説明

ロボット制御装置

【課題】装置本体に付随する教示装置およびケーブルの取り出し作業および収納作業が煩雑になることを抑制することが可能なロボット制御装置を提供する。
【解決手段】このロボット制御装置100は、ロボット90に対して動作を教示するプログラミングペンダント(教示装置)30と、プログラミングペンダント30に接続されるとともにロボット90に対して教示する動作の指令を伝送するケーブル40と、プログラミングペンダント30とケーブル40とを共に吊り下げた状態で保持する保持金具50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット制御装置に関し、特に、教示装置と教示装置に接続されるケーブルとを備えるロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教示装置と教示装置に接続されるケーブルとを備えるロボット制御装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ロボットの動作制御を行う装置本体と、装置本体から外部に延びるシールドケーブルと、シールドケーブルに接続された非常停止ボタンを備えたロボット制御装置が開示されている。このロボット制御装置では、装置本体を構成する筐体の側面にフック部が設けられている。そして、複数回に亘って巻かれたシールドケーブルが、このフック部に吊り下げられて装置本体の側方に収納されるように構成されている。また、装置本体近傍の壁面にも別なフック部が設けられている。そして、非常停止ボタンは、このフック部に吊り下げられるように構成されている。このように、シールドケーブルと非常停止ボタンとは、互いに異なる場所に設けられた別々なフック部に吊り下げられている。
【0004】
ここで、一般的には、非常停止ボタンは、ロボットに対して動作指令を教示するプログラミングペンダント(教示装置)などに取り付けられている。この場合に、上記特許文献1のシールドケーブルと非常停止ボタンとが互いに異なる場所に設けられた別々のフック部に吊り下げられる構成を適用すると、非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダント(教示装置)とシールドケーブルとが、互いに異なる場所に設けられた別々のフック部に吊り下げられる構成になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−58366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような構成では、収納時にシールドケーブルを吊り下げるフック部と、非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダント(教示装置)を吊り下げるフック部とが別々に設けられているため、たとえば、ユーザが非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダントを持ち歩く場合には、最初に非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダントを非常停止ボタン用(プログラミングペンダント用)のフック部から取り外す作業と、シールドケーブルをシールドケーブル用のフック部から巻き解く作業とを、各々のフック部に対して別々に行う必要がある。また、持ち歩いた非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダントを元の場所に戻す場合にも、シールドケーブルのフック部にシールドケーブルを巻き重ねて吊り下げる作業と、非常停止ボタン用(プログラミングペンダント用)のフック部に非常停止ボタンが取り付けられたプログラミングペンダントを吊り下げる作業とを、各々のフック部に対して別々に行う必要がある。特に、2つのフック部が互いに異なる場所(取付面)に設けられている場合、上記したシールドケーブルを着脱する作業と、非常停止ボタン(プログラミングペンダント(教示装置))を着脱する作業とを、一人のユーザが体の向きを変えて行う状況も起こり得る。したがって、ロボット制御装置に付随する装備物(プログラミングペンダント(教示装置)およびシールドケーブル)の取り出し作業および収納作業が装備物毎に異なる場所において分散して行われる分、ユーザの作業が煩雑になるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置本体に付随する教示装置およびケーブルの、取り出し作業および収納作業が煩雑になることを抑制することが可能なロボット制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロボット制御装置は、ロボットに対して動作を教示する教示装置と、教示装置に接続されるとともにロボットに対して教示する動作の指令を伝送するケーブルと、教示装置とケーブルとを共に吊り下げた状態で保持する保持部材とを備える。
【0009】
この発明の一の局面によるロボット制御装置では、上記のように、教示装置とケーブルとを共に吊り下げた状態で保持する保持部材を備えることによって、ユーザは、教示装置および教示装置に接続されたケーブルを共通の保持部材に対して一の動作で吊り下げたり取り外したりして作業を行うことができる。これにより、教示装置とケーブルとを別々な場所に設けられた複数の保持部材に個別に吊り下げるような場合と異なり、教示装置およびケーブルの取り出し作業および収納作業が煩雑になることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態によるロボット制御装置において、ケーブルおよびプログラミングペンダント(教示装置)が保持金具に吊り下げられた状態を示した正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるロボット制御装置において、ケーブルおよびプログラミングペンダント(教示装置)が保持金具に吊り下げられた状態を示した側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるロボット制御装置において、正面パネルが開かれた状態を示した上面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるロボット制御装置において、ケーブルおよびプログラミングペンダント(教示装置)を保持金具から取り外した状態を示した側面図である。
