説明

ロボット加工方法

【課題】加工時間を可及的に短縮し、加工効率を向上させることができるロボット加工方法を提供する。
【解決手段】複数台の加工ロボット4a−4fを1対宛対向配置し直列した二つの加工ゾーン3、5に、全加工ロボットにより同時加工できるように、一個の被加工品1a−1hを四隅にセットした二つの加工枠2a、2bを搬送ロボット6で夫々搬入搬出して自動加工する加工方法において、第1加工ゾーン3で第1加工枠2aの四隅にセットした加工品を四個の加工ロボット4a−4dを使用して夫々加工中に、第2加工ゾーン5へ第2の加工枠2bをセットして、第1加工ゾーン3と遠い側の被加工品の加工を開始し、第1の加工ゾーン3の第1加工枠2aに取り付けた被加工品の加工終了後、第1加工枠2aの加工ロボット4c−4dの一対を直ちに第2加工枠2bの被加工品の加工に振り替えると共に、第1の加工枠2aの既加工品と未加工品とを入れ換えて第1加工ゾーン3で加工を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加工ロボットと、搬送ロボットを組み合わせて、被加工品を連続自動加工することを目的としたロボット加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ライン加工においては、ラインに沿って被加工品を間欠的に送り、被加工品の停止時にこれを加工するようになっている。
【0003】
また被加工品を加工ゾーンに送り込む場合に、各加工ゾーンの加工ロボットは原則的に1台であって、加工ロボットが複数台使用される場合であっても、被加工品の同一場所の加工は1台のロボットが行うことが普通である。
【特許文献1】特開平9−117883
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のライン加工においては、同一加工ゾーンにおける加工は、一台の加工ロボットが行うので、その加工時間は専ら当該加工ロボットの効率に左右されると共に、被加工品又は加工材料などの搬入と搬出の時間は必須要件であるから、加工時間又は加工時間と、搬入・搬出時間の和の大小が、当該加工効率を左右することになり、前記時間を短縮することは困難であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
然るにこの発明は、同一加工する加工ロボットを少なくとも二台を1対にして、四台2対六台3対八台4対を並列設置し、被加工品は、1台の加工枠に四個1組固定して搬入・搬出するようにし、前記従来の問題点を改善し、加工効率を飛躍的に向上させたのである。
【0006】
然して被加工品の着脱を、加工ロボットの稼働時間内に行うことにより、被加工品の着脱時間によって総加工時間が増加することを防止したものである。
【0007】
即ちこの発明は、複数台の加工ロボットを1対宛対向配置し、直列した二つの加工ゾーンに、全加工ロボットにより同時加工できるように、一個の被加工品を四隅にセットした二つの加工枠を搬送ロボットで夫々搬入搬出して自動加工する加工方法において、第1加工ゾーンで第1加工枠の四隅にセットした加工品を四個の加工ロボットを使用して夫々加工中に、第2加工ゾーンへ第2の加工枠をセットして、第1加工ゾーンと遠い側の被加工品の加工を開始し、第1の加工ゾーンの第1加工枠に取り付けた被加工品の加工終了後、第1加工枠の加工ロボットの一対を直ちに第2加工枠の被加工品の加工に振り替えると共に、第1の加工枠の既加工品と未加工品とを入れ換えて第1加工ゾーンで加工を開始することを特徴としたロボット加工方法である。
【0008】
また、被加工品は同一形状又は異なる形状の工作物としたものであり、加工枠の被加工品は既加工品と、未加工品を取り換えることを特徴としたものであり、加工ロボットは、常時四台2対又は六台3対稼動していることを特徴としたものである。
【0009】
前記において、正方形(平面)の加工枠の四隅に被加工品をセットし、この加工枠を搬入・搬出する場合と、一旦セットした加工枠はそのまま定位置(加工ゾーン)に固定し、被加工品を既加工品と未加工品との取り換えをする場合とが考えられる。この場合には、四個の被加工品の搬入・搬出時間より、加工時間が長くなければならない。
【0010】
従って被加工品をセットした加工枠を搬入・搬出したほうが短時間で、かつ合理的な場合が多い。この場合には搬入・搬出ロボットと、被加工品着脱のロボットとを別にした方が確実であり、被加工品によっては、既加工品をロボットで取り除き、未加工品を自動セットするか、全未加工品を複数のロボットにより素早く取り換えるなどの手段を講ずることもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、少なくとも四台の加工ロボットにより同時加工できるので、被加工品一個当りの加工時間を4分の1に短縮することができる。
【0012】
また加工時間の異なる被加工品を取り換える場合には、加工枠の外側の四個を被加工時間の長い被加工品とすれば、加工時間を更に短縮できる効果がある。
【0013】
次に、未加工品と既加工品との取り換えは加工時間中にできるので、加工効率は専ら加工時間となり、作業能率を大幅に改善することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明は、第1加工ゾーンと、第2加工ゾーンの両方に、六台3対の加工ロボットを対向設置し、前記各加工ロボットが加工できるように四隅に被加工品をつけた加工枠を搬入・搬出できるようにしてある(八台4対の加工ロボットを用いる場合もある)。
【0015】
また、加工枠への被加工品の着脱は、前記第1加工ゾーン又は第2加工ゾーン以外の場所で行い、搬入・搬出ロボットで加工枠を第1加工ゾーン又は第2加工ゾーンへ搬入・搬出するが、搬入・搬出ロボットにより被加工品を搬入・搬出することを妨げない。
【0016】
前記における加工枠に、未加工品と既加工品の取り換えは、前記搬入・搬出ロボットを使用し、又は被加工品を取り扱う専用ロボットを使用することができる。例えば、加工枠をラインに沿って移動させ、搬出ポジションで既加工品を取り外し、搬入ポジションで未加工品を取り付けることもできる。又は同一ポジションで既加工品を搬出し、ついで未加工品を取り付けることもできる。
【実施例】
【0017】
この発明の実施例を図1に基づいて加工ロボット六台の場合を説明すると、四隅へ被加工品1a、1b、1c、1dをセットした第2加工枠2aを、第1加工ゾーン3へ搬入し、被加工品1e、1f、1g、1hをセットした第2加工枠2bを、第2加工ゾーン5へ搬入し、夫々の加工ロボット4a、4b、4c、4d、4e、4fにより、被加工品1a、1b、1e、1d、1g、1hの加工を開始する。
【0018】
前記において、第1加工ゾーン3の加工を終了したならば、加工枠2を搬送ロボット6によりBポジションに搬出し、ついでAポジションにある加工枠2cを、第1加工ゾーン3へ搬入し、前記加工枠2aの既加工品を未加工品と取り換え、矢示7のように加工枠2aをAポジションに移す。前記加工ロボット4c、4dは、矢示8、9のように移動して加工枠2bの被加工品1e、1fの加工を続行する。この場合に、被加工品1g、1hの加工は終了している。図中10は搬送ロボットの稼動域、11は加工工具である。
【0019】
前記のように、加工ロボット4c、4dは、連続的に稼動するので、全体の効率は飛躍的に向上することになる。前記のようにして第2加工ゾーン5の加工が終了したならば、加工枠2bをBポジションに移して、既加工品と未加工品を取り換えると共に、Aポジションの加工枠dを第2加工ゾーン5に移行し、加工ロボット4e、4fで被加工品1g、1hの加工を開始する。
【0020】
前記のように、第1加工ゾーン3又は第2加工ゾーン5は常時稼動しているので、被加工品1a、1b、1c、1d、又は1e、1f、1g、1hの何れかは同時に加工されており、被加工品1個の加工時間は、常に4分の1に短縮されることになり、その上既加工品と、未加工品の取り換え時間は加工時間中に行われるので、加工時間の効率とは関係なく、最高の加工効率状態を保つことができる。
【0021】
前記のように、被加工品1a、1b、1c、1d又は1a、1b、1c、1d、1g、1h或いは1e、1f、1g、1h、1a、1bが加工されているので、1個当たりの」加工時間は4分の1以下となり、加工効率を著しく向上させることができる。
【0022】
また、既加工品と、未加工品の取替えはB、Bポジション又は第1、第2の加工ゾーンで加工時間中に行われるので、取替え時間は、加工時間と関係なく、従って効率を左右しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施例の説明図。
【図2】同じく加工ゾーンと、加工ロボット及び搬送ロボットの実施例の一部を省略した平面図。
【図3】同じく一部を省略した正面図。
【符号の説明】
【0024】
1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h 被加工品
2 加工枠
3 第1加工ゾーン
4a、4b、4c、4d、4e、4f 加工ロボット
5 搬送ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の加工ロボットを1対宛対向配置し、直列した二つの加工ゾーンに、全加工ロボットにより同時加工できるように、一個の被加工品を四隅にセットした二つの加工枠を搬送ロボットで夫々搬入搬出して自動加工する加工方法において、第1加工ゾーンで第1加工枠の四隅にセットした加工品を四個の加工ロボットを使用して夫々加工中に、第2加工ゾーンへ第2の加工枠をセットして、第1加工ゾーンと遠い側の被加工品の加工を開始し、第1の加工ゾーンの第1加工枠に取り付けた被加工品の加工終了後、第1加工枠の加工ロボットの一対を直ちに第2加工枠の被加工品の加工に振り替えると共に、第1の加工枠の既加工品と未加工品とを入れ換えて第1加工ゾーンで加工を開始することを特徴としたロボット加工方法。
【請求項2】
被加工品は同一形状又は異なる形状の工作物としたことを特徴とする請求項1記載のロボット加工方法。
【請求項3】
加工枠の被加工品は既加工品と、未加工品を取り換えることを特徴とした請求項1記載のロボット加工方法。
【請求項4】
加工ロボットは、常時四台2対又は六台3対稼動していることを特徴とした請求項1記載のロボット加工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate