ロボットハンド用交換爪モジュール
【課題】ロボットハンドのハンド本体に装備された指部材に着脱可能に装着されるロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること。
【解決手段】指部材3を有するロボットハンド1に、指部材3に着脱可能で且つ指部材3の開閉動作に連動して開閉される爪部材13を備えた交換爪モジュール5を着脱可能に装着する。交換爪モジュール5は、指部材3を挿入可能な挿入孔12dを備え且つ爪部材13が装備された爪支持部材12、爪支持部材12を対応する指部材3の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構15、案内機構15を介して爪支持部材12を支持するフレーム部材11等を備えている。
【解決手段】指部材3を有するロボットハンド1に、指部材3に着脱可能で且つ指部材3の開閉動作に連動して開閉される爪部材13を備えた交換爪モジュール5を着脱可能に装着する。交換爪モジュール5は、指部材3を挿入可能な挿入孔12dを備え且つ爪部材13が装備された爪支持部材12、爪支持部材12を対応する指部材3の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構15、案内機構15を介して爪支持部材12を支持するフレーム部材11等を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットハンド用交換爪モジュールに関し、特にロボットハンドのハンド本体に装備された指部材に対して着脱可能に装着されるロボットハンド用交換爪モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場等において、垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等のアームの先端の手首部に取り付けられたロボットハンドが実用に供されている。複数種類の形状又は姿勢のワークを個別に把持してある場所から別の場所に移動させる為に、特許文献1,2のように、ワークに応じてハンド本体に装備される複数の指部材のみを交換可能としたものが実用化されている。
【0003】
特許文献1のロボット装置(ロボットハンド)は、ロボットアームの先端に設けられたハンド本体(把持手段)と、このハンド本体に着脱可能な複数の把持爪(指部材)とを備えている。ハンド本体に把持爪を装着する場合、保持台(治具)に把持爪を保持し、ロボットアームを水平方向に移動させて、把持爪の上端部に形成された1対の係合溝に、ハンド本体の1対の把持爪装着部を係合させ、把持爪の上端部に設けられたロックピンをハンド本体の下端部に形成された凹部に係合させることで、ハンド本体に複数の把持爪を着脱可能に装着している。
【0004】
特許文献2のロボットハンドは、ロボットアームの先端に取り付けられたハンド本体としてのコモンベースと、このコモンベースに着脱可能な且つモジュール化された複数のフィンガー(指部材)を有するフィンガーユニットとを備えている。コモンベースにフィンガーユニットを装着する場合、所定の治具にフィンガーユニットを設置し、ロボットアームをフィンガーユニットの上方から接近させて、フィンガーユニットの上端部に突出状に設けられた1対のロケートピンを、コモンベースの下端部に形成された1対のロケート穴に嵌合し、ロケートピンにロックピンを係合させることで、コモンベースにフィンガーユニットを装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−120140号公報
【特許文献2】特開2007−222971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のロボットハンドでは、現在の指部材を一度取り外した後に、新たに別の指部材を装着することになる。再度元の指部材に復帰する場合、同様に、別の指部材を取り外した後に、元の指部材を装着することになり、2度の着脱作業を行う必要がある。従って、着脱作業に手間がかかり、作業能率が悪くなる。また、特許文献2のロボットハンドにおいては、各フィンガーユニットに複数の指部材を開閉駆動する為の開閉駆動源が内蔵されているので、製作コストが高価になる。
【0007】
本発明の目的は、指部材に着脱可能に装着されるロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、作業能率を向上し得る且つ製作コストを低減可能なロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、複数種類の形状や姿勢のワークを把持可能なロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のロボットハンド用交換爪モジュールは、指部材を有するロボットハンドに着脱可能に装着される交換爪モジュールであって、前記指部材に着脱可能で且つ前記指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項1の発明において、前記指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2の発明において、前記指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項4のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3の発明において、前記ロック機構は、前記指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、前記爪支持部材に装着され且つ前記横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項5のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項6のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項7のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3〜6の何れか1項の発明において、前記指部材を前記挿入孔へ挿入する場合と前記指部材を前記挿入孔から抜き取る場合には、前記ハンド本体内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフすることを特徴としている。
【0015】
請求項8のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3〜6の何れか1項の発明において、前記指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め前記交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取ることを特徴としている。
【0016】
請求項9のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項1〜8の何れか1項の発明において、前記爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明(ロボットハンド用交換爪モジュール)によれば、指部材を有するロボットハンドに、指部材に着脱可能で且つ指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えた交換爪モジュールが着脱可能に装着されるので、指部材を最も使用頻度の高い形状に構成して、種々の形状の異なるワークの取り出し作業に適用し、指部材では把持できないワークを取り出す場合にのみ、指部材に交換爪モジュールを装着して爪部材によってワークを取り出す。従って、指部材をロボットハンドから取り外す必要がなく、爪部材の着脱回数を減らすことがでるので、作業能率を高めることができる。
【0018】
また、複数の交換爪モジュールを準備することで、複数種類のワークを保持可能とすることができ、汎用性を高めることができる。各交換爪モジュールに開閉駆動源を新たに設ける必要がないので、製作コストを低減することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたので、指部材の開閉方向への動作を、爪部材に円滑に且つ高精度に伝達することができる上、交換爪モジュールを全体としてコンパクトに構成でき、収納ケースの奥部や隅部などの狭隘スペースからのワークの取り出しが可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたので、このロック機構によって、指部材に交換爪モジュールを容易に装着する事ができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、ロック機構は、指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、爪支持部材に装着され且つ横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたので、ボールプランジャのボールを指部材の横溝部に係合することで、交換爪モジュールを指部材に確実に固定することができ、ボールプランジャのボールの横溝部に対する係合を解除することで、交換爪モジュールを指部材から容易に取り外すことができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、各爪支持部材とフレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたので、ワークの内面を把持する場合に、指部材の把持力に弾性部材の弾性付勢力を付加することで、爪部材の把持力を向上させ、ロボットハンドの大型化を防止することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、各爪支持部材とフレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたので、ワークの外面を把持する場合に、複数の指部材の把持力に弾性部材の弾性付勢力を付加することで、爪部材の把持力を向上させ、ロボットハンドの大型化を防止することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、指部材を挿入孔へ挿入する場合と指部材を挿入孔から抜き取る場合には、ロボットハンド内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフするので、指部材と交換爪モジュールの何れにも余計な負荷が加わらないフリーな状態で交換爪モジュールを着脱することできる。
【0025】
請求項8の発明によれば、指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取るので、次に指部材に交換爪モジュールを装着する際に、指部材を交換爪モジュールの挿入孔に円滑に挿入して確実に装着でき、位置決めの為のセンサシステムを必要としないので、製作コストを低減することができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたので、爪部材によるワークに対する把持力を減速又は増速機能を有する機構によって調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係るロボットハンドとこのロボットハンドに装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの正面図である。
【図2】指部材に装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの上方からの斜視図である。
【図3】指部材に装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの下方からの斜視図である。
【図4】ロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図5】ロボットハンド用交換爪モジュールの裏面図である。
【図6】指部材と爪支持部材と爪部材の斜視図である。
【図7】指部材と爪支持部材と爪部材の斜視図である。
【図8】指部材と爪支持部材と爪部材の断面図である。
【図9】指部材の斜視図である。
【図10】保管治具と保管治具にセットされたロボットハンド用交換爪モジュールの斜視図である。
【図11】実施例2に係るロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図12】実施例3に係るロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図13】実施例4に係るロボットハンド用交換爪モジュールの正面図である。
