レンチ体
【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的なレンチ体を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として有するものである。
【解決手段】複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチ体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図11に図示したように六角形状の角穴35a付きボルト35を回動するためのレンチ体として、例えば特開平7−237140号に開示されるように六つの平坦面32が角縁33を介して連設されることで周面が形成される断面六角形状の棒状体31を平坦面32を介してL字状にしたレンチ体(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−237140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来例は、棒状体31をL字状に屈曲形成する際、該棒状体31の一の平坦面32が屈曲内面となるように屈曲形成している。これは、図12に図示したように対向する角縁33が回動操作方向Rを向く状態とすることで、回動操作方向Rに対する断面積を大きくして強い回動トルクを得るための構成である。
【0005】
しかしながら、従来例のこの構成は、必然的に指で摘んで角穴35a付きボルトの角穴35aに嵌入しようとする際、対向する角縁33を指で摘むことになるため安定せず、よって、ふらついて角穴35aに嵌入しにくく(図11参照)、しかも、特に強い力を加えて回動操作しようとする際には摘む指が痛くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するもので、従来にない作用効果を発揮する画期的なレンチ体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0009】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0010】
また、請求項2記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0011】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0012】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0013】
また、請求項4,5いずれか1項に記載のレンチ体において、前記端部寄りは前記棒状部3を回動操作する為に指で摘む部位であることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0015】
また、請求項4〜7いずれか1項に記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は、前記棒状部3をねじり加工して形成される面であることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜8いずれか1項に記載のレンチ体において、前記棒状体1として断面六角形状の棒状体1を採用し、回動操作方向Rに対して直交する面を前記回動操作の際、左右両側に位置せしめたことを特徴とするレンチ体に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、前述した従来例と異なり、角穴付きボルトを良好に回動させることができるなど極めて商品価値の高い画期的なレンチ体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
角穴5a付きボルト5を回動する際、例えば一方の棒状部3の平坦面6を指で摘んだ状態で他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入し、この平坦面6を指で摘んだ状態のまま回動操作することで角穴5a付きボルト5を回動させる。
【0020】
平坦面6を指で摘んだ安定した状態で角穴5a付きボルト5の角穴5aへの嵌入が行えることになる為、当該角穴5aへの嵌入が簡易且つ迅速に行えることになり、作業性が飛躍的に向上することになり、しかも、回動操作の際には摘んだ指が痛くならず良好な回動操作が行えることになる。
【実施例1】
【0021】
本発明の具体的な実施例1について図1〜6に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、六角形状の角穴5a付きボルト5を回動せしめるものである。
【0023】
具体的には、図1に図示したように六つの平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面六角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたものであり、屈曲部2の一側の棒状部3(長尺部)の端部にはボールポイント部8が形成され、屈曲部2の他側の棒状部4(短尺部)の端部は先端が平坦面となる角棒状の角穴嵌入部9として構成されている。
【0024】
尚、棒状体1の断面形状は本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0025】
本実施例では、前述した角穴嵌入部9を有する棒状部4の長さを通常よりも長い長さ(棒状部3の長さの三分の一以上の長さ)に設定している。これは、例えば角穴5a付きボルト5が通常の長さでは届かない位置で回動させようとする際などに有効となる。尚、棒状部4の長さは棒状部3の長さの三分の一乃至同一の長さに設定するものである。
【0026】
また、本実施例は、屈曲部2の一側の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で2つ前記平坦面6として構成している。
【0027】
具体的には、図1,2に図示したように回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されている。
【0028】
従って、棒状体1の一の角縁7が屈曲内面の中心に位置する状態で棒状体1がL字状に屈曲形成されている。
【0029】
この屈曲形成方法としては、図4に図示したように上面に凹部11aを有する受け体11と、この受け体11の凹部11aに接離移動する押圧体12とから成るプレス成型装置を用いて行い、この受け体11の凹部11aと押圧体12夫々の底面形状は、縦断面形状及び横断面形状ともにV字状に設定されている。
【0030】
図5に図示したように受け体11の凹部11aの上方に棒状体1を配するとともに、該棒状体1の上部に押圧体12を当接し、続いて、図6に図示したように押圧体12を更に下方に押し込むと棒状体1は該棒状体1の一の角縁7が屈曲内面の中心に位置するようにL字状に屈曲形成される(この屈曲する部位は加熱して柔軟にせしめられている。)。
【0031】
このようにして形成されたものは、棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させた際、棒状部3の対向する平坦面6が回動操作方向Rに対して直交する面となる。
【0032】
本実施例は上述のように構成したから、図3に図示したように角穴5a付きボルト5を回動する際、棒状部3の平坦面6を指で摘んだ状態で棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入し、この平坦面6を指で摘んだ状態のまま回動操作することで角穴5a付きボルト5を回動させる。
【0033】
よって、本実施例によれば、平坦面6を指で摘んだ安定した状態で角穴5a付きボルト5の角穴5aへの嵌入が行えることになる為(これは、特に角穴嵌入部9を有する棒状部4の長さを通常よりも長くすることで重量が重くなる場合に有効と言える。)、当該角穴5aへの嵌入が簡易且つ迅速に行えることになり、作業性が飛躍的に向上することになり、しかも、回動操作の際には摘んだ指が痛くならず良好な回動操作が行えることになる。
【実施例2】
【0034】
本発明の具体的な実施例2について図7〜10に基づいて説明する。
【0035】
本実施例は、屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として端部寄りに有するものである。
【0036】
具体的には、本実施例は、棒状部3の前後部位を挟持する挟持体13,14から成るねじり加工装置を用いて行い、この挟持体13,14夫々を構成する一対の挟持部材13a,14a夫々の内面には断面V字状の凹溝が形成されている。
【0037】
図9に図示したように挟持体13,14夫々で棒状体1の前後部位を挟持し、続いて、図10に図示したように一方の挟持体13を固定した状態のまま他方の挟持体14を30度軸回動させることでねじり加工を行う。
【0038】
このようにして形成されたものは、図7に図示したように棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させた際、棒状部3の端部寄り(グリップとなる部位)における対向する平坦面6が回動操作方向Rに対して直交する面となる。この端部寄りは棒状部3を回動操作する為に指で摘む部位であり、回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されている。
【0039】
本実施例は、径の小さいサイズのレンチ体(径が4mm以下のレンチ体)においては特に有効である。
【0040】
即ち、実施例1における強い回動トルクを具備する、摘んだ指が痛くないなどの作用効果を得るべく、実施例1を径の小さいサイズのレンチ体に適用すると、強い回動トルクが得られない恐れがある。そこで、径の小さいレンチ体の場合は、この問題点を解決し且つ実施例1の利点を生かす為、端部寄りの部位だけをひねり加工することで回動操作方向Rに対して直交する面を得ている。
【0041】
本発明者は、4mm以上のサイズのものであれば実施例1の構成でも十分な回動トルクが得られることを確認している。
【0042】
その余は実施例1と同様のものである。
【0043】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施例1の使用状態説明図である。
【図4】実施例1の製造方法の説明図である。
【図5】実施例1の製造方法の説明図である。
【図6】実施例1の製造方法の説明図である。
【図7】実施例2を示す斜視図である。
【図8】実施例2の製造方法の説明図である。
【図9】実施例2の製造方法の説明図である。
【図10】実施例2の製造方法の説明図である。
【図11】従来例の使用状態説明図である。
【図12】図11のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0045】
R 回動操作方向
1 棒状体
2 屈曲部
3 棒状部
4 棒状部
5 角穴付きボルト
5a 角穴
6 平坦面
7 角縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチ体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図11に図示したように六角形状の角穴35a付きボルト35を回動するためのレンチ体として、例えば特開平7−237140号に開示されるように六つの平坦面32が角縁33を介して連設されることで周面が形成される断面六角形状の棒状体31を平坦面32を介してL字状にしたレンチ体(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−237140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来例は、棒状体31をL字状に屈曲形成する際、該棒状体31の一の平坦面32が屈曲内面となるように屈曲形成している。これは、図12に図示したように対向する角縁33が回動操作方向Rを向く状態とすることで、回動操作方向Rに対する断面積を大きくして強い回動トルクを得るための構成である。
【0005】
しかしながら、従来例のこの構成は、必然的に指で摘んで角穴35a付きボルトの角穴35aに嵌入しようとする際、対向する角縁33を指で摘むことになるため安定せず、よって、ふらついて角穴35aに嵌入しにくく(図11参照)、しかも、特に強い力を加えて回動操作しようとする際には摘む指が痛くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するもので、従来にない作用効果を発揮する画期的なレンチ体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0009】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0010】
また、請求項2記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0011】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面6として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0012】
また、複数の平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0013】
また、請求項4,5いずれか1項に記載のレンチ体において、前記端部寄りは前記棒状部3を回動操作する為に指で摘む部位であることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0015】
また、請求項4〜7いずれか1項に記載のレンチ体において、前記回動操作方向Rに対して直交する面は、前記棒状部3をねじり加工して形成される面であることを特徴とするレンチ体に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜8いずれか1項に記載のレンチ体において、前記棒状体1として断面六角形状の棒状体1を採用し、回動操作方向Rに対して直交する面を前記回動操作の際、左右両側に位置せしめたことを特徴とするレンチ体に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、前述した従来例と異なり、角穴付きボルトを良好に回動させることができるなど極めて商品価値の高い画期的なレンチ体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
角穴5a付きボルト5を回動する際、例えば一方の棒状部3の平坦面6を指で摘んだ状態で他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入し、この平坦面6を指で摘んだ状態のまま回動操作することで角穴5a付きボルト5を回動させる。
【0020】
平坦面6を指で摘んだ安定した状態で角穴5a付きボルト5の角穴5aへの嵌入が行えることになる為、当該角穴5aへの嵌入が簡易且つ迅速に行えることになり、作業性が飛躍的に向上することになり、しかも、回動操作の際には摘んだ指が痛くならず良好な回動操作が行えることになる。
【実施例1】
【0021】
本発明の具体的な実施例1について図1〜6に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、六角形状の角穴5a付きボルト5を回動せしめるものである。
【0023】
具体的には、図1に図示したように六つの平坦面6が角縁7を介して連設されることで周面が形成される断面六角形状の棒状体1を屈曲部2を介してL字状にしたものであり、屈曲部2の一側の棒状部3(長尺部)の端部にはボールポイント部8が形成され、屈曲部2の他側の棒状部4(短尺部)の端部は先端が平坦面となる角棒状の角穴嵌入部9として構成されている。
【0024】
尚、棒状体1の断面形状は本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0025】
本実施例では、前述した角穴嵌入部9を有する棒状部4の長さを通常よりも長い長さ(棒状部3の長さの三分の一以上の長さ)に設定している。これは、例えば角穴5a付きボルト5が通常の長さでは届かない位置で回動させようとする際などに有効となる。尚、棒状部4の長さは棒状部3の長さの三分の一乃至同一の長さに設定するものである。
【0026】
また、本実施例は、屈曲部2の一側の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で2つ前記平坦面6として構成している。
【0027】
具体的には、図1,2に図示したように回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されている。
【0028】
従って、棒状体1の一の角縁7が屈曲内面の中心に位置する状態で棒状体1がL字状に屈曲形成されている。
【0029】
この屈曲形成方法としては、図4に図示したように上面に凹部11aを有する受け体11と、この受け体11の凹部11aに接離移動する押圧体12とから成るプレス成型装置を用いて行い、この受け体11の凹部11aと押圧体12夫々の底面形状は、縦断面形状及び横断面形状ともにV字状に設定されている。
【0030】
図5に図示したように受け体11の凹部11aの上方に棒状体1を配するとともに、該棒状体1の上部に押圧体12を当接し、続いて、図6に図示したように押圧体12を更に下方に押し込むと棒状体1は該棒状体1の一の角縁7が屈曲内面の中心に位置するようにL字状に屈曲形成される(この屈曲する部位は加熱して柔軟にせしめられている。)。
【0031】
このようにして形成されたものは、棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させた際、棒状部3の対向する平坦面6が回動操作方向Rに対して直交する面となる。
【0032】
本実施例は上述のように構成したから、図3に図示したように角穴5a付きボルト5を回動する際、棒状部3の平坦面6を指で摘んだ状態で棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入し、この平坦面6を指で摘んだ状態のまま回動操作することで角穴5a付きボルト5を回動させる。
【0033】
よって、本実施例によれば、平坦面6を指で摘んだ安定した状態で角穴5a付きボルト5の角穴5aへの嵌入が行えることになる為(これは、特に角穴嵌入部9を有する棒状部4の長さを通常よりも長くすることで重量が重くなる場合に有効と言える。)、当該角穴5aへの嵌入が簡易且つ迅速に行えることになり、作業性が飛躍的に向上することになり、しかも、回動操作の際には摘んだ指が痛くならず良好な回動操作が行えることになる。
【実施例2】
【0034】
本発明の具体的な実施例2について図7〜10に基づいて説明する。
【0035】
本実施例は、屈曲部2の一側の棒状部3若しくは他側の棒状部4の少なくとも一方の棒状部3は、他方の棒状部4を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させて回動操作する際の回動操作方向Rに対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面6として端部寄りに有するものである。
【0036】
具体的には、本実施例は、棒状部3の前後部位を挟持する挟持体13,14から成るねじり加工装置を用いて行い、この挟持体13,14夫々を構成する一対の挟持部材13a,14a夫々の内面には断面V字状の凹溝が形成されている。
【0037】
図9に図示したように挟持体13,14夫々で棒状体1の前後部位を挟持し、続いて、図10に図示したように一方の挟持体13を固定した状態のまま他方の挟持体14を30度軸回動させることでねじり加工を行う。
【0038】
このようにして形成されたものは、図7に図示したように棒状部4の角穴嵌入部9を角穴5a付きボルト5の角穴5aに嵌入させた際、棒状部3の端部寄り(グリップとなる部位)における対向する平坦面6が回動操作方向Rに対して直交する面となる。この端部寄りは棒状部3を回動操作する為に指で摘む部位であり、回動操作方向Rに対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されている。
【0039】
本実施例は、径の小さいサイズのレンチ体(径が4mm以下のレンチ体)においては特に有効である。
【0040】
即ち、実施例1における強い回動トルクを具備する、摘んだ指が痛くないなどの作用効果を得るべく、実施例1を径の小さいサイズのレンチ体に適用すると、強い回動トルクが得られない恐れがある。そこで、径の小さいレンチ体の場合は、この問題点を解決し且つ実施例1の利点を生かす為、端部寄りの部位だけをひねり加工することで回動操作方向Rに対して直交する面を得ている。
【0041】
本発明者は、4mm以上のサイズのものであれば実施例1の構成でも十分な回動トルクが得られることを確認している。
【0042】
その余は実施例1と同様のものである。
【0043】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施例1の使用状態説明図である。
【図4】実施例1の製造方法の説明図である。
【図5】実施例1の製造方法の説明図である。
【図6】実施例1の製造方法の説明図である。
【図7】実施例2を示す斜視図である。
【図8】実施例2の製造方法の説明図である。
【図9】実施例2の製造方法の説明図である。
【図10】実施例2の製造方法の説明図である。
【図11】従来例の使用状態説明図である。
【図12】図11のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0045】
R 回動操作方向
1 棒状体
2 屈曲部
3 棒状部
4 棒状部
5 角穴付きボルト
5a 角穴
6 平坦面
7 角縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面として有することを特徴とするレンチ体。
【請求項2】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面として有することを特徴とするレンチ体。
【請求項3】
請求項2記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体。
【請求項4】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体。
【請求項5】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体。
【請求項6】
請求項4,5いずれか1項に記載のレンチ体において、前記端部寄りは前記棒状部を回動操作する為に指で摘む部位であることを特徴とするレンチ体。
【請求項7】
請求項5記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体。
【請求項8】
請求項4〜7いずれか1項に記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は、前記棒状部をねじり加工して形成される面であることを特徴とするレンチ体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載のレンチ体において、前記棒状体として断面六角形状の棒状体を採用し、回動操作方向に対して直交する面を前記回動操作の際、左右両側に位置せしめたことを特徴とするレンチ体。
【請求項1】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面として有することを特徴とするレンチ体。
【請求項2】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面として有することを特徴とするレンチ体。
【請求項3】
請求項2記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体。
【請求項4】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を少なくとも1つ前記平坦面として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体。
【請求項5】
複数の平坦面が角縁を介して連設されることで周面が形成される断面多角形状の棒状体を屈曲部を介してL字状にしたレンチ体であって、前記屈曲部の一側の棒状部若しくは他側の棒状部の少なくとも一方の棒状部は、他方の棒状部を角穴付きボルトの角穴に嵌入させて回動操作する際の回動操作方向に対して直交する面を対向状態で少なくとも2つ前記平坦面として端部寄りに有することを特徴とするレンチ体。
【請求項6】
請求項4,5いずれか1項に記載のレンチ体において、前記端部寄りは前記棒状部を回動操作する為に指で摘む部位であることを特徴とするレンチ体。
【請求項7】
請求項5記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は前記回動操作の際、指が当接する左右両側に位置するように構成されていることを特徴とするレンチ体。
【請求項8】
請求項4〜7いずれか1項に記載のレンチ体において、前記回動操作方向に対して直交する面は、前記棒状部をねじり加工して形成される面であることを特徴とするレンチ体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載のレンチ体において、前記棒状体として断面六角形状の棒状体を採用し、回動操作方向に対して直交する面を前記回動操作の際、左右両側に位置せしめたことを特徴とするレンチ体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−272890(P2008−272890A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120221(P2007−120221)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(592116132)株式会社若穂囲製作所 (3)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(592116132)株式会社若穂囲製作所 (3)
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