説明

ロータリー式発酵装置

【課題】 ロータリー式発酵装置における通気管の清掃を容易に行うことを可能にする。【解決手段】 被処理物を収容して回転しつつ攪拌する回転筒体1と、回転筒体内に固定状態で配置されて回転筒体1内への通気路となる固定通気管2、20、21と、該固定通気管が一時的に前記回転筒体1と連動するように固定通気管と回転筒体1を連結させる連結手段42を備える。必要に応じて固定通気管を回転筒体1とともに連動させて所望の回転位置にまで回転移動させることができ、発酵槽内部の材料を排出することなく、清掃作業などの保守や点検作業などを容易に行うことを可能にする。固定通気管の定期的な清掃を可能としたことにより、発酵槽への空気の供給量が安定し、良好な発酵の維持に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物の発酵処理を目的として使用されるロータリー式発酵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ、家畜糞、農業廃棄物、食品加工残渣、汚泥などの有機物を好気的に発酵処理して、土壌改良材や有機肥料として有効に回収したり、減容化して廃棄を容易にしたりする方法の1つとして、ロータリー式発酵装置を用いた発酵装置が知られている。この発酵装置では有機物を原料として回転筒体内に収容し、所望により回転筒体内を適宜の環境に調整して回転筒体を回転しつつ有機物を混合、攪拌して発酵処理を行う。発酵処理においては有機物の混合、攪拌及び給気が適当になされる程、発酵効率は向上する。
【0003】
上記ロータリー式発酵装置として、回転筒内に配した回転軸に撹拌翼を設け、該回転軸を回転させるとともに回転筒を逆方向に回転させて回転筒内の被処理物を効果的に撹拌しつつ、回転筒体の下方部に配置した通気管によって被処理物に給気を行う装置が知られている(例えば、特許文献1)。
また、上記のように回転筒体と回転軸とを逆方向に回転させる攪拌、混合では、非常に高い負荷が各攪拌翼などにかかり、破損などがおそれがあるため、攪拌翼を回転させる攪拌軸を設けずに回転筒体に撹拌作用を持たせ、さらに回転筒体の中心軸に通気管を配した装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−25745号公報
【特許文献2】特開2004−16828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、撹拌機能を有する従来のロータリー式発酵装置は、被処理物の発酵を促進するために、固定式の通気管が回転筒内に配置されている。このため、通気管を簡単に取りはずして清掃することができず、含水率の高い原料が発酵槽に投入された場合、通気管の穴に次第にスラリー状の原料が入り込み、通気管の内壁に固形物が付着して圧力損失を起こし所定の通気量が供給できなくなるという問題がある。最悪の場合には材料が通気管内部に入り込み、管路を閉塞してしまうおそれがあるという問題もある。
このため、通気管が一端閉塞した場合には、発酵槽内部への原料を一定期間停止したのち、発酵槽内部の材料をすべて外部に排出しなければ清掃することができないという問題がある。さらに発酵槽内部の材料を外部に排出したとしても、通気管自身は固定され、清掃に便利な位置に動かすことはできない上、通気穴は通常、下方に向いており、先端が細くなった楊子状の治具を用いて、人間が無理な体勢で穴を外部からつつくことしかできず、作業に困難性を伴うという問題もある。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、固定式の通気管自身が清掃しやすい位置に移動できるような構造とされている装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のロータリー式発酵装置のうち、請求項1記載の発明は、被処理物を収容して回転しつつ攪拌する回転筒体と、該回転筒体内に固定状態で配置されて回転筒体内への通気路となる固定通気管と、該固定通気管が一時的に前記回転筒体と連動するように前記固定通気管と前記回転筒体を連結させる連結手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のロータリー式発酵装置の発明は、請求項1記載の発明において、前記固定通気管は、管内に連通する開閉可能な通気管開口部を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載のロータリー式発酵装置の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記回転筒体は、該回転筒体とともに連動して回転位置を変えた固定通気管に対し作業を行うための作業用開口部が開閉可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載のロータリー式発酵装置の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記固定通気管が連結された回転筒体を所定の回転位置にまで回転させる調整回転駆動手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載のロータリー式発酵装置の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記固定通気管は、回転筒体の軸方向に沿った主管と、該主管に連通して前記軸方向と交差する方向に沿って配置された支管とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載のロータリー式発酵装置の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記固定通気管は、前記回転筒体と連結して連動する連動部側を一時的に給気源側から切り離す切り離し部を有していることを特徴とする。
【0012】
すなわち、本発明によれば、固定通気管を一時的に回転筒体に連結させる連結手段を備えるので、該連結手段による連結がなされた際には、回転筒体が回転すると、固定通気管が該回転筒体の回転に連動して回転位置を変更する。この回転位置を作業に好適な位置に設定して回転筒体の回転および停止を行うと、固定通気管が作業に好適な位置に回転移動して停止するので固定通気管に対する清掃作業を容易に行うことが可能になる。
【0013】
なお、連結手段は本発明としては特定のものに限定されるものではなく、回転筒体と固定通気管とを一時的に連結できるものであればよい。連結手段としては、例えば回転筒体と固定通気管とを直接または間接的に機械的に結合するものが挙げられる。例えば取り外し可能な固定具で回転筒体と固定通気管とを固定して両者を連結状態にするものが挙げられる。また、連結手段としては、上記のような機械的な結合を行うものではなく、回転筒体の回転力を固定通気管に伝達する回転力伝達機構によって連結手段を構成するものであってもよい。該回転力伝達機構は、伝達力の断続を行えるものにして、必要時にのみ伝達力が回転筒体から固定通気管に伝わるようにしてもよい。
回転筒体と固定通気管とを連結して回転筒体を回転させる際には、通常時に回転筒体を回転させる回転駆動手段を利用してもよく、また、連結時にのみ回転筒体を回転させる調整回転駆動手段を別途設けてもよい。該調整回転駆動手段には、小型のモータなどを用いることができる。
【0014】
なお、上記の固定通気管の形状、配置位置などについては本発明としては、特に限定されるものではない。例えば、回転筒体の軸方向に沿った主管と、該主管に連通して該軸方向と交差する方向に沿って配置された支管とを有するものを例示することができる。この固定通気管によれば、回転筒体による回転に際し、回転動力にかかる負荷を軽減して被処理物を十分に攪拌することができる。被処理物に対する通気を回転筒体内中心に配した上記固定通気管を通して行うので、被処理物に対し均等に通気することが可能になり、発酵効率が向上する。
【0015】
固定通気管は、通常は、通気穴を除いて塞がれており、これにより通気穴を通して被処理物の給気を効率的に行うことができる。本発明では、管内に連通する通気管開口部を開閉可能に設けておき、通常時には該通気管開口部を閉じ、清掃時に該通気管開口部を開けて管内の清掃を行うことが可能になる。通気管開口部の開閉は、例えば通気管開口部への蓋の取付け、取り外しにより行うことができる。この通気管開口部は、一つでもよく、また2以上を設けるものでもよい。複数の通気管開口部を設ける場合、通気管開口部間に清掃具を貫通させて清掃を行えるように対向位置に通気管開口部を設けるのが望ましい。
【0016】
また、上記固定通気管は、回転筒体に連結して回転させる際に、給気源側に接続されたままにすると、給気源側に損傷を与えるおそれがある場合、連動部側と給気源側との間に切り離し部を設けて、必要に応じて両者を切り離し、通常時には両者を給気可能に接続する。なお、連動部側と給気源側とを回転継手によって接続することにより、上記切り離し部を要しないものとしてもよい。
【0017】
さらに、回転筒体には、回転筒体と連動して回転位置を変えた固定通気管に対し、清掃などの作業を行えるように開閉可能な作業用開口部を設けておくことができる。これにより、作業が容易な位置に固定通気管を置いて上記作業用開口部を通して清掃などの作業を円滑に行うことができる。
【0018】
また、本発明の発酵装置では、被処理物を効果的に攪拌するために通常は攪拌翼を設ける。この攪拌翼は回転筒体内面や固定管の外面に設けることができるが、固定管側は回転しないため、この攪拌翼にかかる負荷が小さくなる。攪拌翼を取り付ける場所は回転筒体の内面で仕切板や通気管に触れることのないような部分であれば、回転軌道上に1か所に限定されるものではなく複数配置できる。
【0019】
さらに攪拌翼は回転筒体の内壁面に取り付けるのが望ましい。また攪拌翼は被処理物をより効果的に攪拌するために、回転筒体の中心部近くにまでできるだけ延ばすことが望ましい。この場合、長さに応じた強度を確保するため、取り付け座、補強部材を取り付ける必要があるが、取り付け座、補強部材も回転筒体の外側部分に設けることができるため、攪拌機能を維持しつつ原料充填部分に対する部材の占有容積を少なくできる。
【0020】
本発明の発酵装置は前述のように有機物発酵処理に使用する装置として好適だが、本発明としてはこの用途に限定されるものではなく、原料の混合に用いる各種用途の発酵装置として使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のロータリー式発酵装置によれば、被処理物を収容して回転しつつ攪拌する回転筒体と、該回転筒体内に固定状態で配置されて回転筒体内への通気路となる固定通気管と、該固定通気管が一時的に前記回転筒体と連動するように前記固定通気管と前記回転筒体を連結させる連結手段とを備えるので、必要に応じて固定通気管を回転筒体とともに連動させて所望の回転位置にまで回転移動させることができ、発酵槽内部の材料を排出することなく、清掃作業などの保守や点検作業などを容易に行うことを可能にする。
【0022】
そして、定期的な清掃を可能としたことにより、発酵槽への空気の供給量が安定して供給される。また、発酵槽への投入原料の含水率の高い状態で投入され、発酵槽材料から浸みだした汚水が通気管に入ったとしても、簡易に清掃することができるため、発酵の維持に役立つ。さらに、通気管を完全に発酵材料の上に出して清掃する場合に比べ、通気管を発酵材料中に一部が埋まった状態で清掃する場合は清掃終了後に通常運転に復帰する際に復帰抵抗が少なく、装置への負荷が少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
断面円形状の回転筒体1が回転駆動装置12によって回転可能に支持されており、この回転筒体1の軸方向端開口部には該開口部を遮へいする回転しないサイドプレート1a、1bが両端部に配置されており、上記回転筒体1と両サイドプレート1a、1bとによってドラム型の発酵装置が構成されている。なおサイドプレート1aには原料を投入する投入口7が設けられ、サイドプレート1bには発酵処理後の製品を排出する排出口11と発酵槽内で発生する臭気を排気する排気口14とが設けられている。
【0024】
上記回転筒体1内の回転軸中心には、回転筒体1内部に通気を行う際の固定通気管の本管となる通気本管2が軸方向に沿って設置されており、該通気本管2の両端側は、ベアリング44、44によってサイドプレート1a、1bに回転可能に軸止され、さらにその外側で通気管固定治具45、45によって回転及び軸方向における固定保持がなされている。固定本管2は、さらに外側に伸長して両端に通気管フランジ46a、46aが設けられている。この通気管フランジ46a、46aには、給気管47のフランジ46b、46bがボルトなどにより接合されており、給気管47を通して通気本管2に給気が可能になっている。また、通気管フランジ46aと通気管フランジ46bとは離接が可能になっており、通気管フランジ46bを切り離すことで両者の接合を解くことができる。すなわち、通気管フランジ46aと通気管フランジ46bとは、本発明の切り離し部を構成している。
【0025】
上記固定本管2の外面側には、回転筒体1内を複数の処理ゾーン(この実施形態では3ゾーン)に区切るための弓形形状の2枚の仕切板10が取り付けられ固定されている。すなわち、この実施形態では、回転筒体1は、投入口7から排出口11に向けて、第1処理ゾーンA、第2処理ゾーンB、第3処理ゾーンCの3つの処理ゾーンに区分されている。仕切板10は回転筒体1の下端から所定高さに至るまで原料の移動を阻止し、その上部と回転筒体1上部との隙間を通して原料の移動を許容している。
【0026】
さらに前記通気本管2の内面には、通気本管2内を縦方向に沿って区切る通気仕切板17が取り付けられており、第1処理ゾーンAと第2、第3処理ゾーンB、Cとに量、温度の異なった空気を通気本管2の両端部から通気することで供給可能としている。また通気本管2には、下方に伸長する通気連結管20が連結され、該通気連結管20は、軸方向に間隔をおいて複数本配置されている。通気連結管20の下端では、回転筒体1の軸方向と直交する水平方向に沿って配置された通気支管21が連結されており、通気支管21の下面には、長手方向に間隔を置いて多数の通気穴21aが形成されている。上記通気連結管20と通気支管21は、固定通気管における支管を構成するものである。したがって、通気本管2、通気連結管20および通気支管21によって本発明の固定通気管が構成されている。
なお、通気支管21は、長手方向両端に通気管開口部21b、21bが形成されており、該通気管開口部21b、21bに取り外し可能な蓋材22、22が取付けられている。
【0027】
また回転筒体1の内壁面には、該筒体1の回転中心に向かって垂直に立ち、この垂直に立った軸を回転中心として360度回転可能な攪拌翼8が複数取り付けられている。該攪拌翼8は、固定座15によって回転筒体1に取り付けられており、該攪拌翼8には回転筒体外面に伸長する回転調整軸18が回転調整手段として連結されている。なお、攪拌翼8は、仕切板10により仕切られた処理ゾーン毎に該仕切板10と通気本管2、通気連絡管20、通気支管21に触れることのない空間に伸長している。
また、各攪拌翼8は、上記回転調整軸18の回転によって処理ゾーン毎に角度を変えて配置することができるので、処理ゾーンAにおいては、配置している一部の攪拌翼8が有機物30を投入口7側に戻す機能を果たし、他の攪拌翼8は有機物30を排出口11側に送る機能を果たすように各攪拌翼8の取り付け角度を設定しておき、撹拌機能を持たせている。処理ゾーンB、Cでは、攪拌翼8が有機物30を排出口11側に送る機能を果たすように該攪拌翼8の取り付け角度を設定しておく。
【0028】
また、通気本管2の上面には、連結治具取り付け穴41が形成されており、通常時には、該連結治具取り付け穴41に取り付け穴蓋41aが嵌合されて穴が塞がれている。また、回転筒体1の筒壁には、上記連結治具取り付け穴41と軸方向位置を同じくして連結治具挿入穴40が形成されており、通常時には、該連結治具挿入穴40に挿入穴蓋40aが嵌合されて穴が塞がれている。なお、上記連結治具挿入穴40と、連結治具取り付け穴41とは、両穴が径方向に揃った状態で使用される。
さらに、回転筒体1の筒壁には、通気支管21の清掃作業などをおこなうための作業用開口部として発酵槽点検口50が形成されており、該発酵槽点検口50は、開閉蓋51によって開閉可能になっており、通常時は開閉蓋51が閉じられて内容物の漏洩がないようにされている。
【0029】
次に、上記発酵装置を用いた発酵処理方法を説明する。
投入口7より投入された有機物30は、第1処理ゾーンにAおいて、回転筒体1の回転に連れて回転移動する攪拌翼8による攪拌効果で発酵中有機物と混合される。
上記有機物の撹拌中また、一定時間攪拌した後、充填有機物に発酵に適切な給気を行うため、吸気管47より通気本管2に対し、給気を行う。供給された空気は、通気本管2から通気連結管20を通して通気支管21へと供給され、該通気支管21の通気穴21aから有機物30中に散気される。
【0030】
上記動作により回転筒体1内に平らに充填された処理ゾーンAの有機物30に対しては、固定通気管2の投入口7側端部から通気することにより下方部の通気支管21から空気が拡散して発酵に適切な通気がなされる。これにより有機物30には均一に空気が接触して通過することになり均一な発酵反応が得られる。この回転筒体1における定時間回転→停止→定時間逆回転→定時間停止のサイクルを実施することにより、有機物30は仕切板10の充填高さを越え徐々に次の第2処理ゾーンBに移動する。該第2処理ゾーンBではこの処理ゾーンに適した量、温度の空気が、通気本管2から通気され、該処理ゾーンBに位置する通気支管21から散気されて有機物30に空気が接触し通過することにより、適切な発酵反応が得られる。
【0031】
第2処理ゾーンBの有機物30も処理ゾーンAと同様に、定時間回転→停止→定時間逆回転→定時間停止のサイクルを実施することにより、仕切板10の充填高さを越え徐々に次の第3処理ゾーンCに移動する。第3処理ゾーンCでも、この処理ゾーンCに適した量、温度の空気が、固定通気管2から通気され、該ゾーンCに位置する通気支管21から給気されて有機物30に接触し通過することにより、適切な発酵反応が得られる。
このようにして各ゾーンに有機物が滞留して攪拌される間に、有機物30の十分な発酵処理が実施される。その後、第3処理ゾーンの有機物30は排出口11より徐々にオーバーフローし発酵装置外に排出される。
また、回転筒体1に取り付けた攪拌翼8の取り付け角度を調整したい場合には、回転筒体1の回転を停止させた状態で、回転筒体1外部から回転調整軸18を操作することにより、攪拌翼8の取り付け角度を容易に調整、変更することもできる。
【0032】
上記操業により、通気支管21内には、通気穴21aを通して次第に有機物20が侵入し、給気性能に悪影響を与えるため、定期的に清掃作業を行うことが必要になる。
該清掃作業に際しては、連結治具挿入穴40と連結治具取り付け穴41とが径方向に沿って位置するように回転筒体1を停止させる。次いで、連結治具挿入穴40から挿入穴蓋40aを取り去り、同じく連結治具取り付け穴41から取り付け穴蓋41aを取り去る。両穴が径方向に沿った状態で、連結治具挿入穴40から連結治具42を挿入し、該連結治具42の先端を連結治具取り付け穴41に挿入し、取り付けを行う。これにより回転筒体1と通気本管2とが連結治具42を介して連結される。なお、上記連結治具42による連結方法では、回転筒体と固定通気管とを径方向に配置した連結治具で連結できるので、大きな回転モーメントで固定通気管を回転させることができ、回転筒体に対する負荷も軽減される。
【0033】
次いで、回転筒体1を回転駆動装置12によって回転させ、所定の回転位置で停止させる。したがって、回転駆動装置12は、本発明の調整回転駆動手段に相当する。上記回転により、回転筒体1とともに、通気本管2、通気連結管20、通気支管21が連動して回転する。この実施形態では、回転筒体1を停止した際に、通気支管21が縦方向に沿って位置するように回転停止位置を定める。次いで、開閉蓋51を開けるとともに、通気支管21の通気管開口部21bからは蓋材22を取り外す。上記発酵槽点検口50を利用して、通気支管21の上方の通気管開口部21bからブラシなどの清掃具を管内に挿入し、内部に侵入していた有機物30を除去する清掃作業を行う。その後、蓋材22を通気支管21に取付け、開閉蓋51を閉める。
また、図示していないが、通気支管21を上部水平状態で回転停止させる場合、両端の通気管開口部21b、21bの蓋材22、22が取り外せるよう開閉蓋51が設けられている。通気支管21の片方の通気開口部21bからブラシなどの清掃具を管内に挿入し、他方の通気管開口部21bから内部に侵入している有機物30を除去する清掃作業を行う。
【0034】
上記により清掃作業を終えた後、回転筒体1を回転前の位置にまで回転させる。回転は、順方向でも逆方向でも可能である。次いで、連結治具42を連結治具取り付け穴41および連結治具挿入穴40から抜き取り、連結治具取り付け穴41には、取り付け穴蓋41aを嵌合して穴を塞ぎ、連結治具挿入穴40に挿入穴蓋40aを嵌合して穴を塞ぐ。そして、通気本管2と給気管47とを通気管接続フランジ46a、46bを介して再接続することで通常状態に移行することができる。
上記作業においては、固定通気管に発酵槽外部から治具を差し込み、さらに、ロータリー式発酵槽内部設置された固定通気管と外部通気装置を一時的に外すことで、回転筒体と固定通気管の動きが連動し、固定通気管自身が清掃しやすい位置に移動できる。さらに、清掃しやすい位置に移動した通気管も簡易に清掃できる。
【0035】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】同じく図1のII−II線断面図である。
【図3】同じく回転筒体と固定通気管とを連結した状態を示す正面断面図である。
【図4】同じく回転筒体と固定通気管とを連動させた状態を示す図3のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 回転筒体
2 固定通気管
4 通気管
7 投入口
8 撹拌翼
10 仕切板
11 排出口
15 固定台座
17 通気仕切板
18 回転調整軸
30 有機物
40 連結治具挿入穴
40a 挿入穴蓋
41 連結治具取り付け穴
41a 取り付け穴蓋
42 連結治具
44 清掃用回転時ベアリング
45 通気管固定治具
46a 通気管接続フランジ
46b 通気管接続フランジ
47 給気管
50 発酵槽点検口
51 開閉蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容して回転しつつ攪拌する回転筒体と、該回転筒体内に固定状態で配置されて回転筒体内への通気路となる固定通気管と、該固定通気管が一時的に前記回転筒体と連動するように前記固定通気管と前記回転筒体を連結させる連結手段とを備えることを特徴とするロータリー式発酵装置。
【請求項2】
前記固定通気管は、管内に連通する開閉可能な通気管開口部を有していることを特徴とする請求項1記載のロータリー式発酵装置。
【請求項3】
前記回転筒体は、該回転筒体とともに連動して回転位置を変えた固定通気管に対し作業を行うための作業用開口部が開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロータリー式発酵装置。
【請求項4】
前記固定通気管が連結された回転筒体を所定の回転位置にまで回転させる調整回転駆動手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロータリー式発酵装置。
【請求項5】
前記固定通気管は、回転筒体の軸方向に沿った主管と、該主管に連通して前記軸方向と交差する方向に沿って配置された支管とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロータリー式発酵装置。
【請求項6】
前記固定通気管は、前記回転筒体と連結して連動する連動部側を一時的に給気源側から切り離す切り離し部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロータリー式発酵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−21448(P2007−21448A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210831(P2005−210831)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】