説明

ロール体搬送台車

【課題】残芯回収動作を確実に、且つ、そのタクトタイムを短くでき、台車を小型化できるロール体搬送台車の提供。
【解決手段】第1の径を有する紙管P1をその芯方向を水平にして支持可能な紙管支持台11と、紙管支持台11を昇降駆動させるリフター12と、平面上において紙管支持台11と異なるセンター位置に設けられ、上記第1の径よりも大きな第2の径を有する巻取紙P2をその芯方向を水平にして支持可能な巻取紙支持台21と、を有するロール体搬送台車1であって、紙管支持台11の上記昇降駆動に応じて、巻取紙支持台21を、センター位置と、上記平面上において巻取紙P2の芯方向と直交する方向でセンター位置よりも紙管支持台11に対して離間した退避位置と、の間で移動させる第2スライダー24を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体搬送台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、輪転機にロール体(巻取紙、巻取布、巻取シート、ウェブロール等)を供給する装置として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のロール体搬送台車が知られている。
このロール体搬送台車においては、新聞印刷工場等の床スペースにおける占有面積を抑え、また、狭隘な床スペースでも円滑な走行ができるように、輪転機に新しく供給すべきロール体の径よりも台車幅を小さく、または、同等にするべく、当該台車に搭載され、輪転機から残芯(第1のロール体)を回収する残芯回収装置の構成を工夫している。
【0003】
特許文献1では、テーブル(第2の支持台)上の巻取紙(第2のロール体)に対する干渉を避けるべく、残芯回収受け(第1の支持台)を斜め側方に昇降できるようにする構成が開示されている。
また、特許文献2では、同じく受け台(第2の支持台)上に搭載可能な最大径の巻取シート状物(第2のロール体)に対する干渉を避けるべく、残芯受台(第1の支持台)を車体の側方にスライドさせた後、昇降できるようにする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−154722号公報
【特許文献2】特開平10−167530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
輪転機に装着されている残芯を取り外すためには、該残芯と残芯回収受けとを接触させて上下動させ、ある程度、残芯を揺れ動かす動作を行うが、特許文献1に記載の構成では、残芯回収受けが斜めに昇降駆動することから、この揺れ動かしの際に、残芯が斜めに飛び跳ねて回収できなくなる虞がある。
一方、特許文献2に記載の構成では、残芯回収受けが鉛直方向に上下動するから、残芯が飛び跳ねても鉛直方向に落下するので、残芯回収受けで回収できるが、残芯を回収するためには水平方向及び鉛直方向の2モーションが必要とされ、タクトタイムが遅くなる虞があり、また、構造が複雑で、例えば昇降用機器収納のためのケーブルチェーン等を台車に内蔵する等が必要となるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、残芯回収動作を確実に、且つ、そのタクトタイムを短くでき、台車を小型化できるロール体搬送台車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、第1の径を有する第1のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第1の支持台と、上記第1の支持台を昇降駆動させる昇降装置と、平面上において上記第1の支持台と異なる第1の位置に設けられ、上記第1の径よりも大きな第2の径を有する第2のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第2の支持台と、を有するロール体搬送台車であって、上記第1の支持台の上記昇降駆動に応じて、上記第2の支持台を、上記第1の位置と、上記平面上において上記第2のロール体の芯方向と直交する方向で上記第1の位置よりも上記第1の支持台に対して離間した第2の位置と、の間で移動させる移動装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1の支持台の昇降駆動に応じて、第2の支持台が第2のロール体の径方向に移動して退避できるので、第2の支持台に支持された第2のロール体によって第1の支持台の鉛直方向の昇降経路が閉鎖されることを防ぐことができる。このため、第1の支持台は鉛直方向に昇降駆動でき、残芯回収を取りこぼしなく確実に行えて、且つ、第1の支持台を鉛直方向で移動させるのみでよいので、タクトタイムを短縮できる。また、台車上に第1の支持台と第2の支持台とを近接して配置でき、台車の小型化に寄与できる。