【図14】1対のリンク部材と爪部材の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
先ず、ロボットハンド1について説明する。
図1〜図3に示すように、ロボットハンド1は、垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等のロボットアームAに設けられるものである。ロボットハンド1は、ロボットアームAの先端に手首部A1を介して回転軸心Sの回りに回転駆動可能に取り付けられたハンド本体2と、このハンド本体2に装備された開閉可能な既設の標準的な汎用性の高い3つの指部材3とを有している。このロボットハンド1の3つの指部材3に、後述する交換爪モジュール5が着脱可能に装着される。以下では、ロボットハンド1は、縦向きの基準姿勢にした場合を例として説明する。
【0030】
図1に示すように、ハンド本体2は、円筒状の外周面を有し、ロボットアームAの先端の手首部A1の取付面Fに位置決めピンで位置決めした状態で複数のボルトで固定されている。ハンド本体2内にはハンド駆動機構が設けられ、このハンド駆動機構の開閉駆動用駆動モータMにより3つの指部材3が開閉駆動される。
【0031】
3つの指部材3は、ハンド本体2の下端部に周方向に120度間隔に設けられ、ワーク(図示略)を解除可能に把持するように構成されている。尚、指部材3の数は3つに限定される訳ではなく、1つでも2つでもよく、4つ以上でもよい。以下では、1つの指部材3について説明する。
【0032】
図1〜図3,図6〜図9に示すように、指部材3は側面視L型に構成され、指部材3の上端部に形成された固定部7と、この固定部7の軸心S側の内端側約1/4部分から下方へ鉛直向きに所定長さ延びる指部8とから一体的に形成されている。
【0033】
固定部7は、放射方向へ細長い矩形板状に形成されている。この固定部7には、2つのボルト挿通孔7aと、上方開放状のピン穴7bが形成され、ハンド本体2内のハンド駆動機構の出力部にピン部材により位置決めした状態で、複数のボルトにより固定され、軸心Sを中心として半径方向(放射方向)へ開閉動作するようになっている。固定部7の内端部分は、開角約120度のテーパ形状の端部に平面を設けた形状である。
【0034】
指部8は、固定部7の周方向幅の約1/3程度の幅を有する。この指部8の内端部は、固定部7と同様に開角約120度のテーパ形状の端部に平面を設けた形状である。
指部材3の内端部には、軸心Sと平行方向(鉛直方向)に延びる把持面8aであってワークを把持可能な把持面8aが形成されている(図2,図3,図7,図8参照)。
【0035】
指部8の外側面には、軸心Sと平行な鉛直面8b、この鉛直面8bの下端に連なり且つ下方ほど軸心S側に傾斜するテーパ面8cが形成されている。指部8の長さ方向の中段部の鉛直面8bの下部には、後述するロック機構14の断面V形の横溝部8dが形成されている。
【0036】
ハンド本体2内のハンド駆動機構の開閉駆動用駆動モータMを正転方向や逆転方向へ駆動して、3つの指部材3を接近方向(閉方向)へ駆動することにより、3つの把持面8a間にワークの外面を把持することができ、3つの指部材3を離隔方向(開方向)へ駆動することにより、ワークに対する把持を解除することができる。上記とは反対に、ワークの穴の内面を把持したり、把持解除したりすることもできる。
【0037】
次に、交換爪モジュール5について説明する。
図1〜図8に示すように、交換爪モジュール5は、フレーム部材11と、このフレーム部材11の内側に周方向120度おきに配置された3つの爪支持部材12と、これら3つの爪支持部材12の下端部に夫々固定された3つの爪部材13と、交換爪モジュール5を3つの指部材3にロックする為の3つのロック機構14と、3つの爪支持部材12が放射方向に移動するように夫々案内する3つの案内機構15と、3つの爪支持部材12を夫々閉方向に弾性付勢する3組のスプリング部材16等を備え、ロボットハンド1の3つの指部材3に着脱可能に装着されるものである。
【0038】
次に、フレーム部材11について説明する。
図1〜図5に示すように、フレーム部材11は、ロボットハンド1の軸心Sを中心とする正六角形の外形を有し、3つの案内機構15を介して3組の爪支持部材12及び爪部材13を夫々支持するものである。フレーム部材11は、6つ辺を形成する6つの辺形成部11aと、1つおきの辺形成部11aの中央部の内面に夫々続されて軸心S方向に延びて中心部において一体的に連結され且つ平面視にてY形をなす3つの放射枠部11bとから一体的に形成されている。
【0039】
フレーム部材11には、隣接する2つの放射枠部11bの間で辺形成部11aの内側に夫々形成された3つの開口部18が形成されている。これら開口部18の軸心S側内端部には凹部11cが夫々形成されている。各開口部18に、爪支持部材12と、ロック機構14と、案内機構15と、1対のスプリング部材16が1組ずつ配設されている。各爪支持部材12の下面には、爪部材13が固定されている。
【0040】
次に、複数の爪支持部材12について説明するが、これらは同じ構成であるので1つの爪支持部材12について説明する。
図1〜図8に示すように、爪支持部材12は、径方向内側に向けて突出する凸部を有する平面視凸の字形に形成され、1対のガイドロッド26を介して半径方向に移動可能にフレーム部材11に設けられている。爪支持部材12は、直方体状の本体部12aと、この本体部12aから内側に突出する平面視C形の凸部12bと、本体部12aの下部から辺形成部11aの方へ延びる平板部12cとを有する。
【0041】
爪支持部材12は、指部材3を挿入可能な挿入孔12dと、後述するボールプランジャ23が装着された装着孔12eと、1対のガイドロッド26が挿通された1対のロッド挿通孔12fとを備えている。挿入孔12dは、凸部12bに軸心Sと平行な鉛直方向に貫通状に形成されている。装着孔12eは、本体部12aの周方向中心部から挿入孔12dに向けて水平に貫通状に形成されている。1対のロッド挿通孔12fは、本体部12aの装着孔12eを挟んだ両側部分に装着された低摩擦の鍔付き軸受12gでもって夫々形成されている。
【0042】
爪支持部材12の本体部12aと凸部12bは、フレーム部材11よりも上下方向に厚く形成されている。本体部12aの下部には、位置決めピンが挿入される下方開放状のピン穴12hが形成され、平板部12cには爪部材13を固定する為の2つのボルト孔12iが形成されている。
【0043】
爪支持部材12が、1対のスプリング部材16により最大限閉じた閉位置にある場合、爪支持部材12の凸部12bが放射枠部11bの凹部11cに僅かな隙間をもって係合し、本体部12aの内端面のうち凸部12bの両側部位が、放射枠部11bの凹部11cの両側の受止面11dに面接触して受け止められる。
【0044】
次に、複数の爪部材13について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つの爪部材13について説明する。
図1〜図3,図5〜図8に示すように、爪部材13は側面視L型に構成され、指部材3によって開閉駆動されるものである。爪部材13は、上端部に形成された固定部21と、この固定部21の軸心S側の内端側約1/3部分から下方へ鉛直に延びる爪部22とから一体的に形成されている。爪部材13は、指部材3の鉛直方向の全長の約1/2程度の長さのものである。
【0045】
固定部21は、放射方向へ細長い矩形板状に形成されている。この固定部21には、2つのボルト挿通孔21aと、上方開放状のピン穴21bとが形成されている。この固定部21は、爪支持部材12の平板部12cに対してピン部材21cにより位置決めした状態で、2つのボルト21dにより固定されている。指部材3が爪支持部材12の挿入孔12dに挿入されてロック機構14によりロックされた状態では、指部材3の爪部22は爪部材13の内側近傍に位置し、爪部材13の爪部22は指部材3の下端よりも下方へ突出し、指部材3の下端は爪部22の中段部に位置する。このため、爪部材13により、指部材3より大型のワークを把持可能である。この「把持」とは、ワークの外面を把持する場合と、ワークの内面を内側から押圧して把持する場合を含む。
【0046】
爪部22は、固定部21の幅方向と同じ幅を有する。爪部材13の軸心S側の先端側部分において、固定部21と爪部22の下端部を除く大部分の内端側面は1対のテーパ面と中央の平面とを含む折れ面である。爪部22の下端部には、半径方向と直交状の鉛直面な把持面22aであって、ワークWを把持可能な把持面22aが形成されている。爪部22の径方向外側面には、径方向と直交状の鉛直面22bが形成されている。
【0047】
交換爪モジュール5において、3つの指部材3を接近方向(閉方向)へ駆動させることにより、3つの爪支持部材12を介して3つの爪部材13を接近方向へ移動させ、3つの爪部22によってワークWを把持することができ、上記と逆に駆動することで、ワークWの把持を解除することができる。
【0048】
他方、ワークの内面を把持する場合は、3つの指部材3を離隔方向(開方向)へ駆動させることにより、3つの爪支持部材12を介して3つの爪部材13を離隔方向へ移動させ、3つの爪部22によってワークWの内面を把持することができ、上記と逆に駆動することで、ワークWの把持を解除することができる。
尚、爪部材13の形状は一例を示したに過ぎず、把持対象となるワークの形状又は姿勢に応じて種々の形状を採用可能である。
【0049】
次に、複数のロック機構14について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つのロック機構14について説明する。
図6,図8,図9に示すように、ロック機構14は、指部材3の指部8に長さ方向と直交状に形成された上述の横溝部8dと、爪支持部材12に装着され且つ横溝部8dに係脱可能なボールプランジャ23とで構成されている。ロック機構14は、指部材3の指部8が爪支持部材12の挿入孔12dに所定状態に挿入されたときに指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックするものである。
【0050】
図8に示すように、ボールプランジャ23は、筒体23aと、この筒体23a内に装着された圧縮バネ23bと、筒体23aの内端部の内側に可動に保持され且つ圧縮バネ23bにより弾性付勢されて横溝部8dに係脱可能なボール23cとを有する。筒体23aの収容孔に圧縮バネ23bとボール23cが収容されている。圧縮バネ23bは、収容孔に圧縮状に装着され、バネ受板23dを介してボール23cを挿入孔12dの方へ弾性付勢している。
【0051】
筒体23aの外周部には雄ネジが形成され、この筒体23aはボール23cが挿入孔12d内に突出するように装着孔12eに螺合されている。筒体23aはロックナット24により爪支持部材12の本体部12aに固定されている。それ故、ボールプランジャ23の筒体23aを回動することによって先端部(ボール23c)の位置を調整可能に構成されている。
【0052】
交換爪モジュール5を3つの指部材3に装着し、指部材3を爪支持部材12にロックする場合、3つの指部材3の指部8が上方から3つの挿入孔12dに夫々挿入されると、指部8のテーパ面8cによって、ボール23cが圧縮バネ23bの付勢力に抗して径方向外側に押圧されて筒体23a内に退入し、指部8の横溝部8dがボール23cの位置に達すると、圧縮バネ23bの弾性付勢力によってボール23aが進出して横溝部8dに係合しロック状態となる。
【0053】
ロックを解除する場合、指部材3を上方へ引き抜くと、横溝部8dの下側斜面によって、ボール23cが圧縮バネ23bの付勢力に抗して径方向外側に押圧されて筒体23a内に退入し、指部材3のロックが解除される。尚、横溝部8dがボール23cの位置に達する状態が所定状態に相当する。
【0054】
次に、複数の案内機構15について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つの案内機構15について説明する。
図2〜図5に示すように、案内機構15は、辺形成部11aと直交する方向に延びる1対のガイドロッド26を有し、爪支持部材12に対応する指部材3の開閉方向へ爪支持部材12を移動可能に案内するものである。1対のガイドロッド26は、辺形成部11aと直交状に且つ所定の間隔をあけて平行に配置され、爪支持部材12を貫通する状態にしてフレーム部材11に装着されている。
【0055】
1対のガイドロッド26は、辺形成部11aの1対の挿通孔に夫々挿通され、開口部18を横断して、爪支持部材12の1対の鍔付き軸受12gに形成した水平なロッド挿通孔12fを挿通し、内端部が放射枠部11bの受止面11dに開口したネジ穴に螺合されている。1対のガイドロッド26の径方向外側の端部には頭部26aが形成され、この頭部26aが辺形成部11aの外面に係止されている。
【0056】
辺形成部11aにおいて、1対の頭部26a間には貫通孔11eが形成されている。この貫通孔11eにより、爪支持部材12が径方向外側に移動した場合、ボールプランジャ23の外側端部を、辺形成部11aの内側面と接触させずに逃すことができる。また、ボールプランジャ23の位置を調整する場合、この貫通孔11eを介して工具を筒体23aの六角穴23eに係合させることができる。
【0057】
次に、複数の1対のスプリング部材16について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1対のスプリング部材16について説明する。
図2〜図5に示すように、1対のスプリング部材16(弾性部材に相当する)は、各爪支持部材12と辺形成部11aとの間に設けられ、爪支持部材12を閉方向に弾性付勢している。1対のスプリング部材16は、1対のガイドロッド26に圧縮状に夫々外装されている。各スプリング部材16の径方向外側端部が、辺形成部11aの内側面に当接し、各スプリング部材16の径方向内側端部が、爪支持部材12の本体部12aに設けられた鍔付き軸受12gの外側鍔部に当接している。
【0058】
ここで、本発明の交換爪モジュール5が指部材3から取り外された際に収容される保管治具30について説明する。
図10に示すように、保管治具30は、交換爪モジュール5を所定の位置決め状態にして収容する為の収容部を形成する収容部形成部材32を備え、例えば、ベース部材31の上端部に組付けられている。尚、保管治具30に関しては、図10の前後左右を前後左右として説明する。
【0059】
ベース部材31は、図10の仮想線で示すように平面視コ字型に形成されているが、特にこの形状に限定する必要はなく、収容部形成部材32が固定可能であれば種々の形状を採用可能である。また、収容部形成部材32が何らかの場所に固定可能な状態であれば、ベース部材31を省略しても良い。
【0060】
収容部形成部材32は、受止用溝部41aを形成する規制部材41と、ガイド用溝部42aを形成する左右1対の規制部材42とを備えている。これら規制部材41,42は、側面視L型の同様の外形形状に夫々構成されている。規制部材41は、受止用溝部41aが前方に開口するように複数のボルト43を介してベース部材31に固定され、1対の規制部材42は、ガイド用溝部42aが対向するように複数のボルト43を介してベース部材31に夫々固定され、これら受止用溝部41aとガイド用溝部42aによって収容部が形成されている。対向するガイド用溝部42aの間は、交換爪モジュール5の六角形の外接円の直径より僅かに大きい。
【0061】
この保管治具30においては、ロボットアームAの移動に伴いロボットハンド1に装備された交換爪モジュール5を前方から収容部のガイド用溝部42a間に挿入し、フレーム部材11の1つの辺形成部11bを受止用溝部41aの奥端壁面に当接させ、ロボットハンド1の複数の指部材3により所定の位置決め状態にされて収容部に収納されるように構成されている。
【0062】
次に、本発明の交換爪モジュール5の作用・効果について説明する。
例えば、既設の標準的な汎用性の高い3つの指部材3によって、種々の形状の異なるワークを収納した収納ケースからワークを取り出して、ある場所から別の場所に移動させる場合、図示しないロボット制御ユニットによりロボットアームAを駆動制御して、収納ケースの上方にロボットハンド1を移動させる。
【0063】
次に、ロボットハンド1を把持対象となるワークに向けて下方に移動させ、ハンド制御ユニットにより3つの指部材3を制御して、ワークを把持して取り出す。そして、ロボットハンド1を移動させて目的位置のパレット上にワークを載置し、次のワークを取り出す為に、再びロボットハンド1を収納ケースの上方に移動させ、以下同様にして複数のワークの取り出し作業を連続して行ない、パレット上に複数のワークを整列させた状態に載置する。しかし、3つの指部材3では、例外的に把持できないワークWが含まれている場合がある。そこで、このワークWを収納ケースから取り出すために、3つの指部材に交換爪モジュール5を装着する。
【0064】
先ず、ロボット制御ユニットによりロボットアームAを駆動制御して、保管治具30にセットされている交換爪モジュール5の上方にロボットハンド1を移動させる。次に、ロボットハンド1を下方(鉛直方向)に移動させ、3つの指部材3を上方から交換爪モジュール5の対応する複数の挿入孔12dへ夫々挿入し、3つの指部材3の横溝部8dにロック機構14のボール23cを夫々係合させてロック状態にする。尚、複数の指部材3を複数の挿入孔12dへ挿入するとき、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフして、フリーな状態で実行する。
【0065】
次に、ロボットアームAを駆動制御して、交換爪モジュール5が装着されたロボットハンド1を水平方向に移動させ、保管治具30の収容部から交換爪モジュール5を抜き出し、収納ケースの上方にロボットハンド1を移動させる。次に、ロボットハンド1を把持対象となるワークWに向けて下方に移動させ、ハンド制御ユニットにより3つの指部材3を介して3つの爪部材13を制御して、ワークWを把持して取り出す。このとき、交換爪モジュール5のスプリング部材16が閉方向に弾性付勢されているので、ワークWの把持力を向上させることができる。そして、ロボットハンド1を移動させて目的位置のパレット上にワークWを載置する。
【0066】
次に、3つの指部材3による把持作業に復帰する場合、ロボットアームAを駆動制御して、ロボットハンド1を保管治具30の収容部に対して水平方向に移動させ、交換爪モジュール5を収容部に挿入する。交換爪モジュール5を保管治具30へ収容した後に、ロボットハンド1を上方に移動させると、交換爪モジュール5が保管治具30に係止されてロック機構14による横溝部8dへのロック状態が解除され、ロボットハンド1から交換爪モジュール5を取り外すことができる。そして、再度3つの指部材3によってワークの取り出し作業を継続する。
【0067】
尚、3つの指部材3を3つの挿入孔12dから抜き取る場合には、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフするが、3つの指部材3を3つの爪支持部材12の挿入孔12dから抜き取る際には、予め交換爪モジュール5を所定の保管治具30にセットし且つ次回装着時に3つの指部材3を対応する3つの挿入孔12dに円滑に挿入し易い所定の状態に位置決めしてから抜き取るように制御する。この位置決めにおいては、交換爪モジュール5の中心と3つの挿入孔12dの中心が一致しているので、3つの指部材3で交換爪モジュール5の爪部材13を把持動作(閉動作)させることで位置決めすることができる。
【0068】
この交換爪モジュール5によれば、ロボットアームAの先端に手首部A1を介して回転駆動可能に取り付けられたハンド本体2と、このハンド本体2に装備された開閉可能な既設の3つの指部材3とを有するロボットハンド1に、3つの指部材3の開閉動作に連動して開閉される3つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5が着脱可能に装着されるので、既設の3つの指部材3を最も使用頻度の高い形状に構成して、種々の形状の異なるワークの取り出し作業に適用し、3つの指部材3では把持できないワークWを取り出す場合にのみ、例外的に3つの指部材3に交換爪モジュール5を装着して3つの爪部材13によってワークWを取り出す。従って、指部材3をハンド本体2から取り外す必要がなく、爪部材の着脱回数を減らすことがでるので、作業能率を高めることができる。
【0069】
また、複数の交換爪モジュール5を準備することで、複数種類のワークを保持可能とすることができ、汎用性を高めることができる。各交換爪モジュール5に爪部材13を開閉駆動する為の開閉駆動源を新たに設ける必要がないので、コストを低減することができる。
【0070】
3つの指部材3を挿入可能な挿入孔12dを夫々備え且つ3つの爪部材13が夫々装備された3つの爪支持部材12と、これら3つの爪支持部材12を対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する3つの案内機構15と、これら3つの案内機構15を介して3つの爪支持部材12を夫々支持するフレーム部材11を備えたので、3つの指部材3の開閉方向への動作を、3つの爪部材13に円滑に且つ高精度に伝達することができる上、交換爪モジュール5を全体としてコンパクトに構成でき、収納ケースの奥部や隅部などの狭隘スペースからのワークの取り出しが可能となる。
【0071】
3つの指部材3の各々が爪支持部材12の挿入孔12dに所定状態に挿入されたときに指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックする3つのロック機構14を設けたので、これら3つのロック機構14によって、3つの指部材3に対する交換爪モジュール5を容易に装着する事ができる。
【0072】
ロック機構14は、指部材3に長さ方向と直交状に形成された横溝部8dと、爪支持部材12に装着され且つ横溝部8dに係脱可能なボールプランジャ23とで構成されたので、ボールプランジャ23のボール23cを指部材3の横溝部8dに係合することで、交換爪モジュール5を指部材3に確実に固定することができ、ボールプランジャ23のボール23cの横溝部8dに対する係合を解除することで、交換爪モジュール5を指部材3から容易に取り外すことができる。
【0073】
各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を閉方向に弾性付勢するスプリング部材16を設けたので、ワークの外面を把持する場合に、3つの指部材3の把持力に対してスプリング部材16の弾性付勢力を付加することで、爪部材13の把持力を向上させ、ロボットハンド1の大型化を防止することができる。
【0074】
指部材3を挿入孔12dへ挿入する場合と指部材3を挿入孔12dから抜き取る場合には、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフするので、指部材3と交換爪モジュール5の何れにも余計な負荷が加わらないフリーな状態で交換爪モジュール5を着脱することできる。
【0075】
3つの指部材3を3つの爪支持部材12の挿入孔12dから抜き取る際には、予め交換爪モジュール5を所定の保管治具30にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取るので、次に3つの指部材3に交換爪モジュール5を装着する際に、指部材3を交換爪モジュール5の挿入孔12dに円滑に挿入して確実に装着でき、位置決めの為のセンサシステムを必要としないので、製作コストを低減することができる。
【実施例2】
【0076】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例2について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図11に示すように、この交換爪モジュール5Aは、各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を開方向に弾性付勢する1対のスプリング部材16Aを設けたものである。
【0077】
図11に示すように、1対のスプリング部材16A(弾性部材に相当する)は、各爪支持部材12とフレーム部材11の放射枠部11bとの間に設けられ、爪支持部材12を開方向に弾性付勢している。1対のスプリング部材16Aは、1対のガイドロッド26に圧縮状に夫々外嵌されている。各スプリング部材16Aの径方向外側端部が、爪支持部材12の本体部12aに当接し、各スプリング部材16Aの径方向内側端部が、放射枠部11bに当接している。
【0078】
以上説明したように、各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を開方向に弾性付勢するスプリング部材16Aを設けたので、ワークの内面を把持する場合に、複数の指部材3の把持力に対してスプリング部材16Aの弾性付勢力を付加することで、爪部材13の把持力を向上させ、ロボットハンド1の大型化を防止することができる。
【実施例3】
【0079】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例3について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図12に示すように、この交換爪モジュール5Bは、2つの爪部材13を支持する為の形状の異なる2つの爪支持部材12,12Bを有し、一方の爪支持部材12Bに2つの指部材3が挿入可能な細長い長円形状の挿入孔51が形成されている。
【0080】
