説明

レーザー墨出し器のジンバル機構

【課題】 本発明は、レーザー墨出し器のジンバル機構に関するものであり、従来のものが筐体部に設けられた電源部からレーザー光源によるライン照明部の電力を送る為の送電線の弾性がジンバル機構の自由な動作を妨げる為に正確な整準機能が損なわれ、土木、建設作業における精度を阻害することを防止することである。
【解決手段】 本発明は、レーザー墨出し器のジンバル機構に関するものであり、従来のものが筐体部に設けられた電源部からレーザー光源によるライン照明部の電力を送る為の送電線の弾性がジンバル機構の自由な動作を妨げる為に正確な整準機能が損なわれ、土木、建設作業における精度を阻害することを防止することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木、建築、機械装置の設置時に使用するレーザー墨出し器のジンバル機構に関するものであり、通電ケーブルによってジンバル機構に生じる整準機能の誤差を防止し、レーザー墨出し器の整準精度を向上させたレーザー墨出し器のジンバル機構を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、土木、建築、機械装置の設置時に広く使用されているレーザー墨出し器はレーザーラインの照射精度の向上、付帯機能の拡充などに重点をおいた構造となっているが、いわゆるジンバル機構の精度に関して課題を残している。 それはレーザー光源によるライン照明部の電力を送る為の送電線の弾性がジンバル機構の自由な動作を妨げる為に正確な整準機能が損なわれることである。
【0003】
対策としてフレキシブル基板を90°捻って2方向への柔かさを得ようとする出願がある。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開 2002−131055
【0004】
しかし、このようにしたとしてもフレキシブル基板の撓み力によってジンバル機構に負荷が生じ整準機能に生じる誤差が残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記背景の下に成立するものでありその課題は、通電ケーブルによってジンバル機構に生じる整準機能の誤差を防止し、レーザー墨出し器の整準精度を向上させたレーザー墨出し器のジンバル機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための第1の手段は、レーザー光源によるライン照射部を保持する揺動部と中間支持部材と筐体部を有し、中間支持部材に先端部を針状に形成した導電性の第1の金属線部材と第2の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第1の接触針ユニットと、先端部を針状に形成した導電性の第3の金属線部材と第4の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第2の接触針ユニットとを互いに電気的に絶縁した状態で固着して設け、第1の金属線部材と第3の金属線部材との先端部を揺動部3に設けた第1の凹部に係合せしめる。 又、第2の金属線部材と第4の金属線部材との先端部を筐体部に設けた第2の凹部に係合せしめ、該4個の金属線部材と揺動部に設けた第1の凹部と筐体部に設けた第2の凹部を介して筐体部に設けた電源部と揺動部に設けたレーザー光源によるライン照射部とを電気的に接続するごとく構成したジンバル機構を提供するものである。
【0007】
本発明の課題を解決するための第2の手段は、金属線部材を配線用のプリントパターンを介して中間支持部に取り付けた上記のレーザー墨出し器のジンバル機構を提供するものである。
【0008】
本発明の課題を解決するための第3の手段は、金属線部材を、弾性を有する材料で形成し、その先端部と第1の凹部及び第2の凹部との係合部において相互のクリアランスを0とした上記のレーザー墨出し器のジンバル機構を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果は、通電機能を有するシンプルな構造のジンバル機構によって、通電ケーブルによってジンバル機構に生じる整準機能の誤差を防止し、レーザー墨出し器の整準精度を向上させたレーザー墨出し器のジンバル機構を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の一実施形態の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の部分斜視図である。
【図3】本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の部分分解斜視図である。
【図4】本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は、レーザー光源によるライン照射部を保持する揺動部と中間支持部材と筐体部を有し、中間支持部材に先端部を針状に形成した導電性の第1の金属線部材と第2の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第1の接触針ユニットと、先端部を針状に形成した導電性の第3の金属線部材と第4の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第2の接触針ユニットとを互いに電気的に絶縁した状態で固着して設け、第1の金属線部材と第3の金属線部材との先端部を揺動部に設けた第1の凹部に係合せしめる。 又、第2の金属線部材と第4の金属線部材との先端部を筐体部に設けた第2の凹部に係合せしめ、該4個の金属線部材と揺動部に設けた第1の凹部と筐体部に設けた第2の凹部を介して筐体部に設けた電源部と揺動部に設けたレーザー光源によるライン照射部とを電気的に接続するごとく構成したジンバル機構である。
【0012】
金属線部材は配線用のプリントパターンを介して中間支持部にはんだ付けなどで取り付けていることが望ましい。
【0013】
金属線部材は、弾性を有する材料で形成し、その先端部と第1の凹部及び第2の凹部との係合部において相互のクリアランスを0としていることが望ましい。
【実施例】
【0014】
以下図について本発明の1実施形態について説明する。
図1は、本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の1実施例の構造を示す斜視図、図2はその部分斜視図、図3はその部分分解斜視図である。
図1、図2、図3においてレーザー光源1によるライン照射部2を保持する揺動部3と中間支持部材4と筐体部5を有し、中間支持部材4に先端部を針状に形成した導電性の第1の金属線部材6と第2の金属線部材7とを互いに電気的に接続した状態で設けた第1の接触針ユニット8と、先端部を針状に形成した導電性の第3の金属線部材9と第4の金属線部材10とを互いに電気的に接続した状態で設けた第2の接触針ユニット11とを互いに電気的に絶縁した状態で固着して設け、第1の金属線部材6と第3の金属線部材9との先端部を揺動部に設けた第1の凹部12に係合せしめる。 又、第2の金属線部材7と第4の金属線部材10との先端部を筐体部5に設けた第2の凹部13に係合せしめ、該4個の金属線部材6、7、9、10と揺動部3に設けた第1の凹部12と筐体部5に設けた第2の凹部13を介して筐体部5に設けた電源部14と揺動部3に設けたレーザー光源1によるライン照射部2とを電気的に接続するごとく構成したジンバル機構である。 15、16は筐体部5の下方に設けた開閉式の足である。
【0015】
図4は金属線部材6、7、9、10と第1の凹部12及び第2の凹部13との係合状態を示す部分断面図である。 なお、金属線部材6、7、9、10と第1の凹部12及び第2の凹部13は強靭で防錆性能及び耐磨耗性の優れたステンレス鋼や、電気的な接触抵抗が少ない銅、亜鉛、ニッケルの合金である洋白とリン青銅の金属の組合せが望ましい。
【0016】
金属線部材6、7、9、10は配線用のプリントパターン17を介して中間支持部4に取り付けていることが望ましい。中間支持部4はプリント基板の材料で構成するのが望ましいが、他の材料で製作したものをプリント基板の材料と一体化して用いても良い。
【0017】
金属線部材6、7、9、10は、弾性を有する材料で形成し、その先端部と第1の凹部12及び第2の凹部13との係合部において相互のクリアランスを0としていることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
上記構造の本発明のレーザー墨出し器用ジンバル機構の実施例においてその作用を説明する。
図1、図2、図3及び図4において、レーザー光源1によるライン照射部2を保持する揺動部3は第1の接触針ユニット8に設けた第1及び第2の金属線部材6、7と、第2の接触針ユニット11とに設けた第3及び第4の金属線部材9、10の先端部が、揺動部3に設けた第1の凹部12及び筐体部5に設けた第2の凹部13に夫々係合している。 ここで、金属線部材6、と9の先端部及び7と10の先端部は同軸上にありその2軸は直交している。 したがって揺動部3は筐体部5に対して該2軸方向に自由に揺動することが出来る。 また、第1乃至第4の金属線部材6、7、9、10の先端部は細く成形されているので擂鉢状に形成された第1及び第2の凹部とは点接触に近い状態であるので揺動時の摩擦抵抗は非常に小さいが、揺動部3の自重を支えている為に接触状態が離れることは無い。 このことにより筐体部5に設けた電源部14と揺動部3に設けたレーザー光源1によるライン照射部2とを電気的に接続することが出来、この接続の為に電線を必要としないので該電線のたわみによって生じる力が原因となるジンバル機構の精度の低下を生じることはない。 15、16は筐体部5の下方に設けた開閉式の足であり、閉状態では墨出し器をコンパクトなボックス状にすることが出来る。
【0019】
金属線部材6、7、9、10は配線用のプリントパターン17を介してはんだ付けによって極めて容易に中間支持部4に取り付けることが出来る。 中間支持部4はプリント基板の材料で構成するのが望ましいが、剛性を増すなどの目的で他の材料で製作したものをプリント基板の材料とネジなどで一体化して用いても良い。
【0020】
また、第1乃至第4の金属線部材6、7、9、10は弾性を有する材料で形成し、その先端部と第1の凹部12及び第2の凹部13との係合部においてある程度の与圧を与えることで相互のクリアランスを0としていることが電気的な接触を確実にする上で望ましい。
【0021】
以上の説明で明らかなごとく、本発明は通電機能を有するシンプルな構造のジンバル機構を用いることで、通電ケーブルによってジンバル機構に生じる整準機能の誤差を防止し、レーザー墨出し器の整準精度を向上させるレーザー墨出し器のジンバル機構を提供することが出来、土木、建築技術の向上に資する効果は極めて著しい。
【符号の説明】
【0022】
1:レーザー光源
2:ライン照射部
3:揺動部
4:中間支持部材
5:筐体部
6:第1の金属線部材
7:第2の金属線部材
8:第1の接触針ユニット
9:第3の金属線部材
10:第4の金属線部材
11:第2の接触針ユニット
12:第1の凹部
13:第2の凹部
14:電源部
15、16:開閉式の足
17:プリントパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光源によるライン照射部を保持する揺動部と中間支持部材と筐体部を有し、中間支持部材に先端部を針状に形成した導電性の第1の金属線部材と第2の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第1の接触針ユニットと、先端部を針状に形成した導電性の第3の金属線部材と第4の金属線部材とを互いに電気的に接続した状態で設けた第2の接触針ユニットとを互いに電気的に絶縁した状態で固着して設け、第1の金属線部材と第3の金属線部材との先端部を揺動部に設けた第1の凹部に係合せしめる。 又、第2の金属線部材と第4の金属線部材との先端部を筐体部に設けた第2の凹部に係合せしめ、該4個の金属線部材と揺動部に設けた第1の凹部と筐体部に設けた第2の凹部を介して筐体部に設けた電源部と揺動部に設けたレーザー光源によるライン照射部とを電気的に接続するごとく構成した事を特徴とするレーザー墨出し器のジンバル機構。
【請求項2】
金属線部材を配線用のプリントパターンを介して中間支持部に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のレーザー墨出し器のジンバル機構。
【請求項3】
金属線部材を、弾性を有する材料で形成し、その先端部と第1の凹部及び第2の凹部との係合部において相互のクリアランスを0としたことを特徴とする請求項1記載のレーザー墨出し器のジンバル機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−154907(P2012−154907A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25408(P2011−25408)
【出願日】平成23年1月22日(2011.1.22)
【出願人】(595096899)株式会社アイ電子工業 (17)