説明

ロール体用自動搬送車

【課題】走行するときにロール体がその軸心方向に移動することやたけのこ状になることを防止できるロール体用自動搬送車を提供する。
【解決手段】ロール体を載置支持する支持手段8における一対の支持体13の夫々を、コアaをその軸心方向に沿って移動自在に載置支持し且つ支持手段8にて支持したロール体のシート材bの側面に沿う接触面を備えて構成し、支持手段8を、ロール体を支持した状態で駆動手段にて一対の支持体13を互いに遠近移動操作することにより、シート材bの側面と一対の支持体13の接触面とが離間する離間状態と、シート材bの側面と一対の支持体13の接触面とが接触する接触状態とに切り換えられるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状のコアにシート材が巻回されたロール体を載置支持する支持手段が、前記シート材から両側に突出する前記コアの両端部の外周面を載置支持する一対の支持体を備えて構成され、前記一対の支持体を互いに遠近移動させる駆動手段が設けられているロール体用自動搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール体用自動搬送車は、印刷原紙やフィルム原反等のシート材を棒状のコアに巻回させたロール体を支持手段にて支持した状態で走行するように構成されており、支持手段における一対の支持体の間隔を調節することで、印刷原紙や各種フィルム原反の表面に印刷や塗布を行う生産機等からロール体を受け取ることができるようになっている。
【0003】
そして、このようなロール体用自動搬送車の従来例では、生産機等からロール体を受け取るときは、ロール体のシート材が支持体に接触しないように一対の支持体の間隔をシート材の軸心方向の長さより広い間隔とした状態でロール体を支持手段に載せ、このような一対の支持体の間隔をシート材の軸心方向の長さより広い間隔に維持させた状態でロール体用自動搬送車を走行させていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−063117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のロール体用自動搬送車では、走行するときの一対の支持体の間隔がシート材の軸心方向の長さより広い間隔となっており、シート材の側面と一対の支持体の接触面とが離間した状態で走行している。よって、旋回走行により支持手段上でロール体がコアごと軸心方向に移動する問題やシート材の外周縁部分のみが軸心方向に移動してロール体がたけのこ状になる問題があった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、走行するときにロール体が軸心方向に移動することやたけのこ状になることを防止できるロール体用自動搬送車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるロール体用自動搬送車は、棒状のコアにシート材が巻回されたロール体を載置支持する支持手段が、前記シート材から両側に突出する前記コアの両端部の外周面を載置支持する一対の支持体を備えて構成され、前記一対の支持体を互いに遠近移動させる駆動手段が設けられているものであって、
その第1特徴構成は、前記一対の支持体の夫々が、前記コアをその軸心方向に沿って移動自在に載置支持し且つ前記支持手段にて支持した前記ロール体の前記シート材の側面に沿う接触面を備えて構成され、前記支持手段が、前記ロール体を支持した状態で前記駆動手段にて前記一対の支持体が互いに遠近移動操作されることにより、前記シート材の側面と前記一対の支持体の前記接触面とが離間する離間状態と、前記シート材の側面と前記一対の支持体の前記接触面とが接触する接触状態とに切り換えられるように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、一対の支持体の夫々が、コアをその軸心方向に載置支持するように構成されているため、支持手段にてロール体を支持した状態で駆動手段にて一対の支持体を互いに遠近移動操作することができる。よって、支持手段にてロール体を支持した状態で一対の支持体を互いに接近させるように移動操作して支持手段を接触状態に切り換えることで、一対の支持体の接触面をシート材の側面に接触させることができ、また、支持手段にてロール体を支持した状態で一対の支持体を互いに離間させるように移動操作して支持手段を離間状態に切り換えることで、一対の支持体の接触面をシート材の側面から離間させることができる。
【0009】