【0008】
また、本発明においては、上記第1の位置から上記第2の位置に向かう上記第2の支持台の移動経路を形成する凹部が形成されているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、凹部により第2の支持台の退避経路が確保されるため、第2の支持台が移動することによる台車本体との接触を回避させることができる。また、凹部により第2の支持台が上記第1の位置から第2の位置に直接移動でき、第2の支持台を上昇させた後に退避させるといった煩わしい動作をせずに済むため、タクトタイムの短縮に寄与できる。
【0009】
また、本発明においては、上記第2の支持台に支持された上記第2のロール体の径を検出する検出装置と、上記検出装置の検出結果に基づいて、上記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第2の支持台に支持された第2のロール体の径によって、第2の支持台の退避移動が制御されるため、第2のロール体の径に応じた効率的な動作を実現できる。
【0010】
また、本発明においては、上記制御装置は、上記第2の支持台に支持された上記第2のロール体の径に基づいて、上記第2の位置を設定するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第2の支持台に支持された第2のロール体の径によって、第1の支持台の鉛直方向の昇降経路を確保できる第2の支持台の退避距離は異なるので、第2のロール体の径によって第2の位置を設定することで、第2のロール体の径に応じた効率的な動作を実現できる。
【0011】
また、本発明においては、上記第1の支持台の支持面は、断面円弧形状を有し、上記第2の支持台の支持面は、交差する二平面から形成されているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1の支持台の支持面は断面円弧形状であるから縁が反り上がって残芯回収を取りこぼしなく行える。また、第2の支持台の支持面は、交差する二平面から形成されているから、第2のロール体の周面を接線的に支持でき、また縁が反り上がることはないので、第2の支持台は、第1の支持台よりも径の大きなロール体を支持可能となる。
【0012】
また、本発明においては、上記第1の支持台を鉛直方向において複数回往復移動させるように、上記昇降装置の駆動を制御する制御装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1の支持台が第1のロール体を回収する際には鉛直方向に上下動するから、離脱した第1のロール体が飛び跳ねても鉛直方向に落下するので、第1の支持台で第1のロール体を取りこぼれなく回収できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の径を有する第1のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第1の支持台と、上記第1の支持台を昇降駆動させる昇降装置と、平面上において上記第1の支持台と異なる第1の位置に設けられ、上記第1の径よりも大きな第2の径を有する第2のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第2の支持台と、を有するロール体搬送台車であって、上記第1の支持台の上記昇降駆動に応じて、上記第2の支持台を、上記第1の位置と、上記平面上において上記第2のロール体の芯方向と直交する方向で上記第1の位置よりも上記第1の支持台に対して離間した第2の位置と、の間で移動させる移動装置を有するという構成を採用することによって、第1の支持台の昇降駆動に応じて、第2の支持台が第2のロール体の径方向に移動して退避できるので、第2の支持台に支持された第2のロール体によって第1の支持台の鉛直方向の昇降経路が閉鎖されることを防ぐことができる。このため、第1の支持台は鉛直方向に昇降駆動でき、残芯回収を取りこぼしなく確実に行えて、且つ、第1の支持台を鉛直方向で移動させるのみでよいので、タクトタイムを短縮できる。また、台車上に第1の支持台と第2の支持台とを近接して配置でき、台車の小型化に寄与できる。
