説明

ロータスラスト平衡化装置および方法

【課題】ガスタービンエンジンのスラスト軸受にかかる荷重を平衡化するため、ロータスラスト平衡化の制御範囲を増加するためのシステムを提供する。
【解決手段】ロータスラスト軸受(40)上のスラスト軸受荷重を平衡化するための装置と方法は、後方に向うスラスト平衡化力を加えるための第1スラスト平衡ピストン空洞と、独立して制御された前方に向うスラスト平衡化力を加えるための第2平衡ピストン空洞(42)とを使用して、ロータスラスト軸受(40)上のスラスト荷重の柔軟で広範囲の平衡化を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガスタービンエンジンのスラスト軸受にかかる荷重を平衡化するためのシステムに関し、より詳しくはロータスラスト平衡化の制御範囲を増加するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、ロータ取付け構造などの固定エンジン構造に対して回転可能なロータ組立体を含む。ロータ組立体は、中心軸、軸コーン、圧縮機ブレードおよびディスク、タービン動翼およびタービンホィール、および動的エアシールなど、多くの回転可能な構成部分を含む。各構成部分は静的および/または動的軸方向圧力の力による反応を受ける。これらの力のベクトル合計が、前方向または後方向いずれかの正味軸力すなわちスラストである。この正味スラストは軸方向荷重を固定取付け構造の上に置き、ロータ組立体の自由な回転を妨げることなくこの荷重を吸収するために、スラスト軸受が使用されている。一般的には、ロータスラスト軸受は、スラスト軸受ケースの中に入った玉軸受である。スラスト軸受上の荷重は、さまざまなロータ部品にかかる圧力が変化するにつれて変動する。正味軸方向スラストが過剰である場合には、スラスト軸受のかなりの摩耗と早期故障が発生することがある。ガスタービンエンジンのロータは高いスラストを発生し、ロータスラスト軸受は軸方向スラスト荷重に耐えることができなければならない。ロータスラスト軸受にかかる正味軸力の量を制限して適切な安全率を見込むために、スラスト平衡システムを利用して軸受上のスラスト荷重を制限する。
【特許文献1】米国特許第5,167,484号公報
【特許文献2】米国特許第5,760,289号公報
【特許文献3】米国特許第6,457,933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
あるいくつかの動作条件下で、正味ロータ軸方向スラストは方向を変えることがあり、すなわち「クロスオーバ」として知られている条件である。クロスオーバが起った場合には、無負荷の玉軸受がロータの径方向運動を起すことがあり、これはシール隙間に悪影響を及ぼし結果的にエンジン運転特性を劣化させることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態では、ロータスラスト軸受にかかるスラスト軸受荷重を平衡化するための装置は、後方に向うスラスト平衡化力を加えるための第1スラスト平衡ピストン空洞と、独立して制御される前方に向うスラスト平衡化力を加えるための第2スラスト平衡ピストン空洞を使用する。
【0005】
例示的な方法では、ロータスラスト軸受にかかるスラスト軸受荷重を平衡化することは、後方に向うスラスト軸受力をエンジンロータ構成部分に与えるように構成された第1平衡ピストン空洞における空気圧を制御すること、および前方に向うスラスト軸受力をもたらすように形成された第2平衡ピストン空洞における空気圧を独立して制御することによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に図面を詳細に参照すると、これらの図では同一番号はすべての図を通じて同じ要素を示すものであり、「上流」とはエンジンの空気取入口に向う方向を示し、「下流」とはエンジン排気側へ向う方向を示すものであり、図1は航空転用ガスタービンエンジン10を概略的に示す。エンジン10は軸方向に整列して連続的な流れ順序で、低圧圧縮機12、高圧圧縮機14、燃焼器16、高圧タービン18、および低圧タービン20を含み、これらは長手軸22の周りを同心状に配設されている。このタイプのエンジンの標準的構成は二重同心軸配置であって、低圧タービン20が低圧駆動軸24によって低圧圧縮機12に駆動式に連結され、一般的にはその下流端部29において負荷(図示せず)に連結されている。高圧タービン18も同様に、低圧駆動軸24の外部に配設された高圧駆動軸26によって高圧圧縮機14に駆動式に、長手軸22と同心に連結され、固定子25によって支持されている。
【0007】
動作中、空気がエンジン入口28の中に引き込まれ、低圧圧縮機12と高圧圧縮機14を通じて圧縮される。圧縮された空気は燃焼器16に送られ、ここで燃料と混合され、点火されて、高圧タービン18と低圧タービン20を通る空気流を生成し、排気ノズル30を通って出る。上に論述したように、スラスト力がガスタービンエンジン10の中で生成され、スラスト力はエンジンにおけるさまざまな点および部分において軸方向に作用する。タービンによって駆動される圧縮機が、タービンにおける軸方向下流に向う正味力をある程度補償することはできるが、通常、正味ロータスラストに反作用するために少なくとも1つのロータスラスト軸受が使用される。
【0008】
軸受荷重を調整するために、図2に示すものなどの少なくともいくつかの公知のガスタービンエンジンは、圧縮機抽気を使用して、前部平衡ピストン空洞32と後部平衡ピストン空洞34を圧縮し、各平衡ピストン空洞は、選択された圧縮機段階から抽気される空気によって圧縮された画定された容量である。クロスオーバ管36が平衡ピストン空洞32、34を連結し、流動連絡にある平衡ピストン空洞32、34の内部における圧力を均等化して、スラスト軸受38上のスラスト荷重を制限する。スラスト平衡動作中は、本質的に等しい圧力が平衡ピストン空洞32および34の内部で維持されるので、前部平衡ピストン空洞32の回転表面33の半径37を有するピストン区域にかかる圧力は、後部平衡ピストン空洞34の回転表面35の半径39を有するピストン区域にかかる圧力と本質的に同一である。表面33および35のそれぞれの半径37、39は、それぞれの固定設計表面積を確立してロータに加えるべき力の固定比を確立するための設計特徴として選択され、これらは、予期される動作条件の下におけるエンジン運転中にスラスト軸受38を保護するために最適になるようにエンジン設計によって決定された。それぞれの平衡ピストン空洞32、34における空気圧は、エンジン運転中にスラスト軸受38に作用する予期される荷重に対抗するための力の比を維持するために作用する。
【0009】
図3に示すロータスラスト平衡化システムの例示的実施形態では、ロータスラスト軸受40上のスラスト荷重はスラスト平衡システムによって制御され、このスラスト平衡システムは、エンジン10のロータスラスト軸受40の上流に位置する前部平衡ピストン空洞42と、ロータスラスト軸受40の下流に位置する後部平衡ピストン空洞46を含む。平衡ピストン空洞46は閉ざされた容積であり、この容積は、その後端部では、ロータの高圧駆動軸26に連結された回転可能部材43によって画定され、軸方向に反対側の前端部では、固定子25に連結された固定表面45によって画定され、空気加圧容積72を介する高圧圧縮機排出空気流によってシール41を通じて加圧される。必要な空気圧と空気流量を提供するように選択された圧縮機段階からの高圧圧縮機排出空気は、空気加圧容積72を加圧し、シール41通る空気流は平衡ピストン空洞46の内部へ流れて、その内部を加圧する。平衡ピストン空洞46によって供給できる矢印74で示す軸方向に後向きに作用する力の大きさは、回転可能部材43の半径51を有する環状表面積に加えられる平衡ピストン空洞46内の空気圧によって決定される。空気圧放出管47は、平衡ピストン空洞46の内部を図5に示し後で説明する制御システムに流動連絡して連結する。
【0010】
図4に示すように、平衡ピストン空洞42が、その軸方向前端部においては、ロータの高圧駆動軸26に連結された環状プレート53によって画定され、その軸方向後端部においては、固定子25に連結された環状プレート55によって画定されている。必要な空気圧と空気流量を提供するように選択された圧縮機段階からの高圧圧縮機排出空気は、空気加圧容積70を加圧し、シール52通る空気流は平衡ピストン空洞42の内部へ流れて、その内部を加圧する。平衡ピストン空洞42によって供給できる矢印76で示す軸方向に前向きに作用する力の大きさは、プレート53の半径54を有する環状表面積に加えられる平衡ピストン空洞42内の空気圧によって決定される。空気圧放出管56は、平衡ピストン空洞42を図5に示し後で説明する制御システムに流動連絡して連結する。
【0011】
スラスト平衡制御システムを図5にブロック図の形で示す。シール52を通じて空気加圧容積70を介して高圧圧縮機69からの排出によって加圧される平衡ピストン空洞42は、空気圧放出管56を介して空気流量制御弁58と空気排出管62に連結されている。シール41を通じて空気加圧容積72を介して高圧圧縮機69からの排出によって加圧される平衡ピストン空洞46は、空気圧放出管47と空気流量制御弁59とを介して空気排出管64に連結されている。排出管62、64は空気をエンジンの下流区域66に向け、これによって空気はエンジン全体の効率に役立つことができ、または代りに空気を大気に排出してもよい。制御ユニット60は、平衡ピストン空洞42、46の中にあるそれぞれのセンサ82および84からの圧力測定値をそれぞれ受けとる。制御ユニット60は、空気流量制御弁58および59の独立した制御を提供するように機能的に接続されている。制御ユニット60は、センサ82および84からの圧力測定値の読出しを提供する手動操作システムであってもよいので、オペレータは空気流量制御弁58または59を手動で活動化してもよい。代替案として、制御ユニット60は、数値制御システムにしたがって空気流量制御弁58または59の設定を調節する自動制御式ユニットであってもよい。手動構成または自動構成のいずれにおいても、空気流量制御弁58および59を制御ユニット60によって独立して活動化して、平衡ピストン空洞42および46の各々または両方における圧力を上昇または降下させることができる。1つの平衡ピストン空洞における圧力をある一定の圧力だけ上昇させるが、別の平衡ピストン空洞における圧力を同一の量だけ、より小さなある量だけ、より大きなある量だけ上昇させ、またはシステムの圧力範囲能力内で任意の量だけ低下させることもできる。
【0012】
エンジンの運転中は、制御ユニット60は、それぞれの平衡ピストン空洞42および46における圧力レベルを制御するために、空気流量制御弁58および59を独立して操作してもよい。平衡ピストン空洞46内の空気圧は、空気流量制御弁59を活動化することによって空気圧放出管47を介して制御される。空気流量制御弁59を閉じると、平衡ピストン空洞46内の圧力は本質的に、高圧圧縮機源72の出力から得られる最高圧力に保持され、比例圧を図3における矢印74によって示される概して下流の力として環状プレート43に加え、スラスト軸受40上の荷重を平衡化する。空気流量制御弁59を完全に開くと、平衡ピストン空洞46内の圧力はほぼ、下流区域66または大気の低圧に低下し、僅かな圧力が環状プレート43に加えられる。空気流量制御弁59のための中間弁設定によって、平衡ピストン空洞46内の圧力を、高圧圧縮機源72から得られる最高圧力より低い中間圧力レベルに維持することができる。平衡ピストン空洞42内の空気圧は、空気流量制御弁58を制御することによって空気圧放出管56を介して制御される。空気流量制御弁58を閉じると、平衡ピストン空洞42内の圧力は本質的に、高圧圧縮機源70の出力から得られる最高圧力に保持され、この圧力を図3における矢印76によって示される概して上流の力として環状プレート53に加え、スラスト軸受40上の荷重を平衡化する。空気流量制御弁58を開くと、平衡ピストン空洞42内の圧力は下流区域66または大気の低圧に低下し、僅かな圧力が環状プレート53に加えられる。空気流量制御弁58のための中間弁設定によって、平衡ピストン空洞46内の圧力を、高圧圧縮機源70から得られる最高圧力より低い中間圧力レベルに維持することができる。
【0013】
制御ユニット60は、空気流量制御弁58を選択的に活動化して平衡ピストン空洞42内の圧力を維持、上昇、または低下させ、および/または空気流量制御弁59を選択的に活動化して平衡ピストン空洞46内の圧力を維持、上昇、または低下させる。平衡ピストン空洞42から空気圧放出管56を介して流れる空気流量は、平衡ピストン空洞46から空気圧放出管47を介して流れる空気流量とは独立して調節可能であるから、平衡ピストン空洞42、46の1つの中の圧力を、他の1つの中の圧力を維持または上昇させながら、低下させることもできる。この独立した圧力制御によって、エンジンの運転中に後方力と前方力の比を従来技術のシステムの固定比とは対照的に調節することができる。平衡ピストン空洞42内の圧力を平衡ピストン空洞46内の圧力とは個別に制御することは、かなり高いスラスト圧力レベル制御と、ロータスラスト軸受40にかかるスラスト荷重の制御の柔軟性をもたらす。制御ユニット60が自動的に操作される場合には、圧力制御は、平衡ピストン空洞内の圧力の測定値に基いてエンジン運転中にロータスラストレベルを予測するために設計されたアルゴリズムによって決定されることになる。制御システムは、それぞれの平衡ピストン空洞内の圧力を選択的に調節して、スラスト軸受40にかかる適正な荷重を維持する。この結果、軸受組立体の有用寿命は高い信頼性と費用効果を伴って増加する。各平衡ピストン空洞に供給される圧力を個別に制御することによって、すなわち1つの平衡ピストン空洞内の空気圧を低下させると共に、他の1つの平衡ピストン空洞内の空気圧を同じ量だけ上昇させることによって、ピストン区域を効果的に加えることもできるので、スラストの平衡はより高い全スラスト荷重を取り扱うことができる。
【0014】
図6に、図3に示したタイプのガスタービンエンジンについて、上のグラフと下のグラフにそれぞれ、軸受荷重と馬力の関係および平衡ピストン空洞圧力と馬力の関係をグラフ表示する。図6の上のグラフは代表的な関係を図示しているが、軸受荷重すなわち正味ロータスラストに影響する多くの要素が、軸受荷重と馬力の関係を変動させることができ、したがってこれらの曲線は多くの形状をとることがある。ガスタービンエンジンは、正常運転中にスラスト軸受40が、108で示す最大許容軸受荷重と110で示す最小許容軸受荷重との間の、106で示す馬力に対する公称設計スラスト荷重レベルの許容スラスト負荷範囲内で動作するように設計される。あらゆる馬力設定における最大荷重108と最小荷重110の差は、スラスト平衡化制御の利用可能な範囲を決定する。エンジンの大きさと馬力が増えるにつれて、予期されるスラスト軸受荷重は増加し、空気放出管と弁を含む平衡ピストン空洞は予期される荷重平衡化要件に適応する大きさになる。エンジンは、空気流量制御弁58および59のための公称値設定がそれぞれの平衡ピストン空洞42、46内の空気圧を、図6の下のグラフにおいて曲線102で示す特定の馬力のための圧縮機ブリードに近似する最高動作圧力と、曲線104で示す周辺大気の最低動作圧力との間の範囲内で、100で示す曲線に沿ってほぼ同じに維持するように設計される。最高平衡ピストン空洞圧力102と最低平衡ピストン空洞圧力104の間の差は、特定のエンジン馬力レベルにおける利用可能な圧力調節範囲を示す。それぞれの平衡ピストン空洞における圧力センサが圧力上昇を示す場合には、軸受40上のある軸方向におけるスラスト荷重の対応する上昇が指示される。制御システムを活動化して、平衡ピストン空洞の1つまたは両方の中の圧力を変化させ、ロータスラスト軸受40上の軸方向スラスト荷重を許容レベルに制限する。空気流量制御弁58を活動化して、平衡ピストン空洞42内の圧力を低下させると共に、平衡ピストン空洞46内の圧力を、後方向における正味軸受荷重を増加させるピストン区域54に加えられる力のレベルを効果的に低下させるように維持することもできる。さらなる調節が必要な場合には、空気流量制御弁59を閉じることによって平衡ピストン空洞46内の圧力を上昇させることもでき、こうしてより広い調節を提供する。利用可能な全力レベル調節は、ピストン区域51および54にかかる圧力102および104の間の差である。圧力センサが後方向に過剰な荷重を示す場合には、空気流量制御弁58および59のいずれかまたは両方を活動化して、必要な調節レベルに応じて、平衡ピストン空洞46における圧力を降下させ、および/または平衡ピストン空洞42における圧力を上昇させて、平衡ピストン区域54に前部軸方向圧力を、および/またはピストン区域51により低い力を加えて、ロータスラスト軸受40上の荷重を解除することもできる。
【0015】
本発明を様々な特定の実施形態に関して説明したが、当業者には、本発明を添付の特許請求の範囲の精神と範囲の中で変更を伴って実行できることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ロータスラスト平衡化システムを含むガスタービンエンジンの概略縦断面図である。
【図2】ガスタービンエンジンにおける従来の技術によるスラスト制御システムの拡大された概略部分断面図である。
【図3】一対のスラスト平衡ピストン空洞を含むガスタービンエンジンスラスト軸受上の荷重を平衡化するためのシステムの概略部分断面図である。
【図4】図3に示すスラスト制御システムにおける平衡ピストン空洞の1つの内部の空気圧を調整するためのシステムの概略部分断面図である。
【図5】平衡ピストン空洞への空気流を制御して、図3および4に示すロータスラスト軸受上の荷重を平衡化するための制御システムを示す概略ブロック図である。
【図6】図3に示すようなシステムにおける圧力調整用の一技法を示すグラフである。
【符号の説明】
【0017】
10 ガスタービンエンジン
12 低圧圧縮機
14 高圧圧縮機
16 燃焼器
18 高圧タービン
20 低圧タービン
22 長手軸
24 低圧駆動軸
25 固定子
26 高圧駆動軸
28 エンジン入口
29 下流端部
30 排気ノズル
32 前部平衡ピストン空洞
33 回転表面
34 後部平衡ピストン空洞
35 回転表面
36 クロスオーバ管
37 半径
38 スラスト軸受
39 半径
40 ロータスラスト軸受
41 シール
42 前部平衡ピストン空洞
43 回転可能部材
45 固定表面
46 後部平衡ピストン空洞
47 空気圧放出管
51 ピストン区域
52 シール
53 環状プレート
54 ピストン区域
55 環状プレート
56 空気圧放出管
58 空気流量制御弁
59 空気流量制御弁
60 制御ユニット
62 空気排出管
64 空気排出管
66 下流区域
69 高圧圧縮機
70 空気加圧容積
72 空気加圧容積
74 矢印
76 矢印
82 センサ
84 センサ
100 曲線
102 最大平衡ピストン空洞圧力
最小平衡ピストン空洞圧力
106 公称設計スラスト
最大許容軸受荷重
110 最小許容軸受荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置固定子(25)構成部分と回転可能ロータ構成部分との間に配設されたロータスラスト軸受(40)を有するガスタービンエンジン(10)のためのロータスラスト平衡化装置であって、
(a)高圧駆動軸(26)に連結された第1環状プレート(43)の上に、後方に向うスラスト平衡化力を加えるための第1スラスト平衡ピストン空洞(46)と、
(b)前記高圧駆動軸(26)に連結された第2環状プレート(53)の上に、独立して制御された前方に向うスラスト平衡化力を加えるための第2平衡ピストン空洞(42)と
を含む装置。
【請求項2】
(a)前記第1平衡ピストン空洞(46)が、第1シール(41)を介して第1空気加圧容積(72)と流動連絡して連結され且つ第1空気圧放出管(47)と流動連絡して前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御するための第1空気流量制御弁(59)と流動連絡して連結され、
(b)前記第2平衡ピストン空洞(42)が、第2シール(52)を介して第2空気加圧容積(70)と流動連絡して連結され且つ第2空気圧放出管(56)と流動連絡して前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御するための前記第1空気流量制御弁(59)と独立して制御可能な第2空気流量制御弁(58)と流動連絡して連結されている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
固定子(25)及びロータであって、前記ロータは高圧圧縮機(14)と高圧タービン(18)を含み、前記高圧タービン(18)は高圧駆動軸(26)によって連結され、前記高圧駆動軸(26)は前記固定子(25)の中で回転可能であり、前記固定子(25)とロータスラスト軸受(40)によって支持されており、前記ロータスラスト軸受(40)は前記高圧駆動軸(26)と前記固定子(25)の間に配設された、固定子(25)及びロータと、
前記ロータスラスト軸受(40)の後部に配設された第1スラスト平衡ピストン空洞(46)であって、閉ざされた容積を含み、前記容積は、その軸方向後端部では、前記高圧駆動軸(26)に連結された回転可能部材(43)によって画定され、その軸方向前端部では、固定子(25)に連結された固定表面(45)によって画定され、高圧圧縮機排出空気加圧容積(72)とシール(41)を通じて空気流動連絡して連結され、空気圧放出管(47)と流動連絡して、第1空気流量制御弁(59)を介して、第1空気排出管(64)に連結されている第1スラスト平衡ピストン空洞(46)と、
前記ロータスラスト軸受(40)の前部に配設された第2平衡ピストン空洞(42)であって、閉ざされた容積を含み、前記容積は、その軸方向前端部では、高圧駆動軸(26)に連結された環状プレート(53)によって画定され、その軸方向後端部では、固定子(25)に連結された環状プレート(55)によって画定され、第2高圧圧縮機排出空気加圧容積(70)と第2シール(52)を通じて空気流動連絡して連結され、第2空気圧放出管(56)と流動連絡して、第2空気流量制御弁(58)を介して、第2空気排出管(62)に連結されている第2平衡ピストン空洞(42)と
を含むガスタービンエンジン(10)。
【請求項4】
ガスタービンエンジン(10)におけるロータスラスト軸受荷重を平衡化するための方法であって、
エンジンロータ構成部分に後向きのスラスト平衡化力を提供するために構成された第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御すること、および
前向きのスラスト平衡化力を提供するために構成された第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を独立して制御すること
を含む方法。
【請求項5】
前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御することが、前記第1平衡ピストン空洞(46)と流動連絡して連結された第1空気排出管(64)の中に含まれる第1空気流量制御弁(59)を制御して、前記第1平衡ピストン空洞(46)からの空気流量を制御し、前記後向きのスラスト平衡化力の力を制御することを含み、
前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御することが、前記第2平衡ピストン空洞(42)と流動連絡して連結された第2空気排出管(62)の中に含まれる第2空気流量制御弁(58)を制御して、前記第2平衡ピストン空洞(42)からの空気流量を制御し、前記前向きのスラスト平衡化力の力を制御することを含む、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御することが、前記第1空気流量制御弁(59)を調節して、前記第1平衡ピストン空洞(46)からの空気流量を増加して、前記第1平衡ピストン空洞(46)内の空気圧の低下を可能にし、後向きのスラスト平衡化力の力を減少させることを含み、
前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御することが、前記第2空気流量制御弁(58)を不変に維持して、前記第2空気流量制御弁(58)内の空気圧を固定状態に維持し、前記前向きスラスト平衡化力を一定に維持し、軸上流方向におけるスラスト平衡力の正味増加を生成することを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御することが、前記第1空気流量制御弁(59)を調節して、前記第1平衡ピストン空洞(46)からの空気流量を増加して、前記第1平衡ピストン空洞(46)内の空気圧の低下を可能にし、後向きのスラスト平衡化力の力を減少させることを含み、
前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御することが、前記第2空気流量制御弁(58)を調節して、前記第2平衡ピストン空洞(42)からの空気流量を低下させ、前記第2空気流量制御弁(58)内の空気圧を上昇させて固定状態にし、前記前向きスラスト平衡化力の力を増加させて、軸上流方向におけるスラスト平衡力の正味増加を生成することを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御することが、前記第1空気流量制御弁(59)を調節して、前記第1平衡ピストン空洞(46)からの空気流量を最大化して、前記第1平衡ピストン空洞(46)内の空気圧を最低レベルに落ちるように最小化し、後向きのスラスト平衡化力の力を最小化することを含み、
前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御することが、前記第2空気流量制御弁(58)を調節して、前記第2平衡ピストン空洞(42)からの空気流量を最小化し、前記第2平衡ピストン空洞(42)内の空気圧を最大化し、前記前向きスラスト平衡化力の力を最大化して一定状態にし、最大正味前向きスラスト平衡化力を生成することを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記第2平衡ピストン空洞(42)における空気圧を制御することが、前記第2空気流量制御弁(58)を調節して、前記第2平衡ピストン空洞(42)からの空気流量を最大化し、前記第2平衡ピストン空洞(42)内の空気圧を最小化し、前記前向きスラスト平衡化力の力を最小化することを含み、
前記第1平衡ピストン空洞(46)における空気圧を制御することが、前記第1空気流量制御弁(59)を調節して、前記第1平衡ピストン空洞(46)からの空気流量を最小化して、前記第1平衡ピストン空洞(46)内の空気圧を最大化し、前記後向きのスラスト平衡化力を最大化して、最大正味後向きスラスト平衡化力を生成することを含む、
請求項5記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−154888(P2007−154888A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−324937(P2006−324937)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY