説明

ロングライフ酢飯及びその製造方法

【課題】 この発明は、長期保存に耐え、かつ味の変化のない酢飯を得ることを目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、精米を水洗し、適量の水を加えて浸漬すると共に、これに酢とグルコノデルタラクトンを加えて炊飯した後、調味調整物を添加混合し、ついで105℃〜110℃で殺菌することを特徴としたロングライフ酢飯の製造方法により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、淡い酢と、グルコノデルタラクトンで炊飯した飯を調味し、殺菌して、長期間の保存に耐える包装米飯を得ることを目的としたロングライフ酢飯及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寿司等の米飯改良材として、米飯に食用サラダ油を配合する方法、グルコノデルタラクトンと酵素類を添加した米飯食味改良材、澱粉分解酵素、海苔の微粉末、トレハロースを組み合わせた発明などが提案されている。
【0003】
また、保存性に優れた米飯としては、レトルト処理、無パック米飯とか、生米に水及びすし酸味調味料を配合し、これをプラスチックフィルムに充填密封し、レトルト処理する発明の提案がある。
【特許文献1】特開平6−169709
【特許文献2】特開平6−46769
【特許文献3】特開2003−052319
【特許文献4】特開平6−46770
【特許文献5】特開平4−8258
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の発明は、夫々の特質があるが、引用文献1、2は米飯の改良剤に関する発明であり、引用文献3は味の改善であり、引用文献4はレトルト処理による殺菌を主とするものであり、引用文献5はすしごはんの改良を主目的とするものなどで、ロングライフについての効果と、味の不変効果を両立させる点で問題点が認められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、酢とグルコノデルタラクトンで炊飯した米飯を調味し、殺菌することにより、長期の保存に耐え、しかも味を損しない酢飯を得ることに成功し、前記従来の問題点を解決したのである。
【0006】
即ちこの発明は、酢とグルコノデルタラクトンで炊飯した米飯を調味し、殺菌したことを特徴とするロングライフ酢飯である。
【0007】
また方法の発明は、精米を水洗し、適量の水を加えて浸漬すると共に、これに酢とグルコノデルタラクトンを加えて炊飯した後、調味調整物を添加混合し、ついで105℃〜110℃で殺菌することを特徴としたロングライフ酢飯の製造方法であり、調味調整物を、食塩、白醤油、酢及び上白糖としたものである。
【0008】
前記発明において、酢は、全体(米と水)の0.1%〜0.8%(質量)、グルコノデルタラクトンは、全体の0.05%〜0.15%(質量)が使用され、好ましくは、酢を全体の0.4%〜0.5%(質量)を用い、グルコノデルタラクトンを全体の0.07%〜0.09%(質量)用いる。
【0009】
また、調整物は、例えば酢を飯の0.5%〜1.5%(質量)、食塩を0.5%〜1.5%(質量)、白醤油を0.1%〜0.8%(質量)、上白糖を0.6%〜5%(質量)混合して調整する。
【0010】
この発明でいう酢は、食酢(醸造酢及び合成酢)と5%酢酸をいう。従って食酢を使用し、又は5%酢酸を使用して、同一結果が得られる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、酢飯を加熱殺菌して完全殺菌化すると共に、味の変化しないロングライフ酢飯を得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
うるち米に酢とグルコノデルタラクトンを加え炊飯する。これに食塩、白醤油、酢、上白糖からなる調整物を加えよく混合する。この酢飯を容器に入れてプラスチック蓋をシールし、105℃で、20分間で殺菌する。酢飯はpHが低いので(例えばpH5)温和な殺菌処理により日持ちの向上した包装米飯を得ることができる。
【実施例1】
【0013】
90%搗精したササニシキ(商標)1kgを水洗し、全体で2.4kgになるように加水し、室温で60分間放置した。これに酢(ナカノス富貴、商標)10mlとグルコノデルタラクトン(藤沢製薬製)2gを加え、電気炊飯器により炊飯した。飯米をステンレス容器に取り出し、これに酢120ml、食塩20g、白醤油10ml、上白糖60gからなる調整物を加えてよく混合して酢飯とし、この酢飯200gをポリプロピレン容器に詰め、プラスチック蓋をシールして包装炊飯米を得た。次にこの包装炊飯米をレトルト試験機(日阪製作所製)に入れ、105℃で、20分間の殺菌処理を施した。
【0014】
殺菌処理済み包装米飯を室温で3ヶ月保存した後検査したところ、表1の結果を得た。これによれば一般生菌数は1g当たり300個以下であり、大腸菌群も陰性であった。
【表1】

【実施例2】
【0015】
うるち米1kgを水洗し、全体が2.4kgになるように加水した後、室温で60分間水に浸漬した。これに酢(ナカノス富貴、商標)5mlとグルコノデルタラクトン(藤沢製薬製)3.6gを加え炊飯した。飯米をステンレス容器に取り出し、酢120ml、食塩20g、白醤油10ml、上白糖50g、トレハロース(林原)20gからなる調整物を加え、よく混合した。この酢飯200gをポリプロピレン製の容器に詰め、プラスチック蓋を被冠して密にシールした。次に、この包装炊飯米をレトルト試験機に入れ、110℃で15分間殺菌処理を施した。
【0016】
殺菌処理済み包装米飯を室温で3ヶ月保存した後に一般生菌数を測定したところ、1g当たり300個以下であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢とグルコノデルタラクトンで炊飯した米飯を調味し、殺菌したことを特徴とするロングライフ酢飯。
【請求項2】
酢は米と水の0.1%〜0.8%(質量)、グルコノデルタラクトンは米と水の0.05%〜0.15%(質量)使用したことを特徴とする請求項1記載のロングライフ酢飯。
【請求項3】
精米を水洗し、適量の水を加えて浸漬すると共に、これに酢とグルコノデルタラクトンを加えて炊飯した後、調味調整物を添加混合し、ついで105℃〜110℃で殺菌することを特徴としたロングライフ酢飯の製造方法。
【請求項4】
調味調整物を、食塩、白醤油、酢及び上白糖とすることを特徴とした請求項3記載のロングライフ酢飯の製造方法。

【公開番号】特開2006−61034(P2006−61034A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245099(P2004−245099)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(504273715)有限会社大繁 (1)
【Fターム(参考)】