図12に示すように、交換爪モジュール5Bは、1つの指部材3を挿入可能な挿入孔12dを備え且つ1つの爪部材13が装備された爪支持部材12と、2つの指部材3を挿入可能な挿入孔51を備え且つ1つの爪部材13が装備された前記爪支持部材12より大きいサイズの爪支持部材12Bと、これら2つの爪支持部材12,12Bを対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する2つの案内機構15,15Bと、これら2つの案内機構15,15Bを介して2つの爪支持部材12,12Bを夫々支持するフレーム部材11Bと、指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックするロック機構14や、爪支持部材12,12Bを閉方向に弾性付勢するスプリング部材16等を備えている。
【0081】
フレーム部材11Bは、ロボットハンド1の軸心Sを中心とする正六角形の外形を有し、2つの案内機構15,15Bを介して2組の爪支持部材12,12Bと爪部材13を夫々支持するものである。フレーム部材11Bは、6つ辺を形成する6つの辺形成部11Baと、対向する角部とこの角部の両側の辺形成部11Bbの内面に夫々接続されて軸心S方向に延びて中心部において一体的に連結され且つ幅広の直線形状をなす2つの放射枠部11Bbとから一体的に形成されている。
【0082】
フレーム部材11Bの内側には、2つの放射枠部11Bbを挟んで対向状に2つの開口部18,18Bが形成されている。これら開口部18,18Bの軸心S側内端部には凹部11c,11Bcが夫々形成されている。右側の開口部18Bは、フレーム部材11の右側半分の大部分を占める開口面積を有している。右側の開口部18Bには、爪支持部材12B、案内機構15B、1対のスプリング部材16が1組配設されている。尚、左側の開口部18は前記実施例1と同様であり、この左側の開口部18に配設された爪支持部材12、ロック機構14や案内機構15等は前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0083】
右側の爪支持部材12Bは、ほぼ直方体状に形成され、案内機構15Bの1対のガイドロッド26Bを介して辺形成部11Bbと直交する方向に移動可能にフレーム部材11Bに設けられている。爪支持部材12Bは、直方体状の本体部12Baと、この本体部12Baから内側に僅かに突出する凸部12Bbと、本体部12Baの下部から辺形成部11Baの方へ延びて辺形成部11Baの下面に当接している平板部12Bcとを有する。爪支持部材12Bには、2つの指部材3を挿入可能な長円形状の挿入孔51と、1対のガイドロッド26が挿通された1対のロッド挿通孔(図示略)が形成されている。
【0084】
爪支持部材12Bが、1対のスプリング部材16により最大限閉じた閉位置にある場合、爪支持部材12Bの凸部12Bbが放射枠部11Bbの凹部11Bcに僅かな隙間をもって係合し、本体部12Baの内端面のうち凸部12Bbの両側部位が、放射枠部11Bbの凹部11Bcの両側の受止面11Bdに面接触して受け止められる。爪支持部材12Bが最大限開いた開位置にある場合、2つの指部材3は挿入孔51の両端部に当接する。
【0085】
案内機構15Bは、辺形成部11Baと直交する方向に延びる1対のガイドロッド26Bを有し、1対のガイドロッド26Bは、辺形成部11aと直交状に且つ1対のガイドロッド26間の間隔より広い間隔をあけて平行に配置されている。
【0086】
交換爪モジュール5Bを指部材3に装着する場合、1つの指部材3を爪支持部材12の挿入孔12dに挿入し、2つの指部材3を爪支持部材12Bの挿入孔51の両端部から間隔をあけた位置に挿入し、3つの指部材3に交換爪モジュール5Bを装着する。ハンド制御ユニットによる開駆動に伴い、3つの指部材3を開方向(放射方向)に移動させると、爪支持部材12は前記実施例1と同様に1つの指部材3に連動して外側に移動される。爪支持部材12Bにおいては、2つの指部材3が挿入孔51の両端部に向けて移動しながら爪支持部材12Bを外側に移動させ、交換爪モジュール5Bを開状態にすることができる。このとき、爪支持部材12Bの爪部材13の把持力は、2つの指部材3のベクトルの合成により爪支持部材12の爪部材13と同じ把持力を奏する。
【0087】
以上説明したように、既設の3つの指部材3を備えたロボットハンド1に対して、実施例1の3つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5に代えて、2つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5Bを装着することができるので、交換爪モジュール5Bの汎用性を高めることができる。尚、爪部材13の形状は、前記実施例1と同様のものであっても良いし、その他の形状を採用しても良い。
【実施例4】
【0088】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例4について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図13,図14に示すように、この交換爪モジュール5Cにおいて、複数の爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して複数の爪支持部材12Cに夫々取り付けられている。尚、この実施例4では、指部材3と爪部材13Cは、夫々2つの場合を例にして説明する。
【0089】
図13,図14に示すように、交換爪モジュール5Cは、2つの指部材3を挿入可能な挿入孔(図示略)を夫々備え且つ2つの爪部材13Cが1対のリンク部材55,56を介して夫々装備された2つの爪支持部材12Cと、これら2つの爪支持部材12Cを対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する2つの案内機構(図示略)と、これら2つの案内機構を介して2つの爪支持部材12Cを夫々支持するフレーム部材11Cと、指部材3を爪支持部材12Cに対して解除可能にロックするロック機構(図示略)や、爪支持部材12Cを閉方向に弾性付勢するスプリング部材(図示略)等を備えている。尚、フレーム部材11C、爪支持部材12C、案内機構、ロック機構、スプリング部材等は前記実施例1と実質的に同様のものであるので詳細な説明は省略する。
【0090】
各爪支持部材12Cの下端部に、1対のリンク部材55,56の上端部がピン部材57を介して回動可能に夫々支持され、1対のリンク部材55,56の長手方向中段部の下側において1対のリンク部材55,56の交差部分(全長の下側から約1/3部分)はピン部材58により回動可能に連結されている。尚、この1対のリンク部材55,56が、減速機能を有する機構に相当する。
【0091】
2つの爪部材13Cは、矩形状に形成され、1対のリンク部材55,56の先端部(下端部)に一体的に夫々取り付けられている。2つの爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して開状態(図13の実線参照)と閉状態(図13の2点鎖線参照)に亙って回動可能に構成されている。2つの爪部材13Cには、閉状態で鉛直面となる把持面59が夫々形成されている。
【0092】
2つの指部材3に交換爪モジュール5Cが装着されている状態で、ロボットハンド1の閉駆動に伴い2つの指部材3が水平方向に接近する方向に移動すると、図13に示すように、2つの爪部材13Cは下方に移動しながら各把持面59が、指部材3の開閉速度より遅い開閉速度(指部材3の開閉速度の約1/2〜1/3倍の開閉速度)に減速されて接近する方向に移動し、閉状態になる。ワークを把持する場合は、1対のリンク部材55,56を介して爪部材13Cが閉駆動されるので、1対のリンク部材55,56による減速機能により、爪部材13Cの把持力は、指部材3の把持力と比較して約2〜3倍程度に増力される。
【0093】
以上説明したように、各爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して爪支持部材12Cに取り付けられたので、複数の爪部材13Cによる把持力を1対のリンク部材55,56(減速機能を有する機構)によって増力することができる。尚、実施例4の1対のリンク部材55,56である減速機能を有する機構は一例を示すものに過ぎず、種々の構造の減速機能を有する機構を採用することが可能である。また、減速機能に代えて、増速機能を有する種々の構造の機構を採用することも可能である。これら減速又は増速機能を有する機構により把持力を調整することができる。
【0094】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例1,2においては、ロボットハンド1は3つの指部材3を備え、交換爪モジュール5,5Aは3つの爪部材13を備え、前記実施例3においては、ロボットハンド1は3つの指部材3を備え、交換爪モジュール5Bは2つの爪部材13を備え、前記実施例4においては、ロボットハンド1は2つの指部材3を備え、交換爪モジュール5Cは2つの爪部材13Cを備えているが、特にこれらの数に限定する必要はなく、ロボットハンド1が指部材3を1つや2つ又は4つ以上備え、交換爪モジュール5が爪部材13を1つや2つ又は4つ以上備える構成にしても良いし、1又は複数の指部材3に交換爪モジュール5を装備して1又は複数の爪部材13を開閉駆動可能であれば、種々の数の組み合わせを採用可能である。
【0095】
[2]前記実施例1〜4の交換爪モジュール5,5A,5B,5Cにおけるフレーム部材11,11B,11Cや爪支持部材12,12B,12Cは一例を示すものに過ぎず、種々の構造のフレーム部材や爪支持部材を採用することが可能であり、フレーム部材11,11B,11Cや爪支持部材12,12B,12Cは、鋼製のものでも良く、軽合金製のものでも良く、合成樹脂製のものでも良い。
【0096】
[3]前記実施例1〜4のロック機構14において、指部材3の横溝部8dに対してボールプランジャ23のボール23cを係合させてロックする構造を採用しているが、特にこの構造に限定する必要はなく、その他の種々のロック手段によりロックしても良い。
【0097】
[4]前記実施例1〜4の複数の指部材3の形状は一例を示したに過ぎず、挿入孔12dに挿入可能で且つ横溝部8dが形成されていれば、把持対象となるワークの形状又は姿勢に応じて種々の形状を採用可能である。
【0098】
[5]前記実施例1〜3の交換爪モジュール5,5A,5Bにおいて、爪支持部材12,12Bと爪部材13は別々に構成されているが、特にこの別々の構成に限定する必要はなく、爪支持部材12,12Bと爪部材13を一体的に形成しても良い。
【0099】
[6]前記実施例1〜3において、弾性部材としてスプリング部材16,16Aが採用されているが、特にスプリング部材16,16Aに限定する必要なく、ゴム部材等の他の爪支持部材を弾性付勢するものであれば種々のものが採用可能である。
【0100】
[7]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0101】
A ロボットアーム
A1 手首部
F 取付面
W ワーク
1 ロボットハンド
2 ハンド本体
3 指部材
5,5A,5B,5C 交換爪モジュール
8d 横溝部
11,11B,11C フレーム部材
12,12B,12C 爪支持部材
12d,51 挿入孔
13,13C 爪部材
14 ロック機構
15,15B 案内機構
16,16A スプリング部材
23 ボールプランジャ
30 保管治具
55,56 1対のリンク部材(減速又は増速機能を有する機構)
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットハンド用交換爪モジュールに関し、特にロボットハンドのハンド本体に装備された指部材に対して着脱可能に装着されるロボットハンド用交換爪モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場等において、垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等のアームの先端の手首部に取り付けられたロボットハンドが実用に供されている。複数種類の形状又は姿勢のワークを個別に把持してある場所から別の場所に移動させる為に、特許文献1,2のように、ワークに応じてハンド本体に装備される複数の指部材のみを交換可能としたものが実用化されている。
【0003】
特許文献1のロボット装置(ロボットハンド)は、ロボットアームの先端に設けられたハンド本体(把持手段)と、このハンド本体に着脱可能な複数の把持爪(指部材)とを備えている。ハンド本体に把持爪を装着する場合、保持台(治具)に把持爪を保持し、ロボットアームを水平方向に移動させて、把持爪の上端部に形成された1対の係合溝に、ハンド本体の1対の把持爪装着部を係合させ、把持爪の上端部に設けられたロックピンをハンド本体の下端部に形成された凹部に係合させることで、ハンド本体に複数の把持爪を着脱可能に装着している。
【0004】
特許文献2のロボットハンドは、ロボットアームの先端に取り付けられたハンド本体としてのコモンベースと、このコモンベースに着脱可能な且つモジュール化された複数のフィンガー(指部材)を有するフィンガーユニットとを備えている。コモンベースにフィンガーユニットを装着する場合、所定の治具にフィンガーユニットを設置し、ロボットアームをフィンガーユニットの上方から接近させて、フィンガーユニットの上端部に突出状に設けられた1対のロケートピンを、コモンベースの下端部に形成された1対のロケート穴に嵌合し、ロケートピンにロックピンを係合させることで、コモンベースにフィンガーユニットを装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−120140号公報
【特許文献2】特開2007−222971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のロボットハンドでは、現在の指部材を一度取り外した後に、新たに別の指部材を装着することになる。再度元の指部材に復帰する場合、同様に、別の指部材を取り外した後に、元の指部材を装着することになり、2度の着脱作業を行う必要がある。従って、着脱作業に手間がかかり、作業能率が悪くなる。また、特許文献2のロボットハンドにおいては、各フィンガーユニットに複数の指部材を開閉駆動する為の開閉駆動源が内蔵されているので、製作コストが高価になる。
【0007】
本発明の目的は、指部材に着脱可能に装着されるロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、作業能率を向上し得る且つ製作コストを低減可能なロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、複数種類の形状や姿勢のワークを把持可能なロボットハンド用交換爪モジュールを提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のロボットハンド用交換爪モジュールは、指部材を有するロボットハンドに着脱可能に装着される交換爪モジュールであって、前記指部材に着脱可能で且つ前記指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項1の発明において、前記指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2の発明において、前記指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項4のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3の発明において、前記ロック機構は、前記指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、前記爪支持部材に装着され且つ前記横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項5のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項6のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項2〜4の何れか1項の発明において、前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項7のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3〜6の何れか1項の発明において、前記指部材を前記挿入孔へ挿入する場合と前記指部材を前記挿入孔から抜き取る場合には、前記ハンド本体内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフすることを特徴としている。
【0015】
請求項8のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項3〜6の何れか1項の発明において、前記指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め前記交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取ることを特徴としている。
【0016】
請求項9のロボットハンド用交換爪モジュールは、請求項1〜8の何れか1項の発明において、前記爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明(ロボットハンド用交換爪モジュール)によれば、指部材を有するロボットハンドに、指部材に着脱可能で且つ指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えた交換爪モジュールが着脱可能に装着されるので、指部材を最も使用頻度の高い形状に構成して、種々の形状の異なるワークの取り出し作業に適用し、指部材では把持できないワークを取り出す場合にのみ、指部材に交換爪モジュールを装着して爪部材によってワークを取り出す。従って、指部材をロボットハンドから取り外す必要がなく、爪部材の着脱回数を減らすことがでるので、作業能率を高めることができる。
【0018】
また、複数の交換爪モジュールを準備することで、複数種類のワークを保持可能とすることができ、汎用性を高めることができる。各交換爪モジュールに開閉駆動源を新たに設ける必要がないので、製作コストを低減することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたので、指部材の開閉方向への動作を、爪部材に円滑に且つ高精度に伝達することができる上、交換爪モジュールを全体としてコンパクトに構成でき、収納ケースの奥部や隅部などの狭隘スペースからのワークの取り出しが可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたので、このロック機構によって、指部材に交換爪モジュールを容易に装着する事ができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、ロック機構は、指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、爪支持部材に装着され且つ横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたので、ボールプランジャのボールを指部材の横溝部に係合することで、交換爪モジュールを指部材に確実に固定することができ、ボールプランジャのボールの横溝部に対する係合を解除することで、交換爪モジュールを指部材から容易に取り外すことができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、各爪支持部材とフレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたので、ワークの内面を把持する場合に、指部材の把持力に弾性部材の弾性付勢力を付加することで、爪部材の把持力を向上させ、ロボットハンドの大型化を防止することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、各爪支持部材とフレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたので、ワークの外面を把持する場合に、複数の指部材の把持力に弾性部材の弾性付勢力を付加することで、爪部材の把持力を向上させ、ロボットハンドの大型化を防止することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、指部材を挿入孔へ挿入する場合と指部材を挿入孔から抜き取る場合には、ロボットハンド内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフするので、指部材と交換爪モジュールの何れにも余計な負荷が加わらないフリーな状態で交換爪モジュールを着脱することできる。
【0025】
請求項8の発明によれば、指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取るので、次に指部材に交換爪モジュールを装着する際に、指部材を交換爪モジュールの挿入孔に円滑に挿入して確実に装着でき、位置決めの為のセンサシステムを必要としないので、製作コストを低減することができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたので、爪部材によるワークに対する把持力を減速又は増速機能を有する機構によって調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係るロボットハンドとこのロボットハンドに装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの正面図である。
【図2】指部材に装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの上方からの斜視図である。
【図3】指部材に装備されたロボットハンド用交換爪モジュールの下方からの斜視図である。
【図4】ロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図5】ロボットハンド用交換爪モジュールの裏面図である。
【図6】指部材と爪支持部材と爪部材の斜視図である。
【図7】指部材と爪支持部材と爪部材の斜視図である。
【図8】指部材と爪支持部材と爪部材の断面図である。
【図9】指部材の斜視図である。
【図10】保管治具と保管治具にセットされたロボットハンド用交換爪モジュールの斜視図である。
【図11】実施例2に係るロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図12】実施例3に係るロボットハンド用交換爪モジュールの平面図である。
【図13】実施例4に係るロボットハンド用交換爪モジュールの正面図である。
【図14】1対のリンク部材と爪部材の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
先ず、ロボットハンド1について説明する。
図1〜図3に示すように、ロボットハンド1は、垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等のロボットアームAに設けられるものである。ロボットハンド1は、ロボットアームAの先端に手首部A1を介して回転軸心Sの回りに回転駆動可能に取り付けられたハンド本体2と、このハンド本体2に装備された開閉可能な既設の標準的な汎用性の高い3つの指部材3とを有している。このロボットハンド1の3つの指部材3に、後述する交換爪モジュール5が着脱可能に装着される。以下では、ロボットハンド1は、縦向きの基準姿勢にした場合を例として説明する。
【0030】
図1に示すように、ハンド本体2は、円筒状の外周面を有し、ロボットアームAの先端の手首部A1の取付面Fに位置決めピンで位置決めした状態で複数のボルトで固定されている。ハンド本体2内にはハンド駆動機構が設けられ、このハンド駆動機構の開閉駆動用駆動モータMにより3つの指部材3が開閉駆動される。
【0031】
3つの指部材3は、ハンド本体2の下端部に周方向に120度間隔に設けられ、ワーク(図示略)を解除可能に把持するように構成されている。尚、指部材3の数は3つに限定される訳ではなく、1つでも2つでもよく、4つ以上でもよい。以下では、1つの指部材3について説明する。
【0032】
図1〜図3,図6〜図9に示すように、指部材3は側面視L型に構成され、指部材3の上端部に形成された固定部7と、この固定部7の軸心S側の内端側約1/4部分から下方へ鉛直向きに所定長さ延びる指部8とから一体的に形成されている。
【0033】
固定部7は、放射方向へ細長い矩形板状に形成されている。この固定部7には、2つのボルト挿通孔7aと、上方開放状のピン穴7bが形成され、ハンド本体2内のハンド駆動機構の出力部にピン部材により位置決めした状態で、複数のボルトにより固定され、軸心Sを中心として半径方向(放射方向)へ開閉動作するようになっている。固定部7の内端部分は、開角約120度のテーパ形状の端部に平面を設けた形状である。
【0034】
指部8は、固定部7の周方向幅の約1/3程度の幅を有する。この指部8の内端部は、固定部7と同様に開角約120度のテーパ形状の端部に平面を設けた形状である。
指部材3の内端部には、軸心Sと平行方向(鉛直方向)に延びる把持面8aであってワークを把持可能な把持面8aが形成されている(図2,図3,図7,図8参照)。
【0035】
指部8の外側面には、軸心Sと平行な鉛直面8b、この鉛直面8bの下端に連なり且つ下方ほど軸心S側に傾斜するテーパ面8cが形成されている。指部8の長さ方向の中段部の鉛直面8bの下部には、後述するロック機構14の断面V形の横溝部8dが形成されている。
【0036】
