説明

レーザー印刷方法用の記録材料

合成樹脂で両側をコーティングされる原紙と、トナー受容層とを含む、電子写真方法用の記録材料であって、
合成樹脂コーティングされた前記紙が、1.5〜13μmの粗さ値Rz及び0.05〜2μmの平均粗さ指数Raにより表される特定の表面トポグラフィーを有していること、前記トナー受容層が、トナー受容エチレンアクリル酸コポリマー(A)と、カルボキシル化されたアクリル酸エステルコポリマー(B)と、ポリマー(C)とからなるポリマーの組み合わせを含むこと、並びに、前記ポリマー(C)が、5〜20μmの平均粒径d50%と、コポリマー(A)の融解範囲よりも高くコポリマー(B)の融解範囲よりも低い融点とを有することを特徴とする、前記記録材料。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、樹脂コーティングされた紙基板と、トナー受容層とを有する、電子写真記録方法(特に、レーザー印刷方法)用の記録材料、並びに、フォトブックの製造用の前記記録材料の使用に関する。
【0002】
電子写真の原理は、レーザープリンターの基礎を形成する。電子写真は、原文書の視像を使用して、光導電体をイメージング又は照射することにより、電荷からなる潜像を作成するものであって、前記潜像は、この後、例えば紙上にトナーを選択的に付与し(現像)、そして、原文書の画像を作成する(複写)のに使用される。電子写真は、直接と間接とで、並びに、湿式と乾式とで区別される。湿式方法は、現像液として、比誘電率をほとんど有さない脂肪族溶剤及びトナーからなる懸濁液を使用するのに対して、乾式方法は粉末を使用する。
【0003】
指向性レーザービーム及び回転鏡により、所望のページの画像が、感光イメージシリンダー上に描かれる。前記シリンダーは最初に負に帯電させられ、ここで、電荷はレーザービームが出る場所で反転させられる。前記シリンダー上の放電部分の形状は、その後のプリントアウトに相当する。負帯電したトナー(これは、イメージシリンダー上の放電された部分に張り付く)を有するローラーを介して、トナーをシリンダーへ供給する。次に、紙がイメージシリンダー上に導入される。紙は、シリンダーを軽くかすめて通過する。ポテンシャル場は、紙の後ろで集められる。トナーを、紙上に転送して、初めにそこへ放つ。次に、トナーを熱ローラーによって圧力下に融解する。シリンダーを放電して、過剰トナーを回収する。
【0004】
レーザープリンターにより作成される画像は、写真に匹敵できる品質を得ることが好ましい。この目的により近づくためには、電子写真により作成される画像を、一般的な銀塩写真の触覚及び外観を有する基板上に作成する。このためには、種々の特性(例えば、光沢、剛性、及び不透明度)、高解像度、高画像鮮明度、並びに、良好な耐光性が必要とされる。
【0005】
DE4435350C2では、電子写真用の受像材料を開示している。前記受像材料は、熱可塑性物質でコーティングされるベース紙と、トナー受容層と、帯電防止裏側層とを含む。この材料の欠点は、片面のみ印刷可能であること、及び、プリンター内のトナー融解及びトナー挙動に関する改良が必要なことである。
【0006】
記録材料において、基板として使用される樹脂コーティングされたベース紙は、通常、サイジングされた原紙(これは、(共)押し出しによって両側上がポリオレフィンでコーティングされたものが好ましい)からなる。熱可塑性ポリマー(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン/α−オレフィンコポリマー(いわゆる、直鎖状低密度ポリエチレン;LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン)は、通常、原紙を押し出しコーティングするために使用される。
【0007】
トナーで印刷される記録紙が印刷後に直接カバーされる場合には、好ましくないことに、上にある材料の裏側へトナー粒子が移転することが生じる。実際には、例えば、新たな印刷物をプラスチックフィルム包装中又はアルバム中で保存する際、あるいは、プリンター内において複数の印刷物を積み重ねる際に、印刷された紙はカバーされる。
【0008】
個々に作成されることができるいわゆるフォトブックは、画像形成の分野において、良い売れ行きを見出す最近の進展に属する。豊富な選択の範囲の印刷技術と、この目的のために使用される記録材料(特に、写真紙)とを、前記フォトブックの作成に利用することができる。
【0009】
写真乳剤でコーティングされる写真ベース紙を、前記フォトブックの製造に使用する。この場合に、前記写真ベース紙の表側では、従来の銀塩方法により画像が湿式化学的に作成される。表側で画像を付与された紙シート(複数)を、次の工程において、裏側で一緒に張り合わせて、そして、一緒に結合させてブックを形成する。このことは、手間及び時間のかかるものであって、より高い製造コストに結びつく。従って、コーティングされ、カレンダリングされた紙(これは、両側で印刷が可能であり、電子写真方法により印刷することができる)を、フォトブックの製造に使用する。しかしながら、この方法で作成される画像は、色濃度、光安定性、及びオゾン安定性、並びに印刷デバイスにおける挙動(給紙、搬送、及び積み重ね)に関する改良が必要である。
【0010】
従って、本発明の目的は、両側で印刷することができ、そして、良好な画像品質、保存の際の良好な耐光性及び耐オゾン性、プリンター内での良好な給紙及び運搬態様、並びに、良好な積み重ね性を有する記録材料を提供することである。
【0011】
前記目的は、合成樹脂で両側をコーティングされる原紙と、トナー受容層とを含む、記録材料であって、
合成樹脂コーティングされた前記紙が、1.5〜13μmの粗さ値Rz及び0.05〜2μmの平均粗さ指数Raにより表される特定の表面トポグラフィーを有しており、前記トナー受容層が、トナー受容エチレンアクリル酸コポリマー(A)と、カルボキシル化されたアクリル酸エステルコポリマー(B)と、ポリマー(C)とからなるポリマーの組み合わせを含み、そして、前記ポリマー(C)が、5〜20μmの平均粒径d50%と、コポリマー(A)の融解範囲よりも高くコポリマー(B)の融解範囲よりも低い融点とを有する、前記記録材料によって達成される。
【0012】
本発明の目的では、用語「原紙」は、コーティングされていない紙、又は、表面サイジングされた紙を意味するものとして理解される。原紙は、パルプ繊維に加えて、サイズ剤(例えば、アルキルケテンダイマー、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、アルケニル又はアルキル無水コハク酸)、湿潤強度剤(例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン)、乾燥強度剤(例えば、アニオン性、カチオン性、又は両性のポリアミド)、蛍光増白剤、充填剤、顔料、染料、消泡剤、並びに、製紙業界で公知のその他の添加剤を含むことができる。原紙は、表面サイジングされることができる。このために適当なサイズ剤は、例えば、ポリビニルアルコール又は酸化デンプンである。原紙は、長網抄紙機又はヤンキー抄紙機(円網抄紙機)で製造することができる。原紙の坪量は50〜250g/m、特に、80〜180g/mであることができる。原紙は、非圧縮又は圧縮(カレンダー化)した形態で使用することができる。密度0.8〜1.2g/cm、特に0.90〜1.1g/cmを有する原紙が特に好ましい。
【0013】
パルプ繊維としては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒亜硫酸パルプ(LBSP)、又は、針葉樹晒亜硫酸パルプ(NBSP)を使用することができる。これらは、混合した形態で使用されることもできる。しかしながら、100%広葉樹パルプからなるパルプ繊維を特に使用する。砕木していない(ungemahlen)パルプの平均繊維長さは、0.6〜0.85mm(カヤーニ測定)であることが好ましい。更に、パルプは、パルプの質量に基づく、0.05重量%未満(特に、0.01〜0.03重量%)のリグニン含有量を有する。
【0014】
原紙における充填剤としては、カオリン、自然形態にある炭酸カルシウム(例えば、石灰石、大理石、又はドロマイトれんが(Dolomitstein)、沈降(gefaellt)炭酸カルシウム)、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、並びにそれらの混合物を使用することができる。特に好ましいのは、粒子の少なくとも60%が2μm未満であり、多くても40%が1μm未満である粒度分布(Korngroessenverteilung)を有する炭酸カルシウムである。本発明の特別な実施態様において、粒子の約25%が粒径1μm未満を有し、そして、粒子の約85%が粒径2μm未満を有する粒度分布をもつカルサイトが使用される。
【0015】
原紙の両側に配置される合成樹脂層(表側合成樹脂層及び裏側合成樹脂層)は、好ましくは熱可塑性ポリマーを含むことができる。このために特に好ましいのは、ポリオレフィン類(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エポリプロピレン、4−メチルペンテン−1、及びそれらの混合物)並びに、ポリエステル類(例えば、ポリカーボネート類)である。
【0016】
本発明の或る特定の実施態様では、表側合成樹脂層及び裏側合成樹脂層は、0.935g/cmを超える密度を有する少なくとも40重量%のHDPE(特に、50〜70重量%)を含有する。特に好ましいのは、0.935g/cmを超える密度を有する50重量%のHDPE及び0.935g/cm未満の密度を有する50重量%のLDPEからなる組成物である。
【0017】
合成樹脂層は、白色顔料(例えば、二酸化チタン)、並びに、その他の添加剤(例えば、蛍光増白剤、染料、及び分散剤)を含むことができる。合成樹脂層のコーティング重量は、5〜50g/m、特に5〜30g/mであるが、好ましくは10〜20g/mであることができる。合成樹脂層は、単層として押出されるか、又は、多層として共押し出しされることができる。押し出しコーティングは、最大600m/分の機械速度で実施することができる。
【0018】
本発明によると、合成樹脂層は、原紙の両側で対称的に付与される(すなわち、表側合成樹脂層と裏側樹脂層とは同一の組成を有する)。これらの層は、表面トポグラフィーに関しても同一である。
