説明

ロック機能付きチルトヒンジ

【課題】見易い或いは操作し易い最適の傾きにパネルをロックすることができ、傾き変更操作を容易に行うことができるロック機能付きチルトヒンジの提供。
【解決手段】OA機器の本体1に取り付けられるヒンジ用固定ブラケット3と、パネル2に取り付けられるヒンジ用可動ブラケット4と、該ヒンジ用固定ブラケット3一側の側板と該ヒンジ用可動ブラケット4の一側の側板を相互に重ね合わせて所定の摩擦トルクで軸支するチルトヒンジ5と、上記ヒンジ用固定ブラケット3の他側の側板と上記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板を相互に重ね合わせて軸支するヒンジシャフト6と、前記ヒンジ用可動ブラケット4の他側の側板に一体的に設けられるヒンジブラケット8と、該ヒンジブラケット8の長孔に挿設されるカムシャフト9と、該カムシャフト9に回転自在に支持されると共に大径部分と小径部分を有する回転カム10と、操作レバー11とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンターなどのOA機器や、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品に設けられるモニターパネルや操作パネルなどのパネルの傾きを制御するロック機能付きチルトヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記パネルは、見易い傾きや操作し易い傾きに調整する必要がある。このパネルの傾きを任意に調整できるようにチルトヒンジが採用されているOA機器等が少なくない。
【0003】
上記チルトヒンジは、その摩擦トルクによりパネルの傾きを維持するようになっており、パネルの大きさや重さ、或いは取付位置に応じて、安定した傾きが維持されるように、最適のトルクを発揮し得るヒンジが選択される。
【0004】
しかしながら、傾きの安定性を重視すると高摩擦トルクのチルトヒンジとなって、この傾きを変えようとする場合、抵抗が大きくて傾き変更操作が困難になる。一方、傾き変更操作の容易性を重視すると、低摩擦トルクのチルトヒンジとなって、パネルの傾きが不安定となり、特に、操作パネルのようにタッチするパネルでは、タッチする毎に傾きが変わってしまう等の問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、見易い或いは操作し易い最適の傾きにパネルをロックすることができ、しかも、傾き変更操作を容易に行うことができるロック機能付きチルトヒンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロック機能付きチルトヒンジは、OA機器の本体に取り付けられるヒンジ用固定ブラケットと、パネルに取り付けられるヒンジ用可動ブラケットと、該ヒンジ用固定ブラケット3一側の側板と該ヒンジ用可動ブラケットの一側の側板を相互に重ね合わせて所定の摩擦トルクで軸支するチルトヒンジと、上記ヒンジ用固定ブラケットの他側の側板と上記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板を相互に重ね合わせて軸支するヒンジシャフトと、前記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板に一体的に設けられるヒンジブラケットと、該ヒンジブラケットの長孔に挿設されるカムシャフトと、該カムシャフトに回転自在に支持されると共に大径部分と小径部分を有する回転カムと、該回転カムに取り付けられた操作レバーと、から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロック機能付きチルトヒンジは、見易い或いは操作し易い最適の傾きにパネルをロックすることができ、しかも、傾き変更操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】OA機器に設けたパネルを示す斜視図である。
【図1B】本発明のロック機能付きチルトヒンジの一実施例を示す斜視図である。
【図2A】ロック解除状態のロック機能付きチルトヒンジを示す斜視図である。
【図2B】図2Aのロック機能付きチルトヒンジの分解斜視図である。
【図3A】回転カムによるロック解除の説明図である。
【図3B】回転カムによるロック作用の説明図である。
【図4】ロック状態のロック機能付きチルトヒンジを示す斜視図である。
【図5A】別の実施例のロック解除状態のロック機能付きチルトヒンジを示す斜視図である。
【図5B】図5Aのロック機能付きチルトヒンジの分解斜視図である。
【図6】図5Aの実施例のロック状態のロック機能付きチルトヒンジを示す斜視図である。
【図7A】更に別の実施例のロック機能付きチルトヒンジを示す斜視図である。
【図7B】図7Aの実施例のロック機能付きチルトヒンジを別の方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のロック機能付きチルトヒンジの実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
図1A、図Bおよび図2A、図2Bにおいて、1は複写機などのOA機器の本体、2はパネル、3はOA機器の本体1に取り付けられるヒンジ用固定ブラケット、4はパネル2に取り付けられるヒンジ用可動ブラケット、5はチルトヒンジ、6はヒンジシャフト、7は締付調整ナット、8はヒンジブラケット、9はカムシャフト、10は回転カム、11は操作レバーである。
【0011】
上記ヒンジ用固定ブラケット3の一側の側板3aと上記ヒンジ用可動ブラケット4の一側の側板4aは相互に重ね合わされて、チルトヒンジ5により所定の摩擦トルクで軸支されている。一方、上記ヒンジ用固定ブラケット3の他側の側板3bと上記ヒンジ用可動ブラケット4の他側の側板4bも相互に重ね合わされて、ヒンジシャフト6により軸支されている。該ヒンジシャフト6には、上記締付調整ナット7が螺着されている。
【0012】
上記ヒンジブラケット8は、上記ヒンジ用可動ブラケット4の側板4bに一体的に設けられていて、長孔8aが開設されている。該長孔8aには、上記レバーシャフト9が挿設されるようになっている。該カムシャフト9は、上記回転カム10の取付孔10aおよび上記ヒンジシャフト6を貫くように穿設された貫通孔6aにも貫挿される。
【0013】
本実施例のロック機能付きチルトヒンジは、以上のように構成されているので、図2Aに示すように、上記操作レバー11を矢印のように上記パネル2側に引き寄せると、図3Aに示すように、上記回転カム10の小径部分rが、上記ヒンジ用可動ブラケット4の側板4bに対する押圧力が小さくなると同時に、上記カムシャフト9を介して上記締付調整ボルト7の側板3bに対する押圧力も小さくなり、上記ヒンジ用固定ブラケット3と上記ヒンジ用可動ブラケット4の相互の圧接力が緩められる。その結果、ヒンジ用可動ブラケット4のロックが解除される。ロックが解除されると、パネル2は上記チルトヒンジ5の摩擦トルクだけで支持されるため、その傾き操作が容易となる。
【0014】
図4は、上記操作レバー11を矢印のように上記パネル2から離れるように操作した状態を示す。この状態では、図3Bに示すように、上記回転カム10の大径部分Rが、上記ヒンジ用可動ブラケット4の側板4bを押圧すると同時に、上記カムシャフト9を介して上記ヒンジシャフト6が矢印方向に移動し、上記ヒンジ用固定ブラケット3と上記ヒンジ用可動ブラケット4の相互押圧力が大きくなる。その結果、ヒンジ用可動ブラケット4がロックされ、パネル2がロックされる。
【実施例2】
【0015】
図5Aは、本発明のロック機能付きチルトヒンジの別の実施例を示すもので、図5Bはその分解斜視図である。本実施例2では、ヒンジ用固定ブラケット3の側板3bの左右両側にヒンジブラケット8を上下方向に一体的に取り付け、その長孔8aにカムシャフト9を横向きに挿設し、操作レバー11が縦(上下)方向に操作できるように、構成されている。
【0016】
この構成の違いを除けば、回転カムによるヒンジ用固定ブラケット3とヒンジ用可動ブラケット4の相互押圧作用を強くして、パネル2の傾きをロックしたり、逆に緩和してロック解除を行い、パネル2の傾き操作を容易にするという、作用原理は同じである。図5Aはロック解除の、また、図6はロック状態の操作レバー11の位置を示す。
【実施例3】
【0017】
図7Aおよび図7Bは、本発明のロック機能付きチルトヒンジの更に別の実施例を示すもので、ヒンジ用固定ブラケット3の側板3bにヒンジボルト12を一体的に取り付けて、そのボルト部12aに締付操作ナット13を螺合したものである。該締付操作ナット13には、操作レバー14が取り付けられている。
【0018】
本実施例では、上記操作レバー14により締付操作ナット13を回転させて、上記ヒンジボルト12との間で、ヒンジ用固定ブラケット3の他側の側板3bとヒンジ用可動ブラケット4の他側の側板4b間の相互圧接力を緩めて、パネル2の傾きを変えたり、逆に、前記相互圧接力を強めて、パネル2の傾きをロックするようにしている。
【符号の説明】
【0019】
1 OA機器の本体
2 パネル
3 ヒンジ用固定ブラケット
3a、3b 側板
4 ヒンジ用可動ブラケット
4a、4b 側板
5 チルトヒンジ
6 ヒンジシャフト
6a 貫通孔
7 締付調整ナット
8 ヒンジブラケット
8a 長孔
9 カムシャフト
10 回転カム
10a 取付孔
11 操作レバー
12 ヒンジボルト
12a ボルト部
13 締付操作ナット
14 操作レバー
R 大径部分
r 小径部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OA機器の本体に取り付けられるヒンジ用固定ブラケットと、パネルに取り付けられるヒンジ用可動ブラケットと、該ヒンジ用固定ブラケット3一側の側板と該ヒンジ用可動ブラケットの一側の側板を相互に重ね合わせて所定の摩擦トルクで軸支するチルトヒンジと、上記ヒンジ用固定ブラケットの他側の側板と上記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板を相互に重ね合わせて軸支するヒンジシャフトと、前記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板に一体的に設けられるヒンジブラケットと、該ヒンジブラケットの長孔に挿設されるカムシャフトと、該カムシャフトに回転自在に支持されると共に大径部分と小径部分を有する回転カムと、該回転カムに取り付けられた操作レバーと、から構成されることを特徴とするロック機能付きチルトヒンジ。
【請求項2】
上記ヒンジシャフトに、締付調整ナットを螺着させることを特徴とする請求項1に記載のロック機能付きチルトヒンジ。
【請求項3】
OA機器の本体に取り付けられるヒンジ用固定ブラケットと、パネルに取り付けられるヒンジ用可動ブラケットと、該ヒンジ用固定ブラケット3一側の側板と該ヒンジ用可動ブラケットの一側の側板を相互に重ね合わせて所定の摩擦トルクで軸支するチルトヒンジと、上記ヒンジ用固定ブラケットの他側の側板と上記ヒンジ用可動ブラケットの他側の側板を相互に重ね合わせて軸支するヒンジボルトと、該ヒンジボルトのボルト部に螺合して、央軌ヒンジ用固定ブラケットの他側の側板とヒンジ用可動ブラケットの他側の側板間の相互圧接力を強めたり緩める締付操作ナットと、該締付操作ナットを回転操作する操作レバーと、から構成されることを特徴とするロック機能付きチルトヒンジ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2010−174910(P2010−174910A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14989(P2009−14989)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】