説明

ロウソク立てのロウ受け

【課題】 ロウ受けやピンに固着したロウを簡単にしかも綺麗に取ることができ、余計なゴミがでないロウソクのロウ受けを提供する
【解決手段】 中心部に形成されロウソク立て6のピン8が挿通する貫通穴20と、裏面側に設けられピン8が挿通される支持部22と、貫通穴20の下方のピン8の側面に形成された突起部16とを備える。支持部22には、突起部16に係合する切り込み24が形成され、切り込み24は支持部22の下端から垂直方向に形成された垂直部24aと、垂直部24aの上部から側方に切り込まれているとともに僅かに下方に傾斜した傾斜部24bとから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、お墓等に設けられたロウソク立てのロウ受けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、お墓や神社、お寺、又は家庭での各種行事にロウソクが使用されている。このロウソクは、使用しているとロウソクのロウが溶けて垂れてくる。この垂れたロウは、使用後に燃え残りとしてロウソクを立てた台や周辺に残り、固着する。お墓等では、次に使うまでに、固着したロウをへらや先の尖った物で突き剥がすなどして取り除いており、非常に面倒なものである。また、アルミホイルなどの金属箔によりロウ受け具を包むように覆い、そこにロウソクを立てて使用する場合もある。この場合は、使用後、ロウ受け具を覆っていたアルミホイルを取り除き、アルミホイルに固着したロウとともに処分している。
【0003】
その外、特許文献1では、ロウを受ける器具をロウソクの使用前に、ロウソク立てなどの受け具に装着するものが提案されている。さらに、特許文献2では、ロウソクを立てるピンに特殊な器具を取り付けてロウソクから垂れ固着したロウを掻き取ることが提案されている。
【特許文献1】特開平09−252923号公報
【特許文献2】特開平07−73729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術の、固着したロウをへらや先の尖った物で突き剥がす場合、ロウ受けに固着したロウを取り除く際に、必要以上に力を加えすぎて、ロウ受けを傷つけたり壊したりする可能性があり、怪我をする恐れもある。また、苦労して剥がしても、取り残しが発生しやすいものである。一方、アルミホイルなどを用いる方法では、ロウ受けを金属箔で覆う作業が面倒であり、ロウソクを挿着するピンの尖った先により怪我をする可能性があり、見栄えもよいものではない。
【0005】
また、特許文献1に開示されたものは、一般に行われているアルミホイルなどを使用する方法より、容易にロウを除去できるが、見栄えをよくするため器具の厚さが薄く、綺麗にロウを除去するには十分な強度を得ることが難しい。また、ロウが固着した受け具は、ロウと一緒に処分するため、ゴミの量を増やすことになる問題がある。一方、特許文献2に開示されたものは装置が複雑であり、例えば、お墓のロウソク立て等の小さなロウ受けに合うようなものを作るには、手間とコストがかかるものとなってしまう。さらに、ピンから摺動しながら固着したロウを掻き取るため、ピンを傷めてしまう可能性があるし、装置に固着したロウを取り除く作業が面倒である。
【0006】
この発明は、上記従来の技術に鑑みて成されたもので、ロウ受けやピンに固着したロウを簡単にしかも綺麗に取ることができ、余計なゴミがでないロウソクのロウ受けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、中心部にピンを有したロウソク立てに設けられ、このロウソク立てに立てられたロウソクの溶けたロウを受けるロウ受けであって、前記ロウ受け中心部に形成され前記ロウソク立てのピンが挿通する貫通穴と、前記ロウ受けの裏面側に一体的に設けられ前記ピンが挿通される支持部と、この支持部を前記ピンに対して移動可能に且つ所定位置で固定する係止手段とを備えたロウソクのロウ受けである。
【0008】
前記ピンは、前記ロウ受けの貫通穴と接する箇所は、前記貫通穴の径とほぼ等しい径の円柱状にあり、前記貫通穴の上方の一部は、横断面が異形状に形成されている。
【0009】
また、前記係止手段は、前記貫通穴の下方の前記ピンの側面に形成された突起部と、前記支持部に形成され前記突起部に係合する切り込みとから成り、この切り込みは前記支持部の下端から垂直方向に形成された垂直部と、この垂直部の上部から側方に切り込まれているとともに僅かに下方に傾斜した傾斜部とから成る。
【発明の効果】
【0010】
この発明のロウソクのロウ受けによれば、ロウソクのロウ受けやロウソクを挿通させるピンに固着したロウを簡単にしかも綺麗に取ることができ、ロウがロウ受けから綺麗に剥離するため、余分なゴミがでないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明のロウソクのロウ受けの一実施形態について、図1〜図9に基づいて説明する。この実施形態は、図1に示すように、お墓などに設けられたロウソク立て6であって、ロウソク4を立てるためのピン8が石などで作られた土台10に立設されている。立設したピン8は、土台10からの突出部分12が円柱状をしており、ピン8の先端側は、長手方向に細い円錐状に成形され、先端は僅かに丸められている。土台10から突出したピン8の円柱状の側面には、一対の突起部16が設けられ、円柱部と円錐部の境界部分は、ピン8の水平断面が四角形を成すように異形状の四角柱部18が成形されている。
【0012】
ピン8には貫通穴20を有した皿状のロウ受け2が挿着されており、そのロウ受け2の支持部22には切り込み24が設けられている。この切り込み24は、支持部22の下端から垂直に切り込まれた垂直部24aと、この垂直部24aの上部から側方に切り込まれているとともに僅かに下方に傾斜した傾斜部24bとから成る。そして、この切り込み24に、ピン8の突起部分16が嵌合している。
【0013】
この実施形態におけるロウソク4のロウ受け2の使用方法は、まず、図4に示すように、土台10に設けられたピン8にロウ受け2を挿着し、ロウ受け2の切り込み24に突起部16を合わせて、突起部16が垂直部24aから傾斜部24bの端部に位置するように回転する。次に、ロウソク4をピン8に刺して挿着する。そして、図5のようにロウソク4を燃やすと、垂れたロウ26がロウ受けに溜まる。
【0014】
ロウソク4を燃やしたあとは、図6のように、ロウソク4を取り外し、ロウ受け2を支持部22の切り込み24にピン8の突起16が沿うようにロウ受け2を回転させる。すると、図2に示すように、ロウ受け2に溜まったロウ26は、図3のようにピン8の四角柱部18によりピン8との接触部分が破壊され剥離する。さらに、ロウ受け2の回転により、ロウ受け2が傾斜部24bに沿って僅かに下降するとともに、ロウ26は、ピン8の円錐部により保持され、ロウ受け2がロウ26から離れる。これにより、ロウ受け2内のロウ26は何処にも付着していない状態となる。最後に、図7に示すように、ロウ受け2をピン8から取り外し、剥離したロウ26を捨てる。
【0015】
この実施形態におけるロウソク4のロウ受け2によれば、ロウソク4から垂れてロウ受け2に溜まったロウ26を、容易且つ綺麗に分離させることができ、溜まったロウ26だけを捨てることが可能である。そのほか、余分なゴミが発生しないため、ゴミの削減にもなる。さらに、ピン8にロウ受け2の支持部22を被せるように挿着するため、風などに飛ばされにくく、しっかり挿着できる。
【0016】
また、ロウ受け2を挿着するピン8の形状は、図8のように、ロウ受け2の上方に位置する部分の形状を、ピン8の先端からロウ受け2の底部までテーパ状としても良く、これによりロウ26のピン8からの剥離がより容易になる。
【0017】
このロウソク4のロウ受け2は、図8に示すように、ロウ受け2をピン8に取り付ける係止手段であるロウ受け2の土台取付部分が、水平方向に分割されている。ロウ受け2側の支持部34の底部には複数の突起30が設けられ、突起30と嵌合する凹部32が、土台10に固定された取付部36に設けられている。支持部34及び取付部36の中心部には、ピン8の挿通孔が形成され、ロウ受け2を挿通して装着する。
【0018】
この場合、ロウソク4を立てるときは、ロウ受け2の突起30は取付部36の上面に当接させておく。そして、ロウ受け2内のロウを取り除く際には、ロウ受け2を回転させて突起30を凹部32内に嵌合させ、ロウ受け2を僅かに下げる。このときロウは、ピン8のテーパ状部分に付着しており、ロウはピン8に付いて残る。これにより、ロウ受け2の内面とロウの縁が切られる。この後、ロウ受け2を引き上げることにより、容易にロウがピン8から外れ、捨てることができる。
【0019】
また、ロウ受け2の底と接するピン8の側面形状や断面形状は、適宜選択可能なものであり、図9に示すように、ロウ受け2の底に位置するピン8の側面に、ロウ受けの底と面一な段差面28が成形されていてもよい。これにより、ロウ受け2を下げた際にも確実にロウがピン8に付いて残る。さらに、ピン8のロウ受け2内の形状を、横断面が真円ではない楕円や、多角形、その他異形状にすることにより、回転によるロウの剥離が可能となり、その形状は適宜設定し得る。
【0020】
なお、この発明のロウソクのロウ受けの材質及び大きさ、突起の数は、使用するロウソクの大きさや使用環境や用途に合わせて適宜選択可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態のロウ受けを挿着した状態を示す概略斜視図である。
【図2】この実施形態のロウ受け内にロウが溜まった状態を示す縦略断面図(a)と、ピンの突起部の横断面図(b)である。
【図3】この実施形態のロウ受けを回転しロウを剥離した状態を示す縦略断面図(a)と、ピンの突起部の横断面図(b)である。
【図4】この実施形態のロウソクとロウ受けの装着を示す概略斜視図である。
【図5】この実施形態のロウ受けにロウが溜まる様子を示す概略斜視図である。
【図6】この実施形態のロウ受けを回しロウを剥離する様子を示す概略斜視図である。
【図7】この実施形態のロウ受けを外し、ロウを捨てる様子を示す概略斜視図である。
【図8】この発明の他の実施形態の、ロウ受けとピンの係止部及びピンの形状の変形例を示すもので、A−A断面図(a)とピンの突起部の横断面図(b)である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態の、ロウ受けとピンの係止部及びピンの形状の変形例を示すもので、B−B断面図(a)と、ピンの突起部の横断面図(b)である。
【符号の説明】
【0022】
2 ロウ受け
4 ロウソク
6 ロウソク立て
8 ピン
10 土台
16 突起部
18 四角柱部
20 貫通穴
22 支持部
24 切り込み
26 ロウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部にピンを有したロウソク立てに設けられ、このロウソク立てに立てられたロウソクの溶けたロウを受けるロウ受けにおいて、前記ロウ受け中心部に形成され前記ロウソク立てのピンが挿通する貫通穴と、前記ロウ受けの裏面側に一体に設けられ前記ピンが挿通される支持部と、この支持部を前記ピンに対して移動可能に且つ所定位置で固定する係止手段とを備えたことを特徴とするロウソクのロウ受け。
【請求項2】
前記ピンは、前記ロウ受けの貫通穴と接する箇所は、前記貫通穴の径とほぼ等しい径の円柱状にあり、前記貫通穴の上方の一部は、横断面が異形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のロウソクのロウ受け。
【請求項3】
前記係止手段は、前記貫通穴の下方の前記ピンの側面に形成された突起部と、前記支持部に形成され前記突起部に係合する切り込みとから成り、この切り込みは前記支持部の下端から垂直方向に形成された垂直部と、この垂直部の上部から側方に切り込まれているとともに僅かに下方に傾斜した傾斜部とからな成ることを特徴とする請求項1または2記載のロウソクのロウ受け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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