【0019】
表面構造(トポグラフィー)は、押し出しコーティングの間に使用される冷却シリンダーによってつくられる。これは、粗さ値により特徴付けられる。
【0020】
或る特定の実施態様では、合成樹脂層の表面が、両側上で、1.8〜11μmの粗さ値Rz及び0.1〜1.8μmの平均粗さ指数Raを有する。
【0021】
表面構造をつくるために使用される冷却シリンダーは、公知の方法で製造される。この目的を達成するために、鋼シリンダーの表面を、砂、ガラス、又はその他のブラスティング材料を使用してブラスティングにより処理して、次に、クロムめっきすることができる。しかしながら、前記シリンダーの表面は、従来の方法によりクロム浴中で電解的に形成することができる。
【0022】
インク受容層におけるポリマーの組合せのうち、ポリマー(A)は融解範囲70〜100℃を有し、そして、ポリマー(B)は融解範囲160〜210℃を有することが好ましい。
【0023】
ポリマー(B)は、いわゆる酸価により特徴付けられる。ポリマー中に含有される遊離カルボキシル基の量は、酸価によって規定される。これは、ポリマー1gにおける遊離酸基を中和するのに必要とされる0.1モルのKOH溶液の量(mg)を特定する。本発明により使用されるポリマー(B)は、100を超える酸価を有する。酸価120〜160を有するポリマーが特に適当である。
【0024】
ポリマー(A)とコポリマー(B)とが、70:30〜30:70の比率で使用されることが好ましい。60:40〜40:60の比率で特に良好な作用が得られる。
【0025】
ポリマー(C)は、温度範囲120〜150℃における融点を有することが好ましい。ポリエチレンワックス、ポリアミド類、及びそれらの混合物が、この目的のために特に適当である。
【0026】
ポリマー(C)は、乾燥した層に基づく0.1〜5重量%、特に1.0〜4.0重量%の量で使用されることが好ましい。
【0027】
本発明の或る好ましい模範的な実施態様において、トナー受容層は、乾燥した層に基づく0.1〜5.0重量%、特に1.0〜4.0重量%の量で帯電防止剤を含有する。
【0028】
本発明の更に模範的な実施態様において、トナー受容層は、乾燥した層に基づく0.1〜4.0重量%、特に0.5〜2.5重量%の量で陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を含有する。
【0029】
必要に応じて、トナー受容層は、その他の添加剤(例えば、つや消し剤、顔料、染料、架橋剤、抗ブロッキング剤、及びその他の一般的な添加剤)を含有することもできる。
【0030】
トナー受容層を形成するのに使用されるコーティング化合物は、製紙において従来使用される全てのコーティングデバイスを使用してインライン又はオフラインで付与されることができ、ここでその量は、乾燥後にコーティング重量が最大3g/m、特に0.1〜2g/mであるか、又は、或る特定の好ましい模範的な実施態様によると、0.3〜0.7g/mであるように選択される。或る好ましい模範的な実施態様では、コーティング化合物が、押し出しコーティングライン内に一体化される従来のコーティングヘッドの手段により、コーティングとして付与される。3ロール式付与(3-Walzenauftrag)又はドクターブレードデバイスが、この目的のために特に適当である。
【0031】
本発明の更に模範的な実施態様では、顔料含有層を原紙と合成樹脂層との間に配置することができる。顔料は、金属酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硫化物(Sulfid)又は硫酸塩であることができる。例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム及び/又は硫酸バリウムの顔料が特に適当である。
【0032】
顔料粒子の少なくとも70%が1μm未満のサイズである、狭い粒度分布を有する顔料が特に好ましい。顔料の総量に対する狭い粒度分布を有する顔料の割合は、少なくとも5重量%(特に、10〜90重量%)である。特に良好な結果は、全顔料の30〜80重量%の割合により得ることができる。
【0033】
本発明によると、狭い粒度分布を有する顔料とは、顔料粒子の少なくとも約70重量%が約1μm未満のサイズを有し、そして、これらの顔料粒子の40〜80重量%において、最も大きい粒度(直径)を有する顔料と最も小さい粒度を有する顔料との差が約0.4μm未満である粒度分布を有する顔料として理解されたい。約0.7μmのd50%値を有する炭酸カルシウムが特に有利であることが分かった。
【0034】
本発明の或る特定の模範的な実施態様では、前記炭酸カルシウムとカオリンとからなる顔料混合物を顔料含有層に使用することができる。炭酸カルシウム/カオリンの量比は、30:70〜70:30であることが好ましい。
【0035】
顔料含有層における結合剤/顔料の量比は、0.1〜2.5、好ましくは、0.2〜1.5であるが、特に、約0.9〜1.3であることができる。
【0036】
顔料含有層中には、任意の公知の水溶性及び/又は水分散性結合剤を使用することができる。この目的のために特に適当なのは、フィルム形成デンプン(例えば、熱変性デンプン、特に、トウモロコシデンプン又はヒドロキシプロピル化デンプン)である。
