説明

ロックシステム

【課題】多くのバリエーションによりロックシステムにおけるロック装置を特徴づけた、ロックシステムの改良をすること。
【解決手段】少なくとも1つの接触平面11nにおけるキー2上に設定された接触箇所12nによって両タイプの板タンブラ5A,5Bをその相対する接触箇所によって接触可能かつ押しのけ可能に構成し、板タンブラの自由な選択に合わせられたシリンダケーシングを備えたシリンダコアを有するロック装置の多様性を形成するために、両タイプの板タンブラ5A,5Bのうちいずれかを接触平面11nの少なくとも1つにおいて自由に選択可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックシステムに関するものである。本発明の応用領域は、特に原動機付き車両(以下単に「車両」という。)のロック装置に関するものである。なお、このロック装置は、本発明に基づき、複数のロック装置から成るロックシステムを構成している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には当該ロック装置のためのキーを備えたロック装置が開示されており、このキーは、平坦側と幅狭側を備えている。このキーには、平坦側及び幅狭側においてコード軌道(暗号軌道)がキーの長手軸に関して回転対称に形成されている。これら平坦側及び幅狭側の片方には、そのエッジ部においてそれぞれキー特有の形状が形成されている。平坦側及び幅狭側におけるこの形状は、互いに回転対称に配置されている。コード軌道及び前記形状の回転対称な配置により、キーをロックシリンダのキー挿入路へ2つの挿入位置において挿入することが可能である。このとき、キー特有の形状は、両幅狭側の少なくともいずれかにおいて3方向が閉じられた溝状の形状でキーにはめ込まれている。また、この溝は、キーの平坦側に対して閉じられている。
【0003】
特許文献2にも、ロックシリンダ及びキーで構成されたロック装置が記載されている。ロックシリンダにはシリンダケーシングに回転支持されたシリンダコアが含まれており、このシリンダコアは、タンブラを備えている。キーのコード化は溝状の凹部によって形成されており、この凹部は、キーの長手方向に延在している。また、各タンブラは接触箇所を有しており、この接触箇所は、キーのコードに対応した対応コードを形成している。破錠に対する高い安全性を確保するために、キーのエッジ形状部の角ストライプ部に新たな傾斜エッジコードを設けることが提案されている。この傾斜エッジコードは、様々な負荷さの傾斜切断部により構成されている。傾斜エッジコードの一部には、少なくとも1つのタンブラにおける傾斜した接触箇所が対応して配置されている。このタンブラは傾斜エッジタンブラとして機能し、この傾斜エッジタンブラは、標準モデルのタンブラに負荷されている。これにより、キーのバリエーションが豊富化される。
【0004】
特許文献3にはロック装置が開示されており、該ロック装置においては、キーの長手方向に延在する溝状の凹部が存在している。この凹部は、各タンブラに対してキーのコード化のための一対の接触箇所を生じされるものとなっている。これに対応して、各タンブラは、この接触箇所に対応した一対の接触箇所を備えている。コードの改良のために、両接触箇所のいずれかをキーにおける1つの側面部に設けることが提案されている。このとき、他の接触箇所は、隣接する側面部に位置している。この対となっている接触箇所は、角状の凹部によって両側面部に形成される。この両側面部の間には、キーのエッジ形状部の角領域においてウェブが残されている。また、反対側に位置するウェブエッジは、キーのコード化の機能を果たすものとなっている。そのため、ウェブをコードウェブとみなすことができる。タンブラは開口部を有しており、この開口部は、必要な場合には、コートウェブを反対側に位置するウェブエッジへ延びている。この開口部の制限は、各タンブラにおける相対する接触箇所としての機能を果たすものとなっている。
【0005】
特許文献4にはロック装置が開示されており、このロック装置も、キー及びロックシリンダを備えている。このロックシリンダは、固定されたシリンダケーシングと、その内部で回転可能に支持されたシリンダコアで構成されている。破錠に対する安全性を向上させるために、シリンダコアに2つのタイプの板タンブラを設けることが提案されている。この板タンブラの変位は、互いに異なる2つの径方向へ向けられている。また、キーは、互いに角度をもって配置された平坦な外面部を備えており、この外面部に対して両タイプの板タンブラが平行に摺動するようになっている。互いに隣接する外面部のそれぞれは、固有の線形な制御軌道を有しており、この制御軌道は、キーのコード化(暗号化)のために互いに隣接する部分においてキーの長手方向に対して垂直に変えられている。これに対応して、板状タンブラは、所定の位置に配置された一対の相対する接触箇所を有している。ここで、この相対する接触箇所は、キーが挿入された状態において対応する制御軌道と相互に作用するとともに、相対するコードをロックシリンダ内に形成する。板タンブラの各タイプは、固有の制御軌道に係合する。
【0006】
電子的なアクセスシステムが多く用いられることにより、将来的には機械的なロックシステムの利用がますます少なくなっていく。しかしながら、電子的な克服可能性がもはやない場合にはまず機械的な攻撃が常になされるため、機械的な部材の盗難防止に対する要求は増大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第19944070号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005042617号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102005042618号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102007014900号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、多くのバリエーションによりロックシステムにおけるロック装置を特徴づけた、ロックシステムの改良をすることにある。このとき、破錠に対する高い安全性を確保するために、各ロック装置は変更可能に形成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明によるロックシステムは、請求項1の前提部分に記載したように、各ロック装置のロックシリンダにおけるシリンダコアのキー挿入路へ挿入方向へ向けてキーが挿入可能であり、前記シリンダコア内に配置された少なくとも2つのタイプの板タンブラが、シリンダコアの軸方向に対して径方向に摺動するとともに、シリンダコアがロックシリンダにおけるシリンダケーシングに対して自由に回転可能であるよう前記シリンダコア内に配置され、前記キーが少なくとも2つの制御軌道を備えており、該制御軌道によって、少なくとも2つの連続して配置されたそれぞれ前記挿入方向に対して垂直に配置された複数の接触平面において前記キー上に設定された複数の接触箇所の接触が可能であるよう構成されている。
【0010】
また、破錠に対する高い安全性を確保するとともにバリエーションを豊富化するために、本発明は、少なくとも1つの前記接触平面における前記キー上に設定された前記接触箇所によって両タイプの板タンブラをその相対する接触箇所によって接触可能かつ押しのけ可能に構成し、前記板タンブラの自由な選択に合わせられた前記シリンダケーシングを備えた前記シリンダコアを有する前記ロック装置の多様性を形成するために、両タイプの板タンブラのうちいずれかを前記接触平面の少なくとも1つにおいて自由に選択可能に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、破錠に対する高い安全性を確保するとともにバリエーションを豊富化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】従来技術におけるロック装置を示す図である。
【図1B】従来技術におけるロック装置を示す図である。
【図2A】従来技術におけるロック装置を示す図である。
【図2B】従来技術におけるロック装置を示す図である。
【図3】従来技術におけるロック装置を示す図である。
【図4A】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図4B】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図4C】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図4D】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図4E】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図4F】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第1ロックシステムを示す図である。
【図5A】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5B】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5C】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5D】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5E】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5F】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5G】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5H】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5I】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図5J】シリンダコアの第1又は第2の接触平面において選択的に第1又は第2のタイプの板タンブラに接触可能なキーに配置された第1及び第2の制御軌道を備えた本発明による第2ロックシステムを示す図である。
【図6A】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、第2接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6B】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、第2接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6C】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、第2接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6D】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、1つのみの接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6E】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、1つのみの接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6F】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、1つのみの接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第3ロックシステムを示す図である。
【図6H】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第4ロックシステムを示す図である。
【図6I】第1又は第3のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第1又は第3の板タンブラが接触可能である本発明による第4ロックシステムを示す図である。
【図7A】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図7B】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図7C】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図7D】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図7E】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図7F】第3又は第4のタイプの制御軌道がキーに形成されており、各接触箇所において選択的に第3又は第4の板タンブラが接触可能である本発明による第5ロックシステムを示す図である。
【図8A】図6Fに示す第3ロックシステムを基準として例示する四軌道式ロックシステムを示す図である。
【図8B】図6Fに示す第3ロックシステムを基準として例示する六軌道式ロックシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、5つのロックシステムを5つの実施形態を(部分的には更に複数の実施例を示す)、従来技術を起点として請求項1の特徴に従って説明する。
【0014】
ロックシステムはキーを備えており、このキーによって、複数の(少なくとも2つの)、通常はロックシリンダとして形成されたロック装置が操作可能となっている。
【0015】
<従来技術>
図1A及び図1Bには従来技術によるロック装置1が示されており、キー2の歯部(キー溝部)は、互いに角度をもって延在する外面部2B,2Sを備えたエッジ形状部で形成されている。キー2の歯部は幅広面2Bと幅狭面2Sを備えており、幅広面2Bには、第1制御軌道8で形成された制御軌道としてのコード化された溝状の軌道が配置されている。
【0016】
以下の従来技術の説明及び本発明の説明においては、「キー」とは常に「歯部」を意味する。
【0017】
図1Aに示すように、ロック装置1はシリンダコア4を備えており、このシリンダコア4は、不図示のシリンダケーシング3内で回転可能に配置されている。シリンダコア4内には、板タンブラ5が該板タンブラ5のために設けられた凹部内に配置されている。なお、図1Aには、タイプ5Aの板タンブラが配置されているが、この形状については後述する。
【0018】
タイプ5Aの板タンブラは、弾性要素3によって付勢されて、シリンダコア4の軸中心線7に対して径方向に変位するようになっている。図1Aでは、一例として、第1変位方向7.1が示されている。また、弾性要素3Aは、タイプ5Aの板タンブラにおける突出部5−1に係合するようになっている。
【0019】
前記軸中心線7方向に連続し、かつ、この軸中心線7に直交する接触平面において、弾性的に付勢されたタイプ5Aの板タンブラ5が配置されている。
【0020】
キー2を挿入方向Eへ向けてシリンダコア4へ挿入する際に、キー2は、タイプ5Aの板タンブラがシリンダケーシング3又は該シリンダケーシング3内の回転自在スリーブ4Aの内部に配置された閉鎖凹部又は閉鎖通路から押し出されるよう、タイプ5Aの板タンブラを不図示の各弾性要素による弾性力に抗して押しのける。これにより、シリンダコア4又は回転自在スリーブ4A内のシリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回天使、ロック装置1の操作が可能となる。従来技術において、暗号化すなわちタイプ5Aの板タンブラの押しのけは、図1Bにおいてはキー2の幅広面2Bに形成された制御軌道(キー溝)8によってなされるようになっている。
【0021】
幅広面2Bの反対側にも鏡像的に同様な第1制御軌道8が形成されている場合には、図1A,図1Bの従来技術によるキー2は、幅狭面2Sについてリバーシブルにシリンダコア4内に挿入可能なリバーシングキーとなっている。そのため、幅広面2Bにおける両第1制御軌道8が、暗号化を担い、それぞれ同様の効果を達成するものとなっている。
【0022】
したがって、幅狭面2Sが図1Aにおける第1変位方向に対してどちら側になるかにかかわらず、両第1制御軌道8がタイプ5Aの板タンブラ5を押しのけ、ロック装置1を操作可能である。このとき、第1制御軌道8が前記軸中心線7に沿った各タイプ5Aの板タンブラとの接触点がタイプ5Aの板タンブラにおける接触点と正確に対応するよう、当該第1制御軌道8が形成されている。
【0023】
図2A,図2Bには更に発展された従来技術における解決手段が示されており、キー2は、ここでも同様に長方形状に形成され、幅狭面2Sと幅広面2Bとを備えている。シリンダコア4は開口部を有しており、この開口部は、前記軸中心線7に対して、第1変位方向7.1及び第2変位方向7.2へ変位可能となっている。なお、タイプ5Aの板タンブラ5は、第1変位方向7.1へ変位可能となっている。タイプ5Bの板タンブラ5は、この実施例では、90°ずらされて第2変位方向7.2へ変位可能となっている。タイプ5A及び5Bの板タンブラについては、本発明と関連させて後述する。
【0024】
ところで、図2Bに示すように、タイプ5Aの板タンブラは、図1A及び図1Bと同様に第1制御軌道8によって第1変位方向7.1へ変位(摺動)する。ここでも、第1制御軌道8は、キー2の幅広面2B側に形成されている。
【0025】
一方、タイプ5Bの板タンブラ5は、制御リブ状の第2制御軌道9によって変位するようになっている。ここで、この第2制御軌道9は、キー2の幅狭面2Sに形成されている。
【0026】
キー2が挿入方向Eへ向けて図2Aに示すシリンダコア4へ挿入されると、第1制御軌道8が不図示の弾性要素による付勢力に抗してシリンダコア4内又はシリンダコア4内の回転自在スリーブ4A内でタイプ5Aの板タンブラを押しのけ、第2制御軌道9が不図示の弾性要素による付勢力に抗してシリンダコア4内又はシリンダコア4内の回転自在スリーブ4A内でタイプ5Bの板タンブラを押しのけるようになっている。そのため、タイプ5A及び5Bの板タンブラは、シリンダコア4を包囲するシリンダケーシング3又はシリンダケーシング3内に配置された回転自在スリーブ4Aにおける不図示の閉鎖凹部又は閉鎖通路から押し出され、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転可能となり、シリンダコア4をシリンダケーシング3に対して回転させることでロック装置1が操作可能となる。
【0027】
また、第1制御軌道8及び第2制御軌道9すなわち制御溝と制御リブは、前記軸中心線7の方向に見て、挿入方向Eへ、前記軸中心線7に対して直交する様々な仮想平面において、各仮想平面における第1制御軌道8内又は第2制御軌道9上にキー2の1つの接触箇所がタイプ5A及び5Bのいずれかの板タンブラに対して設けられるよう、形成されている。また、キーにおいて各接触平面には1つのみの接触箇所が形成されており、この接触箇所は、タイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラにおける接触箇所に一致するようになっている。第1制御軌道8と第2制御軌道9の形状により、各接触平面におけるタイプ5A又はタイプ5Bのいずれが各接触平面における接触箇所において接触するかがあらかじめ定められる。しかしながら、このような構造は、各接触平面における板タンブラの配置バリエーションを制限するものとなっており、破錠に対する安全性を制限するものとなってしまっている。
【0028】
第1接触平面において、第1制御軌道8は、タイプ5Aの板タンブラと接触する。一方、第2制御軌道9は、第2接触平面において何らの機能も果たさない。また、第2接触平面において、第2制御軌道9は、タイプ5Bの板タンブラと背食する。ここでは、第1制御軌道8が何らの機能も果たさない。各接触平面においては、キー2上で常に1つのみの接触箇所がタイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラに対して設定されているため、暗号化又は押しのけのバリエーションが、実際の接触平面の数に基づく板タンブラのタイプ5A,5Bの数に制限されてしまう。
【0029】
幅広面2Bの反対側の面にも同様に第1制御軌道8を鏡像的(鏡面対象)に配置し、幅狭面2Cの反対側の面にも同様に第2制御軌道9を鏡像的に配置すれば、図2A及び図2Bに示す従来技術によるキーは、リバーシングキーとなる。このリバーシングキーは、図2A及び図2Bに示すように、幅広面2B又は幅狭面2Sについて、リバーシブルにシリンダコア4内へ挿入可能となっている。そのため、両第1制御軌道8及び両第2制御軌道9のそれぞれのいずれかが暗号化の機能を担うようになっている。なお、いずれかの面における第1制御軌道8及び第2制御軌道9は他方の面における第1制御軌道8及び第2制御軌道9と同様の効果を奏するものとなっている。
【0030】
したがって、図2Aに示すように、互いに反対側に位置する幅狭側2Sのどちらが第1変位方向(閉方向)7.1に位置しているかにかかわらず、両第1制御軌道8のいずれかがタイプ5Aの板タンブラを確実に押しのけ、両第2制御軌道9のいずれかがタイプ5Bの板タンブラを確実に押しのけるため、ロック装置1が操作可能となる。
【0031】
図3には図1A及び図1B又は図2A及び図2Bによりロック装置1の断面が示されており、シリンダケーシング3内には、本実施の形態では回転自在スリーブ4Aの内部に配置された回転可能なシリンダコア4が設けられている。また、このロック装置1は、タイプ5Aの板タンブラ5が位置する平面における断面で示されている。なお、回転自在スリーブ4Aを有さないロック装置も知られている。
【0032】
また、タイプ5Aの板タンブラは、キー挿入路6へ挿入されるキー2によって第1変位方向7.1へ変位可能となっている。
【0033】
図3においては、タイプ5Aの板タンブラがシリンダコア4から引き抜かれている状態が示されているため、ロック装置1は操作できないようになっている。すなわち、タイプ5Aの板タンブラは、シリンダコア4をシリンダケーシング3に対して間接的にロックしている。このような間接的なロックは、回転自在スリーブ4Aによってなされる。なお、この回転自在スリーブ4Aの機能は知られている。
【0034】
以下の発明は、回転自在スリーブ4Aなしに直接ロックするものか、例えば図3に示すような回転自在スリーブ4Aによって間接的にロックするものかにかかわらず、ロック装置1に適用可能である。
【0035】
キー2(不図示)がキー挿入路6へ挿入されると、タイプ5Aの板タンブラは図2に示すように第1変位方向7.1に下方へ変位し、シリンダコア4は、シリンダケーシング3に対して回転可能となる。このとき、タイプ5Aの板タンブラは、簡略的に示した弾性要素3Aの付勢力に抗して変位する。また、突出部5−1は、タイプ5Aの板タンブラにそれぞれ対応配置された弾性要素3Aをその付勢力に抗して押圧するものとなっている。このような動作は、タイプ5Bの板タンブラについても同様である。ただし、この場合、変位方向は第2変位方向7.2となる。
【0036】
以下の図面を用いた説明においては、同部材は、これに同符号を付して示されている。
【0037】
車両内のシートの配置及び車両の走行方向は、以下のように定義される。走行方向とは反対側がx方向に対応し、車両における垂直方向がz方向に対応し、走行方向に直交する方向がy方向に対応する。
【0038】
x,y,z方向についてのこのような定義は、単に一例であって、車両におけるロックシステムの配置に応じて、すなわち、ロックシステムにおけるロック装置のキー挿入路の方向に応じて変更することが可能である。
【0039】
また、挿入方向を説明できるようシリンダコアの軸中心線7が定義されており、これにより、タイプ5A〜5Dの板タンブラに対する第1変位方向7.1及び第2変位方向7.2が設定される。
【0040】
図1A〜図3は、デカルト座標において記載されている。キー2の挿入方向Eは、例えばx方向とすることができる。このとき、キー挿入路6は、例えば、車両内において幅広面2Bが垂直方向のz方向へ延在し、幅狭面2Sがy方向へ延在するよう設定されている。すなわち、タイプ5Aの板タンブラ5はロック装置1において第1変位方向7.1であるz方向に変位し、タイプ5Bの板タンブラ5は第2変位方向である、車両走行方向に直交するy方向へ変位する。また、挿入方向Eが変われば、デカルト座標もこれに合わせて変化する。
【0041】
さらに、第1切断面Dx/zは、図2Bに示すキー2がその幅広面2B,2B’に沿ってx/z平面を切断する面を定義するものである。したがって、キー2の幅狭面2S,2S’上の制御軌道9,10,14あるいは制御軌道9’、10’、14’は、以下の説明において仮想的に2つに切断される。また、同様に、第2切断面Dx/yは、図2Bに示すキー2あるいは制御軌道8’がその幅狭面2S,2S’に沿ってx/y平面を切断する面を定義するものである。したがって、キー2の幅広面2B,2B’上に形成された第1制御軌道8,8’は、図2Bにおいて仮想的に2つに切断される。
【0042】
以下に示す5つの実施の形態においては、挿入方向Eをx方向とする。
【0043】
関連した発明の思想は、破錠に対する安全性を高め、かつ、バリエーションの数を高めるために、以下に5つの実施の形態により説明する少なくとも1つのロックシステムSn(S1,S2,S3,S4,S5)を、少なくとも2つの接触平面11nのうち少なくとも1つにおけるキー2によって、2つのタイプ(5A,5B、5A,5C又は5C,5D)の板タンブラに接触し押しのけるよう構成することにある。これにより、両タイプ(5A,5B、5A,5C又は5C,5D)の板タンブラの構成を、シリンダコア4内に位置し、かつ、キー2の挿入方向Eへ向けてシリンダコア4内に位置する少なくとも1つの接触平面11nにおいて自由に設定することが可能である。
【0044】
したがって、従来技術と異なり、1つの接触平面11n内にどのタイプの板タンブラを配置するかをあらかじめ定める必要がない。
【0045】
タイプ5A〜5Dの板タンブラにおいてそれぞれ弾性要素3Aで支持された各突出部5−1については、以下の図面においては省略する。ただし、本明細書の最後に図3に示す弾性要素3Aの意義について、本発明に関連させて説明する。
【0046】
<実施の形態1>
〔実施例1〕
図4A及び図4Bに示す第1実施例における第1ロックシステムS1について説明する。
【0047】
タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラが図5C及び図5Dに示されており、第1ロックシステムS1の様々な実施例においてこれらタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラが使用されている。従来技術についての説明においてすでに述べたように、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラはそれぞれ1つの開口部を備えており、この開口部には、キー2が挿入されるようになっている。図5Dに示すタイプ5Aの板タンブラはタンブラ突起5A−1を備えており、このタンブラ突起5A−1は、キー2の第1制御軌道8に係合するようになっている。また、図5Cに示すように、タイプ5Bの板タンブラはタンブラ溝5B−1を備えており、このタンブラ溝5B−1には、第2制御軌道9が係合するようになっている。
【0048】
図4Aには幅狭面2S及び幅広面2Bと共に示すキー2の斜視図が示されており、幅広面2B側には、第1制御軌道8が形成されている。この第1制御軌道8は、第1溝エッジ部8A及び第2溝エッジ部8Bを備えている。第1変位方向へ変位するタイプ5Aの板タンブラは、上述の弾性要素により、その接触箇所で、キー2における接触箇所を第1溝エッジ部8A方向へ押圧する。
【0049】
このとき、第2溝エッジ部8Bは、タイプ5Aの板タンブラにおけるタンブラ突起5A−1の強制案内部を形成している。
【0050】
キー2の幅狭面2S側には第2制御軌道9が形成されており、この第2制御軌道9は、第1リブエッジ部9A及び第2リブエッジ部9Bを備えている。上述の弾性要素は、その接触箇所でタイプ5Bの板タンブラを第1リブエッジ部9Aにおける接触箇所に対して押圧し、第2リブエッジ部9Bは、板タンブラの強制案内部として機能する。
【0051】
したがって、第1溝エッジ部8Aがタイプ5Aの板タンブラの制御溝となっており、第1リブエッジ部9Aがタイプ5Bの板タンブラの制御エッジとなっている。
【0052】
シリンダコア4内に回転対称に位置する前記軸中心線7に沿って、該軸中心線7と著効する様々な仮想的な平面111〜1110及び接触箇所121〜1210が第1溝エッジ部8A及び第1リブエッジ部9A上に設定されている。
【0053】
第1実施形態における第1ロックシステムS1の特徴は、第1接触平面111においては1つのみの接触箇所121が第1溝エッジ部8Aにおいてタイプ5Aの板タンブラ5のために形成されている点にある。この第1接触平面111においては、両タイプ5A,5Bの板タンブラのいずれかのみが応答(abfragen)するようになっている。
【0054】
また、第2接触平面112においては、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラの両方をその接触箇所において応答させることも可能である。
【0055】
ところで、「応答(abfragen)」とは、板タンブラの接触箇所がキー2の接触箇所によりロック装置内、特にロックシリンダ内で接触及び押しのけられることを意味する。
【0056】
さらに、第2制御軌道9は、その第1リブエッジ部9Aにタイプ5Bの板タンブラ5のための接触箇所122を備えている。一方、第2の接触平面112における第1溝エッジ部8Aには、タイプ5Aの板タンブラ5のための接触箇所122が形成されている。そのため、本発明においては、第2接触平面112が両タイプ5A,5Bの板タンブラに応答することができるようになっている。使用者は、シリンダコア4において、第2接触平面112においてどの板タンブラを配置するか決定する際に、タイプ5Aのものを用いるか、タイプ5Bのものを用いるか自由に選択することが可能である。
【0057】
どのタイプの板タンブラを使用するにしても、キー2のキー挿入路6への挿入時には、第2接触平面112において選択されて配置されたタイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラの応答がなされるようになっている。
【0058】
接触平面11nにおける接触箇所12nのこのような配列は、図4に示すキー2に適用されている。なお、接触箇所12nのこのような配列においては、ある接触平面11nにおいては板タンブラのタイプの選択がなされず、次の接触平面11nにおいては板タンブラのタイプ5A又は5Bの選択ができるようになっている。
【0059】
ある接触平面11nにおいてキー2が提供する接触箇所12nの数を明確にするために、接触平面111〜1110において、1つのみの接触箇所12nを有する接触平面11nが一点鎖線で示され、2つの接触箇所12nを有する接触平面11nが二点鎖線で示されている。
【0060】
すなわち、接触平面が一点鎖線で示されていれば、タイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラに対する1つのみの接触箇所12nが接触平面11nに存在することを意味する。一方、接触平面が二点鎖線で示されていれば、タイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラに対する2つの接触箇所12nが存在することを意味する。このような記載は、以降の図面についても同様となっている。
【0061】
第2接触平面112と同様に、第8接触平面118も、キー2上に、第1溝エッジ部8A及び第1リブエッジ部9Aに対するタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラに対する接触箇所128が形成されている。
【0062】
このような形態は図4Bにも示されており、この図4Bにおいては、中央のものがキー2の幅広面2Bの平面図となっている。第1制御軌道における第1溝エッジ部8Aは、各接触平面111〜1110において、当該第1溝エッジ部8Aに位置する接触箇所121〜1210を有している。なお、これら接触箇所121〜1210は、明示のために、小さな長方形として示されている。
【0063】
タイプ5Aの板タンブラに対する接触平面1110における接触箇所1210については、これを分離して示している。第1リブエッジ部9Aにおいて、各接触平面112,114,116,118及び1110がそれぞれ接触箇所122,124,126,128及び1210の順に配置されている。したがって、各接触平面112,114,116,118及び1110について、タイプ5A又はタイプ5Bのいずれの板タンブラ5を接触平面における接触箇所に配置するかを自由に選択可能である。
【0064】
これにより、第1ロックシステムS1を互いに異なる配置の板タンブラで特徴づけられた少なくとも2つのロック装置で構成することが可能であるという本質的な利点が得られる。また、このように異なる板タンブラで形成されたロック装置に対して、常に同様のキー2を用いることが可能である。例えば、同様のキー2を、ドアロックキーシリンダに対するキーとしての第1ロック装置として、また、エンジンスタートキーシリンダに対するキーとしての第2ロック装置として使用することが可能である。
【0065】
このとき、第1の可能性として、ロック装置をタイプ5Aの板タンブラのみが配置されたものとして形成するとともに、第1制御軌道8における第1溝エッジ部8Aにおける接触箇所121〜1210を介して対応する接触箇所に応答させることが可能である。
【0066】
さらに、第2の可能性として、ロック装置をタイプ5Bの板タンブラ5のみが配置されたものとして形成するとともに、第2制御軌道9における第1リブエッジ部9Aにおける接触箇所122,124,126,128及び1210を介して対応する接触箇所に応答させることが可能である。
【0067】
最後に、第3の可能性として、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5が配置されたロック装置を形成することが可能である。ここで、接触平面112,114,116,118及び1110において、タイプ5A又はタイプ5Bのいずれの板タンブラ5を配置するかを自由に選択可能である。また、シリンダコア4をシリンダケーシング3に対して回転可能とするよう、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラを、接触箇所を介して押しのけるために、全ての実施形態において、常に、同じキー2を少なくとも2つのロック装置に対して使用できるようになっている。
【0068】
その他、図4Bにおける上下のものに示すように、第1ロックシステムS1のキー2をリバーシングキーとして形成することが可能である。また、図4Aに部分的に示すように、第2切断平面Dx/yに対して鏡面対称に配置された制御軌道9A’を、第2制御軌道9における前記制御軌道9A’とは反対側に配置することも可能である。
【0069】
また、図4A及び図4Bには示されていないものの、キー2における第1制御軌道8の反対側には、第1切断平面Dx/zに対して鏡面対称に第1溝エッジ部8A’を有する第1制御軌道8’が形成されている。
【0070】
図4Bにおける上の図は、図4Bにおける中央の図におけるキー2’の幅狭面2S’に形成された第2制御軌道9’の下側から見た図が示されている。なお、この第2制御軌道9’は、キー2の幅狭面2Sの反対側に位置している。
【0071】
また、図4Bにおける下の図は、図4Bにおける中央の図における幅狭面2Sに形成された第2制御軌道9の上側から見た図が示されている。
【0072】
リバーシングキーにおける接触箇所12nの1つの配置(図4Aには示されている第1制御軌道8’は不図示)は、図4Bでは長方形で示されている。
【0073】
このようなリバーシブルの形態によって、キー2がどのように長手方向の挿入方向Eへ向けてキー挿入路6へ挿入されるかについて影響が及ぶことはない。すなわち、上述のような効果及び利点は常に得られるようになっている。
【0074】
また、第1の位置においてキー2を挿入する際には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5の接触箇所に対する接触に対して溝エッジ部8A及びリブエッジ部9Aが使用される(二軌道式ロックシステム)。
【0075】
さらに、第2の位置(リバーシングキー位置)においてキー2を挿入する際には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5の接触箇所に対する接触に対して溝エッジ部8A’及びリブエッジ部9A’が使用される(二軌道式ロックシステム)。
【0076】
〔実施例2〕
第2実施例における第1ロックシステムS1について、図4C及び図4Dに基づいて説明する。
【0077】
図4C及び図4Dに示す第2実施例における第1ロックシステムS1の特徴は、タイプ5Aの板タンブラ5に対する第1溝エッジ部8A及びタイプ5Bの板タンブラ5に対する第1リブエッジ部9Aにおいて、第1接触平面111における2つの接触箇所121がキー2において形成されている点にある。したがって、この第1接触平面111では2つのタイプ5A,5Bの板タンブラがその接触箇所を介して応答可能であり、タイプ5Aの板タンブラかタイプ5Bの板タンブラを選択する必要がある。
【0078】
一方、第2接触平面112においては、タイプ5Aの板タンブラ5のみによって応答がなされるようになっている。第2制御軌道9は、第2接触平面112の第1リブエッジ部9Aにおいてタイプ5Bの板タンブラに対する接触箇所122を有していない。使用者は、シリンダコア4において、タイプ5A及びタイプ5Bのいずれの板タンブラを第1接触平面111へ配置するかを自由に選択することが可能である。どちらの場合でも、キー2のキー挿入路6への挿入時に、選択されたタイプ5A又はタイプ5Bの板タンブラの接触箇所の第1接触平面111における応答が確実になされるようになっている。
【0079】
接触平面11nにおいて板タンブラ5のタイプの選択ができなく、次の接触平面11nにおいてタイプ5A及びタイプ5Bのいずれかのタイプの板タンブラを選択可能となっている接触平面11nにおいて、このような接触箇所12nの配列は、図4Cに示されたキー2に適用されている。接触平面11nにおける接触箇所の数を明確にするために、接触平面111〜11nがここでも一点鎖線又は二点鎖線で示されている。
【0080】
第1接触平面と同様に、例えば、第7接触平面117においては、タイプ5Aの板タンブラ5及びタイプ5Bの板タンブラ5に対する接触箇所127が対応する第1溝エッジ部8A又は第2リブエッジ部9Aに設けられている。
【0081】
このような形態は図4Dにも示されており、この図4Dにおいては、中央の図がキー2の平面図を示している。第1制御軌道8における各第1溝エッジ部8Aは、各接触平面111〜11nにおいて第1溝エッジ部8Aに位置する接触箇所121〜1210を有している。なお、これら接触箇所121〜1210は、ここでも小さな四角形で示されている。これら接触箇所のうち1つすなわち接触箇所129が、タイプ5Aの板タンブラに対する第9接触平面119において分離して示されている。
【0082】
第1接触平面111を起点として、各接触平面113,115,117及び119における第1リブエッジ部9A上に接触箇所123,125,127及び129が形成されている。したがって、各接触平面113,115,117及び119において、タイプ5A及びタイプ5Bのうちいずれの板タンブラ5をこれら接触平面に配置し、これに対するどの接触箇所により応答させるかを自由に決定することが可能である。
【0083】
これにより、第2実施例における第1ロックシステムS1をそれぞれ異なるタイプ5A又は5Bの板タンブラにより特徴づけられた少なくとも2つのロック装置により構成することが可能であるという利点が得られる。なお、このように形成されたロック装置においても、同様のキー2を使用することが可能である。
【0084】
このとき、第1の可能性として、ロック装置を、タイプ5Aの板タンブラのみが配置されたものとし、該タイプ5Aの板タンブラが第1制御軌道8における第1溝エッジ部8Aの接触箇所121〜1210を介して応答するように構成してもよい。
【0085】
さらに、第2の可能性として、他のロック装置を、タイプ5Bの板タンブラのみが配置されたものとし、該タイプ5Bの板タンブラが第2制御軌道9における第1リブエッジ部9Aの接触箇所121,123,125,127及び129に応答するよう構成することも可能である。
【0086】
最後に、第3の可能性として、ロック装置を、タイプ5A及びタイプ5B両方の板タンブラが配置されたものとし、接触平面111,113,115,117及び119においていずれのタイプの板タンブラを使用するかを選択可能とすることができる。ここで、全ての実施形態において、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回動できるようタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラをその接触箇所において押しのけるために、常に、同様のキー2を少なくとも2つのロック装置に対して使用することが可能である。
【0087】
その他、図4Dの上側及び下側の図に示すように、第1ロックシステムS1のキー2’,2S’及び2,2Sもリバーシングキーとして形成することが可能である。また、図4Cにおいて部分的に示すように、第2制御軌道9のキー2,2Sとは反対側に位置するキー側部2’,2S’第2切断平面Dx/yに対して鏡面対称に配置されたリブエッジ部9A’が配置されている。
【0088】
図4C及び図4Dに示すように、第1制御軌道8におけるキー2,2B側にも、第1切断面x/zに対して鏡面対称に配置された第1制御軌道8’が、互いに反対側に位置する第1溝エッジ部8A’を有する2’,2B’側に配置されている。
【0089】
なお、図4Dの上側の図においては、図4Cの中央部を起点として幅狭面2S’側に形成された第2制御軌道9’が示されている。
【0090】
また、図4Dの下側の図においては、図4Cの中央部を起点として幅狭面2S側に形成された第2制御軌道9が示されている。
【0091】
リバーシングキーにおいて視認可能な接触箇所12nは、図4Dにおいても四角形で示されている。
【0092】
このように、リバーシングキーとすることによって、キー2を挿入方向Eへ向けてキー挿入路6へどのように挿入するかに影響が及ぶことがない。したがって、上述のような効果が常に得られるようになっている。
【0093】
また、キー2を第1位置において挿入する際には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5の接触箇所に対する接触に対して溝エッジ部8A及びリブエッジ部9Aが使用される(二軌道式ロックシステム)。
【0094】
さらに、第2の位置(リバーシングキー位置)においてキー2を挿入する際には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5の接触箇所に対する接触に対して溝エッジ部8A’及びリブエッジ部9A’が使用される(二軌道式ロックシステム)。
【0095】
〔実施例3〕
第3実施例における第1ロックシステムS1について、図4E及び図4Fに基づいて説明する。
【0096】
図4E及び図4Fに示すロックシステムS1は図4C及び図4Dに示す第2実施例のものに対応し、第1制御軌道8がキー2の幅広面2B’の反対側において、第1切断平面Dx/zに対し第1制御軌道8’について鏡面対象に配置されている。しかし、ここでは、図4Fの上側及び下側の図に示すように、第2切断平面Dx/yについては鏡面対象に形成されていない。
【0097】
これにより、第3実施例における第1ロックシステムS1の形成において、第1制御軌道8,8’の第1溝エッジ部8A又は鏡面対象に配置された第1溝エッジ部8A’の接触箇所121〜1210を介して応答するタイプ5Aの板タンブラのみが配置されたロック装置を形成することが可能であるという第1の可能性が得られる。
【0098】
さらに、第2の可能性は、第2制御軌道9の第1リブエッジ部9A又は第2制御軌道9’の鏡面対象に形成されていないリブエッジ部9A’における接触箇所121,123,125,127,129において応答されるタイプ5Bの板タンブラのみが配置されたロック装置を形成することにある。ただし、この場合、第2制御軌道9,9’が互いに鏡面対象となっていないため、リバーシングキーとして使用することはできない。
【0099】
最後に、第3の可能性は、両タイプ5A,5Bの板タンブラを配置したロック装置を形成することにある。このとき、タイプ5Bの板タンブラ5は、その接触箇所において第2ロックシステムS2のロック装置内で接触平面112,114,116,118及び1110における接触箇所122,124,126,128及び1210で第1リブエッジ部9Aを介して、又は第2ロックシステムS2における他のロック装置の接触平面111,113,115,117及び119における接触箇所121,123,125,127及び129でその接触箇所を介して鏡面対象に形成されていない第1リブエッジ部9A’に応答するよう交互に配置されているため、全ての接触平面111〜1110において両タイプ5A,5Bを自由に選択できるようになっている。
【0100】
タイプ5Bの板タンブラ5を、タンブラ溝5B−1が第1リブエッジ部9Aを介して接触箇所121,123,125,127及び129を有する接触平面111,113,115,117及び119においてタイプ5Bの板タンブラ5の接触箇所に一度応答し、その他の回にはタイプBの板タンブラ5が反対側の第1リブエッジ部9A’を介して接触平面112,114,116,118及び1110内の122,124,126,128及び1210において応答できるよう各第2接触平面111〜1110において180°ずらして配置する必要がある。
【0101】
また、全ての実施例において、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転するようタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラを接触箇所を介して押しのけるために、少なくとも2つのロック装置に対して常に同様のキー2を使用することが可能である。ただし、第2制御軌道9,9’が互いに鏡面対象となっていないため、リバーシングキーとして使用することはできない。
【0102】
キー2の挿入時には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラの接触箇所への接触のための第1の位置において、エッジ部8A,9A,9A’が用いられる(三軌道式ロックシステム)。
【0103】
キー2の第2の位置(リバーシングキー位置)における挿入は、第2制御軌道9,9’の鏡面対象でない配置においては不可能となっている。
【0104】
<実施の形態2>
図5A〜図5Gに示す第2ロックシステムS2の第1実施例が示されている。
【0105】
〔実施例1〕
図5A〜図5Jには第1実施例における第2ロックシステムS2が示されている。
【0106】
第2ロックシステムS2は、各接触平面11nにおいて、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラに対する各接触箇所12nを有している点に特徴を有している。
【0107】
図5C及び図5Dには、すでに第1ロックシステムS1について説明した、両タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5が示されている。
【0108】
図5A及び図5Bにはそれぞれキー2の斜視図が示されており、図5Aには、前面側、幅狭側2S及び幅広側2Bの上側が示されている。また、図5Bには図5Aに示すキー2を90°下方へ回転させたものが示されており、図5Aでは上方へ向けて示されている第1制御軌道8が図面の観察者側(紙面に垂直な手前側)へ配向されている。したがって、後方の幅狭側に配置された幅広側2S’がここでは上方へ向くよう記載されている。
【0109】
これにより、図5Aにおいて後側にある第2制御軌道9’が図5においてキー2’の幅狭の上側に幅狭の外面部2S’として見ることが可能である。
【0110】
図5A及び図5Bにおける二点鎖線により、第1溝エッジ部8A及び第1リブエッジ部9Aにおいて各接触平面11nが接触箇所として機能することが示されている。このとき、反対側に位置するエッジ部、第2溝エッジ部8B及び第2リブエッジ部9Bは、それぞれタイプ5Aの板タンブラのタンブラ突起5A−1に対する強制案内部又はタイプ5Bの板タンブラのタンブラ突起5B−1を形成している。
【0111】
例えば、第1接触平面111において、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラにおける接触箇所に対する各接触箇所121が第1溝エッジ部8A又は第1リブエッジ部9Aを介して応答され得ることが示されている。また、例えば、第4接触平面114では、タイプ5A及びタイプ5B両方の板タンブラが適当に形成された制御軌道8,9を介して応答され得ることが示されている。
【0112】
したがって、第2ロックシステムS2が互いに異なるタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラにより特徴づけられた少なくとも2つのキーロック装置によって構成可能であるという利点が得られる。また、このように構成されるか、又は板タンブラによって形成されたロックシステムのそれぞれに対して、同様のキー2を使用することができる。こうすることで、仮想の各接触平面11nにおいてタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラを選択的に配置可能であれば、板タンブラの配置に関して、従来技術を超える多数のバリエーションが得られ、破錠に対する安全性が高められることになる。
【0113】
各制御軌道8,9が反対側に位置する制御軌道8’,9’と第1及び第2の切断平面Dx/z,Dx/yに対して鏡面対称となっていれば、常にリバーシングキーとすることができ、キー2を少なくとも2つのロック装置において第1及び第2の位置におけるリバーシングキーとして使用することが可能である。
【0114】
キー2の挿入時には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラの接触箇所への接触のための第1の位置において、エッジ部8A,9Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0115】
キー2の挿入時には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラの接触箇所への接触のための第2の位置(リバーシングキー位置)において、エッジ部8A’,9A’(図5A及び図5Bには不図示)が用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0116】
図5Eには第2ロック装置のために3つの第1接触平面111,112及び113が示されており、これら3つの第1接触平面111,112及び113は、第1制御軌道8及び第2制御軌道9において当該第1接触平面111,112及び113に配置された接触箇所121,122及び123を有している。
【0117】
図5Fには径方向7.2へ変位可能なタイプ5Bの板タンブラが示されており、このタイプ5Bの板タンブラは、第1接触平面111内における第2制御軌道9の第1リブエッジ部9Aにおいて接触箇所121を形成している。第1リブエッジ部9A及び強制案内する第2リブエッジ部9Bは、タンブラ溝5B−1に係合するとともに、タイプ5Bの板タンブラをその接触箇所を介して変位方向である径方向7.2へ制御するものとなっている。ここで、この径方向7.2は、本実施形態において、例えばy方向に設定することが考えられる。
【0118】
図5Gにはタイプ5Aの板タンブラが同様に示されており、このタイプ5Aの板タンブラは、第1の径方向7.1において、第1溝エッジ部8A及び強制案内する第2溝エッジ部8Bを介して、第1制御軌道8により、キー2を挿入することで押しのけられるか、又は接触される。これにより、図5Fと比較して分かるように、タイプ5B(図5F)の代わりにタイプ5Aの板タンブラ5の接触箇所に対する第1接触平面111における接触箇所121の選択的な配置を実現することが可能である。
【0119】
タイプ5Bの板タンブラ5の径方向の変位方向が変位方向7.2(例えば車両におけるy方向)であれば、タイプ5Aの板タンブラ5の変位方向を、例えば該変位方向7.2と直交するz方向に設定することが考えられる。
【0120】
キー2が例えば車両のx方向へ挿入され、キー2の幅狭面2Sが水平に車両のy方向へ位置すれば、タイプ5Bの板タンブラ5は変位方向7.2に従って水平にy方向へ変位し、タイプ5Aの板タンブラ5が変位方向7.1へz方向へ変位する。
【0121】
〔実施例2〕
