説明

ロータリーブラシ

【課題】小型化が可能で且つ耐久性良好なロータリーブラシを提供すること。
【解決手段】 単位スリップリング1を多段に積層したスリップリング本体2と、このスリップリング本体2をカップリング3を介して回転自在に保持するベース本体5と、このベース本体5に保持され各単位スリップリング1の導電部に個別に摺動可能に当接する複数のワイヤ状ブラシ201とを備え、前述した各単位スリップリング1を、その外周端面にワイヤ状ブラシ201との当接面を備えた円板状のスリップリング素子11とこのスリップリング素子11の側面に配設され当該スリップリング素子11を固着保持する円板状絶縁板12とを備えた構成とする。そして、スリップリング素子11の外周端部で前述したワイヤ状ブラシ201と当接する箇所に、円板状の黒鉛部材をスリップリング素子11の一部として一体的に装着したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーブラシに係り、特に産業機械等で旋回台と共に装備され、固定側である機械本体部の電源部から可動領域の各種作業機構に対する電源の供給や動作指令に伴う制御信号の伝達に際して常用されるロータリーブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
トラッククレーン車や高所作業車等の建設車両にあっては、車体上に装備された旋回台を介して操縦室およびクレーン等が上方に装備され、この操縦室からの指令で、例えば車体側面に伸縮するアウトリガーの伸縮動作が制御され、又、作業内容に合わせてクレーン機構が自在に伸縮又は回転駆動されるようになっている。この場合、装備された各種動作機器に対する操縦室からの制御信号およびその動作上必要とする電源は、従来より、全方向性の配線接続用接点であるロータリブラシを介してそれぞれ常時導通され必要とする箇所に伝えられるようになっている。
【0003】
この種のロータリーブラシは、例えば、図10に示すように、複数の単位スリップリング101を多段に積層して成るスリップリング本体102と、このスリップリング本体102の同心軸上に連結されたカップリング103と、このカップリング103を介して前述したスリップリング本体102を回転自在に保持するベース本体(機器本体)105と、このベース本体105側に電気的に独立して保持され且つ前述した各単位スリップリング101の通電部表面に適度のバネ性をもって個別に摺動可能に当接する複数のワイヤ状ブラシ201とを備えた構造となっている。
この複数の各ワイヤ状ブラシ201は、ブラシ保持部材202,203に分かれて電気的にそれぞれ独立して保持されている。符号301は、カップリング103から作業領域にある照明や駆動用モータ或いは制御操作手段等に対して通電するための配線を示す。
【0004】
このため、作業領域側がベース本体105に対し水平面内にて回転移動しても、ロータリーブラシのカップリング103およびスリップリング本体102がこれに有効に追従して回転動作することとなり、これがため、駆動電源及び操縦室から出力される各種制御信号を、当該各種制御信号に対応する各種機器に、個別に且つ円滑に伝達することが出来るようになっている。
【0005】
一方、クレーン車や建設機械(建機)等の産業機械は、その多機能化に相伴って各種動作機器用の駆動モータや照明手段等の数が増加しており、これに伴ってロータリーブラシは、その電極の数が増大している。又、ロータリーブラシは、連続運転に対して耐久性を強化するため、接点の厚さを厚くし或いは更に保護部材も追加装備される等で、次第に大型化されつつある。
【0006】
これに対して、ロータリーブラシそのものは、本来電気的な配線の一部であることから、従来より、その小型化と耐久性の強化という相反する課題が、常に課せられている。
このため、昨今にあっては、ロータリーブラシは、例えば特許文献1〜2に見られるように、その小型化及び耐久性の強化を図るため、種々の試みが成されている。
【特許文献1】実開昭58−125384号
【特許文献2】実公平 2− 36228号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜2に記載の各ロータリーブラシ(スリップリング装置)は、各集電環(各単位スリップリング)の内の一つの単位スリップリングに摺動可能に当接するブラシ(刷子)として、(左右に分かれた)複数のワイヤ状ブラシを装備し、これによって作動時における電気抵抗を小さく設定すると共に、ロータリーブラシ(スリップリング装置)全体の小型化を可能とした構成となっている。
しかしながら、各集電環およびブラシ(刷子)とも金属製であることから、磨耗が多く、長時間の連続運転等に際しては耐久性に難点があった。
【0008】
本発明では、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、小型化が可能で且つ耐久性良好なロータリーブラシを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、ロータリーブラシは、複数の単位スリップリングを多段に積層して成るスリップリング本体と、このスリップリング本体の同心軸上に連結されたカップリングと、このカップリングを介して前述したスリップリング本体を回転自在に保持するベース本体と、このベース本体に電気的に独立して保持され且つ各単位スリップリングの通電部表面に適度のバネ性をもって個別に摺動可能に当接する複数のワイヤ状ブラシとを備えている。
【0010】
このため、例えばベース本体側の電源回路と当該本体に回転自在に装備された作業領域における各種制御回路やモーター等の負荷回路とを、作業領域が回転移動してもロータリーブラシを介して個別に且つ円滑に常時接続することができ、ロータリーブラシが備えているスリップリング本体の各単位スリップリングに当接するブラシをワイヤ状ブラシとしたので、ブラシが占める空間領域を極端に小さくすることができ、このため当該ロータリーブラシのベース本体全体(即ち、ロータリーブラシの外径全体)を大幅に小さく設定することが可能となっている。
【0011】
更に、本発明では、前述した複数の各単位スリップリングを、その外周端面にワイヤ状ブラシとの当接面を備えた円板状のスリップリング素子と、同じく円板状に形成され前述したスリップリング素子の側面に配設されると共に当該スリップリング素子を固着保持する円板状絶縁板とを備えた構成とした。そして、前述したスリップリング素子の外周端部で前述したワイヤ状ブラシと当接する箇所に、円板状の黒鉛部材をスリップリング素子の一部として一体的に装着する、という構成を採っている(請求項1)。
【0012】
このため、ブラシが当接する外周端部ではスリップリング素子の黒鉛部材部分にワイヤ状ブラシが常時当接することから、これによって生じる潤滑性の高い黒鉛粉がワイヤ状ブラシおよびスリップリング素子の外周端部に付着することとなり、ワイヤ状ブラシとスリップリング素子との当接が常に黒鉛粉を介して行われる。これがため、当該ワイヤ状ブラシおよびスリップリング素子の導通性をそれぞれ有効に維持しつつ耐磨耗性を著しく増大させることができるという利点がある。
【0013】
ここで、前述したスリップリング素子を、それぞれ同心軸上で側面が当接された二枚の円板状部材で構成すると共に、その内の何れか一方の円板状部材を黒鉛部材により構成してもよい。この場合、二枚の各円板状部材はその外径が同一のものが使用される(請求項2)。
このようにしても前述した請求項1記載の発明と同等に機能するロータリーブラシを得ることができる。
【0014】
更に、前述したスリップリング素子をそれぞれ同心軸上で相互に側面が当接された一方と他方の二枚の円板状部材で構成すると共に、当該各円板状部材の外周端部の対向する側にそれぞれ所定角度の傾斜面を設け、この内の一方の円板状部材を黒鉛部材により構成するようにしてもよい(請求項3)。
このようにすると、ワイヤ状ブラシが両傾斜面に沿って谷部分に案内され且つ両傾斜面に当接した状態が維持されることから常時安定した接触状態を保持することができ、振動等があってもワイヤ状ブラシの安定した摺動状態が維持されるという利点がある。
【0015】
又、前述したスリップリング素子をそれぞれ同心軸上で側面が当接された一方と他方の二枚の円板状部材で構成すると共に、当該他方の円板状部材の外周端部の前記一方の円板状部材に対向する側にブラシ当接用の傾斜面を設け、前記一方の円板状部材を黒鉛部材により形成するようにした(請求項4)。
このようにしても前述した請求項3記載のものと同等に機能するほか、黒鉛部材により形成された他方の円板状部材の外径部分を単純な円板状としたので、例えば切削性の劣る黒鉛部材の斜面切削加工等が不要となり、これにより、生産性向上を図り得るという利点がある。
【0016】
前述したスリップリング素子については、これを更に、それぞれ同心軸上で側面が当接された三枚の円板状部材で構成すると共に、その三層構造の中央部の円板状部材を黒鉛部材により構成する、とした(請求項5)。
このようにしても前述した請求項1記載のものと同等の機能を得ることができるほか、三層構造で且つその中央部の円板状部材を黒鉛部材としたので、黒鉛部材を安定した状態で長期にわたって保持することができ、かかる点において耐久性増大を図り得るという利点がある。
【0017】
ここで、前述したスリップリング素子の外周端面には、ブラシ受け用のV字状溝を形成してもよい(請求項6)。
このようにすると、V字状溝の傾斜面におけるワイヤ状ブラシとの当接面では、黒鉛部材と一方の円板状部材の境界線上,及び黒鉛部材と他方の円板状部材の境界線上,の二箇所でワイヤ状ブラシが当接するように設定することができ、これによりワイヤ状ブラシに付着する黒鉛粒子の潤滑作用によって当該ワイヤ状ブラシをスリップリング素子に長期間円滑に当接させることができるという利点がある。
【0018】
更に、前述した三層構造のスリップリング素子の内、両側面に位置する円板状部材の対向面側に所定の傾斜面(同一の傾斜角度でも異なった傾斜角度でもよい)を設けると共に、各傾斜面によって形成される谷部分の底面を、中央部の黒鉛部材の外周端面で構成するようにしてもよい(請求項7)。
