説明

ロック装置及び収納装置

【課題】本発明は、筐体の落下時に扉を閉じたままにする。
【解決手段】本発明は、筐体に対し開閉可能に取り付けられた扉を閉じた状態にロックするためのロックレバーを、レバー回動軸を中心にして筐体に扉をロックするための一回転方向、及びロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部と、ロックレバーを一回転方向に回転させるように付勢する付勢部とを設け、レバー回動軸の内部にロックレバーのレバー重心を位置させることにより、付勢部の付勢に従いロックレバーにより筐体に扉をロックした状態で、当該筐体が落下しても、ロックレバーにかかる落下時の衝撃力や、筐体の落下に伴うバウンドや転がりで生じる反発力や遠心力をレバー回動軸の内部のレバー重心で受けて、ロックレバーに他回転方向へ回転させる外力が加わらないようにして筐体に対する扉のロック状態を維持することができ、筐体の落下時に扉を閉じたままにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック装置及び収納装置に関し、例えば、紙幣の入金及び出金の取り引きを行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に着脱可能に装着され、取り引きの際に異常であると鑑別された紙幣(以下、これをリジェクト紙幣とも呼ぶ)を収納するための紙幣収納カセットに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣収納カセットは、直方体状の筐体(以下、これをカセット筐体とも呼ぶ)を有し、当該カセット筐体の一面に紙幣を出し入れするための扉が開閉可能に取り付けられている。
【0003】
また紙幣収納カセットは、扉に錠が取り付けられており、当該錠の鍵穴に差し込まれた鍵の回転操作に応じて、カセット筐体に対し扉を閉じた状態にロックし、また、そのロックを解除してカセット筐体に対し紙幣の補充用及び回収用に扉を開閉させていた。
【0004】
そして紙幣収納カセットは、自動取引装置の紙幣入出金ユニットに着脱可能に収納され、紙幣の出金時、内部の紙幣を紙幣入出金ユニットに繰り出し、また紙幣の入金時、紙幣入出金ユニットから内部に紙幣を取り込んでいた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−55134号公報(第5頁、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、係る構成の紙幣収納カセットは、上述したように、図13に示すようなカセット筐体100を有し、当該カセット筐体100の正面100Aに開口が形成されると共に、扉101が図示しないヒンジ部を介して当該開口を開放し、また閉塞するように開閉可能に取り付けられている。
【0007】
因みに、以下の説明では、紙幣収納カセットを、カセット筐体100の正面100Aと対峙して見た場合の図中に矢印a10で示す左方向を、カセット左方向とも呼び、当該カセット左方向とは逆の右方向を、カセット右方向とも呼ぶ。
【0008】
また、以下の説明では、紙幣収納カセットを、カセット筐体100の正面100Aと対峙して見た場合の図中に矢印b10で示す上方向を、カセット上方向とも呼び、当該カセット上方向とは逆の下方向を、カセット下方向とも呼ぶ。
【0009】
さらに、以下の説明では、紙幣収納カセットを、カセット筐体100の正面100Aと対峙して見た場合の図中に矢印c10で示す手前の方向を、カセット前方向とも呼び、当該カセット前方向とは逆の奥側の方向を、カセット後方向とも呼ぶ。
【0010】
そして紙幣収納カセットは、扉101の裏面101Aに、例えば、図14(A)及び(B)並びに図15(A)及び(B)に示すようなロック部102が設けられている。
【0011】
因みに、図14(A)及び図15(A)は、カセット筐体100に対し扉101を閉じた状態で当該カセット筐体100の正面板の内面(すなわち、上述の正面100Aの裏側の面)100B、及び扉101の裏面101Aと共にロック部102を見た場合の当該ロック部102の構成を示す図である。
【0012】
また図14(B)及び図15(B)は、カセット筐体100に対し扉101を閉じた状態で、当該カセット筐体100の正面板、及び扉101と共にロック部102を下から見上げた場合の当該ロック部102の構成を示す図である。
【0013】
ロック部102は、上述の錠103を有している。錠103は、円筒状に形成されており、一端部を扉101の表面101Bから突出させ、かつ他端部を扉101の裏面101Aから突出させて当該扉101に取り付けられている。
【0014】
また錠103の一端面には、鍵104を当該錠103の中心軸(以下、これを錠中心軸とも呼ぶ)に沿って差し込むための鍵穴が穿設されている。
【0015】
そして錠103は、鍵穴に差し込まれた鍵104を、一端面の当該鍵穴の穿設部分と共に錠中心軸を中心にして例えば、90度のような第1角度範囲で一回転方向(この場合は例えば、時計回方向)、及びこれとは逆の他回転方向(この場合は例えば、反時計回方向)に回転させるような所定の内部構造を有している。
【0016】
さらに錠103の他端部内には、鍵穴に差し込まれた鍵104の一回転方向及び他回転方向への回転に連動して、錠中心軸を中心にして90度よりも小さい所定の第2角度範囲で一回転方向及び他回転方向に回転する回転機構(図示せず)が設けられている。
【0017】
そして錠103の回転機構は、角柱状のアーム回動軸105を錠中心軸と一致させて、当該アーム回動軸105の一端部を保持して、他端部を錠103の他端面の中央から突出させている。
【0018】
これにより錠103は、鍵穴に差し込まれた鍵104が一回転方向に回転操作されたとき(すなわち、鍵104が第1角度範囲で一回転方向に目一杯回転したとき)、これに連動してアーム回動軸105を、錠中心軸を中心にして第2角度範囲で一回転方向に目一杯回転させる。
【0019】
また錠103は、鍵穴に差し込まれた鍵104が他回転方向に回転操作されたとき(すなわち、鍵104が第1角度範囲で他回転方向に目一杯回転したとき)、これに連動してアーム回動軸105を、錠中心軸を中心にして第2角度範囲で他回転方向に目一杯回転させる。
【0020】
そしてアーム回動軸105の他端部は、L字板状の回動アーム106の根元部106Aに穿設された四角形の貫通孔に挿入されている。
【0021】
このようにして錠103には、アーム回動軸105を介して回動アーム106が先端部106Bをカセット左方向に向け、当該アーム回動軸105が他回転方向に目一杯回転したときに根元部106Aをカセット上方向と平行にするように取り付けられている。
【0022】
これにより錠103は、鍵穴に差し込まれた鍵104が他回転方向へ回転操作されると、アーム回動軸105と共に回動アーム106を他回転方向に回転させて、当該回動アーム106の根元部106Aを上方向と平行にし先端部106Bを錠103の下側に位置させる。
【0023】
また錠103は、鍵穴に差し込まれた鍵104が一回転方向へ回転操作されると、アーム回動軸105と共に回動アーム106を一回転方向に回転させて、当該回動アーム106の根元部106Aを左斜め下方向と平行にして先端部106Bを錠103の真下よりも左側に位置させる。
【0024】
ところで、ロック部102は、カセット筐体100に対し扉101をロックするためのロックレバー107と、当該ロックレバー107を扉101の裏面101Aに支持する2つのレバー支持部108及び109とを有している。
【0025】
ロックレバー107は、例えば、略長方形の平板状の胴体部107Aを有している。そして胴体部107Aの一面には、当該胴体部107Aの長手方向(以下、これを胴体長手方向とも呼ぶ)の一端部に、一側面から他側面に亘る平板状のアーム突当部107Bが突設されている。
【0026】
また胴体部107Aの一側面には、胴体長手方向の他端側にL字板状の腕部107Cが設けられている。この場合、腕部107Cは、短冊状の根元部の一端側に、直角三角形状の先端部が、根元部の他端側を当該根元部の長手方向に垂直な底面とし、かつ根元部の一端側を傾斜面としてL字を成すように設けられている。
【0027】
そして腕部107Cは、根元部の他端側が胴体部107Aの一側面に接合され、当該根元部の一端側を胴体部107Aの一面の上側に突出させると共に、先端部の底面を胴体部107Aの一面と面一にして、当該先端部全体を胴体部107Aの一面の上及び当該胴体部107Aの他端面の前に突出させている。
【0028】
さらに胴体部107Aの一面には、例えば、同一の幅及び長さを有する2つの長孔107AX、107AYが、当該長孔107AX、107AYの長手方向を胴体長手方向と平行にし、かつ胴体長手方向に沿って順(すなわち、1列)に穿設されている。
【0029】
一方、2つのレバー支持部108、109は、同一の形状及び大きさを有し、円柱状の差込部の他端に、当該差込部よりも直径の大きい円板状のレバー抑え部が設けられて形成されている。
【0030】
この場合、2つのレバー支持部108、109は、差込部の長さがロックレバー107の胴体部107Aの厚みよりも僅かに長く選定されると共に、当該差込部の直径が長孔107AX、107AYの幅とほぼ等しく選定されている。
【0031】
また2つのレバー支持部108、109は、レバー抑え部の直径が、長孔107AX、107AYの幅よりも長く選定されている。
【0032】
そしてロックレバー107は、扉101の裏面101Aと回動アーム106の先端部106Bとの間で、胴体部107Aの他面を当該扉101の裏面101Aと対向させ、かつ胴体長手方向をカセット左方向と平行にして配置される。
【0033】
この状態で、2つのレバー支持部108、109は、差込部がロックレバー107の対応する長孔107AX、107AYに、胴体部107Aの一面側から差し込まれて、当該差込部の一端が扉101の裏面101Aに接合されている。
【0034】
これにより2つのレバー支持部108、109は、扉101の裏面101Aにロックレバー107を、胴体部長手方向をカセット左方向と平行にした状態で、当該カセット左方向及びカセット右方向に移動可能に支持している。
【0035】
そしてロック部102には、ロックレバー107をカセット右方向に付勢するばねのような弾性体(図示せず)が設けられている。
【0036】
またカセット筐体100において正面板の内面100Bには、例えば、長方形の板状のロックプレート110が、一端部を、ロックレバー107の胴体部107Aの他端部と対向させ、かつ開口内に突出させて配置されている。
【0037】
係る構成のもと、ロック部102は、カセット筐体100に対し扉101が閉じられた状態で、鍵穴に差し込まれた鍵104が他回転方向に回転操作されると、これに連動した回動アーム106の他回転方向への回転に応じてロックレバー107を弾性体の付勢によりカセット右方向の所定のロック位置まで移動させる。
【0038】
すなわち、ロック部102は、ロックレバー107を、回動アーム106が根元部106Aをカセット上方向と平行にした姿勢で先端部106Bをアーム突当部107Bに突き当てた状態になるロック位置まで移動させる。
【0039】
そしてロック部102は、このようにしてロックレバー107をロック位置に停止させた場合、当該ロックレバー107の腕部107Cの先端部をロックプレート110の一面上の一端寄りに位置させる。
【0040】
これによりロック部102は、扉101の裏面101Aとロックレバー107の腕部107Cの先端部との間にロックプレート110の一端部を挟み込むようにして、カセット筐体100に対し扉101を閉じた状態にロックすることができる。
【0041】
またロック部102は、カセット筐体100に対し扉101が閉じられた状態で、鍵穴に差し込まれた鍵104が一回転方向に回転操作されると、これに連動して回動アーム106を、ロックレバー107のアーム突当部107Bに先端部106Bを突き当てたまま一回転方向に回転させて、ロックレバー107をカセット左方向の所定の解除位置まで移動させる。
【0042】
すなわち、ロック部102は、ロックレバー107を、回動アーム106が根元部106Aを左斜め下方向と平行にした姿勢で先端部106Bをアーム突当部107Bに突き当てた状態になる解除位置まで移動させる。
【0043】
これによりロック部102は、ロックレバー107の腕部107Cの先端部をロックプレート110の一面上から退避させて、カセット筐体100に対する扉101のロックを解除して、当該カセット筐体100に対し扉101を開閉させることができる。
【0044】
またロック部102は、カセット筐体100に対し扉101を開いたままでも、鍵穴に差し込まれた鍵104を他回転方向に回転操作させてロックレバー107をロック位置まで移動させることができる。
【0045】
そしてロック部102には、ロックレバー107をロック位置に停止させた場合、当該ロックレバー107を弾性体によりカセット右方向へ移動させるように付勢する以外に、ロック位置からカセット左方向へ移動させないための機構は設けられていない。
【0046】
よってロック部102は、カセット筐体100に対し扉101が開かれたままロックレバー107をロック位置に停止させた後、カセット筐体100に対し扉101が閉じるように押されると、ロックプレート110の一端面のカセット前方向の縁(以下、これを一端面前縁とも呼ぶ)にロックレバー107の腕部107Cの傾斜面を突き当てて摺動させる。
【0047】
これによりロック部102は、ロックレバー107を、ロック位置から一旦はカセット左方向へ移動させて、腕部107Cの先端部をロックプレート110の一端面前縁から一端面を横切らせた後、弾性体による付勢に従いロック位置へ戻すように移動させて当該腕部107Cの先端部をロックプレート110の一面上に回り込ませる。
【0048】
このようにしてロック部102は、ロックレバー107をロック位置に停止させたまま、カセット筐体100に対し扉101が閉じるように押されても、当該カセット筐体100に対し扉101を閉じさせて自動的にロックすることができる。
【0049】
ところが、係る構成の紙幣収納カセットは、上述のようにロック部102にロックレバー107を弾性体によりカセット右方向へ付勢する以外に、ロック位置からカセット左方向へ移動させないための機構は設けられていない。
【0050】
このため図16に示すように、紙幣収納カセットは、持ち運びや紙幣入出金ユニットへの着脱等の際、カセット筐体100に対し扉101をロックしていても、誤って落下させられると、ロックレバー107が、落下時の衝撃力(すなわち、落下の衝撃でかかる落下方向の力)を受け、また落下に伴う紙幣収納カセットのバウンドや転がりで生じる反発力(すなわち、紙幣収納カセットにバウンドでかかるそのバウンド方向の力)や遠心力が作用して自らカセット左方向へ移動して扉101のロックを解除する場合がある。
【0051】
そして図17に示すように、紙幣収納カセットは、このように落下によりロックレバー107が自らカセット左方向へ移動して扉101のロックを解除した場合、その落下の衝撃やバウンド等によりカセット筐体100に対し扉101がひとりでに開くという問題があった。
【0052】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、筐体の落下時に扉を閉じたままにし得るロック装置及び収納装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0053】
かかる課題を解決するため本発明においては、筐体に開閉可能に取り付けられた扉を、当該筐体に対し閉じた状態にロックするためのロックレバーと、ロックレバーの回動用のレバー回動軸と、ロックレバーを、レバー回動軸を中心にして筐体に対し扉をロックするための一回転方向、及び筐体に対する扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部と、支持部により回動可能に支持されているロックレバーを、筐体に対し扉をロックするためにレバー回動軸を中心にして一回転方向に回転させるように付勢する付勢部とを設けるようにして、レバー回動軸の内部にロックレバーのレバー重心を位置させるようにした。
【0054】
従って本発明では、付勢部の付勢によりロックレバーを一回転方向に回転させて筐体に対し扉をロックした状態で、当該筐体が落下しても、ロックレバーにかかる落下による衝撃力(すなわち、落下の衝撃でかかる落下方向の力)や、筐体の落下に伴うバウンドや転がりによって生じる反発力(すなわち、筐体にバウンドでかかるそのバウンド方向の力)や遠心力を、ロックレバーの回動用のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けて、当該ロックレバーに他回転方向へ回転させるような外力が加わらないようにし、その結果、筐体に対する扉のロック状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、筐体に開閉可能に取り付けられた扉を、当該筐体に対し閉じた状態にロックするためのロックレバーと、ロックレバーの回動用のレバー回動軸と、ロックレバーを、レバー回動軸を中心にして筐体に対し扉をロックするための一回転方向、及び筐体に対する扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部と、支持部により回動可能に支持されているロックレバーを、筐体に対し扉をロックするためにレバー回動軸を中心にして一回転方向に回転させるように付勢する付勢部とを設けるようにして、レバー回動軸の内部にロックレバーのレバー重心を位置させるようにしたことにより、付勢部の付勢によりロックレバーを一回転方向に回転させて筐体に対し扉をロックした状態で、当該筐体が落下しても、ロックレバーにかかる落下による衝撃力や、筐体の落下に伴うバウンドや転がりによって生じる反発力や遠心力を、ロックレバーの回動用のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けて、当該ロックレバーに他回転方向へ回転させるような外力が加わらないようにし、その結果、筐体に対する扉のロック状態を維持することができ、かくして筐体の落下時に扉を閉じたままにし得るロック装置及び収納装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】現金自動預払機の外観構成の一例を示す略線的斜視図である。
【図2】現金自動預払機の内部構成の一例を示す略線的側面図である。
【図3】預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成(1)を示す略線的側面図である。
【図4】預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成(2)を示す略線的背面図である。
【図5】預払機筐体からの紙幣収納ユニットの引き出しの説明に供する略線的側面図である。
【図6】預払機筐体からの紙幣入出金ユニットの引き出しの説明に供する略線的側面図である。
【図7】第1の実施の形態による紙幣収納カセットの構成を示す略線的斜視図である。
【図8】第1の実施の形態によるロック部の構成(1)を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態によるロック部の構成(2)を示す略線図である。
【図10】第2の実施の形態による紙幣収納カセットの構成を示す略線的斜視図である。
【図11】第2の実施の形態によるロック部の構成(1)を示す略線図である。
【図12】第2の実施の形態によるロック部の構成(2)を示す略線図である。
【図13】従来の紙幣収納カセットの構成を示す略線的斜視図である。
【図14】従来の紙幣収納カセットに設けられたロック部の構成(1)を示す略線図である。
【図15】従来の紙幣収納カセットに設けられたロック部の構成(2)を示す略線図である。
【図16】紙幣収納カセットの落下によるロックレバーのカセット左方向への移動の説明に供する略線図である。
【図17】紙幣収納カセットの落下による扉のロックの解除の説明に供する略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)現金自動預払機の構成
(2)第1の実施の形態
(3)第2の実施の形態
(4)他の実施の形態
【0058】
(1)現金自動預払機の構成
まず、本発明を適用したリジェクト紙幣用の紙幣収納カセットが着脱可能に装着される現金自動預払機の構成について説明する。
【0059】
そして、この現金自動預払機の構成を説明した後、本実施の形態によるリジェクト紙幣用の紙幣収納カセットの説明に移る。
【0060】
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1は、現金自動預払機1の外観構成を示す。かかる現金自動預払機1は、略箱型の筐体(以下、これを預払機筐体とも呼ぶ)2を有している。
【0061】
因みに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す左方向を、預払機左方向とも呼び、当該預払機左方向とは逆の右方向を、預払機右方向とも呼ぶ。
【0062】
また、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す上方向を、預払機上方向とも呼び、当該預払機上方向とは逆の下方向を、預払機下方向とも呼ぶ。
【0063】
さらに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す手前の方向を、預払機前方向とも呼び、当該預払機前方向とは逆の奥側の方向を、預払機後方向とも呼ぶ。
【0064】
そして、以下の説明では、預払機筐体2において預払機前方向の前面2Aを、預払機前面2Aとも呼び、預払機後方向の後面2Bを、預払機後面2Bとも呼び、預払機上方向の上面2Cを、預払機上面2Cとも呼ぶ。
【0065】
また、以下の説明では、預払機筐体2において預払機左方向の側面2Dを、預払機左側面2Dとも呼び、預払機右方向の側面2Eを、預払機右側面2Eとも呼ぶ。
【0066】
預払機筐体2の前側上端部には、預払機前面2Aよりも預払機後面2B側に凹むように略L字状に形成されたフロントパネル3が設けられている。
【0067】
この場合、フロントパネル3において預払機上方向に向くほぼ水平な上向パネル3Aには、例えば、左寄りに種々の操作画像の表示及び表面へのタッチ操作が可能なタッチスクリーン4が設けられている。
【0068】
またフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、右寄りに、現金としての長方形の紙幣を投入し、また取り出すための紙幣投入取出部5が設けられている。
【0069】
一方、フロントパネル3において預払機前方向に向くほぼ垂直な前向パネル3Bには、例えば、左寄りに、取り引きの際に通帳を挿入し、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口7が設けられている。
【0070】
またフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、右寄りに、取り引きの際にキャッシュカードやクレジットカード等の種々のカードを挿入及び排出するためのカード挿入排出口8も設けられている。
【0071】
現金自動預払機1は、係る構成のもと、タッチスクリーン4に操作画像を表示すると共に、顧客によるタッチスクリーン4の表面へのタッチ操作に応じて操作画像を適宜切り換えて表示する。
【0072】
これにより現金自動預払機1は、顧客に操作画面を介して紙幣の取り引きの手順を案内して、紙幣の預け入れである入金や紙幣の払い出しである出金の取り引きを行うことができる。
【0073】
(1−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、現金自動預払機1の内部構成について説明する。図2に示すように、現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、当該現金自動預払機1全体を統括制御する制御部10と共に、紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12が設けられている。
【0074】
この場合、紙幣入出金ユニット11は、例えば、中央よりも上側の内部に、上述の紙幣投入取出部5と、後述する鑑別部13及び一時保留部14と共に、これらと紙幣収納ユニット12との間で紙幣を搬送する搬送路15とが配置されている。また紙幣入出金ユニット11は、中央よりも下側に紙幣収納ユニット12が収納されている。
【0075】
そして紙幣収納ユニット12には、紙幣を金種別に収納する(すなわち、それぞれ特定の1種類の紙幣のみの収納する)複数の紙幣収納カセット16乃至18が予め内蔵(すなわち、内部に固定)されている。
【0076】
また紙幣収納ユニット12には、予め内蔵された複数の紙幣収納カセット16乃至18に紙幣を補充し、またこれら複数の紙幣収納カセット16乃至18から紙幣を回収するための紙幣収納カセット19が着脱可能に装着されている。
【0077】
さらに紙幣収納ユニット12には、リジェクト紙幣を収納するための紙幣収納カセット20も着脱可能に装着されている。
【0078】
制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部5から、顧客により投入された入金用の1又は複数の紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路15を介して鑑別部13に搬送して、当該鑑別部13において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0079】
その結果、制御部10は、鑑別部13において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部13から搬送路15を介して一時保留部14に搬送して一時的に保持することにより、当該紙幣の入金を保留する。
【0080】
また制御部10は、鑑別部13において破損や折れ等により異常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部13から搬送路15を介して紙幣投入取出部5に搬送して顧客に返却する。
【0081】
因みに、鑑別部13により異常であると鑑別された紙幣は、現金自動預払機1では取り扱いを拒絶するものであり、係る紙幣が上述のリジェクト紙幣となる。
【0082】
このようにして制御部10は、鑑別部13において、紙幣投入取出部5内に投入された紙幣が全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の総額(すなわち、入金の金額)を、タッチスクリーン4を介して顧客に提示する。
【0083】
その結果、制御部10は、入金の金額を確認した顧客によりタッチスクリーン4を介して紙幣の入金が指示されると、一時保留部14から一時的に保持していた紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路15を介して鑑別部13に戻す。
【0084】
そして制御部10は、鑑別部13において再び紙幣の金種を鑑別させた後、当該鑑別部13から金種が鑑別された紙幣を、搬送路15を介して紙幣収納ユニット12に搬送する。
【0085】
これにより制御部10は、紙幣収納ユニット12において紙幣を、鑑別された金種に応じた紙幣収納カセット16乃至18に収納する。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の入金を行うことができる。
【0086】
一方、制御部10は、紙幣の出金時、紙幣収納ユニット12の紙幣収納カセット16乃至18から、顧客により出金用に指定された金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路15を介して鑑別部13に搬送して、当該鑑別部13において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0087】
その結果、制御部10は、鑑別部13において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部13から搬送路15を介して紙幣投入取出部5に搬送する。
【0088】
ただし、制御部10は、鑑別部13により鑑別された紙幣の中にリジェクト紙幣が存在すると、当該鑑別部13からリジェクト紙幣を、搬送路15を介して一時保留部14に搬送して一時的に保持させる。
【0089】
そして制御部10は、紙幣投入取出部5に、出金用に指定された金額分の紙幣を搬送し終えると、当該紙幣投入取出部5を介して顧客に、その出金用に指定された金額分の紙幣を引き渡す。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の出金を行うことができる。
【0090】
ところで、制御部10は、この際、一時保留部14にリジェクト紙幣を保持すると、出金の終了後(すなわち、紙幣を顧客に引き渡した後)、一時保留部14から一時的に保持していたリジェクト紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路15を介して鑑別部13に戻す。
【0091】
そして制御部10は、鑑別部13において再びリジェクト紙幣の金種や状態等を鑑別させた後、そのリジェクト紙幣を、搬送路15を介して紙幣収納ユニット12に搬送して専用の紙幣収納カセット20に収納する。
【0092】
このようにして制御部10は、紙幣の出金時、紙幣収納カセット16乃至18から繰り出した紙幣の中でリジェクト紙幣を発見すると、そのリジェクト紙幣を分別して専用の紙幣収納カセット20に保管し、その後、出金には用いないようにする。
【0093】
因みに、制御部10は、例えば、取り引きの合間、紙幣収納ユニット12内で、紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19から紙幣を1対ずつ繰り出して、出金用の紙幣が不足している紙幣収納カセット16乃至18に搬送して収納する。
【0094】
また制御部10は、例えば、取り引きの合間、紙幣収納ユニット12内で、紙幣を一定量以上収納している紙幣収納カセット16乃至18から紙幣を1対ずつ繰り出して紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19に搬送して収納する。
【0095】
このようにして制御部10は、紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19を利用して他の紙幣収納カセット16乃至18に対する紙幣の補充及び回収を行なっている。
【0096】
(1−3)預払機筐体、紙幣入出金ユニット及び紙幣収納ユニットの構成
次いで、現金自動預払機1の預払機筐体2の構成と共に、当該預払機筐体2内に収納された紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12の構成についてさらに説明する。
【0097】
図3及び図4に示すように、預払機筐体2は、フロントパネル3の下側に、紙幣入出金ユニット11及び紙幣収納ユニット12を一括して収納するための空間でなるユニット一括収納部2Fが形成されている。
【0098】
また預払機筐体2の例えば、預払機後面2Bには、ユニット一括収納部2Fに対応する部分に開口が形成されると共に、当該開口を開放し、また閉塞する扉(以下、これを後扉とも呼ぶ)2BXが図示しないヒンジ部を介して開閉可能に取り付けられている。
【0099】
よって預払機筐体2は、後扉2BXが開かれると、ユニット一括収納部2Fを外部に開放し、当該後扉2BXが閉じられると、ユニット一括収納部2Fを外部から閉塞する。
【0100】
さらに預払機筐体2は、預払機左側面2Dの裏面となる左内側面2DXの中央部、及び預払機右側面2Eの裏面となる右内側面2EXに、筐体左側レールガイド20及び筐体右側レールガイド21が預払機後方向と平行に配置されている。
【0101】
一方、紙幣入出金ユニット11は、略箱型の筐体(以下、これを入出金ユニット筐体とも呼ぶ)22を有している。
【0102】
入出金ユニット筐体22は、中央よりも下側に、紙幣収納ユニット12を個別に収納するための空間でなるユニット個別収納部22Aが形成されると共に、後面22Bにおいて当該ユニット個別収納部22Aと対応する部分に開口22AXが形成されている。
【0103】
また入出金ユニット筐体22は、左側面22Cの中央部及び右側面22Dの中央部に、筐体左側レールガイド20及び筐体右側レールガイド21に対応するユニット左側可動レール23及びユニット右側可動レール24が預払機後方向と平行に配置されている。
【0104】
そして預払機筐体2は、筐体左側レールガイド20にユニット左側可動レール23が取り付けられると共に、筐体右側レールガイド21にユニット右側可動レール24が取り付けられている。
【0105】
これにより預払機筐体2は、筐体左側レールガイド20及びユニット左側可動レール23と、筐体右側レールガイド21及びユニット右側可動レール24とを介して紙幣入出金ユニット11(すなわち、入出金ユニット筐体22)を預払機後方向及び預払機前方向にスライド可能に保持している。
【0106】
また入出金ユニット筐体22は、ユニット個別収納部22Aにおいて、左側面22Cの裏面となる左内側面22CXの上寄り、及び右側面22Dの裏面となる左内側面22DXの上寄りに、ユニット左側レールガイド25及びユニット右側レールガイド26が預払機後方向と平行に配置されている。
【0107】
これに加えて紙幣収納ユニット12は、略箱型の筐体(以下、これを収納ユニット筐体とも呼ぶ)27を有している。
【0108】
収納ユニット筐体27は、左側面27Aの上寄り、及び右側面27Bの上寄りに、ユニット左側レールガイド25及びユニット右側レールガイド26に対応するユニット左側可動レール30及びユニット右側可動レール31が預払機後方向と平行に配置されている。
【0109】
そして紙幣入出金ユニット11は、ユニット左側レールガイド25にユニット左側可動レール30が取り付けられると共に、ユニット右側レールガイド26にユニット右側可動レール31が取り付けられている。
【0110】
これにより紙幣入出金ユニット11は、ユニット左側レールガイド25及びユニット左側可動レール30と、ユニット右側レールガイド26及びユニット右側可動レール31とを介して紙幣収納ユニット12(すなわち、収納ユニット筐体27)を預払機後方向及び預払機前方向にスライド可能に保持している。
【0111】
よって図5に示すように、現金自動預払機1は、当該現金自動預払機1に対する種々の作業が許可された作業者により後扉2BXが開かれた場合、作業者に紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから紙幣収納ユニット12を個別に預払機筐体2の外部(すなわち、預払機筐体2の後側)に引き出させることができる。
【0112】
これにより現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の外部において紙幣収納ユニット12に対し紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19や、リジェクト紙幣用の紙幣収納カセット20を装着させ、また取り外させることができる。
【0113】
そして現金自動預払機1は、紙幣収納ユニット12に対する紙幣収納カセット19及び20の装着後には、作業者に預払機筐体2の後側から紙幣収納ユニット12をユニット個別収納部22Aに押し込むようにして収納させたうえで後扉2BXを閉じさせる。
【0114】
また図6に示すように、現金自動預払機1は、作業者により後扉2BXが開かれた場合、当該作業者に預払機筐体2のユニット一括収納部2Fから紙幣入出金ユニット11を紙幣収納ユニット12と共に預払機筐体2の外部(すなわち、預払機筐体2の後側)に引き出させることもできる。
【0115】
そのうえで現金自動預払機1は、図示はしないが、作業者に紙幣入出金ユニット11のユニット個別収納部22Aから、さらに紙幣収納ユニット12を引き出させることもできる。
【0116】
これにより現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の外部において紙幣収納ユニット12に対し紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19や、リジェクト紙幣用の紙幣収納カセット20を装着させ、また取り外させることができる。
【0117】
そして現金自動預払機1は、紙幣収納ユニット12に対する紙幣収納カセット19及び20の装着後には、作業者に預払機筐体2の後側から例えば、紙幣収納ユニット12をユニット個別収納部22Aに押し込むようにして収納させる。
【0118】
引き続き現金自動預払機1は、作業者に預払機筐体2の後側から紙幣入出金ユニット11をユニット一括収納部2Fに押し込むように収納させたうえで後扉2BXを閉じさせる。
【0119】
このようにして現金自動預払機1は、紙幣収納ユニット12に対し紙幣補充回収用の紙幣収納カセット19や、リジェクト紙幣用の紙幣収納カセット20を着脱させることができる。
【0120】
(2)第1の実施の形態
(2−1)紙幣収納カセットの構成
図7(A)及び(B)は、本発明を適用した上述のリジェクト紙幣用の紙幣収納カセット20(図2)の具体例である第1の実施の形態によるリジェクト紙幣用の紙幣収納カセット40を示す。係る紙幣収納カセット40は、箱型の筐体(以下、これをカセット筐体とも呼ぶ)41を有している。
【0121】
因みに、以下の説明では、紙幣収納カセット40を、カセット筐体41の正面41Aと対峙して見た場合の図中に矢印a2で示す左方向を、カセット左方向とも呼び、当該カセット左方向とは逆の右方向を、カセット右方向とも呼ぶ。
【0122】
また、以下の説明では、紙幣収納カセット40を、カセット筐体41の正面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b2で示す上方向を、カセット上方向とも呼び、当該カセット上方向とは逆の下方向を、カセット下方向とも呼ぶ。
【0123】
さらに、以下の説明では、紙幣収納カセット40を、カセット筐体41の正面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c2で示す手前の方向を、カセット前方向とも呼び、当該カセット前方向とは逆の奥側の方向を、カセット後方向とも呼ぶ。
【0124】
そして、以下の説明では、カセット筐体41の正面(すなわち、カセット筐体41においてカセット前方向の面)41Aを、カセット正面41Aとも呼び、背面(すなわち、カセット筐体41においてカセット後方向の面)41Bを、カセット背面41Bとも呼ぶ。
【0125】
また、以下の説明では、カセット筐体41の上面(すなわち、カセット筐体41においてカセット上方向の面)41Cを、カセット上面41Cとも呼び、下面(すなわち、カセット筐体41においてカセット下方向の面)41Dを、カセット下面41Dとも呼ぶ。
【0126】
カセット筐体41のカセット正面41Aには、例えば、右端部にカセット下面41Dからカセット上面41Cに亘るカセット上方向と平行な短冊状の正面板を残し、左側全体に開口41AXが形成されている。
【0127】
またカセット筐体41のカセット正面41Aには、開口41AXを開放し、また閉塞する扉42が、図示しないヒンジ部を介して当該扉42の左端部と開口41AXの左側縁部とを連結するようにして開閉可能に取り付けられている。
【0128】
そして扉42は、裏面42Aの右端部に、カセット筐体41に対し当該扉42を閉じた状態にロックするためのロック部43が設けられている。
【0129】
また扉42は、表面42Bの右端部に、ロック部43の構成部品の1つであり、カセット筐体41に対し扉42をロックし、また当該ロックを解除するために操作される錠44が鍵穴44Aを露出させて取り付けられている。
【0130】
さらにカセット筐体41の内部には、例えば、上の奥側に、紙幣入出金ユニットから搬送されるリジェクト紙幣45を、カセット背面41Bの上側に形成された紙幣取込口(図示せず)を介して内部に取り込むための、モータ及びローラ等からなる紙幣取込機構(図示せず)が設けられている。
【0131】
さらにまたカセット筐体41の内部には、中央部にリジェクト紙幣45を載上するための紙幣載上台46が配置されると共に、当該紙幣載上台46をカセット上方向に付勢するばねような弾性体(図示せず)も設けられている。
【0132】
よってカセット筐体41は、内部にリジェクト紙幣45を収納していない状態では、紙幣載上台46を弾性体によるカセット上方向への付勢により紙幣取込機構に極力近づけて位置させる。
【0133】
そしてカセット筐体41は、紙幣入出金ユニットからリジェクト紙幣45が搬送される毎に、当該リジェクト紙幣45を、紙幣取込口及び紙幣取込機構を介して内部に取り込んで紙幣載上台46に順に積み重ねるように載上すると共に、そのリジェクト紙幣45の重みで当該リジェクト紙幣45の厚み分だけ紙幣載上台46を下げる。
【0134】
これによりカセット筐体41は、紙幣載上台46に対するリジェクト紙幣45の載上条件を常に等しくして、紙幣載上台46に複数のリジェクト紙幣45を極力揃えた状態で積み重ねている。
【0135】
このようにして紙幣収納カセット40は、紙幣入出金ユニットから搬送されるリジェクト紙幣45をカセット筐体41の内部に収納する。
【0136】
そして紙幣収納カセット40は、紙幣収納ユニットから取り外された状態では、カセット筐体41に対し扉42を開かせて、内部からリジェクト紙幣45を取り出させる(回収させる)ことができる。
【0137】
(2−2)ロック部の構成
次いで、図8(A)及び(B)並びに図9(A)及び(B)を用いて、ロック部43の構成について説明する。
【0138】
因みに、図8(A)及び図9(A)は、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態で当該カセット筐体41の正面板の内面(すなわち、上述のカセット正面41Aの裏側の面)41E、及び扉42の裏面42Aと共にロック部43を見た場合の当該ロック部43の構成を示す図である。