図5H〜図5Jには第2実施例が示されている。
【0122】
図5H〜図5Jに示すように、第2ロックシステムS2を、第2制御軌道9及びこれと反対側の第2制御軌道9’がキー2の幅狭面2S,2S’において第2切断平面Dx/yについて鏡面対称でないよう形成することも可能である。
【0123】
この第2ロックシステムS2における第2実施例は、図5H〜図5Jに示されている。
【0124】
これにより、ロック装置を形成するための以下のような可能性が得られる。
【0125】
本発明のアイデアを第2ロックシステムS2においても継承するために、第2実施例における第2ロックシステムS2は、ここでは各接触平面11nである少なくとも1つの接触平面11nにおいてタイプ5Aの板タンブラ5に対する各接触箇所12nが設けられている点により特徴づけられている。なお、後述するとおり、第2制御軌道9,9’の鏡面対象でない配置により、いかなる場合にもリバーシングキーを製作できるわけではない。
【0126】
図5Iには、キー2の幅狭面2Sにおける、該概略図においては1つのみの第2制御軌道が示されており、この図5Iにおいては、図5Hを基準として、キー2の幅狭面2Sの上方から見た第2制御軌道9が示されている。
【0127】
この第2制御軌道9の反対側に位置する第2制御軌道9’は、図5Jに示されているように、第2切断平面Dx/yに対して鏡面対称には形成されていない。
【0128】
接触箇所121,122,123,124,125,126及び127は、各接触平面111,112,113,114,115,116及び117において、第1制御軌道8の第1溝エッジ部8A及び第2制御軌道9の第1リブエッジ部9Aを介して形成することができるようになっている。
【0129】
一方、接触箇所121,122,123,124,125,126及び127は、各接触平面111,112,113,114,115,116及び117において、反対側に位置する第2制御軌道8’の第1溝エッジ部8A’及び反対側に位置する第2制御軌道9’の第1リブエッジ部9A’を介して形成することができるようになっている。
【0130】
1つの可能性において、タイプ5Aの板タンブラのみが1つのロック装置に配置されていれば、このタイプ5Aの板タンブラは、それぞれ、互いに鏡面対称に形成された第1制御軌道8の第1溝エッジ部8A又は第1制御軌道8’の第1溝エッジ部8A’における接触箇所121〜127を介して応答される。これにより、キー2がリバーシングキーとして形成される複数のロック装置に対するロックシステムS2を得ることが可能である。
【0131】
また、第2の可能性として、タイプ5Bのみの板タンブラを連続する接触平面111〜117に配置することも可能であり、これら接触平面111〜117は、第2制御軌道9の第1リブエッジ部9Aにおける接触箇所121〜127又はタイプ5Bのみの板タンブラを有する他のロック装置のために連続する各接触平面111〜117に配置されている。この接触平面111〜117は、第2制御軌道9’における鏡面対称に配置されていないリブエッジ部9A’の接触箇所121〜127に接触するようになっている。この場合、リブエッジ部9,9’が第2切断平面Dx/yに対して鏡面対称に配置されていないため、キー2をリバーシングキーとして使用することができない。
【0132】
さらに、上記第2の可能性を基本として、他の実施形態は、第2ロックシステムS2のロック装置においてタイプ5Bの板タンブラ5が、その接触箇所で接触平面11n内で第1リブエッジ部9Aを介して一度接触されるとともに、第2ロックシステムS2における他のロック装置の同じ接触平面11n内において該ロック装置の接触箇所を介して、鏡面対称に配置されていない第1リブエッジ部9A’により接触されるよう、配置する点にある。このことは、板タンブラ5を径方向の変位方向7.2の1つ又は他の方向へ付勢する弾性要素の作用方向により可能となる。ただし、このキー2は、リバーシングキーとして使用することはできない。
【0133】
最後に、連続する接触平面111〜117においてタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5が自由に選択可能に接触箇所121〜127に配置されているため、第3の可能性は、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラが配置されたロック装置を形成することにある。このとき、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転できるようタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラをその接触箇所において押しのけるために、同様のキー2を少なくとも2つのロック装置に対して使用できるようになっている。ただし、第2制御軌道9,9’が鏡面対称に形成されていないため、このキー2をしバー寝具キーとして使用することはできない。
【0134】
キー2の挿入時には、タイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラの接触箇所への接触のための第1の位置において、エッジ部8A,9Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0135】
また、第2の位置(リバーシングキー位置)におけるキー2の挿入は、第2制御軌道9,9’の鏡面対称でない構成により不可能となっている。
【0136】
接触平面111,115における接触箇所121,125は独立して特徴づけられており、二点鎖線は、各接触平面11nにおいてタイプ5A及びタイプ5Bの板タンブラ5の選択に応じて接触箇所を介して応答可能であることを示している。
【0137】
<実施の形態3,4>
第3及び第4のロックシステムS3,S4が図6A〜図6Eに示されている。
【0138】
第2制御軌道9が第3制御軌道10により置き換えられているため、第3及び第4のロックシステムS3,S4に対するキー2の基本構造は変更されている。
【0139】
したがって、第3及び第4の実施形態に対しては、第2の径方向の変位方向7.2へ変位可能なタイプ5Cの板タンブラ5が配置されている。このタイプ5Cの板タンブラは、図6Cに示すように、接触箇所として、反対側に位置するタンブラ段部5C−1を備えている。
【0140】
一方、図6Bに示すように、タイプ5Aの板タンブラ5は、ロックシステムS3,S4の第3及び第4の実施形態において変更されていない。
【0141】
また、図6Aには、第1及び第2の実施形態における両ロックシステムS1,S2とロックシステムS3,S4との相違が示されている。
【0142】
第3及び第4のロックシステムS3,S4におけるキー2は第3制御軌道10を備えており、この第3制御軌道10のエッジ部10Aはキー2の幅狭面2Sに形成されているとともに、同強制案内部はキー2における反対側に位置する制御軌道10’としての幅狭面2S’により、強制案内するエッジ部10A’(図6Aにおいて不図示)の形状に形成されている。
【0143】
これにより、タイプCの板タンブラ5の変更された形状が必然的に得られる。ここで、このタイプCの板タンブラ5は図6Aにおいてそのキー2に対する位置により記載されており、強制案内するエッジ部10A’上における両タンブラ段部5C−1のいずれかの受け部が視認できないようになっている。
【0144】
<実施の形態3>
〔実施例1〕
図6A〜図6Cには、第3ロックシステムS3の第1実施例が示されている。
【0145】
図6Aに示す第1実施例におけるこの第3ロックシステムS3は、第1ロックシステムS1と同様に、各第2接触平面11nにおいて、タイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5に対するそれぞれ1つの接触箇所121,123及び125(第1接触平面111を起点とする。)が設けられている点で特徴づけられている。そのため、接触平面111,113及び115においてタイプ5A又はタイプ5Cの板タンブラを選択可能となっている。
【0146】
また、キー2の第1接触平面111は、例えばタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5に対する接触箇所に対する図6において特徴づけられた接触箇所121を備えている。
【0147】
しかし、次の接触平面112は、図6Aの記載とは異なり、タイプ5Aの板タンブラに対する接触箇所122のみを備えている。
【0148】
これにより、第1実施例における第3ロックシステムS3を少なくとも2つのロック装置で構成することができるという利点が得られる。ここで、この2つのロック装置は、少なくとも1つの接触平面11nにおいて可変に配置可能なタイプ5A又はタイプ5Cの板タンブラによって特徴づけられている。したがって、適当に形成されたロック装置のそれぞれに対して、タイプ5A又はタイプ5Cの板タンブラの配置にかかわらず常に同様のキー2を使用することが可能である。
【0149】
このとき、第1の可能性として、タイプ5Aの板タンブラ5のみが配置されるようロック装置を形成することが考えられる。ここで、タイプ5Aの板タンブラの接触箇所は、第1制御軌道8の第1溝エッジ部8Aにおける各接触平面111〜11nにおける接触箇所121〜12nを介して応答される。
【0150】
さらに、第2の可能性として、タイプ5Cの板タンブラのみが配置されたロック装置を形成することが考えられる。ここで、タイプ5Cの板タンブラの接触箇所は、第3制御軌道10のエッジ部10Aにおける接触箇所121,123及び125において応答される。
【0151】
最後に、第3の可能性として、タイプ5A及びタイプ5Cの両方の板タンブラを配置することが考えられる。このとき、接触平面111,113及び115において、タイプ5A又はタイプ5Cのいずれの板タンブラ5を配置するか自由に選択可能であるとともに、接触箇所を介して応答されるようになっている。この場合、すべての実施形態においては、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転するようタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラを押しのけるために、少なくとも2つのロック装置に対して常に同様のキー2が使用できるようになっている。
【0152】
ところで、第3ロックシステムS3の第1実施例における第1制御軌道8のみが第1切断面Dx/zに対して鏡面対称に形成されているため、第1及び第3の制御軌道8,10,10’及びこれとは反対側に鏡面対称に配置された第1制御軌道8’を有したキー2が得られる。そのため、各接触平面11nにおいてタイプ5A又はタイプ5Cのいずれの板タンブラを選択するかにかかわらず、各接触平面11nにタイプ5Aの板タンブラのみが配置されていれば、1つのリバーシングキーが得られる。
【0153】
第1の位置におけるキー2の挿入時には、タイプ5及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所の接触のためにエッジ部8A,10Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0154】
第2の位置(リバーシングキー位置)におけるキー2の挿入は、第2制御軌道10,10’のエッジ部10A,10A’の鏡面対称でない配置のために不可能となっている。
【0155】
〔実施例2〕
第2実施例における第3ロックシステムS3が図6D〜図6Fに示されている。
図6D〜図6Fに示された第2実施例における第3ロックシステムS3は、例えば第7接触平面117の1つのみの接触平面において、タイプ5A又はタイプ5Cの板タンブラ5に対するそれぞれ1つの接触箇所127を備えている点で特徴づけられている。
【0156】
キー2の第1接触平面111〜第6接触平面116は、図6D〜図6Fに示すように、この第2実施例の特徴として、例えばタイプ5Aの板タンブラ5に対してのみの第1接触箇所121〜第6接触箇所126を備えている。
【0157】
一方、第7接触平面117〜第10接触平面1110は、この第2実施例の特徴として、タイプ5Cの板タンブラ5に対してのみの第7接触箇所127〜第10接触箇所1210を備えている。
【0158】
また、第1制御軌道8及びこれと反対側に位置する第1制御軌道8’は前方から第7接触平面117まで形成され、第3制御軌道10又はこれと反対側に位置する第3制御軌道10’は簡略化してエッジ部すなわち暗号化機能を有することなく接触平面116まで形成されている。
【0159】
キー2の第3実施形態における第2実施例の接触平面111〜1110での接触箇所121〜1210は、図6Fにおいてここでも四角形で示されている。
【0160】
図6Fには、キー2の幅広面2Bが概略的に示されているとともに、その下には幅狭面2Sが概略的に示されている。さらに、その下には反対側に位置する幅広面2B’が概略的に示されているとともに、一番下には反対側に位置する幅狭面2S’が概略的に示されている。
【0161】
図6Fにおける一番上のものと上から3つ目のものから分かるように、互いに反対側に位置する幅広面2B,2B’には、それぞれ鏡面対称となっている第1制御軌道8,8’が形成されている。
【0162】
また、図6Fにおける上から2番目のものと一番下のものから分かるように、互いに反対側に位置する幅狭面2S,2S’には、それぞれ互いに鏡面対称でないエッジ部10A,10A’が形成されている。
【0163】
上述の簡略化したキー2の形成にかかわらず、第2実施例での第3ロックシステムS3を少なくとも2つのロック装置で構成できるという利点が得られる。ここで、この2つのロック装置は、互いに異なる配置を有するタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5におって特徴づけられている。
【0164】
なお、このように形成されたロック装置に対しては、同様のキー2を使用することが可能である。
【0165】
そして、第1の可能性として、タイプ5Aの板タンブラ5のみが配置されるようロック装置を形成することが可能である。ここで、タイプ5Aの板タンブラ5の接触箇所は、第1制御軌道8の第1溝エッジ部8Aにおける接触箇所121〜127を介して応答される。
【0166】
さらに、第2の可能性として、タイプ5Cの板タンブラ5のみが配置されるようロック装置を形成することが可能である。ここで、タイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所は、第3制御軌道10のエッジ部10Aにおける接触箇所127〜1210を介して応答される。
【0167】
最後に、第3の可能性として、タイプ5A及びタイプ5Cの両方の板タンブラを配置することが考えられる。このとき、第3ロックシステムS3の第2実施例においては、1つの接触平面すなわち接触平面117において、タイプ5A又はタイプ5Cのいずれの板タンブラ5を配置するか自由に選択可能であるとともに、接触箇所を介して応答されるようになっている。この場合、すべての実施形態においては、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転するようタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラを押しのけるために、少なくとも2つのロック装置に対して常に同様のキー2が使用できるようになっている。
【0168】
第3ロックシステムS3における第2実施例の第1制御軌道8のみがキー2における反対側において第1切断平面Dx/yについて鏡面対称に形成されているため、キー2において第1制御軌道8と、これと反対側に鏡面対称に形成された第1制御軌道8’が得られる。したがって、各接触平面11nにおいてタイプ5Aの板タンブラのみが配置されていれば、各接触平面11nにおけるタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラの選択に応じてリバーシングキーが得られる。
【0169】
一例として、キーレスエントリシステム又はキーレスゴーシステムを有する車両については、キーの歯部は、グラブコンパートメントをロックしたり、非常用のキーとして、非常時に車両ドアを解放するためのみに必要である。例えば、第2実施例における第3ロックシステムS3のキーの歯部を備えた2つのロック装置を使用することが可能である。
【0170】
グラブコンパートメントについては例えば1つのロックシリンダ3,3A,4又は回転自在スリーブ4Aを備えたロックシリンダ3,3A,4が使用され、このロックシリンダの板タンブラは、タイプ5Aのもののみである。そして、このタイプ5Aの板タンブラは、接触平面111〜117において、キー歯部によって接触される。
【0171】
7つの板タンブラ5は単に例示であり、タイプ5Aの板タンブラの数をこれより多くしたり、又は少なくしてもよい。また、ロックシリンダにタイプ5Aのみの板タンブラ5が配置されていれば、キー2の歯部がグラブコンパートメントのロック装置1についての第1制御軌道8及び反対側に位置する第1制御軌道8’の鏡面対称な配置により上述のようにリバーシングキーとなるため、キーの歯部を、上述のとおり、向きを気にすることなくロック装置1におけるキー挿入路6へ挿入することが可能である。
【0172】
非常用のキーについては、必ずしもリバーシングキーを採用する必要はなく、第1制御軌道及び特に第3制御軌道10の簡易な形成によって安価に製造される。非常用ロック装置のロックシリンダ3,3A,4又は3,3A,4,4Aについては、例えばタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラが配置される。ここで、これらタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラは、例えば接触平面111〜1110においてキー歯部に接触する。ただし、第3制御軌道及びその反対側に位置する第3制御軌道10’が本実施例においては第2切断平面Dx/yに関して鏡面対称に形成されていないため、タイプ5Cの板タンブラ5を使用することによりキー2をリバーシングキーとすることはできない。
【0173】
第3ロックシステムS3は、他のロックシステムと同様、接触箇所(ここでは127)が設けられた接触平面(ここでは117)において、タイプ5A及びタイプ5Cの両方の板タンブラがその接触箇所を介して接触及び押しのけ可能であるよう形成されている。したがって、少なくとも接触平面117においてタイプ5A,5Cの両方の板タンブラを自由に選択可能であり、少なくとも2つのロック装置(運転席ドア又はトランクにおけるグラブコンパートメント用ロック装置及び非常用ロック装置)のバリエーションが、シリンダケーシングを備えつつタイプ5A,5Cの板タンブラに対応するシリンダコアによって豊富化される。
【0174】
接触平面111〜116においては、例えばタイプ5Aの板タンブラを介して第1溝エッジ部8Aの接触箇所121〜126において接触される。また、接触平面117〜1110においては、タイプ3Cの板タンブラを介してエッジ部10Aの接触箇所127〜1210において接触される。
【0175】
6つのタイプ5Aの板タンブラ及び4つのタイプ5Cの板タンブラは単なる例示であり、タイプ5A,タイプ5Cの板タンブラの数をこれより多くしたり、又は少なくしてもよい。
【0176】
また、キー歯部を、エッジ部10,10Aがタイプ3Cの板タンブラを接触平面11〜11における接触箇所12〜12において押しのけるようロック装置1のキー挿入路6へ挿入することが可能である。これにより、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転可能となる。
【0177】
キー2が他の形態で挿入される場合には、第3制御軌道10’の強制案内軌道10A’が第2切断平面Dx/yに関して鏡面対称に配置されていないため、第3制御軌道10’の強制案内軌道10A’が用いられる。ここで、この強制案内軌道10A’は、タイプ5Cの板タンブラを押しのけたり、又は接触したりしないようになっている。
【0178】
上述のとおり、互いに鏡面対称となっていない第3制御軌道10におけるエッジ部10A,10A’の配置により、又はタイプ5Cの板タンブラ5を備えた反対側に位置する第3制御軌道10’の配置により、第2実施例における第3ロックシステムS3のキー2はリバーシングキーとはなっていない。
【0179】
すなわち、タイプ5A,タイプ5Cの板タンブラ5における接触箇所を押しのけるために第1の位置においてキー2を挿入する際には、エッジ部8A,10Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0180】
第2の位置(リバーシングキー位置)におけるキー2の挿入は、第3制御軌道10,10’の鏡面対称でない配置により不可能となっている。
【0181】
<実施の形態4>
本発明の第4の実施形態が図6H及び図6Iに示されている。
【0182】
第3ロックシステムS3と同様に、第4ロックシステムS4は、図6H及び図6Iに示すように、キー2の各接触平面11nにおいてタイプ5Aの板タンブラ5の接触箇所及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所に対する各接触箇所121,122及び123を備えている点で特徴づけられている。また、他の接触平面114〜1110には、タイプ5Aの板タンブラ5のみを配置することができるようになっている。
【0183】
したがって、第1接触平面111は、図6H及び図6Iに示すようなタイプ5Aの板タンブラ5又はタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所に対する接触箇所121を備えている。ここで、タイプ5Aの板タンブラを配置するか、又はタイプ5Cの板タンブラを配置するかは、操作者が選択可能である。
【0184】
図6H及び図6Iに示す実施例においては、第4ロックシステムS4の特徴においてタイプ5A及びタイプ5Cの2つの板タンブラに対する接触平面111,112及び113のみが形成されているが、他の接触平面114〜1110における他の多数の接触箇所を設定してもよい。これにより、タイプ5A又はタイプ5Cの板タンブラ5の配置バリエーションが豊富化される。
【0185】
板タンブラ5におけるタイプ5A及びタイプ5Cの配置は、実施の形態3で述べたとおり、様々な実施形態に対応している。第3ロックシステムS3のロジックに従えば、リバーシングキーは、第3制御軌道10及びこれと反対側に位置する第3制御軌道10’が第2接触平面Dx/yに関して鏡面対称に形成されていないため、タイプ5Aの板タンブラ5のみが配置されたときにのみ形成することが可能である。
【0186】
すなわち、タイプ5A,タイプ5Cの板タンブラ5における接触箇所を押しのけるために第1の位置においてキー2を挿入する際には、エッジ部8A,10Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0187】
第2の位置(リバーシングキー位置)におけるキー2の挿入は、第3制御軌道10,10’の鏡面対称でない配置により不可能となっている。
【0188】
<実施の形態5>
第5ロックシステムS5が図7A〜図7Fに示されている。
【0189】
図7A〜図7Fには、第5ロックシステムS5の第1〜第4のロックシステムS1〜S4との差異が示されている。
【0190】
第5ロックシステムS5のキー2は、第3及び第4のロックシステムS3,S4でも使用された第3制御軌道10を備えている。この第3制御軌道10のエッジ部10Aは、上記同様キー2の幅狭面2Sにおいて強制案内する第3のエッジ部10A’により反対側の第3制御軌道10’のキー2’における反対側の幅狭面2S’上に形成されている。
【0191】
しかし、キー2は、第1〜第4のロックシステムS1〜S4とは異なり、第4制御軌道14,14’を備えている。この第4制御軌道14,14’は、第3制御軌道10,10’と共通に形成されている。
【0192】
第4制御軌道14は、キー2の幅広面2Bの当該第4制御軌道14上にエッジ部14Aを備えており、このエッジ部14Aの強制案内部は、キー2の反対側に位置する幅広面2B’上に、強制案内部としての、反対側に位置する第4制御軌道14’のエッジ部14A’によって形成されている。
【0193】
これにより、第4制御軌道14あるいはこれと反対側に位置する第4制御軌道14’を有する板タンブラ5の強制案内が可能となる。これについては、後述する。
【0194】
第5ロックシステムS5においては、図2A,図2B及び図3に関連した図7Aに示すように、径方向である変位方向7.2へ変位しつつキー2の第3制御軌道10,10’によって応答されるタイプ5Cの板タンブラ5がシリンダコア4に配置されている。図6Cと同様に図7Aに示すように、このタイプ5Cの板タンブラ5は、キー2の接触箇所に対する接触箇所(接触する相手方)として、両側に配置されたタンブラ段部5C−1を備えている。
【0195】
第5ロックシステムS5においては、図2A、図2B及び図3に関連した図7Aに示すように、径方向である変位方向7.1へ変位する板タンブラ5がシリンダコア4に配置されている。そして、キー2の第4制御軌道14又はこれとは反対側に位置する第4制御軌道14’に応答するタイプ5Dの板タンブラ5が配置される。
【0196】
このタイプ5Dの板タンブラは、図7Aに示すものと同様に接触箇所として両側に配置されたタンブラ段部5D−1を備えている。したがって、タイプ5Dの板タンブラ5は、キー2の第4制御軌道14,14’の形状に合わせて形成されている。
【0197】
図示のようなキー2の構成により、この第5ロックシステムS5においても、この第5ロックシステムS5を、接触平面11nにおいて様々に配置された選択可能なタイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラ5により特徴づけられた少なくとも2つのロック装置で構成することができるという利点が得られる。
【0198】
このとき、第1の可能性として、図7A〜図7Fにおいて二点鎖線で示すように、全ての接触平面111〜117においてタイプ5Cの板タンブラ5のみが配置されたロック装置を形成することができる。ここで、このタイプ5Cの板タンブラの接触箇所は、第3制御軌道10のエッジ部10Aにおける接触箇所121〜127を介して接触される。
【0199】
さらに、第2の可能性として、全ての接触面111〜117においてタイプ5Dの板タンブラのみが配置されたロック装置を形成することができる。ここで、タイプ5Dの板タンブラの接触箇所は、第4制御軌道14,14’のエッジ部14Aにおける接触箇所12〜12を介して接触される。
【0200】