【0037】
顔料含有層を、製紙において従来使用される全てのコーティングデバイスを使用してインライン又はオフラインで付与されることができ、ここでその量は、乾燥後にコーティング重量が0.1〜30g/m、特に1〜20g/mであるか、又は、或る特定の好ましい模範的な実施態様によると、2〜8g/mであるように選択される。或る好ましい模範的な実施態様において、顔料含有層を、抄紙機内に一体化される従来のサイズプレス又はフィルムプレスを使用して付与する。
【0038】
本発明の更なる実施態様において、追加層(例えば、保護層又は光沢改良層)をトナー受容層へ付与することができる。コーティング重量は、1g/m未満であることが好ましい。
【0039】
以下の実施例により本発明をより詳しく説明する。
【実施例】
【0040】
原紙の製造
原紙の製造にはユーカリパルプを使用した。砕木のために、35SRのろ水度まで、約5%水性懸濁液(高濃度紙料)として砕木機により砕木(mahlen)した。平均繊維長さは、0.65mmであった。低濃度紙料中のパルプ繊維の濃度は、パルプ懸濁液の質量に基づく1重量%であった。低濃度紙料に添加物、例えば、0.48重量%の量の中性サイズ剤アルキルケテンダイバー(AKD)、0.36重量%の量の湿潤強度剤ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(Kymene(商標))、20重量%の量の天然CaCOを加えた。量は、パルプ質量に対する量である。pH値を約7.5に調節した低濃度紙料を、ヘッドボックスから抄紙機のワイヤーまで搬送し、そこで、抄紙機のワイヤーセクション中にウェブを脱水することによりシート形成を実施した。プレスセクションでは、ペーパーウェブをウェブの重量に基づく含水量60重量%まで更に脱水した。抄紙機のドライヤーセクションでは、加熱した乾燥シリンダーを使用して追加乾燥を実施した。坪量163g/mと含水量約6%とを有する原紙を製造した。
【0041】
実施例B1及びB2
従来の方法により、原紙の両側を、以下の組成からなる合成樹脂混合物でコーティングした:50重量%の低密度ポリエチレン(LDPE、d=0.923g/m)及び50重量%の高密度ポリエチレン(HDPE、d=0.964g/cm)。コーティングをラミネーター(タンデム式押し出し機)中に、冷却シリンダー(BEP Service Technologyによる)を使用して押出速度250m/分で実施した。コーティングの表面は、平均Rz値11.03μm及びRa指数1.87μmを有していた。冷却シリンダーの表面を、サンドブラスティング又はその他のブラスティング材料を使用するブラスティングと、クロムめっきとにより作成した。両側でのコーティング重量は、それぞれ、15g/mであった。
続いて、トナー受容層を、押し出しライン内に一体化されるロールアプリケーターにより付与した。このために、固形分19重量%を有する水性コーティング化合物を、以下の組成物に対して使用した:
《表》

乾燥したトナー受容層のコーティング重量は、両側でそれぞれ0.5g/mであった。
【比較例】
【0042】
比較例1
比較のために、電子写真用途のための市販の記録材料(Zander Silver Digital)を使用した。
比較例2
比較のために、電子写真用途のための市販の記録材料(Zander Profi Gloss)を使用した。
【0043】
《実施例及び比較例により製造される記録材料の試験》
本発明により製造される材料を、イメージ品質、耐光性、及び耐オゾン性について試験した。
カラー印刷物が種々の試験の基準となった。前記カラー印刷物は、HPカラーレーザージェット2605dn(湿潤トナー)レーザープリンター及びコニカミノルタMC5550カラーコピー機を使用して製造した。棒状の領域を、インク含浸率100%で種々の色(シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、及びブラック)に印刷した。

<耐オゾン性>
印刷された紙サンプルを、光、ガス、及び湿度の影響を受けないように、24時間保存した。次に、カラー印刷された領域(Farbflaechen)の比色分析のL*a*b*値を決定した。
次の工程において、サンプルをオゾン室(オゾン濃度3.5ppm、温度20〜22℃、及び相対空気湿度40〜50%)内で24時間保存した。次に、カラー印刷された領域の比色分析のL*a*b*値をもう一度測定して、退色度ΔEを決定した。
L*a*b*値は、X−RiteカラーデジタルSwatchbook(X-Rite Inc.,グランドビル,ミシガン州,アメリカ合衆国)を使用して測定した。色調差ΔEを方程式により計算した:
ΔE=((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
試験結果を表1にまとめた。

<耐光性>
印刷された紙サンプルを、温度26℃及び相対耐光性60%で、キセノンランプ下に50時間保持した。前記CIEL*a*b*システムにより評価を行った。

《試験結果》
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂で両側をコーティングされる原紙と、トナー受容層とを含む、電子写真方法用の記録材料であって、
合成樹脂コーティングされた前記紙が、1.5〜13μmの粗さ値Rz及び0.05〜2μmの平均粗さ指数Raにより表される特定の表面トポグラフィーを有していること、前記トナー受容層が、トナー受容エチレンアクリル酸コポリマー(A)と、カルボキシル化されたアクリル酸エステルコポリマー(B)と、ポリマー(C)とからなるポリマーの組み合わせを含むこと、並びに、前記ポリマー(C)が、5〜20μmの平均粒径d50%と、コポリマー(A)の融解範囲よりも高くコポリマー(B)の融解範囲よりも低い融点とを有することを特徴とする、前記記録材料。
【請求項2】
コポリマー(A)の融解範囲が、70〜100℃であり、コポリマー(B)の融解範囲が160〜210℃であることを特徴とする、請求項1に記載の記録材料。
【請求項3】
ポリマー(C)の融点が、120〜150℃の範囲であることを特徴とする、請求項1及び2に記載の記録材料。
【請求項4】
ポリマー(C)が、ポリエチレンワックス、ポリアミド、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項5】
コポリマー(A)/コポリマー(B)の割合が、70:30〜30:70であることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項6】
ポリマー(C)の量が、乾燥した層に基づく0.1〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項7】
トナー受容層が、帯電防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項8】
帯電防止剤が、無機酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする、請求項7に記載の記録材料。
【請求項9】
トナー受容層が、陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項10】
トナー受容層が、無機粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項11】
トナー受容層のコーティング重量が、0.1〜3g/m、特に、0.3〜0.7g/mであることを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項12】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層が、ポリオレフィン類及びポリカーボネート類の群から選ばれる熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜11の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーが、高密度ポリエチレン(HDPE)又は4−メチルペンテン−1であることを特徴とする、請求項12に記載の記録材料。
【請求項14】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層が、0.935g/cmより高い密度を有する少なくとも40重量%のHDPEを含むことを特徴とする、請求項1〜13の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項15】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層が、合成樹脂層の全体に基づく、0.935g/cmより高い密度を有する50重量%のHDPEと、0.935g/cm以下の密度を有する50重量%のLDPEとを含むことを特徴とする、請求項1〜14の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項16】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層が、白色顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜15の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項17】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層のコーティング重量が、5〜50g/m、特に、5〜30g/mであることを特徴とする、請求項1〜16の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項18】
原紙が、パルプ質量に基づく、最大40重量%の、特に、5〜20重量%の充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜17の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項19】
顔料含有層を、原紙と合成樹脂層との間に配置することを特徴とする、請求項1〜18の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項20】
