説明

ロータリ耕耘装置

【課題】 ロータリ耕耘装置を持ち上げたとき、弾性カバー部材の左右両端側が耕耘爪に接触したり、耕耘爪に巻き込まれる不都合を解消する。
【解決手段】 耕耘爪軸3の上方を覆うロータリカバー5の後端部に、シート状の弾性カバー部材7を吊設したロータリ耕耘装置1において、弾性カバー部材7の上下方向中間位置に、当該弾性カバー部材7の前方への折れ曲がりを抑制する折曲抑制部材12を設ける。
また、折曲抑制部材12は、弾性カバー部材7の表裏いずれか一方に取付けるものとし、コストダウンを図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型耕耘機などに設けられるロータリ耕耘装置に係り、特に、ロータリカバーの後端部に、シート状の弾性カバー部材を吊設したロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘爪軸の上方を覆うロータリカバーの後端部に、シート状の弾性カバー部材を吊設したロータリ耕耘装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の弾性カバー部材は、硬質の板材で構成されるカバー部材に比べ、コスト的に有利なだけでなく、アタッチメントの装着に際し、容易に捲り上げられるという利点がある。
【特許文献1】実開昭57−82102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように設けられた弾性カバー部材は、ロータリ耕耘装置を持ち上げたとき、左右両端側が前方に折れ曲がって耕耘爪に接触したり、耕耘爪に巻き込まれる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、耕耘爪軸の上方を覆うロータリカバーの後端部に、シート状の弾性カバー部材を吊設したロータリ耕耘装置において、前記弾性カバー部材の上下方向中間位置に、当該弾性カバー部材の前方への折れ曲がりを抑制する折曲抑制部材を取付けたことを特徴とする。このようにすれば、ロータリ耕耘装置を持ち上げても、弾性カバー部材の前方への折れ曲がりが抑制されるので、弾性カバー部材の左右両端側が耕耘爪に接触したり、耕耘爪に巻き込まれる不都合を解消することができる。
また、前記折曲抑制部材は、前記弾性カバー部材の表裏いずれか一方に取付けられることを特徴とする。このようにすれば、折曲抑制部材を弾性カバー部材の表裏両方に取付ける場合に比べ、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図3において、1は歩行型耕耘機に設けられるロータリ耕耘装置であって、該ロータリ耕耘装置1は、センターケース(ミッションケース)2と、該センターケース2から左右に突出する耕耘爪軸3と、該耕耘爪軸3に装着される複数の耕耘爪4と、耕耘爪軸3の上方を覆う側面視円弧状のロータリカバー5と、該ロータリカバー5の左右両端部に設けられ、耕耘爪軸3の側方を覆うサイドカバー6と、ロータリカバー5の後端部に吊設されるシート状の弾性カバー部材7と、ロータリ耕耘装置1の耕耘深さを規定する尾輪8とを備えて構成されている。
【0006】
弾性カバー部材7は、弾性(可撓性)を有するゴムシートなどを用いて形成されており、その上端部は、ロータリカバー5の後端部と、ここにボルト固定される固定板9とによって挟持状に支持されている。このように設けられた弾性カバー部材7は、耕耘爪軸3の後方を覆うことにより、耕耘土の後方への飛散を防止することができ、また、硬質の板材で構成されるカバー部材に比べ、コスト的に有利なだけでなく、アタッチメントの装着に際し、容易に捲り上げられるという利点がある。
【0007】
尾輪8は、ロータリカバー5の後端部中央から下方に突出する伸縮ロッド10の下端部に回転自在に設けられている。伸縮ロッド10の上端部には、高さ調節ハンドル11が設けられており、この高さ調節ハンドル11を回し操作することにより、伸縮ロッド10が伸縮し、尾輪8の高さが調節される。
【0008】
弾性カバー部材7は、尾輪8の後方に吊設されているため、通常は、尾輪8との接当により前方への揺動が規制され、耕耘爪4に接触することはないが、ロータリ耕耘装置1を持ち上げたり前傾させた場合には、弾性カバー部材7の左右両端側が前方に折れ曲がって耕耘爪4に接触したり、耕耘爪4に巻き込まれる可能性があった。
【0009】
このような問題を解決するために、本発明のロータリ耕耘装置1では、弾性カバー部材7の上下方向中間位置に、当該弾性カバー部材7の前方への折れ曲がりを抑制する折曲抑制部材12が取付けてある。具体的に説明すると、折曲抑制部材12は、弾性カバー部材7よりも硬質で、かつ、所定の長さ寸法(好ましくは、弾性カバー部材7の幅寸法と略一致)を有する板状部材や棒状部材で形成され、弾性カバー部材7の上下方向中間位置に左右方向を向いて取付けられる。このようにすれば、ロータリ耕耘装置1を持ち上げても、弾性カバー部材7の左右両端側が前方に折れ曲がることが抑制されるので、弾性カバー部材7が耕耘爪4に接触したり、耕耘爪4に巻き込まれる不都合を解消することができる。
【0010】
折曲抑制部材12は、弾性カバー部材7の表裏いずれか一方に取付けることが好ましい。このようにすれば、折曲抑制部材12を弾性カバー部材7の表裏両方に取付ける場合に比べ、コストダウンを図ることができる。本実施形態では、長尺板材からなる折曲抑制部材12を、弾性カバー部材7の表面(後面)に沿わせ、これを複数のボルト13及びナット14、15を用いて弾性カバー部材7に固定している。
【0011】
図4に示すように、ボルト13は、折曲抑制部材12及び弾性カバー部材7を後方から貫通しており、ボルト13に螺合する二つのナット14、15を締め込むことにより、折曲抑制部材12が弾性カバー部材7に固定される。このとき、ボルト13の頭部13aとナット14の間に隙間を設け、ボルト13の軸部13b及び頭部13aを後方に突出させている。
【0012】
一方、弾性カバー部材7の下端部には、係合孔7aが形成されている。係合孔7aは、ボルト13の頭部13aよりも大径な丸孔部と、該丸孔部から下方に向かって連続的に形成される長孔部(ボルト13の頭部13aよりも幅狭)とを有する。つまり、弾性カバー部材7の下端側を捲り上げ、係合孔7aの丸孔部をボルト13の頭部13aに差し込み、その後、係合孔7aの長孔部をボルト13の軸部13bに係合させると、弾性カバー部材7の下端側がボルト13で係合保持され、折畳み状態を維持する。これにより、折曲抑制部材12のボルト13を利用して、弾性カバー部材7の高さ調整(長さ調整)を行うことが可能になる。
【0013】
叙述の如く構成された本実施形態のものは、耕耘爪軸3の上方を覆うロータリカバー5の後端部に、シート状の弾性カバー部材7を吊設したロータリ耕耘装置1であって、弾性カバー部材7の上下方向中間位置に、当該弾性カバー部材7の前方への折れ曲がりを抑制する折曲抑制部材12が取付けられているので、ロータリ耕耘装置1を持ち上げても、弾性カバー部材7の前方への折れ曲がりが抑制される。これにより、弾性カバー部材7の左右両端側が耕耘爪4に接触したり、耕耘爪4に巻き込まれる不都合を解消することができる。
【0014】
また、折曲抑制部材12は、弾性カバー部材7の表裏いずれか一方に取付けられるので、折曲抑制部材12を弾性カバー部材7の表裏両方に取付ける場合に比べ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ロータリ耕耘装置の側面図である。
【図2】ロータリ耕耘装置の要部側面図である。
【図3】ロータリ耕耘装置の要部平面図である。
【図4】弾性カバー部材の要部側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ロータリ耕耘装置
3 耕耘爪軸
4 耕耘爪
5 ロータリカバー
6 サイドカバー
7 弾性カバー部材
7a 係合孔
8 尾輪
12 折曲抑制部材
13 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪軸の上方を覆うロータリカバーの後端部に、シート状の弾性カバー部材を吊設したロータリ耕耘装置において、前記弾性カバー部材の上下方向中間位置に、当該弾性カバー部材の前方への折れ曲がりを抑制する折曲抑制部材を取付けたことを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記折曲抑制部材は、前記弾性カバー部材の表裏いずれか一方に取付けられることを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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