説明

ロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステム

【課題】CG合成映像を撮影するときに追加機材を必要とせず、また、音声データを遅延させる動作を行うことなく無遅延でCG合成映像を生成することができるロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステムを提供すること。
【解決手段】ロボットカメラは、操作機11からの操作機データを入力すると共に、カメラデータをCG合成装置20に出力するネットワーク手段2と、このネットワーク手段により受け取った操作機データから駆動モータの指令値となる指令データ及びカメラデータを算出すると共に、そのカメラデータをネットワーク手段に送るカメラ目標位置算出手段3aと、算出された指令データを予め設定された遅延時間だけ保持して遅らせるデータ遅延手段3bと、遅延させた指令データにより駆動モータを作動させカメラをカメラ目標位置となるようにするモータ指令手段3cとを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタジオで撮影するときに使用されるロボットカメラ、及び、そのロボットカメラを使用してCG合成映像等を撮影する場合に用いられるバーチャルスタジオシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロボットカメラを使用してCG合成映像装置によりCG合成映像を撮影するバーチャルスタジオシステムでは、スタジオで撮影した実写の映像に対して、その映像の任意の位置にCG映像を合成したCG合成映像を作成することが知られている。図6、図7及び図8に、従来のバーチャルスタジオシステム及びロボットカメラの構成(非特許文献1,2)及び手順を示す。
図6に示すように、バーチャルスタジオシステム100は、操作機101により遠隔操作するロボットカメラ120と、このロボットカメラ120で撮影した実写105の映像にCG映像106を合成するCG合成装置103とを備えている。なお、CG合成映像108は、表示モニタ104に表示される。
【0003】
ロボットカメラ120は、図7に示すように、受信モジュール121a及び送信モジュール121bを有するネットワーク部121と、カメラ目標位置算出モジュール122a、モータ指令モジュール122b及びデータ受信モジュール122cを有する演算部122と、レンズ124a及び受光部124b等を有するカメラ124とを備えている。
【0004】
このロボットカメラ120は、ネットワーク部121の受信モジュール121aに操作機データを受け取ると、演算部122のカメラ目標位置算出モジュール122aによりカメラ124が駆動モータ123a〜123nのそれぞれの操作量で特定されるカメラ目標位置となる指令値を操作機データから算出する。そして、ロボットカメラ120は、モータ指令モジュール122bを介して駆動モータ部123にその指令値を出力している。そして、ロボットカメラ120は、モータ指令モジュール122bからの指令値により駆動モータ部123を介して駆動モータ123a〜123nのそれぞれを作動させてカメラのパン、チルト、ズーム等を行い、映像を取得し、取得した映像を接続ケーブル(図示せず)によりCG合成装置103に送信している。
【0005】
映像の送信と同時に、図7に示すように、ロボットカメラ120は、駆動モータ部123で示す各駆動モータ123a〜123nに設けたエンコーダ等の動きを検知する検知手段(図示せず)から、検知したカメラデータをデータ受信モジュール122cに送り、ネットワーク部121の送信モジュール121bを介してCG合成装置103に送信している。つまり、ロボットカメラ120は、カメラデータと映像とをほぼ同時にCG合成装置103に送る状態の構成になっている。
【0006】
図8に示すように、CG合成装置103は、ロボットカメラ120(図7参照)から送られて来るカメラデータからCG映像上の仮想カメラの位置を設定し、CG映像を映像の所定の位置に描画するようにしてCG映像を作成している。
前記した一連の処理によりCG合成映像を作成する場合では、ロボットカメラ120(図6参照)で被写体の実写を撮影した後に、映像及びカメラデータをCG合成装置103に送信し、CG映像の描画を行うため、実際に合成する際の映像と描画されたCG映像とに時間的なずれが生じることになる。そのため、通常のCG合成装置103では、時間のずれを解消するためにCG映像の描画時間分、実写映像を撮影した後にディレイ装置(図示せず)を介して遅らせて時間の調整を行い、映像とCG映像とを一致させるように運用している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“SP−2000/X−Yサーボペデスタル”インタネット<URL:http://www.vintenradamec.com/sp2000−ja.php>[online][平成19年9月10日検索]
【非特許文献2】“RP2Aロボテックペデスタル”インタネット<URL:http://www.vintenradamec.com/rp2a−ja.php>[online][平成19年9月10日検索]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステムでは、以下に示すような問題点が存在した。
