説明

ロータ、モータおよび圧縮機

【課題】磁性材料のバランスウエイトを用いても磁束の漏れを防止し、バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけるためのアダプタが不要となり、バランスウエイトをロータコアとの間に隙間を有するように取り付ける手間を省くことができるロータを提供する。
【解決手段】第1バランスウエイト51のロータコア31への固定位置と、第2バランスウエイト52のロータコア31への固定位置とは、互いに異なる磁石61,62の異極側に位置している。第1バランスウエイト51と第2バランスウエイト52とは、分離している。このため、磁性材料のバランスウエイト51,52を用いても、異極間で磁束が短絡せず、磁束の漏れを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロータ、モータおよび圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータとしては、ロータコアと、このロータコアの内部に周方向に並べて固定されている複数の磁石と、このロータコアの軸方向の端面に取り付けられると共に磁性材料で構成されているバランスウエイトとを備えたものがある(特開2009−225639号公報:特許文献1参照)。
【0003】
上記バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置は、第1の磁石の径方向外側と、この第1の磁石に隣り合う第2の磁石の径方向外側に位置していた。ここで、第1の磁石の径方向外側の磁極と第2の磁石の径方向外側の磁極とは、互いに異なっているため、磁性材料のバランスウエイトを介して、磁束が漏れる問題があった。この問題に対して、従来のロータでは、アダプタを用いてバランスウエイトをロータコアの端面から離して、磁束の漏れを防止していた。
【0004】
しかしながら、上記従来のロータでは、バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけるためのアダプタが必要となって、部品数が多くなる問題があった。また、バランスウエイトをロータコアとの間に隙間を有するように取り付ける手間があって、作業性が劣る問題があった。また、バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけたとしても、磁性材料のバランスウエイトは、互いに異なる磁石の異極間を跨いで設けられているため、異極間で磁束が短絡して、磁束の漏れを確実に防ぐことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−225639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、磁性材料のバランスウエイトを用いても磁束の漏れを防止し、バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけるためのアダプタが不要となり、バランスウエイトをロータコアとの間に隙間を有するように取り付ける手間を省くことができるロータ、このロータを有するモータ、および、このモータを有する圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明のロータは、
ロータコアと、
上記ロータコアの内部に周方向に並べて固定されている複数の磁石と、
上記ロータコアの軸方向の少なくとも一端面側に取り付けられると共に磁性材料で構成されている複数のバランスウエイトと
を備え、
上記ロータコアの少なくとも一端面側において、第1の上記バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置は、第1の上記磁石の径方向外側に位置する一方、第2の上記バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置は、第2の上記磁石の径方向外側に位置し、
上記第1の磁石の径方向外側の磁極と上記第2の磁石の径方向外側の磁極とは、互いに異なり、
上記第1のバランスウエイトと上記第2のバランスウエイトとは、互いに分離していることを特徴としている。
【0008】
この発明のロータによれば、上記第1バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置と、上記第2バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置とは、互いに異なる磁石の異極側に位置しているが、第1バランスウエイトと第2バランスウエイトとは、分離しているため、磁性材料の第1、第2バランスウエイトを用いても、異極間で磁束が短絡せず、磁束の漏れを防止できる。また、第1、第2バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけるためのアダプタが不要となって、部品数を削減できる。また、第1、第2バランスウエイトをロータコアとの間に隙間を有するように取り付ける手間を省くことができて、作業性が向上する。
【0009】
また、一実施形態のロータでは、上記第1の磁石と上記第2の磁石とは、互いに隣り合っている。
【0010】
この実施形態のロータによれば、上記第1の磁石と上記第2の磁石とは、互いに隣り合っているので、第1、第2のバランスウエイトを隣り合う磁石の径方向外側に固定できて、第1、第2のバランスウエイトのモーメントを有効に作用させることができる。
【0011】
また、一実施形態のロータでは、
上記第1のバランスウエイトは、この第1のバランスウエイトの重心位置で、上記ロータコアに固定され、
上記第2のバランスウエイトは、この第2のバランスウエイトの重心位置で、上記ロータコアに固定されている。
【0012】
この実施形態のロータによれば、上記第1、上記第2のバランスウエイトのそれぞれを、各バランスウエイトの重心位置である一点でロータコアに固定できて、ロータコアが回転しても、第1、第2バランスウエイトのそれぞれは、固定位置を中心として、振れ回ることがなく、固定の緩みを防止できる。
【0013】
また、一実施形態のロータでは、
上記第1のバランスウエイトは、この第1のバランスウエイトの重心位置以外の第1点で、上記ロータコアに固定され、かつ、この第1のバランスウエイトの重心位置以外の第2点で、上記ロータコアに位置決めされ、
上記第2のバランスウエイトは、この第2のバランスウエイトの重心位置以外の第1点で、上記ロータコアに固定され、かつ、この第2のバランスウエイトの重心位置以外の第2点で、上記ロータコアに位置決めされている。
【0014】
この実施形態のロータによれば、上記第1、上記第2のバランスウエイトのそれぞれは、各第2点でロータコアに位置決めされているので、ロータコアが回転しても、第1、第2バランスウエイトのそれぞれは、第1点を中心として、振れ回ることがなく、第1点の固定の緩みを防止できる。
【0015】
また、一実施形態のロータでは、
上記第1のバランスウエイトの上記第1点および上記第2点は、同一の上記第1の磁石の径方向外側に位置し、
上記第2のバランスウエイトの上記第1点および上記第2点は、同一の上記第2の磁石の径方向外側に位置する。
【0016】
この実施形態のロータによれば、上記第1のバランスウエイトの第1点および第2点は、同一の第1の磁石の径方向外側に位置しているので、第1点および第2点は、同一の磁石の同極側に位置しており、第1バランスウエイト自体による磁束の漏れを確実に防ぐことができる。上記第2のバランスウエイトの第1点および第2点は、同一の第2の磁石の径方向外側に位置するので、第1点および第2点は、同一の磁石の同極側に位置しており、第2バランスウエイト自体による磁束の漏れを確実に防ぐことができる。
【0017】
また、一実施形態のロータでは、
上記第1のバランスウエイトは、この第1のバランスウエイトの重心位置以外の第1点で、上記ロータコアに固定され、
上記第2のバランスウエイトは、この第2のバランスウエイトの重心位置以外の第1点で、上記ロータコアに固定され、
上記第1のバランスウエイトおよび上記第2のバランスウエイトは、この第1のバランスウエイトの重心位置以外の第2点およびこの第2のバランスウエイトの重心位置以外の第2点で、互いに位置決めされている。
【0018】
この実施形態のロータによれば、上記第1、上記第2のバランスウエイトのそれぞれは、各第2点で互いに位置決めされているので、ロータコアが回転しても、第1、第2バランスウエイトは、第1点を中心として、振れ回ることがなく、第1点の固定の緩みを防止できる。また、互いの第2点を共通部材で位置決めできて部品数を減少できると共に、ロータコアに第2点を位置決めするための場所を設ける必要がなくてロータコアを小型にできる。
【0019】
また、この発明のモータは、
上記ロータと、
このロータの外周側を囲むように配置されたステータと
を備えることを特徴としている。
【0020】
この発明のモータによれば、上記ロータを備えるので、磁束漏れのない運転効率のよいモータを実現できる。
【0021】
また、この発明の圧縮機は、
密閉容器と、
この密閉容器内に配置された圧縮機構部と、
上記密閉容器内に配置されると共に上記圧縮機構部を回転軸を介して駆動する上記モータと
を備えることを特徴としている。
【0022】
この発明の圧縮機によれば、上記モータを備えるので、磁束漏れのない運転効率のよい圧縮機を実現できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のロータによれば、上記第1バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置と、上記第2バランスウエイトの上記ロータコアへの固定位置とは、互いに異なる磁石の異極側に位置しているが、第1バランスウエイトと第2バランスウエイトとは、分離しているため、磁性材料のバランスウエイトを用いても磁束の漏れを防止し、第1、第2バランスウエイトとロータコアとの間に隙間をあけるためのアダプタが不要となり、第1、第2バランスウエイトをロータコアとの間に隙間を有するように取り付ける手間を省くことができる。
【0024】
この発明のモータによれば、上記ロータを備えるので、磁束漏れのない運転効率のよいモータを実現できる。
【0025】
この発明の圧縮機によれば、上記モータを備えるので、磁束漏れのない運転効率のよい圧縮機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の圧縮機の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2A】本発明のロータの第1実施形態を示す平面図である。
【図2B】図2Aの側面図である。
【図3A】本発明のロータの第2実施形態を示す平面図である。
【図3B】図3AのX−X断面図である。
【図4A】本発明のロータの第3実施形態を示す平面図である。
【図4B】図4Aの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の圧縮機の一実施形態である縦断面図を示している。この圧縮機は、密閉容器1と、この密閉容器1内に配置された圧縮機構部2およびモータ3とを備えている。この圧縮機は、ロータリ圧縮機である。
【0029】
上記密閉容器1の下側側方に、吸入管11を接続する一方、密閉容器1の上側に吐出管12を接続している。上記吸入管11から供給される冷媒ガスは、上記圧縮機構部2の吸込側に導かれる。この冷媒は、例えば、二酸化炭素やR410AやR22である。
【0030】
上記モータ3は、上記圧縮機構部2の上側に配置され、上記圧縮機構部2を回転軸4を介して駆動する。上記モータ3は、上記圧縮機構部2から吐出された高圧の冷媒ガスが満たされる上記密閉容器1内の高圧領域に配置されている。
【0031】
上記圧縮機構部2は、シリンダ状の本体部20と、この本体部20の上下の開口端のそれぞれに取り付けられた上端部8および下端部9とを備える。
【0032】
上記回転軸4は、上端部8および下端部9を貫通して、本体部20の内部に挿入されている。上記回転軸4は、圧縮機構部2の上端部8に設けられた軸受21と、圧縮機構部2の下端部9に設けられた軸受22により回転自在に支持されている。
【0033】
上記本体部20内の回転軸4にクランクピン5が設けられ、このクランクピン5に嵌合されて駆動されるピストン6とそれに対応するシリンダとの間に形成された圧縮室7により圧縮を行う。ピストン6は、偏芯した状態で回転し、または、公転運動を行い、圧縮室7の容積を変化させる。
【0034】
上記モータ3は、上記回転軸4に固定された円筒形状のロータ30と、上記ロータ30の外周側を囲むように配置されたステータ40とを有する。上記ステータ40は、上記ロータ30の径方向外側にエアギャップを介して配置されている。つまり、上記モータ3は、インナーロータ型のモータである。
【0035】
上記ステータ40は、ステータコア41と、このステータコア41に巻回されたコイル42とを有する。
【0036】
図1、図2Aおよび図2Bに示すように、上記ロータ30は、ロータコア31と、ロータコア31の内部に周方向に並べて固定されている複数の磁石61,62と、ロータコア31の軸方向の両端面側のそれぞれに取り付けられる複数のバランスウエイト51,52とを有する。
【0037】
上記ロータコア31の両端面のそれぞれには、順に、端板36とバランスウエイト51,52とが取り付けられている。ロータコア31、端板36およびバランスウエイト51,52は、リベット33によって、一体に固定されている。
【0038】
上記ロータコア31は、積層された複数の電磁鋼板から構成され、円柱状に形成される。ロータコア31は、軸挿通孔部31aと磁石挿入孔部31bと空隙部31cとを有する。軸挿通孔部31aは、断面円形状に形成され、回転軸4が嵌め込まれる。磁石挿入孔部31bは、断面矩形状に形成され、4つの磁石挿入孔部31bが、軸挿通孔部31aの周りで正方形の各辺部をなすように配置される。空隙部31cは、各磁石挿入孔部31bの円周方向の両端から径方向外側に外周縁近くまで延びるように設けられている。
【0039】
上記磁石61,62は、希土類磁石から構成され、矩形板状に形成される。各磁石挿入孔部31bには、1つの磁石61,62が嵌め込まれており、ロータコア31には、4つの磁石61,62が固定されている。周方向に隣り合う1対の磁石61,62において、第1の磁石61の径方向外側の磁極と第2の磁石62の径方向外側の磁極とは、互いに異なる。
【0040】
上記複数のバランスウエイト51,52は、鉄などの磁性材料で構成されている。このため、ステンレスや真鍮などの非磁性材料に比べて、安価にできる。
【0041】
上記ロータコア31の上端面(一端面)側には、2つのバランスウエイト51,52が取り付けられている。このバランスウエイト51,52は、平面視円形状である。第1のバランスウエイト51のロータコア31への固定位置は、第1の磁石61の径方向外側に位置する。第2のバランスウエイト52のロータコア31への固定位置は、第2の磁石62の径方向外側に位置する。第1の磁石61と第2の磁石62とは、互いに隣り合っている。
【0042】
上記第1のバランスウエイト51と上記第2のバランスウエイト52とは、互いに分離している。つまり、第1、第2のバランスウエイト51,52は、一体に連続しておらず、異極間で磁束が短絡しない。
【0043】
上記第1のバランスウエイト51は、この第1のバランスウエイト51の重心位置で、リベット33によりロータコア31に固定されている。上記第2のバランスウエイト52は、この第2のバランスウエイト52の重心位置で、リベット33によりロータコア31に固定されている。
【0044】
なお、ロータコア31の下端面(他端面)側においても同様の構成であるので、説明を省略する。
【0045】
上記構成のロータ30によれば、上記第1バランスウエイト51の上記ロータコア31への固定位置と、上記第2バランスウエイト52の上記ロータコア31への固定位置とは、互いに異なる磁石61,62の異極側に位置しているが、第1バランスウエイト51と第2バランスウエイト52とは、分離しているため、磁性材料の第1、第2バランスウエイト51,52を用いても、異極間で磁束が短絡せず、磁束の漏れを防止できる。また、第1、第2バランスウエイト51,52とロータコア31(端板36)との間に隙間をあけるためのアダプタが不要となって、部品数を削減できる。また、第1、第2バランスウエイト51,52をロータコア31(端板36)との間に隙間を有するように取り付ける手間を省くことができて、作業性が向上する。
【0046】
また、上記第1の磁石61と上記第2の磁石62とは、互いに隣り合っているので、第1、第2のバランスウエイト51,52を隣り合う磁石61,62の径方向外側に固定できて、第1、第2のバランスウエイト51,52のモーメントを有効に作用させることができる。
【0047】
また、上記第1、上記第2バランスウエイト51,52のそれぞれを、各バランスウエイト51,52の重心位置である一点でロータコア31に固定できて、ロータコア31が回転しても、第1、第2バランスウエイト51,52のそれぞれは、固定位置を中心として、振れ回ることがなく、固定の緩みを防止できる。
【0048】
上記構成のモータによれば、上記ロータ30を備えるので、磁束漏れのない運転効率のよいモータを実現できる。
【0049】
上記構成の圧縮機によれば、上記モータ3を備えるので、磁束漏れのない運転効率のよい圧縮機を実現できる。
【0050】
(第2の実施形態)
図3Aと図3Bは、この発明のロータの第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0051】
図3Aと図3Bに示すように、ロータ30Aにおいて、第1の磁石61の径方向外側に配置された第1のバランスウエイト151と、第2の磁石62の径方向外側に配置された第2のバランスウエイト152とは、平面視矩形状である。
【0052】
上記第1のバランスウエイト151は、第1のバランスウエイト151の重心位置以外の第1点S1で、ロータコア31に固定され、かつ、第1のバランスウエイト151の重心位置以外の第2点S2で、ロータコア31に位置決めされている。
【0053】
上記第1のバランスウエイト151の第1点S1および第2点S2は、同一の第1の磁石61の径方向外側に位置している。
【0054】
上記第1のバランスウエイト151の第1点S1は、リベット33により構成されている。上記第1のバランスウエイト151の第2点S2は、第1のバランスウエイト151の突起部151aにより構成され、この突起部151aは、ロータコア31の孔部に、回転自在に嵌め込まれている。
【0055】
上記第2のバランスウエイト152は、第2のバランスウエイト152の重心位置以外の第1点S1で、ロータコア31に固定され、かつ、第2のバランスウエイト152の重心位置以外の第2点S2で、ロータコア31に位置決めされている。
【0056】
上記第2のバランスウエイト152の第1点S1および第2点S2は、同一の第2の磁石62の径方向外側に位置している。
【0057】
上記第2のバランスウエイト152の第1点S1は、リベット33により構成されている。上記第2のバランスウエイト152の第2点S2は、第2のバランスウエイト152の突起部152aにより構成され、この突起部152aは、ロータコア31の孔部に、回転自在に嵌め込まれている。
【0058】
上記構成のロータ30Aによれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、上記第1、上記第2のバランスウエイト151,152のそれぞれは、各第2点S2でロータコア31に位置決めされているので、ロータコア31が回転しても、第1、第2バランスウエイト151,152のそれぞれは、第1点S1を中心として、振れ回ることがなく、第1点S1の固定の緩みを防止できる。
【0059】
また、上記第1のバランスウエイト151の第1点S1および第2点S2は、同一の第1の磁石61の径方向外側に位置しているので、第1点S1および第2点S2は、同一の磁石61の同極側に位置しており、第1バランスウエイト151自体による磁束の漏れを確実に防ぐことができる。
【0060】
また、上記第2のバランスウエイト152の第1点S1および第2点S2は、同一の第2の磁石62の径方向外側に位置しているので、第1点S1および第2点S2は、同一の磁石62の同極側に位置しており、第2バランスウエイト152自体による磁束の漏れを確実に防ぐことができる。
【0061】
(第3の実施形態)
図4Aと図4Bは、この発明のロータの第3の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0062】
図4Aと図4Bに示すように、ロータ30Bにおいて、第1の磁石61の径方向外側に配置された第1のバランスウエイト251は、第2の磁石62の径方向外側に配置された第2のバランスウエイト252に向かって延びる第1の延在部251aを有し、第2のバランスウエイト252は、第1のバランスウエイト251に向かって延びる第2の延在部252aを有する。
【0063】
上記第1の延在部251aの先端と上記第2の延在部252aの先端とは、平面視、重なっている。第2の延在部252aの先端には、ピン部252bが設けられ、このピン部252bは、第1の延在部251aの孔部に、回転自在に嵌め込まれている。少なくともピン部252bは、非磁性材料で構成されている。
【0064】
上記第1のバランスウエイト251は、第1のバランスウエイト251の重心位置以外の第1点S1で、ロータコア31に固定されている。つまり、第1のバランスウエイト251の第1点S1は、リベット33により構成されている。
【0065】
上記第2のバランスウエイト252は、第2のバランスウエイト252の重心位置以外の第1点S1で、ロータコア31に固定されている。つまり、第2のバランスウエイト252の第2点S2は、リベット33により構成されている。
【0066】
上記第1のバランスウエイト251および上記第2のバランスウエイト252は、第1のバランスウエイト251の重心位置以外の第2点S2および第2のバランスウエイト252の重心位置以外の第2点S2で、互いに位置決めされている。つまり、第1のバランスウエイト251の第2点S2は、第1の延在部251aの孔部により構成され、第2のバランスウエイト252の第2点S2は、第2の延在部252aのピン部252bにより構成されている。
【0067】
上記構成のロータ30Bによれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、上記第1、上記第2のバランスウエイト251,252のそれぞれは、各第2点S2で互いに位置決めされているので、ロータコア31が回転しても、第1、第2バランスウエイト251,252は、第1点S1を中心として、振れ回ることがなく、第1点S1の固定の緩みを防止できる。また、互いの第2点S2を共通部材で位置決めできて部品数を減少できると共に、ロータコア31に第2点S2を位置決めするための場所を設ける必要がなくてロータコア31を小型にできる。なお、少なくともピン部252bは、非磁性材料で構成されているので、異極間で磁束が短絡しない。
【0068】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1から上記第3の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、バランスウエイトをロータコアの少なくとも一端面側に設けてもよい。また、ロータコアの少なくとも一端面側において、3つ以上のバランスウエイトを配置してもよく、このバランスウエイトは、互いに分離されていればよい。
【0069】
また、バランスウエイトを、隣接した磁石の径方向外側に配置しなくてもよく、離隔した磁石の径方向外側に配置してもよい。また、圧縮機構部として、ロータリタイプ以外に、スクロールタイプやレシプロタイプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 密閉容器
2 圧縮機構部
3 モータ
4 回転軸
30,30A,30B ロータ
31 ロータコア
31a 孔部
33 リベット
36 端板
40 ステータ
41 ステータコア
42 コイル
51,151,251 第1のバランスウエイト
52,152,252 第2のバランスウエイト
61 第1の磁石
62 第2の磁石
S1 第1点
S2 第2点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコア(31)と、
上記ロータコア(31)の内部に周方向に並べて固定されている複数の磁石(61,62)と、
上記ロータコア(31)の軸方向の少なくとも一端面側に取り付けられると共に磁性材料で構成されている複数のバランスウエイト(51,52,151,152,251,252)と
を備え、
上記ロータコア(31)の少なくとも一端面側において、第1の上記バランスウエイト(51,151,251)の上記ロータコア(31)への固定位置は、第1の上記磁石(61)の径方向外側に位置する一方、第2の上記バランスウエイト(52,152,252)の上記ロータコア(31)への固定位置は、第2の上記磁石(62)の径方向外側に位置し、
上記第1の磁石(61)の径方向外側の磁極と上記第2の磁石(62)の径方向外側の磁極とは、互いに異なり、
上記第1のバランスウエイト(51,151,251)と上記第2のバランスウエイト(52,152,252)とは、互いに分離していることを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
上記第1の磁石(61)と上記第2の磁石(62)とは、互いに隣り合っていることを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロータにおいて、
上記第1のバランスウエイト(51)は、この第1のバランスウエイト(51)の重心位置で、上記ロータコア(31)に固定され、
上記第2のバランスウエイト(52)は、この第2のバランスウエイト(52)の重心位置で、上記ロータコア(31)に固定されていることを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のロータにおいて、
上記第1のバランスウエイト(151)は、この第1のバランスウエイト(151)の重心位置以外の第1点(S1)で、上記ロータコア(31)に固定され、かつ、この第1のバランスウエイト(151)の重心位置以外の第2点(S2)で、上記ロータコア(31)に位置決めされ、
上記第2のバランスウエイト(152)は、この第2のバランスウエイト(152)の重心位置以外の第1点(S1)で、上記ロータコア(31)に固定され、かつ、この第2のバランスウエイト(152)の重心位置以外の第2点(S2)で、上記ロータコア(31)に位置決めされていることを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項4に記載のロータにおいて、
上記第1のバランスウエイト(151)の上記第1点(S1)および上記第2点(S2)は、同一の上記第1の磁石(61)の径方向外側に位置し、
上記第2のバランスウエイト(152)の上記第1点(S1)および上記第2点(S2)は、同一の上記第2の磁石(62)の径方向外側に位置することを特徴とするロータ。
【請求項6】
請求項1または2に記載のロータにおいて、
上記第1のバランスウエイト(251)は、この第1のバランスウエイト(251)の重心位置以外の第1点(S1)で、上記ロータコア(31)に固定され、
上記第2のバランスウエイト(252)は、この第2のバランスウエイト(252)の重心位置以外の第1点(S1)で、上記ロータコア(31)に固定され、
上記第1のバランスウエイト(251)および上記第2のバランスウエイト(252)は、この第1のバランスウエイト(251)の重心位置以外の第2点(S2)およびこの第2のバランスウエイト(252)の重心位置以外の第2点(S2)で、互いに位置決めされていることを特徴とするロータ。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載のロータ(30,30A,30B)と、
このロータ(30,30A,30B)の外周側を囲むように配置されたステータ(40)と
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項8】
密閉容器(1)と、
この密閉容器(1)内に配置された圧縮機構部(2)と、
上記密閉容器(1)内に配置されると共に上記圧縮機構部(2)を回転軸(4)を介して駆動する請求項7に記載のモータ(3)と
を備えることを特徴とする圧縮機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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