナットの正面図8(B)はナットのVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係るモータ駆動部を示す断面図である。
【図10】リードスクリューとナットの他の螺合状態を示す図である。
【図11】図11(A)は、他のナットの正面図11(B)はナットのXIB−XIB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
【0023】
第1の実施の形態について、図1、図2および図3を参照する。図1は、第1の実施の形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図、図2は、レンズ駆動装置を示す分解斜視図、図3は、レンズホルダーユニットとナットの係合を示す図である。図1、図2及び図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0024】
このレンズ駆動装置2は、図1及び図2に示すように、光ディスク装置に搭載されて球面収差補正のために光ピックアップを駆動する駆動手段であって、ベース4と、モータ駆動部6Aと、レンズホルダーユニット8とを備えている。
【0025】
ベース4は、レンズ駆動装置2の装置フレームの一例であって、図示しない光ディスク装置等の光ピックアップ部に固定される。
【0026】
モータ駆動部6Aは、回転駆動源であって、例えばモータの回転を軸方向の直線移動に変換する手段の一例であって、モータにはステッピングモータ12Aが設置され、このステッピングモータ12Aの回転軸14上に設置されたリードスクリュー16と、このリードスクリュー16に取り付けられたナット18とを備えている。ナット18は、リードスクリュー16に螺合している。ステッピングモータ12Aの回転軸14は軸受フレーム部20にある立壁部22を通して軸受部24で支持されている。
【0027】
レンズホルダーユニット8はナット18を保持してナット18の移動を受けて摺動する摺動体の一例であるとともにレンズ26の保持手段であって、ガイドシャフト28、30に摺動可能に設置されている。レンズホルダーユニット8は、図2及び図3に示すように、ナット保持部9に窓部10とナット当接部11を有し、この窓部10にナット18の外周に形成された突起19が嵌合され、ナット18をナット当接部11に当接することでナット18がナット保持部9に固定される。すなわち、ナットは突起19を介してレンズホルダーユニット8に固定される。レンズ26は、レンズ固定部に固定されている。ガイドシャフト28、30は、レンズホルダーユニット8を回転軸14の軸方向に摺動させるため、リードスクリュー16と平行に設置されている。ベース4には軸固定部32、34、36、38が形成され、軸固定部32、34にガイドシャフト28、軸固定部36、38にガイドシャフト30が支持されている。ガイドシャフト30は、ガイドシャフト28より長く、レンズホルダーユニット8と軸固定部38との間に弾性体として例えば、コイルバネ40が圧縮状態で設置されている。圧縮状態にあるコイルバネ40の復元力Fがレンズホルダーユニット8と軸固定部38との間に付与されて、ナット18とレンズホルダーユニット8とが当接状態に維持される。この場合、復元力Fと同方向に張力を作用させる構成としてもよい。
【0028】
ステッピングモータ12Aが回転すると、回転軸14の回転により、ナット18が回転軸14の軸上を移動する。この場合、レンズホルダーユニット8はナット18の移動に連動して回転軸14の軸方向に移動する。レンズホルダーユニット8の移動範囲は、ベース4に形成されたストッパー41A、41Bにより規制される。このストッパー41A、41Bは、たとえばベース4の内壁を利用して形成する。レンズホルダーユニット8がステッピングモータ12A側に移動し、ストッパー41Aに接触することで、レンズホルダーユニット8の位置設定を行なう。なお、レンズホルダーユニット8の位置設定は、レンズホルダーユニット8をステッピングモータ12Aから離れる方向に移動させ、ストッパー41Bに接触させることで、行なってもよい。
【0029】
次に、モータ駆動部の詳細について、図4、図5及び図6を参照する。図4は、レンズ駆動装置のモータ駆動部を示す断面図、図5は、リードスクリューの始端部分を示す図、図6は、リードスクリューとナットの螺合状態を示す図である。図4〜図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図4〜図6において、図1と同一部分には同一符号を付してある。図4に示す断面は、リードスクリューの回転の中心を通るモータ駆動部の断面である。図6は、リードスクリューとナットの螺合状態をリードスクリューの回転の中心を通る断面で表している。なお、図6では、角度α、βの違いを図において示すため、角度の差を視認できるようにしている。角度α、βの違いは、図6の図示に限定されるものではない。
【0030】
このモータ駆動部6Aに設置されたステッピングモータ12Aは、図4に示すように、外ヨーク42と、内ヨーク44と、回転子46と、回転軸14とを備えている。外ヨーク42は軸受フレーム部20の立壁部22に取り付けられ、内ヨーク44は外ヨーク42に固定されている。回転子46が取り付けられた回転軸14が立壁部22の貫通孔48を貫通させ、対向側の軸受部24に支持されている。
