説明

ロックシャフト固定装置およびハウジング

【課題】小型で強度が高く、かつ生産性の高い固定装置を提供できるようにする。
【解決手段】扉が完全に閉められてロックシャフト102の先端部がロックプレートに挿入されて停まると、ロックプレート141は、スプリング142−1により付勢されているため、ロックプレート141の下側の端部が図中左方向にやや移動する。ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に挿入された状態で、ロックプレート141が垂直の状態からやや傾いた状態になると、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に嵌合して抜けなくなるため、ハウジング101はその位置から移動できないので、扉を動かすことができなくなる。扉を開く場合、カム201を回動させることで、リセットレバー121がリセットプレート121を右方向に移動させ、ロックプレート141が垂直の状態になり、嵌合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックシャフト固定装置およびハウジングに関し、小型で強度が高く、かつ生産性の高い固定装置を提供できるようにするロックシャフト固定装置およびハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場の遊技機、いわゆる、パチンコ店のパチンコ台などには、第三者による、不正な操作を防止するための仕組みが用いられている。例えば、従来の遊技機は、遊技機に取り付けられたシリンダ錠などにより遊技機の扉が施錠された後、遊技機の扉を、遊技機の台枠に固定するために、シリンダ錠の施錠または開錠に伴って動作する竿が設けられており、遊技機の上部において、扉に固定された竿の一部が台枠と係合し、扉を台枠に固定するように構成されている。しかしながら、このような竿を用いて扉を台枠に固定している場合、扉と台枠のわずかな隙間から工具などが挿入され、扉が不正に開かれてしまうことが懸念されている。
【0003】
そこで、遊技機などの扉が不正に開かれることがないように、例えば、遊技機の扉に固定されたハウジングに、遊技機の台枠に固定されたロックシャフトを嵌合させ、遊技機に取り付けられたシリンダ錠などにより扉が施錠された後、無理に扉が開かれることがないように、台枠と扉とを固定する方法が用いられる。
【0004】
このように、遊技機の扉に固定されたハウジングに、遊技機の台枠に固定されたロックシャフトを嵌合させて台枠と扉とを固定する場合、例えば、ビスを用いることなく、内外のドア用レバーハンドルを連結させる方式(例えば、特許文献1参照)などを応用して機構を実現することができる。
【特許文献1】特許第2706055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ロック強度を確保するため心棒の周面に複数の係止溝が設けられているが、このような構造は、部品の加工が難しくなるとともに、扉と台枠の固定位置が係止溝の位置に対応して段階的に定まることになり、ガタが発生する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、小型で強度が高く、かつ生産性の高い固定装置を提供できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるロックシャフト固定装置は、ロックシャフトと、ロックシャフトを嵌合するハウジングと、ロックシャフトとハウジングの嵌合を解除させるリセット部とを含むロックシャフト固定装置であって、ハウジングは、ロックシャフトの先端部が挿入される矩形のロックプレートであって、中央にロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有するロックプレートと、ロックプレートの、矩形のいずれか一辺に対応する端部を、ロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、ロックシャフトがハウジングから抜かれる方向に付勢するスプリングとを備え、リセット部は、ロックプレートの、スプリングにより付勢されている端部に当接してロックシャフトの挿入方向に移動するリセットプレートと、リセットプレートの一部と当接してリセットプレートをロックシャフトの挿入方向に移動させるリセットレバーとを備える。
【0008】
本発明によるロックシャフト固定装置においては、ロックシャフトの先端部が挿入され、中央にロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有する矩形のロックプレートの、矩形のいずれか一辺に対応する端部がロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、ロックシャフトがハウジングから抜かれる方向にスプリングにより付勢され、リセットプレートによりロックプレートの、スプリングにより付勢されている端部がロックシャフトの挿入方向に移動させられ、リセットレバーによりリセットプレートがロックシャフトの挿入方向に移動させられる。
【0009】
従って、ガタが少なく、簡単に扉を開閉できるようにするロックシャフト固定装置を実現することができる。
【0010】
前記ロックプレートは、穴に挿入されたロックシャフトの先端部と当接する部位が円筒形のロッドにより構成されるようにすることができる。
【0011】
前記ロッドが、前記ロックプレートの所定の部位に圧入されるようにすることができる。
【0012】
従って、強度を高めることができる。
【0013】
前記ロックプレートが上下割の金型により製造されるようにすることができる。
【0014】
従って、生産性を高めることができる。
【0015】
前記リセットレバーは、一部がユーザにより操作されるカムに当接してロックシャフトの挿入方向と直交する方向に移動することに伴って、リセットプレートの一部と当接する端部がロックシャフトの挿入方向に移動するようにすることができる。
【0016】
前記カムは、シリンダ錠の出力軸に取り付けられ、シリンダ錠の開錠に伴って回転することでリセットレバーの一部を、前記ロックシャフトの挿入方向と直交する方向に移動させるようにすることができる。
【0017】
したがって、シリンダ錠による扉の開錠または施錠と連動して操作することができる。
【0018】
本発明によるハウジングは、ロックシャフトを嵌合して固定するハウジングであって、ロックシャフトの先端部が挿入される矩形のロックプレートであって、中央にロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有するロックプレートと、ロックプレートの、矩形のいずれか一辺に対応する端部を、ロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、ロックシャフトがハウジングから抜かれる方向に付勢するスプリングとを備る。
【0019】
本発明によるハウジングにおいては、中央にロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有する矩形のロックプレートの、矩形のいずれか一辺に対応する端部がロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、ロックシャフトがハウジングから抜かれる方向にスプリングにより付勢される。
【0020】
従って、ガタが少なくなるように、ロックシャフトを固定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、小型で強度が高く、かつ生産性の高い固定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明を適用したロックシャフト固定装置の構成例を示す斜視図である。同図に示されるロックシャフト固定装置100は、例えば、遊技機などの扉が不正に開かれることがないように、遊技機の扉に固定されたハウジングに、遊技機の台枠(本体)に固定されたロックシャフトを嵌合させ、遊技機に取り付けられたシリンダ錠などにより扉が施錠された後、無理に扉が開かれることがないように、台枠と扉とを固定するものである。
【0024】
同図において、ロックシャフト固定装置100は、ロックシャフト102、およびロックシャフト102を台枠に固定させるロックシャフト取付ベース104、並びにロックシャフトを嵌合させて固定するハウジング101、およびハウジング101を扉に固定させるハウジング取付ベース103により構成されている。
【0025】
また、同図において、ハウジング101は、説明の便宜上、内部が透視できるように表現されており、ロックシャフトが挿入される四角枠の形状のロックプレート141と、ロックプレート141の下側の端部を所定の方向に付勢するスプリング142−1と142−2が内部に設けられている。
【0026】
ハウジング取付ベース103には、例えば、遊技機に取り付けられたシリンダ錠の開錠または施錠などの操作に伴って、ハウジング取付ベース103に固定された軸を中心に矢印131の方向に動かされるリセットレバー121、およびリセットレバー121の動作に伴って矢印132の方向に動かされ、ロックプレート141の下側端部を所定の方向に押圧するリセットプレート122が設けられている。すなわち、リセットプレート122の一部がリセットレバー121の図中下側の端部と当接しているので、リセットレバー121が矢印131の方向に動かされると、リセットプレート122が矢印132の方向に動かされ、リセットプレート122の端部122aと当接してロックプレート141の下側端部が所定の方向に押圧されることになる。
【0027】
図2は、ハウジング取付ベース103の構成を示す斜視図である。この例では、ハウジング取付ベース103が、遊技機に取り付けられたシリンダ錠200の背面に取り付けられている。なお、実際には、シリンダ錠200とハウジング取付ベース103は、遊技機の扉などに固定されて取り付けられる。
【0028】
シリンダ錠200は、同図には図示されていないが図中右方向の面(シリンダ錠200の正面)において鍵穴が露出するように構成されており、シリンダ錠200に正規の鍵が鍵穴に挿入されて回動されると、シリンダ錠の内部の内周シリンダが回動してシリンダ錠200が開錠される。シリンダ錠200が開錠されるとき、その操作により回動させられる内周シリンダの動きに伴って、シリンダ錠200の背面に設けられたカム201が、シリンダ錠200の回転軸を中心として動く(回転する)ことになり、カム201の動きに伴ってリセットレバーの凸部121aがカム201と当接して矢印130の方向に動かされることになる。
【0029】
凸部121aは、ハウジング取付ベース102に、リセットレバー121と同じ軸で固定されており、凸部121aがカム201と当接して矢印130の方向に動かされることにより、リセットレバー121は矢印131の方向に動かされる。
【0030】
ハウジング101は、図3に示されるように構成されており、リセットレバー121の動きに伴ってリセットプレート122がシリンダ錠200側(図中左側)に移動させられると、ロックプレート141の下側端部がスプリング142−1と142−2の付勢力に逆らってシリンダ錠200側に動かされる。
【0031】
ロックプレート141は、後述するようにロックシャフト102の先端部の断面とほぼ同じ形状の矩形の穴を有し、その穴にロックシャフト102の先端部が挿入される。穴は、ロックシャフト102の先端部とほぼ等しい大きさとされるので、ロックプレート141の下側端部がスプリング142−1と142−2により付勢されることでロックプレート141がやや傾くと、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141に嵌合して抜けなくなる。
【0032】
すなわち、ロックシャフト固定装置100においては、扉が閉められると、ハウジング101の内部のロックプレート141にロックシャフト102の先端部が嵌合してロックされ、シリンダ錠200が開錠されると、カム201、リセットレバー121、リセットプレート122がそれぞれ上述したように動かされ、ロックプレート141の下側端部がシリンダ錠200側に押圧されてロックプレート141の傾きが修正され、ロックシャフト102の先端部とロックプレート141の嵌合が解除されてロックシャフト102の先端部がロックプレート141から抜けることで扉が開かれる。
【0033】
図4は、図1乃至図3を参照して上述したロックシャフト固定装置100が遊技機の台枠と扉に取り付けられた状態の断面図であって、遊技場に設置された遊技機の上側から見た断面図である。
【0034】
上述したように、ロックシャフト102は、ロックシャフト取付ベース104により遊技機の台枠211に固定されて取り付けられており、ハウジング101は、ハウジング取付ベース103によりシリンダ錠200の背面に位置するように、遊技機の扉212に固定されて取り付けられる。また、ハウジング101は、扉212が閉められた場合、ロックシャフト102の先端部が内部のロックプレート141の穴に挿入される位置に取り付けられるが、同図においては、扉212が開かれている状態であり、ロックシャフト102は、ハウジング101に嵌合していない。
【0035】
図5は、図4のロックシャフト固定装置100を別の角度から見た図であって、図4の図中下方向から見た図である。図5においては、便宜上、台枠211、扉212、ハウジング取付ベース103、およびロックシャフト取付ベース104が省略されて表示されており、ハウジング101の内部が透視できるように表現されている。
【0036】
ハウジング101の内部は、ロックプレート141の上側の端部の位置を変えずに、ロックプレート141の下側の端部の位置のみを図中左右の方向に移動させることが可能となるように、ロックプレート141が装着される構成とされ、ロックプレート141の下側の端部をスプリング142−1(および142−2)による付勢に逆らって図中右方向に押圧した場合、ロックプレート141が図中で垂直となる状態まで下側の端部が右方向に移動可能となるように構成されている。
【0037】
いまの場合、上述したように、扉212が開かれているので、ロックシャフト102は、ハウジング101に嵌合しておらず、ハウジング101の内部のロックプレート141は、図中下側の端部がスプリング142−1(および142−2)により付勢され、下側の端部が左方向に移動して傾いた状態となっている。
【0038】
扉212が閉められる場合、扉212に固定されているハウジング101は、シリンダ錠200などとともに図中左方向に移動されることになり、ロックシャフト102の図中右側に細く突き出た先端部がハウジング101に挿入されていくことになる。
【0039】
このように扉212が閉められる場合について図6と図7を参照して説明する。
【0040】
図6は、図4に対応する断面図であって、扉212が閉められている状態の断面図である。同図に示されるように、扉212が閉められている状態では、台枠212と扉212が接している。図7は、図6のロックシャフト固定装置100を別の角度から見た図であって、図5に対応する図である。
【0041】
図6と図7に示されるように、扉212が閉められている場合、ロックシャフト102の先端部がハウジング101のロックプレート141に挿入されており、ロックプレート141の下側の端部が図中右方向に押圧されて移動されている。すなわち、ロックプレート141の穴は、ロックシャフト102の先端部の断面とほぼ同じ形状であってほぼ同じ大きさなので、図5に示されるようにロックプレート141の下側の端部が図中左方向に位置して傾いている状態では、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に入らないため、一旦、下側の端部が図中右方向一杯に押圧されて移動される。そして、ロックプレート141が図中で垂直となる状態まで下側の端部が右方向に移動されたとき、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に入る。
【0042】
扉212が閉められる動作に伴って、扉212に取り付けられているハウジング101が、図7中左方向に移動していくことになる。このとき、ロックシャフト102の先端部は、ロックプレート141の穴により深く挿入されていくが、ロックプレート141は、スプリング142−1(および142−2)により付勢されているため、扉212が閉められる動作(すなわち、ハウジング101の図7中左方向への移動)が少しでも停止すると、ロックプレート141の下側の端部が図中左方向にやや移動する(戻る)。このように、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に挿入された状態で、ロックプレート141の下側の端部が図7中左方向に戻り、ロックプレート141が傾いた状態になると、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に嵌合して抜けなくなるため、ハウジング101はその位置から図7中右方向へ移動できない。
【0043】
すなわち、扉212が閉められると、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に嵌合しているため、ハウジング101が取り付けられている扉212を動かすことができなくなる。
【0044】
このように閉められた扉212を開く場合について、図8と図9を参照して説明する。
【0045】
図8は、図4に対応する断面図であって、閉められている扉212が開かれる状態の断面図である。この場合、例えば、シリンダ錠200に正規の鍵が挿入されて回動されて開錠される。同図に示されるように、シリンダ錠200の開錠によりカム201も回動される。これにより、リセットレバー121の凸部121aがカム201と当接して押し上げられる。図9は、図8のロックシャフト固定装置100を別の角度から見た図であって、図5に対応する図である。
【0046】
図9に示されるように、シリンダ錠200の開錠によりカム201も回動されて、リセットレバー121の凸部121aがカム201と当接して押し上げられると、リセットレバー121が軸161を中心として図中左方向(反時計回り)に動くことになる。これにより、リセットプレート122は、図中右側の端部がリセットレバー121の図中下側の端部と当接しているため、リセットレバー121の動きに伴って引っ張られ、図中右方向に移動する。その結果、ロックプレート141の下側の端部もリセットプレート122の端部122aと当接して引っ張られ、ロックプレート141の下側端部がスプリング142−1(および142−2)の付勢に逆らって図中右側に移動し、ロックプレート141が図中で垂直となっている。
【0047】
ロックプレート141が図中で垂直の状態になると、ロックシャフト102の先端部とロックプレート141の穴との嵌合が解除され、ロックシャフト102の先端部をロックプレート141から抜くことができるので、ハウジング101はその位置から図中右方向へ移動可能となる。
【0048】
すなわち、シリンダ錠200が開錠されると、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴との嵌合が解除されるため、扉を動かす(開く)ことができるようになる。
【0049】
図10乃至図15を参照してさらに詳細に説明する。図10、図12乃至図15は、ロックシャフト固定装置100を図5と同様の角度から見た図であって、便宜上、台枠211、扉212、ハウジング取付ベース103、およびロックシャフト取付ベース104が省略されて表示されており、ハウジング101の内部が透視できるように表現されている。
【0050】
図10は、扉212が完全に閉められる前のロックシャフト固定装置100の状態を示す図であり、図11は、図10の線A−Aにおけるハウジング101の断面図である。同図に示されるように、いまの状態では、スプリング142−1および142−2の付勢によりロックプレート141の下側の端部が図中左側に位置している。
【0051】
図10に示されるようにロックシャフト102の先端部がロックプレート141に当接しているが、ロックプレート141の下側の端部が図中左方向に位置して傾いている状態では、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に入らないため、扉212が閉められるとき、ロックシャフト102の先端部は、ロックプレート141を図中右方向に押圧する。上述したように、ハウジング101の内部は、ロックプレート141の上側の端部の位置を変えずに、ロックプレート141の下側の端部の位置のみを図中左右の方向に移動させることが可能となるように、ロックプレート141が装着される構成とされているので、扉212が閉められるとき、ロックプレート141の下側の端部は、スプリング142−1(および142−2)による付勢に逆らって図中右方向に押圧されて移動される。
【0052】
図12は、扉212が完全に閉められたときのロックシャフト固定装置100の状態を示す図である。
【0053】
図12に示されるように、扉212が完全に閉められると、ロックプレート141(の穴)にロックシャフト102の先端部が挿入された状態となる。そしてロックプレート141は、上述したようにスプリング142−1(および142−2)により付勢されているため、ロックプレート141の下側の端部が図中左方向にやや移動し、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に挿入された状態で、ロックプレート141が垂直の状態からやや傾いた状態になる。これにより、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141の穴に嵌合して抜けなくなるため、ハウジング101はその位置から図中右方向へ移動できない。
【0054】
図13は、閉められた扉212を開くためにシリンダ錠200が開錠されているときのロックシャフト固定装置100の状態を示す図である。同図においては、シリンダ錠200が開錠される途中であるものとする。
【0055】
図13に示されるように、シリンダ錠200の開錠の操作によりカム201も回動されて、リセットレバー121の凸部121aがカム201と当接して押し上げられると、リセットレバー121が軸161を中心として図中左方向(反時計回り)に動くことになる。これにより、リセットプレート122は、図中右側の端部がリセットレバー121の図中下側の端部と当接しているため、リセットレバー121の動きに伴って引っ張られ、図中右方向に移動する。
【0056】
図13に示される状態から、シリンダ錠200が完全に開錠された場合、ロックシャフト固定装置100は、図14に示されるような状態になる。
【0057】
すなわち図14に示されるように、上述したリセットプレート122の移動に伴って、ロックプレート141の下側の端部もリセットプレート122の端部122aと当接して引っ張られ、ロックプレート141の下側端部がスプリング142−1(および142−2)の付勢に逆らって図中右側に移動し、ロックプレート141が図中で垂直となっている。
【0058】
ロックプレート141が図中で垂直の状態になると、ロックシャフト102の先端部とロックプレート141の穴との嵌合が解除され、図15に示されるように、ロックシャフト102の先端部をロックプレート141から抜くことができるので、ハウジング101はその位置から図中右方向へ移動可能となる。その結果、ハウジング101が取り付けられている扉212を開くことができるようになる。
【0059】
このように、本発明のロックシャフト固定装置100によれば、扉が完全に閉められた後、扉を動かすことができなくなるので、扉と台枠の固定位置においてガタが発生しなくなり、その結果、遊技機などが不正に操作されることが抑止される。
【0060】
また、扉を開く場合、シリンダ錠を開錠する操作以外は必要ないので、ユーザの利便性を損なうことなく、遊技機などが不正に操作されることが抑止されるようにすることが可能となる。
【0061】
次に、図16乃至図18を参照してハウジング101の構成について説明する。
【0062】
図16は、ハウジング101の外観を示す斜視図であり、図17は、図16のハウジング101を別の角度から見た斜視図である。図18は、図16に示されるハウジング101をさらに別の角度からみた斜視図である。
【0063】
図16乃至図18に示される矩形の穴101aにはロックシャフト102の先端部が挿入される。また、ハウジング101の中央のロックプレート収納部101bには、ロックプレート141が収納(装着)される。
【0064】
ロックプレート収納部101bは、ロックプレート141の上側の端部の位置を変えずに、ロックプレート141の下側の端部の位置のみを移動させることが可能となるように構成されている。
【0065】
また、ロックプレート収納部101bの後にはスプリング収納部101cが設けられており、スプリング142−1と142−2がスプリング収納部101cに収納される。
【0066】
リセットプレート用溝101dは、ロックプレート141の下側の端部の移動方向と平行に設けられており、リセットプレート122が収納される。
【0067】
図19は、ロックプレート141の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、ロックプレート141は、中央が矩形の穴とされ、四角形の枠のような形で構成されている。ロッド収納部141aには、円筒形のロッド181−1および181−2がそれぞれ圧入され、圧入されたロッド181−1および181−2は、ロッド収納部141aによりロックプレート141に対して固定される。図20は、ロックプレート141においてロッド181−1および181−2がそれぞれロッド収納部141aに圧入された状態を示す斜視図である。なお、同図においては便宜上、ロックプレート141の左上端部が切断された状態で表現されている。
【0068】
そして、図19に示されるロックプレート141のロッド収納部141aに、ロッド181−1および181−2がそれぞれ圧入された状態で形成される矩形(穴)182は、ロックシャフト102の先端部の断面とほぼ同じ形状(大きさ)となるように構成される。したがって、ロックシャフト102の先端部がロックプレート141に挿入されて嵌合するとき、ロッド181−1とロッド181−2がロックシャフト102の先端部のそれぞれ上側の面と下側の面に当接してロックシャフト102を固定することになる。
【0069】
ロックプレート141は、例えば、上下割の金型を用いて製造される。図21は、ロックプレート141の縦断面図であって、ロックプレート141の構造を説明する図である。図21において、ロックプレート141は、例えば、図中左上から右下に向かう斜線でハッチングされた部分は、上下割の金型を用いて製造される。
【0070】
上述したロッド収納部141aは、ロッド181−1および181−2がそれぞれ圧入されて固定されるように、ロッド181−1または181−2の形状(円筒形)と同様の形状とされる必要があり、また、上述した矩形182は、ロックシャフト102の先端部の断面とほぼ同じ形状と大きさを有するように構成される必要がある。例えば、ロックプレート141が、図21の図中上側半分と図中下側半分に分けられた金型により製造されると、穴182の形状が歪む可能性がある。また、ロックプレート141を、上述したロッド収納部141aを含めて1つの金型により製造されるようにすることは極めて困難である。
【0071】
そこで、ロックプレート141を、図21を参照して説明したような上下割りの金型で製造する。このようにすることで、ロッド収納部141aおよび矩形(穴)182の形状を正確に実現することが可能となり、また、ロックプレート141の生産性を高めることも可能となる。
【0072】
また、ロックプレート141において、ロックシャフト102の先端部は、ロッド181−1とロッド181−2がロックシャフト102の先端部のそれぞれ上側の面と下側の面に当接することで固定されるので、ロックプレート141の強度を十分高いものとすることができる。
【0073】
すなわち、ロックシャフト102の先端部と当接するロッド181−1と181−2は、円筒形なので摩擦などの力が加わっても形状が大きく変形することはなく、また、図22に示されるように、ロッド収納部141aも圧入された状態のロッド181−2(またはロッド181−1)を、ロッド182−2と同じ形状の曲面により保持する構成とされるので、ロッド収納部141aにおける単位面積あたりの荷重を小さくすることができる。従って、ロックプレート141は、例えば、扉212が閉められた状態で無理に開かれようとするとき、ロックシャフト102の先端部が引っ張られることによりかかる荷重に対して充分な耐久性をもった構造とすることができる。
【0074】
また、ロッド181−1および181−2は、それぞれ上述したように円筒形であり、ロックシャフト102の先端部の上側の面と下側の面は、それぞれ平面であり、ロッドまたはロックシャフトの先端部に、溝や孔などの係止部は設けられていない。このようにすることで、扉212の位置に応じて段階的にロックされることがなく、扉212が閉められたその位置でロックされることになり、ガタが発生することが抑制される。
【0075】
ところで、遊技機においては、ゲーム中にパチンコ玉、メダルなどが払い出され、払いだされたパチンコ玉、メダルなどは、扉212に固定された受け皿などに蓄えられる。このように、扉212には、パチンコ玉、メダルなどの重量がかかるため、例えば、上下方向の位置が微妙に変化し、扉212の開閉時には、ロックシャフト102の先端部とロックプレート141の嵌合においてこじり(微妙な位置ずれ)が発生することがある。また、扉212と台枠211との組み付け誤差などによっても同様のこじりが発生することがある。
【0076】
このようなこじりが発生した場合、扉212の開閉に伴って図23に示されるように、ロックシャフト102が矢印133または矢印134の方向に動かされるような荷重がかけられることになる。
【0077】
このような場合であっても、扉212の開閉が可能となるように、本発明のロックシャフト固定装置100においては、図24と図25に示されるように、ロックシャフト102をロックシャフト取付ベース104に固定するボルト171の周囲にバネ172が取り付けられている。
【0078】
これにより、図23の矢印134の方向の荷重に対しては、図24aまたは図24bに示されるように、バネ172が変形することでロックシャフト102の先端部と、ロックプレート141との微妙な位置ずれによる影響を吸収させることが可能となる。すなわち、図24aの場合、バネ172の図中右側が押圧されて縮んだ状態とされており、図24bの場合、バネ172の図中左側が押圧されて縮んだ状態とされている。また、図23の矢印133の方向の荷重に対しては、図25aまたは図25bに示されるように、バネ172が変形することでロックシャフト102の先端部と、ロックプレート141との微妙な位置ずれによる影響を吸収させることが可能となる。すなわち、図25aの場合、バネ172の図中上側が押圧されて縮んだ状態とされており、図25bの場合、バネ172の図中下側が押圧されて縮んだ状態とされている。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ロックシャフト固定装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1のハウジング取付ベースの構成を示す斜視図である。
【図3】図1のハウジングの構成を示す斜視図である。
【図4】ロックシャフト固定装置が遊技機の台枠と扉に取り付けられた状態の断面図である。
【図5】図4のロックシャフト固定装置を別の角度からみた図である。
【図6】ロックシャフト固定装置が遊技機の台枠と扉に取り付けられた状態の断面図である。
【図7】図6のロックシャフト固定装置を別の角度からみた図である。
【図8】ロックシャフト固定装置が遊技機の台枠と扉に取り付けられた状態の断面図である。
【図9】図8のロックシャフト固定装置を別の角度からみた図である。
【図10】扉が閉められるときのロックシャフト固定装置の状態を説明する図である。
【図11】図10の線A−Aにおける断面図である。
【図12】扉が完全に閉められたときのロックシャフト固定装置の状態を説明する図である。
【図13】シリンダ錠が開錠されているときのロックシャフト固定装置の状態を説明する図である。
【図14】シリンダ錠が開錠されたときのロックシャフト固定装置の状態を説明する図である。
【図15】扉が開かれるときのロックシャフト固定装置の状態を説明する図である。
【図16】ハウジングの外観を示す斜視図である。
【図17】図16のハウジングを別の角度からみた斜視図である。
【図18】図16のハウジングをさらに別の角度からみた斜視図である。
【図19】ロックプレートの構成を示す斜視図である。
【図20】図19のロックプレートにおいてロッドが圧入された状態を示す斜視図である。
【図21】ロックプレートの縦断面図である。
【図22】図21の一部を拡大した図である。
【図23】ロックシャフトに対してかかる荷重を説明する図である。
【図24】ロックシャフトに対してかかる荷重を説明する図である。
【図25】ロックシャフトに対してかかる荷重を説明する図である。
【符号の説明】
【0080】
100 ロックシャフト固定装置,
101 ハウジング,
101b ロックプレート収納部,
102 ロックシャフト,
103 ハウジング取付ベース,
104 ロックシャフト取付ベース,
121 リセットレバー,
122 リセットプレート,
141 ロックプレート,
141a ロッド収納部,
142−1,142−2 スプリング,
181−1,181−2 ロッド,
200 シリンダ錠,
201 カム,
211 台枠,
212 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックシャフトと、前記ロックシャフトを嵌合するハウジングと、前記ロックシャフトと前記ハウジングの嵌合を解除させるリセット部とを含むロックシャフト固定装置であって、
前記ハウジングは、
前記ロックシャフトの先端部が挿入される矩形のロックプレートであって、中央に前記ロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有するロックプレートと、
前記ロックプレートの、前記矩形のいずれか一辺に対応する端部を、前記ロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、前記ロックシャフトが前記ハウジングから抜かれる方向に付勢するスプリングとを備え、
前記リセット部は、
前記ロックプレートの、前記スプリングにより付勢されている端部に当接して前記ロックシャフトの挿入方向に移動するリセットプレートと、
前記リセットプレートの一部と当接して前記リセットプレートを前記ロックシャフトの挿入方向に移動させるリセットレバーとを備える
ロックシャフト固定装置。
【請求項2】
前記ロックプレートは、前記穴に挿入された前記ロックシャフトの先端部と当接する部位が円筒形のロッドにより構成される
請求項1に記載のロックシャフト固定装置。
【請求項3】
前記ロッドが、前記ロックプレートの所定の部位に圧入される
請求項2に記載のロックシャフト固定装置。
【請求項4】
前記ロックプレートが上下割の金型により製造される
請求項3に記載のロックシャフト固定装置。
【請求項5】
前記リセットレバーは、一部がユーザにより操作されるカムに当接して前記ロックシャフトの挿入方向と直交する方向に移動することに伴って、前記リセットプレートの一部と当接する端部が前記ロックシャフトの挿入方向に移動する
請求項1に記載のロックシャフト固定装置。
【請求項6】
前記カムは、シリンダ錠の出力軸に取り付けられ、前記シリンダ錠の開錠に伴って回転することで前記リセットレバーの一部を、前記ロックシャフトの挿入方向と直交する方向に移動させる
請求項5に記載のロックシャフト固定装置。
【請求項7】
ロックシャフトを嵌合して固定するハウジングであって、
前記ロックシャフトの先端部が挿入される矩形のロックプレートであって、中央に前記ロックシャフトの先端部の断面と等しい形状の穴を有するロックプレートと、
前記ロックプレートの、前記矩形のいずれか一辺に対応する端部を、前記ロックシャフトの挿入方向と平行な方向であって、前記ロックシャフトが前記ハウジングから抜かれる方向に付勢するスプリングとを備る
ハウジング。
【請求項8】
前記ロックプレートは、前記穴に挿入された前記ロックシャフトの先端部と当接する部位が円筒形のロッドにより構成される
請求項7に記載のハウジング。
【請求項9】
前記ロッドが、前記ロックプレートの所定の部位に圧入される
請求項8に記載のハウジング。
【請求項10】
前記ロックプレートが上下割の金型により製造される
請求項9に記載のハウジング。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2007−186911(P2007−186911A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6011(P2006−6011)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)