説明

ロボット及びその教示方法

【課題】エンドエフェクタやターゲットの変形を引き起こすことなく、また、パーティクルの発生を防止できる自動教示方法を提供すること。
【解決手段】ロボット制御手段40は、アーム駆動手段を制御してロボットアーム28の先端部を移動させて、手首軸に取り付けられた接触部材50を教示ターゲット51に接触させ、接触部材50と教示ターゲット51との接触により手首軸が角変位を開始した時点でのロボットアーム28の姿勢及び手首軸の角度位置を検出して教示点の位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲット位置を教示可能なロボット及びその教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造に用いられるシリコンウェハや、液晶表示パネルの製造に用いられるガラス基板等のワークを搬送する際には、変位自在のアームを備えたロボットが使用されている。この種のロボットは、ワークを所定の位置に正確に搬送するために、予めターゲット位置を教示する機能を備えている。
【0003】
近年、半導体ウェハやガラス基板の大形化に伴って、ロボットへの教示が益々難しくなってきており、オペレータに要求される技量のレベルも高くなっている。このため、オペレータの技量不足による教示ミスが発生しやすく、オペレータの技量に頼らずに正確な位置をロボットに教示できる技術が求められている。
【0004】
特許文献1には、3軸スカラ型ロボットでターゲットの位置を検出して教示点を求める方式が記載されている。この方式においては、ロボットのエンドエフェクタを、カセットなどに追加したターゲットに向けて移動させて、ターゲットに接触させる。このとき、トルク及び速度の変化を検出する。そして、エンドエフェクタがターゲットに接触する場合と、そうでない場合とで、トルク及び速度の変化を比較して、エンドエフェクタとターゲットとの接触点を検出し、検出した接触点からターゲットの位置を求め、教示点を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許6,242,879号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した従来の教示方式においては、エンドエフェクタをターゲットに接触させたときに、エンドエフェクタ及びターゲットが変形したり、パーティクルが発生したりするという不具合が生じる。このような不具合を防ぐためには、ロボットを非常に低速で動作させる必要があるが、この場合、ロボットの駆動系の、変動要素及び経時変化要素に支配されて、位置の検出精度が低くなってしまうという問題がある。ここで、変動要素は、トルク変動及び摩擦などを含み、経時変化要素は、ヒステリシスなどを含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、エンドエフェクタやターゲットの変形を引き起こすことなく、また、パーティクルの発生を防止しつつ、ターゲットの位置を高精度で検出することができるロボット及びその教示方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明によるロボットは、先端部に手首軸が回転自在に設けられたロボットアームと、前記ロボットアームを変位駆動するアーム駆動手段と、前記手首軸を回転駆動する手首軸駆動手段と、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を制御するロボット制御手段と、を備え、前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段を制御して前記ロボットアームの前記先端部を移動させて、前記手首軸に取り付けられた接触部材を教示ターゲットに接触させ、前記接触部材と前記教示ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて教示点の位置を決定するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記手首軸駆動手段は、前記手首軸を回転駆動するモータと、前記モータに設けられたエンコーダと、を含み、前記ロボット制御手段は、前記手首軸の前記角変位を前記エンコーダの位置の変化により検出するように構成されている。
【0010】
好ましくは、前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタを更に有し、前記接触部材は前記エンドエフェクタである。
【0011】
好ましくは、前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタを更に有し、前記接触部材は前記エンドエフェクタに保持された部材である。
【0012】
好ましくは、前記エンドエフェクタは、板状部材を保持する保持手段を有し、前記接触部材は、前記エンドエフェクタに保持された前記板状部材であり、前記教示ターゲットは、前記板状部材を収容するための容器である。
【0013】
好ましくは、前記ロボット制御手段は、予め与えられた前記教示ターゲットの暫定位置に基づいて、前記接触部材が前記教示ターゲットに接触すると予想される時点では前記手首軸駆動手段の制御ループゲインを実質的にゼロにしておくように構成されている。
【0014】
好ましくは、前記ロボット制御手段は、前記接触部材が前記教示ターゲットに接触すると予想される時点の直前に前記制御ループゲインを実質的にゼロにするように構成されている。
【0015】
好ましくは、前記ロボットアームは、X軸、Y軸、及びZ軸の方向への自由度を有して変位駆動されるように構成されている。
【0016】
好ましくは、前記ロボット制御手段は、異なる位置に存在する複数の教示点を検出するように構成されている。
【0017】
好ましくは、前記手首軸は、Z軸の方向の回転軸線周りに回転自在である。
【0018】
好ましくは、前記ロボットアームは、X軸、Y軸、及び前記Z軸の方向への自由度を有して変位駆動されるように構成されており、前記ロボット制御手段は、前記Z軸の方向の位置に応じて前記X軸及び前記Y軸の方向の位置が変化するターゲットに対して、前記Z軸の方向における複数の異なる位置において前記接触部材を前記ターゲットに接触させ、前記複数の異なる位置における前記検出結果に基づいて前記Z軸の方向における前記教示点の位置を決定するように構成されている。
【0019】
本発明は、上記いずれかのロボットに教示点の位置を教示する方法であって、前記ロボット制御手段によって前記アーム駆動手段を制御して前記ロボットアームの前記先端部を移動させて、前記手首軸に取り付けられた前記接触部材を前記教示ターゲットに接触させる工程と、前記接触部材と前記教示ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて教示点の位置を決定する工程と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるロボットをウェハカセットと共に示した斜視図。
【図2】図1に示したロボットのロボットアームの内部構造を示した図。
【図3】図1に示したロボットの制御駆動系の構成を示したブロック図。
【図4】図1に示したロボットにおける教示操作を説明するための平面図。
【図5】図1に示したロボットにおける教示操作を説明するための正面図。
【図6】図1に示したロボットにおける他の教示操作を説明するための平面図。
【図7】図6に示したターゲットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態としてのロボット及びその教示方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0022】
図1に示したように本実施形態によるロボット10は、半導体ウェハ50等の板状部材(ワーク)を搬送するロボット本体20と、このロボット本体20の動作を制御するロボット制御手段40とを備えている。
【0023】
ロボット本体20は、ウェハカセット51内から半導体ウェハ50を搬出し、或いはカセット51内へウェハ50を搬入することができる。ここで、ウェハカセット51は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に基づいて製造されたものである。
【0024】
ロボット本体20はロボット基台21を有し、このロボット基台21には、鉛直方向即ちZ軸方向に延びるアーム基軸22が昇降自在に設けられている。アーム基軸22の上端には、第1アーム部23の基端部が固定されている。第1アーム部23の先端部には、第2アーム部24の基端部が回転自在に取り付けられている。
【0025】
第2アーム部24の先端部には、エンドエフェクタとしてのハンド25が回転自在に設けられており、このハンド25は、半導体ウェハ50がその上に載置されるように構成されている。ハンド25は、その上に載置されたウェハ50を解放可能に保持するために、真空吸着機構や把持機構等を利用した保持手段25Aを備えている。
【0026】
ロボット制御手段40は、コンピュータによって実現されるものであり、ロボット本体20の動作を制御するための動作プログラムが格納された記憶部41と、この記憶部41に格納された動作プログラムを実行してロボット本体20を制御するCPU42と、を備えている。
【0027】
記憶部41には、ロボット本体20の動作を制御するための教示点に関するデータを格納することもでき、記憶部41に格納された教示点データに基づいて、ハンド25が所定の位置へと動かされる。また、記憶部41には、ハンド25の形状・寸法に関するデータ、ハンド25に保持されたウェハの形状・寸法に関するデータも格納されている。
【0028】
図2に示したように、第2アーム部24は、その基端部にて、第1アーム部23の先端部に回転自在に設けられた第2アーム回転軸26に固定的に取り付けられている。ハンド25は、その基端部にて、第2アーム24の先端部に回転自在に設けられた手首軸27に固定的に取り付けられている。
【0029】
このようにロボット本体20のロボットアーム28は、アーム基軸22、第1アーム部23、第2アーム部24、ハンド25、第2アーム回転軸26、及び手首軸27を含んでいる。この種のロボットアーム28は、スカラ型水平多関節アームと呼ばれ、ロボット制御手段40によりロボットアーム28の動作を制御することにより、ハンド25をX軸、Y軸、及びZ軸方向の所望の位置まで動かすことができる。
【0030】
図2及び図3に示したように、ロボット本体20は、第1アーム部23を回転駆動する第1アーム駆動手段29、第2アーム部24を回転駆動する第2アーム駆動手段30、手首軸27を回転駆動する手首軸駆動手段31、及びアーム基軸22を昇降駆動する昇降駆動手段32を備えている。
【0031】
第1アーム駆動手段29は、ロボット基台21の内部空間に配置され、サーボモータ33及びその動力伝達機構34を含む。第2アーム駆動手段30は、第1アーム部23の内部空間に配置され、サーボモータ35及びその動力伝達機構36を含む。手首軸駆動手段31は、第2アーム部24の内部空間に配置され、サーボモータ37及びその動力伝達機構38を含む。各サーボモータ33、35、37は、各エンコーダ33A、35A、37Aを内蔵している。
【0032】
動力伝達機構34、36、38には、減速機を備えた歯車動力伝達機構が用いられる。サーボモータ33、35、37の動力が減速機の入力側に伝達され、そのトルクが予め定める増幅比で増幅されると共に、その回転速度が予め定める減速比で減速されて、減速機の出力側から出力される。このようにして減速機の出力側から出力された動力によって、アーム基軸22、第2アーム回転軸26、及び手首軸27のそれぞれが回転駆動される。これにより、第1アーム部23、第2アーム部24、及びハンド25のそれぞれが回転駆動される。
【0033】
なお、変形例としては、ダイレクトドライブモータによってアーム基軸22、第2アーム回転軸26、及び/又は手首軸27を駆動するようにしても良い。
【0034】
昇降駆動手段32は、ロボット基台21の内部に設けられており、角変位量を調整可能な回転モータを用いたボールねじ機構によって実現される。例えば、昇降駆動手段32は、ねじ棒と、このねじ棒に螺合される螺合体と、ねじ棒を回転駆動する回転モータと、を含み、螺合体にアーム基軸22が固定される。昇降駆動手段32の回転モータには、エンコーダ39Aを内蔵するサーボモータ39が用いられる。
【0035】
上記構成を備えたロボット本体20においては、第1アーム駆動手段29によって、アーム基軸22が、ロボット基台21に対して回転軸線L1周りに回転駆動される。これにより、第1アーム部23が、ロボット基台21に対して回転軸線L1周りに回転駆動される。
【0036】
第2アーム駆動手段30によって、第2アーム回転軸26が、第1アーム部23に対して回転軸線L2周りに回転駆動される。これにより、第2アーム部24が、第1アーム部23に対して回転軸線L2周りに回転駆動される。
【0037】
手首軸駆動手段31によって、手首軸27が、第2アーム部24に対して回転軸線L3周りに回転駆動される。これにより、ハンド25が、第2アーム部24に対して回転軸線L3周りに回転駆動される。
【0038】
回転軸線L1、L2、L3は互いに平行であり、且つ、Z軸方向(鉛直方向)に延びている。上記の通りロボットアーム28は、X軸、Y軸、及びZ軸の方向への自由度を有して変位駆動される。
【0039】
ロボット制御手段40は、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、手首軸駆動手段31、及び昇降駆動手段32のそれぞれのサーボモータ33、35、37、39のエンコーダ33A、35A、37A、39Aから、各サーボモータ33、35、37、39の角度位置を取得することによって、各駆動手段29、30、31、32をフィードバック制御することができる。これにより、ハンド25を目的位置に精度良く位置合わせすることが可能となる。
【0040】
次に、図4及び図5を参照して、ロボット10においてターゲットの位置を教示する方法について説明する。ここでターゲットは、半導体ウェハ50を収容するためのウェハカセット51である。
【0041】
ロボット制御手段40のCPU42は、記憶部41に格納されているウェハカセット51の暫定位置データを読み込み、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、手首軸駆動手段31、及び昇降駆動手段32を制御して、ハンド25上に保持されているウェハ50をカセット51内に挿入する。
【0042】
ここでウェハカセット51は、SEMI規格に基づいて、その左右の内壁面52、53の間の水平方向の距離が、ウェハ50の直径よりもやや大きい寸法に設定されている。従って、カセット51内に挿入されたウェハ50の側方には、ウェハ50の左右方向への移動を可能とする間隙が存在する。
【0043】
次に、ロボット制御手段40は、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを実質的にゼロにすると共に、第1アーム駆動手段29及び第2アーム駆動手段30のうちの少なくとも一方を駆動制御して、ハンド25に保持されているウェハ50をカセット51の一方の内壁面52(又は53)に接触させる(図4及び図5において仮想線で示した状態)。
【0044】
ここで、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを「実質的にゼロにする」とは、当該制御ループゲインを、通常動作のサーボゲインから、ゼロを含む小さな値に変更して、手首軸駆動手段31に対して外力が加えられた際、即ち、ハンド35とカセット51とが接触した際の接触反力を極小化して、手首軸駆動手段31のサーボモータ37が、この接触反力に対して実質的に抵抗することなく、その角度位置が実質的に自由に変位し得る状態にすることを言う。制御ループゲインを切ってゼロにする場合もここに含まれる。
【0045】
ウェハ50がカセット51の内壁面52(又は53)に接触すると、手首軸駆動手段31の制御ループゲインが実質的にゼロとされているので、ウェハ50と共にハンド25が回転軸線L3周りに角変位し、これにより、手首軸27が角変位する。この手首軸27の角変位は、動力伝達機構38を介してサーボモータ37に伝達され、このサーボモータ37を角変位する。
【0046】
このようにウェハ50がカセット51の内壁面52(又は53)に接触するとサーボモータ37が角変位するので、このサーボモータ37の角変位開始時点をエンコーダの位置の変化により検出する。そして、この検出時点におけるロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置を検出する。
【0047】
ここで、ロボットアーム28の姿勢に関する情報は、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、昇降駆動手段32の各サーボモータ33、35、39の各エンコーダ33A、35A、39Aから取得することができる。手首軸27の角度位置に関する情報は、手首軸駆動手段31のサーボモータ37のエンコーダ37Aから取得することができる。
【0048】
ロボット制御手段40は、記憶部41に格納されたウェハ50の形状・寸法のデータと、接触時のロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置に関する検出結果とに基づいて、XY平面内のカセット内壁面52(又は53)の位置を検出する。
【0049】
上述した操作によって、ウェハカセット51の左右両側の内壁面52、53について位置データを取得する。これにより、ウェハカセット51の左右方向の中心位置(教示点の位置)を決定することができる。
【0050】
また、図5に示したようにZ軸方向の異なる位置において、ウェハカセット51の内壁面52、53について教示データを取得するようにしても良い。これにより、ウェハカセット51の位置を、より正確に決定することが可能となる。
【0051】
また、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを実質的にゼロにするタイミングについては、予め与えられているカセット内壁面52、53の暫定位置に基づいて、ウェハ50がカセット内壁面52、53に接触すると予想される時点の直前に制御ループゲインを実質的にゼロにしても良い。
【0052】
上述したように本実施形態によるロボット10においては、ターゲット位置の教示操作に際して、手首軸27及び手首軸駆動手段31が、いわばスイッチのように作用する。そして、このスイッチの動作時点におけるロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の回転位置を検出することにより、ターゲットの位置を検出し、教示するものである。
【0053】
換言すれば、本実施形態のロボット10は、ロボットアーム28の駆動に関する指令値と現在値との差異によりターゲット位置を検出するものではなく、接触時の手首軸27の角変位を検出するものである。
【0054】
このため、ウェハ50をターゲット(カセット内壁面52、53)に押し付ける必要がなく、ウェハ50とターゲットとの接触時の衝撃力が極めて小さい(ソフトタッチ)ので、接触時にパーティクルが発生し難くい。
【0055】
また、接触時の手首軸27の角変化開始時点を捕らえるので、ロボット10の駆動系が有する変動要素や経時変化要素の影響を受けることなく、ターゲット位置を高精度で検出することができる。
【0056】
また、上記の通りウェハ50とターゲットとの接触がソフトタッチなので、真空吸着等によりハンド25に保持されたウェハ50が、ターゲットとの接触時に外れてしまうことを確実に防止できる。そして、実際にウェハ50を保持した状態で教示操作を行うことにより、実際の運転状況に即した正確な教示データを取得することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態においては、ハンド25に保持されたウェハ50をターゲット(カセット51)との接触部材として用いているが、図6に示したように、ハンド25自身を接触部材として用いて、上述のソフトタッチング操作により、追加設置した目標物54にハンド25を左右両側から順次接触させるようにしても良い。
【0058】
ロボット制御手段40は、記憶部41に格納されたハンド25の形状・寸法のデータと、接触時のロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置とに基づいて、XY平面内の目標物54の位置を決定する。
【0059】
また、図7に示したように円柱状の目標物54の上端部を先細り形状として、この形状に関するデータを予め記憶部41に記憶させておく。そして、Z軸方向における複数の異なる位置において、ハンド25を目標物54の左右両側に順次接触させる。これにより、各Z方向位置における目標物54の直径に関するデータが得られる。
【0060】
このようにして取得した各Z方向位置での直径データに基づいて、目標物54の直径が変化するZ方向位置を特定する。これにより、目標物54におけるZ方向の教示点54Aの位置を決定することができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態によるロボットは半導体ウェハ(円形基板)を搬送するものであるが、これに代えて、液晶表示パネルに用いられるガラス基板(方形基板)を搬送するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0062】
10 ロボット
20 ロボット本体
25 ハンド
27 手首軸
28 ロボットアーム
29、30 アーム駆動手段
31 手首軸駆動手段
37 サーボモータ
37A エンコーダ
40 ロボット制御手段
50 接触部材
51 教示ターゲット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に手首軸が回転自在に設けられたロボットアームと、前記ロボットアームを変位駆動するアーム駆動手段と、前記手首軸を回転駆動する手首軸駆動手段と、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を制御するロボット制御手段と、を備え、
前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段を制御して前記ロボットアームの前記先端部を移動させて、前記手首軸に取り付けられた接触部材を教示ターゲットに接触させ、前記接触部材と前記教示ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて教示点の位置を決定するように構成されていることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記手首軸駆動手段は、前記手首軸を回転駆動するモータと、前記モータに設けられたエンコーダと、を含み、
前記ロボット制御手段は、前記手首軸の前記角変位を前記エンコーダの位置の変化により検出するように構成されている請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタを更に有し、前記接触部材は前記エンドエフェクタである請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタを更に有し、前記接触部材は前記エンドエフェクタに保持された部材である請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、板状部材を保持する保持手段を有し、
前記接触部材は、前記エンドエフェクタに保持された前記板状部材であり、
前記教示ターゲットは、前記板状部材を収容するための容器である請求項4記載のロボット。
【請求項6】
前記ロボット制御手段は、予め与えられた前記教示ターゲットの暫定位置に基づいて、前記接触部材が前記教示ターゲットに接触すると予想される時点では前記手首軸駆動手段の制御ループゲインを実質的にゼロにしておくように構成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項7】
前記ロボット制御手段は、前記接触部材が前記教示ターゲットに接触すると予想される時点の直前に前記制御ループゲインを実質的にゼロにするように構成されている請求項6記載のロボット。
【請求項8】
前記ロボットアームは、X軸、Y軸、及びZ軸の方向への自由度を有して変位駆動されるように構成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項9】
前記ロボット制御手段は、異なる位置に存在する複数の教示点を検出するように構成されている請求項8記載のロボット。
【請求項10】
前記手首軸は、Z軸の方向の回転軸線周りに回転自在である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項11】
前記ロボットアームは、X軸、Y軸、及び前記Z軸の方向への自由度を有して変位駆動されるように構成されており、
前記ロボット制御手段は、前記Z軸の方向の位置に応じて前記X軸及び前記Y軸の方向の位置が変化するターゲットに対して、前記Z軸の方向における複数の異なる位置において前記接触部材を前記ターゲットに接触させ、前記複数の異なる位置における複数の前記検出結果に基づいて前記Z軸の方向における前記教示点の位置を決定するように構成されている請求項10記載のロボット。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のロボットに教示点の位置を教示する方法であって、
前記ロボット制御手段によって前記アーム駆動手段を制御して前記ロボットアームの前記先端部を移動させて、前記手首軸に取り付けられた前記接触部材を前記教示ターゲットに接触させる工程と、
前記接触部材と前記教示ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて教示点の位置を決定する工程と、を備えたことを特徴とするロボットの教示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254524(P2012−254524A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189843(P2012−189843)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【分割の表示】特願2010−519598(P2010−519598)の分割
【原出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】