【0031】
この実施の形態では、回転軸14には同径のシャフトが用いられ、軸受部24と立壁部22とに跨がる部分にリードスクリュー16が取り付けられている。このリードスクリュー16は、回転軸14と同様に、ステンレス等の金属で形成され、リードスクリュー16の始端部側は、立壁部22の貫通孔48に挿入され、その中間部まで延長されている。このリードスクリュー16には既述のナット18が螺合されている。
【0032】
リードスクリュー16は外周に複数のネジ山52(図6)を備えている。ナット18は、ナットの内側面に複数のネジ谷54(図6)を備えている。隣り合うネジ山52との間隔及び隣り合うネジ谷54との間隔は、それぞれ等間隔であり、ネジ山52とネジ谷54の間隔を等しくすることにより、ネジ山52とネジ谷54が一対一の対応を以て嵌合可能にしている。
【0033】
図6に示すように、リードスクリュー16の外周に形成された傾斜58A、58Bにより山の角度(山角度)αのネジ山52が形成されている。また、ナット18の内側面に形成された傾斜60A、60Bにより谷の角度(谷角度)βのネジ谷54が形成されている。ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βは、それぞれ鋭角であって、例えば、山角度α=60[度]、谷角度β=65[度]とし、谷角度β>山角度αになるようにしている。山角度αと谷角度βを異ならせることで、リードスクリューの回転の中心を通る断面において、ネジ山52とネジ谷54を接触点Cで点接触させることができる。この場合、リードスクリュー16とナット18の接触は、ら線状の線接触となるので、山角度αと谷角度βが同一角度の場合、即ち、断面視においてネジ山52とネジ谷54が傾斜全体で接触する場合に比べ、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくすることができる。また、谷角度βが山角度αより大きいので、ネジ山52とネジ谷54が嵌合すると、一側方ではネジ山52の傾斜58Aとネジ谷54の傾斜60Aが点接触し、他の側方ではネジ山52の傾斜58Bとネジ谷54の傾斜60Bがナット18の移動方向に距離Lで離間する。即ち、一対の嵌合では、接触が一点になり、ネジ山52とネジ谷54の接触が抑制される。谷角度βは、山角度αに比べて5%以上大きい角度にすることが好ましい。谷角度βが山角度αに比べて5%以上大きいと、断面視における点接触を精度良く再現することができる。なお、谷角度βと山角度αの角度差の上限は、ネジ山とネジ谷の離間距離Lが、レンズホルダーの位置精度の範囲内となるようにすれば良く、特に限定されない。
【0034】
斯かる構成とすれば、ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βが異なり、β>αであるので、ステッピングモータ12Aを所定回転させてレンズホルダーユニット8をストッパー41Aの位置に到達させ、接触させた際に、図6に示すように、断面視において、ネジ山とネジ谷が点接触となり、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくできる。これにより、ネジ山52とネジ谷54の噛み合いが防止される。このため、両者のロック状態を防止でき、リードスクリュー16を所定回転させることにより、ストッパー41Aに当接したレンズホルダーユニット8を所定の基準位置に移動させることができる。ステッピングモータ12Aは入力したパルス数に応じた回転移動を行うため、レンズホルダーユニット8をストッパー41Aに衝突させてから、所定のパルスを入力して基準位置に移動させる原点出しの制御が容易に行えるため、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いが防止されることにより、ナット18を所定の基準位置に正確に移動させることができるようになる。
【0035】
また、ネジ山52は、山角度αのネジ山を形成するように調整された雄ねじ切り(ダイス)を用いてリードスクリュー16にネジ山を切ることで得られ、ネジ谷54は、谷角度βのネジ谷を形成するように調整された雌ねじ切り(タップ)を用いてナット18にネジ谷を切ることで得られる。なお、ナット18を樹脂で構成する場合はネジ谷54を金型成形にて形成することもできる。雄ねじ切り及び雌ねじ切りの調整や金型成形により角度を異ならせるといった、簡便な方法で角度を異ならせることができ、レンズ駆動装置2、リードスクリュー16及びナット18の構成も簡単である。また、2次加工によりネジ山52やネジ谷54に再加工を施す必要がない。その結果、装置の価格を抑え、かつ信頼性を向上させることができる。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
【0037】
次に、第2の実施の形態について、図7及び図8を参照する。図7は、第2の実施の形態に係るリードスクリューの始端部分を示す断面図、図8(A)は、ナットの正面図、図8(B)はナットのVIIIB−VIIIB線断面図である。図7及び図8に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図7及び図8において、図1及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0038】
第2の実施の形態では、レンズホルダーユニット8に対向して接触するナット18の面、すなわちナット18のレンズホルダー対向面70に、先端が球面形状を有している突部72A〜72Hを設けている。そして、ナット18とレンズホルダーユニット8を点接触させている。レンズホルダーユニット8とストッパー41Aが接触して、ナット18とレンズホルダーユニット8がリードスクリュー16から立壁部22向きの駆動力DFを受けた状態で停止した際に、ナット18とレンズホルダーユニット8の間で噛み合うことを防止している。図8(A)に示すように複数の突部72A〜72Hは、ナット18のネジ穴74の中心RCから同一距離に配置され、ネジ穴74の中心RCを中心とする周上に均等に配置する。また、複数の突部72A〜72Hでは、図8(B)に示すように、突起の高さが同じ高さHに設定してあり、突部72A〜72Hの最高点が一平面上になるようにしてある。
【0039】
その他の構成については第一の実施の形態と同様であり、その説明を省略する。
【0040】
このような構成によれば、第1の実施の形態で既述の利点の他、レンズホルダーユニット8とストッパー41Aとが接触した際、荷重に偏りが発生することが防止され、レンズホルダーユニット8の位置精度を向上させることができる。また、レンズホルダーユニット8には、コイルバネ40による復元力Fが作用して、レンズホルダーユニット8がナット18側に押し付けられて接触状態となる。突部72A〜72Hを介してレンズホルダーユニット8とナット18を接触させることで、リードスクリュー16の回転の勢いによりレンズホルダーユニット8とストッパー41Aが勢いよく接触した場合であってもその後の復帰が容易にできる。
【0041】
〔第3の実施の形態〕
【0042】
第3の実施の形態について、図9を参照する。図9は、第3の実施の形態に係るモータ駆動部を示す図である。図9に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0043】
この実施の形態のモータ駆動部6Bでは、ステッピングモータ12Bの回転軸14が径大部82と径小部84とを備え、径大部82に回転子46が固定され、径小部84側にリードスクリュー16が固定されている。即ち、リードスクリュー16のネジ山径をa、径大部82の軸径をb、径小部84の軸径をcとすれば、これらの大小関係はb>a>cに設定されている。
【0044】
この場合、第1の実施の形態のステッピングモータ12Aの回転軸14の軸径をdとし、ステッピングモータ12Bの回転軸14の径大部82の軸径b(=d)と同一に設定するものとすれば、b=d>a>cとなる。
【0045】
斯かる構成とすれば、ステッピングモータ12Bの回転軸14の径大部82に発生させた駆動力は、リードスクリュー16に径小部84により伝達されるが、径大部82の軸径bに対し、リードスクリュー16のスクリュー径即ち、ネジ山径aが小さく設定されているので、リードスクリュー16の駆動力(推力)を増大させることができる。即ち、ステッピングモータ12B側を小型化して十分な駆動力を得ることができる。
【0046】
以上述べた第3の実施の形態について、特徴事項、利点等を以下に列挙する。
【0047】
(A) リードスクリュー16のスクリュー径aをステッピングモータ12Bの軸径bより小さくすることで、小型化したモータにおいて、同じトルクでありながらレンズホルダーの推力を大きくすることができる。
【0048】
(B) リードスクリュー16のスクリュー径を小さくすると、慣性負荷を低減させることができ、モータ特性を向上させることができる。
【0049】
(C) リードスクリュー部を転造加工で行えば、シャフトはステンレス、又は真鍮(非磁性材のため)で構成することができ、その場合でも十分な機械的強度が得られる。
【0050】
(D) リードスクリュー部の表面処理としては、耐磨耗性向上のため窒化処理を行えばよい。
【0051】
〔その他の実施の形態〕
【0052】
(1) 上記実施の形態では、レンズ駆動装置について説明したが、本発明のステッピングモータは、レンズ駆動装置以外のノートPCにおける回転駆動源に用いることができ、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
(2) ネジ山を形成するリードスクリュー16の2つの傾斜58A、58Bの傾斜角度α1、α2は同じ角度であってもよいし異なる角度であってもよい。また、ネジ谷を形成するナット18の2つの傾斜60A、60Bの傾斜角度β1、β2は同じ角度であってもよいし異なる角度であってもよい。図10では、傾斜60Aの傾斜角度β1と傾斜60Bの傾斜角度β2の角の大きさを異ならせている。たとえば、傾斜角度β1を57.5[度]、傾斜角度β2を52.5[度]にして谷角度βを70[度]にしている。傾斜58A、58Bの傾斜角度α1、α2を60[度]にして、山角度αを60[度]にしても、ネジ山とネジ谷を点接触させることができ、第一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。ネジ谷の傾斜角度β1、β2のみを異ならせるほか、ネジ山の傾斜角度α1、α2のみを異ならせてもよいし、ネジ山とネジ谷の傾斜角度の両方を異ならせてもよい。尚、傾斜角度はリードスクリュー16の回転の中心線に対する角度とし、山角度αと傾斜角度α1、α2の関係及び谷角度βと傾斜角度β1、β2の関係は、
α+α1+α2=180[度] (1)
β+β1+β2=180[度] (2)
となる。
【0054】
(3) リードスクリュー16の表面に1[μm]以上の大きさの凹凸を付したディンプル構造を形成して、リードスクリュー16の表面の摩擦を小さくするようにしてもよい。表面の凹凸は、微少な丸い金属球(ショット)等の粉体又は粒体を高速でリードスクリュー16に衝突させることで形成することができ、ショットピーニング等の表面加工手段を用いて形成することができる。リードスクリュー16とナット18の間に生じる摩擦力が低下することで、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いが防止される。1[μm]以上の凹凸は加工痕を設けることにより形成してもよく、電着塗装等のコーティングにより形成してもよい。
【0055】
(4) 第2の実施の形態では、ナット18のレンズホルダー対向面70に複数の突部72A〜72Hを設けたが、突部の形成は、ナット18のレンズホルダー対向面70に限らない。たとえば、ナット18に対向して接触するレンズホルダーユニット8の面、即ち、レンズホルダーユニット8のナット当接部11に、突部を設けてもよい。この場合、突部をナット18の突部72A〜72Hと同様の配置にすることができる。レンズホルダーユニット8に突部を設けてもナット18に突部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(5) 第2の実施の形態では、ナット18の表面に複数の突部72A〜72Hを設けたが、図11に示すように、突部92をナット18のネジ穴74の中心RCを中心とする一つの円環として形成してもよい。突部92の先端は、例えば、円筒面形状やアーチ形状にすると、ナット18とレンズホルダーユニット8との接触を、円形状の線接触にすることができる。このような突部92を設けても複数の突部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(6) 突部をナット18又はレンズホルダーユニット8の何れに形成するか並びに突部の個数、形状及び配置は既述の形態に限定されるものではなく、様々な形態に変更してもよい。例えば、突部の先端の形状は、球面形状及又は円筒面形状に代えて先端を平面にしてもよく、この平面の角部に面取り加工を施した形状にしてもよい。斯かる形状としても、ナット18とレンズホルダーユニット8との接触面積を低減でき、噛み合いを防止することができる。また、突部をナット18とレンズホルダーユニット8の双方に形成してもよい。
【0058】
(7) 既述の実施の形態では、リードスクリュー16の全てのネジ山52の山角度αをナット18のネジ谷54の谷角度βと異ならせたがこれに限定されない。たとえば、リードスクリュー16の始端部の近傍部分の角度のみ異ならせて他の部分の角度は同じ角度に設定するようにしてもよい。斯かる構成であってもナット18が始端部(ナット18と立壁部22が接触する位置)において、リードスクリュー16とナット18の接触面積を低下させ、ナット18とリードスクリュー16の噛み合いを防止することができる。
【0059】
(8) 既述の実施の形態では、レンズホルダーユニット8をストッパー41Aに接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ったが斯かる設定に限定されない。たとえば、リードスクリュー16の端部近傍に配置されている立壁部22にストッパーとしての機能を持たせて、この立壁部22にレンズホルダーユニット8を接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ってもよい。斯かる形態においても既述の効果を得ることができる。
【0060】
(9) 既述の実施の形態では、レンズホルダーユニット8の窓部10とナット当接部11によりナット18をナット保持部9に固定したが斯かる固定に限定されない。たとえば、ナット18の外周でレンズホルダーユニット8にナット18を固定するようにしてもよい。この場合、立壁部22にナット18を接触させてレンズホルダーユニット8及びナット18を停止させて、レンズホルダーユニット8の位置設定を行ってもよい。斯かる形態においても既述の効果を得ることができる。
【0061】
(10) 既述の実施の形態では、ネジ山52の山角度αとネジ谷54の谷角度βが、谷角度β>山角度αになるように設定したが、山角度αと谷角度βは、斯かる関係に限定されない。山角度αと谷角度βの関係は、いずれか一方の角度が他方の角度に対して大きい関係にあればよい。たとえば、ネジ山52の山角度αがネジ谷54の谷角度βより大きくなるようにして、山角度α>谷角度βに設定してもよい。リードスクリューの回転の中心を通る断面において、ネジ山52とネジ谷54を点接触させることができ、リードスクリュー16とナット18の接触は、ら線状の線接触となるので、リードスクリュー16とナット18の接触を少なくすることができる。また、既述の実施の形態では、谷角度βが山角度αに比べて5%以上大きい角度に設定したが、いずれか一方の角度が他方の角度に対して5%以上大きい関係にあれば好ましく、たとえば、山角度αは、谷角度βに比べて5%以上大きい角度にしても好ましい。山角度αが谷角度βに比べて5%以上大きいと、断面視における点接触を精度良く再現することができる。
【0062】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のレンズ駆動装置は、光ディスク装置等の光ピックアップを駆動するレンズ駆動装置等、回転運動を直線運動に変換する手段として利用され、リードスクリューとナットとのロック状態あるいは空転状態を防止でき、有用である。
【符号の説明】
【0064】
2 レンズ駆動装置
8 レンズホルダーユニット
11 ナット当接部
14 回転軸
16 リードスクリュー
18 ナット
22 立壁部
41A、41B ストッパー
52 ネジ山
54 ネジ谷
58A、58B、60A、60B 傾斜
70 レンズホルダー対向面
72A〜72H 突部
92 突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転軸上に取り付けられて回転するスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパーに前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置であって、
前記スクリューに形成されたネジ山の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にしたことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
請求項1のレンズ駆動装置において、
前記ネジ山を形成する一方の傾斜が前記ネジ谷の傾斜に点接触するとともに、前記ネジ山を形成する他の傾斜が前記ネジ谷の傾斜から離間することを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2のレンズ駆動装置において、
前記谷角度が、前記山角度に比して5%以上大きい、または前記山角度が、前記谷角度に比して5%以上大きいことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のレンズ駆動装置において、
前記ナット及び前記レンズホルダーは、互いに対向する対向面を備え、前記ナットの対向面又は前記レンズホルダーの対向面は、突部を有することを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項4のレンズ駆動装置において、
前記突部が球面形状を有することを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項1】
モータの回転軸上に取り付けられて回転するスクリューにナットを螺合させ、スクリュー回転を前記ナットで軸方向移動に変換することにより、レンズホルダーを移動させ、前記レンズホルダー又は前記ナットの移動端に配置されたストッパーに前記レンズホルダー又は前記ナットを接触させることにより、前記レンズホルダーの位置を設定するレンズ駆動装置であって、
前記スクリューに形成されたネジ山の山角度を前記ナットに形成されたネジ谷の谷角度とは異ならせて、前記スクリューと前記ナットとの螺合を緩慢にしたことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
請求項1のレンズ駆動装置において、
前記ネジ山を形成する一方の傾斜が前記ネジ谷の傾斜に点接触するとともに、前記ネジ山を形成する他の傾斜が前記ネジ谷の傾斜から離間することを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2のレンズ駆動装置において、
前記谷角度が、前記山角度に比して5%以上大きい、または前記山角度が、前記谷角度に比して5%以上大きいことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のレンズ駆動装置において、
前記ナット及び前記レンズホルダーは、互いに対向する対向面を備え、前記ナットの対向面又は前記レンズホルダーの対向面は、突部を有することを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項5】
請求項4のレンズ駆動装置において、
前記突部が球面形状を有することを特徴とするレンズ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−83729(P2013−83729A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222291(P2011−222291)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)
【Fターム(参考)】
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