説明

ロータリ絞り弁式気化器の始動装置

【課題】始動時の空気流量及び燃料噴出量の増大を任意に調整可能にする。
【解決手段】ロータリ絞り弁式気化器の蓋体と一体の支持部材14により直線運動可能に支持した操作部材15を、弁軸3bと一体の半径方向外向きレバー部材4と蓋体との間に対して出没可能に設ける。操作部材をレバー部材側に押し込むことにより、全閉状態のレバー部材と係合するようにレバー部材に燃料調整用ねじ部材18を設け、かつレバー部材と一体の第2アーム部4bに設けた係合凹部19と係合するように操作部材の先端部に開度調整用ねじ部材16を設ける。各ねじ部材により燃料噴出量及び空気流量の増大量を別々に調整することができ、雰囲気に合わせたきめ細かな設定ができ、従来の複数段階の設定を可能にしたものに対してもより一層の高精度な設定ができ、種々の雰囲気下での良好な始動性を実現し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動時にロータリ絞り弁を軸線方向及び回転方向に一定量変位可能にする始動装置を設けたロータリ絞り弁式気化器の始動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気化器の吸気道に直交する軸線回りに回転かつ当該軸線方向に変位自在にロータリ絞り弁を設け、ロータリ絞り弁の回転角度に応じて開弁量が変化しかつロータリ絞り弁の軸線方向変位に応じて燃料噴出量が変化するようにしたロータリ絞り弁式気化器がある。そのようなロータリ絞り弁式気化器において、さらに始動時に任意に燃料噴出量及開弁量を変えるための始動装置を設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−131808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1における始動装置にあっては、ロータリ絞り弁の弁軸における気化器本体の外方に突出した部分に固着されたレバーを設けると共に、気化器本体におけるレバーの側方位置にレバーの下面に潜り込ませた始動操作位置とレバーから離反させた待機位置との2位置間で直線往復動するカム部片を設け、カム部片のレバーに臨む先端部に、空気流量を増加させる向きにロータリ絞り弁を旋回させるようにレバーを押す第一カム面と、燃料を増加させる向きにロータリ絞り弁を軸線方向へ移動させるようにレバーを押す第二カム面とを設けている。これにより、カム部片を直線的に移動させるだけで空気量及び燃料を増大させることができるため、燃料増量を必要とする低温での始動操作に対応し得る。
【0004】
しかしながら、気化器を用いた機関の使用環境には種々の温度条件が考えられ、上記始動装置ではカム部片を始動操作位置と待機位置との2状態を取り得るのみである。そのため、使用される場所や季節により雰囲気温度に大きな違いがあり、さらに運転停止直後の機関にあっては高温状態であるなど、広い範囲にわたる機関の温度変化に対応しきれないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決して、始動時の空気流量及び燃料噴出量の増大を任意に調整可能にすることを実現するために本発明に於いては、気化器本体に設けられた吸気道に交差する軸線回りに回転することにより当該吸気道を開閉弁しかつ当該軸線方向に変位することにより燃料噴出量が変化するように設けられたロータリ絞り弁を有し、前記ロータリ絞り弁は前記燃料噴出量を最小とする向きに弾発付勢され、始動時に前記ロータリ絞り弁を前記弾発付勢力に抗して軸線方向に所定量変位させると共に軸線回りに回転させるための始動装置を設けたロータリ絞り弁式気化器の始動装置であって、前記始動装置が、前記気化器本体の外方にて前記ロータリ絞り弁と一体に回転するように設けられたレバー部材と、前記レバー部材に対して直線運動にて接離するように前記気化器本体に支持された操作部材と、前記操作部材を前記レバー部材側に変位させた始動操作位置に保持する保持手段と、前記操作部材の前記保持状態を解除する解除手段とを有し、前記レバー部材と前記操作部材との間に、前記操作部材の前記始動操作位置に至る動きにより、前記燃料噴出量を一定量増大させるように前記ロータリ絞り弁を軸線方向変位させる第1カム手段と、前記吸気道の開度を一定量増大させるように前記ロータリ絞り弁を回転させる第2カム手段とを有し、前記操作部材と前記レバー部材との間に、前記ロータリ絞り弁の軸線方向の変位量を調整する変位量調整手段と、前記ロータリ絞り弁の回転方向の角度を調整する回転角度調整手段とが設けられているものとした。
【0006】
特に、前記変位量調整手段及び前記回転角度調整手段の少なくとも一方が、前記操作部材および前記レバー部材の一方に先端を当接させるように他方にねじ込まれたねじ部材を有すると良い。また、前記操作部材を前記レバー部材側とは相反する向きに弾発付勢する操作部材戻しばねが設けられていると共に、前記操作部材を前記弾発付勢力に抗して所定の待機位置に止めるべく、前記操作部材にねじ込まれた前記ねじ部材が前記気化器本体の一部に衝当するように設けられていると良い。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、操作部材を直線運動させるだけでロータリ絞り弁を軸線方向及び回転方向に変位させることができ、燃料噴出量及び空気流量の増大を行って冷間時などの始動を容易に行うことができる。さらに、各増大量を別々に調整することができ、雰囲気に合わせたきめ細かな設定ができ、従来の複数段階の設定を可能にしたものに対してもより一層の高精度な設定ができ、種々の雰囲気下での良好な始動性を実現し得る。
【0008】
特に、調整手段を部材にねじ込んだねじ部材により構成することにより、ねじ部材を螺進螺退させるという簡単な操作で調整量(燃料噴出量や開度)を調整でき、操作性が良く、かつ高精度に調整し得る。また、操作部材をレバー部材側とは相反する側に弾発付勢し、操作部材にねじ込まれたねじ部材を戻し方向時に気化器本体の一部(例えば操作部材を支持する部分の外面)に衝当させて停止させることにより、操作部材を操作しない場合には自動的に待機位置に戻すことができ、操作性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明が適用された例えば汎用小型内燃機関に適するロータリスロットルバルブ式気化器の要部を通るように破断した要部破断正面図であり、図2は図1の矢印II線から見た上面図である。
【0010】
図示例のものにあっては、気化器本体1に図における表裏方向に貫通する吸気道2が設けられており、その吸気道2の軸線に直交する軸線回りに回転自在なロータリ絞り弁を構成する回動弁体3が設けられている。このように吸気道2を横切る回動弁体3には、その回転角度に応じて吸気道2を全閉状態から全開状態にする混合気通路3aが設けられている。なお、図1は全閉状態を示す。
【0011】
回動弁体3には気化器本体1の図における上側の外方に突出する弁軸3bが一体かつ同軸に設けられており、その突出端部には一体に形成されたレバー部材4が半径方向外向きに延出されている。気化器本体1には回動弁体3を受容しかつ回動自在に支持する弁体支持孔1aが設けられている。なお、図示例の弁体支持孔1aは、組み立て時に回動弁体3を挿入可能にするために気化器本体1の図における上方に開口している。
【0012】
気化器本体1の図における下部は回動弁体3の挿入に対する弁体支持孔1aの底部となり、気化器本体1の図における上部には、弁体支持孔3の開口面を閉塞する蓋体5が取り付けられており、蓋体5の中央部に設けられた軸支孔により弁軸3bが貫通状態に軸支されている。回動弁体3の上面と蓋体5の下面との間には、回動弁体3を全閉方向に弾発付勢するためのコイル状の戻しばね6が弁軸3bを同軸的に外囲して介装されている。
【0013】
また、混合気通路3a内には、気化器本体1の回動弁体3の図における下側部分から弁軸3bと同軸に突出するチューブ状の燃料ノズル7が設けられている。混合気通路3a内において燃料ノズル7と軸線方向に対向する側である回動弁体3の上部には、燃料ノズル7に向けて垂下するように弁軸3bに同軸に固設された燃料調整針弁8が設けられている。燃料調整針弁8の先端部は燃料ノズル7に没入している。燃料ノズル7の周壁には、燃料調整針弁8の先端部と軸線方向に重なる位置に噴出口7aが開設されている。
【0014】
このようなロータリ絞り弁式気化器にあっては、回動弁体3の回転角度により吸気道2に対する混合気通路3aの開口量が変化して絞り弁としての開弁量が制御されると共に、その開弁量に応じた燃料噴出量を制御するために上記噴出口7aの開口量を燃料調整針弁8の軸線方向変位により変えることができる。図示例では図2の矢印Aに示される向きの弁軸3b(回動弁体3)の回転により開弁量が増大し、図1の矢印Bに示される向きの弁軸3b(燃料調整針弁8)の変位により燃料噴出量が増大する。
【0015】
回動弁体3の図における下面と弁体支持孔1aの底面との間には、回動弁体3をその回動角度に応じて軸線方向に変位させるカム機構11が設けられている。カム機構11としては、回動弁体3の下面に周方向に延在する斜面からなるカム面を形成し、気化器本体1側にカム面に相対的に摺接する摺接部材を設けてなるものであって良い。なお、上記戻しばね6により、回動弁体3のカム面が気化器本体1側の摺接部材に弾発的に押し付けられている。この弾発付勢方向は噴出口7aの開口量を最小にする向きである。
【0016】
なお、図示例の気化器本体1の下部には燃料制御室体9と大気圧室体10とが一体的に組み付けられている。燃料制御室体9には燃料ノズル7に連通する燃料制御室が設けられ(図示せず)、大気圧室体10には、燃料供給圧を一定状態にするべく燃料制御室に対してダイヤフラムを介して隣接する大気圧室が設けられている(図示せず)。
【0017】
図示例の気化器本体1にあっては、その側面の一部に図示されない燃料ポンプが設けられている。燃料ポンプは、例えば、気化器本体1の側面に形成された燃料室と、その側面を覆うように組み付けられたポンプカバーに形成された脈動圧室と、両部材間に挟持された膜状体等により形成されたリード弁とにより構成されているものであって良い。なお、ポンプカバー側の脈動圧室は内燃機関のクランク室と連結されており、その脈動に応じてポンプ作用が生じ、燃料制御室体9内に燃料供給圧が生じるようになっている。
【0018】
図2に併せて示されるように、回動弁体3と一体のレバー部材4には連結部材12が回転自在に取り付けられており、その連結部材12には操作ケーブル13の端部に固着された大径円柱状のフック用部材が係合されるようになっている。これにより一般的なスイベル機構が構成され、遠隔操作により回動弁体3を開閉弁動作させることができる。図示例では操作ケーブル13を戻しばね6の弾発付勢力に抗して矢印Cに示される向きに引くことによりレバー部材4(回動弁体3)が上記した矢印Aに示される向きに回転して開弁し、操作ケーブル13を戻すことにより戻しばね6の弾発付勢力により閉弁する。
【0019】
通常運転操作にあっては上記した操作ケーブル13の引きまたは戻し操作により開閉弁することができるが、冷間始動時にはアイドリング運転状態よりも燃料を増量すると共に空気流量もある程度増大すると良い。そのような始動装置として、本図示例にあっては気化器本体1の図1における上側に設けられた機構について図3を併せて参照して以下に説明する。
【0020】
図1に示されるように蓋体5にはレバー部材4の側方にて立設するようにされた支持体14が一体に形成されており、このようにして気化器本体1に一体的に支持体14が設けられている。支持体14には、レバー部材4の下面と蓋体5の上面との間の空間部分に向けて臨むように、弁軸3bの略半径方向に貫通する支持孔14aが設けられている。支持孔14aには、支持孔14aの軸線方向(貫通方向)に摺動自在に略矩形断面形状の操作部材15が支持されている。支持孔14aの軸線方向は図示例では弁軸3bに略直交するようにされており、操作部材15の軸線方向変位はレバー部材4に近接離反する方向となる。
【0021】
操作部材15の先端部のレバー部材4に臨む側(図の上側)には、図1に良く示されるように、レバー部材4の下面に入り込むように傾斜する第1カム手段としての斜面部15aが設けられている共に、その先端部の中間部には操作部材15の軸線に直交しかつレバー部材4の下面に沿う向きに延在するようにされた回転角度調整手段としての開度調整用ねじ部材16が螺進螺退可能に設けられている。なお、開度調整用ねじ部材16は、両端部がそれぞれ操作部材15を横切って外方に延長する長さをもって形成されている。
【0022】
また、操作部材15の先端部とは相反する側の後端部には外向フランジ状のフランジ部15bが形成されている。このフランジ部15bと支持体14との間には操作部材15に巻装された圧縮コイルばね17が操作部材戻しばねとして介装されている。この圧縮コイルばね17により、操作部材15はレバー部材4から離反する向きに弾発付勢されている。操作部材15は、操作していない場合には弾発付勢された状態で上記した開度調整用ねじ部材16の両端部が支持体14に当接して支持体14に対して抜け止めされることにより、所定の待機位置に停止するようになっている。
【0023】
一方、レバー部材4には全閉状態で操作部材15の先端部に対応する側に延出されたアーム部4aが一体に形成されており、そのアーム部4aの先端部には厚さ方向(弁軸3bの軸線方向)に貫通するようにされた変位量調整手段としての燃料調整用ねじ部材18が螺進螺退可能に設けられている。この燃料調整用ねじ部材18のレバー部材4の下方に突出する先端部は、操作部材15を図1の矢印Dに示されるように押すことにより、斜面部15aと当接し、さらに操作部材15を押し込むことにより燃料調整用ねじ部材18が斜面部15aを摺接して上がり、操作部材15の本体部分の上面に乗り上がり、その上昇分に応じて燃料調整針弁8が上昇する。
【0024】
また、レバー部材4には、図3に良く示されるように、上記したスイベル機構の連結部材12を枢支するべく弁軸3bより半径方向外向きに延出された第2アーム部4bが一体に設けられており、その第2アーム部4bのレバー部材15側の側縁の適所に係合凹部19が設けられている。その係合凹部19はレバー部材4の回転方向に臨む向きに凹設されている。また、第2アーム部4bの延出端部と係合凹部19との間の側縁には、全閉状態のレバー部材4に対して操作部材15を押し込むことにより開度調整用ねじ部材16の先端部が当接するようにされ、かつ開度調整用ねじ部材16の先端部を係合凹部19に向けて摺接状態で相対的にガイドする第2カム手段としてのガイド部20が設けられている。
【0025】
なお、開度調整用ねじ部材16の先端部は、係合凹部19に落ち込んだ状態でレバー部材4の閉弁方向への回転に対して係合凹部19と係合状態となる。また、第2アーム部4bにおける係合凹部19のガイド部20側には係合凹部19の深さに応じた壁19aが形成されており、圧縮コイルばね17により待機位置側に弾発付勢されている操作部材15に対して、開度調整用ねじ部材16の先端部が壁19aに係合するようになる。これら開度調整用ねじ部材16と係合凹部19とにより保持手段が構成されている。
【0026】
なお、支持体14の別の場所には、全閉状態(アイドリング状態)における回動弁体3による吸気道2に対する開度を調整するためのアイドル調整ねじ21が螺進螺退可能に設けられている。なお、図示例では上記操作レバー15と並列にアイドル調整ねじ21が配置されており、これにより各操作を同一方向から行うことができ、組み付け時の他の部品との干渉を好適に回避できるため、組み付け自由度の高い気化器を提供し得る。また、アイドル調整ねじ21の先端を全閉状態のレバー部材4の一部である図示例では第2アーム部4bに当接させるようにそれぞれを配設する。アイドル調整ねじ21を螺進螺退させて、レバー部材4すなわち回動弁体3を回転させることができ、アイドリング状態の上記開度を調整する。
【0027】
このようにして始動装置が構成されており、次にその動作要領について示す。機関の始動前にあっては回動弁体3は全閉状態の位置にあり、その状態でのレバー部材4は図1〜図3に示されるような状態である。操作部材15も、その始動操作を行わない待機状態にあっては、同じく図1〜図3に示されるように位置している。
【0028】
冷間始動時などで燃料増量による始動性を良くする始動操作を行う場合には、操作部材15のフランジ部15bを上記した矢印Dに示される向きに押して操作部材15をレバー部材4側に変位(前進)させる。それにより、上記したように開度調整用ねじ部材16の先端部が第2アーム部4bのガイド部20に当接する。第2アーム部4bは戻しばね6により全閉側に弾発付勢されていることから、開度調整用ねじ部材16の先端部がガイド部20に衝当する状態で両者が当接状態となるため、操作部材15の前進に応じてガイド部20を乗り越えると係合凹部19に突入するようになる。この状態を図4に示す。
【0029】
上記図4に示される開度調整用ねじ部材16の先端部と係合凹部19との係合により、第2アーム部4bすなわち回動弁体3の始動操作時の開度が決定される。図4の状態で、開度調整用ねじ部材16を螺進螺退させることにより、開度調整用ねじ部材16は矢印Eに示されるように軸線方向に変位するため、開度調整用ねじ部材16の先端の変位に第2アーム部4bが追従し、それによりレバー部材4の回転方向角度が変更される。したがって始動操作時の開弁量に対応する空気流量を任意に調整することができる。
【0030】
また、燃料調整用ねじ部材18の先端部が、操作部材15の上記前進により斜面部15aに当接し、操作部材15の前進に応じて斜面部15aを上がるように移行し、操作部材15の本体の上面に乗り上がる。この状態に対応する図を図5に示す。図5に示される燃料調整用ねじ部材18の操作部材15への当接状態で弁軸3bすなわち燃料調整針弁8の始動操作時の軸線方向位置による燃料噴出量が決定される。この場合も燃料調整用ねじ部材18を図の矢印Fに示されるように軸線方向に螺進螺退させることにより、レバー部材4の軸線方向位置を変更可能であり、それにより弁軸3bを図の矢印Bに示されるように軸線方向に変位させて、始動操作時の燃料ノズル7の噴出口7aの開度に対応する燃料噴出量を任意に調整することができる。
【0031】
これにより、開弁量及び燃料噴出量を任意に調整可能であり、始動操作時の開弁量や燃料噴出量が1段または多段に設定可能とした気化器に対して、より一層細かな開弁量及び燃料噴出量の設定が可能になるため、種々の環境に対応でき、始動操作性を向上し得る。また、それぞれを別々に調整可能であることから、組み合わせも多様化し、より一層きめ細かな設定が可能である。
【0032】
なお、始動完了後には、通常の操作を行うべく操作ケーブル13によりレバー部材4を図6に示されるように開弁方向に回転させることにより、燃料調整用ねじ部材16と係合凹部19の壁19aとの係合が解除されるため、操作部材15は圧縮コイルばね17の弾発付勢力により図の矢印Gに示されるように待機位置(図1〜図3)に戻り、その後の通常の運転操作に対して操作部材15が干渉することはない。このようにして解除手段が構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用された例えば汎用小型内燃機関に適するロータリスロットルバルブ式気化器の要部を通るように破断した要部破断正面図である。
【図2】図1の矢印II線から見た上面図である。
【図3】待機位置おける操作部材とレバー部材との関係を示す要部破断平面図である。
【図4】始動操作位置における開弁状態を併せて示す図3に対応する図である。
【図5】始動操作位置における操作部材とレバー部材との関係を示す要部破断側面図である。
【図6】始動後の開弁状態における図3に対応する図である。
【符号の説明】
【0034】
1 気化器本体
2 吸気道
3 回動弁体、3b 弁軸
4 レバー部材
5 蓋体
7 燃料ノズル、7a 噴出口
8 燃料調整針弁
14 支持体、14a 支持孔
15 操作部材、15a 斜面部
16 開度調整用ねじ部材
18 燃料調整用ねじ部材
19 係合凹部
20 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器本体に設けられた吸気道に交差する軸線回りに回転することにより当該吸気道を開閉弁しかつ当該軸線方向に変位することにより燃料噴出量が変化するように設けられたロータリ絞り弁を有し、前記ロータリ絞り弁は前記燃料噴出量を最小とする向きに弾発付勢され、始動時に前記ロータリ絞り弁を前記弾発付勢力に抗して軸線方向に所定量変位させると共に軸線回りに回転させるための始動装置を設けたロータリ絞り弁式気化器の始動装置であって、
前記始動装置が、前記気化器本体の外方にて前記ロータリ絞り弁と一体に回転するように設けられたレバー部材と、前記レバー部材に対して直線運動にて接離するように前記気化器本体に支持された操作部材と、前記操作部材を前記レバー部材側に変位させた始動操作位置に保持する保持手段と、前記操作部材の前記保持状態を解除する解除手段とを有し、
前記レバー部材と前記操作部材との間に、前記操作部材の前記始動操作位置に至る動きにより、前記燃料噴出量を一定量増大させるように前記ロータリ絞り弁を軸線方向変位させる第1カム手段と、前記吸気道の開度を一定量増大させるように前記ロータリ絞り弁を回転させる第2カム手段とを有し、
前記操作部材と前記レバー部材との間に、前記ロータリ絞り弁の軸線方向の変位量を調整する変位量調整手段と、前記ロータリ絞り弁の回転方向の角度を調整する回転角度調整手段とが設けられていることを特徴とするロータリ絞り弁式気化器の始動装置。
【請求項2】
前記変位量調整手段及び前記回転角度調整手段の少なくとも一方が、前記操作部材および前記レバー部材の一方に先端を当接させるように他方にねじ込まれたねじ部材を有することを特徴とする請求項1に記載のロータリ絞り弁式気化器の始動装置。
【請求項3】
前記操作部材を前記レバー部材側とは相反する向きに弾発付勢する操作部材戻しばねが設けられていると共に、
前記操作部材を前記弾発付勢力に抗して所定の待機位置に止めるべく、前記操作部材にねじ込まれた前記ねじ部材が前記気化器本体の一部に衝当するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロータリ絞り弁式気化器の始動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−31858(P2008−31858A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203099(P2006−203099)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(390008877)日本ウォルブロー株式会社 (39)