したがって、本発明では、残芯回収動作を確実に、且つ、そのタクトタイムを短くでき、台車を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるロール体搬送台車の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるロール体搬送台車の平面図及び左側面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるロール体搬送台車の正面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるロール体搬送台車の紙管回収動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態におけるロール体搬送台車の巻取紙給紙動作を説明するための図である。
【図6】本発明の別実施形態におけるロール体搬送台車の紙管回収動作を説明するための図である。
【図7】本発明の別実施形態におけるロール体搬送台車の巻取紙給紙動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態のロール体搬送台車について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の斜視図である。図2(a)は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の平面図である。図2(b)は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の左側面図である。図3は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の正面図である。
【0016】
本実施形態のロール体搬送台車1は、新聞印刷工場において巻取紙(ロール体)の保管ラックから移載装置によって、あるいは仕立機から直接、巻取紙を受け取り、輪転機への給紙を全自動無人で行うAGV(Automated Guided Vehicle)である。
図1に示すように、ロール体搬送台車1は、新聞印刷工場の床に敷設された不図示の磁気ガイド(磁気テープ)に沿って移動する磁気誘導型の台車2と、台車2に搭載され輪転機から紙管を回収する紙管回収装置10と、同じく台車2に搭載され輪転機に巻取紙を給紙する巻取紙給紙装置20とを有する。
【0017】
台車2は、図2(a)に示すように、駆動輪3A,3Bと、従動輪4A,4Bとを有する。駆動輪3A,3Bと、従動輪4A,4Bとは、それぞれ平面上における向きを、ステアリングによって鉛直方向に延びる軸周り(図2(a)において2点鎖線で示す円の中心軸周り)に変位自在な構成となっている。台車2は、磁気ガイドに沿って走行するための磁気ガイド検出センサ5A1,5A2,5B1,5B2を有する。磁気ガイド検出センサ5A1,5A2は、駆動輪3Aと共にその向きが変位できるように構成され、磁気ガイド検出センサ5B1,5B2は、駆動輪3Bと共にその向きが変位できるように構成されている。
また、台車2には、不図示のホストコンピュータと無線通信を行う無線アンテナ6、台車2内部に搭載された不図示の制御装置と電気的に接続されるオペレーションパネル、スイッチパネルからなる操作部7(図1において不図示、図2(a)参照)等が設けられている。
【0018】
紙管回収装置10は、第1の径を有する紙管(第1のロール体:図3中、符号P1で示す)をその芯方向を水平にして支持可能な紙管支持台(第1の支持台)11と、紙管支持台11を鉛直方向に昇降駆動させるリフター(昇降装置)12とを有する。
紙管支持台11の支持面11aは、断面円弧形状を有し、紙管(残芯)回収を取りこぼしなく行えるように縁が反り上がる構成となっている。紙管支持台11には、紙管を回収したことを検知するための不図示のリミットスイッチが設けられている。この紙管支持台11は、台車2の平面上において側部側のサイド位置に設けられている(図2(a)参照)。リフター12は、例えばパンタブラフ機構を有し、紙管支持台11を鉛直方向に昇降駆動させ、紙管支持台11を、台車2に没入させる位置と台車2から鉛直方向に突出させる位置との間で移動させる構成となっている。リフター12は、シリンダ機構でも良く、昇降機構およびその繰り返しによる振動機構を有するものであればよい。
【0019】
巻取紙給紙装置20は、紙管支持台11が支持可能な第1の径よりも大きな第2の径を有する巻取紙(第2のロール体:図3中、符号P2で示す)をその芯方向を水平にして支持可能な巻取紙支持台(第2の支持台)21と、巻取紙支持台21を鉛直方向に昇降駆動させるリフター22と、巻取紙支持台21を巻取紙の芯方向にスライドさせる第1スライダー23と、巻取紙支持台21を巻取紙の芯方向と直交する水平方向にスライドさせる第2スライダー(移動装置)24とを有する。
【0020】
巻取紙支持台21の支持面21aは、所定角度で交差する二平面から形成されており、巻取紙の周面を接線的に支持でき、紙管支持台11よりも径の大きなロール体を支持可能な構成となっている(図3参照)。この巻取紙支持台21は、台車2の平面上において紙管支持台11が設けられる位置と異なるセンター位置(第1の位置)に設けられている(図2(a)参照)。リフター22は、例えば図2(b)に示すパンタブラフ機構を有し、巻取紙支持台21を鉛直方向に昇降駆動させ、巻取紙支持台21を、台車2に没入させる位置と台車2から鉛直方向に突出させる位置との間で移動させる構成となっている。第1スライダー23は、リフター22上に設けられ、巻取紙支持台21を巻取紙の芯方向にスライド移動させる構成となっている。
【0021】
第2スライダー24は、第1スライダー23上に設けられる。本実施形態の第2スライダー24は、図1に示すように、テレスコピックフォーク機構を有し、巻取紙支持台21に支持される巻取紙の芯方向と直交する水平方向に延在するガイド25と、ガイド25に沿って巻取紙支持台21を移動させる不図示の駆動装置とを有する。駆動装置の構成としては、シリンダ装置、ラック・ピニオン装置、ボールねじ装置等が採用できる。本実施形態では、台車2に搭載された不図示の制御装置により直動する電動シリンダを用いたシリンダ装置を採用している。
【0022】
第2スライダー24は、不図示の制御装置の制御の下、紙管支持台11の昇降駆動に応じて、巻取紙支持台21をガイド25に沿って、上記センター位置と、台車2の平面上において巻取紙の芯方向と直交する方向でセンター位置よりも紙管支持台11に対して離間した退避位置(第2の位置)と、の間で移動させる構成となっている。
台車2上には、図1に示すように、センター位置から退避位置に向かう巻取紙支持台21の移動経路を形成する凹部8が形成されている。凹部8は、巻取紙支持台21が第2スライダー24により移動することによる台車2との接触を回避させるよう機能し、巻取紙支持台21がリフトアップ前の状態でセンター位置から退避位置に直接移動できる構成となっている。なお、本実施形態の退避位置の設定は、巻取紙の最大ロール径に基づいて予め設定されている。
【0023】
続いて、上記構成のロール体搬送台車1の輪転機に対する巻取紙の給紙動作について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の紙管回収動作を説明するための図である。図5は、本発明の実施形態におけるロール体搬送台車1の巻取紙給紙動作を説明するための図である。なお、図4及び図5に示す符号100は、輪転機の巻取紙装着部を示している。
【0024】
先ず、ロール体搬送台車1は、保管ラック(仮置き場)から移載装置により、あるいは、仕立機から巻取紙P2を直接、巻取紙支持台21に受ける。ロール体搬送台車1は、巻取紙P2をその芯方向を水平にして巻取紙支持台21上に支持し、その芯方向を進行方向として磁気ガイドに沿って輪転機に向かって走行する。ロール体搬送台車1は、輪転機に対向する位置に到達した後、ステアリングを駆動させて駆動輪3A,3B及び従動輪4A,4Bの向きを90度旋回させ、紙管回収装置10側を進行方向前側として、輪転機に接近する。
【0025】
次に、ロール体搬送台車1は、図4に示すように、紙管回収装置10を駆動させて輪転機に装着された紙管P1(残芯)を回収する。
具体的に、ロール体搬送台車1は、先ず、第2スライダー24を駆動させて、巻取紙支持台21をセンター位置から退避位置に移動させて、巻取紙支持台21に支持された巻取紙P2によって閉ざされた紙管支持台11の鉛直方向の昇降経路を開放させ、開放した昇降経路に沿って紙管支持台11をリフター12で鉛直方向に上昇させ、輪転機に装着された紙管P1と紙管支持台11とを鉛直方向で接触させる。
【0026】
紙管P1と紙管支持台11とが接触したら、次に、ロール体搬送台車1は、リフター12を昇降駆動させて紙管支持台11を鉛直方向において所定幅で複数回往復移動させ、輪転機に装着された紙管P1を鉛直方向で複数回揺れ動かして離脱させ、紙管支持台11に紙管P1を回収させる。このとき紙管支持台11は、鉛直方向に上下動するから、紙管P1が飛び跳ねても鉛直方向に落下するので、紙管支持台11で紙管P1を取りこぼれなく回収できる。紙管P1の回収は、紙管支持台11に設けられたリミットスイッチが、紙管P1との接触により上昇時に「ON」、下降時に「OFF」となるところ、下降時に「ON」となったときに、紙管P1が紙管支持台11に回収されたと判断し、ロール体搬送台車1は、当該揺れ動かしを終了させる。
【0027】
次に、ロール体搬送台車1は、リフター12を駆動させ、紙管P1を支持した紙管支持台11を下降させると共に、退避位置に位置している巻取紙支持台21を第2スライダー24でセンター位置まで移動させる(図5参照)。そして、ロール体搬送台車1は、台車2を前進させて、巻取紙支持台21に支持された巻取紙P2の芯の位置と輪転機の巻取紙装着位置とを鉛直方向で合わせ込んだ後、リフター22で巻取紙支持台21上に支持された巻取紙P2を持ち上げる。そして、ロール体搬送台車1は、第1スライダー23をフリーにした後、輪転機の巻取紙装着部100が芯方向に動き、輪転機に巻取紙P2を装着させる。
【0028】
その後、ロール体搬送台車1は、リフター22を駆動させて巻取紙支持台21を下降させると共に、台車2を後退させ、次の巻取紙P2を受けに保管ラックや仕立機の位置まで戻ることとなる。
以上により、ロール体搬送台車1の輪転機に対する巻取紙P2の給紙動作が終了する。
【0029】
したがって、上述の本実施形態によれば、第1の径を有する紙管P1をその芯方向を水平にして支持可能な紙管支持台11と、紙管支持台11を昇降駆動させるリフター12と、平面上において紙管支持台11と異なるセンター位置に設けられ、上記第1の径よりも大きな第2の径を有する巻取紙P2をその芯方向を水平にして支持可能な巻取紙支持台21と、を有するロール体搬送台車1であって、紙管支持台11の上記昇降駆動に応じて、巻取紙支持台21を、センター位置と、上記平面上において巻取紙P2の芯方向と直交する方向でセンター位置よりも紙管支持台11に対して離間した退避位置と、の間で移動させる第2スライダー24を有するという構成を採用することによって、紙管支持台11の昇降駆動に応じて、巻取紙支持台21が巻取紙P2の径方向に移動して退避できるので、巻取紙支持台21に支持された巻取紙P2によって紙管支持台11の鉛直方向の昇降経路が閉鎖されることを防ぐことができる。このため、紙管支持台11は鉛直方向に昇降駆動でき、残芯回収を取りこぼしなく確実に行えて、且つ、紙管支持台11を鉛直方向で移動させるのみでよいので、タクトタイムを短縮できる。また、台車上に紙管支持台11と巻取紙支持台21とを近接して配置でき、台車の小型化に寄与できる。また、台車2を停止させたまま、第2スライダー24で巻取紙P2を径方向に微調整できる付属の効果も有する。
したがって、本実施形態では、残芯回収動作を確実に、且つ、そのタクトタイムを短くでき、台車を小型化できる。
【0030】
また、本実施形態においては、上記センター位置から上記退避位置に向かう上記巻取紙支持台21の移動経路を形成する凹部8が形成されているという構成を採用することによって、凹部8により巻取紙支持台21の退避経路が確保されるため、巻取紙支持台21が移動することによる台車との接触を回避させることができる。また、凹部8により巻取紙支持台21が上記センター位置から退避位置に直接移動でき、巻取紙支持台21を上昇させた後に退避させるといった煩わしい動作をせずに済むため、タクトタイムの短縮に寄与できる。
【0031】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、紙管を回収する際に、第2スライダー24を駆動させて、巻取紙支持台21をセンター位置から退避位置に移動させた後、紙管支持台11をリフター12で鉛直方向に上昇させると説明したが、残芯回収動作のタクトタイムの短縮のために、第2スライダー24の駆動とリフター12の駆動とを同時に開始させる構成、あるいは、第2スライダー24の駆動中にリフター12の駆動を開始させる構成を採用しても良い。この場合、巻取紙の径や第2スライダー24による移動速度に基づいて、リフター12の駆動を制御し、巻取紙と紙管支持台11との干渉がなきように設定することが好ましい。
【0033】
また、例えば、本実施形態では、第2スライダー24は、巻取紙支持台21をセンター位置と巻取紙の最大ロール径に基づいて予め設定された退避位置との間で移動させると説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、巻取紙支持台21に最大ロール径より径が小さい巻取紙(途中まで使用して印刷を終了した状態の巻取り紙、所謂、中残紙)が支持されている場合もあるので、巻取紙支持台21に支持された上記巻取紙の径を検出する検出装置と、上記検出装置の検出結果に基づいて、上記第2スライダー24の駆動を制御する制御装置と、を有するという構成を採用することが好ましい。また、制御装置は、巻取紙支持台21に支持された巻取紙の径に基づいて、上記退避位置の位置を設定するという構成を採用することが好ましい。この構成によれば、巻取紙支持台21に支持された巻取紙の径によって、紙管支持台11の鉛直方向の昇降経路を確保できる巻取紙支持台21の退避距離は異なるので、例えば巻取紙の径が小さければ退避位置をセンター位置に近く設定できるため、巻取紙支持台21の移動距離を短くでき、結果、残芯回収動作のタクトタイムの短縮に寄与でき、省エネで効率的な動作を実現できる。当該検出装置の構成としては、巻取紙支持台21に、支持された巻取紙の重量を計測する重量計測センサ(例えばロードセル)を設けて、巻取紙の重量から該巻取紙の径を計算して求める構成であっても、あるいは、移載装置や仕立機に設けられた巻取紙の芯の位置(高さ)を検出するレーザー、赤外線、カメラ等の検出器の検出結果を無線通信で受けて、巻取紙の芯の位置から該巻取紙の径を計算して求める構成であっても良い。
具体的に、図6に示す別実施形態におけるロール体搬送台車1の紙管回収動作においては、巻取紙(中残紙)P2により紙管支持台11の鉛直方向の昇降経路が閉塞されないので、第2スライダー24を駆動させない制御を行って、上述の紙管回収動作をする。また、この場合、図7に示す巻取紙給紙動作では、リフター22で上述した実施形態よりも巻取紙(中残紙)P2を高く持ち上げて輪転機に給紙することとなる。
【0034】
また、例えば、上記実施形態では、本発明をAGVに適用した場合について説明したが、本発明を有軌道台車、天井走行台車等に適用しても良い。
また、例えば、上記実施形態では、ロール体として、巻取紙を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば巻取布、巻取シート、ウェブロール等であっても良い。
【符号の説明】
【0035】
1…ロール体搬送台車、8…凹部、11…紙管支持台(第1の支持台)、11a…支持面、12…リフター(昇降装置)、21…巻取紙支持台(第2の支持台)、21a…支持面、24…第2スライダー(移動装置)、P1…紙管(第1のロール体)、P2…巻取紙(第2のロール体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の径を有する第1のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第1の支持台と、前記第1の支持台を昇降駆動させる昇降装置と、平面上において前記第1の支持台と異なる第1の位置に設けられ、前記第1の径よりも大きな第2の径を有する第2のロール体をその芯方向を水平にして支持可能な第2の支持台と、を有するロール体搬送台車であって、
前記第1の支持台の前記昇降駆動に応じて、前記第2の支持台を、前記第1の位置と、前記平面上において前記第2のロール体の芯方向と直交する方向で前記第1の位置よりも前記第1の支持台に対して離間した第2の位置と、の間で移動させる移動装置を有することを特徴とするロール体搬送台車。
【請求項2】
前記第1の位置から前記第2の位置に向かう前記第2の支持台の移動経路を形成する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロール体搬送台車。
【請求項3】
前記第2の支持台に支持された前記第2のロール体の径を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のロール体搬送台車。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2の支持台に支持された前記第2のロール体の径に基づいて、前記第2の位置を設定することを特徴とする請求項3に記載のロール体搬送台車。
【請求項5】
前記第1の支持台の支持面は、断面円弧形状を有し、
前記第2の支持台の支持面は、交差する二平面から形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のロール体搬送台車。
【請求項6】
前記第1の支持台を鉛直方向において複数回往復移動させるように、前記昇降装置の駆動を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のロール体搬送台車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate