説明

ロータリー式電気かみそり

【課題】外刃の髭剃り面積を大きくして髭剃り能率を向上させ、外刃の中央付近の皮膚に対する接触圧が大きくなっても髭の深剃りを防ぎ皮膚を保護する。
【解決手段】多数の髭進入口が形成された環状の髭剃り面を上面に有する外刃と、外刃の下面に髭剃り面の下方から摺接しつつ回転する小刃を持つ内刃とを有するロータリー式電気かみそりにおいて、外刃10に複数かつ同心の環状髭剃り面16、18を一体に形成し、これら複数の環状髭剃り面16、18の周方向に髭進入口65の開口密度を変化させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の髭進入口が形成された環状の髭剃り面を有する外刃と、前記外刃に前記髭剃り面の下方から摺接しつつ回転する小刃を持つ内刃とを有するロータリー式電気かみそりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のロータリー式の電気かみそりでは、略円盤状の外刃が肌の細かい凹凸に細かく追従し、また使用者ごとに異なる髭の特性に対応して髭を剃り残し無く円滑に剃れるようにすることが求められる。例えば使用者の顎の下など大きい凹凸があったり皮膚の皺があったりする部位では、髭のそり残しが増えるという問題がある。また外刃を皮膚に強く押し付けると、深剃りとなって皮膚を傷めることもあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−509628
【特許文献3】特表2004−515283
【特許文献2】特開2006−510430
【0004】
特許文献1には、1つの環状髭剃り面(シングルトラックとも言う)を持つ外刃を複数備え、各外刃の環状髭剃り面の髭進入口の開口密度(開口率、髭剃り面積に対する開口面積の比、(開口面積)/(髭剃り面積))を刃枠体(外刃枠)の中心側(複数の外刃が互いに接近する部分付近)で小さくしたもの、逆に大きくしたものが示されている。すなわち、外刃に長い髭を剃る形式と短い髭を剃るための形式などの異なる形式の髭進入口(髭入力開口)を設け、異なる外刃の互いに向き合う位置に同一形式の髭剃り領域を配置するものである。
【0005】
特許文献2には、特許文献1の複数の外刃をそれぞれ回動可能にし、異なる外刃の同一形式の髭進入口が互いに向き合う位置(刃枠体の中央側)に揃えるように回転させるものが示されている。すなわち内刃の回転に伴う摩擦力により外刃を回動させ、外刃外周に設けた突起を制御部材に当接させることによって外刃の回転方向に位置を固定するものである。ここに制御部材を突起に係脱させることによって外刃の回動位置を変化させるものである。
【0006】
特許文献3には、環状の外刃髭剃り面の内周側中央に取り付ける化粧カバー上面(皮膚支持領域)に、外刃髭剃り面の内周縁に近接した周方向の一部角度領域に隆線を設けて、これら隆線が髭剃り面に接触する皮膚の接触圧を減らし、皮膚を保護するものが示されている。すなわち隆線がこれに接触する皮膚を髭剃り面から離れる向きに押して、隆線の外側に近接する髭剃り面の接触圧を減少させるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2、3のものはいずれも外刃に1重の環状の髭剃り面を設けたものであり、髭剃り面積を増大することには大きな制約が生じ髭剃りの能率を向上させることに制約が生じるという問題がある。髭剃り面積を増大するためには、2重(多重)の環状髭剃り面を設けることが考えられるが、この場合には通常表面が外側に膨らんで凸状となっている皮膚に外刃上面を垂直に押し付けた時に、外刃の中央付近、従って内側の環状髭剃り面が強く皮膚に当たるので、特に外刃の接触圧を大きくした場合には内側の環状髭剃り面による髭が深く剃られ皮膚を傷めるという問題が生じ得る。
【0008】
特許文献1には、複数の外刃の同一形式の髭進入口を対向位置にすることが記載されているが、それぞれの外刃に多重の環状髭剃り面を形成した時には各外刃の中央付近の接触圧が増大し前記の問題が残る。
【0009】
特許文献2によれば、複数の外刃を同時に回転させてそれぞれの外刃の同じ形式の髭剃り領域が対向するように制御できるが、平坦な皮膚に対して垂直に複数の外刃を同時に強く押し付けた時にはそれぞれの外刃では中央付近の接触圧が大きくなって前記特許文献1と同様の問題が生じ得る。特許文献3によれば、中央の化粧カバー(皮膚支持領域)に隆線を設けるために髭剃り領域の増大に制約が生じ、髭剃り能率の向上が制限される。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、外刃の髭剃り面積を大きくして髭剃り能率を向上させることができ、また外刃を皮膚に垂直に強く押し付けた時に外刃の中央付近の皮膚に対する接触圧が大きくなっても髭の深剃りを防ぎ皮膚を保護することができるロータリー式電気かみそり、を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によればこの目的は、多数の髭進入口が形成された環状の髭剃り面を上面に有する外刃と、前記外刃の下面に前記髭剃り面の下方から摺接しつつ回転する小刃を持つ内刃とを有するロータリー式電気かみそりにおいて、前記外刃には複数かつ同心の環状髭剃り面が一体に形成され、これら複数の環状髭剃り面の周方向に髭進入口の開口密度が変化していることを特徴とするロータリー式電気かみそり、により達成される。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数の同心円状の環状髭剃り面を外刃の上面に形成したので、髭剃り面積を増やして髭剃りを能率良くすることができる。また電気かみそりは通常皮膚に当てて移動させながら(皮膚の表面で滑らせながら)使用するから、外刃を僅かに移動させれば皮膚の同一箇所に異なる開口密度の髭剃り面が順次あるいは繰り返し接触することになる。この時複数の髭剃り面の開口密度が周方向に変化しているので、皮膚に対して外刃を僅かに移動させたり、外刃を中心にしてグリップ部や本体部を僅かに回転させて、外刃の皮膚表面での接触位置を移動させることによって、皮膚の同一箇所に異なる開口密度の髭剃り面が順次あるいは繰り返し接触することになる。このため外刃を皮膚に強く接触させても開口密度の大きい領域が常時接触しているのではないから、深剃りにより皮膚を傷める恐れが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】同じく外刃の髭進入口の配置例を示す図である。
【図3】図1における1つの刃組み立て体の断面図である。
【図4】外刃の一部拡大断面図であってスリットの加工方法を説明する図である。
【図5】同じく外刃の研削/研磨方法を説明する断面図である。
【図6】同じく内刃の研削/研磨方法を説明する断面図である。
【図7】他の実施例である外刃の髭進入口の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
外刃に形成する環状髭剃り面は2重の同心円状であっても良いし、3重以上の同心円状であっても良い。開口密度を周方向に変化させるためには、環状髭剃り面の1周内で、髭進入口の開口密度が最小になる部分を2箇所以上等角度間隔で設けることができる(請求項2)。開口密度が最小になる部分は、開口が無く滑らかな金属表面(ブランク)とすることができ、この場合ブランクを周方向に等間隔に2箇所以上設ける。ブランクに代えて開口密度が非常に小さい領域を設けても良い。このブランクや開口密度が非常に小さい領域では皮膚表面での滑りが良く、髭の深剃りが生じないので、外刃を移動させることによって本発明の効果が大きくなる。
【0015】
開口密度を周方向に変化させるためには、環状髭剃り面の1周内で、2等分以上に分ける各角度範囲内の開口密度を一定回転方向に連続的に変化させてもよい(請求項3)。この場合には、通常外刃を皮膚表面に当てながらグリップ部を左右に揺動させて回転させる習慣や癖がある使用者に好適である。すなわちこのような癖がある場合には、外刃の移動によって皮膚の、髭剃り箇所に当たる部分の開口密度が常に連続的に変化するから、滑らかな剃り心地を保ちつつ深剃りを防ぎ、皮膚の保護も図れる。
【0016】
外周側と内周側の環状髭剃り面に設けた髭進入口の開口密度の変化を、周方向に揃えれば、外周側と内周側の開口密度の変化が半径方向に揃うことになり、前記の効果は一層大きくなる(請求項4)。例えばブランクの部分が外周側と内周側で径方向に揃えば、外刃の滑りが一層良くなり、深剃りが生じにくく皮膚の保護効果が大きくなる。
【0017】
外周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度を、内周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度より高くすることも望ましい(請求項5)。この場合には外刃を皮膚の凸部に押し付けた時に、内周側の接触圧が大きくなっても、外周側の髭進入口により深剃りになったり皮膚を傷める恐れが少なくなるからである。
【0018】
外刃の髭剃り面に形成する髭進入口は、スリット状にすることができる。スリット状であれば後記する外刃の加工時に水平軸回りに回転する回転円盤砥石を外刃の(環状髭剃り面の)半径方向または半径方向にやや傾けて(ほぼ半径方向に)移動させることにより全ての環状髭剃り面に一工程で能率良く加工できる。なおスリットの方向は外刃の半径方向に厳密に一致している必要は無く半径に対して傾けたものであっても良く、ここではこれらを含めて半径方向と言うことにする。
【0019】
スリットは周方向間隔の角度を、外周側の髭剃り面で内周側の髭剃り面よりも小さくすることによって、外周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度を、内周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度より高くすることができる。
【0020】
例えば、内周側と外周側の髭剃り面にこれぞれ形成した共通な直線上に位置する共通髭進入スリットと、外周側の髭剃り面に形成されかつ前記共通髭進入スリットの間に位置する外周側の非共通髭進入スリットとを設けることによって、外周側の髭剃り面の開口密度を大きくすることができる(請求項6)。この場合スリットの開口幅は同一とすれば、同一の加工具(回転円盤砥石など)を用いることができ便利であるが、スリット開口幅は変化させても良い。
【0021】
外周側の髭剃り面と内周側の髭剃り面は内刃の回転軸方向に沿って高さが異なるようにすることにより、皮膚との接触圧が適切になるようにすることができる。例えば内周側の髭剃り面を外周側の髭剃り面よりも内刃回転軸方向に高くすれば、内周側の髭剃り面の皮膚接触圧を増大できるが、内周側の髭剃り面の開口密度が低いので滑りが良くなり、深剃りを防止しつつ皮膚を保護できる。反対に内周側の髭剃り面を外周側の髭剃り面よりも内刃回転軸方向に低くしたり、ほぼ同一の高さにすれば、皮膚の凸部に適切に接触できる。
【0022】
このように外刃の内周側と外周側の開口密度に周方向の変化を設けるだけでなく、外周側と内周側の開口密度に変化を持たせたり、外周側と内周側の環状髭剃り面の高さ変化を組み合わせたりすることによって、より一層変化に富んだ髭剃り特性を持たせることが可能になり、使用者の好み、髭の癖などの特性に一層適切に対応させることが可能になる。
【実施例1】
【0023】
図1において符号50は本体部であり、略円柱状のグリップ部52の上部を斜め前上方へ折曲したケース54を持つ。このケース54は前後割りであり、その内部には充電可能な電池、電気モータ、制御回路基板など(図示せず)が収容されている。ケース54の前面には電源スイッチ56が取付けられ、このスイッチ56の下方には電池の充電残量や動作状態などを示すLEDランプからなる表示器(図示せず)がケース54の半透明部分54Aを通して外から目視可能となっている。
【0024】
ケース54の上部にはヘッド部58が開閉可能かつ着脱可能に取付けられている。なおヘッド部58は、その髭剃り面(後記刃枠体60の上面)が斜め前上方を指向するようにケース54のグリップ部52に対して傾いている。前記電気モータはその回転出力軸がこのヘッド部58の内部を指向してケース54の上面から突出し、後記する内刃12を回転駆動すると共に、内刃12を上方に弾性を持って押し上げて小刃22、24の髭剃り面14、16の下面に対する接触圧を適正に保持している。
【0025】
ヘッド部58は、ケース54の上面に開閉可能に取り付けられる刃枠体(外刃枠)60に、3組の刃組み立て体62を組み付けたものである。刃枠体60は平面視略三角形で周縁をなだらかに下方へ湾曲させた形状である。刃枠体60には3つの円形の取付口が形成され、ここにそれぞれ刃組み立て体62が傾斜可能かつ上方へ復帰習性を持って可動に保持される。
【0026】
すなわち刃組み立て体62は、略円盤状で周縁が下方に折曲された外刃10と、この外刃10の外周が嵌め込まれた外刃リム64と(図1)、外刃10に下方から摺接する内刃12(図3)とを備える。内刃12はこの刃組み立て体62に回転可能であってかつ下方に脱落しないように保持され、前記したように電気モータにより回転駆動される。
【0027】
外刃10の上面には図2、3に示すように、中心軸20と同心に形成された環状凹溝14と、この環状凹溝14を挟んでその外側と内側に二重の環状髭剃り面16、18とが形成されている。二重の環状髭剃り面16、18は、内側の髭剃り面18が外側の髭剃り面16よりも高く、すなわち中心軸20に沿って高さが高く、またこれらの髭剃り面16、18は中心軸20に対して水平な平面上に位置する。換言すれば、中心軸20に沿った高さが異なる水平面上にこれらの髭剃り面16、18は位置する。
【0028】
この外刃10には、図1、2に示すように、半径方向に多数の髭進入口となるスリット65が形成され、この上面は外刃リム64より突出している。このスリット65は、図4に示すように回転円盤砥石66によって加工される。すなわち外刃10となる金属板(金属素材)は、両環状髭剃り面16、18になる部分とこれらの間に位置する環状凹溝14とがプレス加工され、このプレス加工済みの金属素材に上方から回転円盤砥石66をその外周を縦向きにして回転させつつほぼ半径方向に移動させ、環状凹溝14を残して環状髭剃り面16、18となる部分に切り込みを入れるものである。回転円盤砥石66は、ダイヤモンド砥粒などの耐摩耗性粒子を砥粒に分散し硬化させた薄い円形ディスク状の工具である。
【0029】
この回転円盤砥石66は、まず両方の環状髭剃り面16、18を同時に加工するように、図4の第1加工線68に沿った深さの加工をする。すなわち、回転円盤砥石66の外周(切削加工縁)が第1加工線68に沿って移動するように回転円盤砥石66の回転中心Aをほぼ半径方向(図4の移動線68a方向)に移動させる。また外側の環状髭剃り面16のスリット65(65B)だけを選択的に深く加工するためには、回転円盤砥石66の外周が図4に示す第2加工線70に沿って移動するように回転中心AをBの位置に移動して、この中心Bを第2加工線70に平行な移動線70aに沿ってほぼ半径方向に移動させればよい。
【0030】
この実施例では、内周側の環状髭剃り面18の開口密度(開口率)が外周側の開口密度よりも小さくなっている。すなわち図4の第1加工線68に沿った加工によって、内周側と外周側のスリット65A、65Aが共通直線67A(図2)上に形成され、また第2加工線70によって外周側髭剃り面16だけに非共通直線スリット65Bが非共通直線67B上に形成される。この場合に、スリット65A、65Bの加工に共通の回転円盤砥石66を用いることができ、同一開口幅のスリットを加工できる。
【0031】
また非共通直線スリット65Bは共通直線スリット65Aの間に1つづつ形成すれば、外周側髭剃り面16のスリット数を内周側髭剃り面18のスリット数の2倍(ただし共通直線スリット65Aが偶数の時)にすることができる。従って、外周側の開口密度を内周側の開口密度より高くすることができる。
【0032】
この状態では、環状髭剃り面16、18となる部分は外刃10の金属板の厚さであるから、次に環状髭剃り面16、18の部分を研削あるいはその後で研磨することにより十分に薄い環状髭剃り面16A、18A(図5)に加工する。この加工は図5に示すように、上面を環状髭剃り面16Aと18Aの高さの差に対応した段差を有するバイトなどの研削具や砥石などの研磨具(両者を含めてここでは研削/研磨具ともいう。)72を、中心軸20を中心にして回転させることにより行うことができる。
【0033】
また環状髭剃り面16、18の下面は、同様にこれらの高さの差に対応した段差を有する研削/研磨具74を用い、これを中心軸20を中心に回転させることにより加工することができる。図5において破線で示す16A、18Aは髭剃り面の上面(肌に接触する面)を、16B、18Bは髭剃り面の下面(内刃12の小刃22、24が摺動する面、内刃摺動面)を示している。なお研削/研磨具72、74を回転させるのに代えてまたはこれらの回転と共に、外刃10を回転させても良いのは勿論である。
【0034】
図3において内刃12は、髭剃り面16A、18Aの下面(内刃摺動面)16B、18Bに摺接する小刃22、24を共通の金属板12Aに一体に形成したものである。これらの小刃22、24は、上端縁がそれぞれ内刃摺動面となる下面16B、18Bに摺接して、スリット65に入った髭をカットするものであるから、この上端縁の高さを内刃摺動面16B、18Bの高さに一致させると共に研磨して切れ味を向上させておくことが必要である。そこで内刃となる金属板12Aには、この高さの差に対応した段差を有する研削/研磨具76(図6)を用いてこれを中心軸20を中心にして相対的に回転させることにより加工することができる。図6の破線22A、24Aは、この研削/研磨具76による加工後の上端縁(刃面)を示している。
【0035】
この実施例では、スリット65の配置が周方向に不均一になっている。すなわち図2に示すように、外周側髭剃り面16と内周側髭剃り面18の周方向に所定間隔で開口密度が小さくなる部分、例えばスリットがない滑らかな部分(ブランク、スリット密度が疎の部分)16C、18Cをそれぞれ8箇所に設けている。これらのブランク部分16C、18Cは、外周側と内周側のものが周方向に揃えてこれらが半径方向に並んでいる。従ってブランク部分16C、18Cによる皮膚に対する滑り良さが低下せず、特に外刃10を皮膚に対して平行移動する際の髭剃り感を向上できる。
【0036】
なお各ブランク16C、18Cの間の領域10Aでは、スリット65の密度は周方向に一定である。また内周側のスリット65の数が外周側のスリット65の数よりも少ない(図2のものでは、前者が後者の半分である。)ので、内側の髭剃り面18が外側の髭剃り面16より高くなっていて皮膚との接触圧が大きくなっていても皮膚を傷める恐れが少ない。
【実施例2】
【0037】
図7は各外刃10の髭剃り面16、18を周方向に4分割し、それぞれの領域10B内でスリット65の密度を周方向に徐々に変化させたものである。ここでは周方向にスリット密度を密から疎に徐々に変化させた。また内周側18と外周側16は、スリット密度が小さい部分(スリットがない滑らかなブランク部分)16C、18Cを周方向に揃え径方向に並べものである。この図7では図2と同一部分に同一符号を付したのでその説明は繰り返さない。
【0038】
この実施例によれば、外刃10を分割した領域10Bの範囲内で中心軸20と中心にして回転方向に往復させながら髭を剃る場合に、皮膚に当たる部分のスリット密度が変化するから、皮膚を傷める恐れがない。また内周側のスリット65の数が外周側のスリット65の数よりも少ない(図7のものでは、前者が後者の半分である。)ので、内側の髭剃り面18が外側の髭剃り面16より高くなっていて皮膚との接触圧が大きくなっていても皮膚を傷める恐れが少ない。
【符号の説明】
【0039】
10 外刃
12 内刃
16、18 環状髭剃り面
16A、18A 髭剃り面
16C、18C ブランク部
20 中心軸(回転軸)、中心
22、24 小刃
50 本体部
54 ケース
58 ヘッド部
65(65A、65B) スリット(髭進入口)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の髭進入口が形成された環状の髭剃り面を上面に有する外刃と、前記外刃の下面に前記髭剃り面の下方から摺接しつつ回転する小刃を持つ内刃とを有するロータリー式電気かみそりにおいて、
前記外刃には複数かつ同心の環状髭剃り面が一体に形成され、これら複数の環状髭剃り面の周方向に髭進入口の開口密度が変化していることを特徴とするロータリー式電気かみそり。
【請求項2】
環状髭剃り面の1周内で、髭進入口の開口密度が最小になる部分を2箇所以上等角度間隔で設けた請求項1に記載のロータリー式電気かみそり。
【請求項3】
環状髭剃り面の1周内で、2等分以上に分ける各角度範囲内の開口密度を一定回転方向に連続的に変化させた請求項1に記載のロータリー式電気かみそり。
【請求項4】
外周側と内周側の環状髭剃り面に設けた髭進入口の開口密度の変化を、周方向に揃えた請求項2または3に記載のロータリー式電気かみそり。
【請求項5】
外周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度を、内周側の髭剃り面に形成する髭進入口の開口密度より高くした請求項1に記載のロータリー式電気かみそり。
【請求項6】
内周側と外周側の髭剃り面にこれぞれ形成した共通な直線上に位置する共通髭導入スリットと、外周側の髭剃り面に形成されかつ前記共通髭導入スリットの間に位置する外周側の非共通髭導入スリットとを有する請求項5に記載のロータリー式電気かみそり。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−100729(P2012−100729A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249420(P2010−249420)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(310018412)株式会社泉精器製作所 (16)
【Fターム(参考)】