つまり、生産機等からロール体を受け取るときは、支持手段を離間状態に切り換えることで、シート材を支持手段に接触させることなくロール体を支持手段に載せることができ、このようにロール体が支持手段に載せられてロール体が支持手段にて支持された状態で支持手段を離間状態から接触状態に切り換えることにより、支持手段にロール体を支持した状態で一対の支持体の接触面をシート材の側面に面接触させることができる。このように支持体を接触状態に切り換えた状態でロール体用自動搬送車を走行させることにより、一対の支持体の接触面がロール体の側面に面接触していることによって、ロール体が軸心方向に移動することやロール体がたけのこ状になることを防止することができる。
【0010】
従って、ロール体が軸心方向に移動することやロール体がたけのこ状になることを防止することができるロール体用自動搬送車を提供することができるに至った。
【0011】
ちなみに、駆動手段にて一対の支持体を互いに遠近移動させる機構は、コアの軸心方向の長さが異なる複数種のロール体を支持可能なように従来から予め備えられている機構であり、この予め備えられている機構をロール体が軸心方向に移動することやロール体がたけのこ状になることを防止する機構として利用することで、ロール体が軸心方向に移動することやロール体がたけのこ状になることを防止できるロール体用自動搬送車を安価に構成することができる。
【0012】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記ロール体が前記支持手段に支持されたことを検出する支持検出手段と、前記離間状態の前記支持手段に前記ロール体が載せられた後、前記支持手段を前記接触状態に切り換えるべく、前記支持検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられている点にある。
【0013】
すなわち、制御手段は、離間状態の支持手段にロール体が載せられて支持検出手段にてロール体が支持手段に支持されたことが検出されると、支持手段が離間状態から接触状態に切り換えるべく駆動手段の作動を制御する。従って、支持手段にロール体が支持されるに伴って支持手段を離間状態から接触状態に自動的に切り換えられるため、走行時にロール体が軸心方向に移動することやロール体がたけのこ状になることを適確に防止できる。
【0014】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記一対の支持体の夫々が、載置支持した前記コアをその軸心方向に沿って移動自在に支持する回転自在な回転体を備えて構成されている点にある。
【0015】
すなわち、支持手段にロール体を載置支持した状態でその支持手段を離間状態から接触状態に切り換えるときに、回転体が回転することによって支持体に対してコアがその軸心方向に沿ってスムーズに移動するため、ロール体を支持した支持手段を離間状態と接触状態とに円滑に切り換えることができる。
【0016】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第4特徴構成は、第3特徴構成において、前記一対の支持体の夫々が、前記支持手段にて支持された前記ロール体における前記コアの周方向に沿って前記回転体を複数個備えて構成されている点にある。
【0017】
すなわち、コアを複数個の回転体にて支持することで、コアに係る荷重を周方向に分散することができ、また、回転体に係る荷重を複数個の回転体に分散することができるので、荷重が集中することを回避できる。
【0018】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記一対の支持体の夫々における前記接触面が、前記シート材における前記側面の内周縁から外周縁の全体に亘って接触する大きさに形成されている点にある。
【0019】
すなわち、支持体の接触面が、シート材における側面の内周縁から外周縁の全体に亘って接触することで、シート材における内周縁から外周縁の全体に亘って軸心方向に移動することを防ぐことができ、特にシート材の外周縁部分が軸心方向に移動することを防ぐことができることにより、シート材がたけのこ状となることを適確に防止することができる。
【0020】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記一対の支持体の夫々に、合成繊維製の接触材が貼付されており、前記接触材の外面にて前記接触面が形成されている点にある。
【0021】
すなわち、一対の支持体の夫々に貼付された接触材の外面にて接触面を形成されているため、支持手段を接触状態に切り換えたときは、シート材の側面には一対の支持体の夫々における接触材が接触する。
【0022】
従って、コアにシート材としての光学フィルムが巻回されたロール体の場合では、一対の支持体の材質によってはシート材が支持体に接触することを避ける必要となる場合があるが、支持手段を接触状態に切り換えた状態では、シート材の側面には支持体における合成繊維製の接触材が接触するため、支持体を問題なくシート材に接触させることができる。
【0023】
本発明にかかるロール体用自動搬送車の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれか1つにおいて、前記駆動手段が、サーボモータにて構成されている点にある。
【0024】
すなわち、一対の支持体を互いに遠近移動させる駆動手段がサーボモータにて構成されているので、制御手段がサーボモータに対してトルク制御を行うことで、支持手段を接触状態に切り換えたときに一対の支持体にて必要以上に大きな押付力でシート材を押圧することを防止することができるため、一対の支持体がシート材に押圧されることによるシート材の破損等を防止することができる。また、制御手段がサーボモータに対して位置制御を行うことで、支持手段を接触状態に切り換えたときに支持手段を接触状態で適確に位置保持することができるため、支持手段にて支持されたロール体がその軸心方向に移動することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】搬送台車の斜視図
【図2】搬送台車の側面図
【図3】搬送台車の正面図
【図4】支持体の上端部を示す図
【図5】第1実施形態におけるロール体受け取り作用図
【図6】制御ブロック図
【図7】第1実施形態における受取制御のフローチャート
【図8】第2実施形態におけるロール体受け渡し作用図
【図9】第2実施形態における受渡制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るロール体用自動搬送車の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ロール体用自動搬送車1は、印刷原紙や各種フィルム原反の表面に印刷や塗布を行う生産機等に設けられたチャッキング装置2からロール体Aを受け取るべく生産設備に配備されており、床面に敷設された誘導ライン(図示せず)に沿って授受箇所(図1(b)でロール体用自動搬送車1が停止している箇所)まで自動走行し、授受箇所においてチャッキング装置2からロール体Aを受け取るように構成されている。
ちなみに、ロール体Aは、円筒棒状のコアaと、そのコアaに巻回された紙やフィルム等のシート材bとで構成されており、そのロール体Aの中心に位置するコアaはシート材bから軸心方向両側に突出している。
【0027】
ロール体用自動搬送車1について説明する前に、まず、生産設備のチャッキング装置2について説明する。
図1及び図2に示すように、生産設備のチャッキング装置2は、長手方向の中心に位置する回転軸心周りに回転自在な一対の回転アーム4と、回転アーム4に支持されて回転アーム4と一体的に回転移動する支持具5とを備えて構成されている。支持具5は、一対の回転アーム4の夫々における長手方向の端部に支持された一対の支持ピン6を備え、これら一対の支持ピン6にてコアaの両端部を各別に支持することによりロール体Aを支持するように構成されている。
【0028】
また、支持具5(一対の支持ピン6)は、一対の回転アーム4を回転位相が一致した状態で回転及び停止されることにより、処理位置(図2における回転アーム4の回転軸心の右上の位置)と授受位置(図2における回転アーム4の回転軸心の左下の位置)とに位置切り換えされる。支持具5を処理位置に位置させた状態では、一対の支持ピン6にて支持されたコアaに生産機にて印刷や塗布等の処理が行われたシート材bを巻き取り、支持具5を授受位置に位置させた状態で、ロール体Aがロール体用自動搬送車1に受け渡される。そして、回転アーム4における長手方向の両端部夫々に支持ピン6が設けられており、支持具5は、一方の支持具5が受け取り位置に位置している状態では他方の支持具5が処理位置に位置するように一対設けられている。
【0029】
一対の支持ピン6は、図外の電動モータの作動により互いに遠近移動するように回転アーム4に出退自在に支持されており、一対の支持ピン6の夫々は、その先端部の外径がコアaの内径より小径な円柱形状に形成されている。そして、支持具5を授受位置に位置させた状態で、一対の支持ピン6を互いに近接させることにより、一対の支持ピン6の夫々の先端部がコアaに挿入(図3参照)され、一対の支持ピン6を互いに離間させることにより、一対の支持ピン6の夫々の先端部がコアaから抜出(図4参照)される。
【0030】
そして、図示は省略するが、一対の支持ピン6の夫々は、その先端部が小径な円柱形状から大径化するように構成されており、先端部をコアaに挿入させた状態で先端部を大径化させることによりコアaを保持できるように構成されている。つまり、支持具5は、一対の支持ピン6の先端部を大径化して、コアaの両端部の内周面を支持するように構成されている。
【0031】
次に、ロール体用自動搬送車1について説明する。
図1〜図3に示すように、ロール体用自動搬送車1は、ロール体Aを載置支持する支持手段8と、支持手段8を移動操作するスライドテーブル9と、チャッキング装置2の支持ピン6を撮像するための撮像装置10と、撮像装置10にて撮像された撮像情報等に基づいてスライドテーブル9の作動を制御する制御手段としての制御装置Hと、床面上を走行する台車本体11とを備えて構成されている。ちなみに、支持手段8、スライドテーブル9、撮像装置10及び制御装置Hは台車本体11に支持されている。
【0032】
支持手段8は、シート材bから両側に突出するコアaの両端部の外周面を載置支持する一対の支持体13を備えて構成されており、スライドテーブル9は、一対の支持体13を各別に支持するように車体左右方向に一対並べて設けられており、台車本体11上を車体前後方向及び車体横幅方向に各別に移動可能に構成されている。つまり、支持手段8は、一対のスライドテーブル9にて一対の支持体13が車体前後方向に移動操作され、また、一対のスライドテーブル9にて一対の支持体13が車体横幅方向に移動操作されるように構成されている。
【0033】
また、一対の支持体13の夫々が、コアaをその軸心方向に沿って移動自在に載置支持し且つ支持手段8にて支持したロール体Aのシート材bの側面に沿う接触面を備えて構成されている。そして、支持手段8は、一対のスライドテーブル9にて一対の支持体13が車体横幅方向の異なる方向に移動操作されることにより、一対の支持体13を互いに遠近移動操作されるように構成されている。つまり、支持手段8は、ロール体Aを支持した状態でスライドテーブル9にて一対の支持体13が互いに遠近移動操作されることにより、シート材bの側面と一対の支持体13の接触面とが離間する離間状態(図3及び図5(a)参照)と、シート材bの側面と一対の接触体13の側面とが接触する接触状態(図5(b)参照)とに切り換えられるように構成されている。
【0034】
図6に示すように、一対のスライドテーブル9の夫々には、スライドテーブル9を車両前後方向にスライド移動させるための前後移動用サーボモータ9aと、スライドテーブル9を車両横幅方向にスライド移動させる横移動用サーボモータ9bとが設けられており、前後移動用サーボモータ9aの作動によりスライドテーブル9が車両前後方向に移動し、横移動用サーボモータ9bの作動によりスライドテーブル9が車両横幅方向に移動するように構成されている。尚、横移動用サーボモータ9bが、サーボモータにて構成されて一対の支持体13を互いに遠近移動させる駆動手段Dに相当する。また、一対のスライドテーブル9の夫々には、支持する支持体13を昇降移動させる昇降移動用サーボモータ9cが内装されており、昇降移動用サーボモータ9cの作動により支持体13を上下方向に移動させるように構成されている。
【0035】
次に、支持体13について説明を加える。
一対の支持体13の夫々は、板状に形成されており、上下方向及び車体前後方向に沿う姿勢でスライドテーブル9の車両横幅方向内方側に位置するようにスライドテーブル9に支持されている。
【0036】
そして、図4に示すように、一対の支持体13の夫々の上端部には、載置支持したコアaをその軸心方向に沿って移動自在に支持する回転自在な回転体としての回転ローラ14が備えられている。この回転ローラ14は、載置支持したコアaの軸心に対して車両前後方向の両側に位置するように一対備えられており、前方側に位置する回転ローラ14は、コアaの軸心が存在する後方側ほど下方に位置する傾斜姿勢で設けられ、前方側に位置する回転ローラ14は、コアaの軸心が存在する前方側ほど下方に位置する傾斜姿勢で設けられている。このように横側面視でV字状に配設された一対の回転ローラ14は、支持手段8にて支持されたロール体Aにおけるコアaの周方向に沿って備えられている。
【0037】
つまり、一対の支持体13の夫々は、一対の回転ローラ14を横側面視でV字状に設けることで、載置支持するコアaが車両前後方向に移動することを防止し、一対の回転ローラ14が回転することで、車両横幅方向(載置支持するコアaの軸心方向)に移動することを許容する状態で、一対の回転ローラ14にてコアaの外周面を載置支持するように構成されている。
【0038】
そして、一対の支持体13の夫々には、車両横幅方向の内方側の面が平坦に形成されてシート材bの側面に沿う接触面が形成されている。具体的には、一対の支持体13には、これら一対の支持体13が上下方向で同じ高さで且つ車体前後方向で同じ位置に位置している状態において、車両横幅方向の内方側の面が支持手段8にて支持されているロール体Aの軸心と直交する接触面に形成されており、このように接触面を形成することで上記した状態の一対の支持体13にて支持されているロール体Aにおけるシート材bの側面に沿う形状となっている。
【0039】
また、一対の支持体13の夫々は、その下端が支持手段8にて支持すると想定される最大のロール体Aの下端よりも下方に位置するように、上下方向の長さが設定されており、一対の支持体13における接触面は、シート材bにおける側面の内周縁から外周縁の全体に亘って接触する大きさに形成されている。また、一対の支持体13の夫々は、車体前後方向の幅が上述の最大のロール体Aのコアaの径の大きさより幅広に形成されており、一対の支持体13における接触面の横幅は、コアaの径より大きく且つシート材bの径より小さく形成されている。
【0040】
一対の支持体13の夫々には、その車両横幅方向の内方側に合成繊維製の接触材としてのナイロン製の接触材15が貼付されており、この貼付された接触材15の外面にてシート材bの側面に接触する接触面が形成されている。つまり、支持手段8を接触状態に切り換えた状態では、一対の支持体13の夫々に貼付された接触材15がシート材bの側面に接触するように構成されている。
【0041】
撮像装置10は、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に停止させた状態において、授受位置に位置する支持具5における支持ピン6と、この支持具5にて支持されたロール体Aにおけるコアaとを、1つの撮像装置10にて同時に1つの撮像範囲内に収めて撮像するようにロール体用自動搬送車1に備えられている。
そして、撮像装置10として、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に停止させた状態において一対の支持ピン6の一方とコアaの一端部とを撮像するために一対の撮像装置10が設けられ、これら一対の撮像装置10は、車両横幅方向視において撮像方向が交差する状態に設けられている。また、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に停止させた状態において一対の支持ピン6の他方とコアaの他端部とを撮像するためにも一対の撮像装置10が設けられ、これら一対の撮像装置10も、車両横幅方向視において撮像方向が交差する状態に設けられている。4台の撮像装置10の夫々は、台車本体11に固定状態に立設された支持棒17の上端部に高さ調節並びに向き調節可能に支持されている。
【0042】
図6に示すように、制御装置Hは、誘導ラインに沿って走行させてロール体用自動搬送車1を授受箇所に走行させる又はロール体用自動搬送車1を授受箇所から誘導ラインに沿って走行させるべく台車本体11に備えられた走行用モータ11aの作動を制御する走行制御、並びに、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に停止させた状態でチャッキング装置2からロール体Aを受け取るべくスライドテーブル9に備えられた前後移動用サーボモータ9a、横移動用サーボモータ9b及び昇降移動用サーボモータ9cの作動を制御する受取制御を実行するように構成されている。ちなみに、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に走行させるときは、支持手段8にてロール体Aが支持されておらず、一対の支持体13はその昇降移動範囲の最下位置に移動されている。
【0043】
次に、制御装置Hの受取制御について図7のフローチャートに基づいて説明する。この受取制御では、撮像装置10にて撮像された撮像情報に基づいてロール体Aにおけるコアaの両端部の位置を判別し、一対の支持体13にてコアaの両端部を載置支持するべくスライドテーブル9の作動を制御する。
【0044】
つまり、まず、制御装置Hは、4台の撮像装置10にて撮像された撮像情報から台車本体11に対するロール体Aにおけるコアaの両端部の位置を判別するコア位置判別処理を実行(S1)し、そのコアaの両端部の真下に一対の支持体13が位置するように一対の支持体13及び一対のスライドテーブル9を台車本体11に対して車体前後方向及び車体横幅方向に移動させる(図3参照)べく、スライドテーブル9に備えられた前後移動用サーボモータ9a及び横移動用サーボモータ9bの作動を制御する真下移動処理を実行(S2)する。このように真下移動処理が実行されると、一対の支持体13の夫々は、コアaの端より設定距離だけ車両横幅方向の内方側に位置しており、一対の支持体13の間隔は、コアaの長さより短い間隔となっている。そして、上記設定距離は、コアaの端部の長さ(コアaにおけるシート材bから突出する部分の長さ)より短く設定されており、一対の支持体13の夫々は、コアaの端より設定距離だけ車両横幅方向の内方側に位置している状態では、シート材bの側面から離間している。つまり、支持手段8は、シート材bの側面と一対の支持体13の接触面とが離間する離間状態に切り換えられている。
【0045】
次に、制御装置Hは、一対の支持体13にてコアaの両端部を載置支持させるように一対の支持体13を上昇移動させる(図5(a)参照)べく、スライドテーブル9に備えられた昇降移動用サーボモータ9cの作動を制御して上昇移動処理を実行(S3)し、その後、図外の通信手段にて受取完了の信号をチャッキング装置2に送信(S4)する。ちなみに、チャッキング装置2は、受取完了の信号を受信すると、一対の支持ピン6の夫々の先端部を小径化させ、一対の支持ピン6を離間させてコアaから一対の支持ピン6を抜出させて、ロール体Aをロール体用自動搬送車1に受け渡した後、図外の通信手段にて受渡完了の信号をロール体用自動搬送車1に送信するように構成されている。
【0046】
制御装置Hは、4台の撮像装置10にて撮像された撮像情報からロール体Aが支持手段8にて支持されていると判別し且つチャッキング装置2から受渡完了の信号を受信する(S5)と、一対の支持体13及び一対のスライドテーブル9を互いに近接させて支持手段8を離間状態から接触状態に切り換える(図5(b)参照)べく、スライドテーブル9に備えられた横移動用サーボモータ9bの作動を制御する接触移動処理を実行(S6)する。このように接触移動処理が実行されると、一対の支持体13にてコアaの外周面を載置支持し且つ一対の支持体13にてシート材bを車両横幅方向に挾持した状態で、支持手段8にてロール体Aが支持される。
【0047】
このように、制御装置Hは、離間状態の支持手段8にロール体Aが載せられた後、支持手段8を接触状態に切り換えるべく、撮像手段16の撮像情報に基づいて横移動用サーボモータ9bの作動を制御するように構成されている。そして、一対の支持体13にてコアaの両端部を載置支持させるように一対の支持体13を上昇移動させた状態では、4台の撮像装置10の撮像情報に基づいてロール体Aが支持手段8に支持されているか否かを判別するように構成されており、撮像装置10が、ロール体Aが支持手段8に支持されたことを検出する支持検出手段に相当する。
【0048】
この支持手段8の接触状態への切り換えにおける制御手段Hによる横移動用サーボモータ9bの作動の制御について説明を加えると、横移動用サーボモータ9bに対するトルクが一定値に保持されるようにトルク制御を行って、一対の支持体13を互いに近接移動させる。そして、一対の支持体13がシート材bに当接して支持手段8が離間状態から接触状態に切り換えられた後も、横移動用サーボモータ9bに対するトルクを一定値に保持するように横移動用サーボモータ9bに対してトルク制御を行うことで、一対の支持体13の夫々をシート材bに押圧させて、一対の支持体13にてシート材bをその軸心方向に挾持するように構成されている。
【0049】
このように、ロール体用自動搬送車1は、チャッキング装置2からロール体Aを受け取ると、一対の支持体13の接触面をシート材bの側面に接触させるべく支持手段8を接触状態に切り換えるので、ロール体用自動搬送車1が走行するときに支持手段8にて支持したロール体Aが車両横幅方向にずれることやロール体Aがたけのこ状になることを防止できるように構成されている。
【0050】
〔第2実施の形態〕
次に、本発明に係るロール体用自動搬送車の第2実施形態について図面に基づいて説明するが、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明する。ちなみに、上記第1実施形態では、ロール体用自動搬送車1がチャッキング装置2からロール体Aを受け取る場合について説明したが、第2実施形態では、ロール体用自動搬送車1からチャッキング装置2にロール体Aを受け渡す場合について説明する。
【0051】
図8に示すように、生産設備のチャッキング装置2における一対の回転アーム4の一方(図8における右側の回転アーム4)が、支持するロール体Aの軸心方向(授受箇所に停止しているロール体用自動搬送車1の車両横幅方向と同じ方向)に沿って移動自在に構成されている。つまり、第2実施形態では、一対の支持ピン6の夫々は回転アーム4に固着されており、出退自在には支持されていない。その代わり、一対の回転アーム4のうちの一方が、支持するロール体Aの軸心方向に沿って移動することにより、一方の支持ピン6が他方の支持ピン6に対して遠近移動するように構成されている。以下、一対の回転アーム4のうちのロール体Aの軸心方向に移動する一方の回転アーム4を可動回転アーム4a、移動しない他方の回転アーム4を固定回転アーム4bと称し、可動回転アーム4aに支持されている支持ピン6を可動支持ピン6a、固定回転アーム4bに支持されている支持ピン6を固定支持ピン6bと称して説明する。
【0052】
制御装置Hは、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に停止させた状態でチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すべく、スライドテーブル9に備えられた前後移動用サーボモータ9a、横移動用サーボモータ9b及び昇降移動用サーボモータ9cの作動を制御する受渡制御を実行するように構成されている。ちなみに、ロール体用自動搬送車1を授受箇所に走行させるときは、支持手段8にてロール体Aが支持されており、支持手段8は接触状態に切り換えられている。
【0053】
制御装置Hの受渡制御について図9のフローチャートに基づいて説明すると、この受渡制御では、まず、制御装置Hは、4台の撮像装置10にて撮像された撮像情報から台車本体11に対する一対の支持ピン6の位置を判別するピン位置判別処理を実行(S11)し、一対の支持体13にて支持されたロール体Aのコアaが一対の支持ピン6と一直線状に並ぶように一対の支持体13及び一対のスライドテーブル9を台車本体11に対して車体前後方向及び車体横幅方向に移動させるべく、スライドテーブル9に備えられた前後移動用サーボモータ9a、横移動用サーボモータ9b及び上下移動用サーボモータ9cの作動を制御するロール体移動処理を実行(S12)する。
【0054】
次に、制御装置Hは、固定回転アーム4bの固定支持ピン6bをコアaの端部に挿入させるように一対の支持体13を車両横幅方向の固定支持ピン6bが位置する側に移動させる(図8(a)参照)べく、スライドテーブル9に備えられた横移動用サーボモータ9bの作動を制御するスライド移動処理を実行(S13)し、その後、図外の通信手段にて受渡完了の信号をチャッキング装置2に送信(S14)する。ちなみに、チャッキング装置2は、受取完了の信号を受信すると、可動回転アーム4aを車両横幅方向の固定回転アーム4bが存在する側に移動させて可動支持ピン6aをコアaに挿入させ(図8(b)参照)、可動支持ピン6a及び固定支持ピン6b夫々の先端部を大径化させて、ロール体Aをロール体用自動搬送車1から受け取った後、図外の通信手段にて受取完了の信号をロール体用自動搬送車1に送信するように構成されている。
【0055】
制御装置Hは、チャッキング装置2から受取完了の信号を受信する(S15)と、一対の支持体13及び一対のスライドテーブル9を互いに離間させて支持手段8を接触状態から離間状態に切り換えるべく、スライドテーブル9に備えられた横移動用サーボモータ9bの作動を制御する離間移動処理を実行(S16)した後、一対の支持体13を下降移動させるべく、スライドテーブル9に備えられた上下移動用サーボモータ9cの作動を制御する下降移動処理(S17)を実行するように構成されている。
【0056】
つまり、一対の支持体13の夫々が、支持するコアaの軸心方向(車両横幅方向であり、一対の支持体13の並び方向である)に沿って同じ方向に同時に移動可能に構成されており、一対の支持体13の夫々を、支持するコアaの軸心方向に沿って同じ方向に移動させることで、支持するコアaをその軸心方向に移動させることができる。そして、一対の支持体13をその並び方向における固定回転アーム4bが存在する側に移動させて、車両横幅方向に移動不能な固定支持ピン6bを挿入させ、車両横幅方向に移動可能な可動支持ピン6aを車両横幅方向のコアaが存在する側に移動させて可動支持ピン6をコアaに挿入させるようにして、ロール体用自動搬送車1からチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すように構成されている。このようにロール体用自動搬送車1からチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すようにすることで、チャッキング装置2における一対の支持ピン6のうちの一方だけを車両横幅方向に移動自在に構成すればよいため、チャッキング装置2の構成の簡素化を図ることができる。
【0057】
〔別実施形態〕
(1) 上記第1及び第2実施形態では、支持検出手段として撮像装置10を設けたが、支持検出手段として一対の支持体13上にコアaの存否を検出する在荷センサや光電センサ等の各種センサを設けてもよい。また、支持検出手段をロール体用自動搬送車1に備えたが、支持検出手段をチャッキング装置2が設けられた設備側に設けてもよい。
【0058】
(2) 上記第1及び第2実施形態では、一対の支持体13の夫々を、載置支持したコアaをその軸心方向に移動自在に支持する回転自在な回転ローラ14を備えたが、一対の支持体13にてコアaをその軸心方向に移動自在に直接支持できる場合は、一対の支持体13の夫々に直接に載置支持するように構成してもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、回転体を回転ローラ14にて構成したが、回転体を回転ボールにて構成してもよい。
【0059】
(3) 上記第1及び第2実施形態では、一対の支持体13における接触面を、シート材bにおける側面の内周縁から外周縁の径方向の全体に亘って接触する大きさに形成したが、一対の支持体13を上下方向に短く形成することにより、一対の支持体13における接触面をシート材bにおける側面の内周縁とその近くに接触する程度の大きさに形成する等、一対の支持体13における接触面を、シート材bにおける側面の内周縁から外周縁の径方向の一部に接触する大きさに形成してもよい。
【0060】
(4) 上記第1及び第2実施形態では、合成繊維製の接触材15としてナイロン製の接触材15を設けたがポリエステル製等の他の合成繊維製の接触材を設けてもよく、合成繊維製の接触材の他に合成樹脂製の接触材を設けてもよい。また、一対の支持体13をステンレス材等にて構成することでシート材bに直接接触しても問題ない場合等では、一対の支持体13の夫々に接触材15を貼付しなくてもよい。
【0061】
(5) 上記第1及び第2実施形態では、駆動手段を、サーボモータにて構成したが、駆動手段を、ステッピングモータや電動シリンダ等の他のアクチュエータにて構成してもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、支持手段8を接触状態に切り換えた状態で横移動用サーボモータ9bに対してトルク制御を行うようにしたが、支持手段8を接触状態に切り換えた状態で横移動用サーボモータ9bに対して位置制御を行うようにしてもよく、トルク制御と位置制御との両方を行うようにしてもよい。
【0062】
(6) 上記第2実施形態では、支持手段8を接触状態に切り換えた状態で一対の支持体13を車両横幅方向の固定支持ピン6bが位置する側に移動させて、ロール体用自動搬送車1からチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すようにしたが、支持手段8を離間状態に切り換えた状態で一対の支持体13を車両横幅方向の固定支持ピン6bが位置する側に移動させて、ロール体用自動搬送車1からチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すようにしてもよい。ちなみに、この場合、回転ローラ14を制動させる等によりコアaをその軸心方向への移動を防止した状態で、一対の支持体13を車両横幅方向の固定支持ピン6bが位置する側に移動させるように構成してもよい。
【0063】
(7) 上記第2実施形態では、可動回転アーム4aを車両横幅方向に移動させることで、それに支持されている可動支持ピン6aを車両横幅方向に移動させるように構成したが、可動支持ピン6aを、回転アーム4に出退自在に支持させて、可動支持ピン6aを回転アーム4に対して出退移動させることで車両横幅方向に移動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ロール体用自動搬送車
8 支持手段
9b 駆動手段(サーボモータ)
10 支持検出手段
13 支持体
14 回転体
15 接触材
A ロール体
a コア
b シート材
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のコアにシート材が巻回されたロール体を載置支持する支持手段が、前記シート材から両側に突出する前記コアの両端部の外周面を載置支持する一対の支持体を備えて構成され、
前記一対の支持体を互いに遠近移動させる駆動手段が設けられているロール体用自動搬送車であって、
前記一対の支持体の夫々が、前記コアをその軸心方向に沿って移動自在に載置支持し且つ前記支持手段にて支持した前記ロール体の前記シート材の側面に沿う接触面を備えて構成され、
前記支持手段が、前記ロール体を支持した状態で前記駆動手段にて前記一対の支持体が互いに遠近移動操作されることにより、前記シート材の側面と前記一対の支持体の前記接触面とが離間する離間状態と、前記シート材の側面と前記一対の支持体の前記接触面とが接触する接触状態とに切り換えられるように構成されているロール体用自動搬送車。
【請求項2】
前記ロール体が前記支持手段に支持されたことを検出する支持検出手段と、
前記離間状態の前記支持手段に前記ロール体が載せられた後、前記支持手段を前記接触状態に切り換えるべく、前記支持検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられている請求項1記載のロール体用自動搬送車。
【請求項3】
前記一対の支持体の夫々が、載置支持した前記コアをその軸心方向に沿って移動自在に支持する回転自在な回転体を備えて構成されている請求項1又は2記載のロール体用自動搬送車。
【請求項4】
前記一対の支持体の夫々が、前記支持手段にて支持された前記ロール体における前記コアの周方向に沿って前記回転体を複数個備えて構成されている請求項3記載のロール体用自動搬送車。
【請求項5】
前記一対の支持体の夫々における前記接触面が、前記シート材における前記側面の内周縁から外周縁の全体に亘って接触する大きさに形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール体用自動搬送車。
【請求項6】
前記一対の支持体の夫々に、合成繊維製の接触材が貼付されており、
前記接触材の外面にて前記接触面が形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のロール体用自動搬送車。
【請求項7】
前記駆動手段が、サーボモータにて構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール体用自動搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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