説明

レーザ製版用スクリーン印刷用版およびその製造方法ならびにスクリーン印刷版およびその製造方法

【課題】排水処理を必要とせず、環境問題を起こすことなく、短納期が可能なレーザ製版方法、スクリーン印刷版材の提供。
【解決手段】スクリーン紗と、前記スクリーン紗に水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物を塗布することにより形成された樹脂塗膜と、を有することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版であり、さらに、詳しくは、フィルムを積層しないスクリーン印刷用版、あるいは、水性樹脂組成物をフィルムに予めしておいたフィルム、または、ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルム、もしくは、ポリアミド系フィルムをスクリーンメッシュに積層し、樹脂塗膜を作製し、この塗膜にレーザ照射を行うことにより、樹脂塗膜を蒸発、飛散あるいは消去して、所望のパターン(印刷文字、図案など)開口を形成させることのできるスクリーン印刷用版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷用版、スクリーン印刷用版の製造方法および該スクリーン印刷用版を用いたスクリーン印刷版および製版方法に関する。より詳細にはスクリーン紗に樹脂組成物を積層したレーザ製版用スクリーン印刷版、その製造方法並びに前記スクリーン印刷用版を用いて作製されたスクリーン印刷版およびレーザ製版方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、孔版印刷の1種で、枠に張った紗に版膜を密着し、紗の目開きよりインキを通過させて、被印刷体に転移させる印刷方式であり、フィルムから成形品まで被印刷体の厚さ、大小、平面、曲面を問わず印刷でき、また紙、布、樹脂、金属、フィルムなど種々の材料に印刷することができる印刷方法であり、さらに、厚いインキ着肉層を形成することができる印刷法として知られている。スクリーンの製版方法としては大きくわけて(1)直接法製版(2)間接法製版がある。
【0003】
直接法製版は、スクリーン紗に感光液(乳剤)をバケットで塗布するか、コーティングマシーンで塗布して、感光皮膜を形成した後、原画であるポジフィルムあるいはネガフィルムを通して露光し感光皮膜を硬化させ、硬化しなかった部分を溶剤等で洗浄、除去することにより、原画のパターンを有するスクリーン印刷版を製造する方法である。しかしながら、この直接法製版では、製版を行うための原画の作成、露光、現像工程が必要とされ、生産性に問題があると共に、熟練を要し、さらに現像工程で使用する薬品類に費用がかかる上、使用した薬品による環境問題を引き起こさないために、これらの廃液処理も必要とされる。また紫外線硬化しない樹脂あるいはモノマーは使用できないといった問題点もあるし、紗の介在のもとで露光、現像を行うため、紗の糸に起因する表面乱反射による画線部の乱れ、あるいは織目とポジの干渉によるモアレの発生等の問題もある。
【0004】
間接法製版は、枠張りしたスクリーンとは別に感光性フィルムを用いて画像を作り、これをスクリーンに移す方法で、転写法とも呼ばれている。間接法製版は、直接法製版に比較して感光膜厚が均一であり、露光と水洗現像に紗の干渉がなく、鮮鋭な画像が得られるが、版膜が薄く、物理的に傷つきやすく、また厚膜印刷に適しておらず、印刷枚数が少ないという問題がある。
【0005】
また、直接法製版と間接法製版とを組み合わせた直間法製版も考案されている。この製版は、直接法製版の乳剤を生かし、フィルムの上に感光層をコーティングした感光性フィルムの感光層を水または溶剤で紗に貼り付け、乾燥後、フィルムを剥がしてから露光することにより製版する方法である。この方法は、直接フィルム法とも呼ばれ、直接法製版の一種として分類されることもある。しかしながら、直接法製版と同様に露光、現像の問題、環境等への配慮が必要とされる問題がある。
【0006】
他方、上記のような従来からのスクリーン印刷版の製版方法とは異なり、レーザ光線を版材に選択的に照射し、選択的に孔を開け、この孔によるパターンを版として用いるスクリーン製版方法も提案されている(特許文献1、2)。例えば金属板にレーザ光線を照射し、金属板の一部を溶融、穿孔して、該金属板に細孔によるパターン画像を形成させた後、該金属板の表面をサンドブラストにより研磨してスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献3)。金属スクリーン紗にガラス転移点が150〜500℃の重合体シートを積層し、波長が150〜400nmのレーザ光線を照射して、高分子量物を低分子量物に分解し、飛散させてスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献4)。ポリマーフィルム層を接着剤により金属スクリーンメッシュ層に接着した積層体にレーザ光を照射してポリマーフィルム層に開口部を形成させ、ついで開口部の接着剤層を薬剤処理により除去することによりスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献5)。スクリーン紗にカーボンブラックを含有する2液硬化型樹脂組成物を塗布してスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献6)。金属スクリーン紗にカーボンブラックを0.1重量%以上含有させ、レーザ光の発振波長における吸光度を高めた樹脂樹脂液を塗布することにより塗膜を形成し、この樹脂塗膜にレーザ光を照射することによりスクリーン版を製造する方法(特許文献7)。また、金属板とスクリーンメッシュが互いの一面で結合されて一体となるスクリーン印刷版において、孔版部以外の全面または一部が樹脂層で被覆されているスクリーン版の製造方法(特許文献8)。スクリーンメッシュに特定のフィルム(ポリイミド)を接着剤を用いて貼りあわせたスクリーン版の製造方法(特許文献9、10)。などが知られている。
【0007】
レーザ光をスクリーン印刷用版(製版前の版材)のフィルムに所定パターンで照射して蒸散形成することでスクリーン印刷版を形成する方法(本明細書ではこれを「レーザスクリーン製版方法」という。)によれば、スクリーン印刷版材として感光膜を用いる場合に必要とされるパターンマスクの作製やフォトレジストの未硬化部分の洗浄、除去などの作業を必要としないので、生産性の向上が期待できる。
【0008】
しかし特許文献1に記載の方法においては、従来の乳化剤を利用しているため、生産性が高いとは言えず、環境等への配慮の必要性もある。特許文献2の場合は製版方法について書かれているものであり、材料について言及していない。特許文献3の場合は金属板を使用するため、一般的なスクリーン紗を使用できない。特許文献4の方法においてはYAGや炭酸ガスレーザのようなレーザ照射装置として一般的に用いられているものではなく、特殊なレーザ照射装置が必要とされるし、特許文献5の方法においてはレーザ照射後開口部の接着剤層を薬剤処理により除去しなければならないという問題がある。さらに特許文献6の場合、レーザスクリーン製版前の版において、十分な物性を得るためには、エージング処理が必要であること、また樹脂組成物を分散するのに、有機溶剤を必要とするため、換気等を含め環境への配慮が必要である。特許文献7の場合好適例として掲げられている酢酸ビニル系エマルション、ポリビニルアルコール樹脂の場合、塗膜が軟弱なため、高精細な加工にはあまり向いていない。特許文献8の場合樹脂層の記述は溶剤または紫外線硬化型の樹脂を使用しており、水性樹脂の実施例が記載されていない。また、金属板とスクリーンメッシュを結合させた印刷版であり、本特許とは構成が異なる。本特許のようなスクリーン製版適性については不明である。特許文献9の場合接着剤がレーザー照射により孔が開かず、薬剤により後工程で除去しなければならず、工程簡略化の観点より不利である。特許文献10の場合、接着剤のレーザー照射における加工性(孔の空き易さ)が不十分であり、高精細印刷性やレーザー照射時にカスとして残存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭60−107342
【特許文献2】特開昭62−90241
【特許文献3】特許3160084
【特許文献4】特許2812728
【特許文献5】特開平11−77948
【特許文献6】国際出願番号:WO2009/150996
【特許文献7】特開2002−67527
【特許文献8】特開2004−58640
【特許文献9】特開平成11−77948
【特許文献10】特開平成3−72364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来スクリーンの製版方法は感光液を感光させた後、未感光部分を溶剤等で洗い流すため、排水処理が必要であった。レーザ製版は排水処理を必要としないが、レーザ製版用にスクリーン版を作製する際、特許文献6のように有機溶剤を使用するため、換気等を含め環境問題に配慮しなければならなかった。このため排水処理を必要とせず、環境問題を起こすことなく、短納期が可能なレーザ製版方法、スクリーン印刷版材が要望されていた。
【0011】
本発明は、このような従来の課題、要望に鑑みたもので、水性樹脂組成物をフィルムに予めしておいたフィルム、または、ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムもしくは、ポリアミド系フィルムをスクリーンメッシュに積層し、樹脂塗膜を作製し、この塗膜にレーザ照射を行うことにより、樹脂塗膜を蒸発、飛散あるいは消去して、所望のパターン(印刷文字、図案など)開口を形成させることのできるスクリーン印刷用版を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記スクリーン印刷用版を製造する方法、該スクリーン印刷版を用いて形成されたスクリーン印刷版、および前記スクリーン印刷用版を用いてレーザ製版する方法をも提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スクリーン紗に塗布する樹脂組成物として、特定のものを用いて、フィルム状に形成し、スクリーン印刷用版を作製し、レーザ照射により、スクリーン印刷版を製造することができることを見出して、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は以下のレーザ製版用スクリーン印刷用版、該レーザ製版用スクリーン印刷用版の製造方法に関する。
【0014】
(1)スクリーン紗と、
前記スクリーン紗に水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物を塗 布することにより形成された樹脂塗膜と、
を有することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0015】
(2)樹脂組成物が、さらに、カゼインを含有することを特徴とする前記(1)記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0016】
(3)樹脂組成物が、さらに、水性カルボジイミドを含有することを特徴とする前記(1)または(2)記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0017】
(4)樹脂組成物が、スウォード硬度50以上であるウレタン樹脂が分散された水性ウレタンエマルションを含有することを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0018】
(5)樹脂組成物が、波長1100〜1200nmの光に対する透過率85%以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0019】
(6)樹脂組成物が、樹脂組成物全量に対して、着色剤を0.1〜20重量%含有することを特徴とする前記(1)〜(5)いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0020】
(7)樹脂塗膜上にフィルムが積層されてなることを特徴とする前記(1)〜(6)いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0021】
(8)フィルムが、ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、または、水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物から形成されてなるフィルム、であることを特徴とする前記(7)記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【0022】
(9)スクリーン紗に、水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物を塗布することにより、スクリーン紗に樹脂塗膜を形成することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版の製造方法。
【0023】
(10)スクリーン紗に、樹脂組成物を塗布することにより、スクリーン紗に樹脂塗膜を形成し、前記樹脂塗膜を接着剤として、前記樹脂塗膜上に、前記(8)記載のフィルムを接着させて、形成することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版の製造方法。
【0024】
(11)前記(1)〜(8)いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版にレーザ光を照射することにより、樹脂塗膜、または、前記フィルムおよび樹脂塗膜に所定パターンの開口を形成することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【0025】
(12)前記(11)記載のスクリーン印刷版の製造方法により製造されたスクリーン印刷版。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フィルムを貼ったスクリーン紗に、レーザ光を照射することで、ポリマーを蒸発、飛散、或いは消去し、除去することによって、スクリーン印刷版を製造することができることから、従来スクリーン印刷版を製造する際に必要とされたネガまたはポジ原稿の作成、感光性皮膜を露光、現像する工程を必要とせず、熟練者を要すること無く、簡便にかつ生産性よくスクリーン印刷版を製造することができる。また現像液を用いないことから、現像液による環境汚染の問題も無くスクリーン印刷版を製造することができ、スクリーン印刷版のさらなる品質アップ、生産性向上に寄与することができる。さらに印刷面側にポリマーフィルムがあることから、より細線の印刷再現性の高いスクリーン印刷版を形成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の樹脂組成物をスクリーン紗に塗工したレーザ製版用スクリーン印刷 用版の断面概念図である。
【図2】図1に示すレーザ製版用スクリーン印刷用版に、レーザ光照射により開口部 が形成されたスクリーン印刷版の断面概念図である。
【図3】本発明のフィルムを張ったレーザ製版用スクリーン印刷用版の断面概念図で ある。
【図4】図3に示すレーザ製版用スクリーン印刷用版に、レーザ光照射により開口部 が形成されたスクリーン印刷版の断面概念図である。
【図5】特定のフィルム(ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムま たはポリアミド系フィルム)を本発明の樹脂組成物を接着剤に張り合わせた レーザ製版用スクリーン印刷用版の断面概念図である。
【図6】図5に示すレーザ製版用スクリーン印刷用版に、レーザ光照射により開口部 が形成されたスクリーン印刷版の断面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明について、図1および図2、図3、図4、図5、図6を参照しつつ、さらに詳しく説明するが、図は説明にために便宜上使用されるものであり、本発明の実施形態が図示のものに限定されるものではない。
【0029】
図1は本発明のレーザ製版用スクリーン印刷用版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、図2は本発明のスクリーン印刷用版をレーザ光照射することにより、開口が形成されたスクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図である。
【0030】
図1中、1はレーザ製版用スクリーン印刷用版を、2はスクリーン紗を、3は樹脂塗膜を示す。
【0031】
また、図2中、4はスクリーン印刷用版を、5はレーザ光を、6は開口部を示す。
【0032】
スクリーン紗は従来のスクリーン印刷版を製造する際と同様の方法、すなわち、例えば紗張り機を用いて、スクリーン紗2を伸ばし、通常使用されている市販の接着剤を用いて図示されていない枠に固定される。この接着剤は本発明に用いている樹脂組成物ではない。また、スクリーン紗は従来より市販されているステンレス紗、レーザ強度の調整が必要ではあるがポリエステルやナイロン紗の使用が可能である。樹脂塗膜3は、こうして紗張りされたスクリーン上に樹脂組成物を塗布することにより形成される。
【0033】
次に、スクリーン紗にフィルムを貼った場合の図3および図4について説明する。図3は本発明のレーザ製版用スクリーン印刷用版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、図4は本発明のスクリーン印刷用版をレーザ光照射することにより、開口が形成されたスクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図である。
【0034】
図3中、1はスクリーン印刷用版を、2はスクリーン紗を、3は樹脂塗膜を7はフィルムを示す。
【0035】
また、図4中、4はスクリーン印刷用版を、5はレーザ光を、6は開口部を、7はフィルムを示す。
【0036】
フィルム7は予め、剥離フィルム上に、アプリケーター等で、樹脂組成物をフィルム状に塗布して、熱風乾燥オーブン等で乾燥させて作製させておく。スクリーン紗は従来のスクリーン印刷版を製造する際と同様の方法、すなわち、例えば紗張り機を用いて、スクリーン紗2を伸ばし、通常使用されている市販の接着剤を用いて図示されていない枠に固定される。この接着剤は本発明に用いている樹脂組成物ではない。樹脂塗膜3は、こうして紗張りされたスクリーン上に樹脂組成物を塗布することにより接着層として形成される。
【0037】
フィルムはスクリーン紗に本発明に使用する樹脂組成物を塗布し、接着層を形成した後、樹脂組成物が乾燥する前に積層される。フィルムはその後樹脂組成物が乾燥することにより、スクリーン紗に固着される。
【0038】
フィルムと接着層は同一の組成物であることが好ましいが、実用物性を妨げなければ、異なる組成でも使用できる。スクリーンのメッシュ数は印刷される図形に要求される解像度、使用されるインキ、印刷対象に応じ、従来知られた適宜のメッシュ数のものを用いればよい。
【0039】
もう一つの発明の形態である、特定のフィルム(ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムまたはポリアミド系フィルム)を本発明の樹脂組成物を接着剤として貼りあわせた場合の図5および図6について説明する。図5は本発明のレーザ製版用スクリーン印刷用版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、図6は本発明のスクリーン印刷用版をレーザ光照射することにより、開口が形成されたスクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図である。
【0040】
図5中、1はスクリーン印刷用版を、2はスクリーン紗を、3は樹脂塗膜を7は特定のフィルム(ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムまたはポリアミド系フィルム)を示す。
【0041】
また、図6中、4はスクリーン印刷用版を、5はレーザ光を、6は開口部を、7は特定のフィルム(ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムまたはポリアミド系フィルム)を示す。
【0042】
フィルム7はポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルムまたはポリアミド系フィルムからなるフィルムであり、スクリーン紗は従来のスクリーン印刷版を製造する際と同様の方法、すなわち、例えば紗張り機を用いて、スクリーン紗2を伸ばし、通常使用されている市販の接着剤を用いて図示されていない枠に固定される。この接着剤は本発明に用いている樹脂組成物ではない。
【0043】
樹脂塗膜3は、こうして紗張りされたスクリーン上に樹脂組成物を塗布することにより接着層として形成される。
【0044】
本発明の樹脂組成物において、着色剤として使用されるものは、レーザ光を吸収するものであれば、何れも使用可能であるが、具体的に、カーボンブラック、ファストイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、アイアンオキサイドブラック、クロモフタルイエロー、アンスラピリジンイエロー、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルジオキシンイエロー、ニッケルジオキシンイエロー、フラバンスイエロー、黄鉛、チタンイエロー、ジスアゾイエロー、ベンゾイミダゾロンオレンジ、ピランスロンオレンジ、ペリノンオレンジ、パラレッド、レーキレッド、ナフトールレッド、ピラゾロンレッド、パーマネントレッド、マダーレーキ、チオインジゴボルドー、ベンガラ、鉛丹、カドミウムレッド、キナクリドンマゼンタ、ペリレンバーミリオン、ペリレンレッド、クロモフタルスカーレット、アンスアンスロンレッド、ジアントラキノリルレッド、ペリレンマルーン、ベンゾイミダゾロンカーミン、ペリレンスカーレット、キナクリドンレッド、ピランスロンレッド、マンガンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、フタロシアニンブルー、紺青、コバルトブルー、群青、インダンスロンブルー、フタロシアニングリーン、ピグメントグリーン、酸化クロム、ビリジアン、ベンゾイミダゾロンブラウン、ブロンズパウダー、鉛白、亜鉛華、リトポン、酸化チタン、パール顔料等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。染料としては、アゾ系、アントラキノン系、ニグロシン系等の従来公知の染料の1種または2種以上が、染料単独であるいは顔料と併用して用いられる。
【0045】
このなかでも、特に好ましいのはカーボンブラック、フタロシアニン顔料である。
【0046】
本発明において着色剤の量はあまりに少量であると効率良くレーザ光を吸収出来ないため、分散体の全体量の0.1重量%以上が好ましい。より好ましくは0.5重量%以上である。また含有量が多すぎると印刷面の視認性が悪くなったり、レーザ光による熱の影響を受けるため、分散体の全体量の20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。
【0047】
また、透過率においては、レーザ光による加工が妨げられない範囲であればよく、好ましい範囲は透過率85%以下が好ましい。より好ましくは0.1%〜85%が好ましく、0.1%〜70%より良く、0.1%〜65%が好ましい。透過率が高くレーザ光が樹脂組成物を通過しては意味が無い。
【0048】
本発明に用いられる水性ウレタンエマルションは、1)有機溶剤を用いたアセトン法、2)溶剤を全く使用しない無溶剤合成法等により得ることができる。後者においては一般に粘度が高くなるため撹拌装置、原料組成および鎖延長方法に工夫が必要である。以下、1)アセトン法、2)無溶剤合成法をそれぞれ説明する。
【0049】
1)アセトン法とは、特に粘度が極めて高くなる反応や部分的にゲル化等不均一になりやすい反応において、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤を使用して合成する方法である。
【0050】
イソシアネートとポリオール化合物との反応には触媒を使うことが好ましい。触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、2ーエチルヘキソエート鉛、チタン酸2ーエチルヘキシル、2ーエチルヘキソエート鉄、2ーエチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。
【0051】
ウレタン化反応は、50〜100℃で10分〜10時間行うのが好ましい。反応の終点は、粘度測定、IR測定によるNCOピ−ク、滴定によるNCO%測定等により判断される。
【0052】
鎖延長剤としてはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、イソホロンジアミン、1,4ジアミノシクロヘキサン等の脂環式ジアミン、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物等が挙げられる。さらにウレタン樹脂がゲル化しない範囲内でジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミンを使用することもできる。また、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール等のグリコール類等も使用可能である。
【0053】
鎖延長反応は、30〜80℃で10分〜10時間行うのが好ましい。反応の終点は、粘度測定、IR測定によるNCOピ−ク、滴定によるアミン価測定等により判断される。
【0054】
所定の分子量を有するウレタン樹脂が得られた後、これを水性化するには、樹脂中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することが好ましい。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノー2ーメチル−1−プロパノール、2ーアミノー2ーメチルー1−プロパノール、モルホリン等が挙げられ、これらは1種、又は2種以上の組み合わせで用いられる。塩基性化合物の種類によってはポリウレタン溶液へのなじみ易さ、水性化後の安定性が異なる場合があるので適宜選択する必要がある。
【0055】
ジメチロールアルカン酸等のカルボキシル基を有する化合物の中和においては、カルボキシル基1当量に対し0.4〜1.2当量が好ましい。
ウレタン樹脂を水性化する方法は、前記したカルボキシル基含有ジオールを用い、塩基で中和する方法、水溶化能の高いポリエチレングリコ−ルを用いる方法等がある。特に両者を併用すると水溶性樹脂としての安定性、分散体としての耐水性にもバランスのとれた樹脂が得られる。
【0056】
アセトン法においては、用いた溶剤の種類や量によっては脱溶剤する必要がある。脱溶剤は、例えば反応溶液に水および中和剤である塩基性化合物を添加した後、温度を上げて常圧下、又は減圧下で溶剤を必要量溜去する方法で行うことができる。
【0057】
無溶剤合成法では、1)ポリオ−ルおよびイソシアネ−トを最初から仕込んでも良いし、またポリオ−ルを仕込んだ後、イソシアネ−トを添加しても良い。合成反応においては一般に粘度が問題となるため、攪拌が十分可能な程度に温度を上げて粘度を下げることが好ましい。反応は樹脂原料を十分に溶解、溶融させ、均一状態で始めることが好ましい。反応開始温度が低かったり、樹脂原料同士、原料/生成樹脂間の相溶性が不十分であると、一部原料が溶融原料中に分散したり、外観が僅かに不透明になる。この状態でも製造可能であるが、反応温度を、例えばポリエチレングリコ−ルを含むポリオ−ルの場合、相溶温度以上にすると相溶性の悪いジオ−ル類でもより均一な樹脂を得ることができる。
【0058】
ウレタン化反応は90〜200℃で10分〜5時間行うのが好ましい。反応の終点は粘度測定、IR測定によるNCOピ−ク、滴定によるNCO%測定等により判断される。
【0059】
ポリウレタン樹脂の水性化は前述の塩基性化合物によるカルボキシル基の中和、ポリエチレングリコール等による水溶化により行われる。
【0060】
無溶媒で反応させた場合、水性化は水、塩基性化合物のみでも可能である。しかし、有機溶剤は粘度が高い反応物を一旦、樹脂溶液にし、水性化をスム-ズにする働きがあるため、有機溶剤を助剤としてポリウレタン樹脂の水性化前に使用すると、水性化が容易に行われる。その際、ポリウレタン樹脂の合成終了後にそのまま直接添加したり、逆に有機溶剤の中にポリウレタン樹脂を添加して溶解させることも可能である。
【0061】
有機溶剤としてアルコ−ルを使用すると、一般に水性印刷インキにはアルコ−ルを併用する場合が多いことから脱溶剤しなくてもそのまま使用できる利点がある。アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコ−ル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−nーブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノーn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチルペンタンジオールー1、3ーモノイソブチレート(テキサノール、イーストマンケミカル社製)等が挙げられ、特にイソプロピルアルコ−ル、n−プロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、エタノ−ル、メタノ−ルが好ましい。これらは1種、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。これらのアルコールから目的とする印刷インキの印刷粘度−希釈性、乾燥性、成膜性に適したアルコ−ルを適宜選択することにより、脱溶剤過程を省略する事も可能となる。
【0062】
水性ウレタン樹脂を得る第二の方法である無溶剤合成法は、溶剤を用いることにより発生するコスト等を0にできることから、生産、コスト上のメリットは極めて大きい。特に印刷物の残留溶剤量が問題とされる場合、脱溶剤工程が全生産工程に占める割合が多くなり、水性ウレタン樹脂の生産コストを上げる大きな要因となっている。
【0063】
本発明の水性ウレタン樹脂は、前述の方法で得ることができるが、水性ウレタン樹脂の安定性を改良する目的で少量の界面活性剤を併用することも可能である。
【0064】
界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。使用に際しては、水又は水/塩基性化合物の混合物に溶解、分散した状態で添加する方法、或いは助剤としてアルコ−ルを用いた場合、アルコ−ルに添加して使用する方法等が挙げられる。このようにして得られた水性ウレタン樹脂は、樹脂組成、溶剤組成、中和度等によりエマルジョン、コロイダルデスパージョン、水溶解型等の様々な形態となり、それぞれの特徴を活かして使用できる。
【0065】
本発明で使用される水性ウレタン樹脂は樹脂組成物中30重量%以上99.5重量%以下が好ましい。さらに好ましくは50重量%以上99重量%以下が好ましい。水性ウレタン樹脂が少ない場合、スクリーン紗としての十分な物性が得られず、また着色剤が入らない場合レーザ製版出来ない場合がある。
【0066】
ここでウレタン樹脂の塗膜特性であるスウォード硬度について説明する。
【0067】
スウォード硬度とは樹脂の硬度を示す指標のひとつであり、ガラス版に塗膜を貼り付け、測定器をスイングさせ、振幅の減衰を硬さの指標にする。一定以上の振幅を保つスイング回数で表記する。測定方法はASTM D 2134に準拠して測定される。
【0068】
スウォード硬度の低いものは印刷耐久性に劣り、連続印刷に向かない。また高精細印刷性も劣る。これはウレタン樹脂の塗膜が柔らかく、耐溶剤性が劣るためと考えられる。また高精細印刷性については、レーザー照射により熱溶融が発生し、レーザー照射部近傍の未照射部が熱ダレにより形状変化するためと考えられる。本用途に適するのは、スウォード硬度50以上の強靭なウレタンが適する。
【0069】
次に本発明に係わるカゼインとは、リンタンパクの一種でカゼインをアンモニアなどのアルカリで中和することによって水溶化し、古くから塗料原料として使用されている。顔料の分散安定性の向上やインキとしての適切な流動特性を得るために使用されている。
本発明においてバインダーとして使用できるカゼイン系樹脂としては、ミルクカゼイン、大豆カゼインおよびそれらの変性物等がある。本発明で使用されるカゼインは樹脂組成物中30重量%以下が好ましい。さらに好ましくは20重量%以下が好ましい。カゼインが多い場合、得られる塗膜が硬くなり加工性が劣る。
【0070】
市販されているカゼイン系樹脂としては、日成共益(株)のミルクカゼイン、BASF製ルロンバインダーUD、オイケゾールバインダーU等がある。
次に本発明に係わるポリカルボジイミドとはカルボジイミド基(−N=C=N−)を有するものであり、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
【0071】
また、本発明に用いるポリカルボジイミドはカルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応によって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応したものが挙げられる。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの一種又はこれらの混合物を使用することができる。
【0072】
カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。
【0073】
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトSV−02、V−02、V−02−L2、V−04、E−01、E−02は水性樹脂との相溶性に優れており好ましい。
ポリカルボジイミドは樹脂組成物中1重量%以上20重量%以下が好ましい。さらに好ましくは3重量%以上13重量%以下が好ましい。ポリカルボジイミドの料が少ない場合、添加剤としての効果が無くなり、過剰の場合安定性が悪くなる。
【0074】
さらに、本樹脂組成物には、必要に応じて、流動性、分散性等を改良するために、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、ワックスなどの添加剤、消泡剤、レベリング剤、或いはアクリル樹脂、ブチラール樹脂、ロジン系樹脂、繊維素系樹脂等の樹脂を併用できる。
【0075】
樹脂組成物からフィルムを作製するにあたり、必要に応じて粘度、レベリングを目的として、水、アルコール系溶剤を適宜用いることが出来、必要であればこれらの2種類以上を混合して使用することも出来る。
【0076】
上記アルコール系溶剤としては、炭素数1〜10の1〜3級のアルコールであり、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert- ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチル-2- ブタノール、2-メチル-2- ブタノール、n-ヘキサノール、イソヘキサノール、4-メチル -2-ペンタノール、2-エチルブタノール、n-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-オクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノナノール、3,3,5-トリメチルヘキサノール等の鎖状モノアルコールや、シクロペンタノール、メチルシクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等の環状モノアルコール、多官能のエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンおよびその誘導体等が挙げられる。
【0077】
得られた樹脂組成物は既知の方法でフィルム化される。フィルムは剥離フィルムの上にアプリケーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター、カーテンコーター、ロールコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーティングして乾燥して得られる。こうして得られたフィルムは、紗張りされて枠に固定されたスクリーン紗に接着剤を塗布し、貼り合わせて乾燥した後、剥離フィルムを剥がして、印刷用版として得られる。乾燥は必要であれば、常温以上の温度、例えば40〜120℃に加温した状態で行っても良い。
こうして製造された印刷用版は図2、図4、図6に示すようにレーザ光により所定パターンで照射され、フィルム層と接着剤層が蒸発、消去されて所定パターンの開口部6が形成されて、スクリーン印刷版とされる。レーザ光としては炭酸ガスレーザ光、YAGレーザ光またはYVO4レーザ光が好ましい。YAGレーザの高次高調波は、YAGレーザ発信機の内部に組み込んだ第2もしくは第3高調波変換素子によって、第2高調波(波長532nm)もしくは第3高調波(波長355nm)が効率よく出力されることが知られており、第4高調波(波長266nm)は一般に第2高調波が第4高調波変換素子を通過することで、出力され、YAGレーザの高次高調波のいずれかまたはこれらの任意のミキシング光を用いることが特に好ましい。これら炭酸ガスレーザ光およびYAGレーザ光は、エキシマレーザ光よりも発振安定性に優れており、エキシマレーザを使用した場合に比べ生産性を高めることができる。
【0078】
こうして作製されたスクリーン印刷版は、従来のスクリーン印刷と同様な方法で被印刷体に印刷される。使用されるインキも従来と同様のものでよい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を具体的に説明するために挙げられているものであり、本発明をなんら制限するものではない。
【0080】
<ウレタンA>
DSM NeoResins社製「ネオレッツR9603」(ポリカーボネート系水性ウレタンエマルション、固形分34%、酸価32、スウォード硬度60)をウレタンAとした。
【0081】
<ウレタンB>
DSM NeoResins社製「ネオレッツR9679」(ポリエステル系水性ウレタンエマルション、固形分37%、酸価17、スウォード硬度50)をウレタンBとした。
【0082】
<ウレタンC>
DSM NeoResins社製「ネオレッツR9403」(ポリエーテル系水性ウレタンエマルション、固形分31%、酸価27、スウォード硬度60)をウレタンCとした。
【0083】
<ウレタンD>
DSM NeoResins社製「ネオレッツR972」(ポリエステル系水性ウレタンエマルション、固形分34%、酸価13、スウォード硬度6)をウレタンDとした。
【0084】
<アクリルE>
DSM NeoResins社製「ネオクリルA622」(アクリル系水性エマルション、固形分32%、酸価50、スウォード硬度36)をアクリルEとした。
【0085】
<ミルクカゼイン>
BASFジャパン株式会社製「ルロンバインダー UD」(固形分20%)をミルクカゼインとした。
【0086】
<カルボジイミド>
日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトE−02」(カルボジイミドエマルション、固形分40%)をカルボジイミドとした。
【0087】
<分散剤>
エアープロダクツジャパン社製「サーフィノールCT136」(アセチレンジオール/ノニオン界面活性剤/アニオン分散剤)を分散剤とした。
【0088】
〔実施例1〕
カーボン4重量部、n−プロパノール1重量部、ウレタンAを20重量部配合し、ペイントコンディショナーにて2時間分散した。得られた分散物にウレタンAを75重量部デスパーで攪拌しながら配合して、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を版枠に張ったスクリーン紗にスキージーにより下側から塗布し、上側(反対面)より余った樹脂組成物をかきとった。その後、このスクリーン印刷版を60℃10分間乾燥させた後、製版前の版(印刷用版)を作製した。
さらに、この製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント18ポイントで0〜9までの数字パターンを製版した。数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版について上記試験方法により、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」の評価を行った。また「高細線印刷再現性」は製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー70%、スキャンスピード700mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント15ポイントで0〜9までの数字パターンを製版し、評価を行った。
【0089】
結果を表1に示す。
【0090】
[透過率測定]
日本分光株式会社製分光光度計「V570型紫外可視近赤外分光光度計」にて330nm〜2500nmの範囲の波長を測定した。さらに、波長1100〜1200nmの光に対する透過率の平均を透過率とした。
【0091】
[レーザ加工性試験]
レーザ光照射により開口した部分の状況を50倍光学顕微鏡により観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:開口部がきっちりと開いており、スクリーン紗に損傷が無い。
△:開口部が開いているが、スクリーン紗に損傷が多少観察される。
×:開口部がほとんど貫通されていないか、スクリーン紗に損傷がかなり観察される。
【0092】
[レーザ製版性試験]
作製したスクリーン印刷版を使用し、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)を紙に印刷し、その印刷効果を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:きれいに印刷できる。
△:エッジが欠ける印刷しか出来ない。または多少滲んだ印刷である。
×:印刷出来ない。または滲んだ印刷しか出来ない。
【0093】
[耐溶剤性試験(塗膜の密着性試験)]
スクリーン版に上記のように作製したフィルムを貼り合わせ60℃20分間過熱乾燥した。乾燥直後および一日常温放置した塗膜をシクロヘキサノンで含浸した脱脂綿にて50回擦り、塗膜の剥がれ具合を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:皮膜がほとんど剥がれない。
△:皮膜が一部剥がれる。
×:皮膜が完全に剥がれる。
【0094】
[印刷耐久性試験]
学振型耐摩擦試験機(テスター産業製)の駆動部にスキージー素材を固定し、500grの加重をかけるように取り付けたものに、レーザにより製版したスクリーン版をセットし、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製SS8391藍)を載せた状態で1万回往復後、この版を使用して、シルクスクリーンインキを紙に印刷し、印刷品質の劣化具合を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:印刷品質の劣化が無い。
△:印刷品質の劣化が一部観察される。
×:印刷品質の劣化が観察される。
【0095】
[連続印刷性試験]
シルクスクリーン印刷機(美濃商事株式会社製、MEDIA 68−AN−11)に、レーザにより製版したスクリーン印刷版をセットし、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)により、紙に5000回印刷を行い、5000回目の印刷効果および版の状態を書き評価基準に基づいて評価した。
【0096】
[連続印刷性試験:印刷効果]
(評価基準)
○:印刷品質の劣化が無い。
△:印刷品質の劣化が一部観察される。
×:印刷品質の劣化が観察される。
【0097】
[連続印刷性試験:版の状態]
(評価基準)
○:版の劣化が無い。
△:版の劣化が一部に観察されるものの実用上問題のないレベルである。
×:版の劣化が全体に観察される。
【0098】
なお、これらの試験と共に、上記製版前の印刷用版の「細線印刷再現性」について、下記条件により試験試料を作成し、下記条件で試験および評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
[細線印刷再現性試験]
上記で得られた印刷用版を用い、上記条件(印刷面側からYAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)で照射)で線幅100μmの細線を製版し、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)にて紙に印刷を行い、印刷物を50倍の光学顕微鏡によりエッジ部分を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:滑らかな細線である。
△:ぎざぎざな細線であるものの実用上問題の無いレベルである。
×:細線が印刷出来ない。
【0100】
[高細線印刷再現性試験]
上記で得られた印刷用版を用い、上記条件(印刷面側からYAGレーザ(レーザパワー70%、スキャンスピード700mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)で照射)で線幅50μmの細線を製版し、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)にて紙に印刷を行い、印刷物を50倍の光学顕微鏡によりエッジ部分を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:滑らかな細線で、再現性に優れる。
○:滑らかな細線である。
△:ぎざぎざな細線であるものの実用上問題の無いレベルである。
×:細線が印刷出来ない。
【0101】
〔実施例2〜7、比較例1〜6〕
樹脂組成物の組成物処方を表1の実施例1〜7比較例1〜6に記載した。その際ミルクカゼインと分散剤はペイントコンディショナー分散時に添加した以外は、樹脂組成物作成は実施例1に準じた。評価を実施例1のように行い、結果を表1に示す。比較例6は現行の乳化剤であるムラカミ(株)製「ONEPOT 50M」にカーボンを分散させ、レーザー加工が可能な樹脂組成物を作成し、評価を行った。
【0102】
なお、比較例1は、現行の乳化剤であるムラカミ(株)製「ONEPOT 50M」にて通常の方法より作製したことを除き、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版を作製した。このスクリーン版について、実施例1と同様にして、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」「高細線印刷再現性」の評価を行った。なお、比較例1はレーザ製版ではないため、「レーザによる加工性」および「レーザ製版性」については評価を行わなかった。
【0103】
さらに、比較例2は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸から合成したポリエステルポリオール(OH価210)70重量部、カーボンブラック5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25重量部を配合し、3本ロールにて分散し、主剤の樹脂組成物を調整した。
【0104】
この主剤に対して硬化剤であるトリレンジイソシアネートを70重量部配合し、デスパーで10分間混合し、2液硬化型樹脂組成物を調合した。混合後、直ちに、この2液硬化型樹脂組成物を版枠に張ったスクリーン紗にスキージーにより下側から塗布し、上側(反対面)より余った2液硬化型樹脂組成物をかきとった。その後、このスクリーン印刷版を、60℃10分乾燥後、24時間室温にて放置し、製版前の版(印刷用版)を作製した。なお、膜厚は10μmであった。
【0105】
また、「耐溶剤性(塗膜の密着性試験)」の直後は60℃20分乾燥後を測定した。
なお、比較例3はレーザ製版出来ず、「印刷耐久性」、「連続印刷性」「細線印刷性」および「高細線印刷再現性」については評価を行わなかった。
【0106】
【表1】



【0107】
表1から本発明のスクリーン印刷版は、スクリーン紗には実用上の損傷が無く、しかも、レーザ光により簡便に製版でき、細線の印刷再現性に優れ、さらに耐久性にも優れていることがわかる。
〔実施例8〕
カーボン4重量部、n−プロパノール1重量部、ウレタンAを20重量部配合し、ペイントコンディショナーにて2時間分散した。得られた分散物にウレタンAを75重量部デスパーで攪拌しながら配合して、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を剥離フィルムにアプリケーターにて塗布した後、熱風乾燥オーブンにて80℃30分間乾燥し、フィルム(膜厚5μm)を得た。
次に予め紗張りしたスクリーン版に前記分散体を塗布し、フィルムを貼り合わせた後、60℃10分間乾燥させた後、剥離フィルムを剥がして、製版前のスクリーン印刷版を作製した。
【0108】
さらに、この製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント18ポイントで0〜9までの数字パターンを製版した。数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版について下記試験方法により、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」の評価を行った。また「高細線印刷再現性」は製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー70%、スキャンスピード700mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント15ポイントで0〜9までの数字パターンを製版し、評価を行った。
【0109】
結果を表2に示す。
【0110】
〔実施例9〜14、比較例7〜12〕
樹脂組成物の組成物処方を表2の実施例8〜14比較例7〜12に記載した。その際ミルクカゼインと分散剤はペイントコンディショナー分散時に添加した以外は、樹脂組成物作成は実施例8に準じた。
なお、比較例7は、現行の乳化剤であるムラカミ(株)製「ONEPOT 50M」にて通常の方法より作製したことを除き、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版を作製した。このスクリーン版について、実施例1と同様にして、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」、「高細線印刷再現性」の評価を行った。比較例7はレーザ製版ではないため、「レーザによる加工性」および「レーザ製版性」については評価を行わなかった。
さらに、比較例8は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸から合成したポリエステルポリオール(OH価210)70重量部、カーボンブラック5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25重量部を配合し、3本ロールにて分散し、主剤の樹脂組成物を調整した。この主剤に対して硬化剤であるトリレンジイソシアネートを70重量部配合し、デスパーで10分間混合し、2液硬化型樹脂組成物を調合した。この樹脂組成物を剥離フィルムにアプリケーターにて塗布した後、熱風乾燥オーブンにて60℃10分間乾燥し、フィルム(膜厚10μm)を得た。
【0111】
次に予め紗張りしたスクリーン版に前記樹脂組成物を塗布し、フィルムを貼り合わせた後、60℃10分間乾燥させた後、剥離フィルムを剥がして、24時間室温にて放置し、製版前のスクリーン印刷版を作製した。また、「耐溶剤性(塗膜の密着性試験)」の直後は剥離フィルムを剥がした直後に測定した。
【0112】
なお、比較例9はレーザ製版出来ず、「印刷耐久性」、「連続印刷性」、「細線印刷性」および「高細線印刷再現性」については評価を行わなかった。
【0113】
【表2】



【0114】
表2から本発明のスクリーン印刷版は、スクリーン紗には実用上の損傷が無く、しかも、レーザ光により簡便に製版でき、耐久性にも優れていることがわかる。
【0115】
〔実施例15〕
カーボン4重量部、n−プロパノール1重量部、ウレタンAを20重量部配合し、ペイントコンディショナーにて2時間分散した。得られた分散物にウレタンAを75重量部デスパーで攪拌しながら配合して、樹脂組成物を得た。
次に予め紗張りしたスクリーン版に前記分散体を塗布し、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン50H/50V)を貼り合わせた後、60℃10分間乾燥させ、製版前のスクリーン印刷版を作製した。
【0116】
さらに、この製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント18ポイントで0〜9までの数字パターンを製版した。数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版について下記試験方法により、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」の評価を行った。また「高細線印刷再現性」は製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー70%、スキャンスピード700mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント15ポイントで0〜9までの数字パターンを製版し、評価を行った。
【0117】
〔比較例13〕
予め紗張りしたスクリーン版にエポキシ接着剤(コニシ社製ボンドクイック30)を塗布し、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン50H/50V)を貼り合わせた後、60℃30分間乾燥させ、製版前のスクリーン印刷版を作製した。
【0118】
さらに、この製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント18ポイントで0〜9までの数字パターンを製版した。数字パターンをパターニングしたスクリーン印刷版について下記試験方法により、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「耐溶剤性(塗膜の密着性)」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」、「細線印刷再現性」の評価を行った。また「高細線印刷再現性」は製版前のスクリーン印刷版にYAGレーザ(レーザパワー70%、スキャンスピード700mm/s、Qスイッチ周波数10KHz、スキャン回数2回)にてフォント15ポイントで0〜9までの数字パターンを製版し、評価を行った。
【0119】
〔比較例14〕
実施例15のポリイミドフィルムの代わりにフィルム(旭硝子社製アフレックス25GB)を用い、それ以外は同様にして、製版前のスクリーン印刷版を作製および評価を行った。
【0120】
【表3】

【0121】
表3から本発明のスクリーン印刷版は、スクリーン紗には実用上の損傷が無く、しかも、レーザ光により簡便に製版でき、耐久性にも優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0122】
1:レーザ製版用スクリーン印刷用版
2:スクリーン紗
3:樹脂塗膜
4:スクリーン印刷用版
5:レーザ光
6:開口部
7:フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン紗と、
前記スクリーン紗に水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物を塗 布することにより形成された樹脂塗膜と、
を有することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項2】
樹脂組成物が、さらに、カゼインを含有することを特徴とする請求項1記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項3】
樹脂組成物が、さらに、水性カルボジイミドを含有することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項4】
樹脂組成物が、スウォード硬度50以上であるウレタン樹脂が分散された水性ウレタンエマルションを含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項5】
樹脂組成物が、波長1100〜1200nmの光に対する透過率85%以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項6】
樹脂組成物が、樹脂組成物全量に対して、着色剤を0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項7】
樹脂塗膜上にフィルムが積層されてなることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項8】
フィルムが、ポリイミド系フィルム、ポリエーテルイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、または、水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物から形成されてなるフィルム、であることを特徴とする請求項7記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版。
【請求項9】
スクリーン紗に、水性ウレタンエマルションおよび着色剤を含有する樹脂組成物を塗布することにより、スクリーン紗に樹脂塗膜を形成することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版の製造方法。
【請求項10】
スクリーン紗に、樹脂組成物を塗布することにより、スクリーン紗に樹脂塗膜を形成し、前記樹脂塗膜を接着剤として、前記樹脂塗膜上に、請求項8記載のフィルムを接着させて、形成することを特徴とするレーザ製版用スクリーン印刷用版の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8いずれか記載のレーザ製版用スクリーン印刷用版にレーザ光を照射することにより、樹脂塗膜、または、前記フィルムおよび樹脂塗膜に所定パターンの開口を形成することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載のスクリーン印刷版の製造方法により製造されたスクリーン印刷版。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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