説明

ロゴ付き二次元コード

【課題】セルに塗り分けられたセルドットの分布パターンによって情報を表現する二次元コードと、ロゴマークを組み合わせることによって、デジタル情報と視覚情報を同時に表現可能なロゴ付き二次元マークを提供する。
【解決手段】セル2に塗り分けられたセルドットDの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚によりキャラクターを表現するロゴマークを重ね合わせるとともに、少なくとも一部の前記セルドットの着色面積はセルの面積よりも小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロゴ付き二次元コード、さらに詳細には、会社、団体などを表示するためのロゴマークに二次元コードを付加したロゴ付き二次元コードに関する。
【背景技術】
【0002】
二次元コードは、図1( a)に一例を示すように、特定比率の正方形を組み合わせた3つの位置決めシンボル1a、1bおよび1cを有し、この位置決めシンボル1a、1bおよび1c間に、正方形の複数のセル2を有しており、前記セル2を白と黒とに塗り分ける(以下、塗り分けられたものをセルドットという)ことによって、情報を記録するものである(たとえば特開平10−208001号参照)。このような二次元コード1は、バーコードに比較して多くの情報を記録できることから、頻繁に使用されるようになっている。
【0003】
上述の二次元コードは、たとえば携帯電話に備えられた読み取り装置によって読み取ることができ、これによって、たとえば会社などの団体のURL等の情報を取得できるようになっている。
【0004】
しかしながら、基本的にこのような二次元コードは、白と黒の組み合わせであり、パンフレットなどに表示されていても、人間には理解できない情報であり、前記二次元コードを見ただけでは、どのような会社あるいは団体であるのか理解できない。したがって、パンフレットなどに表示されている場合には、パンフレットのデザインなどを損ない、また、単に視覚として見る人にとっては、煩わしい存在であるという欠点がある。
【0005】
最近になって、上述のようなセル2の分布パターンによって情報を表現する二次元コードにおいて、赤緑青の3色によって、色彩が表現され、かつ前記色彩でセルを塗り分けることにより、分布パターンを形成する方法も開示されている(特開2000−123132号公報)。
【0006】
一方、図7に示すようなロゴマーク3は、それ自体、会社、団体を暗示するマークとして使用されており、デザイン化されたものが多く、視覚的に良好な印象を与えるものである。したがって、視認により、多くの人はどの会社か、団体か瞬時に認識できるという利点があるが、一方においてはデジタル的な情報は内包していない。
【特許文献1】特開平10−208001号公報
【特許文献2】特開2000−123132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みなされたものであり、セルに塗り分けられたセルドットの分布パターンによって情報を表現する二次元コードと、ロゴマークを組み合わせることによって、デジタル情報と視覚情報を同時に表現可能なロゴ付き二次元マークを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明によるロゴ付き二次元コードは、セルに塗り分けられたセルドットの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚によりキャラクターを表現するロゴマークを重ね合わせるとともに、少なくとも一部の前記セルドットの着色面積はセルの面積よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セルの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚により情報を表現するロゴマークを重ね合わせ、二次元コードを作製したため、デジタル情報を読み取り装置などによって読み取り可能であり、かつ視覚的にロゴマークを認識可能であるので、視覚情報も認知可能であるという利点がある。さらに、本発明によれば、前記セルドットの塗り面積はセル自身の面積よりも小さいため、ロゴマークを損なうことがなく、視認性が向上するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は上述のように、セルに塗り分けられたセルドットの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚によりキャラクターを表現するロゴマークを重ね合わせるとともに、少なくとも一部の前記セルドットの着色面積はセルの面積よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
本発明による好ましい態様においては、前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは、前記セルの中心部を中心にセル面積の3%以上所定の色に着色されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の好ましい態様では、前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは幾何学的な形状、たとえば、ひし形、円形、四角形、六角形などであることを特徴とする。
【0013】
本発明による他の好ましい態様では、前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは不定形状であることを特徴とする。
【0014】
さらに好ましい態様では、前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットを備えたセルの前記セルドット以外の部分は、前記セルドットと異なる色が着色されていることを特徴とする。
【実施例】
【0015】
図1(b)は、ロゴマークの平面図であるが、この図1(b)より明らかなように、たとえばロゴマーク3の団体名などを表すキャラクターCは白抜きの円形部分(図形部分)31とその円形部分に表示された文字部分(この例ではM)32を有している。この例においては、ロゴマーク3は、文字部分32および円形部分31の外側の背景部分33は同色になっており、円形部分31は白抜きになっている。そして、二次元コード3のセル2は、図1(a)に示すように、黒色および白色に塗り分けられており、二次元コードの情報パターンは二色で表示されるようになっている。
【0016】
このようなロゴマーク3に二次元コード1を重ね合わせると(二次元コードは一部のみ表示)、文字部分32及び円形部分31の境界が二次元コードのセル2の着色(黒;基準着色)、すなわちセルドットで侵食され、ロゴマーク3が視認しにくくなるという欠点がある(図2参照)。
【0017】
図4は、二次元コードとして図3に示すものを使用した場合(ロゴマークとしては、図1(b)のものを使用する)の本発明の一実施例を示す平面図である。この二次元コードは、図1(a)と同様に、4mm角のセルを縦横45×45個並べた構造になっている。
【0018】
この図4より明らかなように、前記ロゴマーク2は文字部分32及び背景部分33は同色(図4では黒色であるが、種々の色彩であってよい)であり、円形部分31は白色に着色されており、白色が基準の色彩になっている。そしてセル2を着色するセルドットDは、一部がひし形のセルドットDrであり、正方形のセル2を全部着色していない。すなわち、ひし形のセルドットDrの着色面積はセル2の面積よりも小さくなっている。この状態を図5に模式的に示す。図5より明らかなようにセルドットDrの面積は、この実施例においてはセル2の面積の1/2である。
【0019】
前記ひし形のセルドットDrは、この実施例では、黒色及び白色に着色されている。図4より明らかなように、文字部分32及び背景部分33は黒色に着色されているため、ひし形のセルドットDrは白色に着色され(図5の第1列参照)、円形部分31は白色に着色されているため、黒色に着色されている(図5の第2列参照)。
【0020】
この場合、あるセル2中のひし形のセルドットDr以外の部分は、他の色彩(黒あるいは白)に着色されている(図5参照)。
【0021】
ひし形に着色されていない他のセル2、たとえば文字部分32及び背景部分33のセル2の場合、白色に着色されるべきではないセルはセル全体が黒色に着色されたセルドットD1になっておりおり、円形部分31の黒色に着色されるべきでないセルはセル全体が白色に染色されたセルドットD2になっている。このため、二次元コードのセルドットとして視認できるセルドットはひし形のセルドットDrのみとなり、ロゴマーク2が視認しやすくなる。
【0022】
図6は、上述のような二次元コード構造において、読み取り装置によって読み取り可能な機構を説明するための図である。前記読み取り装置はセル2の中心部分DC(第3番目のセル参照)を読み取るような構造になっており、たとえ形状がどうであろうと読み取り可能であることが見いだされた。
【0023】
図6の第4番目のセルのように、セル全体が黒色に着色されており、読み取り装置が、たとえば1として認識し、また、第5番目のセルのようにセル全体が白色に着色されており、0と認識する場合、たとえば、図6の第1番目のセル2のようにひし形で白色のセルドットDrwの場合は、前記第5番目のセルのときと異なり、グラフで示すようにある程度黒と認識される値を取るとしても、読み取り装置のしきい値が前記値より低い場合には白として0と認識することになる。一方、第2番目のセル2のようにひし形で黒色のセルドットDrbの場合は、前記第4番目のセルのときと異なり、グラフで示すようにある程度白と認識される値を取るとしても、読み取り装置のしきい値が前記値より高い場合には黒として1と認識することになる。
