ロック装置付き傾斜昇降ユニット、および、傾斜昇降ユニットのためのロック装置
傾斜昇降ユニット(2)が、搬送ユニット(5)と、該搬送ユニット(5)に回転可能に連結された荷重ユニット(4)と、ポジション決めデバイス(20)と、ロック装置(100)とを有している。ポジション決めデバイスは、使用時には、荷重ユニットが重力に対して望ましい荷重の向きをとるように、該荷重ユニットを搬送ユニットに対して回転させるように設計されている。ロック装置は、ロック手段(133)を有している。該ロック手段は、荷重ユニットが望ましくない荷重の向きをとった場合に、荷重ユニットとポジション決めデバイスとの間の回転可能な接続部をロックする。ロック装置は、基準要素(131)を有し、該基準要素は、荷重ユニットと搬送ユニットとに対して移動可能になっており、荷重ユニットに対するそのポジションは、重力の方向によって定められる。望ましい荷重の向きおよび望ましくない荷重の向きにおいて、それぞれに、荷重ユニットが、基準要素に対して、少なくともニュートラルポジションとロックポジションとをとることが可能になっている。基準要素はロック手段に機械的に接続されている。該基準要素は、ロックポジションにおいて前記ロック手段を作動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る傾斜昇降(incline lift)ユニットに関する。このタイプの傾斜昇降ユニットは、軌道またはレールなどのガイドに沿って上方および/または下方に移動することが意図されている。このガイドは、例えば、階段に沿って延ばされ、様々に変化する傾斜角度を有することもある。
【背景技術】
【0002】
このタイプの傾斜昇降ユニットは、WO95/18763によって知られている。この文献では、車台(undercarriage)と椅子とを有する階段昇降(stairlift)ユニットが説明されている。車台は、車輪によって、ガイドレールに沿って移動するように設計されている。車輪の一つは、ガイドレールに沿って延びた歯付きラックに係合可能な歯車として設計されている。
【0003】
椅子は、車台に回転可能に接続されている。この回転可能な接続部は、ギア接続とモーターとによって駆動される。該モーターは、椅子が望ましい向き(即ち、鉛直)をとり、かつ、ガイドレールの傾斜角度の変化による車台の回転時にも、その向きを維持するように、駆動される。
【0004】
この公知の階段昇降ユニットには、ロックピン(locking pin)を有する安全機構が設けられている。該ロックピンは、椅子の支持部の開口に作用することが可能である。該安全装置は、水銀スイッチが設けられた電気回路をさらに有している。椅子の向きが望ましくない様に傾きはじめたことを水銀スイッチが検知すると、ロックピンが放たれ、ばねの影響により、穴の中に落ちることになる。こうして、車台に対する椅子の望ましくない回転が制限される。
【0005】
この公知の階段昇降ユニットの欠点は、安全装置(セーフガード)が電気回路に依存している点である。このような回路の構成部品は、故障が発生しやすく、その結果、該安全機構が誤作動してしまうことがある。このような安全機構は、普通の使用時には作動しないので、該安全機構が作動しなければならなくなった時にのみ、そのような誤作動が明らかとなる可能性がある。その問題を防止するために、この種の安全機構には、関連するテスト手続を伴うテスト回路を設けることが可能である。しかしながら、これは、回路の複雑化および費用増加を招くことになる。別の欠点は、多くの国において使用が禁止されている水銀スイッチを用いる点である。
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点が、少なくとも部分的に克服された傾斜昇降ユニットを提供すること、または、使用可能な代替物を提供することである。
【0007】
特に、本発明の目的は、電気系統において故障が発生しにくい傾斜昇降ユニットを提供することである。
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に係る傾斜昇降ユニットによって達成される。本発明による傾斜昇降ユニットは、搬送ユニットと、該搬送ユニットに回転可能に連結された荷重ユニットと、ポジション決めデバイスと、ロック装置とを有している。ポジション決めデバイスは、使用時において、荷重ユニットが重力に対して望ましい荷重の向きをとるように、該荷重ユニットを搬送ユニットに対して回転させるように設計されている。ロック装置は、ロック手段を有している。該ロック手段は、荷重ユニットが望ましくない荷重の向きをとった場合に、荷重ユニットとポジション決めデバイスとの間の回転可能な接続部をロックする。該ロック装置は基準要素を有しており、該基準要素は、荷重ユニットと搬送ユニットとに対して移動可能になっており、荷重ユニットに対するそのポジションは、重力の方向によって定められるものである。望ましい荷重の向きおよび望ましくない荷重の向きにおいて、それぞれに、荷重ユニットは、基準要素に対して、少なくともニュートラル(中立)ポジションとロックポジションとをとることが可能になっている。基準要素は、ロック手段に機械的に接続されている。該基準要素は、ロックポジションにおいて、前記ロック手段を作動させる。
【0009】
基準要素とロック手段とは、機械的に接続されているので、現状の技術におけるような電気的な手段を必要とせず、そのため信頼性が向上する。さらに、本発明に係るロック装置は、水銀スイッチを必要としない。
【0010】
基準要素は、ロック手段に固定して接続されていることが有利である。これにより、互いに対して移動可能な部品の数が制限され、その結果、強固性(robustness)がさらに向上し、ひいては信頼性がさらに向上する。
【0011】
特に、基準要素は、荷重ユニットに対して、湾曲軌道に沿って移動できるようになっている。このような湾曲軌道によって、基準要素は、荷重が重力に対して望ましい向きをとる限りにおいて、重力のもとで、この軌道に沿ってニュートラルポジションをとる。荷重の向きが、望ましい向きと大きく異なるやいなや、基準要素は、重力のもとで、湾曲軌道に沿って最下点を求め続けることになるため、ロックポジションに到達することになる。
【0012】
一実施形態においては、ロック装置は、基準要素が連結された振り子を有している。このような振り子は、ロック装置の単純でかつ強固な実施態様である。
【0013】
別の実施形態においては、ロック装置は、スロット(溝穴)を備えている。基準要素は、該スロットを通って案内され得るようになっているため、重力の影響下で、荷重の向きに対応するポジションをとることができる。
【0014】
特に、基準要素はボールであって、該ボールがスロット内に移動可能に収容される。スロット内のこのようなボールは、単純なロック装置を構成する。
【0015】
ロックポジションにおいて、回転可能な接続部に対する、基準要素の、半径方向のポジションと軸方向のポジションのうちの少なくとも一方が、ニュートラルポジションにおける対応ポジションとは異なっていることが有利である。この異なったポジションが、ロック手段に伝わる結果、回転可能な接続部がロックされる。
【0016】
さらなる実施態様は、従属する請求項(subclaim)において定められる。
本発明は、さらに、ロック装置に関するものであり、該装置は、請求項11による、傾斜昇降ユニットのために明確に意図されたものである。
添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
傾斜昇降機(incline lift)は、本事例では階段昇降機であって、図1に全体的に符号1で示されている。該階段昇降機1は、本発明による階段昇降ユニット2と、ガイドレール3とを有しており、ガイドレールは部分的にのみ示している。ガイドレール3は、例えば、階段に沿って延びており、様々な傾斜角度をとることが可能になっている。
【0018】
該階段昇降ユニット2は、椅子または荷重ユニット4と、モーターユニットとしても参照する搬送ユニット5とを備えている。該搬送ユニット5は、ガイドレール3に移動可能に接続されており、例えば、搬送ユニット5内にある歯車付きモーター(図示せず)によって、該ガイドレール3に沿って移動可能になっており、この歯車が、ガイドレール3に沿った歯付きラック(図示せず)に係合している。
【0019】
椅子4は、背もたれ6を有しており、それには、折り畳み式の肘掛け7がはめ込まれている。椅子4は、さらに、座部(seat)8を有しており、その下側には、椅子プレート9が下方に延びている。椅子プレート9の最下部には、折り畳み式の足置き(フットレスト)10が設けられている。回転可能な接続部11は、椅子プレート9と搬送ユニット5とを接続している。
【0020】
図2および図3は、図1の階段昇降ユニットの一部を、図1のポジションに対して使用のポジションへと回転させたポジションにて示している。これらの図においては、明確にするために、搬送ユニット5のハウジング、椅子4および足置き10を省略している。椅子プレート9および搬送ユニット5には、ポジション決め(ポジショニング)デバイス20が設けられている。ポジション決めデバイス20は、搬送ユニット5内に、歯車21を駆動する電気モーター(図示せず)を備えている。歯車21は、椅子プレート9に固定的に接続された半円状の歯車22に係合する。
【0021】
図1〜3に関連して説明した階段昇降ユニット2には、図5〜9に図示するように、本発明に係るロック装置(locking device)100が設けられてもよい。該ロック装置100は、椅子プレート109に設けられる。該椅子プレート109は、シャフト111の形をなした回転可能な接続部によって、モーターユニットに連結されており、該モーターユニットの一部だけがモーターハウジング130によって示されている。半円状の歯車は、同図および以下の図にのみ図示しているが、ポジション決めデバイスのその他の要素は、明確にするために、こられの図では示していない。
【0022】
ロック装置100は、ボール・スロット132内に移動可能に収容されるボール131の形となっている基準要素を備えている。ボール131は、モーターハウジング130と協働して、ロック手段133としても機能する。
【0023】
ボール・スロット132は、湾曲軌道に沿って延びており、該湾曲軌道の両端は、使用時、斜めに上方へ向いている。該湾曲軌道は、椅子プレート109が存在する面に対して数度の僅かな角度をなす仮想面内に存在している。普通の使用時に、ポジション決め(ポジショニング)デバイス20によって、椅子プレート109は、鉛直ポジション、すなわち、重力の方向に対して平行な中心軸を維持する一方、モーターユニット5は、ガイドレール3の傾斜角度に沿うために椅子プレート109に対して回転する。しかしながら、ポジション決めデバイス20は、例えば、ギア・トランスミッションの機械的欠陥、電気モーターの欠陥、または電気モーターの(電子)制御の欠陥の結果として、作動しなくなることもある。実際上、この種の故障(failure)の発生する危険性は高くはないが、そのような故障が重大な結果を招くものとして、それ相応の危険性が存在する。結局、ポジション決めデバイス20が故障する場合には、使用者を載せた椅子4の重心は、回転のポイント111を超えて、椅子が傾くことになる。その結果、階段昇降機1の使用者(一般に高齢者や身体障害者である)は、階段昇降ユニット2から落下するだろう。
【0024】