ロボットカメラは、駆動モータが移動した結果を待ってカメラデータをCG合成装置に送り、CG空間上の仮想カメラ位置を特定しCG映像を描画し、作成したCG映像と実写の映像とを合成することになる。そのため、駆動モータが移動した結果の映像は、CG映像を作成するタイミングだけ遅らせないとCG合成映像を作成することができない状態となっている。そのため、従来のロボットカメラからの映像及びカメラデータでは、遅らせた映像と同時に取得される音声も合わせて遅らせる必要が生じる。したがって、ロボットカメラからの実写となる映像及びカメラデータによりCG合成映像を作成して番組を構成するバーチャル番組では、音声を遅らせる音声ディレイ装置や、映像を遅らせる映像遅延装置等の追加機材が必要となる。
【0009】
また、撮影しているロボットカメラの一台でもCG合成映像を使用することになった場合には、その他のロボットカメラの映像および音声に対して遅らせることが必要となってしまう。そのため、番組で使用するすべてカメラに映像ディレイを入れることが困難な場合には、音声の遅れとなるリップシンクのずれが発生していることに対して、その映像と音声のずれが分からないようなワイドの画角で口元がはっきりしない映像を撮るように調整するしかなかった。
【0010】
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたものであり、CG合成映像を撮影するときにディレイ装置等の追加機材を必要とせず、また、音声を遅延させる動作を行うことなく無遅延でCG合成映像を生成することができるロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るロボットカメラは、前記した課題を解決するために、以下のような構成とした。すなわち、ロボットカメラは、駆動モータにより駆動可能なカメラ及びフロア移動機構を備え、被写体を前記カメラで撮影した実写の映像にCG合成装置によりCG映像を合成したCG合成映像を作成する際に使用され、操作機の操作機データから算出したカメラデータにより前記駆動モータの遠隔操作が行われて撮影するロボットカメラであって、前記操作機からの操作機データを入力すると共に、前記カメラデータを前記CG合成装置に出力するネットワーク手段と、このネットワーク手段により受け取った前記操作機データから前記駆動モータの指令値となる指令データ、及び、その指令データにより前記駆動モータの移動した結果となる前記カメラデータを算出すると共に、算出した前記カメラデータを前記ネットワーク手段に送るカメラ目標位置算出手段と、このカメラ目標位置算出手段により算出された前記指令データを予め設定された遅延時間だけ保持して前記CG合成装置に前記カメラデータを出力する時間よりも遅らせるデータ遅延手段と、このデータ遅延手段により遅延させた前記指令データにより前記駆動モータを作動させ前記カメラをカメラ目標位置となるようにするモータ指令手段と、を備える構成とした。
【0012】
かかる構成により、ロボットカメラは、操作機からの操作機データをネットワーク手段により受け取り、受け取った操作機データをカメラ目標位置算出手段に送る。操作機データを受け取ったカメラ目標位置算出手段は、駆動させる各駆動軸の駆動量を示す指令値となる指令データを算出し、かつ、その指令データにより駆動モータが移動した結果であるカメラ目標位置となるカメラデータを、当該操作機データから演算する。なお、カメラ目標位置算出手段は、カメラデータを演算するときには、操作機データの操作量と、駆動モータの操作量との変換量が予め分かっているので、関係式あるいは対応テーブル等、一般的な手法により演算して操作機データから指令データ及びカメラデータを算出することができる。ロボットカメラは、算出されたカメラデータをネットワーク手段に送ると共に、指令データをデータ遅延手段に送り、データ遅延手段で予め設定された遅延時間を待って指令データをモータ指令手段に送る。ロボットカメラは、ネットワーク手段によりカメラデータをCG合成装置に送ると共に、遅延時間を待って送られた指令データにより駆動モータ部で各駆動軸の駆動モータを動作させてカメラ目標位置において撮影し、撮影した映像をCG合成装置に送っている。したがって、ロボットカメラは、新たに映像あるいは音声のディレイ装置を導入することなく、映像を予め設定した遅延時間において遅延させて送ることができる。
【0013】
さらに、本発明に係るロボットカメラにおいて、前記データ遅延手段は、前記遅延時間を予め設定する設定手段を備え、前記設定手段は、外部に設置される入力手段からの入力により前記遅延時間を設定する構成とした。
かかる構成により、ロボットカメラは、例えば、予め行なわれるカメラ位置のキャリブレーション動作、そのキャリブレーション動作の原点位置にCG映像を配置してカメラの首振り動作により前記CG映像が映像からずれがない状態となるまでの時間を前記遅延時間として、入力手段からの入力により設定手段を介して設定することができる。
【0014】