【0024】
さらに、前述のように前記読み取り装置はセル2の中心部分DC(第3番目のセル参照)を読み取るような構造になっているため、前記セルドットの面積が、たとえばひし形のように半分であったとしても、読み取り装置は半分の値を示すことはなく、ある程度高い値(黒として認識する値)を取るようになる。
【0025】
したがって、セル2の中心部分DCを中心にセルドットを形成すれば、面積を小さくしても容易に読み取り可能になる。セル2の中心部分DCを中心にセルドットを形成する場合、セル2の面積の3%以上であると、携帯電話による読み取り装置に容易に読み取らせることができる。好ましくは20%以上である。
【0026】
また、本発明によるロゴ付き二次元コードは、図4に示すようにロゴ付き二次元コードの外側に白色に着色された余白4が設けられる。この余白4の幅Lがセル2の横または縦の長さの50%未満であると、読み取り装置によって読み取りにくくなるからである(以下の実施例でも同様であるが、図では省略してある)。
【0027】
図7は本発明による第2の実施例の平面図である。この実施例においても図3の二次元コード1を使用し、ロゴマーク2としては、図1(b)のものを使用している。この実施例は上述の実施例と同様のセル寸法、セル数を有している。
【0028】
この実施例においては、円形のセルドットDcを有している。前記円形のセルドットDcは正方形のセル2に内接する円であり、前記セル2を全部着色していない。この実施例においても文字部分32及び背景部分33は同色に形成されており、円形部分31は白色に形成されている。
【0029】
この実施例でも同様に円形のセルドットDcの色彩以外の残余のセル部分は、他の色に着色されている。前述の図7によれば、文字部分32及び背景部分33は黒色であるが、この部分の円形のセルドットDcは白色に着色されており、残余のセル部分は黒色に着色されている。この実施例においては、円形部分31は、前述のように白色であるが、セルドットDfは不定形で、かつ白及び黒以外の着色になっている。黒以外の着色であっても、図6の第6番目のセルのように、前記しきい値より大きな値の場合には、1として認識されることになり、二次元コードの情報を伝達するために支障はない。したがって、上述の第1の実施例及びこの実施例において、黒色になっている文字部分32及び背景部分33が黒以外の色彩に着色されていても、情報の伝達に支障はないのは明らかである。
【0030】
上述の第1の実施例及び第2の実施例においては、円形、ひし形のセルドットを使用しているが、他の幾何学的な形状、たとえばセルと相似形の四角形、六角形などを有効に使用可能であることは明らかである。
【0031】
図8は前記不定形のセルドットDfを模式的に示す図であるが、斜線で示されるセルの情報が二次元コードで表現したい場合に、従来においてはセル番号(横番号−縦番号で示す)4−2,5−2,2−3,3−3,4−3,5−3を黒色などで着色し、他を白に着色する。しかしながら、この実施例においては、太線で示すような形状でセルドットDfを形成しており、セルドットDf内を所定の色彩で着色している。たとえばセル番号4−2のセルは、セルドットDfの太線で全体を囲まれていないため、セル全体が着色されているわけではない。しかしながらセルの中心部分を中心にその大部分が着色されているため、着色の情報の1を示すことになる。セル4−1はセルドットDfの太線に一部囲まれているため、一部着色しているが、セルの中心部分を中心に白色になっているため、前述の図5、図6の説明でも明らかなように情報としては0を示すことになる。したがって、このような不定形のセルドットDfであっても、二次元コードの情報を読み取り可能にできる。
【0032】
図9は本発明の第3の実施例であるが、同様の二次元コードは図3に示すもの、ロゴマークは図1(b)に示すものを使用している。セルの寸法及び個数は上述の第1の実施例、第2の実施例と同様である。この実施例によれば、セルドットDfは種々の不定形をしており、白色以外のセルは、図8で説明したような不定形のセルドットDfでのみで構成されている(結果として白色のセルドットも不定形になるものもある)。このようなロゴ付き二次元コードも支障なく携帯電話で読み取ることが可能である。
【0033】
実際に前記第1から第3の実施例において、図において黒色で表現された部分は青色に、第2の実施例及び第3の実施例における他の着色部分は黄土色に着色されたものを作製したところ、携帯電話の読み取り装置で読み取り可能であった。
