説明

ローソク立て掃除器

【課題】簡便な構造で、ローソク立てに固着したローを容易に確実に除去することが可能なローソク立て掃除器を提供する。
【解決手段】 ローソク立て50の心棒52に挿通される筒状の案内部11を有し、案内部の端部に凹部からなる歯形部12、13が形成され、歯形部の底部に心棒と摺擦可能な削り刃部14、15が形成され、削り刃部を心棒に接触させて案内部を心棒に沿って移動させることにより心棒に付着したロー63を剥がし取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローソク立てに固着したローソクを削り落とすためのローソク立て掃除器に関する。
【背景技術】
【0002】
仏壇等において使用されるローソク立てにおいては、心棒に立てられて火を灯されたローソクから垂れ落ちるローが心棒や心棒支持部に固着することがあり、このような固着したローが堆積するとローソクを適正に支持できなくなるため、ローソク立てに固着したローは逐一削り落として洗浄化する必要がある。このような固着ローを除去するための器具として、ナイフや平板刃などからなるローソク立て掃除器が使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のローソク立て掃除器では、カップ状の容器の内部に心棒を立てた構造のローソク立てにおいては、容器の内面や心棒に固着したローの全てに削り刃を当てることが困難であり、ローソク立ての全ての固着ローを削り落とすことが困難であり、掃除に時間を要していた。
【0004】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡便な構造で、ローソク立てに固着したローを容易に確実に除去することが可能なローソク立て掃除器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、ローソクの下端部に心棒を挿入することで該ローソクを支持するローソク立てに固着したローを剥がし取るためのローソク立て掃除器において、前記心棒に挿通される筒状の案内部を有し、前記案内部の端部に凹部からなる歯形部が形成され、前記歯形部の底部に前記心棒と摺擦可能な削り刃部が形成され、前記削り刃部を前記心棒に接触させて前記案内部を該心棒に沿って移動させることにより前記心棒に付着したローを剥がし取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のローソク立て掃除器によれば、簡便な構造で、ローソク立てに固着したローを容易に確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明を適用したローソク立て掃除器の一実施形態の平面図である。図2は図1中の線2−2に沿った縦断面図である。図3は図1のローソク立て掃除器の裏面図である。図4は図1中の線4−4から見た左端面図であり、図5は図1中の線5−5から見た右端面図である。図6は本発明によるローソク立て掃除器によってローソク立てに固着したローを除去している状態を例示する部分縦断面図である。図7はローソク立ての一例を一部破断して示す縦断面図である。
【0008】
図7において、ローソク立て50は、仏壇等に載置して使用されるものであり、その上部に形成された容器部51の内部の中心に心棒52を垂直に固定した構造を有する。棒状のローソク60は、その下端部(下部中心)に形成された孔61を心棒52に押し込み嵌合することでローソク立て50に固定される。ローソク60の中心部には芯材62が埋め込まれ、芯材に火を灯すことができる。芯材は、例えば紐状の繊維のように溶融ローソクが浸透しやすい部材で形成されている。芯材に火を灯すと、ローソク60はその上部から溶融して燃焼していく。その際、溶融したローがローソク立て50に垂れ落ち、心棒52の表面や容器部51の内部に付着して固まり、固着ロー63となる。この固着ロー63は、新しいローソクを適正に取り付けられるためには、これを除去する必要がある。
【0009】
本発明によるローソク立て掃除器は、鋼板やステンレス板等の金属板のプレス成形品、あるいは硬質プラスチックの成型品などで作られる。本実施形態では、図1〜図6に示すように、板厚が約0.6mm〜約1.2mm程度の鋼板のプレス成型品にメッキ等の表面処理を施して作られる場合を想定して図示されている。図1〜図6において、ローソク立て掃除器の本体部16の長さ方向一端部(図1中の左端部)には、ローソク立て50の心棒52の高さH(図6)より短い長さLを有する筒状の案内部11が一体に形成されている。案内部11は、金属製の場合は例えば平板のブランクを両側から曲げ起こして筒状に成形して形成され、プラスチック製の場合は金型成形で一体に形成することができる。
【0010】
本実施形態に係るローソク立て掃除器10は金属板のプレス成形品であることから、図示の例では、案内部11の周方向の一箇所に隙間dが設けられており、全体として、略円形断面の筒状(円筒状)をなしている。案内部11の長さ方向両端には凹部からなる歯形部12、13が形成されている。図示の例では、案内部の下端側(図示左端側)には周方向3箇所に歯形部12が形成されており、案内部の上端側(図示右端側)には周方向1箇所に歯形部13が形成されている。下端側及び上端側の各歯形部12、13の奥の部分(底辺部)は、表面側から裏面側へ向かってテーパをつけることで先端部が薄くなる(尖る)ように形成された削り刃部14、15になっている。
【0011】
上記のような案内部11は本体部16の一端部に設けられている。この本体部16の案内部11と反対側の端部にはうちわ形状をした灰ならし部21が形成されている。この灰ならし部の先端は、線香立ての灰を掃くのに好適なように波形形状22になっている。また、灰ならし部21の側部には、ローソクの芯材62を挿入できる幅を有する所定深さの溝23が形成されている。ローソクの火を消す際に、火の下部の芯材62を溝23内に挿入させた状態で、この芯材をなぎ倒す方向に本体部16を略水平方向に移動させるように使用するものである。このように点火されている芯材62を溝23でなぎ倒すように摺擦することにより、ローソクの火を容易にかつ確実に消すことができる。
【0012】
ローソク60をローソク立て50に立てて使用しているうちに、溶けたローが垂れ落ちて心棒52の周りや容器部51の内部に付着して固まり、固着ロー63が徐々に堆積されていく。この固着ロー63は除去する必要がある。そこで、上記ローソク立て掃除器10によれば、次のようにして固着ローを除去(清掃)することができる。すなわち、図6に示すように、案内部11の下端(図1中の左端)からローソク立ての心棒52に挿通させ、心棒の表面に案内部の内面を接触させた状態でローソク立て掃除器を上下に摺動させ、歯形部12、13の削り刃部14、15で心棒を擦ることにより、心棒52に付着して固着したロー63を削り落とすことができる。
【0013】
また、ローソク立ての容器部51の内部に付着して固着したロー63は、案内部11を心棒52に挿通させて状態で、ローソク立て掃除器を下方へ移動させて案内部の下端を容器部の固着ローに衝突させることにより、破砕しながらはぎ取ることができる。なお、このような清掃作業によりはぎ取られて容器部51などのローソク立て内部に残存するローは、このローソク立てを逆立ちさせることにより除去し、回収することができる。
【0014】
ご仏壇等においては、容器内に溜められた灰に線香を立てる構造の線香立て(不図示)が使用されている。この線香たての場合、燃えた線香の灰が溜まっていくことから、定期的に灰の表面を掃くなどして掃除することが要請される。そこで、上記のローソク立て掃除器10を使用して線香たての灰を掃く場合は、うちわ形状をした灰ならし部21の波形形状22を灰の表面に接触させたながらローソク立て掃除器を所望の方向へ移動させることにより清掃することができる。また、ローソク立てに立てられたローソクの火を消す場合は、前述のように、灰ならし部21の側部を利用して形成された溝23により、ローソクの芯材62を火の下部でなぎ倒すように摺擦する。これにより、ローソクの火を容易に確実に消すことができる。また、上から被せてローソクの火を消す形態のローソク火消しの火消し部の反対側などに本発明に係るローソク立て掃除器を設ける構成にしても良い。これによって一層便利な器具を実現することができる。
【0015】
本発明によるローソク立て掃除器においては、筒状の案内部11として、以下に列挙するような種々の形状及び構造のものを使用することができ、本発明はこのような実施形態の全てをその範囲内に含むものである。すなわち、筒状の案内部11は略円形断面の円筒状にしたが、これは、三角形断面及び四角形断面等の多角形断面、あるいは長円形断面や楕円形断面、さらには花びら形断面や星形断面の筒状体にしても良い。また、図示の例では、円周方向の一箇所に隙間dを設けたが、これは隙間の無い断面形状にしても良く、また、歯形部12が形成できる断面形状であれば間隔を大きくした開放断面形状にしても良い。
【0016】
さらに、案内部の全体形状は、一様断面の筒状体に限定されるものではなく、長さ方向に断面(外形断面)が一様にテーパ状をつけた頭を切った錐体、あるいは外形断面が波打ち状に変化する筒状体にしても良い。この場合、テーパの方向を上端(図示右端)から下端(図示左端)の方へ細くなるようにすれば、案内部の下端側で剥がしたローを案内部11の外方へ容易に排出できるようになり、同時に容器部51内の固着ローを剥がしやすくなるという利点が得られる。
【0017】
また、前述の実施形態にかかわらず、案内部11の上端及び下端に設ける凹部からなる歯形部12、13の数は適宜選定することができる。さらに、前述の実施形態では案内部11の上下両端に歯形部12、13を形成したが、この歯形部はいずれか一端のみに形成しても良い。その場合、下端に形成する方が、上端に設ける場合より固着ローの剥がし除去が比較的に容易である点で好ましい。また、歯形部12、13の凹部形状は、底部を円弧状にしても良く、あるいは角形にしても良く、その形状は適宜選定することができる。さらに、前述の実施形態では、各歯形部12、13の削り刃部14、15を表面側から裏面側へ向かってテーパをつけることで先端が薄くなる(尖る)形状としたが、これは、裏面側から表面側へ向かってテーパをつける形状としても良く、あるいは、テーパをつけずに先端部の形状のままで削り刃部14、15を形成しても良い。
【0018】
以上説明した実施形態によれば、ローソク立て50の心棒52に挿通される筒状の案内部11を有し、案内部の端部に凹部からなる歯形部12、13が形成され、歯形部の底部に心棒と摺擦可能な削り刃部14、15が形成され、削り刃部を心棒に接触させて案内部を心棒に沿って移動させることにより心棒に付着したロー63を剥がし取る構成としたので、簡便な構造で、ローソク立てに固着したローを容易に確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用したローソク立て掃除器の一実施形態の平面図である。
【図2】図1中の線2−2に沿った縦断面図である。
【図3】図1のローソク立て掃除器の裏面図である。
【図4】図1中の線4−4から見た左端面図である。
【図5】図1中の線5−5から見た右端面図である。
【図6】本発明によるローソク立て掃除器によってローソク立てに固着したローを除去している状態を例示する部分縦断面図である。
【図7】ローソク立ての一例を一部破断して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 ローソク立て掃除器
11 案内部
12、13 歯形部(凹部)
14、15 削り刃部
16 本体部
17 隙間
21 うちわ形状の灰ならし部
22 波形形状
23 溝
50 ローソク立て
51 容器部
52 心棒
60 ローソク
61 孔
62 芯材
63 固着したロー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローソクの下端部に心棒を挿入することで該ローソクを支持するローソク立てに固着したローを剥がし取るためのローソク立て掃除器において、
前記心棒に挿通される筒状の案内部を有し、前記案内部の端部に凹部からなる歯形部が形成され、前記歯形部の底部に前記心棒と摺擦可能な削り刃部が形成され、前記削り刃部を前記心棒に接触させて前記案内部を該心棒に沿って移動させることにより前記心棒に付着したローを剥がし取ることを特徴とするローソク立て掃除器。
【請求項2】
前記案内部は先端部の断面が小さくなる方向にテーパをつけられた頭を切った錐体の形状をしていることを特徴とする請求項1に記載のローソク立て掃除器。
【請求項3】
前記歯形部は前記案内部の先端側に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローソク立て掃除器。
【請求項4】
前記削り刃部は表面側から裏面側へ向かってテーパをつけて先端を薄くした形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のローソク立て掃除器。
【請求項5】
前記案内部と反対側の部位にうちわ形状をした灰ならし部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のローソク立て掃除器。
【請求項6】
前記灰ならし部の側部にローソクの芯材を挿入できる幅及び深さを有する溝を形成し、火がついたローソクの前記芯材の火の下部を前記溝に挿入した状態で前記灰ならし部を略水平方向に移動させてことによりローソクの火を消すことを特徴とする請求項5に記載のローソク立て掃除器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−331797(P2006−331797A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152678(P2005−152678)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(597086726)
【Fターム(参考)】