説明

ロッカー

【課題】 異形ロッカーにおける物品の収納性や出入れ性を改善することにより、かなり大型の荷物でも安定に収納することができ、また収納しようとする物品の種類が多くても、それに対応することができる収納部を備えた異形ロッカーを提供すること。
【解決手段】 前面が全部開口部に形成された縦長のロッカー筐体1の内部を、上,下位の水平壁8b,8cと両水平壁を繋ぐ垂直壁8aを備えて正断面形状が略クランク状をなす仕切板8で仕切って2分すると共に、2分された収納部に対する扉9,10を、それぞれに前記開口部に設けたロッカーにおいて、前記仕切板8の上位の水平壁8bを垂直壁8aからオーバーハングさせて設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設置スペース効率を高めることができると共に、物品の収納性にも工夫を施したロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数の人が使用するロッカーの設置スペース効率を高めるために、本来は1人用のロッカー筐体の内部を2分すると共に、本来は1枚構成の扉を、2分した前記筐体開口部の正面形状に合せて2分した扉形状とすることにより、本来は1人用のロッカーを2人用に形成(以下、このようなロッカーを説明の便宜上「異形ロッカー」という)が、特許文献1,2などによって知られている。
【0003】
上記の異形ロッカーは、本来は1人用の収納部を2分して2人用としているため、物品の収納性や出入れ性が多少とも窮屈になり、例えば大型バッグを収納できない乃至は収納し難いなど使い勝手の面で良好なものとはいえないものもあった。
【特許文献1】特開2006−129919号公報
【特許文献2】特許第2827749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明では、上記のような異形ロッカーにおける物品の収納性や出入れ性を改善することにより、かなり大型の荷物でも安定に収納することができ、また収納しようとする物品の種類が多くても、それに対応することができる収納部を備えた異形ロッカーを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明ロッカーの構成は、前面が全部開口部に形成された縦長のロッカー筐体の内部を、上,下位の水平壁と両水平壁を繋ぐ垂直壁を備えて正断面形状が略クランク状をなす仕切板で仕切って2分すると共に、2分された収納部に対する扉を、それぞれに前記開口部に設けたロッカーにおいて、前記仕切板の上位の水平壁を垂直壁からオーバーハングさせて設けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明ロッカーでは、上記構成において、2枚の扉のそれぞれの裏面に、2分された収納部に対する2枚の扉のそれぞれの裏面に、履物を収納する履物ポケットと、A4サイズなどの書類を収納する書類ポケットを設けた構成を採ることができる。履物ポケットは、扉の左右幅が小さい部分の裏面に、上,下2段に設けると、履物の収納性や出入れ性が良好になる。
【0007】
さらに、本発明ロッカーでは、2分された各収納部におけるロッカー筐体の内部側面と当該内部側面に対向した仕切板の垂直壁にフック状の係止部材を設けた構成とすることもできる。対向する両面にフック状の係止部材を設けたことにより、上衣等の衣服を掛けたハンガーを少なくとも2個収納することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、いわゆる異形ロッカーを、前面が全部開口部に形成された縦長のロッカー筐体の内部を、上,下位の水平壁と両水平壁を繋ぐ垂直壁を備えて正断面形状が略クランク状をなす仕切板で仕切って2分すると共に、2分された収納部に対する扉を、それぞれに前記開口部に設けたロッカーにおいて、前記仕切板の上位の水平壁を垂直壁からオーバーハングさせて設けると共に、2分された収納部に対する2枚の扉のそれぞれの裏面に、履物を収納する履物ポケットと、A4サイズなどの書類を収納する書類ポケットを設け、さらに、2分された各収納部におけるロッカー筐体の内部側面と当該内部側面に対向した仕切板の垂直壁にフック状の係止部材を設けて形成したので、この種の異形ロッカーにおける収納性や出入れ性を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明ロッカーの実施の形態例を、図を参照しつつ説明する。
図1は本発明ロッカーの一例の正面図、図2は図1のロッカーの右側面図である。
【0010】
図1において、1は、前面が縦長に開口した収納部が左右方向に3個連設されたロッカーの筐体で、共用する天壁2と底壁3及び左右外側の側壁4,5を具備すると共に、2枚の中間仕切壁6,7を備えて形成されている。
【0011】
上記筐体1が備えた上記各構成(各壁2〜7)は、左右の側壁4,5と中間仕切壁6,7で仕切られた3つの収納部がそれぞれ1人用の収納部として機能する従来型の通常ロッカーの構成と共通している。
【0012】
本発明ロッカーは、上記の通常型ロッカーの各収納部(3つの収納部)を、仕切板8によって2つに仕切り、こうして1つの収納部が仕切られて形成される2つの空間を、2人用の収納部として使用するいわゆる異形ロッカーである。
【0013】
本発明ロッカーは、上記3つの各収納部が同一の仕切り構成を具備して形成されているので、以下の説明は、図1の1つの収納部における仕切り構成について行う。従って、残りの2つの収納部も、以下に説明する1つの収納部と同一の仕切り構成を具備したものである。
【0014】
上記の各収納部に設けられた仕切板8は、当該収納部の有効高さの略1/3より長い程度の垂直壁8aと、該垂直壁8aの上端部と下端部に配設した上位の水平壁8bと下位の水平壁8cを備えている。
【0015】
仕切板8は、上記構成によってその正断面形態が大略クランク状を呈しており、従って、その垂直壁8aは、1つの収納部を左右で2等分する位置に位置付けられ、また、上位の水平壁8bが右側の中間仕切壁6に、下位の水平壁8cが左側の側壁4の内面に、それぞれ当接して結合されている。
【0016】
上記の仕切板8の1つの収納部に対する配設によって、当該1つの収納部は、正面から見て点対称な関係になる2分された収納部の形態になる。
【0017】
本発明ロッカーでは、上位の水平壁8bを垂直壁8aからオーバーハング8dさせた形態で設けている。オーバーハング8dさせると、図1に示したロッカーの右側の収納部に点線で示したように、例えば大型のキャリーバッグCBのように、オーバーハングしない上位の水平壁8aの平面形状より平面投影形状が大きい物品を、その下面から安定に支持するので、大きい荷物でも楽に収納することができる。
【0018】
仕切板8により2分された各収納部における夫々の分割収納部には、その正面からの輪郭(外郭)に沿った外形の扉9,10が、それぞれ外ヒンジで、つまり、図の左側の収納部では外壁4と中間仕切壁6とにヒンジを取付けて設けられる。換言すれば、分割された各収納部に取付けられる扉9と10は、いわゆる観音開き態様で設けられている。
【0019】
上記の2枚の扉9,10は、もとの収納部の左右幅に見合った幅を有する広幅部分と、縦方向に2分された収納部の左右幅に見合った幅を有する狭幅部分とから成る。
【0020】
本発明では、各扉9,10の広幅部分の裏面に、一例としてA−4サイズのファイル等の収納が可能な書類ポケット11を設ける一方、狭幅部分の裏面に靴Shなどの履物を収納できる履物ポケット12を、この例のように上,下2段に設けることにより、ロッカーとしての収納性を効率よく高めている。上記の書類ポケット11は、側方又は上方から書類の出入れができる開口部を備えているが、上位の扉9の書類ポケット11は側方に開口部を備え、下位の扉10の書類ポケット11は上方に開口部を備えたものが、書類の出入れの上で都合がよい。いずれの側に開口部を設定するかは任意である。これらの構成によって、各扉9,10の裏面を有効利用した収納部に形成することができ、また、これらの収納部への物品の出入れも扉9,10を開けてから行うので、出入れ性も良好である。
【0021】
また、本発明では2分した各収納部における仕切板8と該仕切板8に対面する側壁4や同5の内面、或は、中間仕切壁6や同7の表面に、対向する向きで係止部材の一例として被服ハンガーh用のフック13,14を設けた。2分された収納部のうち上位の収納部のフック13は、当該収納部の上方に設けたので、長い服でもハンガーhに掛けて収納することができ、オーバーハング8dの下に設けたフック14は、前記フック13の下方にあるので短か目の衣服の収納に便利である。この構成により左右幅が狭い収納部であっても、上衣等の被服をハンガーhに掛け、当該ハンガーhをフック13,14に係止することにより、長い衣服を含み少なくとも2枚の衣服を効率よく、かつ、スマートに収納することができる。
【0022】
なお、本発明ロッカーにおける各扉9,10の表側には、通常ロッカーの扉と同様に、名詞(名札)入れを設け、また、施錠装置も適宜タイプのもの、例えば、シリンダー錠やカード錠、或は、テンキー式錠などが設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は以上の通りであって、前面が全部開口部に形成された縦長のロッカー筐体の内部を、上,下位の水平壁と両水平壁を繋ぐ垂直壁を備えて正断面形状が略クランク状をなす仕切板で仕切って2分すると共に、2分された収納部に対する扉を、それぞれに前記開口部に設けたロッカーにおいて、前記仕切板の上位の水平壁を垂直壁からオーバーハングさせて設けたことにより、いわゆる異形ロッカーを構成したから、設置スペース効率を高めた上に、物品の収納性,出入れ性が良好なロッカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明ロッカーの一例の正面図。
【図2】図1のロッカーの右側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 ロッカーの筐体
2 天壁
3 底壁
4,5 左右の側壁
6,7 中間仕切壁
8 仕切板
8a 垂直壁
8b 上位の水平壁
8c 下位の水平壁
9,10 扉
11 書類ポケット
12 履物ポケット
13,14 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が全部開口部に形成された縦長のロッカー筐体の内部を、上,下位の水平壁と両水平壁を繋ぐ垂直壁を備えて正断面形状が略クランク状をなす仕切板で仕切って2分すると共に、2分された収納部に対する扉を、それぞれに前記開口部に設けたロッカーにおいて、前記仕切板の上位の水平壁を垂直壁からオーバーハングさせて設けたことを特徴とするロッカー。
【請求項2】
2分された収納部に対する2枚の扉のそれぞれの裏面に、履物を収納する履物ポケットと、A4サイズなどの書類を収納する書類ポケットを設けた請求項1のロッカー。
【請求項3】
2分された各収納部におけるロッカー筐体の内部側面と当該内部側面に対向した仕切板の垂直壁にフック状の係止部材を設けた請求項1又は2のロッカー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−89819(P2009−89819A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261808(P2007−261808)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】