レーザ回折装置用の吸入器アダプタおよび粒径分布を測定するための方法
本開示は、ドライパウダ吸入器(30)から放出される粉末組成物の噴煙の粒径分布および密度を測定するために使用されるレーザ回折装置(20)に適合させるための、改善された装置(10)および方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2009年3月18日出願の米国仮特許出願第61/161,379号の利益を主張するものであり、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、レーザ回折装置とともに使用するための改善された装置および方法に関する。詳細には、この装置は、ドライパウダ吸入器用のアダプタとして使用されるものであり、ドライパウダ吸入器から放出される粉末組成物の噴煙の粒径分布および密度をより正確に測定するためのより一貫した方法を提供する。
【0003】
[0003]本明細書において引用されるすべての参考文献およびそれらの参考文献は、追加または代替の詳細、特徴、および/または背景技術の教示に適する場合、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
[0004]本明細書にその開示全体が参照として組み込まれる米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなど、ドライパウダ吸入器は、吸気操作中に、カプセルまたはカートリッジ内の粉末製剤を解凝集すること(deagglomerating)により、一次薬物粒子または適当な吸入噴煙を生み出すことができる。投与を再現可能とするには、薬物製剤が均一であること、および投与量を患者に送達し一貫した再現可能な結果をもたらすことができる必要がある。したがって投与システムは、患者がその人の投与量を服用するときの吸気操作中に、効果的にすべての製剤を完全に吐出するように動作しなければならない。肺循環により薬剤を送達することの利点は数多く、動脈循環中への吸収が迅速であること、肝臓代謝による薬物の分解を防止すること、使用が容易であること、すなわち、たとえば皮下注射および静脈注射によるなど他の投与経路で生じる不快感など投与の不快感がないことなどが挙げられる。
【0005】
[0005]吸入器からの一貫した薬物送達は、部分的には、吸入装置の空気通路内の空気流の抵抗の一貫性による。米国特許第7,305,986号および同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に開示されるものなど、高抵抗ドライパウダ吸入器は、一貫性のあるやり方で薬物製剤を送達する。吸入器が使用中に投与量を一貫して送達するかどうかを、確認しまたは予想するために用いられる1つのパラメータは、部分的には空気導管の内部幾何学形状による、装置の空気流の抵抗である。投与の一貫性に関する別のパラメータは、使用中に吸入器から生み出される粉末噴煙の品質であり、この品質は、たとえば、ドライパウダのタイプ、および、吸入中に肺に届くことができる微粒子に粉末を解凝集(deagglomerate)する吸入器システムの能力など、様々な要因に応じて決まる。
【0006】
[0006]粒子分布を測定するための現在のシステムおよび方法は市販されているが、市販の装置は、比較的低抵抗の吸入器に使用することを目的とされる。たとえば、1つの標準的な方法では、吸入器モジュールは、ドライパウダ吸入器(DPI)内の粒径分布を定量するために、レーザ回折技術を用いる。標準的な吸入器モジュールは、チャンバを備え、このチャンバでは、吸入器が周囲空気内で外部に取り付けられ、噴煙が、取り囲まれたチャンバを通って移動する。噴煙は、チャンバを横断して生み出される真空によって形成され、粉末は、装置を通って流れる。チャンバの途中で、粉末噴煙は、レーザが投射される区域を通って移動し、レーザビームを粒子に衝突した後に回折させる。レーザ源の正面のセンサ群は、これらの回折パターンを測定し、ミー理論(Mie theory)(球形粒子による電磁放射の散乱についての式の解析解)を用いてそれらを解釈して、噴煙中の吸入器の粉末吐出物の粒径分布を定量する。使用の際に、真空は、チャンバ内に高圧および低圧の領域を生み出し、不均一な噴煙を作り出す可能性がある。
【0007】
[0007]この標準的な設定では、チャンバを通って噴煙が動く方法が、粉末噴煙の粒径分布を正確に定量するシステムの能力に悪影響を及ぼす。たとえば、チャンバ内の噴煙滞留時間は、正確な測定にとって決定的に重要である。理想的には、システムは、噴煙をリアルタイムで測定することができるべきである。たとえば、噴煙が0.5秒の時間間隔で吐出される場合、標準的なシステムは、約0.5秒で噴煙の検出および測定をすることができるべきである。
【0008】
[0008]チャンバ内の噴煙の粒径分布の測定に悪影響を及ぼす可能性がある、いくつかの他のパラメータが存在する。たとえば、乱流などチャンバ内部の環境影響のばらつき あるサイズの粉末粒子は、測定区域内でより長い時間を費やすことになる。この挙動により、粒子が複数回(少なくとも2回以上)測定されることになり、粒径分布全体におけるそれらの相対的な存在が増し、それにより実際のデータの誤った表現が生じる。
【0009】
[0009]さらに、従来技術のシステムおよび比較的小さい吸入装置を用いて行われる粒径分布測定は、使用するのに不便であり、たとえば、さらなる回折を生じる可能性があるアダプタのレンズを含めた内部表面における粉末堆積など、チャンバによってもたらされる条件のばらつきにより誤ったまたは再現不可能な結果を生じる。さらに、上記で説明したように装置の内側で生み出される乱流の増大により、アダプタおよびレンズを各回の使用後に繰り返し掃除しなければならず、それらはすべて、粉末噴煙の一貫性のない測定につながるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010]したがって、本発明者らは、いかなるレーザ回折装置にも適合される単純な装置、ならびに、患者に投与する際の粉末の質および吸入器の有効性を決定するために使用中の吸入器によって放出される粉末の特徴を確かめるために、粒子分布を測定するための方法を、設計および製造する必要があることを理解してきた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011]本明細書において開示されるのは、レーザ回折装置および/またはシステムに適合されるように構成され、かつ吸入装置とともに使用するための装置である。粉末製剤を用いて、試験中に吸入システムおよび/または装置によって放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための方法もまた、開示される。
【0012】
[0012]本明細書において開示される実施形態では、装置は、使用されるまたは試験される吸入器に応じた任意の形状またはサイズで構成されたアダプタを備える。一実施形態では、アダプタまたは装置は、管状または円筒構造を備え、この構造は、チャンバならびに近位端および遠位端を含む両端部を有し、遠位端は、閉じられるように構成され、加圧された空気または気体をチャンバ内へと通すために管機構に連結するための開口部を有し、近位端は、吸入器取付け手段を備え、吸入器取付け手段は、端部を閉じ、チャンバの近位端を覆うキャップに適合されるように構成され、キャップは、吸入器が取り付けられるときに空気導管が吸入器のみによって形成されるように密封を形成するための構造を有し、吸入器がチャンバ内に取り囲まれる。一実施形態では、近位端部キャップは、マウスピースアダプタ、マウスピースアダプタケース、ガスケット、マウスピースアダプタカバー、端部キャップ、および取付け可能であり基部プレートに連結された取付けプレート上に取り付けられるように構成されたクランプを、備えることができる。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、および吸入器の設計に応じて、チャンバは、正圧源を受けるように構成された入口ポート、および吸入器のマウスピース部分を保持するように構成された出口ポートを有する、閉じた構成を備えることができ、任意で端部キャップを設けることができる。
【0014】
[0014]別の実施形態では、アダプタまたは装置は、固定手段を備えることができ、固定手段は、プラットフォーム上に取り付けられるように構成され、チャンバを保持または不動化するように構成されたクランプを備える。一実施形態では、チャンバの不動化は、たとえば、チャンバの近位端など、一端部にて行うことができる。一実施形態では、装置は、空洞を有するチャンバを備え、チャンバは、スペーサおよび端部キャップを備える。一実施形態では、スペーサは、試験される様々な吸入器タイプのためにチャンバサイズを一定に維持する際に、空洞のサイズを最小化または低減するように、チャンバ内へと挿入可能に構成される。
【0015】
[0015]一実施形態では、装置は、レーザ回折装置に適合されるように構成され、息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成された円筒を備え、円筒は、遠位端および近位端と、前記遠位端に適合されるように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合されるように構成された第2の端部キャップとを備え、前記第1の端部キャップは、流量計に連結された管機構に適合するための開口部を有するように構成され、前記近位端は、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を取り付けるように構成された保持器を有するように構成される。一実施形態では、装置は、第1の端部キャップおよび第2の端部キャップを密封するためのガスケットおよび/またはOリングを備え、第2の端部キャップは、吸入器マウスピースアダプタを有するように構成される。
【0016】
[0016]一実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒子分布を測定する方法は、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、ドライパウダ医薬を備える吸入器を装置上に設置するステップと、吸入器から出る粉末の噴煙を加圧し作り出すように、装置内へと入る、正圧で駆動され空気または気体を含む流れを提供するステップと、吸入器から放出される粒子を、チャンバなしのおよび/または周囲の環境内でレーザ回折装置を用いて測定するステップとを含む。一実施形態では、吐出される粉末の噴煙は、測定後に使い捨て可能なシステム内へと吸い込まれ、真空源は、約200から約250ミリバールまたは30リットル/分より大きい流量で設けられる。
【0017】
[0017]別の実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒径分布を測定する方法は、ドライパウダ製剤を含む、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、前記息により動かされる吸入器を前記装置内に設置するステップと、前記装置と適合されたレーザ回折システムを作動させるステップと、装置を加圧し、ドライパウダ製剤が吸入器を出る粉末噴煙として吐出されるように吸入器を通る空気または気体の流れを作り出すために、装置内に入る加圧された空気または気体の流れを提供するステップと、チャンバなしのかつ/または周囲条件の環境内ならびに真空下で、レーザ回折装置を用いて吸入器から出る粒子を測定するステップとを含む。一実施形態では、真空源は、約250ミリバールで、または30リットル/分より大きい流量で設けられる。この他の実施形態では、吸入器からの粉末噴煙の吐出を生み出すために提供される正圧により生み出される最大流量は、約10から約40リットル/分の範囲である。
【0018】
[0018]一実施形態では、レーザ回折装置に適合するように構成された装置が開示され、この装置は、息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバを備え、前記チャンバは、遠位端および近位端と、前記遠位端に適合するように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合するように構成された第2の端部キャップとを有し、前記第1の端部キャップは、流量弁制御部に連結される管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記近位端は、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を保持するように構成された、マウスピース取付け手段を有するように構成される。
【0019】
[0019]さらに別の実施形態では、レーザ回折装置と適合するように構成された装置が開示され、この装置は、マウスピースおよび本体を有する息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバであって、遠位端および近位端、空洞、入口ポートおよび出口ポートを備えるチャンバと、前記入口ポートおよび/または前記出口ポートに適合するように構成された1つまたは複数の端部キャップであって、前記入口ポートが、正圧源と開口部を有し吸入器マウスピースを前記開口部の定位置に保持するように構成された吸入器取付け手段とを受けるように構成された端部キャップと、装置取付け手段とを備え、前記吸入器取付け手段内に設置された息により動かされるドライパウダ吸入器は、その本体が前記チャンバ内に取り囲まれ、チャンバの空洞とチャンバなしのおよび/または周囲の環境との間に空気通路を形成する。
【0020】
[0020]別の実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒径分布を測定する方法が提供され、この方法は、チャンバを備え、本体を有しドライパウダ製剤を含む、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内に保持するように構成された装置を提供するステップと、前記ドライパウダ吸入器の本体がチャンバ内に取り囲まれるように、息により動かされる吸入器をチャンバ内に設置するステップと、ドライパウダ製剤の粒子を吐出するためにドライパウダ吸入器を通る空気または気体の流れを生み出すための正圧を装置のチャンバ内に提供するステップと、吸入器からチャンバなしのおよび/または周囲の環境内へと放出される粒子を、レーザ回折装置を用いて測定するステップとを含む。一実施形態では、この方法は、マウスピースおよび本体を有する、息により動かされるドライパウダ吸入器に適用することができ、このマウスピースは、チャンバからチャンバなしのおよび/または周囲の環境への空気通路を形成する。一実施形態では、チャンバ内に正圧をもたらすステップは、弁または注射器ポンプを備える流量制御システムからの加圧された気体の供給源によって達成され、加えられる正圧は、1kPaより大きい。別の実施形態では、この方法は、吸入器からの粒子の放出と同時に生じる放出された粉末粒子の吐出を、レーザ回折装置を用いて測定するステップを含む。
【0021】
[0021]本明細書に記載する実施形態では、装置および方法は、加圧された空気または窒素などの気体を含む任意の正圧源を用い、制御された温度、圧力、湿度、および流量で、一貫性および再現可能性を有する、吐出される粉末の粒径分布および密度の分析に基づく吸入器の性能評価を可能にすることができる。一実施形態では、チャンバ内の吸入器から吐出物を送達するために用いられる正圧は、5リットル/分または10リットル/分より大きい最大流量を生み出す。特定の実施形態では、最大流量は、約10から約50リットル/分の範囲である。別の実施形態では、吸入器マウスピース開口部から真空源ホース開口部までの距離は、5cmより大きくすることができる。特定の一実施形態では、吸入器マウスピース開口部から真空源ホース開口部までの距離は、5cmより大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】[0022]レーザ回折粒子測定装置に適合させるための装置の一実施形態を示す、部分的に分解された構成の斜視図である。
【図1B】構成部品を示す図1Aの分解図である。
【図2】[0023]粉末噴煙が移動する区域を示す、レーザ回折測定装置上に取り付けられた図1の実施形態を示す上面図である。
【図3】[0024]レーザ回折装置上に位置決めされた装置を示す、図1の実施形態を示す概略的な破断側面図である。
【図4】[0025]使用するためにレーザ回折装置上に取り付けられた装置を示す概略斜視図である。
【図5】[0026]使用位置にある保持器に適合された吸入器を示す、装置の一実施形態の中心縦軸を通る概略断面図である。
【図6】[0027]レーザ回折粒子測定装置に適合させるための装置の代替実施形態を示す、部分的に分解された構成の斜視図である。
【図7】[0028]取付けプレート上の取付け機構に取り付けられた、図6の実施形態を示す側面図である。
【図8】[0029]吸入器が定位置に取り付けられた状態にある、図6のアダプタの縦軸を通る断面斜視図である。
【図9】[0030]レーザ回折装置上の取付け機構上に取り付けられた、図6〜図9の実施形態を示す図である。
【図10】[0031]ドライパウダ吸入器ならびにインスリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子を含む吸入用のドライパウダ組成物に適合された、本明細書に記載される装置の実施形態を備えるレーザ回折装置を用いて製作された、光学濃度×測定時間対実際の吐出質量のグラフを示す。
【図11】[0032]本明細書に記載される装置の一実施形態に適合させられたレーザ回折装置、ならびに、インスリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子を含む吸入用のドライパウダ製剤を収容する吸入器を用いて得られる粒径分布を示す、図10に示す実験により得られたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0033]本明細書において開示される実施形態では、吸入器から吐出される粉末の噴煙から粒径分布および粒子の密度を測定するための、レーザ回折装置およびシステムとともに使用するための、装置および方法が開示される。本明細書において開示される実施形態では、噴煙は、チャンバにより誘導される要素から生じる妨害または外乱を伴わずに測定空間を横断することができるので、装置は、息により動かされる吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための有利な方法を提供する。
【0024】
[0034]ここで例示する一実施形態では、装置は、金属、複合材料、および/またはプラスチックを含むいかなる材料から製作することもでき、負圧で駆動されるシステムではなく、たとえばSympatec GmbH社によるHeliosシステムとともに従来から使用される正圧で駆動されるシステムの使用を可能にする。この実施形態では、粉末投与量を含む吸入器を収容するチャンバに加えられる正圧は、吸入器内に収容される粉末を、吸入器に通して流し、ほぼ垂直のレーザビームが横断する周囲空気を横切るほぼ水平の軸内で、吸入器のマウスピースを通して吐出させるために使用される。本実施形態および他の実施形態では、粉末を含む試験吸入器がチャンバ内に配置され、チャンバが閉じられ、システムが作動され、流量制御弁が、吸入器のタイプに応じた所定の速度で空気をチャンバ内へと流すことを可能にする。
【0025】
[0035]図1Aおよび図1Bに示す一実施形態では、アダプタまたは装置10は、2つ以上の開口部を有する構造を備えることができ、少なくとも2つが、両端部である近位端11および遠位端13にあり、少なくとも1つの端部である遠位端13は、加圧された空気またはたとえば窒素など気体の供給源と連通するように構成され、反対側の端部11は、たとえば吸入器30などの吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための、レーザビーム放出装置20の領域32(図3)付近にある。
【0026】
[0036]図1Bは、図1Aの実施形態の分解図であり、装置10が、円筒またはチャンバ19を閉じるために両端部11、13に配置される蓋または端部キャップ14、15を固定するための、溝17も備えることをさらに示す。装置10はさらに、吸入器30(図5)のマウスピース端部を受けるように構成された開口部28を備える、保持器または吸入器アダプタ21を取付け手段として備える。図5は、装置10上に取り付けられ、円筒19の一端部に配置され、装置10の近位端を封止するように構成された吸入器アダプタ21内に設置された、吸入器30の外略図を示す。端部キャップ15は、端部キャップ14の外面と面一になるようなやり方で、遠位端13に適合するように構成される。チャンバ19の後端部13は、開口部18を通る低抵抗流量計および圧力管路(図示せず)に連結される。このシステムは、粉末を拡散させるために吸入器を通って動く所定の吸気流プロファイルを生み出すために、流量制御弁を使用する。装置10はまた、端部キャップ14、15に適合された密封用のOリング23、23’も備え、ピン26、26’、27、27’は、端部キャップ14、15をチャンバ19に固定するために、端部キャップに適合するように構成される。
【0027】
[0037]図2は、保持器上に取り付けられた装置の一実施形態を示す概略的な上面図であり、この装置を、たとえば装置20などレーザ回折測定装置にどのように取り付けることができるかを示す。図2に見られるように、装置10は、たとえば装置20に設けられる標準的な保持器を置き換えるように適合させることができ、装置10は、たとえば、可動式であり噴煙をレーザビームから様々な距離で測定することを可能にするブラケット12によって、取付け手段またはプレート上に取り付けられる。装置10は、装置とともに設けることができる低真空の釣鐘形入口ポート24と平行な水平面内に装置10を保持する、たとえばブラケット12などのクランプを備えることができる。このようにして、装置内で吸入器から放出される粉末噴煙は、測定が行われた後に周囲空気内に粉末を残さずに、それが読み取られた直後に真空システム内へと排出することができる。レーザ回折装置を用いるこの設定での噴煙の測定値は、噴煙が吸入器から真空24に入る地点へと放出されるとすぐに得ることができる。一実施形態では、粉末噴煙は、吸入器のタイプに応じて所定の長さの時間の長さで測定することができる。たとえば、米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)と関連付けて本明細書に記載される高抵抗吸入器は、10秒未満の粉末噴煙を生み出すことができる。本明細書における実施形態では、測定は、吸入器から噴煙を吐出し始めてから10秒間またはそれ未満など、所定の時間に設定することができる。いくつかの実施形態では、測定は、吸入器の内部空気導管または通路に応じて、より短いまたはより長い持続時間にわたり、本システムを用いて行うことができる。
【0028】
[0038]図3は、一実施形態の概略破断側面図を示しており、固定手段としてクランプを備えるブラケット12により保持される、レーザ回折設定上に位置決めされた装置10を示し、装置10は、ピン26、27および溝17によって円筒19にしっかりと適合された2つの端部キャップ14、15を備え、近位端11とレーザビーム領域32の相対距離を示し、真空ホース24は、同じ平行平面内で近位端11に面して取り付けられる。図3はまた、装置10を、レーザ回折分析システムに取り付けられるトラック16などトラック上に取り付けることもできることを示す。
【0029】
[0039]図4は、例示的な装置の実施形態を、使用するためにレーザ回折装置20上にどのように取り付けることができるかを示す、概略斜視図を示す。この実施形態では、本装置10は、たとえばユニット20、22を備える吸入器分配ユニット(Sympatec GmbH)などの標準的なチャンバ部品の代替部品として、ブラケット12とともに採用される。図4は、端部キャップ14を有する円筒構造を備える装置10を示し、端部キャップ14は、加圧された空気または気体がチャンバ19に入ることを可能にするように流量計に連結されたホースまたはチューブを受ける、開口部18を有して構成される。
【0030】
[0040]図5は、装置の一実施形態の中心縦軸を通る概略断面図であり、使用位置にある保持器に適合された吸入器を示す。たとえば図5に示すものなど、いくつかの実施形態では、装置はさらに、Oリング23、25を備え、Oリング23、25は、端部キャップ14、15とともに、流れが粉末投与量を有する吸入器のみを通って、患者によって吸入器30が使用されているかのように移動するように、正圧下で密封を実現することができることをさらに保証するように構成される。図1〜図5に示す実施形態では、アダプタ10は、基部プレートに取り付けられる取付け手段12によって、システムに取り付けられる。この実施形態では、チャンバは必要に応じて、洗浄するために取り外すことができるが、常に取り付けたままにすることもできる。ただし、近位端構成要素は、新しい吸入器を設置するため、あるいは、毎回の使用後に新しい投与量または粉末を収容するカートリッジを吸入器に装填するために、取り外すことができる。
【0031】
[0041]図6〜図9は、ドライパウダ吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するためのレーザ回折装置とともに使用するための、アダプタ装置の別の実施形態を示す。この実施形態では、装置50の近位端は、取付け手段に取り付けられ、毎回の使用後に、取付けプレート72によって基部プレート55に恒久的に取り付けられたままとすることができる。この実施形態では、装置50の取り外し可能な構成要素は、チャンバ60であり、チャンバ60は、装置60の端部キャップ57内に挟みつけられるように構成された機構を備える。図6は、アダプタ装置50の分解図であり、すべての構成部品を示す。図6に示すように、アダプタ50は、円筒構造を有し、円筒構造は、チャンバ60を備え、チャンバ60は、近位端キャップまたはマウスピース取付けケース70に固定され係合可能なカラー63、および、チャンバの内部への正圧供給源を可能にするためにホースに連結するための穴を有する遠位端キャップ65を有し、チャンバ60は、スペーサ62およびブラケット63を備え、ブラケット63は、マウスピースアダプタ64およびマウスピース取付けケース70などの吸入器取付け手段に取付け可能であり、マウスピース取付けケース70は、側部または取付けプレート72に適合可能となるように構成され、取付けプレート72は、レーザビーム源付近の基部プレート55に連結される。この実施形態および他の実施形態では、装置50は、ガスケット67などの1つまたは複数のガスケット、ならびに、端部キャップおよび/またはクランプとの密閉を助ける1つまたは複数のOリング66を備えることができる。マウスピースアダプタ64は、封止部を形成することができる限り、対応する吸入器マウスピースに適合するような設計を有するように構成することができる。いくつかの実施形態では、マウスピースアダプタ64は、たとえば、気体を通さないゴムまたはプラスチック材料で製作することができる。マウスピース取付けケース70および取付けプレート72はそれぞれ、吸入器から出る粉末噴煙が通過中に邪魔されず、あるいは影響を受けないように、吸入器のマウスピースが開口部を通って突出することを可能にするための中央開口部を有する。基部プレート55は、レーザ回折システムに適合するためのクランプを備えることができ、粉末噴煙が測定される間に横断する距離を調整するために動かすことができるように構成される。本明細書における実施形態では、真空ホース74にアダプタ50を設けることもできる。この実施形態では、吸入器本体は、使用の際にチャンバ60内に囲みこまれる。いくつかの実施形態では、スペーサ62は、チャンバの内部に挿入することができ、同じ吸入器タイプとともに使用する際に、または異なる吸入器を用いるときに、吸入器を取り囲むチャンバ60内の空間を一定に維持するために、吸入器サイズに応じて異なる壁厚および様々な内腔直径および様々な材料で構成される。
【0032】
[0042]図7は、使用するために適合された組み立てられた装置50の概略側面図であり、チャンバ60、基部プレート55に取り付けられた取付けプレート72に連結された、端部キャップまたはマウスピース取付けケース70を示す。図8は、吸入器30を有するアダプタ装置50の縦軸を通る断面を示し、アダプタ装置50は、試験のために設置され、レーザ回折装置100内に取り付けられ、チャンバ60、スペーサ62、端部キャップ65を備え、マウスピース取付けケース70によってカラー63に取り付けられ、使用する準備ができている。図8はまた、マウスピース保持器に適合させられ、レンズ32のところのレーザビーム源付近に位置する吸入器を示す。
【0033】
[0043]図9は、レーザ回折装置100に連結され、使用のための位置にあるが、正圧源に連結されていないアダプタ50アセンブリを有する、レーザ回折装置100の斜視図を示す。
【0034】
[0044]別の実施形態では、加えられる所定の圧力プロファイルは、実際の患者の吸気プロファイルのシミュレーションとすることができる。プロファイルは、「吸入成果を模擬するための装置および方法(Apparatus and Method for Simulating Inhalation Efforts)」という名称の米国仮特許出願第61/257,813号で開示されるものなど、自動化されたピストン‐円筒アセンブリによって生み出される。一実施形態では、ピストン運動は、モータ制御される直線摺動部によって駆動される。円筒は、吸入器を収容するチャンバに直接連結される。円筒の運動は、プロファイルのシミュレーションを高精度で生み出すことができ、吸入器の抵抗のばらつきを補償することができる。
【0035】
[0045]一実施形態では、および、本装置を用いる動作中に、シミュレーションされた流れプロファイルが吸入器に適用されるとき、噴煙は、吸入器を通して患者の治療中の特徴と同様のやり方で吐出される。粉末噴煙は、チャンバなしのかつ/または周囲のレーザ測定区域を通り、真空円錐部に向かって進む。それを通過すると、粉末は、円錐部を通じて引き込まれる真空によって集められ、試験環境を全く汚染しないことを保証する。噴煙は、たとえば様々な通気孔を収容する標準的な方法で使用される十字形チャンバなどのチャンバを通って移動しなくてもよいので、その軌道および乱流は、個々の粒子の空気力学的プロパティおよび運動量によって制御される。これには2つの利点があり、第1に、機器の堆積物が最小限に抑えられ、レンズ上の粉末粒子の堆積がなくなり、使用者は吸入のグループの間にシステムを繰り返し延々と掃除しなくてもよくなり、第2に、噴煙の散乱を、適用される吸気流プロファイルによって制御することができる。本明細書で例示する実施形態では、乱流区域および通気流を含む周囲の影響は最小化され、使用者が噴煙プロパティを正確に定量化することを可能にする。
【0036】
[0046]本構成の一実施形態では、レーザ回折測定からのデータは、噴煙がレーザ測定区域を通過するのと等しい時間間隔で、システムによって収集することができる。この実施形態では、使用者はしたがって、チャンバの内側の噴煙を測定するときに、レーザ測定領域内で再循環する粒子を繰り返しカウントすることを最低限に抑えることにより,ドライパウダ吸入器から放出される粉末噴煙の、より正確で反復可能な評価を保証することができる。したがって、本発明の装置および方法は、吸入器から放出される粉末噴煙から測定される粒子分布測定値のばらつきを最小限に抑える。様々な流れプロファイルは、様々な特徴を有する噴煙を作り出すことができ、噴煙がレーザ測定領域を通過するときシステムによって分析することができる。測定値は、達成可能な何らかの吸気または吸入プロファイルと相互に関連付けることができる。
【0037】
[0047]本明細書に記載する実施形態では、装置10は、正圧の気体供給源と吸入器チャンバとの間に取り付けられるプログラム可能な流量制御弁によって、吸気流プロファイルの測定を可能にすることができる。一実施形態では、装置10は、プログラム可能なピストン−円筒アセンブリを、カートリッジ内にドライパウダを備えた吸入器を収容するチャンバ19に連結することによって、適合させることができる。この実施形態はまた、使用中の吸入器からの粉末噴煙吐出物による、レーザ回折装置およびシステムとともに使用されるレンズの汚染をなくすことができ、試験中の関連する粒子カウントの誤差を低減する。この方法は、以前のシステムの流れ乱流チャンバ内で捕らえられる同じ粒子の重複カウントを生じるおそれがある、流れの乱流を低減し、かつ、使用後に繰り返される掃除をなくす。この方法はまた、真空付属部などのみとともに動作する共通業界のシステムに関する、一般的な通気およびタイミングの課題をなくす。
【0038】
[0048]いくつかの実施形態では、装置10は、真空圧力、吸入器チャンバ圧力、および吸入器チャンバと真空源との間の距離を調整することにより、吸入器を出る噴煙の拡大を制御することを可能にすることができる。一実施形態では、装置10は、粒径分布を実験で測定された質量と相互に関連付けるために使用することができる、測定トリガ状態の制御を可能にする。この実施形態では、相互の関連付けは、複数の実験条件での測定で測定される粉末の量を推定するために使用することができる。本明細書に記載する実施形態では、装置および方法は、噴煙を作り出すための手段として真空を用いる従来の固定されたチャンバと比べて、噴煙のサイズおよび時間を制御するという利点を使用者にもたらす。
【0039】
[0049]米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなど、ドライパウダ吸入器は、本明細書に記載される装置を用いて試験された。
実施例
[0050]米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなどの吸入器システム上に取り付けられた、カートリッジ内に供給されたミリグラム(mg)単位の様々な量のインスリンおよびフマリルジケトピペラジン(fumaryl diketopiperazine)粒子の製剤の、レーザ回折装置(Helosレーザ回折センサ、Sympatec GmbH)に適合された装置の一実施形態を用いた粒径分布の測定が行われた。アダプタ装置は、Helos装置上に取り付けられる。装置の一端部が、流量計(TSI,Inc.Model4043)および圧縮空気源からの圧力または流れを調節するための弁に適合された、管機構に取り付けられる。図5に示すような吸入器は、装置に適合され、吸入器はまた、ドライパウダ製剤を収容するカートリッジを収容する。作動され、レーザビームの噴煙測定準備ができると、空気弁が作動されて、粉末が吸入器から吐出されることを可能にする。レーザシステムは、自動的に所定の測定条件に基づいて、吸入器装置から出る噴煙を測定する。レーザ回折システムは、装置と一体化されたソフトウェアによって動作させられ、コンピュータプログラムによって制御される。様々な量の粉末および様々な粉末を収容するサンプルの測定が行われた。測定条件は以下の通りである。
測定中の流量設定は、最大流量10〜40リットル/分である。
レーザ測定開始トリガ状態:特定の検出器チャネル上で0.6%より高いレーザ強度が検出されるとき。
レーザ測定終了トリガ状態:特定の検出器チャネル上で0.4%より低いレーザ強度が検出されるとき。
真空源は、250ミリバール、または30リットル/分より大きい流量に設定される。
真空源と吸入器チャンバとの間の距離は、約9.525cmである。
【0040】
[0051]レーザ回折装置から得られる測定値は、測定中に吐出される粉末の質量と相互に関連付けることができる。相関関係が確立されると、その相関関係を用いて、特定の測定用の諸実験条件での測定中に測定される粉末の量を推定することができる。吐出された粉末の重量を測定するために、吸入器から粉末が吐出される前および後にカートリッジの重量を測定した。粉末噴煙が測定された後に、データが分析され、グラフ化される。光学濃度および測定持続時間が得られた。図10は、上記で説明したような特許請求される装置を用いて得られた、試験される様々な量の粉末を収容する複数のサンプルのデータを示す。データは、使用される吸入器によって放出される粉末の量と相互に関連付けられる、レーザ回折システムによって測定された粉末の量を示すために、粉末の量(x軸)と測定時間で乗算された光学濃度(y軸)との間の相関関係を示すように、直線的な回帰曲線としてプロットされる。
【0041】
[0052]図11は、上記で説明した条件を用いて特許請求される装置を用いてレーザ回折システムによって測定される、インスリンおよびジケトピペラジン(diketopiperazine)を含む製剤の粒子を収容する10mgサンプルの粒径分布のデータを示す。図11では、特許請求される装置を用いるレーザシステムは、測定される粒子の78.35%が5.8μmより小さい粒径を有するという結果を示す。レーザは、上記測定条件で、0.484秒の測定持続時間中に37.67%の光学濃度を検出した。
【0042】
[0053]先行する開示は、例示的な実施形態である。本明細書で開示する装置、技術、および方法は、本開示を実行する際に良好に機能する代表的な実施形態を解明していることを、当業者は理解されたい。ただし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される固有の実施形態において多くの変更を行うことができ、同様のまたは類似の結果が依然得られることを、当業者は本開示を考慮して理解されたい。
【0043】
[0054]特に指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いられる、成分の量、分子量など特性、および反応条件などを表すすべての数字は、あらゆる場合に「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、その反対であると示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変わることがある概数である。最低限でも、かつ、特許請求の範囲の範囲への均等の原則の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、多くの報告された有効桁の数字に照らし、かつ通常の端数計算法を適用することにより、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは、概数であるが、特定の実施例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。ただし、いかなる数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差を本質的に含む。
【0044】
[0055]本発明の説明に関して(特に添付の特許請求の範囲に関して)用いられる、「a」、「an」、「the」という語、および同様の指示詞は、本明細書において特に指示されず、または明らかに文脈と矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲を記載することは、単に、その範囲内に含まれる各個別数値を個々に記載する簡易的方法となることが意図される。本明細書において特に指示されない限り、各個別数値は、それが本明細書に個別に引用されているものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において特に指示されず、または明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適当な順序で行うことができる。本明細書に示される、任意およびすべての実施例、または、例示的語句(たとえば「など」という語)の使用は、本発明の理解を容易にすることのみを意図しており、特許請求の範囲に記載される以外は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる語句も、本発明の実行に必要不可欠な特許請求されない何らかの要素を指示するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
[0056]添付の特許請求の範囲における「または」という語の使用は、代替のみを言及すること、または代替が相互に排他的であることが明確に指示されない限り、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は、代替のみならびに「および/または」を言及しているという定義を支持する。
【0046】
[0057]本明細書において開示される代替要素または本発明の実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループの構成員は、個別に、あるいは、グループの他の構成員または本明細書に見出される他の要素とを任意に組み合わせて、言及および特許請求することができる。グループの1つまたは複数の構成員は、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれるか、グループから削除され得ることが考えられる。そのような何らかの包含または削除が行われる場合、本明細書は、修正されたグループを本明細書において含み、添付の特許請求の範囲に用いられるすべてのマーカッシュグループの記載を満たすとみなされる。
【0047】
[0058]本発明のより好ましい実施形態は、本発明者に知られる本発明を実施するための最良のモードを含めて、本明細書に記載される。当然、上記説明を読めば、これらの好ましい実施形態の変形形態が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が、そのような変形形態を適当に採用することを期待し、本発明者らは、本明細書において具体的に説明された以外のやり方で本発明が実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるような、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題のすべての修正形態および同等物を包含する。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記要素の任意の組合せも、本明細書において特に指示されず、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0048】
[0059]本明細書において開示される固有の実施形態は、特許請求の範囲において、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」という語を用いて、さらに限定することができる。出願されたまたは補正により加えられた、特許請求の範囲において用いられる場合、「からなる(consisting of)」という移行用語は、特許請求の範囲において規定されない任意の要素、ステップ、または成分を除外する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行用語は、特定の材料またはステップ、ならびに基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに、請求項の範囲を限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書において、本質的にまたは明確に説明され、使用可能にされる。
【0049】
[0060]さらに、本明細書を通して、特許文献および刊行物を多数参照してきた。上記で引用した参照文献および刊行物はそれぞれ、それらの全体が参照として本明細書に個々に組み込まれる。
【0050】
[0061]さらに、本明細書で開示される本発明の実施形態は、本発明の原則の例示であることを理解されたい。他の修正形態は、本発明の範囲内で採用することができる。すなわち、例として、しかし限定ではなく、本発明の代替構成は、本明細書における教示に従って用いることができる。したがって、本発明は、図示および説明されるものに厳密に限定されない。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2009年3月18日出願の米国仮特許出願第61/161,379号の利益を主張するものであり、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、レーザ回折装置とともに使用するための改善された装置および方法に関する。詳細には、この装置は、ドライパウダ吸入器用のアダプタとして使用されるものであり、ドライパウダ吸入器から放出される粉末組成物の噴煙の粒径分布および密度をより正確に測定するためのより一貫した方法を提供する。
【0003】
[0003]本明細書において引用されるすべての参考文献およびそれらの参考文献は、追加または代替の詳細、特徴、および/または背景技術の教示に適する場合、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
[0004]本明細書にその開示全体が参照として組み込まれる米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなど、ドライパウダ吸入器は、吸気操作中に、カプセルまたはカートリッジ内の粉末製剤を解凝集すること(deagglomerating)により、一次薬物粒子または適当な吸入噴煙を生み出すことができる。投与を再現可能とするには、薬物製剤が均一であること、および投与量を患者に送達し一貫した再現可能な結果をもたらすことができる必要がある。したがって投与システムは、患者がその人の投与量を服用するときの吸気操作中に、効果的にすべての製剤を完全に吐出するように動作しなければならない。肺循環により薬剤を送達することの利点は数多く、動脈循環中への吸収が迅速であること、肝臓代謝による薬物の分解を防止すること、使用が容易であること、すなわち、たとえば皮下注射および静脈注射によるなど他の投与経路で生じる不快感など投与の不快感がないことなどが挙げられる。
【0005】
[0005]吸入器からの一貫した薬物送達は、部分的には、吸入装置の空気通路内の空気流の抵抗の一貫性による。米国特許第7,305,986号および同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に開示されるものなど、高抵抗ドライパウダ吸入器は、一貫性のあるやり方で薬物製剤を送達する。吸入器が使用中に投与量を一貫して送達するかどうかを、確認しまたは予想するために用いられる1つのパラメータは、部分的には空気導管の内部幾何学形状による、装置の空気流の抵抗である。投与の一貫性に関する別のパラメータは、使用中に吸入器から生み出される粉末噴煙の品質であり、この品質は、たとえば、ドライパウダのタイプ、および、吸入中に肺に届くことができる微粒子に粉末を解凝集(deagglomerate)する吸入器システムの能力など、様々な要因に応じて決まる。
【0006】
[0006]粒子分布を測定するための現在のシステムおよび方法は市販されているが、市販の装置は、比較的低抵抗の吸入器に使用することを目的とされる。たとえば、1つの標準的な方法では、吸入器モジュールは、ドライパウダ吸入器(DPI)内の粒径分布を定量するために、レーザ回折技術を用いる。標準的な吸入器モジュールは、チャンバを備え、このチャンバでは、吸入器が周囲空気内で外部に取り付けられ、噴煙が、取り囲まれたチャンバを通って移動する。噴煙は、チャンバを横断して生み出される真空によって形成され、粉末は、装置を通って流れる。チャンバの途中で、粉末噴煙は、レーザが投射される区域を通って移動し、レーザビームを粒子に衝突した後に回折させる。レーザ源の正面のセンサ群は、これらの回折パターンを測定し、ミー理論(Mie theory)(球形粒子による電磁放射の散乱についての式の解析解)を用いてそれらを解釈して、噴煙中の吸入器の粉末吐出物の粒径分布を定量する。使用の際に、真空は、チャンバ内に高圧および低圧の領域を生み出し、不均一な噴煙を作り出す可能性がある。
【0007】
[0007]この標準的な設定では、チャンバを通って噴煙が動く方法が、粉末噴煙の粒径分布を正確に定量するシステムの能力に悪影響を及ぼす。たとえば、チャンバ内の噴煙滞留時間は、正確な測定にとって決定的に重要である。理想的には、システムは、噴煙をリアルタイムで測定することができるべきである。たとえば、噴煙が0.5秒の時間間隔で吐出される場合、標準的なシステムは、約0.5秒で噴煙の検出および測定をすることができるべきである。
【0008】
[0008]チャンバ内の噴煙の粒径分布の測定に悪影響を及ぼす可能性がある、いくつかの他のパラメータが存在する。たとえば、乱流などチャンバ内部の環境影響のばらつき あるサイズの粉末粒子は、測定区域内でより長い時間を費やすことになる。この挙動により、粒子が複数回(少なくとも2回以上)測定されることになり、粒径分布全体におけるそれらの相対的な存在が増し、それにより実際のデータの誤った表現が生じる。
【0009】
[0009]さらに、従来技術のシステムおよび比較的小さい吸入装置を用いて行われる粒径分布測定は、使用するのに不便であり、たとえば、さらなる回折を生じる可能性があるアダプタのレンズを含めた内部表面における粉末堆積など、チャンバによってもたらされる条件のばらつきにより誤ったまたは再現不可能な結果を生じる。さらに、上記で説明したように装置の内側で生み出される乱流の増大により、アダプタおよびレンズを各回の使用後に繰り返し掃除しなければならず、それらはすべて、粉末噴煙の一貫性のない測定につながるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010]したがって、本発明者らは、いかなるレーザ回折装置にも適合される単純な装置、ならびに、患者に投与する際の粉末の質および吸入器の有効性を決定するために使用中の吸入器によって放出される粉末の特徴を確かめるために、粒子分布を測定するための方法を、設計および製造する必要があることを理解してきた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011]本明細書において開示されるのは、レーザ回折装置および/またはシステムに適合されるように構成され、かつ吸入装置とともに使用するための装置である。粉末製剤を用いて、試験中に吸入システムおよび/または装置によって放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための方法もまた、開示される。
【0012】
[0012]本明細書において開示される実施形態では、装置は、使用されるまたは試験される吸入器に応じた任意の形状またはサイズで構成されたアダプタを備える。一実施形態では、アダプタまたは装置は、管状または円筒構造を備え、この構造は、チャンバならびに近位端および遠位端を含む両端部を有し、遠位端は、閉じられるように構成され、加圧された空気または気体をチャンバ内へと通すために管機構に連結するための開口部を有し、近位端は、吸入器取付け手段を備え、吸入器取付け手段は、端部を閉じ、チャンバの近位端を覆うキャップに適合されるように構成され、キャップは、吸入器が取り付けられるときに空気導管が吸入器のみによって形成されるように密封を形成するための構造を有し、吸入器がチャンバ内に取り囲まれる。一実施形態では、近位端部キャップは、マウスピースアダプタ、マウスピースアダプタケース、ガスケット、マウスピースアダプタカバー、端部キャップ、および取付け可能であり基部プレートに連結された取付けプレート上に取り付けられるように構成されたクランプを、備えることができる。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、および吸入器の設計に応じて、チャンバは、正圧源を受けるように構成された入口ポート、および吸入器のマウスピース部分を保持するように構成された出口ポートを有する、閉じた構成を備えることができ、任意で端部キャップを設けることができる。
【0014】
[0014]別の実施形態では、アダプタまたは装置は、固定手段を備えることができ、固定手段は、プラットフォーム上に取り付けられるように構成され、チャンバを保持または不動化するように構成されたクランプを備える。一実施形態では、チャンバの不動化は、たとえば、チャンバの近位端など、一端部にて行うことができる。一実施形態では、装置は、空洞を有するチャンバを備え、チャンバは、スペーサおよび端部キャップを備える。一実施形態では、スペーサは、試験される様々な吸入器タイプのためにチャンバサイズを一定に維持する際に、空洞のサイズを最小化または低減するように、チャンバ内へと挿入可能に構成される。
【0015】
[0015]一実施形態では、装置は、レーザ回折装置に適合されるように構成され、息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成された円筒を備え、円筒は、遠位端および近位端と、前記遠位端に適合されるように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合されるように構成された第2の端部キャップとを備え、前記第1の端部キャップは、流量計に連結された管機構に適合するための開口部を有するように構成され、前記近位端は、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を取り付けるように構成された保持器を有するように構成される。一実施形態では、装置は、第1の端部キャップおよび第2の端部キャップを密封するためのガスケットおよび/またはOリングを備え、第2の端部キャップは、吸入器マウスピースアダプタを有するように構成される。
【0016】
[0016]一実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒子分布を測定する方法は、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、ドライパウダ医薬を備える吸入器を装置上に設置するステップと、吸入器から出る粉末の噴煙を加圧し作り出すように、装置内へと入る、正圧で駆動され空気または気体を含む流れを提供するステップと、吸入器から放出される粒子を、チャンバなしのおよび/または周囲の環境内でレーザ回折装置を用いて測定するステップとを含む。一実施形態では、吐出される粉末の噴煙は、測定後に使い捨て可能なシステム内へと吸い込まれ、真空源は、約200から約250ミリバールまたは30リットル/分より大きい流量で設けられる。
【0017】
[0017]別の実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒径分布を測定する方法は、ドライパウダ製剤を含む、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、前記息により動かされる吸入器を前記装置内に設置するステップと、前記装置と適合されたレーザ回折システムを作動させるステップと、装置を加圧し、ドライパウダ製剤が吸入器を出る粉末噴煙として吐出されるように吸入器を通る空気または気体の流れを作り出すために、装置内に入る加圧された空気または気体の流れを提供するステップと、チャンバなしのかつ/または周囲条件の環境内ならびに真空下で、レーザ回折装置を用いて吸入器から出る粒子を測定するステップとを含む。一実施形態では、真空源は、約250ミリバールで、または30リットル/分より大きい流量で設けられる。この他の実施形態では、吸入器からの粉末噴煙の吐出を生み出すために提供される正圧により生み出される最大流量は、約10から約40リットル/分の範囲である。
【0018】
[0018]一実施形態では、レーザ回折装置に適合するように構成された装置が開示され、この装置は、息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバを備え、前記チャンバは、遠位端および近位端と、前記遠位端に適合するように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合するように構成された第2の端部キャップとを有し、前記第1の端部キャップは、流量弁制御部に連結される管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記近位端は、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を保持するように構成された、マウスピース取付け手段を有するように構成される。
【0019】
[0019]さらに別の実施形態では、レーザ回折装置と適合するように構成された装置が開示され、この装置は、マウスピースおよび本体を有する息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバであって、遠位端および近位端、空洞、入口ポートおよび出口ポートを備えるチャンバと、前記入口ポートおよび/または前記出口ポートに適合するように構成された1つまたは複数の端部キャップであって、前記入口ポートが、正圧源と開口部を有し吸入器マウスピースを前記開口部の定位置に保持するように構成された吸入器取付け手段とを受けるように構成された端部キャップと、装置取付け手段とを備え、前記吸入器取付け手段内に設置された息により動かされるドライパウダ吸入器は、その本体が前記チャンバ内に取り囲まれ、チャンバの空洞とチャンバなしのおよび/または周囲の環境との間に空気通路を形成する。
【0020】
[0020]別の実施形態では、レーザ回折装置を用いて粒径分布を測定する方法が提供され、この方法は、チャンバを備え、本体を有しドライパウダ製剤を含む、息により動かされるドライパウダ吸入器を閉じた環境内に保持するように構成された装置を提供するステップと、前記ドライパウダ吸入器の本体がチャンバ内に取り囲まれるように、息により動かされる吸入器をチャンバ内に設置するステップと、ドライパウダ製剤の粒子を吐出するためにドライパウダ吸入器を通る空気または気体の流れを生み出すための正圧を装置のチャンバ内に提供するステップと、吸入器からチャンバなしのおよび/または周囲の環境内へと放出される粒子を、レーザ回折装置を用いて測定するステップとを含む。一実施形態では、この方法は、マウスピースおよび本体を有する、息により動かされるドライパウダ吸入器に適用することができ、このマウスピースは、チャンバからチャンバなしのおよび/または周囲の環境への空気通路を形成する。一実施形態では、チャンバ内に正圧をもたらすステップは、弁または注射器ポンプを備える流量制御システムからの加圧された気体の供給源によって達成され、加えられる正圧は、1kPaより大きい。別の実施形態では、この方法は、吸入器からの粒子の放出と同時に生じる放出された粉末粒子の吐出を、レーザ回折装置を用いて測定するステップを含む。
【0021】
[0021]本明細書に記載する実施形態では、装置および方法は、加圧された空気または窒素などの気体を含む任意の正圧源を用い、制御された温度、圧力、湿度、および流量で、一貫性および再現可能性を有する、吐出される粉末の粒径分布および密度の分析に基づく吸入器の性能評価を可能にすることができる。一実施形態では、チャンバ内の吸入器から吐出物を送達するために用いられる正圧は、5リットル/分または10リットル/分より大きい最大流量を生み出す。特定の実施形態では、最大流量は、約10から約50リットル/分の範囲である。別の実施形態では、吸入器マウスピース開口部から真空源ホース開口部までの距離は、5cmより大きくすることができる。特定の一実施形態では、吸入器マウスピース開口部から真空源ホース開口部までの距離は、5cmより大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】[0022]レーザ回折粒子測定装置に適合させるための装置の一実施形態を示す、部分的に分解された構成の斜視図である。
【図1B】構成部品を示す図1Aの分解図である。
【図2】[0023]粉末噴煙が移動する区域を示す、レーザ回折測定装置上に取り付けられた図1の実施形態を示す上面図である。
【図3】[0024]レーザ回折装置上に位置決めされた装置を示す、図1の実施形態を示す概略的な破断側面図である。
【図4】[0025]使用するためにレーザ回折装置上に取り付けられた装置を示す概略斜視図である。
【図5】[0026]使用位置にある保持器に適合された吸入器を示す、装置の一実施形態の中心縦軸を通る概略断面図である。
【図6】[0027]レーザ回折粒子測定装置に適合させるための装置の代替実施形態を示す、部分的に分解された構成の斜視図である。
【図7】[0028]取付けプレート上の取付け機構に取り付けられた、図6の実施形態を示す側面図である。
【図8】[0029]吸入器が定位置に取り付けられた状態にある、図6のアダプタの縦軸を通る断面斜視図である。
【図9】[0030]レーザ回折装置上の取付け機構上に取り付けられた、図6〜図9の実施形態を示す図である。
【図10】[0031]ドライパウダ吸入器ならびにインスリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子を含む吸入用のドライパウダ組成物に適合された、本明細書に記載される装置の実施形態を備えるレーザ回折装置を用いて製作された、光学濃度×測定時間対実際の吐出質量のグラフを示す。
【図11】[0032]本明細書に記載される装置の一実施形態に適合させられたレーザ回折装置、ならびに、インスリンおよびフマリルジケトピペラジン粒子を含む吸入用のドライパウダ製剤を収容する吸入器を用いて得られる粒径分布を示す、図10に示す実験により得られたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0033]本明細書において開示される実施形態では、吸入器から吐出される粉末の噴煙から粒径分布および粒子の密度を測定するための、レーザ回折装置およびシステムとともに使用するための、装置および方法が開示される。本明細書において開示される実施形態では、噴煙は、チャンバにより誘導される要素から生じる妨害または外乱を伴わずに測定空間を横断することができるので、装置は、息により動かされる吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための有利な方法を提供する。
【0024】
[0034]ここで例示する一実施形態では、装置は、金属、複合材料、および/またはプラスチックを含むいかなる材料から製作することもでき、負圧で駆動されるシステムではなく、たとえばSympatec GmbH社によるHeliosシステムとともに従来から使用される正圧で駆動されるシステムの使用を可能にする。この実施形態では、粉末投与量を含む吸入器を収容するチャンバに加えられる正圧は、吸入器内に収容される粉末を、吸入器に通して流し、ほぼ垂直のレーザビームが横断する周囲空気を横切るほぼ水平の軸内で、吸入器のマウスピースを通して吐出させるために使用される。本実施形態および他の実施形態では、粉末を含む試験吸入器がチャンバ内に配置され、チャンバが閉じられ、システムが作動され、流量制御弁が、吸入器のタイプに応じた所定の速度で空気をチャンバ内へと流すことを可能にする。
【0025】
[0035]図1Aおよび図1Bに示す一実施形態では、アダプタまたは装置10は、2つ以上の開口部を有する構造を備えることができ、少なくとも2つが、両端部である近位端11および遠位端13にあり、少なくとも1つの端部である遠位端13は、加圧された空気またはたとえば窒素など気体の供給源と連通するように構成され、反対側の端部11は、たとえば吸入器30などの吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するための、レーザビーム放出装置20の領域32(図3)付近にある。
【0026】
[0036]図1Bは、図1Aの実施形態の分解図であり、装置10が、円筒またはチャンバ19を閉じるために両端部11、13に配置される蓋または端部キャップ14、15を固定するための、溝17も備えることをさらに示す。装置10はさらに、吸入器30(図5)のマウスピース端部を受けるように構成された開口部28を備える、保持器または吸入器アダプタ21を取付け手段として備える。図5は、装置10上に取り付けられ、円筒19の一端部に配置され、装置10の近位端を封止するように構成された吸入器アダプタ21内に設置された、吸入器30の外略図を示す。端部キャップ15は、端部キャップ14の外面と面一になるようなやり方で、遠位端13に適合するように構成される。チャンバ19の後端部13は、開口部18を通る低抵抗流量計および圧力管路(図示せず)に連結される。このシステムは、粉末を拡散させるために吸入器を通って動く所定の吸気流プロファイルを生み出すために、流量制御弁を使用する。装置10はまた、端部キャップ14、15に適合された密封用のOリング23、23’も備え、ピン26、26’、27、27’は、端部キャップ14、15をチャンバ19に固定するために、端部キャップに適合するように構成される。
【0027】
[0037]図2は、保持器上に取り付けられた装置の一実施形態を示す概略的な上面図であり、この装置を、たとえば装置20などレーザ回折測定装置にどのように取り付けることができるかを示す。図2に見られるように、装置10は、たとえば装置20に設けられる標準的な保持器を置き換えるように適合させることができ、装置10は、たとえば、可動式であり噴煙をレーザビームから様々な距離で測定することを可能にするブラケット12によって、取付け手段またはプレート上に取り付けられる。装置10は、装置とともに設けることができる低真空の釣鐘形入口ポート24と平行な水平面内に装置10を保持する、たとえばブラケット12などのクランプを備えることができる。このようにして、装置内で吸入器から放出される粉末噴煙は、測定が行われた後に周囲空気内に粉末を残さずに、それが読み取られた直後に真空システム内へと排出することができる。レーザ回折装置を用いるこの設定での噴煙の測定値は、噴煙が吸入器から真空24に入る地点へと放出されるとすぐに得ることができる。一実施形態では、粉末噴煙は、吸入器のタイプに応じて所定の長さの時間の長さで測定することができる。たとえば、米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)と関連付けて本明細書に記載される高抵抗吸入器は、10秒未満の粉末噴煙を生み出すことができる。本明細書における実施形態では、測定は、吸入器から噴煙を吐出し始めてから10秒間またはそれ未満など、所定の時間に設定することができる。いくつかの実施形態では、測定は、吸入器の内部空気導管または通路に応じて、より短いまたはより長い持続時間にわたり、本システムを用いて行うことができる。
【0028】
[0038]図3は、一実施形態の概略破断側面図を示しており、固定手段としてクランプを備えるブラケット12により保持される、レーザ回折設定上に位置決めされた装置10を示し、装置10は、ピン26、27および溝17によって円筒19にしっかりと適合された2つの端部キャップ14、15を備え、近位端11とレーザビーム領域32の相対距離を示し、真空ホース24は、同じ平行平面内で近位端11に面して取り付けられる。図3はまた、装置10を、レーザ回折分析システムに取り付けられるトラック16などトラック上に取り付けることもできることを示す。
【0029】
[0039]図4は、例示的な装置の実施形態を、使用するためにレーザ回折装置20上にどのように取り付けることができるかを示す、概略斜視図を示す。この実施形態では、本装置10は、たとえばユニット20、22を備える吸入器分配ユニット(Sympatec GmbH)などの標準的なチャンバ部品の代替部品として、ブラケット12とともに採用される。図4は、端部キャップ14を有する円筒構造を備える装置10を示し、端部キャップ14は、加圧された空気または気体がチャンバ19に入ることを可能にするように流量計に連結されたホースまたはチューブを受ける、開口部18を有して構成される。
【0030】
[0040]図5は、装置の一実施形態の中心縦軸を通る概略断面図であり、使用位置にある保持器に適合された吸入器を示す。たとえば図5に示すものなど、いくつかの実施形態では、装置はさらに、Oリング23、25を備え、Oリング23、25は、端部キャップ14、15とともに、流れが粉末投与量を有する吸入器のみを通って、患者によって吸入器30が使用されているかのように移動するように、正圧下で密封を実現することができることをさらに保証するように構成される。図1〜図5に示す実施形態では、アダプタ10は、基部プレートに取り付けられる取付け手段12によって、システムに取り付けられる。この実施形態では、チャンバは必要に応じて、洗浄するために取り外すことができるが、常に取り付けたままにすることもできる。ただし、近位端構成要素は、新しい吸入器を設置するため、あるいは、毎回の使用後に新しい投与量または粉末を収容するカートリッジを吸入器に装填するために、取り外すことができる。
【0031】
[0041]図6〜図9は、ドライパウダ吸入器から放出される粉末噴煙の粒径分布を測定するためのレーザ回折装置とともに使用するための、アダプタ装置の別の実施形態を示す。この実施形態では、装置50の近位端は、取付け手段に取り付けられ、毎回の使用後に、取付けプレート72によって基部プレート55に恒久的に取り付けられたままとすることができる。この実施形態では、装置50の取り外し可能な構成要素は、チャンバ60であり、チャンバ60は、装置60の端部キャップ57内に挟みつけられるように構成された機構を備える。図6は、アダプタ装置50の分解図であり、すべての構成部品を示す。図6に示すように、アダプタ50は、円筒構造を有し、円筒構造は、チャンバ60を備え、チャンバ60は、近位端キャップまたはマウスピース取付けケース70に固定され係合可能なカラー63、および、チャンバの内部への正圧供給源を可能にするためにホースに連結するための穴を有する遠位端キャップ65を有し、チャンバ60は、スペーサ62およびブラケット63を備え、ブラケット63は、マウスピースアダプタ64およびマウスピース取付けケース70などの吸入器取付け手段に取付け可能であり、マウスピース取付けケース70は、側部または取付けプレート72に適合可能となるように構成され、取付けプレート72は、レーザビーム源付近の基部プレート55に連結される。この実施形態および他の実施形態では、装置50は、ガスケット67などの1つまたは複数のガスケット、ならびに、端部キャップおよび/またはクランプとの密閉を助ける1つまたは複数のOリング66を備えることができる。マウスピースアダプタ64は、封止部を形成することができる限り、対応する吸入器マウスピースに適合するような設計を有するように構成することができる。いくつかの実施形態では、マウスピースアダプタ64は、たとえば、気体を通さないゴムまたはプラスチック材料で製作することができる。マウスピース取付けケース70および取付けプレート72はそれぞれ、吸入器から出る粉末噴煙が通過中に邪魔されず、あるいは影響を受けないように、吸入器のマウスピースが開口部を通って突出することを可能にするための中央開口部を有する。基部プレート55は、レーザ回折システムに適合するためのクランプを備えることができ、粉末噴煙が測定される間に横断する距離を調整するために動かすことができるように構成される。本明細書における実施形態では、真空ホース74にアダプタ50を設けることもできる。この実施形態では、吸入器本体は、使用の際にチャンバ60内に囲みこまれる。いくつかの実施形態では、スペーサ62は、チャンバの内部に挿入することができ、同じ吸入器タイプとともに使用する際に、または異なる吸入器を用いるときに、吸入器を取り囲むチャンバ60内の空間を一定に維持するために、吸入器サイズに応じて異なる壁厚および様々な内腔直径および様々な材料で構成される。
【0032】
[0042]図7は、使用するために適合された組み立てられた装置50の概略側面図であり、チャンバ60、基部プレート55に取り付けられた取付けプレート72に連結された、端部キャップまたはマウスピース取付けケース70を示す。図8は、吸入器30を有するアダプタ装置50の縦軸を通る断面を示し、アダプタ装置50は、試験のために設置され、レーザ回折装置100内に取り付けられ、チャンバ60、スペーサ62、端部キャップ65を備え、マウスピース取付けケース70によってカラー63に取り付けられ、使用する準備ができている。図8はまた、マウスピース保持器に適合させられ、レンズ32のところのレーザビーム源付近に位置する吸入器を示す。
【0033】
[0043]図9は、レーザ回折装置100に連結され、使用のための位置にあるが、正圧源に連結されていないアダプタ50アセンブリを有する、レーザ回折装置100の斜視図を示す。
【0034】
[0044]別の実施形態では、加えられる所定の圧力プロファイルは、実際の患者の吸気プロファイルのシミュレーションとすることができる。プロファイルは、「吸入成果を模擬するための装置および方法(Apparatus and Method for Simulating Inhalation Efforts)」という名称の米国仮特許出願第61/257,813号で開示されるものなど、自動化されたピストン‐円筒アセンブリによって生み出される。一実施形態では、ピストン運動は、モータ制御される直線摺動部によって駆動される。円筒は、吸入器を収容するチャンバに直接連結される。円筒の運動は、プロファイルのシミュレーションを高精度で生み出すことができ、吸入器の抵抗のばらつきを補償することができる。
【0035】
[0045]一実施形態では、および、本装置を用いる動作中に、シミュレーションされた流れプロファイルが吸入器に適用されるとき、噴煙は、吸入器を通して患者の治療中の特徴と同様のやり方で吐出される。粉末噴煙は、チャンバなしのかつ/または周囲のレーザ測定区域を通り、真空円錐部に向かって進む。それを通過すると、粉末は、円錐部を通じて引き込まれる真空によって集められ、試験環境を全く汚染しないことを保証する。噴煙は、たとえば様々な通気孔を収容する標準的な方法で使用される十字形チャンバなどのチャンバを通って移動しなくてもよいので、その軌道および乱流は、個々の粒子の空気力学的プロパティおよび運動量によって制御される。これには2つの利点があり、第1に、機器の堆積物が最小限に抑えられ、レンズ上の粉末粒子の堆積がなくなり、使用者は吸入のグループの間にシステムを繰り返し延々と掃除しなくてもよくなり、第2に、噴煙の散乱を、適用される吸気流プロファイルによって制御することができる。本明細書で例示する実施形態では、乱流区域および通気流を含む周囲の影響は最小化され、使用者が噴煙プロパティを正確に定量化することを可能にする。
【0036】
[0046]本構成の一実施形態では、レーザ回折測定からのデータは、噴煙がレーザ測定区域を通過するのと等しい時間間隔で、システムによって収集することができる。この実施形態では、使用者はしたがって、チャンバの内側の噴煙を測定するときに、レーザ測定領域内で再循環する粒子を繰り返しカウントすることを最低限に抑えることにより,ドライパウダ吸入器から放出される粉末噴煙の、より正確で反復可能な評価を保証することができる。したがって、本発明の装置および方法は、吸入器から放出される粉末噴煙から測定される粒子分布測定値のばらつきを最小限に抑える。様々な流れプロファイルは、様々な特徴を有する噴煙を作り出すことができ、噴煙がレーザ測定領域を通過するときシステムによって分析することができる。測定値は、達成可能な何らかの吸気または吸入プロファイルと相互に関連付けることができる。
【0037】
[0047]本明細書に記載する実施形態では、装置10は、正圧の気体供給源と吸入器チャンバとの間に取り付けられるプログラム可能な流量制御弁によって、吸気流プロファイルの測定を可能にすることができる。一実施形態では、装置10は、プログラム可能なピストン−円筒アセンブリを、カートリッジ内にドライパウダを備えた吸入器を収容するチャンバ19に連結することによって、適合させることができる。この実施形態はまた、使用中の吸入器からの粉末噴煙吐出物による、レーザ回折装置およびシステムとともに使用されるレンズの汚染をなくすことができ、試験中の関連する粒子カウントの誤差を低減する。この方法は、以前のシステムの流れ乱流チャンバ内で捕らえられる同じ粒子の重複カウントを生じるおそれがある、流れの乱流を低減し、かつ、使用後に繰り返される掃除をなくす。この方法はまた、真空付属部などのみとともに動作する共通業界のシステムに関する、一般的な通気およびタイミングの課題をなくす。
【0038】
[0048]いくつかの実施形態では、装置10は、真空圧力、吸入器チャンバ圧力、および吸入器チャンバと真空源との間の距離を調整することにより、吸入器を出る噴煙の拡大を制御することを可能にすることができる。一実施形態では、装置10は、粒径分布を実験で測定された質量と相互に関連付けるために使用することができる、測定トリガ状態の制御を可能にする。この実施形態では、相互の関連付けは、複数の実験条件での測定で測定される粉末の量を推定するために使用することができる。本明細書に記載する実施形態では、装置および方法は、噴煙を作り出すための手段として真空を用いる従来の固定されたチャンバと比べて、噴煙のサイズおよび時間を制御するという利点を使用者にもたらす。
【0039】
[0049]米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなど、ドライパウダ吸入器は、本明細書に記載される装置を用いて試験された。
実施例
[0050]米国特許第7,305,986号、同第7,464,706号、および米国特許出願第12/484,129(2009/0308391)号に記載されるものなどの吸入器システム上に取り付けられた、カートリッジ内に供給されたミリグラム(mg)単位の様々な量のインスリンおよびフマリルジケトピペラジン(fumaryl diketopiperazine)粒子の製剤の、レーザ回折装置(Helosレーザ回折センサ、Sympatec GmbH)に適合された装置の一実施形態を用いた粒径分布の測定が行われた。アダプタ装置は、Helos装置上に取り付けられる。装置の一端部が、流量計(TSI,Inc.Model4043)および圧縮空気源からの圧力または流れを調節するための弁に適合された、管機構に取り付けられる。図5に示すような吸入器は、装置に適合され、吸入器はまた、ドライパウダ製剤を収容するカートリッジを収容する。作動され、レーザビームの噴煙測定準備ができると、空気弁が作動されて、粉末が吸入器から吐出されることを可能にする。レーザシステムは、自動的に所定の測定条件に基づいて、吸入器装置から出る噴煙を測定する。レーザ回折システムは、装置と一体化されたソフトウェアによって動作させられ、コンピュータプログラムによって制御される。様々な量の粉末および様々な粉末を収容するサンプルの測定が行われた。測定条件は以下の通りである。
測定中の流量設定は、最大流量10〜40リットル/分である。
レーザ測定開始トリガ状態:特定の検出器チャネル上で0.6%より高いレーザ強度が検出されるとき。
レーザ測定終了トリガ状態:特定の検出器チャネル上で0.4%より低いレーザ強度が検出されるとき。
真空源は、250ミリバール、または30リットル/分より大きい流量に設定される。
真空源と吸入器チャンバとの間の距離は、約9.525cmである。
【0040】
[0051]レーザ回折装置から得られる測定値は、測定中に吐出される粉末の質量と相互に関連付けることができる。相関関係が確立されると、その相関関係を用いて、特定の測定用の諸実験条件での測定中に測定される粉末の量を推定することができる。吐出された粉末の重量を測定するために、吸入器から粉末が吐出される前および後にカートリッジの重量を測定した。粉末噴煙が測定された後に、データが分析され、グラフ化される。光学濃度および測定持続時間が得られた。図10は、上記で説明したような特許請求される装置を用いて得られた、試験される様々な量の粉末を収容する複数のサンプルのデータを示す。データは、使用される吸入器によって放出される粉末の量と相互に関連付けられる、レーザ回折システムによって測定された粉末の量を示すために、粉末の量(x軸)と測定時間で乗算された光学濃度(y軸)との間の相関関係を示すように、直線的な回帰曲線としてプロットされる。
【0041】
[0052]図11は、上記で説明した条件を用いて特許請求される装置を用いてレーザ回折システムによって測定される、インスリンおよびジケトピペラジン(diketopiperazine)を含む製剤の粒子を収容する10mgサンプルの粒径分布のデータを示す。図11では、特許請求される装置を用いるレーザシステムは、測定される粒子の78.35%が5.8μmより小さい粒径を有するという結果を示す。レーザは、上記測定条件で、0.484秒の測定持続時間中に37.67%の光学濃度を検出した。
【0042】
[0053]先行する開示は、例示的な実施形態である。本明細書で開示する装置、技術、および方法は、本開示を実行する際に良好に機能する代表的な実施形態を解明していることを、当業者は理解されたい。ただし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される固有の実施形態において多くの変更を行うことができ、同様のまたは類似の結果が依然得られることを、当業者は本開示を考慮して理解されたい。
【0043】
[0054]特に指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いられる、成分の量、分子量など特性、および反応条件などを表すすべての数字は、あらゆる場合に「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、その反対であると示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変わることがある概数である。最低限でも、かつ、特許請求の範囲の範囲への均等の原則の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、多くの報告された有効桁の数字に照らし、かつ通常の端数計算法を適用することにより、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは、概数であるが、特定の実施例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。ただし、いかなる数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差を本質的に含む。
【0044】
[0055]本発明の説明に関して(特に添付の特許請求の範囲に関して)用いられる、「a」、「an」、「the」という語、および同様の指示詞は、本明細書において特に指示されず、または明らかに文脈と矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲を記載することは、単に、その範囲内に含まれる各個別数値を個々に記載する簡易的方法となることが意図される。本明細書において特に指示されない限り、各個別数値は、それが本明細書に個別に引用されているものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において特に指示されず、または明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適当な順序で行うことができる。本明細書に示される、任意およびすべての実施例、または、例示的語句(たとえば「など」という語)の使用は、本発明の理解を容易にすることのみを意図しており、特許請求の範囲に記載される以外は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる語句も、本発明の実行に必要不可欠な特許請求されない何らかの要素を指示するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
[0056]添付の特許請求の範囲における「または」という語の使用は、代替のみを言及すること、または代替が相互に排他的であることが明確に指示されない限り、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は、代替のみならびに「および/または」を言及しているという定義を支持する。
【0046】
[0057]本明細書において開示される代替要素または本発明の実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループの構成員は、個別に、あるいは、グループの他の構成員または本明細書に見出される他の要素とを任意に組み合わせて、言及および特許請求することができる。グループの1つまたは複数の構成員は、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれるか、グループから削除され得ることが考えられる。そのような何らかの包含または削除が行われる場合、本明細書は、修正されたグループを本明細書において含み、添付の特許請求の範囲に用いられるすべてのマーカッシュグループの記載を満たすとみなされる。
【0047】
[0058]本発明のより好ましい実施形態は、本発明者に知られる本発明を実施するための最良のモードを含めて、本明細書に記載される。当然、上記説明を読めば、これらの好ましい実施形態の変形形態が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が、そのような変形形態を適当に採用することを期待し、本発明者らは、本明細書において具体的に説明された以外のやり方で本発明が実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるような、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題のすべての修正形態および同等物を包含する。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記要素の任意の組合せも、本明細書において特に指示されず、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0048】
[0059]本明細書において開示される固有の実施形態は、特許請求の範囲において、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」という語を用いて、さらに限定することができる。出願されたまたは補正により加えられた、特許請求の範囲において用いられる場合、「からなる(consisting of)」という移行用語は、特許請求の範囲において規定されない任意の要素、ステップ、または成分を除外する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行用語は、特定の材料またはステップ、ならびに基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに、請求項の範囲を限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書において、本質的にまたは明確に説明され、使用可能にされる。
【0049】
[0060]さらに、本明細書を通して、特許文献および刊行物を多数参照してきた。上記で引用した参照文献および刊行物はそれぞれ、それらの全体が参照として本明細書に個々に組み込まれる。
【0050】
[0061]さらに、本明細書で開示される本発明の実施形態は、本発明の原則の例示であることを理解されたい。他の修正形態は、本発明の範囲内で採用することができる。すなわち、例として、しかし限定ではなく、本発明の代替構成は、本明細書における教示に従って用いることができる。したがって、本発明は、図示および説明されるものに厳密に限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ回折装置に適合されるように構成された装置であって、
マウスピースおよび本体を有し息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバであって、空洞と、入口ポートと、出口ポートとを画成する遠位端および近位端を備えるチャンバと、
前記入口ポートおよび/または前記出口ポートに適合するように構成された、1つまたは複数の端部キャップであって、前記入口ポートが正圧源を受けるように構成されている、端部キャップと、
装置取付け手段とを備え、
前記吸入器取付け手段内に設置された息により動かされるドライパウダ吸入器の本体が、前記チャンバ内に取り囲まれ、前記チャンバ空洞とチャンバなしのかつ/または周囲の環境との間に空気通路を形成する装置。
【請求項2】
開口部を有し、吸入器マウスピースを前記開口部内の定位置に保持するように構成された吸入器取付け手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数の端部キャップが第1の端部キャップと、第2の端部キャップとを含み、前記第1の端部キャップは前記チャンバの前記遠位端に位置決めされ、管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記チャンバの前記近位端に位置決めされ、前記第2の端部キャップは前記吸入器の前記マウスピースを受けるように構成された開口部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
弁または注射器ポンプを有する流量制御システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンバが、前記装置取付け手段から取り外し可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
1つまたは複数のガスケットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
1つまたは複数のOリングをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバを前記装置取付け手段に固定するためのクランプ機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記チャンバ内に挿入可能なスペーサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
レーザ回折装置に適合されるように構成された装置であって、
息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成され、遠位端および近位端を有するチャンバと、
前記遠位端に適合するように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合するように構成された第2の端部キャップとを備え、前記第1の端部キャップが、流量制御装置および正圧源に連結される管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記近位端が、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を保持するように構成されたマウスピース取付け手段を有するように構成されている装置。
【請求項11】
前記マウスピース取付け手段が、前記第1の端部キャップに適合されるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
弁または注射器ポンプを有する流量制御システムをさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
レーザ回折装置を用いて少なくとも1つの粒子の特徴を測定する方法であって、
チャンバを備える装置であって、本体を有しドライパウダ製剤を備える息により動かされるドライパウダ吸入器を、閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、
前記ドライパウダ吸入器の前記本体が前記チャンバ内に取り囲まれるように、前記息により動かされる吸入器を前記チャンバ内に設置するステップと、
前記ドライパウダ製剤の粒子を吐出するために、前記ドライパウダ吸入器を通る空気または気体の流れを生み出すように、前記装置の前記チャンバ内に正圧をもたらすステップと、
前記レーザ回折装置を用いて前記少なくとも1つの粒子特徴を測定するステップとを含み、
前記粒子が、前記吸入器からチャンバなしのかつ/または周囲の環境内へと放出される方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの粒子特徴が、粒子密度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの粒子特徴が、粒径分布である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記息により動かされるドライパウダ吸入器が、マウスピースを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記マウスピースが、前記チャンバから前記チャンバなしのかつ/または周囲の環境へと空気通路を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ内に正圧をもたらす前記ステップが、弁または注射器ポンプを備える流量制御システムからの加圧された気体の供給源によって達成される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
加えられる前記正圧が、1kPaより大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
レーザ回折装置を用いて測定する前記ステップが、前記吸入器からの粒子の放出と同時に生じる、請求項13に記載の方法。
【請求項1】
レーザ回折装置に適合されるように構成された装置であって、
マウスピースおよび本体を有し息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成されたチャンバであって、空洞と、入口ポートと、出口ポートとを画成する遠位端および近位端を備えるチャンバと、
前記入口ポートおよび/または前記出口ポートに適合するように構成された、1つまたは複数の端部キャップであって、前記入口ポートが正圧源を受けるように構成されている、端部キャップと、
装置取付け手段とを備え、
前記吸入器取付け手段内に設置された息により動かされるドライパウダ吸入器の本体が、前記チャンバ内に取り囲まれ、前記チャンバ空洞とチャンバなしのかつ/または周囲の環境との間に空気通路を形成する装置。
【請求項2】
開口部を有し、吸入器マウスピースを前記開口部内の定位置に保持するように構成された吸入器取付け手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数の端部キャップが第1の端部キャップと、第2の端部キャップとを含み、前記第1の端部キャップは前記チャンバの前記遠位端に位置決めされ、管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記チャンバの前記近位端に位置決めされ、前記第2の端部キャップは前記吸入器の前記マウスピースを受けるように構成された開口部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
弁または注射器ポンプを有する流量制御システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンバが、前記装置取付け手段から取り外し可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
1つまたは複数のガスケットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
1つまたは複数のOリングをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバを前記装置取付け手段に固定するためのクランプ機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記チャンバ内に挿入可能なスペーサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
レーザ回折装置に適合されるように構成された装置であって、
息により動かされるドライパウダ吸入器を取り囲むように構成され、遠位端および近位端を有するチャンバと、
前記遠位端に適合するように構成された第1の端部キャップと、前記近位端に適合するように構成された第2の端部キャップとを備え、前記第1の端部キャップが、流量制御装置および正圧源に連結される管機構を受けるように構成された開口部を有し、前記近位端が、前記息により動かされるドライパウダ吸入器を保持するように構成されたマウスピース取付け手段を有するように構成されている装置。
【請求項11】
前記マウスピース取付け手段が、前記第1の端部キャップに適合されるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
弁または注射器ポンプを有する流量制御システムをさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
レーザ回折装置を用いて少なくとも1つの粒子の特徴を測定する方法であって、
チャンバを備える装置であって、本体を有しドライパウダ製剤を備える息により動かされるドライパウダ吸入器を、閉じた環境内で保持するように構成された装置を提供するステップと、
前記ドライパウダ吸入器の前記本体が前記チャンバ内に取り囲まれるように、前記息により動かされる吸入器を前記チャンバ内に設置するステップと、
前記ドライパウダ製剤の粒子を吐出するために、前記ドライパウダ吸入器を通る空気または気体の流れを生み出すように、前記装置の前記チャンバ内に正圧をもたらすステップと、
前記レーザ回折装置を用いて前記少なくとも1つの粒子特徴を測定するステップとを含み、
前記粒子が、前記吸入器からチャンバなしのかつ/または周囲の環境内へと放出される方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの粒子特徴が、粒子密度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの粒子特徴が、粒径分布である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記息により動かされるドライパウダ吸入器が、マウスピースを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記マウスピースが、前記チャンバから前記チャンバなしのかつ/または周囲の環境へと空気通路を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ内に正圧をもたらす前記ステップが、弁または注射器ポンプを備える流量制御システムからの加圧された気体の供給源によって達成される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
加えられる前記正圧が、1kPaより大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
レーザ回折装置を用いて測定する前記ステップが、前記吸入器からの粒子の放出と同時に生じる、請求項13に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−521220(P2012−521220A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500978(P2012−500978)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027880
【国際公開番号】WO2010/108046
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027880
【国際公開番号】WO2010/108046
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
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