前記層が、顔料粒子の少なくとも70%が1μm未満の直径をもつ狭い粒度分布を有する顔料を含むことを特徴とする、請求項19に記載の記録材料。
【請求項21】
前記顔料が、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン及び/又は硫酸バリウムであることができることを特徴とする、請求項19及び20に記載の記録材料。
【請求項22】
顔料が、炭酸カルシウム/カオリン混合物であることを特徴とする、請求項19〜21の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項23】
炭酸カルシウム/カオリンの割合が、好ましくは30:70〜70:30であることを特徴とする、請求項19〜22の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項24】
顔料含有層が、親水性、膜形成ポリマーであることを特徴とする、請求項19〜23の少なくとも一項に記載の記録材料。
【請求項25】
合成樹脂層で両側をコーティングされる原紙と、両側に配置される少なくとも1つのトナー受容層とを含む記録材料の製造方法であって、
以下の作業工程:
− 少なくとも1つの合成樹脂層で原紙の表側及び裏側をコーティングし、ここで、前記合成樹脂層の組成及び表面トポグラフィーは、両側で同じであるものとすること;
− 請求項1〜8に記載のトナー受容層少なくとも1つで、表側の合成樹脂層と裏側の合成樹脂層とをコーティングすること;
を含むことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項26】
表面トポグラフィーが、1.5〜13μmの粗さ値Rz及び0.05〜2μmの粗さ指数Raにより特徴付けられることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層が、0.935g/cmより高い密度を有する少なくとも40重量%のHDPEを含むことを特徴とする、請求項25及び26に記載の方法。
【請求項28】
表側の合成樹脂層及び裏側の合成樹脂層のコーティング重量が、5〜50g/m、特に、5〜30g/mであることを特徴とする、請求項25〜27の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項29】
12〜20重量%の固形分を有するコーティング溶液からなるトナー受容層を付与することを特徴とする、請求項25〜28の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項30】
トナー受容層のコーティング重量が、0.1〜3g/m、特に、0.3〜0.7g/mであることを特徴とする、請求項25〜29の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項31】
トナー受容層を、押し出しコーティングライン内にインラインで付与することを特徴とする、請求項25〜30の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項20〜24に記載の顔料含有層を、原紙と合成樹脂層との間に付与することを特徴とする、請求項25〜31の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項33】
顔料含有層のコーティング重量が、0.1〜30g/mであることを特徴とする、請求項25〜32の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項34】
顔料含有層をサイズプレス又はフィルムプレスによって付与することを特徴とする、請求項25〜33の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項35】
フォトブックを製造するための、請求項1〜24の少なくとも一項に記載の記録材料の使用。
【請求項36】
請求項1〜24の少なくとも一項に記載の記録材料を使用することにより製造するフォトブック。

【公表番号】特表2011−528811(P2011−528811A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519193(P2011−519193)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061988
【国際公開番号】WO2010/031782
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(591010561)フェリックス シェラー ユニオール フォト― ウント スペチアルパピーレ ゲー エム ベー ハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】Felix Schoeller jr. Foto−und Spezialpapiere GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】