ポジション決めデバイス20が故障すると、図7〜9に示すような状況が生じる。椅子プレート109は、モーターハウジングプレート130に対して回転し、それにより、重力の方向に対しても回転する。重力のもとで、ボール131は、ボール・スロット132内において新たなポジションをとることになり、それは、ボール・スロット132の瞬間的な最も低いポジションである。ボール・スロット132が位置している面が傾いた方位(orientation)である結果、この事例では、ボール131は、回転可能な接続部111の軸方向のうち、モーターハウジング・プレート130の方へ向かって移動する。図9に見ることができるように、ボール131は、この事例では、モーターハウジング・プレート130に対して接触するようになる。該モーターハウジング・プレート130は、ボール131のさらなる軸方向の移動を阻止し、それによって、ロック面(locking surface)として働く。ボール131のさらなる軸方向の変位が不可能であるため、椅子プレート109は、それ以上回転することが不可能となり、重力の方向に対してある角度で、実際には5°〜6°において、動けなくなる。本例では、モーターハウジング・プレート130が水平ポジションにあるものとして図示しているが、このポジションがロック装置100の機能に関連性が無いことは明らかであろう。
【0025】
図10〜16は、ロック装置200の第2の実施形態を示しており、該装置は、例えば、上述したような階段昇降ユニット2における実例のために使用してもよい。椅子プレート209は、回転可能な接続部211によって、搬送ユニットに接続されており、その搬送ユニットのうち、モーターハウジング・プレート230のみが図示されている。
【0026】
ロック装置は、振り子240を有しており、該振り子は、振り子軸(ペンジュラム・シャフト)241によって椅子プレート209に回転可能に接続されている。ピン242が、振り子240の下端部に接続されており、基準要素(reference element)およびロック手段243として働く。
【0027】
ピン242は、振り子スロット244を通って延びている。振り子スロット244は、椅子プレート209を切り抜いたものであり、かつ、ある弧の長さにわたって延びており、該弧の長さは、ロック装置200が階段昇降ユニット2をロックする角度よりも大きいものである。振り子スロット244の機能は、振り子240から出ているピン242を、モーターハウジング・プレート230に切り込まれたロック・スロット245へと導くことである。湾曲したロック・スロット245の壁部は、使用時には最上部(top)において、ロック面246として働く。
【0028】
第1の実施形態に関して上述したような異常な状況においては、椅子プレート209は、使用時の重力の方向に対して望ましくない角度をとる。重力によって、振り子240は、この重力の方向と同一の方向に向いた状態を維持する。その結果として、振り子240は、実際には、椅子プレート209に対して回転させられたことになる。振り子軸241と軸(シャフト)211とが一致しないので、軸211に対するピン242の半径方向距離(radial distance)は減少する。その結果、ピン242は、ロック・スロット245のロック面246に当たって動けなくなり、それによって、椅子プレート209がさらに回転することが妨げられる。
【0029】
図示した実施形態に加えて、多くの変形例が可能である。即ち、椅子を、例えば車椅子のためのプラットフォームなど、別の荷重ユニットと置き換えることができる。また、ガイドレールは、階段に沿って延ばす必要はなく、人やその他の荷重を運ぶための任意の傾斜に沿って取り付けることもできる。
【0030】
また、傾斜昇降ユニットがそれに沿って移動する別のタイプのガイド、軌道(トラック)などのようなもの、を用いることも可能であり、かつ、該傾斜昇降ユニットの移動のための駆動装置は、該傾斜昇降ユニットの内側だけでなく外側にも設けてもよい。
【0031】
ポジション決めデバイスは、異なる形で設計してもよく、例えば、荷重ユニットに、半円状の歯車の歯をある角度で配置して、搬送ユニットの駆動歯車の軸を、その角度に対応する角度で配置ことが挙げられる。ポジション決めは、スクリューホイール、スピンドルまたはアクチュエータによって実現することもできる。
【0032】
基準要素は、荷重ユニットに設ける代わりに、搬送ユニットに部分的に設けられてもよい。ボールをスロット内で用いる実施形態では、そのようなスロットは、傾いた面内で湾曲する代わりに、それによってボールの軸方向の変位が同様に得られる、第2の方向に湾曲していてもよい。
【0033】
荷重ユニットと搬送ユニットとの両方にあるスロットを用いる実施形態において、両スロットの半径が異なる場合、上述した第2の実施形態と同様に、ピン付きの振り子を、振り子の無いピンと置き換えることが可能であって、その場合、そのピンが過度に大きく軸方向に変位するのを妨げる手段が設けられていることが条件となる。
【0034】
振り子と、該振り子に設けられたロック手段とを用いる一実施形態では、対応する振り子軸を、ある傾いた角度で配置することも可能である。その結果として、荷重ユニットに対する振り子の偏位(deflection)によって、荷重ユニットと搬送ユニットとの間の回転可能な接続部に対して、ロック手段が軸方向に変位することになる。
【0035】
さらに、次のような振り子を用いる実施態様も可能であって、それは、荷重ユニットに対する偏位を示すや否やロック手段をロック解除する振り子であり、例えば、ばねの張力によって、または、重力によって、搬送ユニットに対して荷重ユニットをロックすることをもたらすものである。
【0036】
最後に、これら実施態様は、基準要素が、図示したものとは別の態様にて湾曲軌道をたどることができるもの、例えば、湾曲した棒の周りを囲んで該棒に沿って移動する環状の基準要素などであってもよい。
【0037】
このようにして、本発明は、ポジション決めデバイスが故障したとしても、荷重ユニットを確実にロックするロック装置を有する傾斜昇降ユニットを提供するものである。このロック装置は、機能する上で、電気的、または他の複雑あるいは脆弱な手段に依存しない。それどころか、本発明に係るロック装置は、比較的簡単に、ひいては安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明による階段昇降ユニットを有する階段昇降機を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の椅子昇降機のモーターユニットを切り取った図である。
【図3】図3は、図2の階段昇降機のポジション決めデバイスの細部を示している。
【図4】図4は、本発明による、ロック装置の第1の実施態様の正面図である。
【図5】図5は、図4の線IV−IVでの断面を示す図である。
【図6】図6は、図5の細部を拡大して示す図である。
【図7】図7は、図4のロック装置がロックしている状態を示す図である。
【図8】図8は、図7の線VII−VIIでの断面を示す図である。
【図9】図9は、図8の細部を示す図である。
【図10】図10は、本発明によるロック装置の第2の実施態様の正面図である。
【図11】図11は、図10の線XI‐XIでの断面を示す図である。
【図12】図12は、図11の細部を示す図である。
【図13】図13は、図10のロック装置がロックしているのを示す正面図である。
【図14】図14は、図13の線XIV‐XIVでの断面を示す図である。
【図15】図15は、図13の線XV‐XVでの断面を示す図である。
【図16】図16は、図15の細部を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る傾斜昇降(incline lift)ユニットに関する。このタイプの傾斜昇降ユニットは、軌道またはレールなどのガイドに沿って上方および/または下方に移動することが意図されている。このガイドは、例えば、階段に沿って延ばされ、様々に変化する傾斜角度を有することもある。
【背景技術】
【0002】
このタイプの傾斜昇降ユニットは、WO95/18763によって知られている。この文献では、車台(undercarriage)と椅子とを有する階段昇降(stairlift)ユニットが説明されている。車台は、車輪によって、ガイドレールに沿って移動するように設計されている。車輪の一つは、ガイドレールに沿って延びた歯付きラックに係合可能な歯車として設計されている。
【0003】
椅子は、車台に回転可能に接続されている。この回転可能な接続部は、ギア接続とモーターとによって駆動される。該モーターは、椅子が望ましい向き(即ち、鉛直)をとり、かつ、ガイドレールの傾斜角度の変化による車台の回転時にも、その向きを維持するように、駆動される。
【0004】
この公知の階段昇降ユニットには、ロックピン(locking pin)を有する安全機構が設けられている。該ロックピンは、椅子の支持部の開口に作用することが可能である。該安全装置は、水銀スイッチが設けられた電気回路をさらに有している。椅子の向きが望ましくない様に傾きはじめたことを水銀スイッチが検知すると、ロックピンが放たれ、ばねの影響により、穴の中に落ちることになる。こうして、車台に対する椅子の望ましくない回転が制限される。
【0005】
この公知の階段昇降ユニットの欠点は、安全装置(セーフガード)が電気回路に依存している点である。このような回路の構成部品は、故障が発生しやすく、その結果、該安全機構が誤作動してしまうことがある。このような安全機構は、普通の使用時には作動しないので、該安全機構が作動しなければならなくなった時にのみ、そのような誤作動が明らかとなる可能性がある。その問題を防止するために、この種の安全機構には、関連するテスト手続を伴うテスト回路を設けることが可能である。しかしながら、これは、回路の複雑化および費用増加を招くことになる。別の欠点は、多くの国において使用が禁止されている水銀スイッチを用いる点である。
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点が、少なくとも部分的に克服された傾斜昇降ユニットを提供すること、または、使用可能な代替物を提供することである。
【0007】
特に、本発明の目的は、電気系統において故障が発生しにくい傾斜昇降ユニットを提供することである。
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に係る傾斜昇降ユニットによって達成される。本発明による傾斜昇降ユニットは、搬送ユニットと、該搬送ユニットに回転可能に連結された荷重ユニットと、ポジション決めデバイスと、ロック装置とを有している。ポジション決めデバイスは、使用時において、荷重ユニットが重力に対して望ましい荷重の向きをとるように、該荷重ユニットを搬送ユニットに対して回転させるように設計されている。ロック装置は、ロック手段を有している。該ロック手段は、荷重ユニットが望ましくない荷重の向きをとった場合に、荷重ユニットとポジション決めデバイスとの間の回転可能な接続部をロックする。該ロック装置は基準要素を有しており、該基準要素は、荷重ユニットと搬送ユニットとに対して移動可能になっており、荷重ユニットに対するそのポジションは、重力の方向によって定められるものである。望ましい荷重の向きおよび望ましくない荷重の向きにおいて、それぞれに、荷重ユニットは、基準要素に対して、少なくともニュートラル(中立)ポジションとロックポジションとをとることが可能になっている。基準要素は、ロック手段に機械的に接続されている。該基準要素は、ロックポジションにおいて、前記ロック手段を作動させる。