【図5】図4に示した保持金具の詳細な構造を示した断面図である。
【図6】図4に示した保持金具の詳細な構造を示した正面図である。
【図7】図4に示した保持金具に、ケーブルおよびプログラミングペンダント(教示装置)が吊り下げられた状態を示した側面図である。
【図8】図4に示した保持金具に、ケーブルが吊り下げられた状態を示した正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態によるロボット制御装置の正面パネルに取り付けられる保持金具(第1金具部)の構造を示した斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるロボット制御装置の正面パネルに取り付けられる保持金具(第2金具部)の構造を示した斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるロボット制御装置の正面パネルに取り付けられる保持金具の構造を示した断面図である。
【図12】図11に示した保持金具に、ケーブルおよびプログラミングペンダント(教示装置)が吊り下げられた状態を示した側面図である。
【図13】本発明の第2実施形態の変形例によるロボット制御装置の正面パネルに取り付けられる保持金具の構造を示した上面図である。
【図14】本発明の変形例によるロボット制御装置の正面パネルに取り付けられる保持金具の構造を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態によるロボット制御装置100の構成について説明する。
【0013】
ロボット制御装置100は、図1に示すように、ロボット90の動作制御を行うために設けられた制御装置である。ここで、ロボット90とは、半自動化または完全自動化された工場の製造ラインに配置された産業用ロボットのことを示す。たとえば、自動車製造ラインにおける溶接用ロボット、塗装用ロボット、組立用ロボットおよび切断用ロボットなどが挙げられる。また、ロボット制御装置100とロボット90とは、専用のケーブル91を介して接続されており、ロボット90は、ロボット制御装置100において予め教示された動作指令に基づいて所定の動作を行うように構成されている。
【0014】
また、ロボット制御装置100は、筐体10の内部に制御機器21(図2参照)が組み込まれた装置本体20と、装置本体20に外部接続されるプログラミングペンダント30(以下、「教示装置」という)とを備えている。装置本体20を収納する箱状の筐体10は、板金製であり、筐体10は、内部の制御機器21に対する防塵構造を有している。また、筐体10は、図2に示すように、ほとんどの制御機器21が内部に組み込まれた筐体本体部11と、筐体本体部11の正面側(図2における紙面右側)に設けられた矩形状の開口部11aを開閉可能に構成された正面ドア12とを含んでいる。ここで、図1に示すように、開口部11aの一方側(B2側)の縁部11bに沿ってヒンジ部材13(上、中、下の3箇所)が取り付けられている。そして、ユーザは、ヒンジ部材13に取り付けられた正面ドア12を開閉することにより、開口部11a(図2参照)を介して内部の制御機器21にアクセスすることが可能に構成されている。この場合、図3に示すように、正面ドア12は、B1側の縁部近傍を回動軸として矢印P方向に開かれる。なお、正面ドア12は、本発明の「開閉部」の一例である。また、プログラミングペンダント(教示装置)30は、本発明の「教示装置」の一例である。
【0015】
教示装置30は、ユーザによるキー操作を受け付ける機能を有しており、教示装置30は、ユーザがロボット90の動作内容を予め教示するために設けられた操作機器(装備物)である。具体的には、図1に示すように、教示装置30は、樹脂(強化プラスチック)製の筐体31を備えており、筐体31の内部に、表示部32と、使用目的に応じて大小様々なサイズを有する複数の操作キー33とが所定のレイアウトで配置されている。教示装置30では、ユーザが表示部32に表示された操作画面を見ながらロボット90の動作を指令するコマンドを操作キー33を使用して登録することが可能に構成されている。なお、ロボット制御装置100では、ユーザが教示装置30を持ち歩いてロボット90を直接的に監視する位置に移動した状態で、教示装置30を操作しながらロボット90を直接的に操作することも可能に構成されている。
【0016】
また、教示装置30は、筐体31と一体的に形成され、筐体31の上部側(C2側)の側面から上方に突出するとともに中空の逆U字状の吊下部34を有している。また、教示装置30は、表示部32よりも下方の操作キー33が設けられた領域の側方(B1側)に設けられた把持ガイド部材36を有している。吊下部34は、教示装置30を保持金具50に吊り下げる際に使用される部分である。また、把持ガイド部材36は、保持金具50から教示装置30を取り外した後に、ユーザが把持ガイド部材36と筐体31の側面との間に左手を差し込んで筐体31を把持する際の補助具の役割を有している。なお、保持金具50は、本発明の「保持部材」の一例である。
【0017】
また、図1に示すように、装置本体20と教示装置30とは、専用のケーブル40を介して接続されるように構成されている。具体的には、教示装置30には、正面から見て、筐体31の下部(C1側)の把持ガイド部材36が設けられた側の側面から左斜め下方向(約45度)に突出するコネクタ部35が設けられている。そして、ケーブル40の一方端部に形成された接続端子部41が右斜め上を向いた状態でコネクタ部35に接続されるように構成されている。また、正面ドア12には、前方(紙面手前側)に突出するコネクタ部15が設けられており、ケーブル40の他方端部に形成された接続端子部42がコネクタ部15に下方から上向きに接続されるように構成されている。なお、接続端子部41および42は、それぞれ、本発明の「第1接続端子部」および「第2接続端子部」の一例である。
【0018】
なお、装置本体20と教示装置30とを繋ぐケーブル40は、外周部が可撓性を有する樹脂製の絶縁体で被覆された電線である。そして、絶縁体内部には、各々が撚り線などからなる複数の通信線(導体)が互いに絶縁された状態で1本に束ねられている。したがって、ケーブル40は、単位長さあたりの質量が比較的重い。また、ケーブル40は、容易に切断されることなどのないように、約10mm以上約20mm以下の比較的大きな直径(断面径)を有している。また、ケーブル40は、接続端子部41から42までの総延長が約8mであり、ケーブル40を延ばして使用しない場合には、巻き回して収納されるように構成されている。また、ケーブル40は、使用状況に応じて延長用のケーブルを一方側の接続端子部に接続して使用される場合もある。また、図3に示すように、接続端子部42が接続されるコネクタ部15は、正面ドア12の裏面側(装置本体20の内部側)において、内部の制御機器21にケーブル22を介して接続されている。
【0019】
ここで、第1実施形態では、図4に示すように、ロボット制御装置100には、正面ドア12内の所定の位置に保持金具50が取り付けられている。より詳細には、図5に示すように、保持金具50は、正面ドア12のA1側の取付面12aに対してボルト2とナット3とを用いて固定されている。また、図1および図2に示すように、保持金具50は、正面ドア12の横方向(図2のB方向)の略中央部であって、コネクタ部15よりも上方(C2方向)で、かつ、ユーザの手が届き易い高さ位置に取り付けられている。そして、ロボット制御装置100では、教示装置30とケーブル40とを保持金具50共に吊り下げた状態で正面ドア12に沿わせて保持することが可能に構成されている。この際、図2に示すように、教示装置30とケーブル40とは、上方から見て、奥側(正面ドア12側)からケーブル40と教示装置30とがこの順に重ねられた状態で正面ドア12に沿って収納されるように構成されている。
【0020】
以下、保持金具50の構造ついて詳細に説明する。保持金具50は、図5に示すように、約1.6mm以上約2.3mm以下の厚み(板厚)を有する短冊状の板材を短手方向(図6のB方向)に沿って複数回折り曲げることにより一体的に形成された板金部材である。なお、保持金具50の短手方向(B方向)は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0021】
また、保持金具50は、保持金具50を正面ドア12に取り付けるための取付部51と、取付部51の下端部51a(C1側)から取付部51に対して略直交する方向(A1方向)に折り曲げられた状態で突出幅W1を有してA1方向に延びるケーブル支持部52とを含んでいる。ここで、ケーブル支持部52の延びるA1方向は、保持金具50の取付面となる正面ドア12の取付面12aから離間する方向であり、保持金具50の幅方向(B方向)と略直交する方向である。また、図6に示すように、取付部51には、ボルト2(図5参照)を挿入するための孔部51j(2箇所)が設けられている。なお、ケーブル支持部52の延びるA1方向は、本発明の「第1方向」の一例である。また、取付部51およびケーブル支持部52は、本発明の「第1保持部」の一例であり、ケーブル支持部52は、本発明の「第1支持部」の一例である。
【0022】
また、保持金具50は、図5に示すように、ケーブル支持部52のA1側の端部52aから後述する接続部を介してA1方向に延びる教示装置支持部53と、教示装置支持部53のケーブル支持部52とは反対側(A1側)の下端部53aから上方向(C2方向)に折り曲げられて形成された抜止部54とをさらに含んでいる。また、教示装置支持部53は、A1方向に沿ってケーブル支持部52から離間するにしたがって下方(C1方向)に徐々に傾斜するように構成されている。この場合、教示装置支持部53の略平坦な上面53cは、略一定の傾斜角度(A方向に沿った水平面に対して約20度)を有して傾斜している。これにより、図7に示すように、教示装置支持部53に吊り下げられた教示装置30が、教示装置支持部53の上面53cを遡ってケーブル40が吊り下げられているケーブル支持部52に落ち込むことが抑制されるように構成されている。なお、教示装置支持部53および抜止部54は、本発明の「第2保持部」の一例である。また、教示装置支持部53は、本発明の「第2支持部」の一例である。
【0023】
また、図6に示すように、抜止部54は、教示装置支持部53の下端部53aを起点として上方に延びている。この場合、抜止部54の上端部54a(C2側)は、教示装置支持部53のケーブル支持部52側の端部53bよりもC2方向において高い位置に配置されている。つまり、ケーブル支持部52の上面から抜止部54の上端部54aまでの高さH3は、ケーブル支持部52の上面から教示装置支持部53のA2側の端部53bまでの高さH1よりも大きい(H3>H1)。
【0024】
また、図5に示すように、保持金具50には、ケーブル支持部52のA1側の端部52a(角部)と、教示装置支持部53のA2側の端部53b(角部)とを上下方向に接続する接続部55がさらに設けられている。ここで、接続部55は、ケーブル支持部52に対して略垂直(取付部51に対して略平行)に延びている。なお、接続部55は、取付部51に対して若干の角度を有して前方(A1側)に傾斜して延びていてもよい。
【0025】
第1実施形態では、保持金具50が上記した構造を有することによって、教示装置30とケーブル40とは、各々が保持金具50中の所定の位置に同時に吊り下げられるように構成されている。つまり、図7に示すように、巻き回されたケーブル40は、取付部51とケーブル支持部52と接続部55とによって構成された凹部(U字形状部)に嵌まり込んで吊り下げられるのと同時に、教示装置30は、吊下部34の内側上面部34aが傾斜した教示装置支持部53に差し込まれて吊り下げられるように構成されている。ここで、ケーブル支持部52の突出幅W1は、ケーブル40の直径Dの整数倍(たとえば3倍)よりも若干大きい。これにより、ケーブル40は、ケーブル支持部52の延びるA1方向に沿って奥側(取付部51に近い側)から前方向に順次巻き重ねられた状態(第1実施形態では3回巻き)でケーブル支持部52上に保持されるように構成されている。
【0026】
また、ケーブル40が3回巻き重ねられた状態では、最も奥側(A2側)に位置するケーブル40の表面40aと取付部51との間、および、最も前方(A1側)に位置するケーブル40の表面40aと接続部55との間の少なくとも一方に、若干の隙間が形成されている。これにより、A1方向に巻き重ねられたケーブル40が、取付部51とケーブル支持部52と接続部55とによって構成された凹部に容易に嵌まり込んで、個々のケーブルがA1方向に確実に並びやすくなるように構成されている。また、若干の隙間が形成されることにより、先に巻かれたケーブル40の上(C2側)に次に巻かれるケーブル40が重なりにくくなるように構成されている。
【0027】
また、図7に示すように、接続部55のC方向の高さH1(最大高さ)は、ケーブル40の断面直径Dよりも大きい(H1>D)。これにより、ケーブル支持部52に吊り下げられた巻き回されたケーブル40が、ケーブル支持部52上をA1方向に沿ってずれ動いたとしても、接続部55に当接して移動が規制されることのみならず、接続部55を乗り越えて教示装置30(吊下部34)が吊り下げられた教示装置支持部53に干渉することが抑制されるように構成されている。すなわち、接続部55は、ケーブル40の抜け止めとして機能する。
【0028】
また、図6に示すように、保持金具50をロボット制御装置100(図1参照)の正面側から見た場合、保持金具50の短手方向(横方向(B方向))の幅W2は、取付部51から抜止部54に亘って略一定である。また、取付部51の上端部51b(C2側)および抜止部54の上端部54aのB方向の両側には、それぞれ、面取り加工が施されている。これは、保持金具50を正面ドア12の取付面(取付面12a)に取り付ける際や、取り付けられた保持金具50にケーブル40(図1参照)および教示装置30(図1参照)を吊り下げる作業の際に、作業者の腕やケーブル40の表面40a(図7参照)が不用意に板金部材の鋭利な角部(エッジ部)に接触して損傷することを防止するためである。
【0029】
また、第1実施形態では、保持金具50のケーブル支持部52の幅W2は、以下の点を考慮して設定されている。具体的には、図1に示すように、巻き回されたケーブル40と教示装置30とが同時に吊り下げられた状態において、ケーブル40の自重により略トラック状(長孔形状)を呈して垂れ下がったケーブル40のB方向の巻き幅W3が、教示装置支持部53に保持された教示装置30のB方向における最大幅W4未満となるように、ケーブル支持部52の幅W2(図6参照)は設計されている。これにより、教示装置30の背面部37(図2参照)が、略トラック状に巻かれたケーブル40の表面40aに容易に接触するようになる。この結果、教示装置支持部53に吊り下げられた教示装置30が、吊下部34と教示装置支持部53との接触箇所(上面53c)を支点として前後方向(A方向)に振られるような状態が抑制されている。これにより、特に、ケーブル40と教示装置30とを吊り下げた状態で教示装置30を操作する際、操作キー33の押圧とともに教示装置30自体が後方に押されてキー操作が正しく行えないことが防止される。
【0030】
ここで、ケーブル40の保持金具50に対する掛かり具合を詳細に見た場合、図8に示すように、ケーブル支持部52の横方向(B方向)の両側の端部52c(角部)とケーブル40の表面40aとが接触する一方、ケーブル支持部52の端部52cよりも内側の上面52d(C2側)上においては、ケーブル40がケーブル支持部52に接触することなくケーブル支持部52の上方をアーチ状に跨いで配置される。ここで、ケーブル支持部52の上面52dからケーブル40の頂上部43までの高さをケーブル40の掛かり高さH5とした場合、接続部55のC方向の高さH1は、掛かり高さH5以上(H1≧H5)であるように構成されている。これにより、巻き重ねられたケーブル40に不意な外力が作用した場合であっても、ケーブル40の頂上部43が不意な外力に起因して揺らされた後に接続部55を乗り越えて教示装置支持部53側になだれ込むような状況が抑制されるように構成されている。
【0031】
また、第1実施形態では、図3に示すように、巻き回されたケーブル40と教示装置30とが保持金具50に同時に吊り下げられた状態において、ヒンジ部材13から接続端子部42が接続されるコネクタ部15までの距離L1は、ヒンジ部材13から教示装置30に接続された接続端子部41までの距離L2よりも小さい(L1<L2)。すなわち、コネクタ部15が教示装置30よりもB方向に沿ってヒンジ部材13に近付けられる分、正面ドア12を矢印P方向に開いたとしてもコネクタ部15の回動半径(距離L1に相当する)がより小さくなるように構成されている。したがって、正面ドア12回動時のケーブル22の延びしろが短く抑えられている。なお、距離L1およびL2は、それぞれ、本発明の「第1距離」および「第2距離」の一例である。
【0032】
また、図1に示すように、ロボット制御装置100の正面ドア12には、教示装置30が吊り下げられる位置よりも高い位置に、電源スイッチ25が設けられている。電源スイッチ25は、図示しないケーブルを介して内部の制御機器21(図2参照)に接続されている。また、筐体本体部11の上面には、電源ケーブル(図示せず)用の引込口26が設けられている。また、図2に示すように、筐体本体部11の背面側の低い位置に、ケーブル91用の引込口27(4箇所)が設けられている。そして、ロボット制御装置100は、筐体10の底面部が工場内の床面1などに据え付けられて使用されるように構成されている。
【0033】
第1実施形態では、上記のように、プログラミングペンダント(教示装置)30とケーブル40とを共に吊り下げた状態で保持する保持金具50を備えることによって、ユーザは、教示装置30および教示装置30に接続されたケーブル40を共通の保持金具50に対して一の動作で吊り下げたり取り外したりして作業を行うことができる。これにより、教示装置30とケーブル40とを別々な場所に設けられた複数の保持金具50に個別に吊り下げるような場合と異なり、装置本体20に付随する教示装置30およびケーブル40の取り出し作業および収納作業が煩雑になることを抑制することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、保持金具50を、巻き回されたケーブル40を吊り下げて保持する取付部51およびケーブル支持部52と、ケーブル支持部52に接続するように設けられ、教示装置30を吊り下げて保持する教示装置支持部53および抜止部54とによって一体的に構成している。そして、ケーブル支持部52および教示装置支持部53は、保持金具50の正面ドア12における取付面12aから離間する方向(A1方向)に沿って、ケーブル支持部52と教示装置支持部53とがこの順に配置されている。これにより、巻き回されたケーブル40を正面ドア12に近い奥側に設けられたケーブル支持部52に吊り下げるとともに、吊り下げられたケーブル40の手前側に教示装置支持部53を介して教示装置30を吊り下げてこれらの装備物を同じ場所に同時に収納することができる。この際、手前側に教示装置30が吊り下げられるので、正面ドア12上に収納された装備物を容易に視認することができる。また、教示装置30およびケーブル40が収納された状態でも教示装置30が手前側に配置されるので、ユーザは、ケーブル40に邪魔されることなく教示装置30を操作することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、保持金具50は、保持金具50を正面ドア12の取付面12aに取り付けるための取付部51と、取付部51から離間するA1方向に沿って延びるとともに巻き回されたケーブル40が吊り下げられるケーブル支持部52とを有している。また、保持金具50は、ケーブル支持部52よりも上方(C2側)においてA1方向に沿って延びるとともに教示装置30が吊り下げられる教示装置支持部53と、教示装置支持部53のケーブル支持部52側とは反対側の下端部53aから上方に延びる抜止部54とを有している。これにより、保持金具50を取付部51を介して正面ドア12に容易に固定することができる。また、ケーブル支持部52と教示装置支持部53とが異なる高さ位置を有しているので、ケーブル40と教示装置30とを確実に分けて保持金具50に吊り下げることができる。したがって、保持金具50から教示装置30およびケーブル40を取り外す際も、ケーブル40が教示装置30に絡まることなく取り出しの作業を容易に行うことができる。また、抜止部54によって、吊り下げられた教示装置30が教示装置支持部53から前方向に抜け落ちることを容易に抑制することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、教示装置支持部53を、A1方向に沿ってケーブル支持部52から離間するにしたがって下方に傾斜するように構成している。そして、抜止部54は、教示装置支持部53の下端部53aを起点として上方に延びている。これにより、吊り下げられた教示装置30の吊下部34が、教示装置支持部53の傾斜部を遡ってケーブル40が吊り下げられているケーブル支持部52に落ち込むことを抑制することができる。また、傾斜する教示装置支持部53に吊り下げられた教示装置30は、吊下部34が教示装置支持部53の下端部53aの近傍において上面53cと抜止部54とに当接した状態で保持されるので、吊下部34が抜止部54を越えて前方向(A1方向)に抜け落ちることを確実に抑制することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、抜止部54の上端部54aは、教示装置支持部53のケーブル支持部52側の端部53bよりも上方に配置されている。これにより、教示装置30のみならずケーブル支持部52に吊り下げられたケーブル40が、抜止部54を越えて前方(手前側)に抜け落ちることを容易かつ確実に抑制することができる。
【0038】
また、第1実施形態では、保持金具50には、ケーブル支持部52の取付部51側とは反対側の端部52aと、教示装置支持部53のケーブル支持部52側の端部53bとを接続する接続部55が設けられている。そして、接続部55によって、ケーブル支持部52に吊り下げられた巻き回されたケーブル40が、ケーブル支持部52上をA1方向に沿って移動するのが規制されている。これにより、ケーブル支持部52に吊り下げられたケーブル40が、ケーブル支持部52上をA1方向に沿って移動しかけたとしても、接続部55の部分でこの移動を規制することができる。さらには、ケーブル40が、接続部55を乗り越えて教示装置30が吊り下げられているケーブル支持部52に干渉することを抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、接続部55のC方向の高さH1を、ケーブル40をケーブル支持部52に吊り下げた際のケーブル40の掛かり高さH5以上(H1≧H5)として構成している。これにより、巻き重ねられたケーブル40に不意な外力が作用した場合であっても、ケーブル40の頂上部43が不意な外力に起因して揺らされた後に接続部55を乗り越えて教示装置支持部53側になだれ込むような状況を抑制することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、正面ドア12は、筐体本体部11の一方側(B1側)の縁部11bに沿って取り付けられたヒンジ部材13により、筐体本体部11の他方側(B2側)が開閉可能に構成されている。そして、保持金具50に教示装置30とケーブル40とが共に吊り下げられた状態において、ヒンジ部材13から接続端子部42が接続されるコネクタ部15までの距離L1を、ヒンジ部材13から教示装置30に接続された接続端子部41までの距離L2よりも小さく(L1<L2)構成している。これにより、コネクタ部15がヒンジ部材13に近付けられる分、正面ドア12を矢印P方向(図3参照)に開いたとしてもコネクタ部15の回動半径(距離L1に相当する)が小さくなるので、コネクタ部15の裏側から筐体本体部11内部の制御機器21までの距離が著しく変動することを抑制することができる。つまり、コネクタ部15の裏側と内部の制御機器21とを接続するケーブル22の長さをより短く設計することができる。また、距離L2を距離L1よりも大きく確保することによって、保持金具50に保持されたケーブル40の接続端子部同士を正面ドア12上で確実に離間させることができるので、その分、ケーブル40と教示装置30とを正面ドア12上に適正に収納することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図1および図9〜図12を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態によるロボット制御装置200(図1参照)では、図11に示すように、第1金具部81と第2金具部82とを組み合わせて保持金具70を構成している。なお、保持金具70は、本発明の「保持部材」の一例である。また、第1金具部81は、本発明の「第1保持部」の一例である。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、上記第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0042】
図9に示すように、第1金具部81は、保持金具70(図11参照)を正面ドア12(図11参照)に取り付けるための取付部71と、取付部71の下端部71a(C1側)から取付部71に対して略直交する方向(A1方向)に折り曲げられて延びるケーブル支持部72とによって構成されている。また、ケーブル支持部72は、B方向の両端部にA1方向に沿って延びるガイド部72gを有している。各々のガイド部72gは、板金の折り曲げ加工によって、上方向に略U字状に折り返されて形成されており、互いに対向する上面72eと下面72fとの間に隙間が設けられている。また、ガイド部72gの外表面は、板金の曲げによって滑らかなアールを有する曲面を含んでいる。また、第1金具部81では、ガイド部72gの部分において板金が折り曲げられることにより、ケーブル支持部72の剛性が高められている。また、ケーブル支持部72には、板金の厚み方向(C方向)に貫通する孔部72hが形成されている。孔部72hは、ケーブル支持部72の延びるA1方向に沿って延びる長孔形状を有している。なお、取付部71およびケーブル支持部72は、本発明の「第1保持部」の一例であり、ケーブル支持部72は、本発明の「第1支持部」の一例である。
【0043】
また、図10に示すように、第2金具部82は、ケーブル支持部72のガイド部72g(図9参照)にスライド移動可能に差し込まれる板状のスライド部79と、スライド部79の一方側(A1側)の端部79aから上方に延びる接続部75と、接続部75の上端部(C2側)に接続され、スライド部79に対して上方に段違い構造を有して接続部75から離間するA1方向に延びる教示装置支持部73と、教示装置支持部73のスライド部79とは反対側(A1側)の下端部73aから上方向に延びる抜止部74とによって構成されている。また、スライド部79には、上面から下面に貫通する孔部79hが形成されている。孔部79hは、略円形状を有しており、ワッシャ付きのボルト5がC1方向に挿入されるように構成されている。なお、教示装置支持部73および抜止部74は、本発明の「第2保持部」の一例である。また、教示装置支持部73は、本発明の「第2支持部」の一例であり、スライド部79は、本発明の「第1保持部」および「第1支持部」の一例である。
【0044】
ここで、第2実施形態では、図10に示した第2金具部82のスライド部79が、図9に示した第1金具部81のガイド部72gにA2方向に沿って差し込まれるように構成されている。これにより、保持金具70(図11参照)において、第1金具部81と第2金具部82とを組み合わせた状態では、第1金具部81に対して第2金具部82がA方向(A1方向、A2方向)に所定の範囲(孔部72hのA1方向の長さ)でスライド移動されるように構成されている。つまり、図11に示すように、保持金具70では、第1金具部81に対して第2金具部82をA1方向に引き出すことが可能に構成されており、第1金具部81の取付部71から第2金具部82の接続部75までのA1方向に沿った距離L3が調整されるように構成されている。また、第1金具部81と第2金具部82とは、ボルト5とナット6とを用いて互いに固定されるので、第2金具部82をA1方向に引き出した状態で保持金具70の形状(距離L3)を保持することが可能に構成されている。
【0045】
したがって、図12に示すように、延長用のケーブルを接続してケーブル40がより長くなった場合であっても、ケーブル40の巻き数(5回巻き)に応じて、ケーブル支持部72の長さとスライド部79の引き出ししろとを合計した長さ(距離L3)を自在に調節することが可能に構成されている。この場合、距離L3は、ケーブル40の外径Dのおおよそ5倍の長さを有するように調整されている。
【0046】
なお、ロボット制御装置200のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0047】
第2実施形態では、上記のように、保持金具70を、ケーブル40の巻き回しの回数に応じてA1方向に沿って延びるケーブル支持部72の長さとスライド部79の引き出ししろとを合計した長さ(距離L3)が調整可能であるように構成することによって、上記第1実施形態のように、ケーブル支持部52の突出幅W1(保持金具50における取付部51から接続部55までの距離)が固定的である場合と異なり、ケーブル40の巻き回しの回数が3回から5回に増えたとしても、ケーブルの巻きを上方向に重ねることなくケーブル支持部72の延びるA1方向に沿って並べることができる。これにより、ケーブル40の長さが増加した場合であっても、保持金具70に吊り下げたケーブル40が上方向に積層されないので、その分、ケーブル40の適正な収納を図ることができる。
【0048】
また、第2実施形態では、第1金具部81と第2金具部82とを、ボルト5とナット6とを用いて締結するように構成しているので、孔部72hのA1方向の長さの範囲内で変化する第2金具部82のスライド量を、任意の大きさで固定することができる。
【0049】
また、第2実施形態では、第1金具部81において、板金の折り曲げ加工によりA1方向に直線的に延びる一対のガイド部72gを形成している。これにより、第2金具部82のスライド部79をスライドさせる機能と、第1金具部81の剛性を向上させることを共に行うことができる。また、ガイド部72gの外表面が板金の曲げによって滑らかなアールを有する曲面を含むので、ケーブル40の表面40aを損傷させることなくケーブル支持部72に吊り下げることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
(第2実施形態の変形例)
次に、図1、図7および図13を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。この第2実施形態の変形例によるロボット制御装置210(図1参照)では、保持金具85を、長さ調整がなされた第1金具部81と第2金具部82とをボルト5とナット6で固定する代わりに、引張りバネ7を用いて第1金具部81と第2金具部82とのスライド位置を調整するように構成している。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、上記第1実施形態と同じ符号を付して図示している。また、保持金具85は、本発明の「保持部材」の一例である。
【0051】
すなわち、図13に示すように、保持金具85は、2本の引張りバネ7を備えている。各々の引張りバネ7は、第1金具部81と第2金具部82とが組み合わされた状態で、端部7aおよび7bが、取付部71および接続部75にそれぞれ取り付けられている。この場合、取付部71および接続部75に形成された孔部に、端部7aおよび7bがそれぞれ引っ掛けられている。また、引張りバネ7は、ガイド部72gの延びる方向(A方向)に略平行に伸縮するように配置されている。これにより、第2金具部82は、引張りバネ7の引張力により常にスライド部79が第1金具部81側に引込む方向(A2方向)に付勢されている。つまり、ケーブル40などを何も吊り下げない状態では、距離L3(取付部71から接続部75までの距離)は最も短い。そして、ケーブル40の巻きの重ねの長さに応じて引張りバネ7の引張力に抗して第2金具部82がA1方向に引き出されることにより、ケーブル40の巻き回しの回数に応じてA1方向に沿って延びる距離L3が調整可能に構成されている。なお、ケーブル40が吊り下げられた状態であっても、第2金具部82は常にA2方向に付勢されるので、図7に示したような隙間(ケーブル40の表面40aと取付部51との隙間や、表面40aと接続部55との隙間)は、ほとんど生じない。
【0052】
第2実施形態の変形例では、上記のように、保持金具85を、第1金具部81と第2金具部82とが互いに係合した状態で、ケーブル40が巻き重ねられたA1方向に沿った距離L3(取付部71から接続部75までの距離)が縮小するA2方向に第2金具部82を付勢する引張りバネ7を含むように構成することによって、ケーブル40を吊り下げないような非使用時に、保持金具85の寸法を最小にすることができる。また、ケーブル40を吊り下げた場合には、第2金具部82が常にA2方向に付勢されるので、ケーブル40の表面40aと取付部71との間や、表面40aと接続部75との間に隙間が生じることを抑制することができる。この結果、ケーブル40を安定的に保持することができる。なお、第2実施形態の変形例のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0053】
なお、今回開示された実施形態およびその変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態およびその変形例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、上記第1実施形態では、保持金具50を正面ドア12に取り付けた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正面ドア12とは異なる筐体10(筐体本体部11)の側面に保持金具50を取り付けて、教示装置30とケーブル40とを保持金具50に共に吊り下げるように構成してもよい。あるいは、装置本体20が据え付けられた近傍の壁面部などに保持金具50を取り付けてもよい。
【0055】
また、上記第1実施形態では、ケーブル支持部52を、保持金具50の取付部51の下端部51aからA1方向に突出するように形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示す変形例のように、ケーブル支持部52を、保持金具350の取付部51の上端部(C2側)からA1方向に突出するように形成してもよい。つまり、ケーブル支持部52は、取付部51の孔部51jよりも上方に配置される。この変形例のように構成すれば、第1実施形態の保持金具50の場合と異なり、ケーブル支持部52上に吊り下げられたケーブル40のA2側の表面40aと正面ドア12の取付面12aとの間に、取付部51を介在させることなくケーブル40を保持することができる。つまり、取付面12aから取付部51の板の厚みによる突出がない分、ケーブル40のA2側の表面40aを正面ドア12の取付面12aに確実に接触させることができるので、ケーブル40の前後方向の振れをより抑制することができる。これにより、ケーブル40と教示装置30とをより安定して保持することができる。なお、保持金具350は、本発明の「保持部材」の一例である。
【0056】
また、上記第1実施形態では、教示装置支持部53の上面53cをケーブル支持部52から離間するにしたがって傾斜させた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、教示装置支持部53を接続部55に沿わせて下方(図5のC1方向)に一旦折り返した後、接続部55の高さ方向の略中間の位置(高さH1の約半分の高さ位置)で前方に折り曲げてA1方向に延ばしてもよい。この変形例のように構成しても、ケーブル支持部52とケーブル支持部52よりも上方(C2側)に配置された教示装置支持部53とを、接続部55を挟んで段違い構造を有して構成することができるので、ケーブル40と教示装置30とを各々の支持部に確実に吊り下げて保持することができる。
【0057】
また、上記第2実施形態では、第2金具部82のスライド部79にボルト締結用の略円形状の孔部79hを設けるとともに、第1金具部81のケーブル支持部72にスライド移動用の孔部72h(長孔)を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。孔部79hをケーブル支持部72側に設けるとともに、孔部72h(長孔)をスライド部79側に設けるように構成してもよい。また、ボルト5およびナット6の個数は、1本(1組)のみならず、複数(たとえば2組)設けてもよい。
【0058】
また、上記第2実施形態の変形例では、2本の引張りバネ7を用いて第1金具部81と第2金具部82とを連結した例について示したが、本発明はこれに限られない。1本の引張りバネ7を用いてもよいし、3本以上の引張りバネ7を用いてもよい。
【0059】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の「保持部材」を金属板を板金加工して形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、強化プラスチックなどの樹脂材料を用いて一体的に形成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
11 筐体本体部
11a 開口部
12 正面ドア(開閉部)
12a 取付面
13 ヒンジ部材
15 コネクタ部
20 装置本体
30 プログラミングペンダント(教示装置)
40 ケーブル
41 接続端子部(第1接続端子部)
42 接続端子部(第2接続端子部)
50、70、85、350 保持金具(保持部材)
51、71 取付部(第1保持部)
52、72 ケーブル支持部(第1保持部、第1支持部)
52a 端部(取付部側とは反対側の端部)
53、73 教示装置支持部(第2保持部、第2支持部)
53a、73a 下端部
53b 端部(第1支持部側の端部)
54、74 抜止部(第2保持部)
54a 上端部
55、75 接続部
79 スライド部(第1保持部、第1支持部)
81 第1金具部(第1保持部)
90 ロボット
100、200、210 ロボット制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに対して動作を教示する教示装置と、
前記教示装置に接続されるとともに前記ロボットに対して教示する前記動作の指令を伝送するケーブルと、
前記教示装置と前記ケーブルとを共に吊り下げた状態で保持する保持部材とを備える、ロボット制御装置。
【請求項2】
前記保持部材は、
巻き回された前記ケーブルを吊り下げて保持する第1保持部と、
前記第1保持部に接続するように設けられ、前記教示装置を吊り下げて保持する第2保持部とを一体的に含み、
前記第1保持部および前記第2保持部は、前記保持部材の取付面から離間する第1方向に沿って、前記第1保持部と前記第2保持部とがこの順に配置されている、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記保持部材の前記第1保持部は、前記保持部材を前記取付面に取り付けるための取付部と、前記取付部から離間する前記第1方向に沿って延びるとともに巻き回された前記ケーブルが吊り下げられる第1支持部とを有し、
前記保持部材の前記第2保持部は、前記第1支持部よりも上方において前記第1方向に沿って延びるとともに前記教示装置が吊り下げられる第2支持部と、前記第2支持部の前記第1支持部側とは反対側の端部から上方に延びる抜止部とを有する、請求項2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記第2支持部は、前記第1方向に沿って前記第1支持部から離間するにしたがって下方に傾斜するように構成されており、
前記抜止部は、前記第2支持部の下端部を起点として上方に延びている、請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記抜止部の上端部は、前記第2支持部の前記第1支持部側の端部よりも上方に配置されている、請求項3または4に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記第1保持部の第1支持部の前記取付部側とは反対側の端部と、前記第2保持部の第2支持部の前記第1支持部側の端部とを接続する接続部をさらに含み、
少なくとも前記接続部によって、前記第1支持部に吊り下げられた前記巻き回されたケーブルが、前記第1支持部上を前記第1方向に沿って移動するのが規制されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項7】
前記接続部の高さは、前記ケーブルを前記第1支持部に吊り下げた際の前記ケーブルの掛かり高さ以上である、請求項6に記載のロボット制御装置。
【請求項8】
前記保持部材は、巻き回された前記ケーブルが前記第1方向に沿って順次重ねられた状態で前記第1保持部の前記第1支持部に吊り下げられるように構成されており、
前記保持部材は、前記ケーブルの巻き回しの回数に応じて前記第1方向に沿って延びる前記第1支持部の長さが調整可能に構成されている、請求項3〜7のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項9】
前記第1保持部と前記第2保持部とは、前記第1方向に沿って相対的にスライド移動が可能に構成されており、
前記第2保持部が、前記第1保持部に対して前記第1方向に沿ってスライド移動されることにより、前記保持部材は、前記ケーブルの巻き回しの回数に応じて前記第1方向に沿った前記第1保持部の長さが調整可能に構成されている、請求項8に記載のロボット制御装置。
【請求項10】
開口部を有する筐体本体部と、ヒンジ部材を介して前記筐体本体部に取り付けられ、前記筐体本体部の前記開口部を開閉可能に構成された開閉部とを含み、前記教示装置により教示された前記動作の指令を前記ロボットに対して出力する装置本体をさらに備え、
前記保持部材は、前記装置本体の前記開閉部の外表面に取り付けられており、
前記開閉部は、前記開閉部に取り付けられるとともに前記教示装置と前記装置本体に内蔵された制御機器とを電気的に接続するためのコネクタ部を有し、
前記ケーブルは、前記教示装置に接続される第1接続端子部と、前記開閉部の前記コネクタ部に接続される第2接続端子部とを含み、
前記保持部材に前記教示装置と前記ケーブルとが共に吊り下げられた状態において、前記ヒンジ部材から前記第2接続端子部が接続される前記コネクタ部までの第1距離は、前記ヒンジ部材から前記教示装置に接続された前記第1接続端子部までの第2距離よりも小さい、請求項1〜9のいずれか1項に記載のロボット制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−200798(P2012−200798A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65262(P2011−65262)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】