説明

ローダ作業機の作業具装着装置

【課題】 アクチュエータを取り外してから手動レバーで揺動部材を簡単かつ楽に揺動できるようにする。
【解決手段】 装着体51の背面に連結部56と下装着受部54とにラッチ57を貫通して作業具6の離脱を阻止するロック機構58を設ける。ロック機構58は、装着体51の背面に揺動自在に設けた左右揺動部材60と、この各揺動部材60の揺動によりラッチ57を上下動させる連動手段61と、左右揺動部材60を同時に揺動するアクチュエータ62と有する。左右各揺動部材60に、アクチュエータ62に寄り添いかつ揺動部材60の揺動に伴いアクチュエータ62と共に移動する不使用状態Sと、アクチュエータ62を取り外した後に揺動部材60に対して不動にして揺動部材60を手動で揺動する使用状態Pとに切換え可能な手動レバー63を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックローダ、スキッドローダ等のローダ作業機の作業具装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術においては、特許文献1に、「アタッチメント(24)をローダーアーム(10)のアタッチメント取付けフレーム(12)へ掛け止めする、動力作動装置であって、非掛け止め装置から掛け止め位置まで移動する掛け止め部材(34)であって、該掛け止め部材は、前記アタッチメント(24)を掛け止め位置にてアタッチメント取付けフレーム(12)へ保持する前記掛け止め部材(34)と、前記アタッチメント取付けフレーム(12)上の第1の枢着点(53,55)に回動可能に取り付けられた回動レバー(52,54)であって、該掛け止め部材(34)が第1の枢着点(53、55)から離間した第2の枢着点(57)において前記レバー(52,54)に回動可能に取り付けられている、ような前記回動レバー(52,54)とを備える、前記動力作動装置にして、該動力作動装置は、前記アタッチメント取付けフレーム(12)に取付けられかつ前記レバー(52,54)の前記第1の枢着点(53,55)から離間した部分に接続された伸張可能且つ縮退可能な部材(62)を具備し、該伸張可能且つ縮退可能な部材(62)が、動力による作動の下、前記レバー(52,54)を第1の枢着点(53,55)のまわりに回動させて、前記掛け止め部材(34)をその掛け止め位置と非掛け止め位置との間で駆動することを特徴とする動力作動装置。(特許請求の範囲の請求項1)」が開示されている。
【特許文献1】特許第3589411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、回動レバーに掛け止め部材と伸張可能且つ縮退可能な部材とを枢支連結し、この回動レバーに手動ハンドル部分を一体成形しており、伸張可能且つ縮退可能な部材による駆動ができないとき、又は駆動しないときに、前記手動ハンドル部分を持って回動レバーを手動揺動することはできるが、前記伸張可能且つ縮退可能な部材を連結したままであると、手動ハンドル部分が把持し難く、また手動揺動が重くなるという問題が生じる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたローダ作業機の作業具装着装置を提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、アクチュエータに寄り添う不使用状態と、アクチュエータを取り外して揺動部材に対して固定する使用状態とに切換え可能な手動レバーを前記揺動部材に設けることにより、手動レバーで揺動部材を簡単かつ楽に揺動できるようにしたローダ作業機の作業具装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、作業具6の背面に上掛止部53と下装着受部54とをそれぞれ設け、アーム5の先端に設けた装着体51に前記上掛止部53を掛止する係合部55と前記下装着受部54に対向する連結部56とをそれぞれ設け、前記装着体51の背面に連結部56と下装着受部54とにラッチ57を貫通して作業具6の離脱を阻止するロック機構58を設けており、
前記ロック機構58は、前記装着体51の背面に揺動自在に設けた左右一対の揺動部材60と、この左右各揺動部材60の揺動により前記左右各ラッチ57を上下動させる連動手段61と、左右両揺動部材60に連結されていて左右ラッチ57を同一方向に移動させるべく左右両揺動部材60を同時に揺動するアクチュエータ62と有しており、
前記左右各揺動部材60に、前記アクチュエータ62に寄り添いかつ揺動部材60の揺動に伴いアクチュエータ62と共に移動する不使用状態Sと、前記アクチュエータ62を取り外した後に揺動部材60に対して不動にして揺動部材60を手動で揺動する使用状態Pとに切換え可能な手動レバー63を設けていることを特徴とする。
【0006】
第2に、前記連動手段61は前記ラッチ57と揺動部材60とを連結するリンク61aで形成され、前記左右各揺動部材60の揺動軸60Aからアクチュエータ62の左右各端部を連結している連結ピン62Aまでの距離L1は、揺動軸60Aから前記リンクの連結点61Aまでの距離L2より長いことを特徴とする。
第3に、前記左右各揺動部材60にアクチュエータ62の左右各端部を連結している連結ピン62Aに前記手動レバー63を連結しており、この手動レバー63には前記連結ピン62Aから離れた位置に、不使用状態Sでアクチュエータ62の左右各端部に係合しかつ使用状態Pで揺動部材60と係合する係合部材64を設けていることを特徴とする。
【0007】
第4に、前記装着体51の背面にアクチュエータ62及び揺動部材60を覆うカバー65を設けていることを特徴とする。
[作用]
前記特徴を有するローダ作業機の作業具装着装置は次のような作用を奏する。
作業具6の背面の上掛止部53にアーム5の先端に設けた装着体51の係合部55を掛止し、作業具6の下装着受部54に装着体51の連結部56を対向させ、前記連結部56と下装着受部54とにロック機構58のラッチ57を貫通させ、装着体51に対して作業具6の装着してその離脱を阻止する。
【0008】
前記ロック機構58は、アクチュエータ62を伸張させることにより、左右揺動部材60が同時に揺動して連動手段61を介して左右各ラッチ57を下動させ、連結部56内から下方に突出して下装着受部54に挿入される。アクチュエータ62を収縮させることにより、左右揺動部材60が左右各ラッチ57を上動させ、ラッチ57を下装着受部54内から退避させる。
前記左右各揺動部材60は連結ピン62Aを介してアクチュエータ62の左右各端部と手動レバー63とを連結しており、この手動レバー63には前記連結ピン62Aから離れた位置に係合部材64が設けられている。
【0009】
アクチュエータ62で揺動部材60を強制揺動するときには、係合部材64がアクチュエータ62に係合していて、アクチュエータ62に寄り添いかつ揺動部材60の揺動に伴いアクチュエータ62と共に移動する。この状態が手動レバー63の不使用状態Sとなる。
アクチュエータ62が故障等で使用できなく、揺動部材60を手動揺動するときには、前記アクチュエータ62を取り外した後に、手動レバー63の係合部材64を揺動部材60に係合させる。手動レバー63は揺動部材60に連結ピン62Aでも連結されていて、揺動部材60に対して不動となり、揺動部材60を揺動軸60A廻りに揺動させることが可能になる。この状態が手動レバー63を介して揺動部材60を手動で揺動する使用状態Pとなる。
【0010】
左右各揺動部材60の揺動軸60Aからアクチュエータ62の左右各端部を連結している連結ピン62Aまでの距離L1は、揺動軸60Aから連動手段61を形成するリンクの連結点61Aまでの距離L2より長く、アクチュエータ62で駆動するときはもとより、手動レバー63を介して手動で揺動するときも、揺動部材60を軽く揺動することができる。
装着体51の背面にアクチュエータ62及び揺動部材60を覆うカバー65を設けることにより、それらを上から落下してくる土砂から保護することができる。。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクチュエータを取り外してから手動レバーで揺動部材を簡単かつ楽に揺動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図9において、ローダ作業機1としてトラックローダを例示しており、このトラックローダ1は、機体フレーム4に左右一対の走行装置3を縣架し、機体フレーム4の後部に掘削作業、持ち上げ作業等を行うローダ作業装置2を装着するとともに、前上部に運転室を包囲するキャビン装置(運転者保護装置)7を搭載している。
機体フレーム4は鉄板等により構成され、左右側板、底板及び前板を有した箱形状のフレーム本体26と、このフレーム本体26の後端側に溶着された左右一対の箱形状の支持枠体27とを備え、フレーム本体26上にエンジン及び油圧ポンプを搭載し、左右支持枠体27にローダ作業装置2の基部側を支持している。
【0013】
左右各走行装置3は、フレーム本体26に油圧式の走行モータとトラックフレーム28とを固定し、走行モータの駆動軸29に駆動輪30を装着し、トラックフレーム28に前後従動輪31、32と複数の転輪33とを支持し、これら駆動輪30、前後従動輪31、32及び複数の転輪33にクローラ34を巻き掛けて構成されている。
前記走行装置3の上方及び後方を覆うフェンダ35は、フレーム本体26の左右側板に溶着されており、これらフェンダ35及びフレーム本体26の側板に箱形状の支持枠体27が溶着されている。前記トラックフレーム28はフレーム本体26の左右側板に溶着されるか又はボルト固定されている。
【0014】
ローダ作業装置2は、左右各支持枠体27に支持リンク37とコントロールリンク38の各基部が枢支され、支持リンク37とコントロールリンク38の各自由端にアーム5の基部側が枢支連結され、左右アーム5の先端にバケット等の作業具6が枢支連結されており、前記アーム5はアームシリンダ39によって上下動自在とされ、作業具6は作業具シリンダ40によって上下動(掬い・ダンプ動作)自在とされている。
前記支持リンク37とアームシリンダ39の各基部は箱形状の支持枠体27内に挿入されている。
【0015】
前記支持リンク37の基部はトラックローダ1の全高の略半分の高さに位置する支持軸41を介して支持枠体27の後上部に支持され、コントロールリンク38の基部は支持枠体27の前端(機体フレーム4の前後方向中途部)でかつ支持軸41と略同じか又は若干高い位置でリンク軸42を介して支持され、アームシリンダ39の基部は駆動軸29より低い機体フレーム4の底部近くでかつ支持軸41より若干前側に位置するシリンダ軸43を介して支持されている。
左右一対のアーム5は先端(前端)が異形パイプで形成された連結部材44により、基部側(後部)が連結ロッド45によりそれぞれ連結されており、この連結ロッド45より後端側で前記支持リンク37の自由端(上部)と支持ピン46を介して連結され、連結ロッド45より前側でアームシリンダ39の自由端(上部)とシリンダピン47を介して連結され、支持ピン46とシリンダピン47との間で左右各アーム5の内壁が外壁より下方に突出していて、その突出部5aにリンクピン48を介してコントロールリンク38の自由端が連結されている。
【0016】
前記支持ピン46に対して連結ロッド45及びシリンダピン47は前方側へ略直線的に並べられ、支持ピン46及びシリンダピン47に対してリンクピン48は三角配置されている。
左右アーム5は先端近傍が下向きに屈曲されており、この先端には作業具6を着脱自在に装着する装着体51の下部が横軸50を介して枢支され、この装着体51の上下方向中途部に、左右アーム5に設けた作業具シリンダ40のシリンダロッドが連結ピン52を介して連結され、前記作業具シリンダ40の伸縮作動によって装着体51が上下動自在になっている。
【0017】
作業具6は背面に上掛止部53と下装着受部54とをそれぞれ有し、前記装着体51には、作業具6の上掛止部53を掛止する係合部55と、下装着受部54に対向する連結部56とがそれぞれ設けられ、さらに、係合部55を上掛止部53に掛止しかつ連結部56を下装着受部54に対向させた状態で、連結部56と下装着受部54とにラッチを挿脱自在に貫通して、装着体51に対する作業具6の装着状態をロックするロック機構8(図1〜9に示す。)が設けられている。
前記ローダ作業装置2は、図9に示す作業具6が接地した状態が掘削作業状態である。この掘削作業状態では、左右アーム5が最下姿勢にあって、コントロールリンク38がリンク軸42から緩やかに尻上がりの姿勢となり、連結部材44が機体フレーム4の前面に設けたストッパ4Aに当接しており、前進して作業具6で土砂に突っ込み、その衝撃を機体フレーム4で受けるようになっている。
【0018】
前記掘削作業状態からアームシリンダ39を伸張することにより、支持リンク37の前後揺動を伴いながらアーム5が基部側を中心にして前部側が上昇し、作業具6で掬った土砂を持ち上げる。
コントロールリンク38は支持リンク37とともに4節リンク機構を構成していて、アーム5の上昇姿勢を制御する。前記支持リンク37は最後方へ揺動してもその上端の後端はローダ作業機1の背面と略面一になって、後方へ突出しないようになっており、コントロールリンク38は揺動可能角度が90度より小さく、アーム5が最上姿勢になったときでも垂直姿勢より若干後傾斜した姿勢となり、アーム5にかかる荷重を十分に支持できるようになっている。
【0019】
アームシリンダ39はアーム5が最下姿勢にあるとき、コントロールリンク38と交差し、アーム5と略直交する姿勢にあり、最下姿勢から上昇するときに最大揚力を発揮できるように設定されている。
キャビン装置7は、左右アーム5間でかつ機体フレーム4のフレーム本体26上に搭載されており、エンジンの上方で左右支持枠体27の上部を連結している連結部材70の上面にステー71を設け、キャビン装置7の背面にブラケット72を設け、このブラケット72をステー71に横ピン73を介して枢支している。
【0020】
キャビン装置7はその後部と支持枠体27との間にダンパを設けており、機体フレーム4内のメンテナンスをするときは、前記横ピン73廻りに前部を持ち上げるように回動される。
キャビン装置7は左右一対のキャビン枠10間に固定の屋根11、上下方向に開閉可能な前窓及び上軸廻り開閉可能な背窓を形成し、左右各キャビン枠10内に上半分が引き戸で下半分が嵌め殺しの側窓14を形成している。
前記左右のキャビン枠10、側窓14及び背窓の下部にフロアシート75を有する下部構成部材を取り付け、前記フロアシート75の後部を立ち上がらせてキャビン装置7の背面の下半分を構成しており、このフロアシート75上に運転席77を搭載している。
【0021】
図1〜9に基づいて作業具装着装置を詳述する。
作業具6はバケットを例示しており、土砂を掬い可能に形成したバケット部材6Aの前端に爪部材6Bを、後上部に上補強材6Cを、後下部に下補強材6Dをそれぞれ固着し、それらの左右側端に側部材6Eを固着して形成されている。
前記上補強材6Cは板金を断面山形に屈曲したのもであり、バケット部材6Aの上縁に接合された上部からさらに後下向きに屈曲し、その下面側に上補助板6Fを固着して前記上掛止部53を形成している。
【0022】
前記上補強材6Cは上掛止部53が左右全長であっても、左右両側のみであってもよく、左右方向中央には、運転者が機体フレーム4に乗降するときに使用可能なステップ体80が設けられている。
前記下補強材6Dは板金を断面L字形に屈曲したのもであり、その背面側に後下向き傾斜した下補助板6Gを固着して前記下装着受部54を形成している。
装着体51は平板51Aの左右各側部背面に左右一対の平行板からなる取付ブラケット51Bを固着しており、平板51Aの左右両側上部を上方突出して、その突出部を後方突出状の断面くの字状に屈曲して前上向き傾斜の係合部55を形成し、平板51Aの下部を後下向き傾斜して連結部56を形成している。
【0023】
前記取付ブラケット51Bはアーム5の先端の横軸50と作業具シリンダ40の連結ピン52とを貫通支持しており、左右取付ブラケット51Bの対向内面側には筒材で形成されたホルダ81が固着され、このホルダ81は平板51Aにも固着され、その内部にロック機構8のラッチ57が上下移動自在に挿入されている。
前記装着体51は係合部55を作業具6の上掛止部53に下方から掛止し、その状態で装着体51を上昇させると、作業具6が係合部55廻りに回動し、連結部56に下装着受部54が対向するようになる。この対向状態で互いに連通する孔54a、56aが連結部56と下装着受部54とに形成されており、この連通する孔54a、56aにラッチ57を挿脱自在に貫通して、装着体51に対する作業具6の装着状態をロックする。
【0024】
前記ラッチ57は下装着受部54の孔54aに貫通し易くするために、下端が楔形状に形成されている。なお、前記ホルダ81を連結部56の下面まで延設し、その内部孔を前記連通する孔56aとしてもよい。
前記ロック機構58は、装着体51の背面に揺動軸60Aを介して揺動自在に設けた左右一対の揺動部材60と、この左右各揺動部材60の揺動により前記左右各ラッチ57を上下動させる連動手段61と、左右両揺動部材60に連結されていて左右ラッチ57を同一方向に移動させるべく左右両揺動部材60を同時に揺動するアクチュエータ62と有し、さらに左右各揺動部材60にはこれを手動で揺動するための手動レバー63が設けられている。
【0025】
前記揺動軸60Aは装着体51の背面に固着の軸ステー82に植設されており、各揺動部材60はこの揺動軸60Aに揺動自在に支持されている。
揺動部材60は背面視略三角形の板材で形成され、揺動軸60Aを頂点とする三角配置の他の2頂点位置に、アクチュエータ62の端部を連結している連結ピン62Aと、ピンを挿入可能な孔で形成された係合部60aとが設けられている。また、揺動軸60Aと連結ピン62Aとの間に、連動手段61の連結点61Aが設けられている。
従って、前記揺動部材60の揺動軸60Aからアクチュエータ62の端部を連結している連結ピン62Aまでの距離L1は、揺動軸60Aから前記連動手段61の連結点61Aまでの距離L2より長く設定されている。
【0026】
前記連動手段61はラッチ57と揺動部材60とを連結するリンク61aで形成され、このリンク61aは下端がラッチ57の上部とピン連結され、上端に位置調整ナット84が設けられ、この位置調整ナット84の近傍でリンク支持体83に長手方向摺動自在に支持され、前記リンク支持体83とリンク61a下部との間には付勢部材(コイルスプリング)85が嵌装されている。
前記リンク支持体83に形成した軸部が前記揺動部材60に回動自在に支持されて前記連結点61Aを形成しており、このリンク支持体83の連結点61Aとラッチ57とのピン連結点までが伸縮可能なリンクとなっており、図1、8に実線で示す揺動部材60を時計方向に揺動することによりラッチ57を引き上げ、2点鎖線で示す揺動部材60を反時計方向に揺動することにより付勢部材85を介してリンク61aを下向きに弾圧し、弾圧力でラッチ57を下方移動させる。このとき、アクチュエータ62は水平姿勢のまま上下に平行移動する。
【0027】
なお、ラッチ57の下降を邪魔する引っ掛かりがあると、付勢部材85が圧縮されるだけで、ラッチ57が強制下降されることが回避される。
アクチュエータ62は1本の油圧シリンダで形成され、シリンダロッドの先端とシリンダチューブの基端とにそれぞれ連結金具87が取り付けられ、この連結金具87には長手方向2カ所にピン孔87a、87bが形成され、先端側のピン孔87aが連結ピン62Aに嵌合して着脱自在に連結されている。
連結ピン62Aは図6、7に示すように、揺動部材60に植設されており、前記連結金具87と手動レバー63とを同時に嵌合可能な長さに形成され、両者を同時に嵌合したときに抜け止めをする抜け止めピン88を挿入する孔62aと、手動レバー63のみを嵌合したときに抜け止めをする抜け止めピン88を挿入する孔62bとが形成されている。
【0028】
手動レバー63は帯板を肉厚方向にS字形状に折曲したものであり、先端に前記連結ピン62Aに嵌合する嵌合孔63aが形成され、その近傍にはピン形状の係合部材64が設けられている。
なお、前記手動レバー63は帯板を幅方向にS字形状に折曲して、嵌合孔63a及び係合部材64した側より握り部が上側になるように形成してもよい。
前記係合部材64は揺動部材60の係合部60aと連結金具87のピン孔87bとに択一的に挿入可能であり、手動レバー63の板面からの突出長さは連結金具87の幅に略等しく設定されている。
【0029】
連結金具87が先端側のピン孔87aを介して連結ピン62Aに嵌合しているとき、手動レバー63の係合部材64はピン孔87bのみに挿入され、揺動部材60の係合部60aには挿入されることはなく、手動レバー63はアクチュエータ62に寄り添った状態で一体的に移動し、係合部材64とは相対回動する。このとき抜け止めピン89を連結金具87と係合部材64とを貫通している。
即ち、手動レバー63は、アクチュエータ62に寄り添いかつ揺動部材60の揺動に伴いアクチュエータ62と共に水平姿勢で平行移動する不使用状態Sとなる。
【0030】
アクチュエータ62を外したときは、連結金具87が存在しないので、手動レバー63の係合部材64は揺動部材60の係合部60aに挿入され、手動レバー63は揺動部材60と密接して一体ものとなり、手動レバー63で揺動部材60を手動揺動可能になる。このとき、抜け止めピン88を連結ピン62Aの孔62bに貫通し、抜け止めピン89を揺動部材60から突出している係合部材64の先端に貫通して、係合部材64の抜け止めをする。
即ち、手動レバー63は、アクチュエータ62を取り外した後、揺動部材60に対して不動状態にして揺動部材60を手動で揺動する使用状態Pとなり、前記不使用状態Sから使用状態Pに切換え使用ができる。
【0031】
前記装着体51の背面には揺動部材60、連動手段61、アクチュエータ62及び手動レバー63等を覆うカバー65が設けられている。このカバー65はアクチュエータ62を外すときは装着体51から取り外されれる。
前記揺動部材60には、ラッチ57を下降させたときに左右取付ブラケット51Bの対向内面に当接するストッパ突起60cと、ラッチ57を上昇させたときにカバー65に形成したスリットから上方に突出するゲージ突起60dとが設けられている。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜9に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0032】
例えば、ローダ作業機1は走行装置3をタイヤ車輪で構成したスキッドローダでもよく、キャビン枠10は門型の前後下端間をパイプ材で連結してもよく、ストッパ突起を設ける代わりに、ラッチ57の上部にホルダの上端と当接するフランジを設けてもよく、ゲージ突起は割愛してもよい。
作業具6はバケット以外の対地作業具でもよく、連動手段61は、ラッチ57に被係合突起を設け、揺動部材60に揺動時に前記被係合突起と係合してラッチ57を引き上げる係合部を設け、ラッチ57に下向き弾下する付勢部材85を設けて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の背面図である。
【図2】同要部の側面図である。
【図3】作業具装着時の背面図である。
【図4】作業具装着時の平面図である。
【図5】作業具離脱時の背面図である。
【図6】手動レバー不使用状態を示す平面説明図である。
【図7】手動レバー使用状態を示す平面説明図である。
【図8】ロック機構の分解説明図である。
【図9】本発明を適用可能なローダ作業機を示す全体側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ローダ作業機(トラックローダ)
2 ローダ作業装置
3 走行装置
4 機体フレーム
5 アーム
6 作業具
51 装着体
52 連結ピン
53 上掛止部
54 下装着受部
55 係合部
56 連結部
57 ラッチ
58 ロック機構
60 揺動部材
61 連動手段
62 アクチュエータ
63 手動レバー
64 係合部材
65 カバー
L 距離
S 不使用状態
P 使用状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業具(6)の背面に上掛止部(53)と下装着受部(54)とをそれぞれ設け、アーム(5)の先端に設けた装着体(51)に前記上掛止部(53)を掛止する係合部(55)と前記下装着受部(54)に対向する連結部(56)とをそれぞれ設け、前記装着体(51)の背面に連結部(56)と下装着受部(54)とにラッチ(57)を貫通して作業具(6)の離脱を阻止するロック機構(58)を設けており、
前記ロック機構(58)は、前記装着体(51)の背面に揺動自在に設けた左右一対の揺動部材(60)と、この左右各揺動部材(60)の揺動により前記左右各ラッチ(57)を上下動させる連動手段(61)と、左右両揺動部材(60)に連結されていて左右ラッチ(57)を同一方向に移動させるべく左右両揺動部材(60)を同時に揺動するアクチュエータ(62)と有しており、
前記左右各揺動部材(60)に、前記アクチュエータ(62)に寄り添いかつ揺動部材(60)の揺動に伴いアクチュエータ(62)と共に移動する不使用状態(S)と、前記アクチュエータ(62)を取り外した後に揺動部材(60)に対して不動にして揺動部材(60)を手動で揺動する使用状態(P)とに切換え可能な手動レバー(63)を設けていることを特徴とするローダ作業機の作業具装着装置。
【請求項2】
前記連動手段(61)は前記ラッチ(57)と揺動部材(60)とを連結するリンク(61a)で形成され、前記左右各揺動部材(60)の揺動軸(60A)からアクチュエータ(62)の左右各端部を連結している連結ピン(62A)までの距離(L1)は、揺動軸(60A)から前記リンクの連結点(61A)までの距離(L2)より長いことを特徴とする請求項1に記載のローダ作業機の作業具装着装置。
【請求項3】
前記左右各揺動部材(60)にアクチュエータ(62)の左右各端部を連結している連結ピン(62A)に前記手動レバー(63)を連結しており、この手動レバー(63)には前記連結ピン(62A)から離れた位置に、不使用状態(S)でアクチュエータ(62)の左右各端部に係合しかつ使用状態(P)で揺動部材(60)と係合する係合部材(64)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローダ作業機の作業具装着装置。
【請求項4】
前記装着体(51)の背面にアクチュエータ(62)及び揺動部材(60)を覆うカバー(65)を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のローダ作業機の作業具装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−65439(P2010−65439A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232312(P2008−232312)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】