説明

レール吊上装置

【課題】ロードチェーンの巻き上げに際し、巻上操作を容易に安全に行うことができ、作業性を改善するレール吊上装置を提供する。
【解決手段】吊り上げるべきレールRの幅方向に間隔をおいてその両側に一対の支持脚21が立てられている。両支持脚21の上端部同士が天板22によって連結されている。天板22下部に巻上機本体41が固定されている。巻上機本体41から、下端にレールキャッチ61を取り付けたロードチェーン42が垂下させられるとともに、巻上機本体41から、ロードチェーン42を巻き上げるための巻上軸71の一端部が、レール長さ方向側方に突出させられている。巻上軸71の側方突出端部に、これと直交状に巻上レバー72が取付られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、鉄道軌道工事において、軌道に敷設するためのレールあるいは軌道に敷設されていたレールを吊り上げるためのレール吊上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のレール吊上装置としては、吊り上げるべきレールの幅方向に間隔をおいてその両側に一対の支持脚が立てられており、両支持脚の上端部同士が天板によって連結されており、天板の上に巻上機本体が固定されており、巻上機本体から、下端にレールキャッチを取り付けたロードチェーンが垂下させられるとともに、巻上機本体に、ロードチェーンを巻き上げるための回転ハンドルが取付られているものが知られている。
【0003】
軌道上で物を吊り上げる装置として、目的は異なるが、例えば、特開2006−104849号公報には、軌道スラブ敷設位置調整装置が開示されており、前及び後各クレーン(21)(22)の横フレーム(33)(43)の上にそれぞれ左右一対の巻上機(34)(44)が備えられることが開示されている(請求項5)。巻上機(34)は、手回し式のものである。この吊上装置では、ロードチェーンの巻き上げに際し、回転ハンドルを手回し操作して、巻上軸が回転させられる。この場合、吊り上げられるレールが邪魔になって、回転ハンドルの回転操作をし辛いという問題点があり、そのため、作業効率は良くなかった。また、巻上機は横フレームの上に設置されているため、回転ハンドルの位置が作業者にとって高くなる、またロードチェーンの長さも長くなってしまい、吊り上げられたレールが不安定な状態となりやすい、というような問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−104849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、ロードチェーンの巻き上げに際し、巻き上げ操作を容易に安全に行うことができ、作業性を改善することのできるレール吊上装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるレール吊上装置は、吊り上げるべきレールの幅方向に間隔をおいてその両側に一対の支持脚が立てられており、両支持脚の上端部同士が天板によって連結されており、天板下部に巻上機本体が固定されており、巻上機本体から、下端にレールキャッチを取り付けたロードチェーンが垂下させられるとともに、巻上機本体から、ロードチェーンを巻き上げるための巻上軸の一端部が、レール長さ方向側方に突出させられており、巻上軸の側方突出端部に、これと直交状に巻上レバーが取付られているものである。
【0007】
この発明によるレール吊上装置では、ロードチェーンの巻き上げに際し、巻上レバーを上下に揺動させる動作を、吊り上げられるレールが邪魔をすることなく、そのレールの側方から行うことができる。したがって、ロードチェーンの巻き上げに際し、巻上操作を容易に行うことができ、作業性を改善することができる。また、天板下部に巻上機本体が固定されているので、巻上レバーの位置が作業者にとって作業しやすい位置となり、さらに、ロードチェーンの長さも必要な長さにとどめることができ、吊り上げられたレールが不安定な状態となりにくい。このように、作業性及び安全性を確保することができる。
【0008】
さらに、各支持脚は、アルミニウムパイプ材よりなり、各支持脚の上端から一対の対向垂直板状連結壁がレール長さ方向に間隔をおいて起立させられており、天板は、横断面逆U字状の鋼材よりなり、各支持脚の両連結壁間に天板の対応する端部がはめ入れられており、各支持脚の両連結壁およびこれにはめ入れられた天板の対応する端部に、ボルトが貫通させられており、ボルトにナットがねじ嵌められていると、強度を確保しつつ支持脚および天板の軽量化を図れるとともに、双方の分解組立を容易に行うことができる。
【0009】
また、巻上機本体の頂部から一対の対向垂直板状吊持壁がレール長さ方向に間隔をおいて起立させられており、両吊持壁は、天板の長さの中間部分をその幅方向から挟んでおり、両吊持壁および天板の長さの中間部分に、ボルトが貫通させられており、ボルトにナットがねじ嵌められていると、支持脚および天板の分解組立を容易に行えるとともに、天板および巻上機本体を容易に分解組立することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ロードチェーンの巻き上げに際し、巻き上げ操作を容易に安全に行うことができ、作業性を改善することのできるレール吊上装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明によるレール吊上装置の正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同レール吊上装置の要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明において、前後とは、図1および図2に矢印Aで示す方向を前、これと反対側を後といい、左右とは、前方より見て、その左右の側を左右というものとする。
【0013】
図1および図2を参照すると、前後方向にのびた軌道レールRをまたぐように立てられている前後一対の門型フレーム11を備えている。両フレーム11は、前後の向きは逆であるが、同一構造のものである。
【0014】
各フレーム11は、レールRの左右両側に立てられている一対の横断面方形状アルミニウムパイプ材製支持脚21と、両支持脚21の上端部同士を連結している横断面逆U字状鋼材(例えばSS41材)製天板22とよりなる。両支持脚21は、左右の向きは逆であるが、同一構造のものである。天板22には巻上機23が装備されている。
【0015】
左支持脚21および天板22の左端部を示す図3を参照すると、各支持脚21の上端部からは、一対の方形垂直板状連結壁31が前後方向に間隔をおいて対向状に起立させられている。両連結壁31には天板22の左端部がはめ入れられている。両連結壁31および天板22の左端部には2つの第1ボルト32の軸部が貫通させられている。両第1ボルト32のねじ部には第1ナット33がそれぞれねじ嵌められている。
【0016】
巻上機23は、巻上機構(図示略)を内蔵している巻上機本体41と、巻上機本体41から垂下させられているロードチェーン42とを備えている。
【0017】
巻上機本体41の頂部からは、一対の方形垂直板状吊持壁51が前後方向に間隔をおいて対向状に起立させられている。両吊持壁51は、天板22の長さの中間部分をその幅方向から挟んでいる。両吊持壁51および天板22の長さの中間部分に、2つの第2ボルト52の軸部が貫通させられている。両第2ボルト52のねじ部には第2ナット53がそれぞれねじ嵌められている。
【0018】
ロードチェーン42の下端にはレールキャッチ61が取り付けられている。レールキャッチ61は、レールRの頭部を解放自在に拘束するための開閉自在の第1キャッチ部材62および第2キャッチ部材63よりなる。
【0019】
巻上機構は、前後方向にのびた巻上軸71を有している。巻上軸71の前端部は、巻上機本体41から前方に突出させられている。巻上軸71の前方突出端部には、これと直交状に巻上レバー72が取付られている。
【0020】
巻上レバー72を上下揺動させると、巻上軸71が正逆回転させられる。巻上軸71の回転は、巻上機構のラチェット機構を介して、ロードチェーン42に伝達され、ロードチェーン42が引き上げられるか、あるいは引き下ろされ、これにより、ロードチェーン42が巻き上げられる。
【0021】
巻上レバー72の上下揺動操作は、吊り上げられるレールRに邪魔されることなく、その側方から行うことができる。これにより、作業性が大幅に向上する。また、巻上レバー72の高さ位置は作業者が上下揺動操作を行いやすい位置であり、さらに、垂下されるロードチェーン42の長さも必要な長さにとどめることができ、吊り上げられたレールRがロードチェーンの長さのために不安定な状態となることが避けられる。このように、作業性及び安全性が確保される。
【0022】
ラチェット機構を用いた巻上機構は、例えば、特開平7−247096号公報、特開平10−59689号公報、特開2000−16769号公報、特開2002−193591号公報、特開2002−249298号公報等により知られている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明によるレール吊上装置は、例えば、鉄道軌道工事において、軌道に敷設するためのレールあるいは軌道に敷設されていたレールを吊り上げることを達成するのに適している。
【符号の説明】
【0024】
21 支持脚
22 天板
41 巻上機本体
42 ロードチェーン
71 巻上軸
72 巻上レバー
R レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り上げるべきレールの幅方向に間隔をおいてその両側に一対の支持脚が立てられており、両支持脚の上端部同士が天板によって連結されており、天板下部に巻上機本体が固定されており、巻上機本体から、下端にレールキャッチを取り付けたロードチェーンが垂下させられるとともに、巻上機本体から、ロードチェーンを巻き上げるための巻上軸の一端部が、レール長さ方向側方に突出させられており、巻上軸の側方突出端部に、これと直交状に巻上レバーが取付られているレール吊上装置。
【請求項2】
各支持脚は、アルミニウムパイプ材よりなり、各支持脚の上端から一対の対向垂直板状連結壁がレール長さ方向に間隔をおいて起立させられており、天板は、横断面逆U字状の鋼材よりなり、各支持脚の両連結壁間に天板の対応する端部がはめ入れられており、各支持脚の両連結壁およびこれにはめ入れられた天板の対応する端部に、ボルトが貫通させられており、ボルトにナットがねじ嵌められている請求項1に記載のレール吊上装置。
【請求項3】
巻上機本体の頂部から一対の対向垂直板状吊持壁がレール長さ方向に間隔をおいて起立させられており、両吊持壁は、天板の長さの中間部分をその幅方向から挟んでおり、両吊持壁および天板の長さの中間部分に、ボルトが貫通させられており、ボルトにナットがねじ嵌められている請求項1または2に記載のレール吊上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−246106(P2012−246106A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119766(P2011−119766)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(504377002)株式会社アイエム (8)