説明

ログ搬送装置

【課題】ログ搬送装置内でログが汚れないようにする。
【解決手段】駆動チェーン10によってログRを支持する支持具11を移動させ、ログ排出位置AxにてログRを排出するログ搬送装置Aにおいて、前記駆動チェーン10に当接するブラシ手段20と、このブラシ手段20で掻き取られた異物を吸引回収する吸引回収手段21とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ログとは、トイレットペーパーの原反シートやキッチンペーパーの原反シートを製品直径になるように、原反ロールから巻き取ったものである。直径は市場で流通する100〜120mm程度であり、幅は原反ロールの幅と同じである。通常は、数mの長さを有する。このログから、幅方向に製品寸法間隔で切断することにより、製品としてのトイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールが得られる。
ログの切断作業はログ切断機によって行われるが、このログ切断機にログを供給するにあたり、ログ搬送装置(ログアキュームレーターあるいはログストッカーとも呼ばれる)が用いられる。
ログ搬送装置は、ログの両端を支持する支持金具を多数取り付けた2本の駆動チェーンを用い、この2本の駆動チェーンを循回させて、多数のログを保管しつつ、1本ずつ排出する装置である。ログ搬送装置のログ排出位置には、支持金具を傾斜させるカムとシュートが取り付けられており、この排出位置に支持金具が移動してくると、支持金具が傾斜してログがシュート上に転がり出る。
【特許文献1】特許3461771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなログ搬送装置では、前記駆動チェーンの防錆および動作の円滑のために、駆動チェーンに潤滑油、グリスなどの油脂類が塗布される。
しかし、この油脂類にログの搬送課程で発生する紙粉や工場内に飛散している他の工程で生じた紙粉などが混じって油汚れとなり、そして、ログを切断機に排出する際の衝撃やチェーンの移動などによって前記油汚れが搬送装置内に保持されている排出待ちのログ上に落下等して、ログが汚れてしまうことがあった。
そこで、本発明はチェーンに付着している異物がログ上に落ちて、ログが汚れる事故が防止された、ログ搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
ログを支持する支持具と、この支持具を移動させる駆動チェーンとを有し、前記支持具にログを保持した状態で、前記駆動チェーンを循回させてログを搬送するとともに、ログ排出位置にてログを排出するログ搬送装置であって、
前記駆動チェーンに付着している異物を除去回収する異物除去回収手段を設けたこと特徴とするログ搬送装置。
【0005】
(作用効果)
駆動チェーンに付着している異物を除去回収する異物除去回収手段を設けたので、異物がログ上に落下してログが汚れる事故が防止される。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記異物除去回収手段は、異物を吸引回収する吸引回収手段を備える、請求項1記載のログ搬送装置。
【0007】
(作用効果)
吸引回収することとしたので、駆動チェーンからの異物の分離除去と回収とを一度に行うことができ、異物の除去回収が確実になされログ上へに異物の落下にともなるログ汚れが確実に防止される。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記異物除去回収手段は、駆動チェーンに当接するように配置されたブラシ手段と、このブラシ手段で掻き取られた異物を吸引回収する吸引回収手段とを備える、請求項1記載のログ搬送装置。
【0009】
(作用効果)
ブラシ手段を用いることにより、潤滑油などの必要油脂の拭取りすぎずに異物を掻き取ることができるとともに、掻き取った粘性の高い含油性の異物を保持することができる。駆動チェーンの表面形状に関わらず駆動チェーン表面に付着している異物を掻き取ることができるようになる。
また、掻き取った異物を吸引回収手段で吸引して回収手段を設けたため、チェーン駆動に応じて経時的に掻き取られたブラシ手段に付着して溜まった異物が吸引されるため、ブラシ手段に溜まった異物が落下するということもない。
さらに吸引回収する課程で、周囲に飛散している紙粉も吸引するため、駆動チェーンに紙粉が付着して潤滑油等と混じって異物が形成されることも防止される。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記吸引回収手段は、駆動チェーンを囲むように配された吸引ヘッドを有し、この吸引ヘッドは、駆動チェーンに臨む位置に吸引口が形成されている、請求項2または3記載のログ搬送装置。
【0011】
(作用効果)
駆動チェーンを囲むように吸引ヘッドを設けるとともに、駆動チェーンに臨む位置に吸引口を設けたので、駆動チェーンの異物をより好適に吸引して除去回収できる。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記ブラシ手段が、吸引回収手段の吸引口よりも駆動チェーンの進行方向側に位置されている、請求項3または4に記載のログ搬送装置。
【0013】
(作用効果)
ブラシ手段を吸引回収手段よりも駆動チェーン進行方向側に位置せしめることにより、ブラシ手段で掻きとった異物を好適に回収できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動チェーンに付着している異物がログ上に落ちることがなく、もってログ搬送装置内においてログが汚れることがない、ログ搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態に係るログ搬送装置の正面図、図2はその側面図、図3は異物除去回収手段の拡大概略図、図4はその吸引ヘッドの一例を示す図である。
【0016】
本実施の形態のログ搬送装置Aは、間隔を開けて並設された二本一対の無端の駆動チェーン10,10を有し、この駆動チェーン10,10がそれぞれ同一形状の略縦長楕円状の循環路を循環するように構成されている。
【0017】
駆動チェーン10には、ログRを支持する支持具11,11…が多数取り付けられており、この支持具11によって実質的にログRを支持する。支持具11は、ログRの端部を受ける略V字状部11vあるいは湾曲円弧状部を有する金属製部材であり、駆動チェーン10に対して通常状態では広口部を真上にして、適当な外力によって所定角度、概ね120度前後にまで傾斜可能に取り付けられている。
【0018】
ログRは、支持具11が通常状態のときに各端部がそれぞれ両駆動チェーンの各支持具上に載置され、両駆動チェーン10,10の支持具間においてほぼ床面と平行となるように架け渡されて保管される。
【0019】
そして、二本の駆動チェーン10、10は、図示しない駆動源によってそれぞれ等速度で循環移動させられることにより、多数のログRが床面と平行にして支持具間に架け渡され保管されつつ排出位置まで搬送する。
【0020】
ログ排出位置Axには、前記支持具11、11を強制的に傾斜させるカム12と、排出されたログRを受けるシュート13が取り付けられており、この排出位置に支持具11、11が移動してくると、支持具11、11がカムに当接して傾斜され、支持具上のログRがシュート13上に転がり出る。
【0021】
本形態のログ搬送装置Aでは、特徴的に前記駆動チェーン10に付着している異物Sを回収するための異物除去回収手段が設けられている。
【0022】
この異物除去回収手段は、異物を吸引回収する吸引回収手段21と、駆動チェーン10に当接するように配されたブラシ手段20とを備え、ブラシ手段で20で掻き取られた異物が前記吸引回収手段によって吸引回収されるように構成されている。
【0023】
ブラシ手段20は、駆動チェーン10に当接するように位置せしめられて、例えば図示されない枠体等に固定されており、駆動チェーン10の移動に伴ってブラシ手段20の毛先部分が駆動チェーン表面を摺って表面に付着している異物Sを掻き取るように構成される。なおブラシ手段20を固定せずに、駆動手段を用いて所定範囲を往復移動するようにして、駆動チェーン10の表面を摺るようにしてもよい。
【0024】
このブラシ手段20は、天然あるいは合成の毛や細長形状のスポンジを多数集合させた一般的なブラシを用いることができ、その毛等の材質、毛足の長さ、硬さなどは、潤滑油等の必要油脂の拭取り具合や異物の掻き取り具合を考慮して適宜定める。なお、ブラシ手段20によって掻き取られて駆動チェーン10の潤滑油等が不足した場合には、適宜の箇所で駆動チェーンに注油すれよい。
【0025】
他方、ブラシ手段20の近傍に設置される吸引回収手段21は、前記ブラシ手段20で掻き取られた異物を主に吸引して除去回収する装置である。もちろんブラシ手段20で掻き取った異物Sのみならず、駆動チェーン10に付着している異物を直接的に吸引することがあってもよい。この吸引回収手段21は、異物を吸引して回収する機能を有する構成であれば特に限定されるものではないが、本形態のログ搬送装置では、ブラシ手段の近傍であってかつ駆動チェーン10近傍に開口する吸引口21aを有する吸引ヘッド21Hと、この吸引ヘッド21Hから延在される吸引管路21Lと、吸引管路21Lを介して搬送された異物を収集する異物回収タンク21Tと、実質的に吸引機能を付与する吸引ポンプ21P等を組み合わせて構成されている。吸引ヘッド、吸引管路、回収タンクは、金属や可塑材など素材で構成することができる。
【0026】
吸引回収手段21の吸引口21aは、駆動チェーン10を囲むように配置するのが望ましい。例えば、図4に示すがごとく略コ字状の吸引ヘッドとして、この吸引ヘッドの駆動チェーンに臨む位置に、スリット状の吸引口を設ければ、支持具をよけつつ駆動チェーンを囲むように吸引口を配することができる。なお、ブラシ手段も同様に略コ字状とすればさらに好適である。
【0027】
そして、吸引回収手段21の前記吸引口21aからは、連続的にあるいは適宜の間隔で、吸引操作を行うことができる。吸引操作は、吸引ポンプ21Pのオンオフで操作することができる。常時連続的に吸引操作を行うこととすれば、駆動チェーン10に付着しようとする紙粉が吸引されるので、駆動チェーン10の潤滑油に飛散紙粉が付着混合して異物が発生すること自体を防止する効果も得られる。
【0028】
ここで、吸引回収手段21の吸引口20aとブラシ手段20との距離は、回収手段の吸引力の作用範囲によって適宜設定することができる。どの程度の重量の異物を吸引するかによって吸引力を定め、当該吸引力でブラシ20に付着した異物を吸引可能とする範囲で、ブラシ手段20と離間させて設けることができる。
【0029】
ブラシ手段20と吸引口21aの配置関係は、ブラシ手段20を枠体に固定して駆動チェーン10に当接させた状態で駆動チェーン10を移動させることによって異物の掻き取り操作を行うのであれば、掻き取られた異物がブラシ20の後側面に溜まるため、特にこの場合には、図3にも示されるとおり、吸引口21aがブラシ手段20よりも駆動チェーン進行方向(図中二点斜線矢印方向)後側に位置せしめるのが望ましい形態となる。
【0030】
ここで、上記ブラシ手段20および吸引ヘッド21H(吸引口21a)を設ける位置としては、駆動チェーン10の循環路の途中の適宜の位置とすることができるが、好適には、支持具11上にログRが存在しなくなる、ログ排出位置Axからログ受け入れ位置に至るまでの途中であり、その中でも特に好適には駆動チェーン10,10の縦長の循回路の最下部である。
【0031】
なお、上記形態は、ブラシ手段と吸引回収手段との双方を備える形態であるが、本願発明はこの形態の限定されるわけではない。例えば、ブラシ手段を備えずに、吸引回収手段のみを備える形態でもよい。この場合における吸引手段の具体的な形状や設置態様は、上記ブラシ手段をも備える形態における吸引回収手段と同様とすることができる。ただし、吸引力については、ブラシ手段によるチェーンからの異物の分離補助がないため、より高めに設定するのが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、トイレットペーパーの原反シートやキッチンペーパーの原反シートを製品直径になるように、原反ロールから巻き取ったものであるログの搬送装置のほか、布、不織布、PPシート等の各種シートを巻き取ってロール状にしたものを対象とする搬送装置にことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係るログ搬送装置の正面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】ブラシ手段と吸引回収手段の概略図である。
【図4】吸引ヘッドの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
A…ログ搬送装置、Ax…ログ排出位置、B…異物除去回収手段、10…駆動チェーン、10L…駆動チェーン路、11…支持具、12…カム、13…シュート、20…ブラシ手段、21…吸引回収手段、21H…吸引ヘッド、21a…吸引口、21L…吸引管路、21T…回収タンク、21P…ポンプ手段、S…異物、R…ログ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ログを支持する支持具と、この支持具を移動させる駆動チェーンとを有し、前記支持具にログを保持した状態で、前記駆動チェーンを循回させてログを搬送するとともに、ログ排出位置にてログを排出するログ搬送装置であって、
前記駆動チェーンに付着している異物を除去回収する異物除去回収手段を設けたこと特徴とするログ搬送装置。
【請求項2】
前記異物除去回収手段は、異物を吸引回収する吸引回収手段を備える、請求項1記載のログ搬送装置。
【請求項3】
前記異物除去回収手段は、駆動チェーンに当接するように配置されたブラシ手段と、このブラシ手段で掻き取られた異物を吸引回収する吸引回収手段とを備える、請求項1記載のログ搬送装置。
【請求項4】
前記吸引回収手段は、駆動チェーンを囲むように配された吸引ヘッドを有し、この吸引ヘッドは、駆動チェーンに臨む位置に吸引口が形成されている、請求項2または3記載のログ搬送装置。
【請求項5】
前記ブラシ手段が、吸引回収手段の吸引口よりも駆動チェーンの進行方向側に位置されている、請求項3または4に記載のログ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−230712(P2007−230712A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53810(P2006−53810)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)