また、本発明に係るバーチャルスタジオシステムでは、請求項1又は請求項2に記載のロボットカメラと、このロボットカメラにより被写体を撮影した映像にCG映像を合成するCG合成装置とを備えるバーチャルスタジオシステムにおいて、前記CG合成装置は、前記被写体を撮影するフロア位置の座標上における前記ロボットカメラのカメラ初期位置及びCG映像の作成位置を予め記憶する位置記憶手段と、前記ロボットカメラで算出されたカメラデータを入力するカメラデータ入力手段と、入力した前記カメラデータに基づいて前記位置記憶手段に記憶されている前記カメラ初期位置及び前記作成位置から、前記ロボットカメラの駆動モータが作動して前記カメラのカメラ目標位置におけるCG映像の作成位置を算出する撮影位置算出手段と、算出した前記CG映像の作成位置に対応したCG映像を作成するCG映像作成手段と、前記ロボットカメラで予め設定した前記遅延時間だけ遅延させて撮影した映像を入力する映像入力手段と、前記CG映像作成手段で作成したCG映像と、前記映像入力手段で入力した映像とを合成してCG合成映像を作成する合成映像作成手段と、この合成映像作成手段で作成したCG合成映像を出力する出力手段と、を備える構成とした。
【0015】
かかる構成により、バーチャルスタジオシステムは、映像よりも先にカメラデータをカメラデータ入力手段により受け取り、位置記憶手段に予め記憶されているロボットカメラのカメラ初期位置から、撮影位置算出手段によりカメラデータに基づいて、カメラ目標位置として算出されるCG映像の仮想カメラの位置における作成位置を算出する。そして、CG合成装置は、CG映像作成手段により、算出した作成位置のCG映像に対応するようにCGデータを調整してCG映像を作成する。そして、映像入力手段からカメラデータよりも所定の遅延時間だけ遅れて入力された映像と、作成したCG映像とを合成してCG映像合成画像を合成映像作成手段により作成して出力手段より出力する。このときに、バーチャルスタジオシステムでは、撮影のタイミングを予め設定された遅延時間だけ遅らせた指令データにより各駆動モータが作動して撮影した後に、カメラデータに対応する映像が、CG合成装置に入力されるため、CG映像合成のときの映像及びその映像を撮影するときに生じる音声に対するディレイを生じることがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステムは、以下に示すような優れた効果を奏するものである。
ロボットカメラは、演算したカメラデータを、映像より先にCG合成装置に送り、当該カメラデータに対応する指令データにより撮影のタイミングを予め設定された遅延時間だけ遅らせて撮影した映像としてCG合成装置に送っている。そのため、ロボットカメラで撮影した映像と音声とは、CG合成映像に送られてCG合成映像となるときには、リップシンクのずれを生じることがない状態となる。したがって、ロボットカメラでは、演算手段のカメラ目標位置算出手段であるソフトウエアを取り替えれば映像ディレイ装置等の追加機材が必要ない。
ロボットカメラは、遅延時間を設定手段により自在に調整することができるので、CG合成映像を作成するときに、的確にリップシンクのずれを防止することが可能となる。
【0017】
バーチャルスタジオシステムは、ロボットカメラで撮影した映像より先にロボットカメラのカメラデータを受け取り、予め記憶しているロボットカメラのカメラ初期位置等の位置データによりCG映像の作成位置を算出してその作成位置に対応するCG映像を作成する。そして、バーチャルスタジオシステムは、ロボットカメラで指令データより所定の遅延時間において遅らせて受け取る映像によりCG合成映像を作成するので、CG合成映像でリップシンクのずれが発生することがなく、ワイドの画角で口元がはっきりしない映像を撮るようなカメラショットの調整をする必要がなく、自由なカメラショットにより映像を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るバーチャルスタジオシステムの全体を模式的に示す模式図である。
【図2】本発明に係るバーチャルスタジオシステムで使用されるロボットカメラの内部構造を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明に係るバーチャルスタジオシステムで使用されるCG合成装置を模式的に示すブロック図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は、本発明に係るバーチャルスタジオシステムで用いるロボットカメラにおけるキャリブレーションの状態およびXYZ座標空間での位置を模式的に示すと共に、CG映像のCG映像の作成位置を模式的にそれぞれ示す模式図である。
【図5】本発明に係るバーチャルスタジオシステムでCG合成映像を作成する流れを模式的に示す模式図である。
【図6】従来のバーチャルスタジオシステムの全体を模式的に示す模式図である。
【図7】従来のバーチャルスタジオシステムで使用されるロボットカメラの内部構造を模式的に示すブロック図である。
【図8】従来のバーチャルスタジオシステムでCG合成映像を作成する流れを模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るロボットカメラ及びバーチャルスタジオシステムについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、バーチャルスタジオシステム10は、スタジオ内に配置され操作機11により遠隔操作されるロボットカメラ1と、このロボットカメラ1からの映像とCG映像を合成するCG合成装置20とを備えている。
ロボットカメラ1は、図1及び図2に示すように、操作機11の遠隔操作によりスタジオ内を自在に移動すると共に、カメラ5を任意に操作して、被写体Hsを撮影することができるものである。このロボットカメラ1は、ここでは、スタジオフロア上を車輪等により移動するフロア移動機構1aで用いる各軸、及び、カメラ5で必要となるズーム、アイリス等の駆動機構の各軸を駆動する駆動モータ4a〜4nにより任意の方向にレンズ5aを向けて被写体Hsを撮影する。
【0020】
図1に示すように、操作機11は、操作者の操作によりロボットカメラ1を遠隔操作するものである。この操作機11は、ロボットカメラ1の移動、ズーム、パン、チルト等の動作をハンドル等の操作により行っている。操作機11で操作された操作機データは、ロボットカメラ1に送られる。なお、操作機11からロボットカメラ1を移動させる操作も行うことができ、例えば、操作機11の図示しないジョイスティックを操作することで、ロボットカメラ1の移動を操作している。例えば、操作機11のジョイスティックの傾斜方向とオン時間と併せて、パン、チルト、ズーム等の情報が操作機データとしてロボットカメラ1に送られる。
【0021】
図2に示すように、ロボットカメラ1は、ネットワーク部(ネットワーク手段)2と、演算部(演算手段)3と、駆動モータ部4と、カメラ5とを備えている。なお、ロボットカメラ1は、さらに、外部の入力手段7を介して遅延時間を設定する設定手段6を備えている。
【0022】
ネットワーク部2は、操作機データ等の各データを送受信するためのものである。このネットワーク部2は、操作機データを受信する受信モジュール2aと、カメラデータを送信する送信モジュール2bと、を備えている。なお、カメラ5で撮影した被写体Hs(図1参照)の映像は、ロボットカメラ1に接続されている接続ケーブル(図示せず)を介して送られている。
受信モジュール2aは、操作機11から送られて来るカメラの移動、パン、チルト、ズーム等に関するデータである操作機データを受信して演算部3に出力する。
送信モジュール2bは、演算部3から送られて来るカメラデータをCG合成装置20(図3参照)に送信するものである。
【0023】
演算部3は、操作機データからカメラデータ及び指令データを算出して、カメラデータをネットワーク部2に送ると共に、指令データを予め設定される遅延時間だけ遅らせて駆動モータ部4に送るものである。この演算部3は、カメラ目標位置算出モジュール(カメラ目標位置算出手段)3aと、データ遅延モジュール(データ遅延手段)3bと、モータ指令モジュール(モータ指令手段)3cとを備えている。
【0024】
カメラ目標位置算出モジュール3aは、ネットワーク部2の受信モジュール2aから送られて来る操作機データを受け取り、予め設定されている算出手段によりカメラデータ及び指令データを算出するものである。このカメラ目標位置算出モジュール3aは、入力する操作機データが各駆動モータ4a〜4n別のデータであるので、その各駆動モータ4a〜4n別のデータのそれぞれに予め設定されている係数を積算、加算等することや、あるいは、予め設定されている計算式に代入されること等により指令データを算出し、その指令データにより駆動する駆動モータ4a〜4nの移動した結果となるカメラデータを算出している。そして、カメラ目標位置算出モジュール3aは、算出されたカメラデータをネットワーク部2の送信モジュール2bに送ると共に、算出された指令データを遅延データ遅延モジュール3bに送っている。指令データは、駆動モータ4a〜4nを実際に駆動させてカメラ目標位置にするためのデータである。また、カメラデータは、指令データにより駆動モータ4a〜4nを駆動させた結果におけるカメラ5のカメラ目標位置を示すデータである。つまり、指令データとカメラデータは、実質的に同じ内容を示したものである。
【0025】
データ遅延モジュール3bは、カメラ目標位置算出モジュール3aから指令データを受取り、予め設定された遅延時間において遅延させてモータ指令モジュール3cに指令データを送るものである。このデータ遅延モジュール3bは、設定手段6により外部から入力手段7を介して遅延時間が設定されるように構成されている。データ遅延モジュール3bは、操作機データの受信からロボットカメラ1が動作を開始するまでの時間と、CG映像Vgの描画作成時間とを一致させるように遅延時間を、ここでは例えば、2フレーム分に相当するn2秒としている。データ遅延モジュール3bは、遅延時間が例示のn2秒であれば、その遅延時間だけカメラデータを保持した後にモータ指令モジュール3cに出力している。なお、この遅延時間は、予め設定されており、次のような動作により設定される。
【0026】
はじめに、ロボットカメラ1のカメラ位置をキャリブレーションする。例えば、図1及び図4(a)に示すように、被写体Hsのテーブルの正面板の模様である水平線と垂直線の中心をキャリブレーションの原点位置P0とし、その原点位置P0におけるロボットカメラの初期位置M0を特定して焦点が合うように調整しキャリブレーションを行うことで、原点位置P0及び、その原点位置P0におけるロボットカメラ1の初期位置M0を設定する。なお、キャリブレーションを行うときのロボットカメラ1の操作についても操作機11の操作により行っている。次に、原点位置P0の付近にCGオブジェクト(図示せず)を配置し、ロボットカメラ1は、パン軸をすばやく左右に振る。遅延時間が正しく設定されていない場合には、表示モニタ30で表示される実写とCGオブジェクトがずれるため、ずれが軽減する方に遅延時間を変更して調整する。この作業を繰り返すことで遅延時間を予め設定し、入力手段7から調整して入力されることで設定手段6により設定される。なお、実写とCGオブジェクトとがずれているか否かの判断は、作業者の目視により行われ、作業者の認識でずれていない状態となるレベルである。つまり、ここでの遅延時間を設定するロボットカメラ1では、作業者の目視による判断でずれがないと認識できるレベルで充分である。