このようにしても、前述した各請求項に記載のものとほぼ同等の機能を備えたロータリブラシを得ることができるほか、更に、構造上、中央部にて挟持される黒鉛部材の外径部分を単純な円板状とすることができるので、切削性の劣る黒鉛部材の斜面切削加工等が不要となり、これにより、生産性向上を図り得るという利点がある。
【0019】
又、前述した三層構造のスリップリング素子の内、中央部に位置する黒鉛部材の外周の直径をその両側面に位置する円板状部材の外周直径よりも小さく設定すると共に、当該両側面に位置する円板状部材相互間の間隔を前述したワイヤ状ブラシの直径寸法よりも大きい寸法間隔に設定するようにしてもよい(請求項8)。
このようにしても、前述した各請求項5〜7のものと同等の機能を得ることができるほか、振動等によってワイヤ状ブラシが瞬時に移動しても側壁部分(円板状部材)が直立した状態となっていることから当該側壁の円板状部材に当接した状態を維持することができ、かかる点において、悪条件下での使用によっても、スリップリング素子とブラシとの当接状態を良好に維持することができるという利点がある。
【0020】
更に、前述した黒鉛部材に代えて黒鉛粒子と金属粒子(例えばアルミニウム又は銀等の展延性の大きい金属からなる粒子)とを混合し成形してなる複合部材を使用したものであっても、或いは、黒鉛部材に代えて黒鉛粒子と銅若しくは銅合金の粒子とを混合し成形してなる複合部材を使用したものであってもよい(請求項9〜10)。
このようにしても、前述した各請求項1〜8のものと同等の機能を得ることができるほか、更に、複合部材が切削性良好な金属部材を含有した素材となっているので、切削加工が容易となり、これがため複合部材の形状や構造を自在に形成し得るので、生産性および保守性を著しく向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかるロータリブラシは、上述したように構成され機能するので、これによると、ワイヤ状ブラシの装備により全体的に小型化が可能となるばかりでなく、ワイヤ状ブラシが当接する各単位スリップリングの外周端面では作動中はスリップリング素子の黒鉛部材部分にもワイヤ状ブラシが当接することから、これによって生じる潤滑性の高い黒鉛粉(黒鉛粒子)がワイヤ状ブラシおよびスリップリング素子の外周面に付着することとなり、ワイヤ状ブラシとスリップリング素子との当接が常に黒鉛粉を介して行われる。これがため、当該ワイヤ状ブラシおよびスリップリング素子の導通性をそれぞれ有効に維持しつつ耐磨耗性を著しく増大させることができるという小型化と耐久性の大幅な改善とを同時に実現し得る従来にない優れたロータリブラシを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施形態を添付図面に従って説明する。
図1に本発明にかかるロータリーブラシの縦断面図を示す。又、図2には前述した図1の底面図を示す。ここで、図1はブラシ保持部材202,203を含んだ線(例えば図2のAーA線)に沿って切断した場合の概略断面図である。
【0023】
この図1乃至図2に示すロータリーブラシは、複数の単位スリップリング1を多段に積層して成るスリップリング本体2と、このスリップリング本体2の同心軸上に連結されたカップリング3と、このカップリング3を介して前述したスリップリング本体2を回転自在に保持するベース本体(機器本体)5とを備えている。更に、このベース本体5側には、前述した各単位スリップリング1の通電部表面に適度のバネ性をもって個別に摺動可能に当接する複数のワイヤ状ブラシ201が、電気的に独立した状態で保持されている。
【0024】
この内、上述した複数の各ワイヤ状ブラシ201としては、例えばリン青銅等を素材とし図2に示すように適度のばね効果を備えてU字状に形成されたものが装備されている。この各ワイヤ状ブラシ201は、前述した図10に示す従来例の場合と同様に、ブラシ保持部材202,203に分かれて電気的にそれぞれ独立して保持されている。そして、この各ワイヤ状ブラシ201は、ベース本体(機器本体)5側に連結される所定の回路にそれぞれ独立して連通されるようになっている。
【0025】
符号301は、前述した図10(従来例)の場合と同様に、各単位スリップリング1から作業領域側にある照明又は駆動用モータ或いは制御操作手段等に対して通電するための配線を示す。
【0026】
このため、ロータリーブラシが装備された建機等においては、操縦席等の作業領域側が例えばベース本体5側に対し水平面内にて回転移動しても、ロータリーブラシのカップリング3およびスリップリング本体2がこれに有効に追従して回転動作することとなり、これがため、駆動電源及び操縦室等から出力される各種制御信号等を、対応する各種機器等に円滑に伝達することが出来るようになっている。
ここで、スリップリング本体2は、本実施形態では図1に示すように8組の単位スリップリング1を備え、これによってベース本体(機器本体)5と作業領域との間で8組の独立した回路を常時連通し得るようになっている。
【0027】
図3は、上記スリップリング本体2の一部を取り出したもので、各単位スリップリング1を積層した状態を示す。符号2Aは、積層した8組の単位スリップリング1を共通に固定するための締結用ボルト穴を示す。この締結用ボルト穴2Aは、本実施形態では同一円周上に120°隔てて3か所に設けられ、これによって各単位スリップリング1は均一に締結されるようになっている。図2に、この場合の締結用ボルト2Bを示す。
【0028】
符号2Pは図1の下端部に位置する単位スリップリング1を保持するための保持プレートを示す。又、符号11Aaは、各単位スリップリング1の後述するスリップリング素子11に設けられた出力端子を示す。
この出力端子11Aaについては、複数の各単位スリップリング1の積層一体化に際し、各スリップリング素子11が備えている出力端子11Aaが120°離れて配置されるように組み込まれている。図3(A)にその具体例を示す。
【0029】
ここで、上述した各単位スリップリング1、特にスリップリング素子11について更に詳述する。
【0030】
まず、各単位スリップリング1は、図4に示すように、その外周端面に前述したワイヤ状ブラシ201との当接面を備えた円板状のスリップリング素子11と、同じく円板状に形成され当該スリップリング素子11の側面に配設されると共に当該円板状のスリップリング素子11を固着保持する円板状絶縁板12とを備えた構成となっている。
この場合、スリップリング素子11と円板状絶縁板12とは、予め同心軸上で係合可能なように別々に形成され、その後、図4(A)に示すようにその側面が密着した状態で係合され一体化されるようになっている。図4(B)(C)は、その一体化されて単位スリップリング1となった状態を示す。
【0031】
この場合、円板状のスリップリング素子11を保持するための円板状絶縁板12は、図5に示すように円板状に形成され、その内径側には、三箇所に(120°間隔で)中心部側に向けて突設された部分突設部12Aaが設けられている。そして、この部分突設部12Aaに、前述した積層係合用の前述した締結用ボルト穴2Aが設けられている。
又、この円板状絶縁板12の締結用ボルト穴2Aが形成される面は、当該円板状絶縁板12の内径側の穴12Aに沿って円板状で且つ図5(B)の左側へ向けて幾分突設されており、この円板状突設面12Bの周囲に前述した円板状のスリップリング素子11の内径側が嵌合されるようになっている。更に、この円板状突設面12Bの面上の三箇所に形成された締結用ボルト穴2Aの周囲には当該円板状突設面12Bの面よりも幾分突出した状態の係合用突出部12Cが設けられ、これに対応して、その反対側の端部には係合用凹部12Dが設けられている。
【0032】
そして、このようにして形成された円板状絶縁板12を有する各単位スリップリング1は、その複数個が、その円板状絶縁板12部分で相互にその係合用突出部12Cと係合用凹部12Dとで嵌合しされ、これによって同心軸上にて積層され前述したように(図3参照)一体化されるようになっている。
【0033】
前述した円板状のスリップリング素子11は、本実施形態では、それぞれ同心軸上で側面が相互に当接されサンドイッチ状に積層された三枚の円板状部材で構成され、その三層構造の中央部の円板状部材が黒鉛部材11Bにより形成されている。
これを更に詳述すると、図6〜図7に示すように、スリップリング素子11は、円板状の黒鉛部材11Bを内側に挟んで、円板状部材である一方のスリップリング部材11Aと、同じく円板状部材である他方の側に設けられた他方のスリップリング部材11Cとで積層され、三層構造にて一体化されている。
【0034】
この内、一方のスリップリング部材11Aには、図6に示すように、その内径側から中心部に向けて、前述した外部(作業領域)への配線301に接続する出力端子11Aaが突設されている。
又、この一方のスリップリング部材11Aは、本実施形態ではその円板状の内側の直径が他方のスリップリング部材11Cの円板状の内側の直径よりも小さく形成され、この内径側部分に、前述した円板状絶縁板12の係合用突出部12Cに当接し保持されるための凹部11Abが、周囲三箇所に均等に設けられている。
この凹部11Abは、前述した円板状絶縁板12の係合用突出部12Cの外径に合わせられて組み込まれるようになっている。
【0035】
このスリップリング素子11を構成する一方と他方の各スリップリング部材11A,11Cと、黒鉛部材11Bとは、複数箇所(本実施形態では8か所)でノックピン11Pによって係合され一体化されている。
この場合、黒鉛部材11Bについては、そのノックピン11P用のピン孔11Bp(図7(A)参照)が本実施形態ではその焼結加工時に、予め同時に形成するという手法が採られている。又、このピン孔11Bpに合わせて一方と他方の各スリップリング部材11A,11Cにも、予めノックピン11P用のピン孔が形成され、これら三部材は本実施形態ではノックピン11Pを介して容易に一体化されるようになっている。
【0036】
尚、この一方と他方のスリップリング部材11A,11Cおよび黒鉛部材11Bの係合手段については、上記実施形態ではノックピン11Pによる場合を例示したが、本発明では必ずしもこれに限定するものではなく、例えば円板状の黒鉛部材11Bとその両側のスリップリング部材11A,11Cの各当接面に適度の凹凸(溝状でもよい)を設け、この部分に接着剤又は所定の係合部材等を充填して各側面で三者を一体的に固着するように構成してもよい。
【0037】
更に、上述したスリップリング素子11には、その外周端面(前述したワイヤ状ブラシ201と当接する箇所)の周囲に、断面V字状の溝部11Mが形成されている(図7(A)参照)。このV字状溝部11Mは、前述した一方と他方のスリップリング部材11A,11Cの各対向する側の角部に形成された所定の傾斜面11Ae,11Ceによって形成され、その開き角度αは本実施形態では90°に設定されている。
又、この場合、V字状溝部11Mの底部分のV字状溝は前述した円板状部材である黒鉛部材11Bによって形成され維持されている。上述した図7(A)は、このV字状溝部11Mの拡大図を示す。又、図7(B)に、このV字状溝部11Mと前述したワイヤ状ブラシ201との当接状態を示す。
【0038】
このV字状溝部11Mは、図7(A)では左右対称で、その開き角度αは90°に設定されている。このため、図中、中央部に位置する円板状の黒鉛部材11Bも、本実施形態ではその外周端面がV字状溝部11Mの底部を構成している。このため、黒鉛部材11Bに於けるV字状溝部11M部分は、前述したノックピン11Pの場合と同様に、本実施形態ではその焼結加工時に予め同時に形成するという手法が採られている。この場合、一方と他方のスリップリング部材11A,11Cの対向面側は、予めV字状溝部11Mを想定して所定の傾斜面を加工しておいても、或いは黒鉛部材11Bを挟持した後にV字状溝部11Mを加工するようにしてもよい。
【0039】
図7(B)は、V字状溝部11M部分に前述したワイヤ状ブラシ201が当接した状態を示す。この場合、V字状溝部11Mの傾斜面では、一方と他方のスリップリング部材11A,11Cと黒鉛部材11Bとの同一断面内の左右二か所の境目にワイヤ状ブラシ201が当接する状態が得られるので、連続運転によっても良好な導通状態を維持しつつ適量の黒鉛粒子がV字状溝部11Mの傾斜面およびワイヤ状ブラシ201に付着することとなり、これによって当該V字状溝部11Mの傾斜面およびワイヤ状ブラシ201の相互間の摩擦抵抗が黒鉛粒子の潤滑作用によって低減され、その耐久性を大幅に改善することができる。
【0040】
以上のように、上述した本実施形態にあっては、スリップリング素子11のV字状溝部11M内に適度のばね力をもってワイヤ状ブラシ201が当接されているので、スリップリング素子11のV字状溝部11M内ではワイヤ状ブラシ201が同一断面内の二箇所で常時確実に接触して摺動することとなり、かかる点において両者間の安定した導通状態を維持することができる。
【0041】
又、ワイヤ状ブラシ201が当接する外周端面ではスリップリング素子11の黒鉛部材部分にワイヤ状ブラシが当接することから、これによって生じる潤滑性の高い黒鉛粉(黒鉛粒子)がワイヤ状ブラシ201およびスリップリング素子11の外周端面に付着することとなり、ワイヤ状ブラシ201とスリップリング素子11との当接が常に黒鉛粉を介して行われる。これがため、当該ワイヤ状ブラシ201およびスリップリング素子11の導通性をそれぞれ有効に維持しつつ耐磨耗性を著しく増大させることができる。
【0042】
更に、ロータリブラシのブラシとしてワイヤ状ブラシ201を備えたことからロータリブラシ全体の小型化が可能となり、同時に潤滑性の高い黒鉛粉(黒鉛粒子)がワイヤ状ブラシ201およびスリップリング素子11の外周端面に常時付着することから、当該黒鉛粒子の潤滑作用によってスリップリング素子11とワイヤ状ブラシ201の相互間の摩擦抵抗が低減され、これによって小型化と同時に耐久性が著しく改善されたロータリーブラシを得ることができる。
【0043】
〔変形例(1)〕
ここで、上述した図1乃至図7に示す実施形態では、V字状溝部11Mについては、その底部を受け持つ黒鉛部材11Bについても比較的小さいV字溝を設ける場合を例示したが、この底部については、比較的小さいV字溝を設けることなく円板状の黒鉛部材11Bの円周端面そのものとしてもよい。
即ち、上述した三層構造のスリップリング素子11の内、両側面に位置する円板状部材(一方と他方のスリップリング部材11A,11C)の対向面側の外周端部に所定の傾斜面を設けてV字状溝部11Mとすると共に、このV字状溝部11Mの各傾斜面によって形成される谷部分の底面を、図8(A)に示すように、三層構造の中央部の黒鉛部材11Bの外周端面からV字状溝部11Mを取り除いた状態(溝加工前の状態)の溝のない外周端面そのもので構成してもよい。
このようにすると、円板状の黒鉛部材11BではV字状溝部11Mの底部をV字溝加工する必要がないことから当該黒鉛部材11Bの形状の特定が容易となり、全体的に生産性を大幅に改善することができる。
【0044】
〔変形例(2)〕
又、上述した図1乃至図7に示す実施形態における三層構造のスリップリング素子11の内、中央部に位置する円板状部材である黒鉛部材11Bの外周の直径をその両側面に位置する円板状部材(一方と他方のスリップリング部材11A,11C)の外周直径よりも小さく設定すると共に、当該両側面に位置する円板状部材11A,11C相互間の間隔を前述したワイヤ状ブラシ201の直径寸法よりも大きい寸法間隔に設定し、これによって前述したスリップリング素子11の外周部に形成したV字状溝部11Mに代えて断面U字状のU字状溝部11Uとした(図8(B)参照)。
ここで、円板状部材としては、前述した一方と他方のスリップリング部材11A,11Cに代えて、案内用の小傾斜面11Ea,11Faを備えた一方と他方のスリップリング部材11E,11Fを備えた形状のものとした。
【0045】
このようにしても、前述した図1乃至図7の実施形態のものと同等の作用効果を有するほか、更に、振動等によってワイヤ状ブラシ201が瞬時に移動しても側壁部分(円板状部材である一方と他方のスリップリング部材11E,11F)が直立した状態となっていることから当該側壁の円板状部材(一方と他方のスリップリング部材11E,11F)に当接した状態を維持することができ、かかる点において、悪条件下での使用によっても、スリップリング素子11とワイヤ状ブラシ201との当接状態を良好に維持することができるという利点がある。
【0046】
尚、上記図1乃至図7の実施形態および各変形例にあっては、スリップリング素子11として三層構造で且つその外周端面にV字状溝部11M又はU字状溝部11Uを設けた場合について例示したが、本発明は必ずしもこれに限定するものではなく、スリップリング素子11の構造としては、当該スリップリング素子11の外周端部で前述したワイヤ状ブラシ201と当接する箇所に、円板状の黒鉛部材がスリップリング素子11の一部として一体的に装着されているものであれば、必ずしも三層構造でなくてもよい。
【0047】
又、スリップリング素子11の外周端面の形状にしても、V字状溝部11M又はU字状溝部11Uを設けることなく、例えば図8(C)に示すように、円板状の外周端面にブラシ当接面を備え、断面が左右直線状の平坦な外周端面によって構成してもよい。
このようにしても、前述したワイヤ状ブラシ201のばね作用によって前述した図1乃至図7に記載の実施形態とほぼ同等の作用効果を得ることができる。
【0048】
〔他の実施形態〕
(1).次に、他の実施形態を図9(A)(B)(C)に基づいて説明する。
まず、図9(A)に示す他の実施形態では、前述した図1乃至図7に開示した実施形態におけるスリップリング素子11に代えてこれとほぼ同等のスリップリング素子21を設け、このスリップリング素子21をそれぞれ同心軸上で側面が相互に当接された一方と他方の二枚の円板状部材21A,21Bで構成する。同時に、当該各円板状部材21A,21Bの外周端部には対向する側にそれぞれ所定角度β(図9(A)ではβ=45°)の傾斜面21Aa,21Baを設け、前述した他方の円板状部材21Bを黒鉛部材により構成する、とした。
【0049】
この各円板状部材21A,21Bの外周端部に設けられた傾斜面によって、スリップリング素子21にも、前述したスリップリング素子11と同等のV字状溝部21Mが形成されている。この場合、前述した図9(A)では左右対称でその開き角度αは前述した図7(A)の場合と同様に90°に設定されている。その他の構成は、前述した図1乃至図7における実施形態と同一となっている。
このようにしても前述した図1乃至図7における実施形態とほぼ同等の作用効果を得ることができるほか、構成が単純化されるので、生産性および耐久性の向上を図ることができる。
【0050】
(2).又、図9(B)に示す他の実施形態は、前述した図1乃至図7に開示した実施形態におけるスリップリング素子11に代えてこれとほぼ同等のスリップリング素子22を設け、このスリップリング素子22をそれぞれ同心軸上で側面が当接された一方と他方の二枚の円板状部材22B,22Aで構成する。そして、この内、前述した一方の円板状部材22Bに対向する側の前述した他方の円板状部材22Aの外周端部にブラシ当接用の傾斜面22Aaを設け、同時に前述した一方の円板状部材22Bを円板状の黒鉛部材により構成し、これによってスリップリング素子22の外周端面には変形V字状溝部22Mが設けられた構造とした。
この場合、他方の円板状部材22Aの傾斜面22Aaの角度βは、図9(B)では45°に設定されているが、45°以外の適当な角度に設定してもよい。その他の構成は、前述した図1乃至図7における実施形態と同一となっている。
【0051】
このようにしても前述した図1乃至図7における実施形態と同等の作用効果を得ることができるほか、黒鉛部材22Bの周端部の加工が不要であることから、かかる点において生産性向上を図ることができる。
【0052】
(3).更に、図9(A)に示す他の実施形態では、スリップリング素子21の外周部分にV字状溝部21Mを設けた場合を例示したが、このスリップリング素子21に代えてこれとほぼ同等に機能するスリップリング素子23(図9(C)参照)を設けると共に、このスリップリング素子23を、外周端面の直径が同一でそれぞれ同心軸上で相互に側面が当接され一体化された一方と他方の二枚の円板状部材23A,23Bで構成する。そして、その内の何れか一方の円板状部材を黒鉛部材により構成したこの図9(C)に示す実施形態では、他方の円板状部材23Bを黒鉛部材で形成するようにした。
即ち、この図9(C)に示すスリップリング素子23は、一体化された一方と他方の二枚の円板状部材23A,23Bを備え(他方の円板状部材23Bを黒鉛部材で形成し)、その円板状の外周端面全体をブラシ当接面とした。その他の構成は前述した図1乃至図7の実施形態と同一となっている。
このようにしても、前述したワイヤ状ブラシ201のばね作用によって前述した図8(C)に記載の実施形態とほぼ同等の作用効果を得ることができる。
【0053】
(4).上述した各実施形態およびその変形例にあっては、円板状のスリップリング素子11,21,22,23の外周端部でワイヤ状ブラシ201と当接する箇所に、円板状の黒鉛部材11B,21B,22B,23Bをスリップリング素子の一部として一体的に装備した場合を開示した。
これに対し、本項における他の実施形態では、上述した各実施形態およびその変形例において装備した円板状の黒鉛部材11B,21B,22B,23Bに代えて、黒鉛粒子と金属粒子とを混合(例えば、黒鉛粒子とアルミニウム粒子とを混合、又は黒鉛粒子と銅若しくは銅合金の粒子とを混合)して成形してなる円板状の複合部材を装備するようにした。その他の構成は前述した各実施形態およびその変形例等と同一となっている。
尚、ここで、複合部材の一部を成す金属粒子としては、前述したアルミニウム粒子,銀粒子,銅若しくは銅合金の粒子のほか、切削性および導電性が良好なものであれば、他の金属粒子であってもよい。
【0054】
このようにしても前述した各実施形態およびその変形例の場合とほぼ同等の作用効果を得ることができるほか、更に当該複合部材の加工性が黒鉛部材に較べて大幅に改善されることから、種々の形状に加工することができ、生産性および汎用性を著しく高めることができるという従来にない優れたロータリブラシを提供することがきる。
【0055】
更に又、上述した各実施形態にあっては、断面円形状のワイヤ状ブラシ201を装備した場合を例示したが、本発明では、このワイヤ状ブラシ201については、その断面を円形状にした場合に限定するものではなく、例えば単位スリップリング1のスリップリング素子との当接面に合わせて少なくとも当該当接箇所の断面を台形状に設定したり或いは板状に設定し、これによって接触面積の増加を図ったものとしてもよい。
【0056】
尚、上記各実施形態およびその変形例において装備した円板状のスリップリング素子11,21,22,23は、三枚又は二枚の円板状部材(その内一枚は黒鉛部材)を同心軸上で係合した構造のものとしたが、円板状のスリップリング素子11,21,22,23の全体を、黒鉛粒子とアルミニウム粒子とを混合した複合部材又はアルミニウム以外の導電性良好な金属粒子と黒鉛粒子とを混合してなる複合部材で形成したものであってもよい。 このようにすると、切削が容易で耐磨耗性に富んだスリップリング素子を得ることができ、生産性および耐久性が良好で信頼性の高いロータリブラシを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、上述したように主として旋回台を備えた建設機械等に組込まれるロータリブラシを想定して説明したが、生産工場における多機能の加工ロボット用としても有効に使用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態を示す一部省略した図で、ブラシ保持部材を含む線に沿って切断した場合の概略縦断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の一部省略した底面図である。
【図3】図1内に開示したスリップリング本体部分を示す図で、図3(A)は図1の下方からみた状態を示す説明図、図3(B)は図3(A)の右側面図である。
【図4】図3における単位スリップリングを示す図で、図4(A)はスリップリング素子を円板状絶縁部材に一体化する直前の状態を示す説明図、図4(B)はスリップリング素子を円板状絶縁部材に装着したあとの状態を示す説明図、図4(C)は図4(B)の右側面図である。
【図5】図4に開示した円板状絶縁部材を示す図で、図5(A)は全体的な説明図、図5(B)は図5(A)の右側面図である。
【図6】図4に開示したスリップリング素子を示す図で、図6(A)は全体的な説明図、図6(B)は図6(A)の右側面図である。
【図7】図6に開示したスリップリング素子の外周端部を示す詳細説明図で、図7(A)は拡大部分断面図、図7(B)は使用状態を示す説明図である。
【図8】図7に開示した三層構造のスリップリング素子の変形例を示す図で、図8(A)は外周端面のV字状溝の底面を平坦にした場合の例を示す説明図、図8(B)は外周端面のV字状溝をU字状溝とした場合の例を示す説明図、図8(C)は外周端面を平坦にした場合の例を示す説明図である。
【図9】他の三つの実施形態を示す図で、図9(A)はスリップリング素子を二層構造とした場合で且つ外周端面にV字状溝を設けた場合の例を示す説明図、図9(B)は外周端面のV字状溝を変形V字状溝とした場合の例を示す説明図、図9(C)は外周端面のV字状溝を無くして中心軸に沿った外周端面を平坦にした場合の例を示す説明図である。
【図10】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 単位スリップリング
2 スリップリング本体
3 カップリング
11,21,22,23 スリップリング素子
11A 円板状部材としての一方のスリップリング部材
11Aa,11Ba,11Ca,21Aa,21Ba,22Aa 傾斜面
11B 円板状部材としての黒鉛部材
11C 円板状部材としての他方のスリップリング部材
11M,21M V字状溝
11U U字状溝
12 円板状絶縁体
21A 22A 23A 円板状部材
21B 22B 23B 円板状部材としての黒鉛部材
22M 変形V字状溝
201 ワイヤ状ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位スリップリングを多段に積層して成るスリップリング本体と、このスリップリング本体をカップリングを介して回転自在に保持するベース本体と、このベース本体に電気的に独立して保持され且つ前記各単位スリップリングの導電部である外周端面に適度のバネ性をもって個別に摺動可能に当接する構造の複数のワイヤ状ブラシとを備えたロータリーブラシにおいて、
前記複数の各単位スリップリングを、その外周端面に前記ワイヤ状ブラシとの当接面を備えた円板状のスリップリング素子と、同じく円板状に形成され前記スリップリング素子の側面に配設されると共に当該スリップリング素子を固着保持する円板状絶縁板とを備えた構成とし、
前記スリップリング素子の外周端部で前記ワイヤ状ブラシと当接する箇所に、円板状の黒鉛部材をスリップリング素子の一部として一体的に装着したことを特徴とするロータリーブラシ。
【請求項2】
前記スリップリング素子を、それぞれ同心軸上で側面が当接された二枚の円板状部材で構成すると共に、その内の何れか一方の円板状部材を黒鉛部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーブラシ。
【請求項3】
前記スリップリング素子をそれぞれ同心軸上で側面が当接された一方と他方の二枚の円板状部材で構成すると共に、当該各円板状部材の外周端部には対向する側にそれぞれ所定角度の傾斜面を設け、この内の何れか一方の円板状部材を黒鉛部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーブラシ。
【請求項4】
前記スリップリング素子をそれぞれ同心軸上で側面が当接された一方と他方の二枚の円板状部材で構成すると共に、当該他方の円板状部材の外周端部で前記一方の円板状部材に対向する側にブラシ当接用の傾斜面を設け、前記一方の円板状部材を黒鉛部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーブラシ。
【請求項5】
前記スリップリング素子を、それぞれ同心軸上で側面が当接された三枚の円板状部材で構成すると共に、その三層構造の中央部の円板状部材を黒鉛部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーブラシ。
【請求項6】
前記スリップリング素子の外周端面にブラシ受け用のV字状溝を形成したことを特徴とする請求項5記載のロータリーブラシ。
【請求項7】
前記三層構造のスリップリング素子の内、両側面に位置する円板状部材の対向面側の外周端部に所定の傾斜面を設けると共に、この各傾斜面によって形成される谷部分の底面を、前記中央部の黒鉛部材の外周端面で構成したことを特徴とする請求項5記載のロータリーブラシ。
【請求項8】
前記三層構造のスリップリング素子の内、中央部に位置する黒鉛部材の外周の直径を前記両側面に位置する円板状部材の外周直径よりも小さく設定すると共に、当該両側面に位置する円板状部材相互間の間隔を前記ワイヤ状ブラシの直径寸法と同一又はそれよりも大きい寸法間隔に設定したことを特徴とする請求項5記載のロータリーブラシ。
【請求項9】
前記黒鉛部材に代えて、黒鉛粒子と金属粒子とを混合して成形してなる複合部材を使用したことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載のロータリーブラシ。
【請求項10】
前記黒鉛部材に代えて、黒鉛粒子と銅若しくは銅合金の粒子とを混合して成形してなる複合部材を使用したことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載のロータリーブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−164900(P2006−164900A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358406(P2004−358406)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000003388)株式会社トキメック (103)
【出願人】(391043147)株式会社北澤電機製作所 (3)