【0009】
基準要素とロック手段とは、機械的に接続されているので、現状の技術におけるような電気的な手段を必要とせず、そのため信頼性が向上する。さらに、本発明に係るロック装置は、水銀スイッチを必要としない。
【0010】
基準要素は、ロック手段に固定して接続されていることが有利である。これにより、互いに対して移動可能な部品の数が制限され、その結果、強固性(robustness)がさらに向上し、ひいては信頼性がさらに向上する。
【0011】
特に、基準要素は、荷重ユニットに対して、湾曲軌道に沿って移動できるようになっている。このような湾曲軌道によって、基準要素は、荷重が重力に対して望ましい向きをとる限りにおいて、重力のもとで、この軌道に沿ってニュートラルポジションをとる。荷重の向きが、望ましい向きと大きく異なるやいなや、基準要素は、重力のもとで、湾曲軌道に沿って最下点を求め続けることになるため、ロックポジションに到達することになる。
【0012】
一実施形態においては、ロック装置は、基準要素が連結された振り子を有している。このような振り子は、ロック装置の単純でかつ強固な実施態様である。
【0013】
別の実施形態においては、ロック装置は、スロット(溝穴)を備えている。基準要素は、該スロットを通って案内され得るようになっているため、重力の影響下で、荷重の向きに対応するポジションをとることができる。
【0014】
特に、基準要素はボールであって、該ボールがスロット内に移動可能に収容される。スロット内のこのようなボールは、単純なロック装置を構成する。
【0015】
ロックポジションにおいて、回転可能な接続部に対する、基準要素の、半径方向のポジションと軸方向のポジションのうちの少なくとも一方が、ニュートラルポジションにおける対応ポジションとは異なっていることが有利である。この異なったポジションが、ロック手段に伝わる結果、回転可能な接続部がロックされる。
【0016】
さらなる実施態様は、従属する請求項(subclaim)において定められる。
本発明は、さらに、ロック装置に関するものであり、該装置は、請求項11による、傾斜昇降ユニットのために明確に意図されたものである。
添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
傾斜昇降機(incline lift)は、本事例では階段昇降機であって、図1に全体的に符号1で示されている。該階段昇降機1は、本発明による階段昇降ユニット2と、ガイドレール3とを有しており、ガイドレールは部分的にのみ示している。ガイドレール3は、例えば、階段に沿って延びており、様々な傾斜角度をとることが可能になっている。
【0018】
該階段昇降ユニット2は、椅子または荷重ユニット4と、モーターユニットとしても参照する搬送ユニット5とを備えている。該搬送ユニット5は、ガイドレール3に移動可能に接続されており、例えば、搬送ユニット5内にある歯車付きモーター(図示せず)によって、該ガイドレール3に沿って移動可能になっており、この歯車が、ガイドレール3に沿った歯付きラック(図示せず)に係合している。
【0019】
椅子4は、背もたれ6を有しており、それには、折り畳み式の肘掛け7がはめ込まれている。椅子4は、さらに、座部(seat)8を有しており、その下側には、椅子プレート9が下方に延びている。椅子プレート9の最下部には、折り畳み式の足置き(フットレスト)10が設けられている。回転可能な接続部11は、椅子プレート9と搬送ユニット5とを接続している。
【0020】
図2および図3は、図1の階段昇降ユニットの一部を、図1のポジションに対して使用のポジションへと回転させたポジションにて示している。これらの図においては、明確にするために、搬送ユニット5のハウジング、椅子4および足置き10を省略している。椅子プレート9および搬送ユニット5には、ポジション決め(ポジショニング)デバイス20が設けられている。ポジション決めデバイス20は、搬送ユニット5内に、歯車21を駆動する電気モーター(図示せず)を備えている。歯車21は、椅子プレート9に固定的に接続された半円状の歯車22に係合する。
【0021】
図1〜3に関連して説明した階段昇降ユニット2には、図5〜9に図示するように、本発明に係るロック装置(locking device)100が設けられてもよい。該ロック装置100は、椅子プレート109に設けられる。該椅子プレート109は、シャフト111の形をなした回転可能な接続部によって、モーターユニットに連結されており、該モーターユニットの一部だけがモーターハウジング130によって示されている。半円状の歯車は、同図および以下の図にのみ図示しているが、ポジション決めデバイスのその他の要素は、明確にするために、こられの図では示していない。
【0022】
ロック装置100は、ボール・スロット132内に移動可能に収容されるボール131の形となっている基準要素を備えている。ボール131は、モーターハウジング130と協働して、ロック手段133としても機能する。
【0023】
ボール・スロット132は、湾曲軌道に沿って延びており、該湾曲軌道の両端は、使用時、斜めに上方へ向いている。該湾曲軌道は、椅子プレート109が存在する面に対して数度の僅かな角度をなす仮想面内に存在している。普通の使用時に、ポジション決め(ポジショニング)デバイス20によって、椅子プレート109は、鉛直ポジション、すなわち、重力の方向に対して平行な中心軸を維持する一方、モーターユニット5は、ガイドレール3の傾斜角度に沿うために椅子プレート109に対して回転する。しかしながら、ポジション決めデバイス20は、例えば、ギア・トランスミッションの機械的欠陥、電気モーターの欠陥、または電気モーターの(電子)制御の欠陥の結果として、作動しなくなることもある。実際上、この種の故障(failure)の発生する危険性は高くはないが、そのような故障が重大な結果を招くものとして、それ相応の危険性が存在する。結局、ポジション決めデバイス20が故障する場合には、使用者を載せた椅子4の重心は、回転のポイント111を超えて、椅子が傾くことになる。その結果、階段昇降機1の使用者(一般に高齢者や身体障害者である)は、階段昇降ユニット2から落下するだろう。
【0024】
ポジション決めデバイス20が故障すると、図7〜9に示すような状況が生じる。椅子プレート109は、モーターハウジングプレート130に対して回転し、それにより、重力の方向に対しても回転する。重力のもとで、ボール131は、ボール・スロット132内において新たなポジションをとることになり、それは、ボール・スロット132の瞬間的な最も低いポジションである。ボール・スロット132が位置している面が傾いた方位(orientation)である結果、この事例では、ボール131は、回転可能な接続部111の軸方向のうち、モーターハウジング・プレート130の方へ向かって移動する。図9に見ることができるように、ボール131は、この事例では、モーターハウジング・プレート130に対して接触するようになる。該モーターハウジング・プレート130は、ボール131のさらなる軸方向の移動を阻止し、それによって、ロック面(locking surface)として働く。ボール131のさらなる軸方向の変位が不可能であるため、椅子プレート109は、それ以上回転することが不可能となり、重力の方向に対してある角度で、実際には5°〜6°において、動けなくなる。本例では、モーターハウジング・プレート130が水平ポジションにあるものとして図示しているが、このポジションがロック装置100の機能に関連性が無いことは明らかであろう。
【0025】
図10〜16は、ロック装置200の第2の実施形態を示しており、該装置は、例えば、上述したような階段昇降ユニット2における実例のために使用してもよい。椅子プレート209は、回転可能な接続部211によって、搬送ユニットに接続されており、その搬送ユニットのうち、モーターハウジング・プレート230のみが図示されている。
【0026】
ロック装置は、振り子240を有しており、該振り子は、振り子軸(ペンジュラム・シャフト)241によって椅子プレート209に回転可能に接続されている。ピン242が、振り子240の下端部に接続されており、基準要素(reference element)およびロック手段243として働く。
【0027】
ピン242は、振り子スロット244を通って延びている。振り子スロット244は、椅子プレート209を切り抜いたものであり、かつ、ある弧の長さにわたって延びており、該弧の長さは、ロック装置200が階段昇降ユニット2をロックする角度よりも大きいものである。振り子スロット244の機能は、振り子240から出ているピン242を、モーターハウジング・プレート230に切り込まれたロック・スロット245へと導くことである。湾曲したロック・スロット245の壁部は、使用時には最上部(top)において、ロック面246として働く。
【0028】
第1の実施形態に関して上述したような異常な状況においては、椅子プレート209は、使用時の重力の方向に対して望ましくない角度をとる。重力によって、振り子240は、この重力の方向と同一の方向に向いた状態を維持する。その結果として、振り子240は、実際には、椅子プレート209に対して回転させられたことになる。振り子軸241と軸(シャフト)211とが一致しないので、軸211に対するピン242の半径方向距離(radial distance)は減少する。その結果、ピン242は、ロック・スロット245のロック面246に当たって動けなくなり、それによって、椅子プレート209がさらに回転することが妨げられる。
【0029】
図示した実施形態に加えて、多くの変形例が可能である。即ち、椅子を、例えば車椅子のためのプラットフォームなど、別の荷重ユニットと置き換えることができる。また、ガイドレールは、階段に沿って延ばす必要はなく、人やその他の荷重を運ぶための任意の傾斜に沿って取り付けることもできる。
【0030】
また、傾斜昇降ユニットがそれに沿って移動する別のタイプのガイド、軌道(トラック)などのようなもの、を用いることも可能であり、かつ、該傾斜昇降ユニットの移動のための駆動装置は、該傾斜昇降ユニットの内側だけでなく外側にも設けてもよい。
【0031】
ポジション決めデバイスは、異なる形で設計してもよく、例えば、荷重ユニットに、半円状の歯車の歯をある角度で配置して、搬送ユニットの駆動歯車の軸を、その角度に対応する角度で配置ことが挙げられる。ポジション決めは、スクリューホイール、スピンドルまたはアクチュエータによって実現することもできる。
【0032】
基準要素は、荷重ユニットに設ける代わりに、搬送ユニットに部分的に設けられてもよい。ボールをスロット内で用いる実施形態では、そのようなスロットは、傾いた面内で湾曲する代わりに、それによってボールの軸方向の変位が同様に得られる、第2の方向に湾曲していてもよい。
【0033】
荷重ユニットと搬送ユニットとの両方にあるスロットを用いる実施形態において、両スロットの半径が異なる場合、上述した第2の実施形態と同様に、ピン付きの振り子を、振り子の無いピンと置き換えることが可能であって、その場合、そのピンが過度に大きく軸方向に変位するのを妨げる手段が設けられていることが条件となる。
【0034】
振り子と、該振り子に設けられたロック手段とを用いる一実施形態では、対応する振り子軸を、ある傾いた角度で配置することも可能である。その結果として、荷重ユニットに対する振り子の偏位(deflection)によって、荷重ユニットと搬送ユニットとの間の回転可能な接続部に対して、ロック手段が軸方向に変位することになる。
【0035】
さらに、次のような振り子を用いる実施態様も可能であって、それは、荷重ユニットに対する偏位を示すや否やロック手段をロック解除する振り子であり、例えば、ばねの張力によって、または、重力によって、搬送ユニットに対して荷重ユニットをロックすることをもたらすものである。
【0036】
最後に、これら実施態様は、基準要素が、図示したものとは別の態様にて湾曲軌道をたどることができるもの、例えば、湾曲した棒の周りを囲んで該棒に沿って移動する環状の基準要素などであってもよい。
【0037】
このようにして、本発明は、ポジション決めデバイスが故障したとしても、荷重ユニットを確実にロックするロック装置を有する傾斜昇降ユニットを提供するものである。このロック装置は、機能する上で、電気的、または他の複雑あるいは脆弱な手段に依存しない。それどころか、本発明に係るロック装置は、比較的簡単に、ひいては安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明による階段昇降ユニットを有する階段昇降機を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の椅子昇降機のモーターユニットを切り取った図である。
【図3】図3は、図2の階段昇降機のポジション決めデバイスの細部を示している。
【図4】図4は、本発明による、ロック装置の第1の実施態様の正面図である。
【図5】図5は、図4の線IV−IVでの断面を示す図である。
【図6】図6は、図5の細部を拡大して示す図である。
【図7】図7は、図4のロック装置がロックしている状態を示す図である。
【図8】図8は、図7の線VII−VIIでの断面を示す図である。
【図9】図9は、図8の細部を示す図である。
【図10】図10は、本発明によるロック装置の第2の実施態様の正面図である。
【図11】図11は、図10の線XI‐XIでの断面を示す図である。
【図12】図12は、図11の細部を示す図である。
【図13】図13は、図10のロック装置がロックしているのを示す正面図である。
【図14】図14は、図13の線XIV‐XIVでの断面を示す図である。
【図15】図15は、図13の線XV‐XVでの断面を示す図である。
【図16】図16は、図15の細部を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜昇降ユニット(2)であって、
当該傾斜昇降ユニットは、搬送ユニット(5)と、回転可能な接続部(11、111)によって該搬送ユニット(5)に回転可能に接続された荷重ユニット(4)と、ポジション決めデバイス(20)と、ロック装置(100)とを有するものであって、
ポジション決めデバイス(20)は、使用時において、荷重ユニット(4)が重力に対して望ましい荷重の向きをとるように、該荷重ユニット(4)を搬送ユニット(5)に対して回転させるように設計されており、
ロック装置(100)は、ロック手段(133)を有し、該ロック手段(133)は、荷重ユニット(4)が望ましくない荷重の向きをとった場合に、荷重ユニット(4)と搬送ユニット(5)との間の回転可能な接続部(11、111)をロックするものであり、
その特徴は、
ロック装置(100)が基準要素(131)を有し、該基準要素は、荷重ユニット(4)と搬送ユニット(5)とに対して移動可能になっており、荷重ユニット(4)に対するそのポジションは、重力の方向によって定められるものであり、
望ましい荷重の向きおよび望ましくない荷重の向きにおいて、それぞれに、荷重ユニット(4)が、基準要素(131)に対して、少なくともニュートラルポジションとロックポジションとをとることが可能であり、
基準要素(131)がロック手段(133)に機械的に接続されており、該基準要素(131)が、ロック手段(133)をロックポジションにおいて作動させるものである、
前記傾斜昇降ユニット。
【請求項2】
基準要素(131)が、ロック手段(133)に固定して接続されている、請求項1に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項3】
基準要素(131)が、ロック手段(133)と共に、単一体を形成している、請求項2に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項4】
基準要素(131)が、荷重ユニット(4)に対して、湾曲軌道(132)に沿って移動することが可能である、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項5】
ロック装置(100)が振り子(240)を有しており、該振り子に対して基準要素(131)が接続されている、請求項4に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項6】
ロック装置(100)が、スロット(132)を有している、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項7】
基準要素(131)がボールであって、該ボールが、スロット(132)内に移動可能なように収容されている、請求項6に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項8】
スロット(132)が荷重ユニット(4)に設けられており、かつ、スロット(132)から搬送ユニット(5)までの該スロット(132)に沿った距離が、変化するものである、請求項6または7に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項9】
ロックポジションにおいて、回転可能な接続部(11、111)に対する、基準要素(131)の、半径方向のポジションと軸方向のポジションのうちの少なくとも一方が、ニュートラルポジションでの対応するポジションとは異なっている、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項10】
ロック手段(133)が、回転可能な接続部(11、111)に対して、実質的に半径方向に、および/または、実質的に軸方向に、移動可能になっている、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)のために明確に意図されたものである、ロック装置(100)。
【請求項1】
傾斜昇降ユニット(2)であって、
当該傾斜昇降ユニットは、搬送ユニット(5)と、回転可能な接続部(11、111)によって該搬送ユニット(5)に回転可能に接続された荷重ユニット(4)と、ポジション決めデバイス(20)と、ロック装置(100)とを有するものであって、
ポジション決めデバイス(20)は、使用時において、荷重ユニット(4)が重力に対して望ましい荷重の向きをとるように、該荷重ユニット(4)を搬送ユニット(5)に対して回転させるように設計されており、
ロック装置(100)は、ロック手段(133)を有し、該ロック手段(133)は、荷重ユニット(4)が望ましくない荷重の向きをとった場合に、荷重ユニット(4)と搬送ユニット(5)との間の回転可能な接続部(11、111)をロックするものであり、
その特徴は、
ロック装置(100)が基準要素(131)を有し、該基準要素は、荷重ユニット(4)と搬送ユニット(5)とに対して移動可能になっており、荷重ユニット(4)に対するそのポジションは、重力の方向によって定められるものであり、
望ましい荷重の向きおよび望ましくない荷重の向きにおいて、それぞれに、荷重ユニット(4)が、基準要素(131)に対して、少なくともニュートラルポジションとロックポジションとをとることが可能であり、
基準要素(131)がロック手段(133)に機械的に接続されており、該基準要素(131)が、ロック手段(133)をロックポジションにおいて作動させるものである、
前記傾斜昇降ユニット。
【請求項2】
基準要素(131)が、ロック手段(133)に固定して接続されている、請求項1に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項3】
基準要素(131)が、ロック手段(133)と共に、単一体を形成している、請求項2に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項4】
基準要素(131)が、荷重ユニット(4)に対して、湾曲軌道(132)に沿って移動することが可能である、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項5】
ロック装置(100)が振り子(240)を有しており、該振り子に対して基準要素(131)が接続されている、請求項4に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項6】
ロック装置(100)が、スロット(132)を有している、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項7】
基準要素(131)がボールであって、該ボールが、スロット(132)内に移動可能なように収容されている、請求項6に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項8】
スロット(132)が荷重ユニット(4)に設けられており、かつ、スロット(132)から搬送ユニット(5)までの該スロット(132)に沿った距離が、変化するものである、請求項6または7に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項9】
ロックポジションにおいて、回転可能な接続部(11、111)に対する、基準要素(131)の、半径方向のポジションと軸方向のポジションのうちの少なくとも一方が、ニュートラルポジションでの対応するポジションとは異なっている、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項10】
ロック手段(133)が、回転可能な接続部(11、111)に対して、実質的に半径方向に、および/または、実質的に軸方向に、移動可能になっている、前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載の傾斜昇降ユニット(2)のために明確に意図されたものである、ロック装置(100)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−503419(P2008−503419A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517985(P2007−517985)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000452
【国際公開番号】WO2006/001694
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506425930)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000452
【国際公開番号】WO2006/001694
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506425930)
【Fターム(参考)】
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