【0027】
図2に示すように、モータ指令モジュール3cは、データ遅延モジュール3bから指令データを受取り、駆動モータ部4に指令データを指令値として送るものである。このモータ指令モジュール3cは、駆動モータ部4の各駆動モータ4a〜4nに対してそれぞれの指令データ(例えば、電圧の値、電流の値等)を指令値として送っている。
【0028】
駆動モータ部4は、モータ指令モジュール3cからの指令データである指令値を受け取り、各駆動軸に対応する駆動モータ4a〜4nを作動させる。この駆動モータ部4は、ロボットカメラ1が遠隔操作されて駆動するすべての駆動軸に対応する駆動モータ4a〜4nに指令データを伝達している。例えば、図2に示すように、駆動モータ4cは、カメラ5のズーム機構の駆動軸を示すものであり、レンズのズーム動作を行うときの駆動軸を動作させることを示している。このように駆動モータ4a〜4nは、パン、チルト、アイリスの絞り等、及び、フロアを移動するときに使用する車輪の駆動軸等、ロボットカメラ1が遠隔操作により駆動する駆動軸を、指令データに基づいて駆動モータ4a〜4nにより作動させる。
【0029】
カメラ5は、被写体Hsを撮影するものである。このカメラ5は、被写体Hsを映すレンズ5aと、レンズ5aを介して受光する受光部5b等を備えているテレビ映像用に使用されるカメラである。カメラ5で撮影された被写体Hsの映像は、接続ケーブル(図示せず)を介して後記するCG合成装置20に送られる。
【0030】
ロボットカメラ1は、以上説明したような構成を備えていることで、後記するCG合成装置20に、先に操作機データから算出されたカメラデータを送り、その後、所定の遅延時間を経た当該カメラデータに対応する映像を送るようにしているので、CG合成映像を作成するときに簡単なソフトウエアの交換により、カメラデータに基づいて作成されるCG映像に対応する映像を送る時間をかせぐことができるようになる。つまり、ロボットカメラ1では、演算部3の部分(カメラ目標位置算出モジュール3a)がソフトウエアで構成されることになるので、その演算部3を従来の構成のものと取り替えることで、カメラデータと映像とを既に説明したように所定のタイミングで送り出すことが可能となる。
【0031】
なお、ロボットカメラ1は、スタジオのフロア上を車輪等により移動する構成であるものとして説明したが、スタジオ内をクレーンや軌道レールで移動するタイプの構成であってもすでに説明した構成と同様に対応することが可能となる。
【0032】
つぎに、図1及び図3を参照してCG合成装置20の構成について説明する。
CG合成装置20は、送られて来たカメラデータ及び当該カメラデータに対応する映像を用いて、CG映像Vgを合成したCG合成映像Vを作成する装置である。このCG合成装置20は、カメラデータ入力手段21と、撮影位置算出手段22、位置記憶手段23と、CG映像作成手段24と、CGデータ記憶手段25と、映像入力手段26と、合成映像作成手段27と、出力手段28と、を備えている。
【0033】
カメラデータ入力手段21は、ロボットカメラ1から送られて来るカメラデータを受取り、撮影位置算出手段22に受け渡す。このカメラデータ入力手段21は、ここではワイヤレスでカメラデータを受け取ることができる構成を備えている。
【0034】
位置記憶手段23は、予めXYZ座標内のどの位置にCG映像Vgを作成するかのアドレス等の位置データが記憶されている。なお、位置記憶手段23には図示しない入力手段によりCG映像Vgのアドレス等が入力できるように構成されている。また、位置記憶手段23は、ロボットカメラ1が移動する例えばスタジオフロアの位置におけるXYZ座標内において、ロボットカメラ1のキャリブレーションを行ったときの当該ロボットカメラ1の位置をカメラ初期位置M0(図4参照)あるいは、撮影がはじまってロボットカメラ1が移動したときのそれぞれの位置の情報を記憶する。
【0035】
撮影位置算出手段22は、受け取ったカメラデータに基づいて、位置記憶手段23に記憶しているカメラ初期位置M0、及び、CG映像の作成位置からXYZ座標内において、どの位置にロボットカメラ1が移動しズーム等どの状態で撮影されるかを演算し、その撮影される位置においてXYZ座標内で指定されるCG映像位置を特定する。つまり、撮影位置演算手段22は、カメラデータに基づいて、仮想カメラの位置を演算し、その仮想カメラで撮影したときのCG映像を作成する作成位置を演算している。例えば、図4(a)に示すように、撮影位置算出手段22は、ロボットカメラ1のカメラ初期位置M0をXYZ座標内において予めキャリブレーションを行い記憶している位置記憶手段23から得ることができる。そのため、撮影位置算出手段22は、送られて来たカメラデータに基づいて、ロボットカメラ1の各駆動モータを作動させた場合、図4(a)、(b)に示すように、仮想線(図4(a)参照)で示すロボットカメラの位置(第1移動位置M1に相当:図4(b)参照)に移動したときに、撮影ショットの種類、例えばズーム等で撮影するときの状態から、撮影されるフレーム内でのCG映像の作成位置を算出することができる。
【0036】
また、図3及び図4(b)に示すように、撮影位置算出手段22は、第1移動位置M1から次の指令データによりロボットカメラ1が所定位置(第2移動位置M2)に実際に移動してその位置で撮影されるフレーム内でのCG映像Vgの作成位置を算出する等、カメラ初期位置M0から指令データで移動した結果となるカメラデータにより次のカメラ目標位置におけるCG映像位置を算出する。前記した例示のように、撮影位置算出手段22では、ロボットカメラ1のカメラ初期位置M0を位置記憶手段23から受け取り、そのカメラ初期位置M0からどれだけ移動してどの様なズーム状態等で撮影するかを示すカメラデータがあれば、CG映像位置は、XYZ座標内において特定することが可能となる。
【0037】
ちなみに、図4(c)の左側に示すように、第1移動位置M1で撮影される実写である映像での被写体Hs(図1参照)の状態は、演者の左側から机の後ろのボードがやや画面内から切れる状態となるバストショット映像であって、ボード上をCG映像位置としていることになる。また、図4(c)の右側に示すように、第2移動位置M2で撮影される被写体Hs(図1参照)の状態では、演者、机及びボードを正面から撮影する状態におけるボード上の位置をCG映像位置としていることになる。なお、図4(c)で示す被写体側の映像は、その映像におけるCG映像位置を示すために模式的に記載しているので、算出する場合には、視認できる映像としては存在していないため仮想線として示している。
【0038】
図3に示すように、撮影位置算出手段22によりCG映像位置が算出されると、その算出されたCG映像位置に対応するCG映像がCG映像作成手段24により作成される。このCG映像作成手段24は、CGデータ記憶手段25から予め設定されているCGデータを取得してカメラデータにより位置が特定されたCG映像位置に対応するCG映像Vgを作成している。例えば、取得したCGデータが正面を向いている2次元のウサギのバストショットとなる基準映像であって、CG映像位置が右斜め45度からなるボード上で所定の割合でズームされている場合には、基準映像に対してCG映像位置における投影変換を行ってCG映像位置にCG映像を作製している。CG映像作成手段24で作成されたCG映像Vgは、合成映像作成手段27に出力される。
【0039】
映像入力手段26は、ロボットカメラ1から送られて来た映像を入力して合成映像作成手段27に出力する。この映像入力手段26で受け取る映像は、ロボットカメラ1のデータ遅延モジュール3bで、当該映像に対応する指令データ(指令データより駆動させた結果となるカメラデータと同等)が、所定の遅延時間において遅らせた状態により被写体Hsを撮影したものである。
合成映像作成手段27は、CG映像作成手段24から送られて来たCG映像Vgと、映像入力手段26から送られて来た映像とを合成する。この合成映像作成手段27で合成して作成されたCG合成映像Vは、出力手段28に送られ、その出力手段28から出力される。
【0040】
CG合成装置20は、以上のように構成されているので、映像に対応するカメラデータを、その映像よりも早く受取り、そのカメラデータによりCG映像位置を算出して、算出したCG映像位置に対応するCG映像Vgを作成する。そして、CG合成装置20は、カメラデータに対応する指令データにより撮影のタイミングを予め設定された遅延時間だけ遅らせて撮影した映像をロボットカメラ側から受取り、映像とCG映像Vgを合成してCG合成映像Vを作成している。そのため、CG合成装置20において、リップシンクのずれが発生せず映像と音声の調整をする必要がない状態となる。
【0041】
次に、図1〜図4を適宜用いて、図5を主に参照して、バーチャルスタジオシステム10のロボットカメラ1及びCG合成装置20の動作を説明する。
はじめに、図1に示すように、ロボットカメラ1は、キャリブレーションを行い、実写の映像とCG映像とを一致させる。このキャリブレーションは次のような動作により行う。実際に撮影するスタジオ等のフロア上におけるXYZ座標での原点位置P0(図4(a)参照)を設定する。キャリブレーションを行う場合には、図4(c)に示すように、例えば、被写体Hsの中のテーブルにおける水平線と垂直線で示される模様の中心(図4(c)参照)をキャリブレーションの原点位置P0とし、その原点位置P0を撮影したロボットカメラ1の位置をカメラ初期位置M0として設定して、位置記憶手段23に記憶させる。なお、ロボットカメラ1は、原点位置P0が撮影できる位置であればどこでも構わない。
【0042】
次に、原点位置P0の付近に予め準備したCGオブジェクトを配置し、ロボットカメラ1は、操作機11の操作によりパン軸をすばやく左右に振ることで、CGオブジェクトと実写となる映像とのずれがないかを表示モニタ30を見ながら作業者の目視で判断する。CGオブジェクトが映像からずれる場合には、遅延時間が正しく設定されていないことになり、ずれが軽減する方に遅延時間を変更して調整する。この作業を繰り返すことで遅延時間を予め設定し、入力手段7から調整して入力されることで設定手段6によりロボットカメラ1の遅延時間が設定される。
【0043】
ロボットカメラ1のデータ遅延モジュール3bの遅延時間が設定されると、実際のバーチャルスタジオ撮影の準備が整う。なお、バーチャルスタジオ撮影は、図1に示すように、演者が机の横に立ち、机の後ろのボード上にウサギとロボットのCGデータであるCG映像Vgを合成したCG合成映像Vにおいて、演者とCGデータとが会話するバーチャル番組を一例として説明する。また、ロボットカメラ1は、図示しない他のカメラ(ロボットカメラ等)を省略し、はじめにカメラ初期位置M0から第1移動位置M1に移動する状態を一例として説明する。
【0044】
まず、番組がスタートするとカメラマン(操作者)は、操作機11を介してロボットカメラ1を遠隔操作して、ロボットカメラ1をカメラ初期位置M0から被写体Hsを撮影して第1移動位置M1に移動させることとする。なお、ロボットカメラ1の位置の移動は、操作機11の図示しないジョイスティック等の操作により例えば、図4(b)に示すように、カメラ初期位置M0から斜め左前方の位置である第1移動位置M1に移動させることとする。そして、移動中は、操作機11のハンドルを操作することで、被写体(演者)Hsにカメラを向けて、第1移動位置に到来したら、操作機11の操作によりズームを行い、バストショットを撮影する(図4(c)の左側の状態)こととする。さらに図4(b)に示すように、操作機11の操作により第1移動位置M1から右斜め横となる第2移動位置M2に移動させ被写体(演者)Hsの全身が映るショットとする場合(図4(c)の右側の状態)であるとする。
【0045】
ロボットカメラ1は、撮影がはじまると、図2及び図5で示すように、操作機データをネットワーク部2で受け取り、演算部3のカメラ目標位置算出モジュール3aで指令データを演算し、その指令データにより駆動モータが移動した結果のカメラ目標位置となるカメラデータを算出する。そして、ロボットカメラ1は、ネットワーク部2を介してカメラデータをCG合成装置20に送ると共に、データ遅延モジュール3bに指令データを出力する。さらに、ロボットカメラ1は、データ遅延モジュール3bにおいて予め設定されている遅延時間となるn2秒だけ指令データを遅延させてモータ指令モジュール3cを介して駆動モータ部4の各駆動モータ4a〜4nを作動させて実写となる被写体Hsを撮影する。ロボットカメラ1は、カメラデータに対応するn2秒だけ遅延させた映像をCG合成装置20に出力することになる。
【0046】
ここで、ロボットカメラ1を第1移動位置M1に移動する場合、操作機11を操作する操作者は、はじめに、移動させる動作を行い、第1移動位置M1にロボットカメラ1が被写体Hsに向きながら移動して配置された後に、ズームを行わせ被写体Hsのバストショットを撮影できる状態としている。つまり、ロボットカメラ1が移動するときは、常に、n2秒だけ指令データにより遅れた状態となり移動することになる。また、ロボットカメラ1が移動すれば、その移動によりカメラパラメータが送られることで、XYZ座標上におけるロボットカメラ1の位置が仮想カメラの位置としてCG合成装置20dでは、演算することができる状態となる。
【0047】
そして、第1移動位置M1に移動した後に、ズームされると、そのズームするための指令データもn2秒だけ遅れた状態で操作され、そのときのカメラデータは、CG合成装置20に送られて仮想カメラの状態が演算されてカメラ目標位置がCG合成装置20で分かる状態となっている。また、第1移動位置M1から第2移動位置M2に移動するときにも、前記したようにロボットカメラ1とCG合成装置20とが動作することになる。
なお、操作機11からの操作機データとして移動のデータと、ズームのデータとが同時に送られていった場合、ロボットカメラ1は、移動しながらズームを行うことになるが、常に、操作機11で操作した手順によりn2秒遅れた状態で、動作することになる。つまり、ロボットカメラ1は、操作機11による操作において、常に、n2秒遅れて動作することとなる。また、ここでは、ロボットカメラ1が移動する場合には、例えば、操作機11のジョイスティック(図示せず)のオンとなる状態の倒す方向でロボットカメラ1の移動方向が決まり、そのジョイスティックをオンにした時間により移動距離が決まるように設定されている。したがって、操作機11からの操作する場合の移動に対応する情報が、パン、チルト、ズームの情報と共に、操作機データとしてロボットカメラ1に送られている。
【0048】
CG合成装置20は、カメラデータをカメラデータ入力手段21により受取り、撮影位置算出手段22により位置記憶手段23に記憶されているカメラ初期位置M0、CG映像位置及び、受け取ったカメラデータを使用して、そのカメラデータに対応する映像におけるCG映像の作成位置を算出する。そして、CG合成装置20は、算出されたCG映像位置に対応するように、CG映像作成手段24によりCGデータ記憶手段25から取得したCGデータに基づいて、CG映像Vg(図1参照)を投影変換等により作成する。なお、当該カメラデータに対応する映像は、n2秒だけ遅延してCG合成装置20の映像入力手段26により受け取られる。
【0049】
そして、CG合成装置20は、作成したCG映像Vgと、当該カメラデータに対応してn2秒だけ遅延した状態で受け取った映像とを合成して、CG合成映像Vを作成して出力手段28を介して出力している。なお、ここでは、CG合成装置20がCG合成映像Vを作成する場合は、ロボットカメラ1で撮影された全ての映像について行うこととして説明した。つまり、例示した図4(b)においては、第1移動位置M1にカメラ初期位置M0から移動するとき、及び、第1移動位置M1から第2移動位置M2に移動するとき、常にCG合成映像Vが作成され出力されている。そのため、ここでは、カメラデータは、映像周波数の60Hzと同じタイミングでロボットカメラ1からCG装置20に送られている。出力されたCG合成映像Vは、例えば、図1に示すように、表示モニタ30に表示したときに、リップシンクのずれなどの違和感がないため、ロボットカメラ1によるショットを制限されることがない。また、このCG合成装置20は、CG合成映像Vを作成して出力する作業が、ロボットカメラ1においてカメラデータに対応する指令データにより撮影のタイミングを予め設定された遅延時間だけ遅らせて撮影した映像を使用しているので、追加機材を必要としない。
【0050】
このように、ロボットカメラ1、及び、そのロボットカメラ1とCG合成装置20とを備えるバーチャルスタジオシステム10では、ロボットカメラ1側において、演算部3の構成をソフトウエアとしたときに、そのソフトウエアを取り替えることで、操作機等に追加機材を必要せず、CG合成装置20側にロボットカメラ1のカメラ初期位置M0等の位置データを予め記憶しておくことで、映像よりも先にカメラデータが来たときに、CG映像Vgの位置が算出でき、CG合成映像Vをスムーズに作成でき、リップシンクのずれが発生することがない。
【0051】
なお、CG合成装置20で作成されるCG映像Vgは、投影変換を一例として示したが、その他の手法により行ってもよく、特に限定されるものではない。また、CG映像Vgと映像とを合成する場合についても、一般的な手法により合成することができるものであれば、特に限定されるものではない。
また、CG合成装置20は、CG映像の作成と、CG映像と実写映像との合成とを一台の装置で処理するように説明したが、図3で示す中央の仮想線の位置でそれぞれの装置として構成しても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 ロボットカメラ
1a フロア移動機構
2 ネットワーク部
2a 受信モジュール
2b 送信モジュール
3 演算部
3a カメラ目標位置算出モジュール(カメラ目標位置算出手段)
3b データ遅延モジュール(データ遅延手段)
3c モータ指令モジュール(モータ指令手段)
4 駆動モータ部
4a〜4n 駆動モータ
5 カメラ
5a レンズ
5b 受光部
6 設定手段
7 入力手段
10 バーチャルスタジオシステム
11 操作機
20 CG合成装置
21 カメラデータ入力手段
22 撮影位置算出手段
23 位置記憶手段
24 CG映像作成手段
25 CGデータ記憶手段
26 映像入力手段
27 合成映像作成手段
28 出力手段
30 表示モニタ
Hs 被写体
M1 第1移動位置
M2 第2移動位置
P0 原点位置
M1 カメラ初期位置
V CG合成映像
Vg CG映像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータにより駆動可能なカメラ及びフロア移動機構を備え、被写体を前記カメラで撮影した実写の映像にCG合成装置によりCG映像を合成したCG合成映像を作成する際に使用され、操作機の操作機データから算出したカメラデータにより前記駆動モータの遠隔操作が行われて撮影するロボットカメラであって、
前記操作機からの操作機データを入力すると共に、前記カメラデータを前記CG合成装置に出力するネットワーク手段と、
このネットワーク手段により受け取った前記操作機データから前記駆動モータの指令値となる指令データ、及び、その指令データにより前記駆動モータの移動した結果となる前記カメラデータを算出すると共に、算出した前記カメラデータを前記ネットワーク手段に送るカメラ目標位置算出手段と、
このカメラ目標位置算出手段により算出された前記指令データを予め設定された遅延時間だけ保持して前記CG合成装置に前記カメラデータを出力する時間よりも遅らせるデータ遅延手段と、
このデータ遅延手段により遅延させた前記指令データにより前記駆動モータを作動させ前記カメラをカメラ目標位置となるようにするモータ指令手段と、
を備えることを特徴とするロボットカメラ。
【請求項2】
前記データ遅延手段は、前記遅延時間を予め設定する設定手段を備え、
前記設定手段は、外部に設置される入力手段からの入力により前記遅延時間を設定することを特徴とする請求項1に記載のロボットカメラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロボットカメラと、このロボットカメラにより被写体を撮影した映像にCG映像を合成するCG合成装置とを備えるバーチャルスタジオシステムにおいて、
前記CG合成装置は、前記被写体を撮影するフロア位置の座標上における前記ロボットカメラのカメラ初期位置及びCG映像の作成位置を予め記憶する位置記憶手段と、
前記ロボットカメラで算出されたカメラデータを入力するカメラデータ入力手段と、
入力した前記カメラデータに基づいて前記位置記憶手段に記憶されている前記カメラ初期位置及び前記作成位置から、前記ロボットカメラの駆動モータが作動して前記カメラのカメラ目標位置におけるCG映像の作成位置を算出する撮影位置算出手段と、
算出した前記CG映像の作成位置に対応したCG映像を作成するCG映像作成手段と、
前記ロボットカメラで予め設定した前記遅延時間だけ遅延させて撮影した映像を入力する映像入力手段と、
前記CG映像作成手段で作成したCG映像と、前記映像入力手段で入力した映像とを合成してCG合成映像を作成する合成映像作成手段と、
この合成映像作成手段で作成したCG合成映像を出力する出力手段と
を備えることを特徴とするバーチャルスタジオシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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