【0034】
本発明においては、特願2006−115345号で、本出願人が開示したように、前記ロゴマークのキャラクターCの境界にアウトラインを設けてもよく、好ましい態様においては、前記アウトラインが通過するセルは前記アウトラインの境界を境に塗り分けられている。
【0035】
また、情報パターンを形成する複数のセルは三以上の色彩に着色されており、その内の一つを基準着色とし、前記基準着色のセルドットが情報パターンを表示するようになっていてもよい。このような態様において、好ましくは情報パターンを示す基準着色は白色である。
【0036】
本発明において、前記基準着色以外の色彩に塗られたセルに隣接する基準色彩に塗られたセルにシャドウを設けてもよい。
【0037】
本発明による上記の態様において、情報パターンを形成するセルドットは、透明な赤外線吸収インキによって印刷されていることを特徴とする。このような態様において、前記キャラクターは文字部分、図形部分及び背景部分を備え、文字部分と図形部分が重なり合っている場合、前記文字部分及び背景部分のセルドットのみを前記赤外線吸収インキで印刷したことを特徴とする。またこのような他の態様においては、文字部分のみを前記赤外線吸収インキで形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、セルの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚により情報を表現するロゴマークを重ね合わせ、二次元コードを作製したため、デジタル情報を読み取り装置などによって読み取り可能であり、かつ視覚的にロゴマークを認識可能であるので、視覚情報も認知可能であるという利点がある。さらに、本発明によれば、前記セルドットの塗り面積はセル自身の面積よりも小さいため、ロゴマークを損なうことがなく、視認性が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】二次元コード及びロゴマークの平面図。
【図2】単純に二次元コードとロゴマークを重ね合わせたときの平面図。
【図3】実施例で使用した二次元コードの平面図。
【図4】第1の実施例の平面図。
【図5】第1の実施例におけるセルの状態を示す説明図。
【図6】読み取り装置の読み取り機構を説明する図。
【図7】本発明の第2の実施例の平面図。
【図8】不定形のセルドットを説明する説明図。
【図9】本発明の第3の実施例の平面図。
【符号の説明】
【0040】
1 二次元コード
2 セル
3 ロゴマーク
31 円形部分
32 文字部分
33 背景部分
Dr ひし形のセルドット
Dc 円形のセルドット
Df 不定形のセルドット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルに塗り分けられたセルドットの分布パターンにより情報を表現する二次元コードと視覚によりキャラクターを表現するロゴマークを重ね合わせるとともに、少なくとも一部の前記セルドットの着色面積はセルの面積よりも小さいことを特徴とするロゴ付き二次元コード。
【請求項2】
前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは、前記セルの中心部を中心にセル面積の3%以上所定の色に着色されていることを特徴とする請求項1記載のロゴ付き二次元コード。
【請求項3】
前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは幾何学的な形状であることを特徴とする請求項1または2記載のロゴ付き二次元コード。
【請求項4】
前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットは不定形状であることを特徴とする請求項1から3記載のいずれかのロゴ付き二次元コード。
【請求項5】
前記着色面積がセルの面積よりも小さいセルドットを備えたセルの前記セルドット以外の部分は、前記セルドットと異なる色が着色されていることを特徴とする請求項1から4記載のいずれかのロゴ付き二次元コード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−15642(P2008−15642A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184020(P2006−184020)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(507092573)A・Tコミュニケーションズ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】