【0139】
また図8(B)及び図9(B)は、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態で、当該カセット筐体41の正面板及び扉42と共にロック部43を下から見上げた場合の当該ロック部43の構成を示す図である。
【0140】
ロック部43は、上述のように錠44を有している。錠44は、シリンダ錠であり、円筒状に形成されている。
【0141】
そして錠44は、扉42の表面42Bに穿設された円形の貫通孔に挿入されて、一端部を扉42の表面42Bから突出させ、かつ他端部を扉42の裏面42Aから突出させて当該扉42に取り付けられている。
【0142】
また錠44の一端面には、鍵50を当該錠44の中心軸(以下、これを錠中心軸とも呼ぶ)に沿って差し込むための上述の鍵穴44Aが穿設されている。
【0143】
そして錠44は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50を、一端面の当該鍵穴44Aの穿設部分と共に錠中心軸を中心にして例えば、90度のような第1角度範囲で一回転方向(この場合は例えば、時計回方向)、及びこれとは逆の他回転方向(この場合は例えば、反時計回方向)に回転させるような所定の内部構造を有している。
【0144】
さらに錠44の他端部内には、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50の一回転方向及び他回転方向への回転に連動して、錠中心軸を中心にして90度よりも小さい例えば、5度や10度のような第2角度範囲で一回転方向及び他回転方向に回転する回転機構(図示せず)が設けられている。
【0145】
そして錠44の回転機構は、角柱状のアーム回動軸51の中心軸を錠中心軸と一致させて、当該アーム回動軸51の一端部を保持して、他端部を錠44の他端面の中央から突出させている。
【0146】
これにより錠44は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向に回転操作されたとき(すなわち、鍵50が第1角度範囲で一回転方向に目一杯回転したとき)、これに連動してアーム回動軸51を、錠中心軸を中心にして第2角度範囲で一回転方向に目一杯回転させた状態にする。
【0147】
また錠44は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されたとき(すなわち、鍵50が第1角度範囲で他回転方向に目一杯回転したとき)、これに連動してアーム回動軸51を、錠中心軸を中心にして第2角度範囲で他回転方向に目一杯回転させた状態にする。
【0148】
因みに、以下の説明において、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50に対する一回転方向への回転操作とは、当該鍵穴44Aに差し込まれた鍵50を第1角度範囲で一回転方向に目一杯回転させる操作のことである。
【0149】
また、以下の説明において、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50に対する他回転方向への回転操作とは、当該鍵穴44Aに差し込まれた鍵50を第1角度範囲で他回転方向に目一杯回転させる操作のことである。
【0150】
さらにまた錠44は、他端部にアーム回動軸51を介してL字板状の回動アーム52が、当該回動アーム52の一面を扉42の裏面42Aと対向させて取り付けられている。
【0151】
この場合、回動アーム52は、例えば、錠44の直径よりも短い幅を有する短冊状の根元部52Aの一端側に、当該根元部52Aの幅よりも短い半径の半円状の先端部52BがL字を成すように設けられている。また回動アーム52は、根元部52Aの他端側に四角形の貫通孔が穿設されている。
【0152】
そして回動アーム52は、先端部52Bをカセット左方向に向け、アーム回動軸51が他回転方向に目一杯回転したときに根元部52Aがカセット上方向と平行になるように、一面側から貫通孔に当該アーム回動軸51の他端部が挿入されている。
【0153】
これにより錠44は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向へ回転操作されると、アーム回動軸51と共に回動アーム52を他回転方向に回転させて、当該回動アーム52の根元部52Aをカセット上方向と平行にし先端部52Bを錠44のほぼ真下に位置させる。
【0154】
また錠44は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向へ回転操作されると、アーム回動軸51と共に回動アーム52を一回転方向に回転させて、当該回動アーム52の根元部52Aを左斜め下方向と平行にし先端部52Bを錠44の真下よりも左側に変位させる。
【0155】
ところで、ロック部43は、カセット筐体41に対し扉42をロックするためのロックレバー53と、当該ロックレバー53を扉42の裏面42Aに支持するレバー支持部54とを有している。
【0156】
ロックレバー53は、例えば、略H字状の平板でなる胴体部53Aを有している。そして胴体部53Aの一面には、当該胴体部53Aの長手方向の一端側の幅広部53AXにおいて一側面寄りに、平板状のアーム突当部53Bが、当該一側面に沿って(すなわち、胴体長手方向と平行にして)突設されている。
【0157】
因みに、以下の説明では、ロックレバー53において胴体部53Aの長手方向を、胴体長手方向とも呼び、当該胴体部53Aにおいて胴体長手方向の一端側の幅広部53AXを、一端側幅広部53AXとも呼ぶ。
【0158】
また胴体部53Aの一端側幅広部53AXには、端面の他側面寄りにL字板状の腕部53Cが設けられている。
【0159】
この場合、腕部53Cは、短冊状の根元部53CXの一端側に略直角三角形状の先端部53CYが、根元部53CXの他端側を当該根元部53CXの長手方向に垂直な底面とし、かつ根元部53CXの一端側を傾斜面としてL字を成すように設けられている。
【0160】
そして腕部53Cは、根元部53CXの他端側が一端側幅広部53AXの端面に接合され、当該根元部53CXの一端側を胴体部53Aの一面の上側に突出させている。
【0161】
また腕部53Cは、先端部53CYの底面を胴体部53Aの一面と面一にして、当該先端部53CY全体を胴体部53Aの一面の上及び一端側幅広部53AXの他側面の前に突出させている。
【0162】
さらに胴体部53Aは、ロックレバー53全体の重心が、例えば、当該胴体部53Aの中央部である、一端側幅広部53AXと胴体長手方向の他端側の幅広部53AYとの間の幅の狭い括れ部53AZの内部に位置するように、全体の厚みや当該他端側の幅広部53AYの形状及び大きさが適宜選定されている。
【0163】
因みに、以下の説明では、ロックレバー53の重心を、レバー重心とも呼び、胴体部53Aにおいて胴体長手方向の他端側の幅広部53AYを、他端側幅広部53AYとも呼ぶ。
【0164】
そして胴体部53Aの一面には、括れ部53AZに、レバー重心の位置を通り当該一面に垂直な軸線(以下、これを重心位置軸線とも呼ぶ)を中心とする所定半径の円形の貫通孔53Dが穿設されている。
【0165】
一方、レバー支持部54は、円柱状のレバー回動軸を有し、当該レバー回動軸の他端に円板状のレバー抑え部が設けられて形成されている。
【0166】
この場合、レバー支持部54は、レバー回動軸の長さがロックレバー53の胴体部53Aの厚みよりも僅かに長く選定されると共に、当該レバー回動軸の直径がロックレバー53の貫通孔53Dの直径とほぼ等しく選定されている。
【0167】
またレバー支持部54は、レバー抑え部の直径が、ロックレバー53の貫通孔53Dの直径よりも大きく選定されている。
【0168】
そしてロックレバー53は、胴体部53Aの他面を扉42の裏面42Aと対向させて当該扉42の裏面42Aと回動アーム52の先端部52Bとの間に一端側幅広部53AXを介在させ、さらに括れ部53AZ及び他端側幅広部53AYを回動アーム52の先端部52Bよりも下側に位置させるようにして配置される。
【0169】
この状態で、レバー支持部54は、レバー回動軸がロックレバー53の貫通孔53Dに胴体部53Aの一面側から差し込まれて、当該レバー回動軸の一端が扉42の裏面42Aに接合されている。
【0170】
これによりレバー支持部54は、ロックレバー53の貫通孔53Dに挿入されたレバー回動軸の軸中心線を、レバー重心の位置を通る重心位置軸線と一致させる。
【0171】
そしてレバー支持部54は、扉42の裏面42Aにロックレバー53を、胴体部53Aの他面を当該扉42の裏面42Aと平行にしたまま、レバー回動軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
【0172】
ところで、レバー支持部54のレバー回動軸は、扉42の裏面42Aとロックレバー53との間で、トーションスプリング55のコイル部に通されている。
【0173】
そしてトーションスプリング55は、コイル部から伸びる一端部が例えば、ロックレバー53の胴体部53Aの他面において一端側幅広部53AXの一側面下寄りに設けられた一端用係合突起(図示せず)に係合されている。
【0174】
またトーションスプリング55は、所定のトルクがかけられた状態で、コイル部から伸びる他端部が、扉42の裏面42Aにおいてロックレバー53の括れ部53AZよりも右斜め下側に設けられた他端用係合突起56に係合されている。
【0175】
これによりトーションスプリング55は、ロックレバー53を一回転方向に回転させるように付勢している。
【0176】
また扉42の裏面42Aには、ロックレバー53の一端側幅広部53AXの他側面と対向する所定位置に、当該ロックレバー53の一回転方向への回転を規制するための円柱状の回転規制部57が植設されている。
【0177】
よってロック部43は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作され、これに連動して回動アーム52を他回転方向に回転させると、その回転に伴い当該回動アーム52の先端部52Bをカセット左方向に変位させる。
【0178】
これによりロック部43は、この際、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー53を、カセット筐体41に対し扉42をロックするための一回転方向に回転させる。
【0179】
そしてロック部43は、回動アーム52の根元部52Aをカセット上方向と平行にした場合は、ロックレバー53の一端側幅広部53AXの他側面を回転規制部57に突き当てて、胴体長手方向をカセット上方向と平行にするように、例えば、扉42の裏面42Aに対する回転規制部57の植設位置と、レバー支持部54のレバー回動軸の接合位置とが適宜選定されている。
【0180】
因みに、以下の説明では、ロックレバー53を一回転方向に回転させたときに、回転規制部57に突き当てられる当該ロックレバー53の一端側幅広部53AXの他側面を、回転規制部突当面とも呼ぶ。
【0181】
またロック部43は、このようにロックレバー53の回転規制部突当面を回転規制部57に突き当てたとき、当該ロックレバー53の腕部53Cの先端部53CYを扉42の右端面の前に突出させるように、その腕部53Cの先端部53CYの長さが適宜選定されている。
【0182】
さらにロック部43は、ロックレバー53の回転規制部突当面を回転規制部57に突き当てたとき、ロックレバー53においてアーム突当部53Bのアーム突当面を回動アーム52の先端部52Bから僅かに離隔させるように、一端側幅広部53AXの幅や、アーム突当部53Bの厚み及び突設位置等が適宜選定されている。
【0183】
一方、ロック部43は、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向に回転操作され、これに連動して回動アーム52を一回転方向に回転させると、その回転に伴い当該回動アーム52の先端部52Bをロックレバー53のアーム突当面に突き当て、そのままカセット右方向に変位させる。
【0184】
これによりロック部43は、この際、ロックレバー53を、カセット筐体41に対する扉42のロックを解除するための他回転方向に回転させる。
【0185】
そしてロック部43は、回動アーム52の根元部52Aを左斜め下方向と平行にした場合には、ロックレバー53の腕部53Cの先端部53CYを扉42の裏面42A内に引き込んで、例えば、回転規制部57の上側に位置させるように、当該回動アーム52の根元部52Aの長さが適宜選定されている。
【0186】
さらにカセット筐体41の正面板の内面41Eには、例えば、長方形の板状のロックプレート58が、当該ロックプレート58の短手方向の一端部を開口41AX内に突出させ、かつ当該一端部の端面中央部をロックレバー53の一端側幅広部53AXの回転規制部突当面と対向させるように配置されている。
【0187】
これによりロック部43(図8(A)及び(B))は、カセット筐体41に対し扉42が閉じられた状態で、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されると、これに連動した回動アーム52の他回転方向への回転に応じてロックレバー53をトーションスプリング55の付勢により一回転方向に回転させて回転規制部突当面を回転規制部57に突き当てる。
【0188】
すなわち、ロック部43は、この際、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー53を一回転方向に回転させるものの、回転規制部突当面を回転規制部57に突き当てて、当該ロックレバー53の一回転方向への回転を、これ以上は一回転方向へ回転させないように規制する。
【0189】
そしてロック部43は、このようにしてロックレバー53の一回転方向への回転を規制した状態では、当該ロックレバー53の腕部53Cの先端部53CYをロックプレート58の一面上の一端寄りに位置させる。
【0190】
これによりロック部43は、扉42の裏面42Aとロックレバー53の腕部53Cの先端部53CYとの間に、ロックプレート58の一端部を挟み込むようにして、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態にロックすることができる。
【0191】
因みに、以下の説明では、このようにロックレバー53の回転規制部突当面を回転規制部57に突き当てて腕部53Cの先端部53CYを扉42の右端面の前に突出させることで、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態にロック可能な当該ロックレバー53の姿勢を、ロック姿勢とも呼ぶ。
【0192】
一方、ロック部43(図9(A)及び(B))は、カセット筐体41に対し扉42をロックしていた状態で、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向に回転操作されると、これに連動して回動アーム52の一回転方向への回転に応じてロックレバー53を他回転方向に回転させる。
【0193】
すなわち、ロック部43は、胴体長手方向をカセット上方向と平行にしていたロックレバー53を、回動アーム52の一回転方向への回転により、他回転方向へ所定の回転角度まで回転させる。
【0194】
これによりロック部43は、ロックレバー53の腕部53Cの先端部53CYをロックプレート58の一面上から退避させて、カセット筐体41に対する扉42のロックを解除することができ、かくしてカセット筐体41に対し扉42を開閉させることができる。
【0195】
因みに、以下の説明では、このようにロックレバー53を他回転方向へ所定の回転角度まで回転させて腕部53Cの先端部53CYをロックプレート58の一面上から退避させることで、カセット筐体41に対する扉42のロックを解除する当該ロックレバー53の姿勢を、解除姿勢とも呼ぶ。
【0196】
ところで、ロック部43は、カセット筐体41に対し扉42を開いたままでも、鍵穴44Aに差し込まれた鍵50を他回転方向に回転操作されると、これに応じてロックレバー53を一回転方向に回転させてロック姿勢にすることができる。
【0197】
そしてロック部43には、ロックレバー53をロック姿勢した場合、当該ロックレバー53をトーションスプリング55により一回転方向へ回転させるように付勢する以外に、ロック姿勢から他回転方向へ回転させないための機構は設けられていない。
【0198】
よってロック部43は、カセット筐体41に対し扉42が開かれたままロックレバー53をロック姿勢にした後、カセット筐体41に対し扉42が閉じるように押されると、ロックプレート58の一端面前縁に、ロックレバー53の腕部53Cにおいて先端部53CYの傾斜面を突き当てて摺動させる。
【0199】
これによりロック部43は、ロックレバー53をロック姿勢から一旦は他回転方向へ回転させて、腕部53Cの先端部53CYをロックプレート58の一端面上を横切らせた後、トーションスプリング55による付勢に従いロック姿勢へ戻すように一回転方向に回転させて当該腕部53Cの先端部53CYをロックプレート58の一面上の一端寄りに回り込ませる。
【0200】
このようにしてロック部43は、ロックレバー53をロック姿勢にしたまま、カセット筐体41に対し扉42が閉じるように押されても、当該カセット筐体41に対し扉42を閉じさせて自動的にロックすることができる。
【0201】
そしてロック部43は、このようにロックレバー53の他回転方向への回転を規制する機構を設けてはいないものの、上述のようにロックレバー53をレバー支持部54によりレバー重心が内部に位置するレバー回動軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
【0202】
すなわち、ロック部43は、ロックレバー53のレバー重心をレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に位置させて、当該ロックレバー53をレバー重心の位置で回動可能に支持している。
【0203】
よってロック部43は、紙幣収納カセット40の持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、ロックレバー53に加わる落下時の衝撃力(すなわち、落下の衝撃でかかる落下方向の力)を、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0204】
またロック部43は、このような紙幣収納カセット40の落下の際、当該紙幣収納カセット40の落下に伴うバウンドや転がりで生じる反発力(すなわち、紙幣収納カセット40にバウンドでかかるそのバウンド方向の力)や遠心力のロックレバー53への作用も、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0205】
これによりロック部43は、紙幣収納カセット40がカセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で落下した場合、ロックレバー53に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを回避して、当該ロックレバー53のロック姿勢を維持することができる。
【0206】
(2−3)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、紙幣収納カセット40では、カセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42の裏面42Aにロック部43を設け、当該ロック部43においてロックレバー53のレバー重心の位置に穿設された貫通孔53Dにレバー支持部54のレバー回動軸を挿入して、当該レバー支持部54により扉42の裏面42Aにロックレバー53を、レバー回動軸を中心にして回動可能に支持する。
【0207】
すなわち、紙幣収納カセット40では、ロックレバー53のレバー重心をレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に位置させて、当該ロックレバー53をレバー重心の位置で回動可能に支持する。
【0208】
そして紙幣収納カセット40は、カセット筐体41に対し扉42が閉じられた状態で、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されると、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー53を、レバー回動軸を中心にして一回転方向へ回転させてロック姿勢にすることによりカセット筐体41に対し扉42を閉じた状態にロックする。
【0209】
また紙幣収納カセット40は、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向に回転操作されると、これに連動して一回転方向に回転する回動アーム52によりロックレバー53を、レバー回動軸を中心にして他回転方向へ回転させて解除姿勢にすることによりカセット筐体41に対する扉42のロックを解除する。
【0210】
従って紙幣収納カセット40は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、ロックレバー53に加わる落下時の衝撃力を、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0211】
また紙幣収納カセット40は、このような落下の際、その落下に伴う当該紙幣収納カセット40のバウンドや転がりによって生じてロックレバー53に加わる反発力や遠心力も、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0212】
よって紙幣収納カセット40は、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で落下しても、落下時の衝撃力や、その落下に伴って生じる反発力や遠心力によりロックレバー53に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを回避して、当該ロックレバー53のロック姿勢を維持することができる。
【0213】
以上の構成によれば、紙幣収納カセット40は、レバー支持部54により扉42の裏面42Aにロックレバー53を、レバー回動軸を中心にして回動可能に支持し、カセット筐体41に対し扉42が閉じられた状態で、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されると、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー53を、レバー回動軸を中心にして一回転方向へ回転させてカセット筐体41に対し扉42をロックするうえで、ロックレバー53のレバー重心の位置に穿設された貫通孔53Dにレバー支持部54のレバー回動軸を挿入するようにした。
【0214】
これにより紙幣収納カセット40は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、ロックレバー53に加わる落下時の衝撃力や、その落下に伴う紙幣収納カセット40のバウンドや転がりで生じる反発力や遠心力を、ロックレバー53を回動させるためのレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けて、ロックレバー53に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを回避し、その結果、ロックレバー53のロック姿勢(すなわち、扉42のロック)を維持することができる。
【0215】
よって紙幣収納カセット40は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、その落下の衝撃やバウンド、転がりによりカセット筐体41に対し扉42がひとりでに開くことなく閉じたままにすることができる。
【0216】
また紙幣収納カセット40は、例えば、錠44に設けられた回転機構に錠中心軸と直交する方向に僅かに動くようながたつきがあると、落下時に、錠44に落下の衝撃力が加わり、また落下に伴う紙幣収納カセット40のバウンドや転がりで生じる反発力や遠心力が錠44に作用すると、当該錠44において回転機構が本来の取付位置から錠中心軸と直交する方向に僅かに動く場合がある。
【0217】
このため、紙幣収納カセット40は、ロック部43において、ロックレバー53をロック姿勢にしている状態では、錠44における回転機構のがたつきを考慮して、ロックレバー53を他回転方向に回転させるための回動アーム52の先端部52Bを、当該ロックレバー52のアーム突当面から離隔させるようにした。
【0218】
従って紙幣収納カセット40は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられて錠44に落下による衝撃力や反発力、遠心力が加わり回転機構と共に回動アーム52が動いても、当該回動アーム52の先端部52Bがロックレバー53のアーム突当面に突き当てられることを回避することができる。
【0219】
すなわち、紙幣収納カセット40は、落下により回動アーム52が動いても、ロックレバー53を他回転方向へは回転させずにロック姿勢を維持して、カセット筐体41に対し扉42がひとりでに開くことなく閉じたままにすることができる。
【0220】
(3)第2の実施の形態
(3−1)紙幣収納カセットの構成
図7(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付して示す図10(A)及び(B)は、本発明を適用した上述のリジェクト紙幣用の紙幣収納カセット20(図2)の具体例である第2の実施の形態によるリジェクト紙幣用の紙幣収納カセット70を示す。
【0221】
係る紙幣収納カセット70は、ロック部71の一部構成を除いて上述した第1の実施の形態による紙幣収納カセット40と同様に構成されている。よって、以下には、ロック部71の構成について説明する。
【0222】
(3−2)ロック部の構成
図8(A)及び(B)並びに図9(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付して示す図11(A)及び(B)並びに図12(A)及び(B)は、第2の実施の形態による紙幣収納カセット70に設けられたロック部71を示す。
【0223】
因みに、図11(A)及び図12(A)も、図8(A)及び図9(A)と同様に、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態で当該カセット筐体41の正面板の内面41E、及び扉42の裏面42Aと共にロック部71を見た場合の当該ロック部71の構成を示す図である。
【0224】
また図11(B)及び図12(B)も、図8(B)及び図9(B)と同様に、カセット筐体41に対し扉42を閉じた状態で、当該カセット筐体41の正面板及び扉42と共にロック部71を下から見上げた場合の当該ロック部71の構成を示す図である。
【0225】
この場合、ロック部71においてロックレバー72は、例えば、略H字状の平板でなる胴体部72Aを有している。
【0226】
そして、係る胴体部72Aは、胴体長手方向の一端側に、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53(図8及び図9)の一端側幅広部53AXと同様に形成された一端側幅広部72AXを有している。
【0227】
すなわち、胴体部72Aにおいて一端側幅広部72AXは、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53の一端側幅広部53AXと同様の大きさ及び形状を有し、一側面寄りに平板状のアーム突当部72Bが、当該一側面に沿って突設されている。
【0228】
また胴体部72Aにおいて一端側幅広部72AXには、L字板状の腕部72Cが、端面の回転規制部突当面寄りに短冊状の根元部72CXの他端側を接合し、略直角三角形状の先端部72CYを当該回転規制部突当面の前に突出させるようにして設けられている。
【0229】
さらに胴体部72Aは、一端側幅広部72AXと胴体長手方向の他端側の他端側幅広部72AYとの間に、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53の括れ部53AZと同様の大きさ及び形状を有する、幅の狭い括れ部72AZが設けられている。
【0230】
そして胴体部72Aの括れ部72AZには、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53の括れ部53AZのように、中央部にレバー支持部54のレバー回動軸を差し込むための、当該レバー回動軸の直径とほぼ等しい直径の貫通孔72Dが穿設されている。
【0231】
ただし、胴体部72Aにおいて他端側幅広部72AYは、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53の他端側幅広部53AYと比べて、異なる形状で大きさを小さくして形成されている。
【0232】
すなわち、他端側幅広部72AYは、当該他端側幅広部72AY自体の重さが、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53の他端側幅広部53AY自体の重さよりも軽くなるように形成されている。
【0233】
よってロックレバー72は、胴体長手方向の他端側の重さ(すなわち、他端側幅広部72AYの重さ)よりも、当該胴体長手方向の一端側の重さ(すなわち、一端側幅広部72AX、アーム突当部72B及び腕部72Cを合わせた重さ)が重くなっている。
【0234】
その結果、ロックレバー72は、レバー重心が例えば、一端側幅広部72AXの中央付近の内部のように、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53のレバー重心の位置とは異なる位置に存在している。
【0235】
このため、胴体部72Aの一面には、一端側幅広部72AXの内部のレバー重心の位置から貫通孔72Dの中心を通って他端側幅広部72AYまで伸びる仮想線L1をもとに、当該他端側幅広部72AYの所定位置に長方形状の長孔72Eが、その長手方向を仮想線L1と平行にし、かつ長孔72Eの幅の中心を仮想線L1が通るように穿設されている。
【0236】
また胴体部72Aの他端側幅広部72AYには、ロックレバー72全体の重さのバランスを調整するようにして、レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させるように調整するための重心位置調整部73が、その長孔72Eを介して取り付けられている。
【0237】
この場合、重心位置調整部73は、重り74と超低頭型の雄ねじ75とを組み合わせて形成されている。雄ねじ75は、頭部が長孔72Eの幅よりも長い直径を有する円板状に形成されている。
【0238】
また雄ねじ75は、ねじ部の外形が長孔72Eの幅とほぼ等しく選定されると共に、当該ねじ部の長さが、胴体部72Aの厚みよりも長く選定されている。
【0239】
一方、重り74は、長孔72Eの幅よりも長い直径を有する円柱状に形成されている。また重り74の一面には、中心よりも周側面寄りの所定位置に、所定深さの円形の穴部が形成されると共に、当該穴部の内壁に、雄ねじ75のねじ部に対応するねじ山、すなわち雌ねじが形成されている。
【0240】
そして重心位置調整部73は、ロックレバー72の胴体部72Aの他面側から他端側幅広部72AYの長孔72Eに挿入された雄ねじ75のねじ部において、当該胴体部72Aの一面から突出した部分を重り74の雌ねじに螺合させるようにして形成されている。
【0241】
すなわち、重心位置調整部73は、ロックレバー72の他端側幅広部72AYの長孔72Eに対し、雄ねじ75のねじ中心線を、胴体部72Aの厚み方向と平行にし、かつ仮想線L1と直交させて取り付けられている。
【0242】
ここで、重心位置調整部73は、他端側幅広部72AYに当該重心位置調整部73を取り付けるために穿設された長孔72Eの位置に応じてレバー重心の位置調整用に適宜選定された所定の重さを有している。
【0243】
また重心位置調整部73は、当該重心位置調整部73自体の重心が、例えば、重り74の内部の中心付近に位置している。
【0244】
因みに、重心位置調整部73自体の重心とは、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに取り付けるために、ねじ部を雌ねじに螺合した状態の重り74及び雄ねじ75全体の重心であり、以下、この重心を調整部重心とも呼ぶ。
【0245】
そして重心位置調整部73は、重り74において調整部重心の位置から穴部(すなわち、雌ねじ)の形成位置を所定距離だけ離隔させる(例えば、調整部重心の位置に穴部がかからない)ように、当該穴部の形成位置が適宜選定されている。
【0246】
ところで、重心位置調整部73は、ロック部71の組立時に、ロックレバー72に対するレバー重心の位置の調整をかねて、当該ロックレバー72の他端側幅広部72AYに取り付けられている。
【0247】
実際にロック部71の組立では、雄ねじ75のねじ部をロックレバー72の他面側から他端側幅広部72AYの長孔72Eに挿入して一面側で重り74の雌ねじに螺合させることで、当該他端側幅広部72AYに重心位置調整部73を取り付けさせるものの、この際、重り74の雌ねじに対する雄ねじ75の締めつけを僅かに緩めさせておく。
【0248】
これによりロック部71の組立では、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに取り付けた重心位置調整部73を仮想線L1(すなわち、長孔72Eの長手方向)に沿って貫通孔72Dの孔中心線に近づける近接方向及び、これとは逆の遠ざける離隔方向に移動可能にする。
【0249】
またロック部71の組立では、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに取り付けた重心位置調整部73を、調整部重心の位置からずれたねじ中心線を中心にして回動可能にする。
【0250】
この状態で、ロック部71の組立では、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに取り付けた重心位置調整部73を、仮想線L1に沿って近接方向又は離隔方向に移動させるようにして、当該他端側幅広部72AYに対する重心位置調整部73の取付位置を仮想線L1に沿って調整させる。
【0251】
これによりロック部71の組立では、ロックレバー72においてレバー重心の位置を、仮想線L1に沿って貫通孔72Dの孔中心線側に変位させて、当該レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させ、又は貫通孔72Dの孔中心線の近傍に位置させるように調整させる。
【0252】
この際、ロック部71の組立では、仮想線L1に沿った重心位置調整部73の取付位置の調整だけで、レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させるように調整し得ると、重り74の雌ねじに対し雄ねじ75をきつく締めさせて、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに重心位置調整部73を固定させる。
【0253】
これに対してロック部71の組立では、仮想線L1に沿った重心位置調整部73の取付位置の調整だけでは、レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させ難いと、引き続き重心位置調整部73を、ねじ中心線を中心にして一方又は他方に回転させるようにして、他端側幅広部72AYに対する重心位置調整部73のねじ中心線を中心にした取付角度を調整させる。
【0254】
これによりロック部71の組立では、ロックレバー72においてレバー重心の位置を、仮想線L1と交差する方向に沿って貫通孔72Dの孔中心線側に変位させて、当該レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させるように微調整させる。
【0255】
そしてロック部71の組立では、重り74の雌ねじに対し雄ねじ75をきつく締めさせて、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに重心位置調整部73を固定させる。
【0256】
因みに、ロック部71の組立では、この際、重心位置調整部73の取付角度を調整しても、レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させ難いと、他端側幅広部72AYに対する重心位置調整部73の取付位置及び取付角度を適宜交互に微調整させて、最終的にレバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させるように調整させる。
【0257】
そしてロック部71の組立では、レバー重心の位置の調整が完了すると、重り74の雌ねじに対し雄ねじ75をきつく締めさせて、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに重心位置調整部73を固定させる。
【0258】
このようにしてロック部71の組立では、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに対する重心位置調整部73の全重量の付加位置を適宜調整させて当該ロックレバー72全体の重さのバランスを調整させ、レバー重心を貫通孔72Dの孔中心線上に位置させることができる。
【0259】
そして、このようにレバー重心の位置が調整されたロックレバー72は、上述した第1の実施の形態によるロックレバー53と同様に、胴体部72Aの他面を扉42の裏面42Aと対向させて当該扉42の裏面42Aと回動アーム52の先端部52Bとの間に一端側幅広部72AXを介在させ、さらに括れ部72AZ及び他端側幅広部72AYを回動アーム52の先端部52Bよりも下側に位置させるようにして配置される。
【0260】
この状態で、レバー支持部54は、レバー回動軸がロックレバー72の貫通孔72Dに胴体部72Aの一面側から差し込まれて孔中心線に軸中心線を一致させて、当該レバー回動軸の一端が扉42の裏面42Aに接合されている。
【0261】
これによりレバー支持部54は、扉42の裏面42Aにロックレバー72を、胴体部72Aの他面を当該扉42の裏面42Aと平行にした状態で、内部(すなわち、軸中心線上)にレバー重心が位置するレバー回動軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
【0262】
よってロック部71は、上述した第1の実施の形態によるロック部43(図8及び図9)と同様に、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50の回転操作に応じて、カセット筐体41に対し扉42をロックし、また、そのロックを解除することができる。
【0263】
因みに、ロック部71では、ロックレバー72をロック姿勢にした場合、上述した第1の実施の形態によるロック部43と同様に、回動アーム52の先端部52Bを、ロックレバー72のアーム突当面から離隔させている。
【0264】
またロック部71は、カセット筐体41に対し扉42が開かれたままロックレバー72をロック姿勢にして、当該カセット筐体41に対し扉42が閉じるように押されたときも、上述した第1の実施の形態によるロック部43と同様に、カセット筐体41に対し扉42を閉じさせて自動的にロックすることができる。
【0265】
そしてロック部71は、重心位置調整部73によりロックレバー72のレバー重心の位置を調整してレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に位置させて、当該ロックレバー72をレバー重心の位置で回動可能に支持している。
【0266】
よってロック部71は、紙幣収納カセット70が落下した場合、上述した第1の実施の形態によるロック部43と同様に、ロックレバー72に加わる落下時の衝撃力を、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0267】
またロック部71は、このような紙幣収納カセット70の落下の際、当該紙幣収納カセット70の落下に伴うバウンドや転がりで生じる反発力や遠心力のロックレバー72への作用も、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0268】
これによりロック部71は、紙幣収納カセット70がカセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で落下した場合、ロックレバー72に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを回避して、当該ロックレバー72のロック姿勢を維持することができる。
【0269】
(3−3)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、紙幣収納カセット70では、カセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42の裏面42Aにロック部71を設け、当該ロック部71において、ロックレバー72にレバー重心の位置を調整するための重心位置調整部73を取り付ける。
【0270】
そして紙幣収納カセット70では、重心位置調整部73によりロックレバー72のレバー重心の位置を調整するようにして、当該レバー重心を、ロックレバー72を回動可能に支持するレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に位置させる。
【0271】
この状態で紙幣収納カセット70は、カセット筐体41に対し扉42が閉じられて、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されると、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー72を、レバー回動軸を中心にして一回転方向へ回転させてカセット筐体41に対し扉42を閉じた状態にロックする。
【0272】
また紙幣収納カセット70は、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が一回転方向に回転操作されると、これに連動して一回転方向に回転する回動アーム52によりロックレバー72を、、レバー回動軸を中心にして他回転方向へ回転させてカセット筐体41に対する扉42のロックを解除する。
【0273】
従って紙幣収納カセット70は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、ロックレバー72に加わる落下時の衝撃力を、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0274】
また紙幣収納カセット70は、このような落下の際、その落下に伴う当該紙幣収納カセット70のバウンドや転がりによって生じてロックレバー72に加わる反発力や遠心力も、レバー支持部54のレバー回動軸の内部に位置するレバー重心で受けることができる。
【0275】
よって紙幣収納カセット70は、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で落下しても、落下時の衝撃力や、その落下に伴って生じる反発力や遠心力によりロックレバー72に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを回避して、当該ロックレバー72のロック姿勢を維持することができる。
【0276】
そして紙幣収納カセット70では、上述のように重心位置調整部73によりロックレバー72のレバー重心の位置を調整することで、ロックレバー72の形成精度(すなわち、形状や大きさ、貫通孔72Dの穿設位置の精度)に影響されずに、レバー重心を、ロックレバー72を回動可能に支持するレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に容易にかつ的確に位置させることができる。
【0277】
以上の構成によれば、紙幣収納カセット50は、レバー支持部54により扉42の裏面42Aにロックレバー72を、レバー回動軸を中心にして回動可能に支持し、カセット筐体41に対し扉42が閉じられた状態で、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50が他回転方向に回転操作されると、トーションスプリング55の付勢によりロックレバー72を、レバー回動軸を中心にして一回転方向へ回転させてカセット筐体41に対し扉42をロックするうえで、ロックレバー72に重心位置調整部73を取り付けて、当該重心位置調整部73によりロックレバー72のレバー重心を、当該ロックレバー72の貫通孔72Dに挿入されるレバー回動軸の軸中心線上に位置させるように調整するようにした。
【0278】
これにより紙幣収納カセット70は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えてロックレバー72の形成精度に影響されずに、ロックレバー72のレバー重心を、当該ロックレバー72を回動可能に支持するレバー支持部54のレバー回動軸の軸中心線上に容易にかつ高精度に位置させることができる。
【0279】
よって紙幣収納カセット70は、持ち運びや紙幣収納ユニットへの着脱等の際、カセット筐体41に対し扉42をロックしている状態で誤って落下させられても、ロックレバー72に他回転方向へ回転させるような外力が加わることを、より確実に回避して当該ロックレバー72のロック姿勢を維持し、カセット筐体41に対し扉42を確実に閉じたままにすることができる。
【0280】
また紙幣収納カセット70は、ロックレバー72にレバー重心の位置を調整可能な重心位置調整部73を設ける分、他端側幅広部72AYを小さくすることができる。
【0281】
よって紙幣収納カセット70は、扉42の裏面42Aにおいてロック部71の配置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0282】
また紙幣収納カセット70は、レバー重心の位置調整時、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに重心位置調整部73を移動可能及び回動可能に取り付けるようにした。
【0283】
従って紙幣収納カセット70は、レバー重心の位置調整時、1つの重心位置調整部73以外に追加の重り等を特には用いることなく、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに対する当該1つの重心位置調整部73の取付位置及び取付角度を適宜調整させるだけで、レバー重心の位置を容易に調整させることができ、レバー重心の位置を調整するための調整作業を簡易化することができる。
【0284】
(4)他の実施の形態
(4−1)他の実施の形態1
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、紙幣収納カセット40、70においてカセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42の裏面42Aにロック部43、71を設けるようにした場合について述べた。
【0285】
しかしながら本発明は、これに限らず、紙幣収納カセットにおいてカセット筐体の正面板の内面にロック部を設けるようにしても良い。
【0286】
本発明は、係る構成の場合、例えば、紙幣収納カセットにおいてカセット筐体に開閉可能に取り付けられた扉の裏面にロックプレートを取り付けるものの、当該ロックプレートの形状又は取り付け方により、ロックプレートと裏面との間に隙間を形成する。
【0287】
また本発明は、カセット筐体の正面板の内面に基本的には、上述した第1及び第2の実施の形態によるロック部43、71とほぼ同様な構成のロック部を設ける。
【0288】
ただし、本発明は、ロック部において、上述した第1及び第2の実施の形態によるロックレバー53、72のように一端側幅広部にL字錠の腕部53C、72Cを設けるのではなく、ロックレバーの一端側幅広部自体をアーム突当部以外はL字状の平板として形成して、当該一端側幅広部の側面の一部から当該側面の前に突出する部分を腕部とする。
【0289】
また本発明は、カセット筐体の正面板の内面に、係るロックレバーを、当該カセット筐体に扉をロックするための一回転方向、及び当該ロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する。
【0290】
そして本発明は、カセット筐体に対し扉が閉じられた状態でロックレバーを一回転方向及び他回転方向に回動させた場合、ロックプレートと扉の裏面との隙間に、L字状の平板として形成された一端側幅広部において側面から突出する腕部を差し込み、また抜き出すようにする。
【0291】
このようにして本発明は、例えば、ロックレバーの一端側幅広部の形状を一部変更すれば、紙幣収納カセットにおいてカセット筐体の正面板の内面にロック部を設ける構成を容易に実現することができる。
【0292】
そして本発明は、このようなロックレバーの一端側幅広部の形状以外は、ロック部を上述した第1及び第2の実施の形態によるロック部43、71と同様に構成することで、カセット筐体の正面板の内面にロック部を設けるようにしても、上述した第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0293】
ところで、本発明は、このようなL字状の平板でなる一端側幅広部を有するロックレバーの構成、及び扉の裏面にロックプレートを当該裏面との間に隙間を形成するように取り付ける構成を、上述した第1及び第2の実施の形態による紙幣収納カセット40、70(すなわち、カセット筐体41にロックプレート58を設け、扉42の裏面42Aにロック部43、71を設ける構成)に適用することもできる。
【0294】
また本発明は、このようなL字状の平板でなる一端側幅広部を有するロックレバーの構成のみを、上述した第1及び第2の実施の形態による紙幣収納カセット40、70に適用することもできる。
【0295】
そして本発明は、係る構成の場合、カセット筐体41の正面板の内面41Eにロックプレート58を設けずに、当該正面板自体をロックプレートとして機能させて、カセット筐体41の構成を簡易化することができる。
【0296】
さらに本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態による紙幣収納カセット40、70において、このようなL字状の平板でなる一端側幅広部を有するロックレバーの構成を適用せずに、ロックレバー53、72の一端側幅広部53AX及び72AXの例えば一端面に、長方形状の平板でなる腕部を、一側面を胴体部53A、72Aの他面と面一にし、先端部を回転規制部突当面の前に突出させて設けるようにしても良い。
【0297】
さらにまた本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態による紙幣収納カセット40、70において、このようなL字状の平板でなる一端側幅広部を有するロックレバーの構成を適用せずに、ロックレバー53、72の一端側幅広部53AX及び72AXの例えば一端面に、略長方形状で先端部に一側面から他側面にかけて鋭角に傾斜する傾斜面が形成された平板でなる腕部を、当該一側面を胴体部53A、72Aの他面と面一にし、先端部を回転規制部突当面の前に突出させて設けるようにしても良い。
【0298】
本発明は、このようにロックレバー53、72の一端側幅広部53AX及び72AXに、長方形状の平板でなる腕部や、先端部に傾斜面が形成された平板でなる腕部を設けるようにしても、カセット筐体41の正面板の内面41Eにロックプレート58を設けずに、当該正面板自体をロックプレートとして機能させて、カセット筐体41の構成を簡易化することができる。
【0299】
(4−2)他の実施の形態2
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、カセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42に、当該扉42のロック、及びそのロックの解除の操作用として、鍵50が差し込まれる錠44を設けるようにした場合について述べた。
【0300】
しかしながら本発明は、これに限らず、カセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42に、当該扉42のロック、及びそのロックの解除の操作用として、埋設型又は突出型のダイヤルキーと、当該ダイヤルキーが操作され特定の数字が組み合わせられたときにのみ回動操作可能なサムターン、スライド操作可能なスライドレバー、又は引起操作可能な引起レバー等のような操作子とを、種々の組み合わせで設けるようにしても良い。
【0301】
また本発明は、カセット筐体41に開閉可能に取り付けられた扉42に、当該扉42のロック、及びそのロックの解除の操作用として、ダイヤルキーは設けずに、回動操作可能なサムターンやスライド操作可能なスライドレバー、引起操作可能な引起レバー等のような操作子のみを設けるようにしても良い。
【0302】
さらに本発明は、このような錠44及び鍵50に変えて、ダイヤルキーと操作子とを組み合わせて用いる構成や、操作子のみを用いる構成を、上述した他の実施の形態1のカセット筐体の正面板の内面にロック部を設ける構成に適用して、当該カセット筐体の正面板にダイヤルキーと操作子とを組み合わせて設け、また操作子のみを設けるようにしても良い。
【0303】
(4−3)他の実施の形態3
さらに上述した第2の実施の形態においては、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに1つの重心位置調整部73を、取付位置及び取付角度を調整可能に取り付けるようにした場合について述べた。
【0304】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバー72の他端側幅広部72AYに少なくとも2つ以上の重心位置調整部73を、それぞれ取付位置及び取付角度の少なくとも一方を調整可能に取り付けるようにしても良い。
【0305】
また本発明は、ロックレバー72を一端側よりも他端側を重く形成しておき、これに応じて一端側幅広部72AXに1つの重心位置調整部73を、取付位置及び取付角度を調整可能に取り付け、又は少なくとも2つ以上の重心位置調整部73を、それぞれ取付位置及び取付角度の少なくとも一方を調整可能に取り付けるようにしても良い。
【0306】
さらに本発明は、ロックレバー72の一端側幅広部72AX及び他端側幅広部72AYの両方に1つの重心位置調整部73を、取付位置及び取付角度を調整可能に取り付け、又は少なくとも2つ以上の重心位置調整部73を、それぞれ取付位置及び取付角度の少なくとも一方を調整可能に取り付けるようにしても良い。
【0307】
そして本発明は、例えば、ロックレバー72の一端側幅広部72AX及び他端側幅広部72AYの少なくとも一方に複数の重心位置調整部73を、それぞれ取付位置を調整可能に取り付ける場合、これら複数の重心位置調整部73を、それぞれ異なる方向に直線や円弧状の線等のような種々の形状の線に沿って移動させて取付位置を調整可能なように取り付けるようにしても良い。
【0308】
また本発明は、このようにロックレバー72の一端側幅広部72AX及び他端側幅広部72AYの少なくとも一方に複数の重心位置調整部73を、それぞれ異なる方向に移動させて取付位置を調整可能なように取り付ける場合、これら複数の重心位置調整部73において重り74の重心の位置、又は調整部重心の位置に雄ねじ75を取り付けるようにしても良い。
【0309】
これに加えて本発明は、例えば、ロックレバー72の一端側幅広部72AX及び他端側幅広部72AYの少なくとも一方に1つの重心位置調整部73を取り付ける場合、長孔の幅を、雄ねじ75のねじ部の直径よりも広くする。
【0310】
そして本発明は、ロックレバー72の一端側幅広部72AXや他端側幅広部72AYに幅広の長孔を介して1つの重心位置調整部73を、その取付位置を仮想線L1に沿って、また当該仮想線L1と交差する種々の方向に沿って自由に調整可能なように取り付けるようにしても良い。
【0311】
また本発明は、このようにロックレバー72の一端側幅広部72AX及び他端側幅広部72AYの少なくとも一方に幅広の長孔を介して1つの重心位置調整部73を、その取付位置を自由に調整可能なように取り付ける場合、当該重心位置調整部73において重り74の重心の位置、又は調整部重心の位置に雄ねじ75を取り付けるようにしても良い。
【0312】
(4−4)他の実施の形態4
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明のロック装置を、図1乃至図12について上述したロック部43、71に適用するようにした場合について述べた。
【0313】
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態2について上述したダイヤルキーと、操作子とを有するロック部や、ダイヤルキーは設けずに操作子を有するロック部等のように、この他種々の構成のロック装置に広く適用することができる。
【0314】
(4−5)他の実施の形態5
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明の収納装置を、図1乃至図12について上述したリジェクト紙幣用の紙幣収納カセット40、70に適用するようにした場合について述べた。
【0315】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動預払機や現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、両替機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等に着脱可能に装着される紙幣補充回収用の紙幣収納カセットに適用することができる。
【0316】
また本発明は、係る収納装置を、現金自動預払機や現金自動支払機、両替機、券売機、精算機、遊戯機、飲料やタバコ等の自動販売機等に着脱可能に装着される金種毎の紙幣を収納する紙幣収納カセットに適用することもできる。
【0317】
また本発明は、係る収納装置を、現金自動預払機や現金自動支払機、両替機、券売機、精算機、遊戯機、飲料やタバコ等の自動販売機等に着脱可能に装着される偽券を収納する収納カセットに適用することもできる。
【0318】
さらに本発明は、係る収納装置を、現金自動支払機に着脱可能に装着されるリジェクト紙幣用の紙幣収納カセットに適用することもできる。
【0319】
さらに本発明は、係る収納装置を、現金自動預払機や現金自動支払機、両替機、自動販売機、券売機、精算機、遊戯機等に着脱可能に装着される硬貨を収納するための硬貨収納カセットに適用することもできる。
【0320】
さらに本発明は、係る収納装置を、券売機や精算機等に着脱可能に装着される電車の切符や観劇のチケット等を収納する収納カセットに適用することもできる。
【0321】
さらにまた本発明は、係る収納装置を、筐体に対し扉が開閉可能に取り付けられるものであれば、金庫やロッカー、ブリーフケース、旅行鞄等のように、この他種々の収納装置にも広く適用することができる。
【0322】
(4−6)他の実施の形態6
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、筐体に開閉可能に取り付けられた扉を、筐体に対し閉じた状態にロックするためのロックレバーとして、図1乃至図12について上述した略H字状のロックレバー53、72を適用するようにした場合について述べた。
【0323】
しかしながら本発明は、これに限らず、筐体に開閉可能に取り付けられた扉を、筐体に対し閉じた状態にロックすることができれば、他の実施の形態1について上述したロックレバーや、L字状のロックレバー、四角形状の胴体部を有するロックレバー等のように、この他種々の形状及び構成のロックレバーを広く適用することができる。
【0324】
(4−7)他の実施の形態7
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ロックレバーの回動用のレバー回動軸として、図1乃至図12について上述したレバー支持部54のレバー回動軸を適用するようにした場合について述べた。
【0325】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバーのレバー重心を内部に位置させることができれば、ロックレバーに植設されたレバー回動軸や、例えば、L字状のロックレバーのように外部にレバー重心が存在するロックレバーの当該レバー重心が内部に位置し、そのロックレバーから離隔させて設けられるレバー回動軸等のように、この他種々の構成のレバー回動軸を広く適用することができる。
【0326】
(4−8)他の実施の形態8
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ロックレバーを、レバー回動軸を中心にして筐体に対し扉をロックするための一回転方向、及び筐体に対する扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部として、図1乃至図12について上述したレバー支持部54を適用するようにした場合について述べた。
【0327】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバーを、レバー回動軸を中心にして筐体に対し扉をロックするための一回転方向、及び筐体に対する扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持することができれば、ロックレバーに植設されたレバー回動軸の軸受けや、例えば、L字状のロックレバーを、これと、当該ロックレバーの外部に存在するレバー重心とを連結するようにして回動可能に支持する支持部等のように、この他種々の構成の支持部を広く適用することができる。
【0328】
(4−9)他の実施の形態9
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、支持部により回動可能に支持されているロックレバーを、筐体に対し扉をロックするためにレバー回動軸を中心にして一回転方向に回転させるように付勢する付勢部として、図1乃至図12について上述したトーションスプリング55を適用するようにした場合について述べた。
【0329】
しかしながら本発明は、これに限らず、支持部により回動可能に支持されているロックレバーを、筐体に対し扉をロックするためにレバー回動軸を中心にして一回転方向に回転させるように付勢することができれば、コイルばねやゴム等の弾性体のように、この他種々の付勢部を広く適用することができる。
【0330】
(4−10)他の実施の形態10
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ロックレバーのレバー重心を、レバー回動軸の内部に位置させるように調整する重心位置調整部として、図1乃至図12について上述した重心位置調整部73を適用するようにした場合について述べた。
【0331】
しかしながら本発明は、これに限らず、ロックレバーのレバー重心を、レバー回動軸の内部に位置させるように調整することができれば、他の実施の形態3について上述した重心位置調整部のように、この他種々の構成の重心位置調整部を広く適用することができる。
【0332】
(4−11)他の実施の形態11
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、所定の操作に応じて、所定部位をロックレバーの所定の突当面に突き当てるようにして当該ロックレバーを他回転方向に回転させる突当回転部として、図1乃至図12について上述した、ロックレバー53、72のアーム突当面に、所定部位として先端部52Bを突き当てる回動アーム52を適用するようにした場合について述べた。
【0333】
しかしながら本発明は、これに限らず、所定の操作に応じて、所定部位をロックレバーの所定の突当面に突き当てるようにして当該ロックレバーを他回転方向に回転させることができれば、錠44の鍵穴44Aに差し込まれた鍵50の回転操作に連動して回転して、ロックレバー53、72のアーム突当面に所定部位を突き当てる偏芯カムに適用することができる。
【0334】
また本発明は、係る突当回転部を、スライド操作に応じて、所定部位をロックレバー53、72のアーム突当面に突き当てるスライドレバー、サムターンの回転操作に応じてスライドして、所定部位をロックレバー53、72のアーム突当面に突き当てるスライドバー等のように、この他種々の構成の突当回転部にも広く適用することができる。
【0335】
(4−12)他の実施の形態12
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、扉が開閉可能に取り付けられる筐体として、図1乃至図12について上述した箱型のカセット筐体41を適用するようにした場合について述べた。
【0336】
しかしながら本発明は、これに限らず、正面全体や天面全体に開口が形成された箱型の筐体や、一方及び他方の筐体半体を開閉可能に連結して全体として箱型や卵形のような種々の形状を有し、一方の筐体半体自体を扉とする筐体等のように、この他種々の構成及び形状の筐体を広く適用することができる。
【0337】
(4−13)他の実施の形態13
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、筐体に開閉可能に取り付けられる扉として、図1乃至図12について上述した平板状の左開きの扉42を適用するようにした場合について述べた。
【0338】
しかしながら本発明は、これに限らず、平板状の右開きの扉や、他の実施の形態12について上述した一方の筐体半体等のように、この他種々の形状及び構成の扉を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0339】
本発明は、リジェクト紙幣用や紙幣補充回収用の紙幣収納カセット等に設けられたロック部等のロック装置と、リジェクト紙幣用や紙幣補充回収用の紙幣収納カセット等の収納装置とに利用することができる。
【符号の説明】
【0340】
1……現金自動預払機、19、20、40、70……紙幣入出金ユニット、41……カセット筐体、42……扉、43、71……ロック部、52……回動アーム、53、72……ロックレバー、54……レバー支持部、55……トーションスプリング、73……重心位置調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に開閉可能に取り付けられた扉を、上記筐体に対し閉じた状態にロックするためのロックレバーと、
上記ロックレバーの回動用のレバー回動軸と、
上記ロックレバーを、上記レバー回動軸を中心にして上記筐体に対し上記扉をロックするための一回転方向、及び上記筐体に対する上記扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部と、
上記支持部により回動可能に支持されている上記ロックレバーを、上記筐体に対し上記扉をロックするために上記レバー回動軸を中心にして上記一回転方向に回転させるように付勢する付勢部と
を具え、
上記レバー回動軸は、
内部に上記ロックレバーのレバー重心が位置する
ロック装置。
【請求項2】
上記ロックレバーの上記レバー重心を、上記レバー回動軸の内部に位置させるように調整する重心位置調整部
を具える請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
上記重心位置調整部は、
上記ロックレバーに取付位置を調整可能に取り付けられた
請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
上記重心位置調整部は、
上記ロックレバーに取付角度を調整可能に取り付けられた
請求項2又は請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
上記重心位置調整部は、
自身の重心の位置からずれた所定位置の調整部回動軸が設けられ、上記ロックレバーに上記調整部回動軸を中心にして回動して上記取付角度を調整可能に取り付けられた
請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
所定の操作に応じて、所定部位を上記ロックレバーの所定の突当面に突き当てるようにして当該ロックレバーを上記他回転方向に回転させる突当回転部
を具え、
上記突当回転部は、
上記ロックレバーが上記付勢部によって付勢され上記筐体に対し上記扉をロックした状態では、上記ロックレバーの上記突当面から上記所定部位を離隔させて配置された
請求項5に記載のロック装置。
【請求項7】
筐体と、
上記筐体に開閉可能に取り付けられた扉と、
上記筐体に対し上記扉を閉じた状態にロックするためのロックレバーと、
上記ロックレバーの回動用のレバー回動軸と、
上記ロックレバーを、上記レバー回動軸を中心にして上記筐体に対し上記扉をロックするための一回転方向、及び上記筐体に対する上記扉のロックを解除するための他回転方向に回動可能に支持する支持部と、
上記支持部により回動可能に支持されている上記ロックレバーを、上記筐体に対し上記扉をロックするために上記レバー回動軸を中心にして上記一回転方向に回転させるように付勢する付勢部と
を具え、
上記レバー回動軸は、
内部に上記ロックレバーのレバー重心が位置する
収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−69153(P2013−69153A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207804(P2011−207804)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】