最後に、第3の可能性として、タイプ5C,5Dの両方の板タンブラを配置することができる。このとき、第5ロックシステムS5において、タイプ5C、タイプ5Dのいずれの板タンブラをキー2の接触箇所121〜127に対する接触箇所に配置するかを選択することが可能である。そして、シリンダコア4がシリンダケーシング3に対して回転するようタイプ5C及びタイプ5Dの板タンブラ5を押しのけるために、全ての実施形態において、少なくとも2つのロック装置に対して常に同一のキー2を使用することが可能である。
【0201】
接触平面111,113,114及び116における接触箇所121,123,124及び126のうちいくつかは、独立して特徴づけられている。このとき、接触平面111,113,114及び116並びに他の接触平面112,115及び117における各二点鎖線は、キー2の接触箇所121,123,124及び126が各接触平面11nにおいてタイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラ5の接触箇所に応答することを示唆している。
【0202】
図7Cには接触平面111における接触箇所121が示されており、この接触平面111における二点鎖線は、本実施例においてタイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラにおける接触平面111の接触箇所に対する接触箇所が第3制御軌道のエッジ部10A又は第4接触軌道14のエッジ部14Aにおいて応答可能であることを示唆している。
【0203】
このとき、反対側に位置する第3制御軌道10’のエッジ部10A’又は反対側に位置する第4制御軌道14’のエッジ部14A’は、それぞれタイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラのタンブラ段部に対する強制案内部としての機能を果たす。そして、タイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラは、不図示の弾性要素3Aによってアック接触箇所12nに押圧されることがない。
【0204】
図7Dには接触平面111及び114におけるキー2の接触箇所121及び124が示されており、図7A〜図7Fにおける接触平面11nにおける二点鎖線は、ここでも、タイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラにおける接触平面111の接触箇所に対する接触箇所が第3制御軌道のエッジ部10A又は第4接触軌道14のエッジ部14Aにおいて応答可能であることを示唆している。
【0205】
図7Dには第3制御軌道10のエッジ部10Aは図示されていないので、タイプ5Dの板タンブラ5における接触箇所を介して応答される、接触平面111及び114における接触箇所121及び124のみが例示されている。
【0206】
一方、図7Eには、タイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所に応答する、接触平面113及び116における接触箇所123及び126が示されている。
【0207】
第4制御軌道14のエッジ部14Aがキー2の背面側に位置しこのエッジ部14Aを図7においては視認できないため、タイプ5Dの板タンブラ5の接触箇所に応答する第4制御軌道14のエッジ部14Aが符号を付して示されていない。
【0208】
図7Fには、キー2の上側から見た4つの概略図が示されている。
【0209】
タイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラ5における接触箇所に接触し、これを押しのける第5ロックシステムS5におけるキー2の接触平面111〜117での接触箇所121〜127は、図7Fにおいても四角形で示されている。
【0210】
図示から分かるように、第3制御軌道10又は第4制御軌道14のエッジ部10A,14Aは、例示された接触平面111〜117において自由に選択可能なタイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラに対するキー2の接触箇所121〜127を備えている。
【0211】
反対側に窺知する第3制御軌道10’及び第4制御軌道14’のエッジ部10A’,14A’(図7Fにおける上2つの図を参照)は、本実施の形態において、タイプ5C又はタイプ5Dの板タンブラ5に対する強制案内するエッジ部10A’,14A’となっている。
【0212】
図7Fにおける上から3つ目の図にはキー2の幅広面2Bが概略的に示されており、この下の図にはキー2の幅狭面2Sが概略的に示されている。また、一番上の図には反対側に位置する幅広面2B’が概略的に示されているとともに、その下の図には反対側に位置する幅狭面2S’が示されている。
【0213】
図7Fにおける一番上と上から3番目に示した幅広面2B,2B’の図から分かるように、第4制御軌道14’のエッジ部14A’と第4制御軌道14のエッジ部14Aは、キー2の第1切断平面Dx/zに関して鏡面対称となっていない。
【0214】
また、図7Fにおいて示した幅狭面2S,2S’の図から分かるように、第3制御軌道10’のエッジ部10A’と第3制御軌道10のエッジ部10Aも、キー2の第2切断平面Dx/yに関して鏡面対称となっていない。
【0215】
したがって、互いに反対側に位置する第3制御軌道10,10’のエッジ部10A,10A’及び第4制御軌道14,14’のエッジ部14A,14A’が第5ロックシステムS5のキー2において鏡面対称に配置されていないため、このキー2をリバーシングキーとして使用することはできない。
【0216】
すなわち、タイプ5C,タイプ5Dの板タンブラ5における接触箇所を押しのけるために第1の位置においてキー2を挿入する際には、エッジ部10A,14Aが用いられる(二軌道式ロックシステム)。
【0217】
第2の位置(リバーシングキー位置)におけるキー2の挿入は、第3制御軌道10’,14’におけるエッジ部10A’,14A’の鏡面対称でない配置により不可能となっている。
【0218】
キー2又はリバーシングキーの挿入方向に連続したロックシステムSnにおけるロック装置の接触平面11n、特にドアロックシリンダ、ステアリングロックシリンダ又はグラブコンポーネント用のロックシリンダにおける異なるタイプ5A,5B、5A,5C又は5C,5Dの板タンブラの配置により、板タンブラをシリンダ配陳のロック凹部から移動させるために、ロック装置における機械的な破錠に際して多くの工具が必要となる。このとき、同様のタイプ又は異なるタイプの板タンブラの配置順序を、連続する接触平面において同様のタイプ又は異なるタイプの板タンブラを配置するよう選択することが可能である。
【0219】
本発明によれば少なくとも1つの接触平面において異なるタイプのキーによって暗号化されているため、すなわち両タイプの板タンブラに対するキー又はリバーシングキーに配置された接触箇所に対する接触箇所を介して応答されるため、異なるタイプの板タンブラをロック装置に配置すれば、従来技術に比して板タンブラの配置順序の可能性が広がることになる。ここで、異なるタイプの板タンブラにより、板タンブラの配置可能性のバリエーションが従来に比して大きく広がることになる。
【0220】
なお、後述するように、ロックシステムにおけるロック装置の暗号化のバリエーションすなわち破錠に対する安全性を更に高めることが可能である。
【0221】
<弾性付勢された板タンブラの付勢方向>
4つのタイプ5A〜5Dの板タンブラは、シリンダコア4の軸中心線7に対して、径方向の変位方向7.1あるいは変位方向7.2の両方向に弾性要素3Aによって常に付勢されている。
【0222】
このような構成は図2Bにおいて双方向矢印によって示されており、この図2Bは、従来技術によってもタイプ5A,5Bの板タンブラが変位方向7.1,7.2へ弾性付勢されて変位可能であることを示している。
【0223】
このことは、従来技術においては示されていないタイプ5C,5Dの板タンブラ5についても同様である。
【0224】
なお、上述の実施例においては、見易さの観点からタイプ5A〜5Dの板タンブラは、変位方向7.1,7.2と同様の方向に常に付勢されている。
【0225】
各板タンブラ5に割り当てて配置された弾性要素3Aは、上述の5つの実施形態を示す図面には図示されていない突出部5−1(図3にのみ図示されている)に係合する。この突起部5−1の配置及び弾性要素3Aの付勢方向の設定により、径方向の変位方向7.1,7.1の方向への板タンブラ5の移動を確保することができる。
【0226】
<板タンブラの配置>
4つのタイプ5A〜5Dの板タンブラは、図2Bに示すように、接触平面11nにおけるキー2の長手方向において常に同様の位置か、又はその長手軸に関して180°回転させて配置することが可能である。
【0227】
また、上述の実施例においては、見易さの観点からタイプ5A〜5Dの板タンブラは、キー2に対して常に同様の位置に配置されている。したがって、各タイプ5A〜5Dの板タンブラは、キー挿入路6の長手方向に配置されている(図2A及び図2B参照)。
【0228】
ただし、第1実施形態の第3実施例については例外となっている(図4E及び図4F参照)。
【0229】
このような実施例において、タイプ5Bの板タンブラ5は、タンブラ溝5B−1が第1リブエッジ部9Aの接触箇所を一旦接触平面111,113,115,117及び119において接触箇所121,123,125,127及び129で応答させるとともに、他の場合には反対側に位置する第1リブエッジ部9A’の接触箇所を接触平面112,114,116,118及び1110における接触箇所122,124,126,128及び1210で接触させるよう、各接触平面111〜1110において180°ずらして配置されている。
【0230】
このような実施例においては、板タンブラ5の配置に応じて、キー2における2つより多くのエッジ部が、ロック装置の各板タンブラ5により、接触箇所の接触のために用いられる。
【0231】
したがって、キー2に合わせて変更された板タンブラ5の配置及び弾性要素3Aの付勢方向の選択によって、二軌道式ロックシステムを超える多軌道式ロックシステムを形成することが可能である。
【0232】
一例として、図6D〜図6Fを基準とした四軌道式ロックシステムが図8Aに示されている。
【0233】
図6Fにおいて、上側2つの図は、タイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所の応答のためにエッジ部8A,10Aが用いられることを示している。
【0234】
図8Aにおける四角形は接触箇所12nを示しており、この接触箇所により、タイプ5A,タイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所が、弾性要素3Aの径方向の作用方向7.1,7.2によって、及びタイプ5A,5Cの180°向きを変えた配置により接触可能となっている。
【0235】
また、矢印7.1,7.2は、キー2における接触箇所12nが弾性要素3Aに抗してタイプ5A,5Cの板タンブラ5へ作用する作用方向を示している。
【0236】
図8Aにおいてキー2の幅広面2Bを示す上側の図に示すように、タイプ5Aの板タンブラは、接触平面111,112,115及び116における第1溝エッジ部8Aによって変位方向7.1へ接触され、すなわち押しのけられる。また、タイプ5Aの板タンブラ5は、そのタンブラ突起5A−1で第1制御軌道8の第1溝エッジ部8Aに係合する。
【0237】
図8Aにおいてキー2における反対側の幅広面2B’を示す上から3番目の図に示すように、タイプ5Aの板タンブラ5は、接触平面113及び114における第1溝エッジ部8A’によって、変位方向7.1とは反対方向に接触され、すなわち押しのけられる。また、タイプ5Aの一タンブラは、そのタンブラ突起5A−1で第1制御軌道8’の第1溝エッジ部8A’に係合する。
【0238】
図8Aにおいてキー2の幅狭面2Sを示す上から2番目の図に示すように、タイプ5Cの板タンブラ5は、接触平面117及び119におけるエッジ部10Aによって、変位方向7.2へ接触され、すなわち押しのけられる。タイプ5Cの板タンブラ5は、そのタンブラ段部5C−1において第3制御軌道10のエッジ部10Aに係合する。
【0239】
図8Aにおいて反対側に位置するキー2’の幅狭面2S’を示す一番下の図に示すように、タイプ5Cの板タンブラ5は、接触平面118及び1110におけるエッジ部10A’によって、変位方向7.2とは反対方向に接触され、すなわち押しのけられる。タイプ5Cの板タンブラ5は、そのタンブラ段部5C−1において反対側に位置する第3制御軌道10’のエッジ部10A’に係合する。
【0240】
したがって、タイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所の接触のために4つのエッジ部8A,8A’,10,10A’が用いられる。
【0241】
図8Aにおける第7接触平面117におけるキー2の接触箇所127がここでも二点鎖線で示されており、この接触箇所127について、タイプ5A又はタイプ5Cのいずれの板タンブラによって応答がなされるかが選択可能となっている。
【0242】
図示の実施例においては接触箇所122においてタイプ5Cの板タンブラ5が選択されているが、本発明において、キー2における変更を行うことなくロックシリンダ3,4又は3,4Aにおけるタイプ5Aの板タンブラ5を接触箇所122に配置することも可能である。
【0243】
他の例として、図6D〜図6Fを起点として六軌道式ロックシステムが図8Bに示されている。
【0244】
図6Fにおいて、上側2つの図は、タイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所の応答のためにエッジ部8A,10Aが用いられることを示している。
【0245】
図8Bにおける四角形は接触箇所12nを示しており、この接触箇所により、タイプ5A,タイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所が、弾性要素3Aの径方向の作用方向7.1,7.2によって、及びタイプ5A,5Cの180°向きを変えた配置により接触可能となっている。
【0246】
また、矢印7.1,7.2は、キー2における接触箇所12nが弾性要素3Aに抗してタイプ5A,5Cの板タンブラ5へ作用する作用方向を示している。
【0247】
弾性要素3Aの作用方向は、図8Aに示すものに対して変更されている。
【0248】
図8Bにおいてキー2の幅広面2Bを示す上側の図に示すように、タイプ5Aの板タンブラは、接触平面111,115及び116における第1溝エッジ部8A並びに接触平面112における第2溝エッジ部8Bによって変位方向7.1へ接触され、すなわち押しのけられる。また、タイプ5Aの板タンブラ5は、そのタンブラ突起5A−1で第1制御軌道8の第1溝エッジ部8A及び第2溝エッジ部8Bに係合する。
【0249】
図8Bにおいてキー2における反対側の幅広面2B’を示す上から3番目の図に示すように、タイプ5Aの板タンブラ5は、接触平面113における第1溝エッジ部8A’及び接触平面114における第2溝エッジ部8B’によって、変位方向7.1(両方向)に接触され、すなわち押しのけられる。また、タイプ5Aの一タンブラは、そのタンブラ突起5A−1で第1制御軌道8’の第1溝エッジ部8A’及び第2溝エッジ部8B’に係合する。
【0250】
図8Bにおいてキー2の幅狭面2Sを示す上から2番目の図に示すように、タイプ5Cの板タンブラ5は、接触平面117及び119におけるエッジ部10Aによって、変位方向7.2へ接触され、すなわち押しのけられる。タイプ5Cの板タンブラ5は、そのタンブラ段部5C−1において第3制御軌道10のエッジ部10Aに係合する。
【0251】
図8Bにおいて反対側に位置するキー2’の幅狭面2S’を示す一番下の図に示すように、タイプ5Cの板タンブラ5は、接触平面118及び1110におけるエッジ部10A’によって、変位方向7.2とは反対方向に接触され、すなわち押しのけられる。タイプ5Cの板タンブラ5は、そのタンブラ段部5C−1において反対側に位置する第3制御軌道10’のエッジ部10A’に係合する。
【0252】
したがって、タイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5の配置及び付勢方向に応じて、このタイプ5A及びタイプ5Cの板タンブラ5の接触箇所に接触するためのエッジ部8A,8B,8A’,8B’,10,10A’が使用される。
【0253】
図8Aにおける第7接触平面117におけるキー2の接触箇所127がここでも二点鎖線で示されており、この接触箇所127について、タイプ5A又はタイプ5Cのいずれの板タンブラによって応答がなされるかが選択可能となっている。
【0254】
図示の実施例においては接触箇所122においてタイプ5Cの板タンブラ5が選択されているが、本発明において、キー2における変更を行うことなくロックシリンダ3,4又は3,4Aにおけるタイプ5Aの板タンブラ5を接触箇所122に配置することも可能である。
【0255】
この第3ロックシステムS3について説明した形態は、上述の全ての第1ロックシステムS1、第2ロックシステムS2、第4ロックシステムS4及び第5ロックシステムS5にも適用可能である。
【符号の説明】
【0256】
1 ロック装置
2 キー
2B 幅広面
2C,2S,2S’ 幅狭面
3 シリンダケーシング
3A 弾性要素
4 シリンダコア
4A 回転自在スリーブ
5,5A〜5D 板状タンブラ
5−1 突出部
5A−1 タンブラ突起
5B−1 タンブラ溝
5C−1 タンブラ段部
5D−1 タンブラ段部
6 キー挿入路
7 軸中心線
7.1 第1変位方向
7.2 第2変位方向
8,8’ 第1制御軌道(キー溝)
8A,8A’ 第1溝エッジ部
8B,8B’ 第2溝エッジ部
9,9’ 第2制御軌道(制御リブ)
9A,9A’ 第1リブエッジ部
9B,9B’ 第2リブエッジ部
10,10’ 第3制御軌道
10A,10A’ エッジ部
11n 接触平面(nは数)
12n 接触箇所(nは数)
14,14’ 第4制御軌道
14A,14A’ エッジ部
x/z 第1切断平面
x/y 第2切断平面
E 挿入方向
1 第1ロックシステム
2 第2ロックシステム
3 第3ロックシステム
4 第4ロックシステム
5 第5ロックシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのロック装置を1つかつ同一のキー(2)で操作可能なロックシステム(Sn)であって、
前記各ロック装置のロックシリンダ(3,4)におけるシリンダコア(4)のキー挿入路(6)へ挿入方向(E)へ向けて前記キー(2)が挿入可能であり、
前記シリンダコア(4)内に配置された少なくとも2つのタイプの板タンブラ(5A,5B,5C,5D)が、前記シリンダコアの軸方向(7)に対して径方向に摺動するとともに、前記シリンダコア(4)が前記ロックシリンダ(3,4)におけるシリンダケーシング(3)に対して自由に回転可能であるよう前記シリンダコア(4)内に配置され、
前記キー(2)が少なくとも2つの制御軌道(8,9/8,10,10,14)を備えており、該制御軌道によって、少なくとも2つの連続して配置されたそれぞれ前記挿入方向(E)に対して垂直に配置された複数の接触平面(11n)において前記キー(2)上に設定された複数の接触箇所(12n)の接触が可能であるよう構成された前記ロックシステムにおいて、
少なくとも1つの前記接触平面(11n)における前記キー(2)上に設定された前記接触箇所(12n)によって両タイプの板タンブラ(5A,5B/5A,5C/5C,5D)をその相対する接触箇所によって接触可能かつ押しのけ可能に構成し、前記板タンブラの自由な選択に合わせられた前記シリンダケーシング(3)を備えた前記シリンダコア(4)を有する前記ロック装置の多様性を形成するために、両タイプの板タンブラ(5A,5B/5A,5C/5C,5D)のうちいずれかを前記接触平面(11n)の少なくとも1つにおいて自由に選択可能に構成したことを特徴とするロックシステム(Sn)。
【請求項2】
第1ロックシステム(S1)の前記板タンブラ(5A,5B)を押しのけるための前記キー(2)に第1制御軌道(8)及び第2制御軌道(9)を形成するとともに、これら第1制御軌道及び第2制御軌道を、少なくとも1つの前記接触平面(11n)において選択されて前記シリンダコア(4)内に配置された前記板タンブラ(5A,5B)にかかわらず、前記キー(2)が少なくとも1つの前記接触平面(11n)において第1タイプ(5A)の前記板タンブラ又は第2タイプ(5B)の前記板タンブラの接触に作用するよう形成したことを特徴とする請求項1記載のロックシステム(S1)。
【請求項3】
第2ロックシステム(S2)の前記板タンブラ(5A,5B)を押しのけるための前記キー(2)に第1制御軌道(8)及び第2制御軌道(9)を形成するとともに、これら第1制御軌道及び第2制御軌道を、前記各接触平面(11n)において選択されて配置された前記板タンブラ(5A,5B)にかかわらず、前記キー(2)が全ての前記接触平面(11n)において第1タイプ(5A)の前記板タンブラ又は第2タイプ(5B)の前記板タンブラの接触に作用するよう形成したことを特徴とする請求項1記載のロックシステム(S2)。
【請求項4】
前記第1及び第2のロックシステム(S,S2)における前記第1及び第2の制御軌道(8,9)を前記キー(2)の反対側において第1及び第2の切断平面(Dx/z,Dx/y)に関して鏡面対称に配置することで、前記板タンブラのタイプ(5A,5B)にかかわらず、前記第1及び第2の制御軌道(8,9)並びにこれとは反対側の第1及び第2の制御軌道(8’,9’)を備えたリバーシングキーが前記各接触平面(11n)において常に得られるよう構成したことを特徴とする請求項2又は3記載のロックシステム(S2,S3)。
【請求項5】
第3又は第4ロックシステム(S3,S4)における前記板タンブラ(5A,5C)を押しのけるための前記キー(2)に第1制御軌道(8)及び第3制御軌道(10)を形成するとともに、これら第1制御軌道及び第3制御軌道を、前記各接触平面(11n)において選択されて配置された前記板タンブラ(5A,5C)にかかわらず、前記第3ロックシステム(S3)の前記キー(2)にあっては前記少なくとも2つの接触平面(11n)のうち少なくとも1つの接触平面において、前記第4ロックシステム(S4)の前記キー(2)にあっては前記少なくとも2つの接触平面(11n)のうち全ての接触平面において第1のタイプの板タンブラ(5A)又は第3のタイプの板タンブラ(5C)の接触に作用するよう形成したことを特徴とする請求項1記載のロックシステム(S3,S4)。
【請求項6】
前記第3又は第4ロックシステム(S3,S4)における前記第1制御軌道(8)のみを前記キー(2)の反対側に第1切断平面(Dx/z)に関して鏡面対称に形成することにより、前記第1及び第3の制御軌道(8,10)並びにその反対側に第1制御軌道(8’)を備えた前記キー(2)を形成し、前記各接触平面(11n)において前記第1のタイプの板タンブラ(5A)のみが配置されている場合に、前記各接触平面(11n)における前記板タンブラ(5A,5C)の選択に応じてリバーシングキーのみが形成されるよう構成したことを特徴とする請求項5記載のロックシステム(S3,S4)。
【請求項7】
第5ロックシステム(S5)における前記板タンブラ(5C,5D)を押しのけるための前記キー(2)に第3制御軌道(10)及び第4制御軌道(14)を形成するとともに、これら第3制御軌道及び第4制御軌道を、前記各接触平面(11n)において選択されて配置された前記板タンブラ(5C,5D)にかかわらず、前記第5ロックシステム(S5)における前記キー(2)が前記少なくとも2つの接触平面(11n)における少なくとも1つの接触平面又は全ての接触平面において第3のタイプの板タンブラ(5C)又は第4のタイプの板タンブラ(5D)の接触に作用するよう形成したことを特徴とする請求項1記載のロックシステム(S5)。
【請求項8】
請求項1記載のロックシステム(Sn)用のキー(2)であって、
当該キーがロック装置のロックシリンダ(3,4)におけるシリンダコア(4)のキー挿入路(6)に軸方向に挿入方向(E)へ挿入可能であり、
当該キーによって、前記シリンダコア(4)に配置された板タンブラ(5A,5B,5C,5D)の少なくとも2つのタイプは、前記シリンダコア(4)が前記ロックシリンダ(3,4)におけるシリンダケーシング(3)に対して回転可能であるよう前記シリンダコアの軸中心(7)に対して径方向に摺動可能であるとともに前記シリンダコア(4)内で押しのけられ、
当該キー(2)が少なくとも2つの制御軌道(8,9/8,10/10,14)を備えており、該制御軌道により、少なくとも2つの連続して配置されたそれぞれ前記挿入方向(E)に対して垂直に配置された複数の接触平面(11n)において前記キー(2)上に設定された複数の接触箇所(12n)の接触が可能であるよう構成された前記キーにおいて、
少なくとも1つの前記接触平面(11n)における当該キー(2)に2つの接触箇所(12n)を形成し、該接触箇所により、少なくとも1つの前記接触平面(11n)において両タイプの板タンブラ(5A,5B/5A,5C/5C,5D)をその相対する接触箇所によって接触可能かつ押しのけ可能に構成したことを特徴とするキー(2)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A−5B】
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【図5C−5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H−5I】
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【図5J】
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【図6A】
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【図6B−6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2013−512356(P2013−512356A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540318(P2012−540318)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007173
【国際公開番号】WO2011/063968
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(591037096)フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト (56)
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT