説明

ロードセル装置

【課題】歪検出部の小型軽量化を実現したロードセル装置を低コストで提供することである。
【解決手段】荷重を受ける本体部20に、前記荷重による歪を検出する本体部20とは別体の歪検出部10を本体部20に固定して設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロードセル装置の本体部は、外円筒部と、内円筒部と、外円筒部と内円筒部とを接続する環状の変位発生部とを一体に有し、また、歪を検出する歪検出部は、変位発生部上に一体に設けられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−325094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のロードセル装置では、歪を検出する歪検出部と荷重を受ける本体部とが一体部品であるため、ロードセル装置の製作過程において、常に重量のかさむ本体部を中心に作業を行わねばならず、扱いづらいので時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
また、この従来のロードセル装置では、サイズが大きいので在庫するにも保管スペースを広く必要とし、保管が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、歪検出部の小型軽量化を実現したロードセル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、荷重を受ける本体部に、前記荷重による歪を検出する前記本体部とは別体の歪検出部を前記本体部に固定して設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロードセル装置において、前記本体部が外円筒部と、内円筒部と、前記外円筒部と前記内円筒部とを接続する環状の変位発生部とから成り、前記歪検出部は前記外円筒部と前記内円筒部とに固定されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のロードセル装置において、前記歪検出部が、板部材に歪ゲージを配置して成ることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置において、前記歪検出部が、前記歪ゲージによって曲げ歪またはせん断歪を検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置において、前記本体部と前記歪検出部との固定を、ネジ、接着剤、溶接またはリベットのうちの1またはいずれかの組合せによって行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置において、前記変位発生部の断面がR形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、歪検出部を小型軽量化したロードセル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態のロードセル装置の平面図である。
【図2】図1に示したロードセル装置のII−II断面図である。
【図3】図1に示した歪検出部10を示す図であり、(a)は歪検出部10の平面図であり、(b)は歪検出部10の方向IIIBから見た側面図である。
【図4】図1に示したロードセル装置1の歪検出部10取り付け箇所を拡大して示す断面図であり、(a)はロードセル装置1に負荷がかかっていない状態を示す図であり、(b)はロードセル装置1の内円筒部4に負荷がかかっている状態を示す図である。
【図5】図1に示したロードセル装置1に取り付ける歪検出部の別の例を示す図であり、(a)は別の例の歪検出部の平面図であり、(b)は別の例の歪検出部の方向VBから見た側面図である。
【図6】図1に示したロードセル装置1に取り付ける歪検出部のさらに別の例を示す図であり、(a)はさらに別の例の歪検出部の平面図であり、(b)はさらに別の例の歪検出部の方向VIBから見た側面図である。
【図7】本発明によるロードセル装置の図1とは別の例を示す断面図である。
【図8】図1や図7に示した本発明によるロードセル装置1や101を射出成形機用ロードセル装置として用いる場合の構成を示す概略図であって電動射出成形機の射出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態のロードセル装置の平面図である。
【0017】
また、図2は、図1に示したロードセル装置のII−II断面図である。
【0018】
本実施の形態のロードセル装置1は、外円筒部2と、内円筒部4と、外円筒部2と内円筒部4とを接続する環状の変位発生部3とを一体にした本体部20と、本体部20の変位発生部3の歪を検出する歪検出部10とを有する。本実施の形態のロードセル装置1においては、本体部20(荷重を受ける部分)と歪検出部10とを別々の部品にしている。
【0019】
本実施の形態では、図1に示すように、環状の変位発生部3の周方向を等間隔に4等分する位置に4つの歪検出部10を設けている。ただし、歪検出部10の数は4つに限定されるものではなく、必要な数だけ適宜設けることができる。
【0020】
図2に示すように、本実施の形態では、内円筒部4の内周の直径はほぼ60mmであり、外円筒部2の外周の径はほぼ180mmである。また、外円筒部2の厚さはほぼ20mmであり、内円筒部4の厚さはそれよりやや薄くし、負荷がかかる側の反対側がややへこんだ形状にしている。変位発生部3は、変形しやすいように、外円筒部2や内円筒部4よりも厚さを薄くしている。
【0021】
図3は、図1に示した歪検出部10を示す図であり、(a)は歪検出部10の平面図であり、(b)は歪検出部10の方向IIIBから見た側面図である。
【0022】
歪検出部10は、曲げ型の金属製検出部であって、厚さほぼ0.5mmであって縦ほぼ10mmであり横ほぼ30mmの板状の基台11に歪ゲージ12を接着した部品である。図3(a)に示す例では、歪検出部10は、4個の歪検出素子から成る歪ゲージ12を基台11に接着してある。基台11の両端にはネジ止め用の貫通孔14aおよび14bを設けている。
【0023】
図4は、図1に示したロードセル装置1の歪検出部10取り付け箇所を拡大して示す断面図であり、(a)はロードセル装置1に負荷がかかっていない状態を示す図であり、(b)はロードセル装置1の内円筒部4に負荷がかかっている状態を示す図である。
【0024】
歪検出部10は、変位発生部3をまたぐように、その両端を外円筒部2の内周付近と内円筒部4の外周付近とに固定される。外円筒部2の内周付近にはネジ穴5aを設け、内円筒部4の外周付近にはネジ穴5bを設け、ネジ15aによって基台11の貫通孔14aをネジ穴5aにネジ止めし、ネジ15bによって基台11の貫通孔14bをネジ穴5bにネジ止めする。このように、歪検出部10は、ロードセル装置1の径方向に沿ってネジ固定される。このとき、歪ゲージ12を接着した基台11の面は、ロードセル装置1の負荷がかかる面と平行になる。
【0025】
なお、本体部20と歪検出部10との結合方法はネジ止めに限らず、例えば接着剤による接着、スポットレーザ溶接、リベットなどで結合することも可能である。
【0026】
ロードセル装置1では、ロードセル装置1が組み込まれる機械(図示せず)側に外円筒部2が固定された状態で内円筒部4に軸方向負荷が掛かると内円筒部4は負荷方向に移動し、変位発生部3が変形する(図4(b)参照)。このとき、その両端を外円筒部2の内周付近と内円筒部4の外周付近とに固定された歪検出部10も負荷に応じて変形する。このときの歪検出部10の変形は曲げ変形である。ロードセル装置1の周方向に4個配置した歪ゲージ12のそれぞれは4個の歪検出素子を有し、これら歪検出素子のグリッド方向がロードセル装置1の径方向になるように歪ゲージ12を配置している。ロードセル装置1では、歪ゲージ12の出力信号により、負荷を検出する。
【0027】
図5は、図1に示したロードセル装置1に取り付ける歪検出部の別の例を示す図であり、(a)は別の例の歪検出部の平面図であり、(b)は別の例の歪検出部の方向VBから見た側面図である。
【0028】
この図5で示す例の歪検出部110は、せん断型の検出部であって、厚さほぼ10mmであって縦ほぼ10mmであり横ほぼ30mmの四角柱状の基台111の一方側面に歪ゲージ112aを接着し、他方側面に歪ゲージ112bを接着した部品である。歪ゲージ112aおよび112bのそれぞれは、2個の歪検出素子から成る。
【0029】
基台111のほぼ中央には開口部116を設けており、これにより、歪ゲージ112aや112bを接着した面の厚さをほぼ0.5mmにしている。基台111の両端にはネジ止め用の貫通孔114aおよび114bを設けている。
【0030】
歪ゲージ112aおよび112bのそれぞれには歪検出素子が2個あり、そのグリッド方向が側面の辺に対して45°傾くように歪ゲージ112aおよび112bを配置している。
【0031】
歪検出部110は、図4(a)および(b)に示した歪検出部10と同様に、変位発生部3をまたぐように、その両端を外円筒部2の内周付近と内円筒部4の外周付近とに固定される。ネジ15aによって基台111の貫通孔114aをネジ穴5aにネジ止めし、ネジ15bによって基台111の貫通孔114bをネジ穴5bにネジ止めする。このように、歪検出部110は、ロードセル装置1の径方向に沿ってネジ固定される。
【0032】
取り付け固定後は、歪ゲージ112aや112bの接着面はロードセル装置1の軸方向と平行になり、歪ゲージ112aや112bを構成する歪検出素子のグリッドは軸方向に対して45°方向を向いている。そのため、ロードセル装置1に負荷が掛かったときには、せん断歪が検出される。せん断歪型の歪検出部は、曲げひずみ型の歪検出部と比べると、本体部20の変位が同じである場合、検出出力を大きく取ることができる。
【0033】
図6は、図1に示したロードセル装置1に取り付ける歪検出部のさらに別の例を示す図であり、(a)はさらに別の例の歪検出部の平面図であり、(b)はさらに別の例の歪検出部の方向VIBから見た側面図である。
【0034】
この図6の例の歪検出部210は、せん断型の検出部であって、厚さほぼ10mmであって縦ほぼ10mmであり横ほぼ30mmの四角柱部材の中央側面を両側から削り取った形状の基台211の一方側面に歪ゲージ212aを接着し、他方側面に歪ゲージ212bを接着した部品である。歪ゲージ212aおよび212bのそれぞれは、2個の歪検出素子から成る。
【0035】
四角柱部材の中央側面を両側から削り取ることによって、歪ゲージ212aおよび212bを接着した基台211の側面の厚さをほぼ1mmにしている。基台211の両端にはネジ止め用の貫通孔214aおよび214bを設けている。
【0036】
歪ゲージ212aおよび212bのそれぞれには歪検出素子が2個あり、そのグリッド方向が側面の辺に対して45°傾くように歪ゲージ212aおよび212bを配置している。
【0037】
歪検出部210は、図4(a)および(b)に示した歪検出部10と同様に、変位発生部3をまたぐように、その両端を外円筒部2の内周付近と内円筒部4の外周付近とに固定される。ネジ15aによって基台211の貫通孔214aをネジ穴5aにネジ止めし、ネジ15bによって基台211の貫通孔214bをネジ穴5bにネジ止めする。このように、歪検出部210は、ロードセル装置1の径方向に沿ってネジ固定される。
【0038】
取り付け固定後は、歪ゲージ212aや212bの接着面はロードセル装置1の軸方向と平行になり、歪ゲージ212aや212bを構成する歪検出素子のグリッドは軸方向に対して45°方向を向いている。そのため、ロードセル装置1に負荷が掛かったときには、せん断歪が検出される。
【0039】
この例では、図5(a)および(b)に示した例における開口部116が不要である。
【0040】
本発明によれば、ユーザ側でロードセル装置1の本体部20を作製すれば、歪検出部10のみを製品としてユーザに提供することができるので、ユーザ側がロードセル装置1を低コストで構成することができる。
【0041】
また本発明によれば、歪検出部10がネジ止めの場合は、歪検出部10の交換が可能になるので、歪検出部10が損傷しても新しいものと取り替えてロードセル装置1の本体部20をリサイクルすることができる。
【0042】
また本発明によれば、同じ歪検出部10を、サイズが異なるさまざまな本体部20に取り付けることが可能であるので、ロードセル装置のバリエーションを簡単に増やすことができる。
【0043】
また本発明によれば、歪ゲージ12を貼り付ける面を本体部20に仕上げなくとも良いので、本体部20の加工が容易になり、加工コストを削減することができる。
【0044】
また本発明のロードセル装置1の場合、歪検出部10は小型軽量なので、歪ゲージを接着する際の作業効率が良く、歪検出部10を在庫しておくことも容易となるので、結果的に、低コスト化と納期短縮が可能となる。また、ユーザ側からは、より低コストのロードセル装置が要望されているがそのニーズにも応えることができる。
【0045】
ところで、ロードセル装置1の本体部20は荷重を受けるので、一般的に、強度の高い材料(高価な材料)であることが必要である。これに対して、本発明によれば、歪検出部10は高い荷重は受けないので本体部20よりも安価な材料で構成することができる。
【0046】
また、ロードセル装置1の本体部20と歪検出部10との固定をネジ止めではなく接着、スポットレーザ溶接またはリベットで行う場合がある。接着の利点としては、本体部20、歪検出部10にネジ穴などの加工が不要である点、時間が経っても緩みがない点がある。スポットレーザ溶接の利点としては、本体部20、歪検出部10にネジ穴などの加工が不要である点、時間が経っても緩みがない点がある。リベットの利点としては、時間が経っても緩みがない点がある。
【0047】
図7は、本発明によるロードセル装置の図1とは別の例を示す断面図である。
【0048】
この例のロードセル装置101は、外円筒部102と、内円筒部104と、外円筒部102と内円筒部104とを接続する環状の変位発生部103とを一体にした本体部120と、本体部120の変位発生部103の歪を検出する歪検出部10とを有する。このロードセル装置101においても、本体部120(荷重を受ける部分)と歪検出部10とを別々の部品にしている。
【0049】
この例では、外円筒部102と内円筒部104とを接続する環状の変位発生部103の、図1におけるII−II断面で見たときの断面形状を図7のようなR形状(円弧形状)にする。すなわち、外円筒部102と内円筒部104と変位発生部103によって形成される周溝の底部がR形状になるようにすることによって、外円筒部102と変位発生部103および内円筒部104と変位発生部103の接続部における応力集中を緩和し、材料のグレードを低強度のものに下げることができる。
【0050】
次に、本発明の応用について説明する。本発明によるロードセル装置1や101は、たとえば射出成形機用ロードセル装置として用いることができる。
【0051】
図8は、図1や図7に示した本発明によるロードセル装置1や101を射出成形機用ロードセル装置として用いる場合の構成を示す概略図であって電動射出成形機の射出装置を示す断面図である。
【0052】
射出成形機用ロードセルは電動射出成形機の射出圧力等を計測制御する目的で使用される。
【0053】
図8の射出装置は、射出サーボモータ71とボールネジ72によって加熱シリンダ73内のスクリュ74を直線駆動すると共に回転サーボモータ75によってスクリュ74を回転駆動して、樹脂を可塑化計量して金型に充填する。
【0054】
可塑化中の背圧および充填圧力を計測制御するために、スクリュ74とボールネジ72との間にワッシャ型ロードセル76を配備している。上述の本発明によるロードセル装置1や101は、このワッシャ型ロードセル76として用いることができる。
【0055】
射出成形機を低コストにするために、低コストのロードセル装置が要望されている。本発明によれば、この要望に応えることが可能である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、実施の形態については上記に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更および組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、101 ロードセル装置
2、102 外円筒部
3、103 変位発生部
4、104 内円筒部
20、120 本体部
10 歪検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を受ける本体部に、前記荷重による歪を検出する前記本体部とは別体の歪検出部を前記本体部に固定して設けたことを特徴とするロードセル装置。
【請求項2】
前記本体部が外円筒部と、内円筒部と、前記外円筒部と前記内円筒部とを接続する環状の変位発生部とから成り、前記歪検出部は前記外円筒部と前記内円筒部とに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のロードセル装置。
【請求項3】
前記歪検出部が、板部材に歪ゲージを配置して成ることを特徴とする請求項1または2に記載のロードセル装置。
【請求項4】
前記歪検出部が、前記歪ゲージによって曲げ歪またはせん断歪を検出することを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置。
【請求項5】
前記本体部と前記歪検出部との固定を、ネジ、接着剤、溶接またはリベットのうちの1またはいずれかの組合せによって行うことを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置。
【請求項6】
前記変位発生部の断面がR形状であることを特徴とする請求項2ないし5のうちのいずれか1項に記載のロードセル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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