ハンド本体2内のハンド駆動機構の開閉駆動用駆動モータMを正転方向や逆転方向へ駆動して、3つの指部材3を接近方向(閉方向)へ駆動することにより、3つの把持面8a間にワークの外面を把持することができ、3つの指部材3を離隔方向(開方向)へ駆動することにより、ワークに対する把持を解除することができる。上記とは反対に、ワークの穴の内面を把持したり、把持解除したりすることもできる。
【0037】
次に、交換爪モジュール5について説明する。
図1〜図8に示すように、交換爪モジュール5は、フレーム部材11と、このフレーム部材11の内側に周方向120度おきに配置された3つの爪支持部材12と、これら3つの爪支持部材12の下端部に夫々固定された3つの爪部材13と、交換爪モジュール5を3つの指部材3にロックする為の3つのロック機構14と、3つの爪支持部材12が放射方向に移動するように夫々案内する3つの案内機構15と、3つの爪支持部材12を夫々閉方向に弾性付勢する3組のスプリング部材16等を備え、ロボットハンド1の3つの指部材3に着脱可能に装着されるものである。
【0038】
次に、フレーム部材11について説明する。
図1〜図5に示すように、フレーム部材11は、ロボットハンド1の軸心Sを中心とする正六角形の外形を有し、3つの案内機構15を介して3組の爪支持部材12及び爪部材13を夫々支持するものである。フレーム部材11は、6つ辺を形成する6つの辺形成部11aと、1つおきの辺形成部11aの中央部の内面に夫々続されて軸心S方向に延びて中心部において一体的に連結され且つ平面視にてY形をなす3つの放射枠部11bとから一体的に形成されている。
【0039】
フレーム部材11には、隣接する2つの放射枠部11bの間で辺形成部11aの内側に夫々形成された3つの開口部18が形成されている。これら開口部18の軸心S側内端部には凹部11cが夫々形成されている。各開口部18に、爪支持部材12と、ロック機構14と、案内機構15と、1対のスプリング部材16が1組ずつ配設されている。各爪支持部材12の下面には、爪部材13が固定されている。
【0040】
次に、複数の爪支持部材12について説明するが、これらは同じ構成であるので1つの爪支持部材12について説明する。
図1〜図8に示すように、爪支持部材12は、径方向内側に向けて突出する凸部を有する平面視凸の字形に形成され、1対のガイドロッド26を介して半径方向に移動可能にフレーム部材11に設けられている。爪支持部材12は、直方体状の本体部12aと、この本体部12aから内側に突出する平面視C形の凸部12bと、本体部12aの下部から辺形成部11aの方へ延びる平板部12cとを有する。
【0041】
爪支持部材12は、指部材3を挿入可能な挿入孔12dと、後述するボールプランジャ23が装着された装着孔12eと、1対のガイドロッド26が挿通された1対のロッド挿通孔12fとを備えている。挿入孔12dは、凸部12bに軸心Sと平行な鉛直方向に貫通状に形成されている。装着孔12eは、本体部12aの周方向中心部から挿入孔12dに向けて水平に貫通状に形成されている。1対のロッド挿通孔12fは、本体部12aの装着孔12eを挟んだ両側部分に装着された低摩擦の鍔付き軸受12gでもって夫々形成されている。
【0042】
爪支持部材12の本体部12aと凸部12bは、フレーム部材11よりも上下方向に厚く形成されている。本体部12aの下部には、位置決めピンが挿入される下方開放状のピン穴12hが形成され、平板部12cには爪部材13を固定する為の2つのボルト孔12iが形成されている。
【0043】
爪支持部材12が、1対のスプリング部材16により最大限閉じた閉位置にある場合、爪支持部材12の凸部12bが放射枠部11bの凹部11cに僅かな隙間をもって係合し、本体部12aの内端面のうち凸部12bの両側部位が、放射枠部11bの凹部11cの両側の受止面11dに面接触して受け止められる。
【0044】
次に、複数の爪部材13について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つの爪部材13について説明する。
図1〜図3,図5〜図8に示すように、爪部材13は側面視L型に構成され、指部材3によって開閉駆動されるものである。爪部材13は、上端部に形成された固定部21と、この固定部21の軸心S側の内端側約1/3部分から下方へ鉛直に延びる爪部22とから一体的に形成されている。爪部材13は、指部材3の鉛直方向の全長の約1/2程度の長さのものである。
【0045】
固定部21は、放射方向へ細長い矩形板状に形成されている。この固定部21には、2つのボルト挿通孔21aと、上方開放状のピン穴21bとが形成されている。この固定部21は、爪支持部材12の平板部12cに対してピン部材21cにより位置決めした状態で、2つのボルト21dにより固定されている。指部材3が爪支持部材12の挿入孔12dに挿入されてロック機構14によりロックされた状態では、指部材3の爪部22は爪部材13の内側近傍に位置し、爪部材13の爪部22は指部材3の下端よりも下方へ突出し、指部材3の下端は爪部22の中段部に位置する。このため、爪部材13により、指部材3より大型のワークを把持可能である。この「把持」とは、ワークの外面を把持する場合と、ワークの内面を内側から押圧して把持する場合を含む。
【0046】
爪部22は、固定部21の幅方向と同じ幅を有する。爪部材13の軸心S側の先端側部分において、固定部21と爪部22の下端部を除く大部分の内端側面は1対のテーパ面と中央の平面とを含む折れ面である。爪部22の下端部には、半径方向と直交状の鉛直面な把持面22aであって、ワークWを把持可能な把持面22aが形成されている。爪部22の径方向外側面には、径方向と直交状の鉛直面22bが形成されている。
【0047】
交換爪モジュール5において、3つの指部材3を接近方向(閉方向)へ駆動させることにより、3つの爪支持部材12を介して3つの爪部材13を接近方向へ移動させ、3つの爪部22によってワークWを把持することができ、上記と逆に駆動することで、ワークWの把持を解除することができる。
【0048】
他方、ワークの内面を把持する場合は、3つの指部材3を離隔方向(開方向)へ駆動させることにより、3つの爪支持部材12を介して3つの爪部材13を離隔方向へ移動させ、3つの爪部22によってワークWの内面を把持することができ、上記と逆に駆動することで、ワークWの把持を解除することができる。
尚、爪部材13の形状は一例を示したに過ぎず、把持対象となるワークの形状又は姿勢に応じて種々の形状を採用可能である。
【0049】
次に、複数のロック機構14について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つのロック機構14について説明する。
図6,図8,図9に示すように、ロック機構14は、指部材3の指部8に長さ方向と直交状に形成された上述の横溝部8dと、爪支持部材12に装着され且つ横溝部8dに係脱可能なボールプランジャ23とで構成されている。ロック機構14は、指部材3の指部8が爪支持部材12の挿入孔12dに所定状態に挿入されたときに指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックするものである。
【0050】
図8に示すように、ボールプランジャ23は、筒体23aと、この筒体23a内に装着された圧縮バネ23bと、筒体23aの内端部の内側に可動に保持され且つ圧縮バネ23bにより弾性付勢されて横溝部8dに係脱可能なボール23cとを有する。筒体23aの収容孔に圧縮バネ23bとボール23cが収容されている。圧縮バネ23bは、収容孔に圧縮状に装着され、バネ受板23dを介してボール23cを挿入孔12dの方へ弾性付勢している。
【0051】
筒体23aの外周部には雄ネジが形成され、この筒体23aはボール23cが挿入孔12d内に突出するように装着孔12eに螺合されている。筒体23aはロックナット24により爪支持部材12の本体部12aに固定されている。それ故、ボールプランジャ23の筒体23aを回動することによって先端部(ボール23c)の位置を調整可能に構成されている。
【0052】
交換爪モジュール5を3つの指部材3に装着し、指部材3を爪支持部材12にロックする場合、3つの指部材3の指部8が上方から3つの挿入孔12dに夫々挿入されると、指部8のテーパ面8cによって、ボール23cが圧縮バネ23bの付勢力に抗して径方向外側に押圧されて筒体23a内に退入し、指部8の横溝部8dがボール23cの位置に達すると、圧縮バネ23bの弾性付勢力によってボール23aが進出して横溝部8dに係合しロック状態となる。
【0053】
ロックを解除する場合、指部材3を上方へ引き抜くと、横溝部8dの下側斜面によって、ボール23cが圧縮バネ23bの付勢力に抗して径方向外側に押圧されて筒体23a内に退入し、指部材3のロックが解除される。尚、横溝部8dがボール23cの位置に達する状態が所定状態に相当する。
【0054】
次に、複数の案内機構15について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1つの案内機構15について説明する。
図2〜図5に示すように、案内機構15は、辺形成部11aと直交する方向に延びる1対のガイドロッド26を有し、爪支持部材12に対応する指部材3の開閉方向へ爪支持部材12を移動可能に案内するものである。1対のガイドロッド26は、辺形成部11aと直交状に且つ所定の間隔をあけて平行に配置され、爪支持部材12を貫通する状態にしてフレーム部材11に装着されている。
【0055】
1対のガイドロッド26は、辺形成部11aの1対の挿通孔に夫々挿通され、開口部18を横断して、爪支持部材12の1対の鍔付き軸受12gに形成した水平なロッド挿通孔12fを挿通し、内端部が放射枠部11bの受止面11dに開口したネジ穴に螺合されている。1対のガイドロッド26の径方向外側の端部には頭部26aが形成され、この頭部26aが辺形成部11aの外面に係止されている。
【0056】
辺形成部11aにおいて、1対の頭部26a間には貫通孔11eが形成されている。この貫通孔11eにより、爪支持部材12が径方向外側に移動した場合、ボールプランジャ23の外側端部を、辺形成部11aの内側面と接触させずに逃すことができる。また、ボールプランジャ23の位置を調整する場合、この貫通孔11eを介して工具を筒体23aの六角穴23eに係合させることができる。
【0057】
次に、複数の1対のスプリング部材16について説明するが、これらは全て同じ構成であるので1対のスプリング部材16について説明する。
図2〜図5に示すように、1対のスプリング部材16(弾性部材に相当する)は、各爪支持部材12と辺形成部11aとの間に設けられ、爪支持部材12を閉方向に弾性付勢している。1対のスプリング部材16は、1対のガイドロッド26に圧縮状に夫々外装されている。各スプリング部材16の径方向外側端部が、辺形成部11aの内側面に当接し、各スプリング部材16の径方向内側端部が、爪支持部材12の本体部12aに設けられた鍔付き軸受12gの外側鍔部に当接している。
【0058】
ここで、本発明の交換爪モジュール5が指部材3から取り外された際に収容される保管治具30について説明する。
図10に示すように、保管治具30は、交換爪モジュール5を所定の位置決め状態にして収容する為の収容部を形成する収容部形成部材32を備え、例えば、ベース部材31の上端部に組付けられている。尚、保管治具30に関しては、図10の前後左右を前後左右として説明する。
【0059】
ベース部材31は、図10の仮想線で示すように平面視コ字型に形成されているが、特にこの形状に限定する必要はなく、収容部形成部材32が固定可能であれば種々の形状を採用可能である。また、収容部形成部材32が何らかの場所に固定可能な状態であれば、ベース部材31を省略しても良い。
【0060】
収容部形成部材32は、受止用溝部41aを形成する規制部材41と、ガイド用溝部42aを形成する左右1対の規制部材42とを備えている。これら規制部材41,42は、側面視L型の同様の外形形状に夫々構成されている。規制部材41は、受止用溝部41aが前方に開口するように複数のボルト43を介してベース部材31に固定され、1対の規制部材42は、ガイド用溝部42aが対向するように複数のボルト43を介してベース部材31に夫々固定され、これら受止用溝部41aとガイド用溝部42aによって収容部が形成されている。対向するガイド用溝部42aの間は、交換爪モジュール5の六角形の外接円の直径より僅かに大きい。
【0061】
この保管治具30においては、ロボットアームAの移動に伴いロボットハンド1に装備された交換爪モジュール5を前方から収容部のガイド用溝部42a間に挿入し、フレーム部材11の1つの辺形成部11bを受止用溝部41aの奥端壁面に当接させ、ロボットハンド1の複数の指部材3により所定の位置決め状態にされて収容部に収納されるように構成されている。
【0062】
次に、本発明の交換爪モジュール5の作用・効果について説明する。
例えば、既設の標準的な汎用性の高い3つの指部材3によって、種々の形状の異なるワークを収納した収納ケースからワークを取り出して、ある場所から別の場所に移動させる場合、図示しないロボット制御ユニットによりロボットアームAを駆動制御して、収納ケースの上方にロボットハンド1を移動させる。
【0063】
次に、ロボットハンド1を把持対象となるワークに向けて下方に移動させ、ハンド制御ユニットにより3つの指部材3を制御して、ワークを把持して取り出す。そして、ロボットハンド1を移動させて目的位置のパレット上にワークを載置し、次のワークを取り出す為に、再びロボットハンド1を収納ケースの上方に移動させ、以下同様にして複数のワークの取り出し作業を連続して行ない、パレット上に複数のワークを整列させた状態に載置する。しかし、3つの指部材3では、例外的に把持できないワークWが含まれている場合がある。そこで、このワークWを収納ケースから取り出すために、3つの指部材に交換爪モジュール5を装着する。
【0064】
先ず、ロボット制御ユニットによりロボットアームAを駆動制御して、保管治具30にセットされている交換爪モジュール5の上方にロボットハンド1を移動させる。次に、ロボットハンド1を下方(鉛直方向)に移動させ、3つの指部材3を上方から交換爪モジュール5の対応する複数の挿入孔12dへ夫々挿入し、3つの指部材3の横溝部8dにロック機構14のボール23cを夫々係合させてロック状態にする。尚、複数の指部材3を複数の挿入孔12dへ挿入するとき、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフして、フリーな状態で実行する。
【0065】
次に、ロボットアームAを駆動制御して、交換爪モジュール5が装着されたロボットハンド1を水平方向に移動させ、保管治具30の収容部から交換爪モジュール5を抜き出し、収納ケースの上方にロボットハンド1を移動させる。次に、ロボットハンド1を把持対象となるワークWに向けて下方に移動させ、ハンド制御ユニットにより3つの指部材3を介して3つの爪部材13を制御して、ワークWを把持して取り出す。このとき、交換爪モジュール5のスプリング部材16が閉方向に弾性付勢されているので、ワークWの把持力を向上させることができる。そして、ロボットハンド1を移動させて目的位置のパレット上にワークWを載置する。
【0066】
次に、3つの指部材3による把持作業に復帰する場合、ロボットアームAを駆動制御して、ロボットハンド1を保管治具30の収容部に対して水平方向に移動させ、交換爪モジュール5を収容部に挿入する。交換爪モジュール5を保管治具30へ収容した後に、ロボットハンド1を上方に移動させると、交換爪モジュール5が保管治具30に係止されてロック機構14による横溝部8dへのロック状態が解除され、ロボットハンド1から交換爪モジュール5を取り外すことができる。そして、再度3つの指部材3によってワークの取り出し作業を継続する。
【0067】
尚、3つの指部材3を3つの挿入孔12dから抜き取る場合には、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフするが、3つの指部材3を3つの爪支持部材12の挿入孔12dから抜き取る際には、予め交換爪モジュール5を所定の保管治具30にセットし且つ次回装着時に3つの指部材3を対応する3つの挿入孔12dに円滑に挿入し易い所定の状態に位置決めしてから抜き取るように制御する。この位置決めにおいては、交換爪モジュール5の中心と3つの挿入孔12dの中心が一致しているので、3つの指部材3で交換爪モジュール5の爪部材13を把持動作(閉動作)させることで位置決めすることができる。
【0068】
この交換爪モジュール5によれば、ロボットアームAの先端に手首部A1を介して回転駆動可能に取り付けられたハンド本体2と、このハンド本体2に装備された開閉可能な既設の3つの指部材3とを有するロボットハンド1に、3つの指部材3の開閉動作に連動して開閉される3つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5が着脱可能に装着されるので、既設の3つの指部材3を最も使用頻度の高い形状に構成して、種々の形状の異なるワークの取り出し作業に適用し、3つの指部材3では把持できないワークWを取り出す場合にのみ、例外的に3つの指部材3に交換爪モジュール5を装着して3つの爪部材13によってワークWを取り出す。従って、指部材3をハンド本体2から取り外す必要がなく、爪部材の着脱回数を減らすことがでるので、作業能率を高めることができる。
【0069】
また、複数の交換爪モジュール5を準備することで、複数種類のワークを保持可能とすることができ、汎用性を高めることができる。各交換爪モジュール5に爪部材13を開閉駆動する為の開閉駆動源を新たに設ける必要がないので、コストを低減することができる。
【0070】
3つの指部材3を挿入可能な挿入孔12dを夫々備え且つ3つの爪部材13が夫々装備された3つの爪支持部材12と、これら3つの爪支持部材12を対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する3つの案内機構15と、これら3つの案内機構15を介して3つの爪支持部材12を夫々支持するフレーム部材11を備えたので、3つの指部材3の開閉方向への動作を、3つの爪部材13に円滑に且つ高精度に伝達することができる上、交換爪モジュール5を全体としてコンパクトに構成でき、収納ケースの奥部や隅部などの狭隘スペースからのワークの取り出しが可能となる。
【0071】
3つの指部材3の各々が爪支持部材12の挿入孔12dに所定状態に挿入されたときに指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックする3つのロック機構14を設けたので、これら3つのロック機構14によって、3つの指部材3に対する交換爪モジュール5を容易に装着する事ができる。
【0072】
ロック機構14は、指部材3に長さ方向と直交状に形成された横溝部8dと、爪支持部材12に装着され且つ横溝部8dに係脱可能なボールプランジャ23とで構成されたので、ボールプランジャ23のボール23cを指部材3の横溝部8dに係合することで、交換爪モジュール5を指部材3に確実に固定することができ、ボールプランジャ23のボール23cの横溝部8dに対する係合を解除することで、交換爪モジュール5を指部材3から容易に取り外すことができる。
【0073】
各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を閉方向に弾性付勢するスプリング部材16を設けたので、ワークの外面を把持する場合に、3つの指部材3の把持力に対してスプリング部材16の弾性付勢力を付加することで、爪部材13の把持力を向上させ、ロボットハンド1の大型化を防止することができる。
【0074】
指部材3を挿入孔12dへ挿入する場合と指部材3を挿入孔12dから抜き取る場合には、ハンド本体2内の開閉駆動用駆動モータMをサーボオフするので、指部材3と交換爪モジュール5の何れにも余計な負荷が加わらないフリーな状態で交換爪モジュール5を着脱することできる。
【0075】
3つの指部材3を3つの爪支持部材12の挿入孔12dから抜き取る際には、予め交換爪モジュール5を所定の保管治具30にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取るので、次に3つの指部材3に交換爪モジュール5を装着する際に、指部材3を交換爪モジュール5の挿入孔12dに円滑に挿入して確実に装着でき、位置決めの為のセンサシステムを必要としないので、製作コストを低減することができる。
【実施例2】
【0076】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例2について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図11に示すように、この交換爪モジュール5Aは、各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を開方向に弾性付勢する1対のスプリング部材16Aを設けたものである。
【0077】
図11に示すように、1対のスプリング部材16A(弾性部材に相当する)は、各爪支持部材12とフレーム部材11の放射枠部11bとの間に設けられ、爪支持部材12を開方向に弾性付勢している。1対のスプリング部材16Aは、1対のガイドロッド26に圧縮状に夫々外嵌されている。各スプリング部材16Aの径方向外側端部が、爪支持部材12の本体部12aに当接し、各スプリング部材16Aの径方向内側端部が、放射枠部11bに当接している。
【0078】
以上説明したように、各爪支持部材12とフレーム部材11との間に、爪支持部材12を開方向に弾性付勢するスプリング部材16Aを設けたので、ワークの内面を把持する場合に、複数の指部材3の把持力に対してスプリング部材16Aの弾性付勢力を付加することで、爪部材13の把持力を向上させ、ロボットハンド1の大型化を防止することができる。
【実施例3】
【0079】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例3について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図12に示すように、この交換爪モジュール5Bは、2つの爪部材13を支持する為の形状の異なる2つの爪支持部材12,12Bを有し、一方の爪支持部材12Bに2つの指部材3が挿入可能な細長い長円形状の挿入孔51が形成されている。
【0080】
図12に示すように、交換爪モジュール5Bは、1つの指部材3を挿入可能な挿入孔12dを備え且つ1つの爪部材13が装備された爪支持部材12と、2つの指部材3を挿入可能な挿入孔51を備え且つ1つの爪部材13が装備された前記爪支持部材12より大きいサイズの爪支持部材12Bと、これら2つの爪支持部材12,12Bを対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する2つの案内機構15,15Bと、これら2つの案内機構15,15Bを介して2つの爪支持部材12,12Bを夫々支持するフレーム部材11Bと、指部材3を爪支持部材12に対して解除可能にロックするロック機構14や、爪支持部材12,12Bを閉方向に弾性付勢するスプリング部材16等を備えている。
【0081】
フレーム部材11Bは、ロボットハンド1の軸心Sを中心とする正六角形の外形を有し、2つの案内機構15,15Bを介して2組の爪支持部材12,12Bと爪部材13を夫々支持するものである。フレーム部材11Bは、6つ辺を形成する6つの辺形成部11Baと、対向する角部とこの角部の両側の辺形成部11Bbの内面に夫々接続されて軸心S方向に延びて中心部において一体的に連結され且つ幅広の直線形状をなす2つの放射枠部11Bbとから一体的に形成されている。
【0082】
フレーム部材11Bの内側には、2つの放射枠部11Bbを挟んで対向状に2つの開口部18,18Bが形成されている。これら開口部18,18Bの軸心S側内端部には凹部11c,11Bcが夫々形成されている。右側の開口部18Bは、フレーム部材11の右側半分の大部分を占める開口面積を有している。右側の開口部18Bには、爪支持部材12B、案内機構15B、1対のスプリング部材16が1組配設されている。尚、左側の開口部18は前記実施例1と同様であり、この左側の開口部18に配設された爪支持部材12、ロック機構14や案内機構15等は前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0083】
右側の爪支持部材12Bは、ほぼ直方体状に形成され、案内機構15Bの1対のガイドロッド26Bを介して辺形成部11Bbと直交する方向に移動可能にフレーム部材11Bに設けられている。爪支持部材12Bは、直方体状の本体部12Baと、この本体部12Baから内側に僅かに突出する凸部12Bbと、本体部12Baの下部から辺形成部11Baの方へ延びて辺形成部11Baの下面に当接している平板部12Bcとを有する。爪支持部材12Bには、2つの指部材3を挿入可能な長円形状の挿入孔51と、1対のガイドロッド26が挿通された1対のロッド挿通孔(図示略)が形成されている。
【0084】
爪支持部材12Bが、1対のスプリング部材16により最大限閉じた閉位置にある場合、爪支持部材12Bの凸部12Bbが放射枠部11Bbの凹部11Bcに僅かな隙間をもって係合し、本体部12Baの内端面のうち凸部12Bbの両側部位が、放射枠部11Bbの凹部11Bcの両側の受止面11Bdに面接触して受け止められる。爪支持部材12Bが最大限開いた開位置にある場合、2つの指部材3は挿入孔51の両端部に当接する。
【0085】
案内機構15Bは、辺形成部11Baと直交する方向に延びる1対のガイドロッド26Bを有し、1対のガイドロッド26Bは、辺形成部11aと直交状に且つ1対のガイドロッド26間の間隔より広い間隔をあけて平行に配置されている。
【0086】
交換爪モジュール5Bを指部材3に装着する場合、1つの指部材3を爪支持部材12の挿入孔12dに挿入し、2つの指部材3を爪支持部材12Bの挿入孔51の両端部から間隔をあけた位置に挿入し、3つの指部材3に交換爪モジュール5Bを装着する。ハンド制御ユニットによる開駆動に伴い、3つの指部材3を開方向(放射方向)に移動させると、爪支持部材12は前記実施例1と同様に1つの指部材3に連動して外側に移動される。爪支持部材12Bにおいては、2つの指部材3が挿入孔51の両端部に向けて移動しながら爪支持部材12Bを外側に移動させ、交換爪モジュール5Bを開状態にすることができる。このとき、爪支持部材12Bの爪部材13の把持力は、2つの指部材3のベクトルの合成により爪支持部材12の爪部材13と同じ把持力を奏する。
【0087】
以上説明したように、既設の3つの指部材3を備えたロボットハンド1に対して、実施例1の3つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5に代えて、2つの爪部材13を備えた交換爪モジュール5Bを装着することができるので、交換爪モジュール5Bの汎用性を高めることができる。尚、爪部材13の形状は、前記実施例1と同様のものであっても良いし、その他の形状を採用しても良い。
【実施例4】
【0088】
次に、実施例1の交換爪モジュール5を部分的に変更した実施例4について説明するが、前記実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図13,図14に示すように、この交換爪モジュール5Cにおいて、複数の爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して複数の爪支持部材12Cに夫々取り付けられている。尚、この実施例4では、指部材3と爪部材13Cは、夫々2つの場合を例にして説明する。
【0089】
図13,図14に示すように、交換爪モジュール5Cは、2つの指部材3を挿入可能な挿入孔(図示略)を夫々備え且つ2つの爪部材13Cが1対のリンク部材55,56を介して夫々装備された2つの爪支持部材12Cと、これら2つの爪支持部材12Cを対応する指部材3の開閉方向へ夫々移動可能に案内する2つの案内機構(図示略)と、これら2つの案内機構を介して2つの爪支持部材12Cを夫々支持するフレーム部材11Cと、指部材3を爪支持部材12Cに対して解除可能にロックするロック機構(図示略)や、爪支持部材12Cを閉方向に弾性付勢するスプリング部材(図示略)等を備えている。尚、フレーム部材11C、爪支持部材12C、案内機構、ロック機構、スプリング部材等は前記実施例1と実質的に同様のものであるので詳細な説明は省略する。
【0090】
各爪支持部材12Cの下端部に、1対のリンク部材55,56の上端部がピン部材57を介して回動可能に夫々支持され、1対のリンク部材55,56の長手方向中段部の下側において1対のリンク部材55,56の交差部分(全長の下側から約1/3部分)はピン部材58により回動可能に連結されている。尚、この1対のリンク部材55,56が、減速機能を有する機構に相当する。
【0091】
2つの爪部材13Cは、矩形状に形成され、1対のリンク部材55,56の先端部(下端部)に一体的に夫々取り付けられている。2つの爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して開状態(図13の実線参照)と閉状態(図13の2点鎖線参照)に亙って回動可能に構成されている。2つの爪部材13Cには、閉状態で鉛直面となる把持面59が夫々形成されている。
【0092】
2つの指部材3に交換爪モジュール5Cが装着されている状態で、ロボットハンド1の閉駆動に伴い2つの指部材3が水平方向に接近する方向に移動すると、図13に示すように、2つの爪部材13Cは下方に移動しながら各把持面59が、指部材3の開閉速度より遅い開閉速度(指部材3の開閉速度の約1/2〜1/3倍の開閉速度)に減速されて接近する方向に移動し、閉状態になる。ワークを把持する場合は、1対のリンク部材55,56を介して爪部材13Cが閉駆動されるので、1対のリンク部材55,56による減速機能により、爪部材13Cの把持力は、指部材3の把持力と比較して約2〜3倍程度に増力される。
【0093】
以上説明したように、各爪部材13Cは、1対のリンク部材55,56を介して爪支持部材12Cに取り付けられたので、複数の爪部材13Cによる把持力を1対のリンク部材55,56(減速機能を有する機構)によって増力することができる。尚、実施例4の1対のリンク部材55,56である減速機能を有する機構は一例を示すものに過ぎず、種々の構造の減速機能を有する機構を採用することが可能である。また、減速機能に代えて、増速機能を有する種々の構造の機構を採用することも可能である。これら減速又は増速機能を有する機構により把持力を調整することができる。
【0094】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例1,2においては、ロボットハンド1は3つの指部材3を備え、交換爪モジュール5,5Aは3つの爪部材13を備え、前記実施例3においては、ロボットハンド1は3つの指部材3を備え、交換爪モジュール5Bは2つの爪部材13を備え、前記実施例4においては、ロボットハンド1は2つの指部材3を備え、交換爪モジュール5Cは2つの爪部材13Cを備えているが、特にこれらの数に限定する必要はなく、ロボットハンド1が指部材3を1つや2つ又は4つ以上備え、交換爪モジュール5が爪部材13を1つや2つ又は4つ以上備える構成にしても良いし、1又は複数の指部材3に交換爪モジュール5を装備して1又は複数の爪部材13を開閉駆動可能であれば、種々の数の組み合わせを採用可能である。
【0095】
[2]前記実施例1〜4の交換爪モジュール5,5A,5B,5Cにおけるフレーム部材11,11B,11Cや爪支持部材12,12B,12Cは一例を示すものに過ぎず、種々の構造のフレーム部材や爪支持部材を採用することが可能であり、フレーム部材11,11B,11Cや爪支持部材12,12B,12Cは、鋼製のものでも良く、軽合金製のものでも良く、合成樹脂製のものでも良い。
【0096】
[3]前記実施例1〜4のロック機構14において、指部材3の横溝部8dに対してボールプランジャ23のボール23cを係合させてロックする構造を採用しているが、特にこの構造に限定する必要はなく、その他の種々のロック手段によりロックしても良い。
【0097】
[4]前記実施例1〜4の複数の指部材3の形状は一例を示したに過ぎず、挿入孔12dに挿入可能で且つ横溝部8dが形成されていれば、把持対象となるワークの形状又は姿勢に応じて種々の形状を採用可能である。
【0098】
[5]前記実施例1〜3の交換爪モジュール5,5A,5Bにおいて、爪支持部材12,12Bと爪部材13は別々に構成されているが、特にこの別々の構成に限定する必要はなく、爪支持部材12,12Bと爪部材13を一体的に形成しても良い。
【0099】
[6]前記実施例1〜3において、弾性部材としてスプリング部材16,16Aが採用されているが、特にスプリング部材16,16Aに限定する必要なく、ゴム部材等の他の爪支持部材を弾性付勢するものであれば種々のものが採用可能である。
【0100】
[7]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0101】
A ロボットアーム
A1 手首部
F 取付面
W ワーク
1 ロボットハンド
2 ハンド本体
3 指部材
5,5A,5B,5C 交換爪モジュール
8d 横溝部
11,11B,11C フレーム部材
12,12B,12C 爪支持部材
12d,51 挿入孔
13,13C 爪部材
14 ロック機構
15,15B 案内機構
16,16A スプリング部材
23 ボールプランジャ
30 保管治具
55,56 1対のリンク部材(減速又は増速機能を有する機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指部材を有するロボットハンドに着脱可能に装着される交換爪モジュールであって、
前記指部材に着脱可能で且つ前記指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えたことを特徴とするロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項2】
前記指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項3】
前記指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、前記爪支持部材に装着され且つ前記横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたことを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項5】
前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項6】
前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項7】
前記指部材を前記挿入孔へ挿入する場合と前記指部材を前記挿入孔から抜き取る場合には、前記ロボットハンド内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフすることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項8】
前記指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め前記交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取ることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項9】
前記爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項1】
指部材を有するロボットハンドに着脱可能に装着される交換爪モジュールであって、
前記指部材に着脱可能で且つ前記指部材の開閉動作に連動して開閉される爪部材を備えたことを特徴とするロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項2】
前記指部材を挿入可能な挿入孔を備え且つ前記爪部材を有する爪支持部材と、この爪支持部材を対応する指部材の開閉方向へ移動可能に案内する案内機構と、この案内機構を介して爪支持部材を支持するフレーム部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項3】
前記指部材が爪支持部材の挿入孔に所定状態に挿入されたときに指部材を爪支持部材に対して解除可能にロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記指部材に長さ方向と直交状に形成された横溝部と、前記爪支持部材に装着され且つ前記横溝部に係脱可能なボールプランジャとで構成されたことを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項5】
前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を開方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項6】
前記各爪支持部材と前記フレーム部材との間に、爪支持部材を閉方向に弾性付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項7】
前記指部材を前記挿入孔へ挿入する場合と前記指部材を前記挿入孔から抜き取る場合には、前記ロボットハンド内の開閉駆動用駆動モータをサーボオフすることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項8】
前記指部材を爪支持部材の挿入孔から抜き取る際には、予め前記交換爪モジュールを所定の保管治具にセットし且つ所定の状態に位置決めしてから抜き取ることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【請求項9】
前記爪部材は、減速又は増速機能を有する機構を介して爪支持部材に取り付けられたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のロボットハンド用交換爪モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−91121(P2013−91121A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233202(P2011−233202)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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