説明

ロール紙セット補助装置

【課題】 印刷装置に対するロール紙のセットや交換作業に際し、労力を軽減するとともに作業の容易化を図る。
【解決手段】 ロール紙の外周を把持する保持ハンド19及びこれを開閉操作部21により開閉させてロール紙を着脱自在に把持するロール紙保持機構13と、ロール紙保持機構13を任意の高さに昇降させる昇降機構14と、ロール紙保持機構13及び昇降機構14を床面に沿って運搬する運搬機構15とを具備する。したがって、運搬機構15によりロール紙保持機構13を昇降機構14とともに所望の位置に移動させ、昇降機構14により保持ハンド19を所望の高さに昇降させ、開閉操作部21を操作して保持ハンド19を開閉させることにより、印刷装置に対するロール紙のセットや交換作業に際し、労力を軽減するとともに作業の容易化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷装置に対するロール紙の補給や交換、或いは、ロール紙保管場所でのロール紙の受け取り・受け渡しを労力を要することなく行うことができるロール紙セット補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】CAD(Computer-Aided Design)等により入力したデータを出力する印刷装置では、非常に大きなサイズのロール紙が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ロール紙を印刷装置にセットしたり、印刷装置にセットされたロール紙を交換する作業は人手によって行ってするが、サイズ幅がA0にも及ぶロール紙は非常に重く、保護のためにも中心に肉厚の厚い丈夫な巻芯を備えている場合はさらに重くなる。この重くて大きなロール紙を手で抱え、印刷装置にセットしたり、印刷装置から外したロール紙を保管場所に運ぶ労力は非常に大きい。
【0004】本発明はこのような点に鑑みなされたもので、サイズが大きくても、印刷装置に対するロール紙のセットや交換を小さな労力で容易に行い得るロール紙セット補助装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、ロール紙の外周を把持する保持ハンド及びこの保持ハンドを開閉操作部により開閉させて前記ロール紙を着脱自在に把持するロール紙保持機構と、前記ロール紙保持機構を任意の高さに昇降させる昇降機構と、前記ロール紙保持機構及び前記昇降機構を床面に沿って運搬する運搬機構と、を具備する。
【0006】したがって、運搬機構によりロール紙保持機構を昇降機構とともに所望の位置に移動させ、昇降機構により保持ハンドを所望の高さに昇降させ、開閉操作部を操作して保持ハンドを開閉させることにより、印刷装置に対するロール紙のセットや交換、ロール紙保管場所でのロール紙の受け取りや受け渡しの作業に際し、労力を軽減するとともに作業の容易化を図ることが可能となる。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ロール紙を水平姿勢と垂直姿勢との何れの姿勢でも保持できるように前記保持ハンドの向きを選択的に変換させる向き変換機構を具備する。
【0008】したがって、向き変換機構により保持ハンドの向きを選択することにより、ロール紙の軸方向の向きを水平方向又は垂直方向の何れの方向にも変換することが可能となる。これにより、ロール紙保管場所でのロール紙の向きが垂直で、印刷装置でのロール紙の向きが水平であっても、垂直姿勢で保管されたロール紙を把持し、そのロール紙を水平姿勢に向きを変換して印刷装置にセットすることが可能となる。さらに、不使用時には保持ハンドの向きを垂直に向けることにより狭いスペースに保管することが可能となる。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ロール紙保持機構は、前記保持ハンドに把持される前記ロール紙の端面に対向する端面ガイド部材を具備する。
【0010】したがって、保持ハンドに対してロール紙の端面の位置を端面ガイド部材により定めた状態でロール紙を把持することが可能である。また、ロール紙を垂直姿勢で把持した場合には、その把持状態が不確実であってもロール紙の落下を端面ガイド部材により防止することが可能となる。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記端面ガイド部材は、前記ロール紙の幅サイズに対応して移動自在及び任意位置固定自在に設けられている。
【0012】したがって、ロール紙の幅サイズに応じて端面ガイド部材の位置を調整することが可能となり、これにより、ロール紙の幅サイズが異なっても、ロール紙の端面の位置を端面ガイド部材により定めた状態でロール紙の中央部を保持ハンドの中央部でバランスよく把持することが可能である。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、前記ロール紙保持機構は、前記保持ハンドの端部の外側に向けて延出し前記ロール紙側からの圧力により支点部を中心に揺動可能な揺動アームを有し、この揺動アームに前記端面ガイド部材が支持されている。
【0014】したがって、保持ハンドを印刷装置のロール紙セット位置に接近させる過程で端面ガイド部材が印刷装置側の部材に接触した場合には、支点部を中心に揺動ガイドを揺動させて端面ガイド部材を退避させることが可能となる。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項3ないし5の何れか一記載の発明において、前記端面ガイド部材は、前記ロール紙の中心に挿入されるロール軸とは干渉しない形状に形成されている。
【0016】したがって、保持ハンドでロール紙が保持された状態においても、ロール紙へのロール軸の挿入が可能となる。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記保持ハンドは、対称的に接離する開閉方向に回動自在に支持され対をなす二者で前記ロール紙の略半周を囲繞する開閉部材と、これら対をなす開閉部材のそれぞれに摺動自在及び任意位置固定自在に支持されて対をなす二者で前記開閉部材の内周面の延長面上で前記ロール紙の外周を囲繞する摺動部材とを具備する。
【0018】したがって、開閉操作部の操作により対をなす開閉部材がそれぞれ摺動部材とともに開閉される。開閉部材が開放状態から閉じられたときに、対をなす開閉部材と対をなす摺動部材との四者によってロール紙の外周が半周以上にわたって把持される。摺動部材を開閉部材の内側に摺動させると、対をなす摺動部材の端縁同士の開口幅を広げることが可能であるため、ロール紙の径が大きい場合には把持し易くなる。
【0019】請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記昇降機構は、床面に対して垂直方向に立設された支柱に沿って回転自在に支持されたウォーム棒と、前記支柱に沿って昇降自在に支持され前記ウォーム棒の歯に噛合されて前記ロール紙保持機構に連結されたラック部材とを具備する。
【0020】したがって、ウォーム棒を回転させることにより、ロール紙保持機構を床面に対して垂直方向に昇降させることが可能となる。これにより、保持ハンドを目的とするセット位置の真上に正確に移動させることが可能となる。
【0021】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記ウォーム棒には手動回転可能なハンドルが連結されている。
【0022】したがって、動力を用いることなく安価な構造で昇降機構を構成することが可能となる。
【0023】請求項10記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記ウォーム棒は正逆回転可能なモータに連結されている。
【0024】したがって、労力を要することなくロール紙保持機構を昇降させることが可能となり、さらに、昇降動作の自動制御が可能となる。
【0025】請求項11記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記運搬機構には床面に対して垂直方向の軸線上で回転自在及び任意位置固定自在に支持された回転体を有し、この回転体に前記昇降機構が支持されている。
【0026】したがって、回転体を昇降機構とともに回転させることにより、昇降機構により昇降されるロール紙保持機構の向きを所望の向きに向けることが可能となる。これにより、ロール紙保持機構の向きを変える場合に、狭い場所で運搬機構を旋回させることを回避することができる。
【0027】請求項12記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記運搬機構は、複数の前記ロール紙を垂直姿勢で保管する台車を連結する連結部を有する。
【0028】したがって、運搬機構で台車を牽引することにより、複数の印刷装置にロール紙をセット又は交換する際に、運搬経路を短縮することが可能となる。また、ロール紙は垂直姿勢で保管されるため積み重ねられることがなく、これにより損傷を防止することが可能となる。
【0029】請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記台車は、前記ロール紙の外周の複数箇所を外側から弾性的に押圧する複数の支持アームが前記ロール紙の半径方向に変位自在に設けられている。
【0030】したがって、複数の支持アームでロール紙の外周を支えることができ、これにより台車上のロール紙の倒れを防止することが可能となる。
【0031】請求項14記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記台車は、前記ロール紙の端面を支えるとともにそのロール紙の中心に挿入されるロール軸の端部を嵌合させる筒状の支持部材を具備する。
【0032】したがって、ロール紙をその中心に挿入されたロール軸とともに一緒に把持することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1ないし図15に基づいて説明する。図1は印刷装置のトレイを断面にしてそのトレイにロール紙をセットする状態を示す説明図、図2はロール紙の中心に挿入されるロール軸をその一部を断面にして示す正面図、図3はロール紙の中心にロール軸を挿入した状態を示す正面図、図4R>4は保持ハンドを水平姿勢にしたロール紙セット補助装置及びこれに連結された台車を示す側面図、図5はその平面図、図6は保持ハンドを垂直姿勢にしたロール紙セット補助装置を示す側面図、図7は台車上の支持部材の構成を示す縦断側面図、図8はロール紙セット補助装置の分解斜視図、図9は保持ハンドの開閉操作部を示す分解斜視図、図10はその縦断側面図、図11運搬機構の平面図、図12は運搬機構の内部構造を示す平面図、図1313は運搬機構の内部構造を示す断面図、図14はトレイにロール紙をセットする状態を示す説明図、図15は台車の平面図である。
【0034】図1に示すように、印刷装置が有するトレイ1は本体2に対して矢印方向に引き出し可能に設けられている。トレイ1は異なるサイズのロール紙3を収納するように複数個多段に配列されている。トレイ1の両側の側板4にはU字形の切欠5が形成されている。ロール紙3は中心に剛性の高い巻芯6を有し、この巻芯6に挿入されたロール軸7の両端を切欠5により支持するように構成されている。
【0035】ロール軸7は、図2に示すように、軸部8の両端に環状溝9が形成され、これらの環状溝9がトレイ1の切欠5に保持される。また、ロール軸7は、軸部8の一端に駆動ギヤ(図示せず)によって回転力が与えられるギヤ10と、ロール紙3の巻芯6の内面を圧接する複数の押圧部材11を有する。
【0036】次に、図4ないし図15を参照してロール紙セット補助装置12について説明する。本実施の形態におけるロール紙セット補助装置12は、ロール紙3を保持するロール紙保持機構13と、ロール紙保持機構13を任意の高さに昇降させる昇降機構14と、ロール紙保持機構13及び昇降機構14を床面に沿って運搬する運搬機構15と、さらにロール紙保持機構13の向きを選択的に変換させる向き変換機構16とを具備する。
【0037】主に図8を参照して個々の機構について説明する。ロール紙保持機構13は、パイプ状のハンドルバー17と、このハンドルバー17の下端に固定されたケース状部材18と、このケース状部材18に取り付けられてロール紙3を把持する保持ハンド19とを有する。ハンドルバー17の上部には枠状の把手20が固定されている。
【0038】また、ロール紙保持機構13は、保持ハンド19を開閉する開閉操作部21を備えている。この開閉操作部21は、ハンドルバー17に摺動自在に嵌合され上部がL字形に屈曲された可動バー22を有し、この可動バー22を摺動させることにより保持ハンド19を開閉するものであるが、詳しい構造について後述する。
【0039】さらに、ロール紙保持機構13は、保持ハンド19の端面に対向する端面ガイド部材23を有する。具体的には、ハンドルバー17のケース状部材18の近傍には、保持ハンド19の端部に向けて延出する固定アーム24が連続され、この固定アーム24の先端近傍にはナット25が設けられ、このナットに螺合される支点部としてのネジ26により揺動アーム27が揺動自在に支持されている。揺動アーム27は固定アーム24よりもさらに保持ハンド19の端部方向に延出され、その先に端面ガイド部材23が一体に設けられている。この揺動アーム27は、図8において、ネジ26を中心に上方への揺動動作は許容されるが、下方への揺動動作については図示しないストッパにより阻止されるように構成されている。このストッパの機能については、他の実施の形態において説明する。なお、端面ガイド部材23はロール軸7(図1ないし図3参照)に干渉しない形状、すなわち、ロール軸7の挿入を許容する形状で形成されている。
【0040】次に、運搬機構15について説明する。図4R>4、図8に示すように、運搬機構15は台座28に複数のキャスタ29を設けることにより形成されている。この台座28には回転体30が床面31に対して垂直方向の軸線上で回転自在及び任意位置固定自在に支持され、この回転体30に昇降機構14が固定的に支持されている。昇降機構14は、回転体30に固定されて垂直方向に立設された支柱32と、この支柱32に沿って回転自在に支持されたウォーム棒33と、支柱32に沿って昇降自在に支持されてウォーム棒33の歯に噛合されたラック部材としての可動アタッチメント34とを具備する。ウォーム棒33はその上端に連結されたハンドル35を回すことで回転し可動アタッチメント34を昇降させるが、ハンドル35に代えて正逆回転自在のモータ36によりウォーム棒33を回転駆動するようにしてもよい。可動アタッチメント34は枠状の形をした昇降フレーム37の一辺に固定され、昇降フレーム37には枠状の形をした回転誘導フレーム38が支持され、この回転誘導フレーム38に前述のロール紙保持機構13が支持されている。
【0041】図8に示すように、可動アタッチメント34は、昇降フレーム37に固定された板部34aと、この板部34aから突出する幅の狭いくびれ部34bと、このくびれ部34bから広がるラック部34cとを有する。そして、支柱32は、くびれ部34bとラック部34cとを合わせた断面形状の案内溝32aにより可動アタッチメント34を昇降させるように構成されている。
【0042】図8で理解されるように、回転誘導フレーム38は、その左右両側に固定したヒンジ片39を昇降フレーム37の一辺に嵌合することにより垂直面内で回動可能であり、上下両側に固定したヒンジ片40によりロール紙保持機構13のハンドルバー17の軸線周りの回転運動を許容する。ハンドルバー17には二つのヒンジ片40の内面に当接して両者の嵌合位置を定める筒状部材41が固定されている。
【0043】ここで、図4に示す状態では、ロール紙保持機構13の保持ハンド19は軸線が水平方向(紙面に対して垂直方向)となる水平姿勢に維持されるが、ヒンジ片39を中心にしてハンドルバー17を矢印R方向に90度旋回するとともに、ヒンジ片39を中心に回転誘導フレーム38とともに矢印D方向に90度倒すと、図6R>6に示すように保持ハンド19は軸線が床面31に対して垂直方向(紙面に対して平行方向)となる垂直姿勢に維持される。すなわち、昇降フレーム37と、これに回動自在に支持されてハンドルバー17の旋回運動を許容する回転誘導フレーム38とにより、ロール紙3を水平姿勢と垂直姿勢との何れの姿勢でも保持できるように、保持ハンド19向きを選択的に変換させる向き変換機構16が形成されている。
【0044】次に、図9及び図10を参照して保持ハンド19の構成と、その開閉操作部21の構成について説明する。まず、保持ハンド19は、対称的に接離する開閉方向に回動自在に支持され対をなす二者でロール紙3の略半周を囲繞する開閉部材42,43と、これら対をなす開閉部材42,43のそれぞれに摺動自在及び任意位置固定自在に支持されて対をなす二者で開閉部材42,43の内周面の延長面上でロール紙3の外周を囲繞する摺動部材44,45とを具備する。開閉部材42,43は、その上部外周に形成された突片46,47が軸48を介してケース状部材18に回動自在に支持され、軸48にはギヤ49が嵌合されている。この場合、開閉部材42,43は、軸48及びギヤ49とともに一体に回動するように構成されている。
【0045】ここで、開閉部材42に対する摺動部材44の取り付け関係について説明する。図9に示すように、開閉部材42は両端面には摺動部材44の端面と重なるフランジ50が形成され、これらの両端のフランジ50の一部には円形の孔51が形成され、この孔51にはコイルばね52とこのコイルばね52による付勢された係止体53とが抜け止めされた状態で設けられている。係止体53は端面が半球状の突起形状に形成され、この係止体53に選択的に係止される複数の係止凹部54が摺動部材44の両端面に形成されている。また、摺動部材44の外周面の中央部には摘みの機能を兼ねたスライドバー55が立設され、このスライドバー55を突出させる切り込み56と、この切り込み56の縁に沿う目盛り57とが開閉部材42に形成されている。摺動部材44はスライドバー55を上下方向に移動させると開閉部材42の下端からの突出長さが変化し、その摺動部材44の下側の一辺と反対側の摺動部材45の下側の一辺との間隔が変化する。その変化量は係止体53をどの係止凹部54に係止させるかによって決まり、その状態でスライドバー55と目盛り57とを対応させることにより認識できるように構成されている。このような構成は開閉部材43に対する摺動部材45の取り付け関係についても同様である。
【0046】そして、前述した可動バー22は図示しないスプリングにより把手20側に付勢され、把手20とは反対側にはギヤ49に噛合されたラック58が形成されている。そして、ラック58が形成された可動バー22と、軸48とともに回転する二つのギヤ49とにより開閉操作部21が形成されている。すなわち、スプリングの付勢力に抗して可動バー22を把手20とは反対側に摺動させることにより、ギヤ49が軸48及び開閉部材42,43とともに開放方向に回動する。可動バー22は手を離すとスプリングの付勢力により把手20側に復帰し、ギヤ49が軸48及び開閉部材42,43とともに閉止方向に回動するように構成されている。
【0047】図4及び図5に示すように、運搬機構15は台車59を連結する連結部60を有する。本実施の形態では、連結部60は筒状の形をして下端が台座28に固定されたもので、これと同様の連結部61が台車59にも設けられ、これらの連結部60,61の上端に、連結棒62の両端を屈曲した屈曲部を嵌合することで、運搬機構15に台車59が連結される。
【0048】台車59は複数のキャスタ63を有し、上面にはロール紙3の端面を支えるとともにそのロール紙3の中心に挿入されたロール軸7の端部を嵌合させる筒状の支持部材64が複数個設けられ、これらの支持部材64の外周部には、ロール紙3の外周の四箇所を引張ばね66の付勢力により外側から弾性的に押圧する四個の支持アーム65が支軸67により回動自在に支持されている。
【0049】次に、図11ないし図13を参照し、前述のように、昇降機構14の支柱32を支持する回転体30の支持構造について説明する。図11に示すように、運搬機構15を構成する台座28には操作レバー68が溝69に沿って移動自在に設けられている。図12、図1313に示すように、台座28の内部には、操作レバー68の操作により支軸70を中心として回動するカムバー71が設けられ、さらに、2本のスプリング72,73により互いに近接する方向に付勢されたラックバー74が接離する方向に変位自在に設けられ、これらのラックバー74の内面には摩擦力により回転体30の回転運動を阻止する鋸歯状の歯が75が形成され、さらに、カムバー71の回動範囲を規制するストッパ76が設けられている。
【0050】図11(a)に示すように、操作レバー68を右に位置させた状態は、図12(a)に示すように、カムバー71が斜めに維持されているため、ラックバー74はスプリング72,73の付勢力により近接し、歯75により回転体30を静止状態に維持する。図1111(b)に示すように、操作レバー68を左に寄せた状態は、図12(b)に示すように、カムバー71が支軸70を中心に回動してラックバー74を回転体30から離反させるため、回転体30の回転運動を許容する。
【0051】このような構成において、印刷装置の本体2のトレイ1にロール紙3とロール軸7とをセットする作業について説明する。図4に示す状態は、ロール紙セット補助装置12の運搬機構15と台車59とが連結されているが、運搬機構15で台車59を牽引する必要がない場合は両者は連結しない。この連結しない状態で、運搬機構15をロール紙保管場所に移動し、保管されたロール紙3をロール紙保持機構13により保持する。ロール紙3は台車59上に支持されている場合と他の場所に保管されている場合とがあるが、この例では台車59上のロール紙3を保持してトレイ1にセットする場合について説明する。
【0052】図4に示す状態では保持ハンド19はその軸線が水平方向に向いた状態であるが、この状態で、ハンドルバー17を回転誘導フレーム38とともにヒンジ片39を中心に矢印D方向に略90度倒すとともに、ヒンジ片40を中心に矢印R方向に90℃旋回すると、図6R>6に示すように、ハンドルバー17が水平方向に向き、保持ハンド19はその軸線が垂直方向に向いた状態になる。保持ハンド19が垂直方向に向く状態は、図6に示すように、端面ガイド部材23を下方に位置させる状態と、この状態からヒンジ片40を中心としてハンドルバー17を180度旋回させて端面ガイド部材23を上方に位置させる状態とがある。保持ハンド19で垂直姿勢のロール紙3を保持しにゆくときは、図6の状態とは反対に端面ガイド部材23を上方に向けて保持ハンド19をロール紙3の中間に対向させる。
【0053】この状態で、可動バー22をロール紙3側に摺動させると、前述のように保持ハンド19が開く。運搬機構15をロール紙3側に移動させ、開いた保持ハンド19内にロール紙3が入った状態で可動バー22から手を離すと、可動バー22がスプリングの付勢力により把手20側に復帰し、保持ハンド19は閉じる方向に変位してロール紙3の外周を把持する。
【0054】このようにして保持したロール紙3を所望の印刷装置まで運搬するときは、図6に示すように、端面ガイド部材23を下方に位置させることが望ましい。これにより、ロール紙3を垂直姿勢で把持した場合には、その把持状態が不確実であってもロール紙3の落下を端面ガイド部材23により防止することができる。保持ハンド19に対してロール紙3の端面の位置を端面ガイド部材23により定めた状態でロール紙3を把持することができる。
【0055】保持したロール紙3を印刷装置のトレイ1まで運搬した後は、図4及び図5に示すように、ヒンジ片39を中心にハンドルバー17を垂直方向に向け、ヒンジ片40を中心にハンドルバー17を旋回させて保持ハンド19をロール紙3とともに水平姿勢に維持する。
【0056】この状態で、昇降機構14のハンドル35を回してウォーム棒33を回転させると、可動アタッチメント34が昇降フレーム37、回転誘導フレーム38、ロール紙保持機構13とともに昇降する。こように昇降機構14を動作させてロール紙3を目的とするトレイ1の高さに合わせ、運搬機構15を移動させることにより、図14に示すように、ロール紙3をトレイ1の真上に位置させる。この状態で、昇降機構の14の動作によりロール紙保持機構14を下降させると、ロール紙3の中心に挿入されたロール軸7の環状溝9がトレイ1の切欠5により保持され、ロール紙3がトレイ1にセットされる。
【0057】トレイ1内のロール紙3を交換する場合などのために、トレイ1からロール紙3をロール軸7とともに取り出す場合には、前述したセット操作とは逆の操作で行う。すなわち、空の保持ハンド19をトレイ1の真上に位置させ、この状態で可動バー22の操作により保持ハンド19を開き、保持ハンド19を下降させ、保持ハンド19の中にロール紙3が入った状態で保持ハンド19を閉じることによりロール紙3を保持し、昇降機構14により保持ハンド19を上昇させると、ロール紙3とその中心に挿入されたロール軸7とがトレイ1から取り出される。この取り出されたロール紙3とロール軸7とは、運搬機構15により所望の保管場所又は台車59まで運搬され、そこに保管される。この場合、ロール紙3の保管姿勢が水平姿勢か垂直姿勢かに選択する必要がある場合は、その姿勢に応じてハンドルバー17を旋回すればよい。
【0058】以上のように、運搬機構15によりロール紙保持機構13を昇降機構14とともに所望の位置に移動させ、昇降機構14により保持ハンド19を所望の高さに昇降させ、開閉操作部21を操作して保持ハンド19を開閉させることにより、印刷装置に対するロール紙3のセットや交換、ロール紙保管場所でのロール紙3の受け取りや受け渡しの作業に際し、労力を軽減するとともに作業の容易化を図ることができる。
【0059】また、ロール紙を水平姿勢と垂直姿勢との何れの姿勢でも保持できるように保持ハンド19の向きを向き変換機構16により選択的に変換できるので、ロール紙3の軸方向の向きを水平方向又は垂直方向の何れの方向にも変換することができる。これにより、ロール紙保管場所でのロール紙3の向きが垂直で、印刷装置のトレイ1におけるロール紙3の向きが水平であっても、垂直姿勢で保管されたロール紙3を把持し、そのロール紙3を水平姿勢に向きを変換して印刷装置のトレイ1にセットすることができる。さらに、不使用時には保持ハンド19の向きを垂直に向けることにより狭いスペースに保管することができる。
【0060】さらに、ロール紙保持機構13は、保持ハンド19の端部の外側に向けて延出しロール紙3側からの圧力によりネジ(支点部)26を中心に揺動可能な揺動アーム27を有し、この揺動アーム27に端面ガイド部材23が支持されているので、保持ハンド19を印刷装置のロール紙セット位置に接近させる過程で端面ガイド部材23がトレイ1側の部材に接触した場合には、ネジ26を中心に揺動ガイドを図14の矢印方向に揺動させて端面ガイド部材23を退避させることができる。これにより、トレイ1及び端面ガイド部材23などの破損を防止できる。
【0061】また、本実施の形態では、ロール紙3をその中心に挿入したロール軸7とともに保管するようにしたが、ロール紙3のみの状態で保管するようにしてもよい。この場合には、端面ガイド部材23は、ロール紙3の中心に挿入されるロール軸7とは干渉しない形状に形成されているので、保持ハンド19により保持された状態のロール紙3の中心に後からロール軸7を挿入することができる。
【0062】さらに、保持ハンド19は、対称的に接離する開閉方向に回動自在に支持され対をなす二者でロール紙3の略半周を囲繞する開閉部材42,43と、これらの開閉部材42,43のそれぞれに摺動自在及び任意位置固定自在に支持されて対をなす二者で開閉部材42,43の内周面の延長面上でロール紙3の外周を囲繞する摺動部材44,45とを具備するので、開閉部材42,43が開放状態から閉じられたときに、対をなす開閉部材42,43と対をなす摺動部材44,45との四者によってロール紙3の外周を半周以上にわたって把持することができる。また、スライドバー55を目盛り57に対応させて移動させ、摺動部材44,45を開閉部材42,43の内側に摺動させると、摺動部材44,45の端縁同士の開口幅を広げることができる。これにより、ロール紙3の径が大きい場合には把持し易くなる。
【0063】さらに、本実施の形態の昇降機構14は、床面に対して垂直方向に立設された支柱32に沿って回転自在に支持されたウォーム棒33と、このウォーム棒33の歯に噛合されてロール紙保持機構13に連結された可動アタッチメント34とを具備するので、ロール紙保持機構13を床面に対して垂直方向に昇降させることができ、これにより、保持ハンド19を目的とするトレイ1の真上に正確に移動させることができ、ロール軸7の環状溝9とトレイ1の切欠5との位置合わせを正確にすることができる。この場合、ウォーム棒33に手動回転可能なハンドル35を連結することにより、安価な構造で昇降機構14を構成することができる。もちろん、ウォーム棒33を正逆回転可能なモータ36により駆動するようにしてもよい。この場合には、労力を要することなくロール紙保持機構13を昇降させることが可能となり、さらに、昇降動作の自動制御が可能となる。
【0064】さらに、運搬機構15の台座28には、図6R>6、図11ないし図13に示すように回転体30を有し、この回転体30に昇降機構14が支持されているので、回転体30を昇降機構14とともに回転させることで、昇降機構14及びこれにより昇降されるロール紙保持機構13の向きを所望の向きに向けることができる。これにより、印刷装置の位置によってロール紙保持機構13の向きを変える場合に、狭い場所で運搬機構15を旋回させることを回避することができる。また、図6に示すように、ロール紙3を支持する台車59が運搬機構15に連結されている場合には、回転体30を支柱32とともに180度回転させることで、ロール紙保持機構13を台車59側に向け、連結した台車59のロール紙3をロール紙保持機構13により受け取ることができる。
【0065】また、ロール紙3を支持した台車59を運搬機構15で牽引する使用形態を選択できるので、複数の印刷装置にロール紙3をセット又は交換する際に、運搬経路を短縮することができる。また、ロール紙3は垂直姿勢で保管されるため積み重ねられることがなく、これにより損傷を防止することができる。
【0066】さらに、図4、図5、図7に示すように、台車59は、ロール紙3の外周の複数箇所を外側から弾性的に押圧する複数の支持アーム65と、ロール紙3の中心に挿入されるロール軸7の端部を嵌合させる筒状の支持部材64とを具備するので、ロール紙3及びロール軸7の倒れを防止することができる。
【0067】なお、図15に示すように、比較的多数のロール紙3を載置する台車59の場合には、その台車59の上に、ロール紙3を囲む仕切板77の両端をポール78などによって支持して設けることにより、台車59上のロール紙3の倒れを防止できる。この場合、台車59の上のロール紙3を保持ハンド19により把持しにゆくときに、仕切板77は保持ハンド19との干渉を避けるために、退避可能に設けることが必要である。退避可能な支持手段としては、仕切板77を回動自在に支持する構成、上方に移動自在に支持する構成などが挙げられる。
【0068】次に、本発明の第二の実施の形態を図16ないし図18に基づいて説明する。前記実施の形態と同一部分は同一符号を用い説明も省略する。図16は端面ガイド部材の支持構造を示す斜視図、図17は端面ガイド部材の支持構造を示す正面図、図18は端面ガイド部材の支持構造を拡大して示す縦断側面図である。
【0069】図16に示すように、ロール紙保持機構13の構成部材をなすハンドルバー17には保持ハンド19(図8参照)の軸線と平行な固定アーム79の一端が固定的に設けられ、この固定アーム79の先端付近には揺動アーム80が支点部81を中心に揺動自在に設けられている。固定アーム79の先端は、揺動アーム80が自重により下方に揺動する範囲を規制するストッパ79aとしての機能を有する。この揺動アーム80を揺動させる目的は、図14において揺動アーム27を矢印方向に揺動させる効果と同様の効果を得るためである。本実施の形態における特徴は、端面ガイド部材82を揺動アーム80の長手方向に沿って移動自在及び任意位置固定自在に設けた点である。
【0070】具体的に説明すると、揺動アーム80の長手方向に沿って複数の係止凹部83がロール紙3の幅サイズ差に対応する間隔で形成されている。これらの係止凹部83は揺動アーム80の幅方向の両側に向けて開口されている。端面ガイド部材82は、前記実施の形態と同様にロール軸7と干渉しないように逆U字型の形状をなし、揺動アーム80に摺動自在に嵌合された摺動部材84を上部に有する。この摺動部材84には、図18に示すように、一対の係止片85が軸86により対称的に回動自在に設けられている。これらの係止片85は一端に摘み87を有し、下端がスプリング88の付勢力により揺動アーム80の係止凹部83に係止されている。揺動アーム80の先端には摺動部材84の抜け止めを図るためにストッパ89が固定されている。
【0071】このような構成において、端面ガイド部材82は、係止片85が係止凹部83により係止された状態で所望の位置に固定されるが、スプリング88の付勢力に抗して摘み87を内側に押圧すると、係止片85が軸86を中心に回動して係止凹部83から外れるので、ロール紙3の幅サイズに応じて端面ガイド部材82の位置を調整することができる。これにより、ロール紙3の幅サイズが異なっても、保持ハンド19に対してロール紙3の端面の位置を端面ガイド部材82により定めた状態でロール紙3を把持することができる。
【0072】次に、図19ないし図37を参照して本発明の第三の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述した昇降機構14のウォーム棒33を駆動するために正逆回転可能なモータ36(図4参照)を用いた例で、ロール紙保持機構13の昇降動作制御についての実施の形態である。本実施の形態は図19ないし図24に示すように、操作により画面を切り替えることが可能なタッチパネル方式の操作入力/表示パネル100を備えている。図19ないし図24は操作入力/表示パネル100の説明図である。図25ないし図37は各種の制御処理を示すフローチャートである。
【0073】図19は操作入力/表示パネル100の値指定画面で、この値指定画面において、表示される表示枠101に表示される現在の高さとは、昇降機構14の昇降動作により刻々と変わるロール紙保持機構13の高さである。
【0074】最上、中央、最下の各ボタン102は、ロール紙保持機構13を最上、中央、最下の所望の高さに昇降させるもので、各高さの値は定義値によって登録されている。このロール紙保持機構13の高さは画面に表示されているアタッチメントの高さ(昇降機構14の可動アタッチメント34の高さ)に対応されている。
【0075】A4ないしA0の各ボタン103は、幅サイズの大きいロール紙3の場合は一定の高さまで持ち上げないと床面31と接して垂直面内での回転が不可能となるので、A4ないしA0サイズのロール紙3に対応するボタン103を押したときに、ロール紙3の垂直回転が可能な高さまでロール紙保持機構13を上昇させる高さであり、その高さの値は定義値で登録されている。と示されたボタン103は他の不定形のロール紙3に対応するロール紙保持機構13の高さである。
【0076】表示枠104は、その右側に並設された三角マークで示すアップダウン用のボタン105を押することにより、ロール紙3を等間隔で上昇又は下降させる場合の等間隔の値を表示するものであり、この値は定義値で登録されていて上昇下降とも同じ値である。等間隔の意味であるが、複数のトレイ1が上下方向に棚の構造で配列されている場合、あるトレイ1から上下何れかのトレイ1までロール紙保持機構13を上昇又は下降させる場合に役立つ。
【0077】U1,U2,U3で示されるその他のボタン106は、ユーザーが定めた高さまで、ロール紙保持機構13を昇降させる高さの値で、この値は複数のボタン106毎に定義値で登録されている。ユーザーが決めた高さとは、例えば物置の棚の高さがある。この物置の棚を、ロール紙3を保管するものと考えるとロール紙3を受け取りに行くときにロール紙保持機構13を上昇させる場合の操作が容易になる。
【0078】表示枠107は、ロール紙保持機構13を位置させる高さをテンキー108により直接入力したときの高さを表示する。この状態で実行ボタン109を押圧すると昇降機構14が駆動されロール紙保持機構13が昇降する。クリアボタン110を押すと表示枠107の入力値はクリアされ、表示枠107の横にあるスピンボタン108aを押すと、入力値はインクリメント又はデクリメントされる。
【0079】T1ないしT4のボタン111はそれぞれ高さ位置が異なるトレイ1に対応して設けられ、所望のスピンボタン108aを押圧したときに、ロール紙保持機構13を所望の位置まで昇降させるもので、各スピンボタン108a毎に設定される昇降高さの値は定義値で登録される。
【0080】M1ないしM4の各マクロボタン112は、この例では4個用意されている。これらのマクロボタン112は、これまで説明した定義値全体(アタッチメント高さ、等間隔、垂直回転が可能な高さ、トレイの高さなど)の設定値をM1ないしM4の各マクロボタン112で分けたグループ毎に定めておくためのものである。
【0081】例えば、複数の印刷装置を利用する場合で、印刷装置によってトレイ1の高さや数が異なる場合に、印刷装置毎に定義値全体を設定しておき、所望の印刷装置に対応するマクロボタン112を選択する。図19R>9はM1のボタン112を押した状態を示す。そのマクロボタン112は反転状態(図では網掛け状態で図示)の表示となって選択されたことを示し、各定義値はM1の設定値である。
【0082】定義値変更ボタン113は、定義値を変更したいときに押すものであり、停止ボタン114は昇降機構14の動作を停止させるときに押すものである。
【0083】ところで、ボタン102〜105,109,111の何れかを押すと、ロール紙保持機構13は昇降機構14により昇降されるが、昇降動作中は押されたボタンが反転状態になる。図20はロール紙保持機構13を等間隔で上昇させるときに押したアップのボタン105が選択されたために反転状態となり、図21は実行ボタン109が選択されたために反転状態となり、ともに操作の受け付けを拒否するボタンは半輝度状態(図では点線で表示)となる様子を示している。ロール紙保持機構13の昇降動作中は停止ボタン114の操作しか受け付けない。
【0084】各定義値は定義しない限り初期値(例えば、ゼロ)であるが、初期状態でもテンキー108により直接入力して実行ボタン109を押すことによりロール紙保持機構13を昇降させることができる。
【0085】図19に示す値指定画面において、定義値変更ボタン113を押圧すると、図22に示す定義値変更画面が呼び出される。この画面の定義値を設定する各ボタンのうち、どれか1つは反転状態となっている。ここでは画面起動で「アタッチメントの高さ」の最上のボタン130が反転状態になっているとする。
【0086】ここで、図22に示す定義値変更画面における各機能について説明する。
【0087】表示枠115は、保持機構(ロール紙保持機構13)の高さを示す。これは、図19における表示枠101で示した現在の高さと同じである。その表示枠115の右側にある>のボタン116を押すと、定義値の入力の表示枠117に値が表示される。
【0088】表示枠118は、選択により反転状態になっているボタンに関連する定義値の現在値を表示する。この表示枠118の右側の>ボタン119を押すと、定義値の入力の表示枠117に値が表示される。
【0089】表示枠117は、ボタン116,119の他に、テンキー120で定義値を入力したときにもその入力値を表示し、その値は確定のボタン121を押すことにより更新される。但し、仮の更新であり、正式に更新したければ更新ボタン122を押す必要がある。
【0090】クリアのボタン123は入力値をクリアする。表示枠117の右側のスピンボタン124は入力された値をインクリメント又はデクリメントするときに使用する。
【0091】標準ボタン125は予め定めた標準値に戻すときに使用する。但し、U1ないしU3などの「その他」関連のボタン126と、T1ないしT4のトレイ1の高さの関連のボタン127が選択され反転状態の場合は、標準値がないので標準ボタン125は半輝度となる。
【0092】表示枠128は、定義値更新の対象となっているマクロ情報ID(前述したM1〜M4)を表示する。このマクロ情報IDは更新ボタン122を押したときに確定され、図19に示す値指定画面に戻る。取消ボタン129は、更新した定義値を破棄して、値指定画面に戻るときに押す。この場合の定義値は、定義値変更画面を呼び出す以前の値のままである。
【0093】何も定義されない限りは定義値は予め定められた初期値になっている。変更したい定義値があれば、定義値に関連するボタン127、130、131を押す。押されたボタンは反転状態になり、現在値が表示される。なお、図22の定義値変更画面におけるボタン130、131は、図19の定義値変更画面におけるボタン102、103に対応するボタンである。
【0094】図22では、アタッチメントの高さの最上のボタン130が押され、表示枠118にロール紙保持機構13の高さの定義値の現在値180が表示されている。要するにボタンの反転状態は、表示されている現在値が、どのボタンが指す定義値なのかを示している。反転状態が解除される時は、他の定義値があるボタンが押された時であり、新たに押されたボタンが代わって反転状態になり、その定義値の現在値が表示枠118に表示される。
【0095】図23は、値指定画面の入力コードの定義を示した説明図(定義値としての入力コードが設定されているボタン種を網掛けして示した説明図)である。図2424は定義値変更画面の入力コードの定義を示した説明図(定義値としての入力コードを設定するためのボタン種を網掛けして示した説明図)である。
【0096】なお、昇降機構14のウォーム棒33を駆動するモータ36(図4参照)は、マイクロコンピュータ構成の制御部(図示せず)により制御される。また、前述のマクロ情報は各種の定義値とともにハードディスク(図示せず)に更新自在に格納されるように構成されている。
【0097】次に、ロール紙保持機構13の高さを設定する処理について説明する。まず、図25を参照して画面の起動処理について説明する。この処理は電源を投入すると起動する。先ず、ハードディスク(HDD)からマクロ情報のデータを読み(S10)、次に、値指定画面を起動する(S11)。ステップS12において画面入力ありと判断したときは、ステップS13において画面の種類を判断し、値指定画面と判断したときは、値指定画面の処理をする(S14)。定義値変更画面と判断したときは、定義値変更画面の処理をする(S15)。このステップS12ないしステップS15の処理は、電源がOFFになったと判断する(S16のY)まで繰り返す。
【0098】次に、ステップ14における定義値画面での処理を図26に基づいて説明する。この定義値画面上で、入力コードの有無及び種類を判断する(S20)。この判断処理は、等間隔、定義値、マクロ情報、実行、定義値変更、テンキー入力の6種類に分別する。これは図19における定義値画面のどのボタンからの入力かにより判断する。等間隔の入力があれば等間隔ボタンの処理(S21)に移る。等間隔の入力コードはボタン105からの入力である。
【0099】定義値の入力があれば定義値ボタンの処理(S22)に移る。定義値の入力コードはアタッチメントの高さ、垂直回転が可能な高さ、その他、トレイ1の高さに属する各ボタン102、103、106、111の合計16個のボタン(図23において網掛けして示すボタン)からの入力である。
【0100】マクロ情報の入力があればマクロボタンの処理(S23)に移る。マクロ情報の入力コードはマクロに属する4つのボタン(M1〜M4)112である。
【0101】実行ボタン109が選択されると実行ボタンの処理(S24)に移る。
【0102】定義値変更ボタン113が選択されると定義値変更ボタンの処理(S25)に移り、定義値変更の画面に切り替える処理に移行する。
【0103】テンキー108からの入力があればテンキー入力処理(S26)に移る。この場合、テンキー入力の入力コードは0〜9のテンキー108の他に、クリア用のボタン110、インクリメント及びデクリメント用のスピンボタン108aを含む合計13のボタンからの入力である。一般のテンキーによる数字入力の処理と変わらないので、ここで詳細に述べることはしない。
【0104】次に、ステップS15における定義値変更画面での処理を図27に基づいて説明する。この処理は定義値変更画面が表示されていて、且つ画面からの入力があったときに、入力コードの有無及び種類を判断する。この判断処理は、まず、ステップS30において、入力コードを確定、定義値、標準、更新、取消、表示値入力、テンキー入力の6種類に分別する。これは図22における定義値変更画面のどのボタンからの入力かにより判断する。確定のボタン121からの入力があれば確定ボタンの処理(S31)に移る。
【0105】定義値の入力があれば定義値ボタンの処理(S32)に移る。定義値の入力コードはアタッチメントの高さ、等間隔、垂直回転が可能な高さ、その他、トレイの高さに属するボタン130、131、132、127の合計17個のボタン(図24において網掛けして示すボタン)からの入力である。なお、定義値変更画面は、値指定画面とでは等間隔の扱いが異なる。
【0106】標準ボタン125の入力があれば標準ボタンの処理(S33)に移る。
【0107】更新ボタン122又は取消ボタン129が選択されると更新ボタン、取消ボタンの処理(S34)に移る。更新ボタン処理のみ行なう場合もあるが、どれを選択しても最終的に値指定画面に戻る。戻るまでの画面処理は共通している。
【0108】ボタン116,119が選択されると、表示枠117における表示値入力の処理(S35)に移る。
【0109】テンキー120からの入力があればテンキー入力処理(S36)に移る。この場合の入力は、0〜9のテンキー120、クリア用のボタン123、インクリメント及びデクリメント用のボタン124を含む合計13個のボタンからの入力である。この場合、一般のテンキーによる数字入力の処理と変わらないので、ここで詳細に述べることはしない。
【0110】次に、ステップS21における等間隔ボタンの処理を図28に基づいて説明する。この処理は、簡単に言えば、ロール紙保持機構13の現在の高さに等間隔の値を増減して算出した値まで、ロール紙保持機構13を昇降させることである。等間隔の値はマクロ情報M1〜M4で定義されていれば4つあることになる。そこで表示マクロ情報IDをキーにして該当する等間隔の値をテーブルから取得する(S40)。次に選択した上昇又は下降のボタン105を反転させ(S41)、停止ボタン114以外のボタンを半輝度状態に表示して選択を不可とし(S42)、選択したボタン105を判断する(S43)。
【0111】選択したボタンが上昇のボタン105であれば、目標の高さ=ロール紙保持機構13の現在の高さ+等間隔の値を算出し(S44)、その算出した値まで、ロール紙保持機構13を昇降機構14により上昇させる。この上昇中は、ロール紙保持機構13が目標の高さに達したか否かを判断し(S45)、目標の高さを越えたときは、目標の高さ=上昇限界値であることを一時データとして保存する(S46)。
【0112】選択したボタンが下降のボタン105であれば、目標の高さ=ロール紙保持機構13の現在の高さ−等間隔の値を算出し(S47)、その算出した値まで、ロール紙保持機構13を昇降機構14により下降させる。この下降中は、ロール紙保持機構13が目標の高さに達したか否かを判断し(S48)、目標の高さを過ぎたときは、目標の高さ=下降限界値であることを一時データとして保存する(S49)。
【0113】ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたかを判断し、否定されたときは(S50のN)、昇降機構14によりロール紙保持機構13の昇降を続行し(S51)、そのときのロール紙保持機構13の高さデータを取得し、表示枠101に現在の高さとして表示する。このときのに高さデータは、例えば、モータ36の回転数をエンコーダ(図示せず)により認識し、或いは可動アタッチメント34の高さ位置をセンサ(図示せず)により認識することにより取得できる。
【0114】ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたと判断したときは(S50のY)、昇降機構14を停止させ(S53)、そのロール紙保持機構13の高さを保持し(S54)、それまで選択されていたボタン105の反転状態を解除し(S55)、停止ボタン114以外のボタンを選択可能とするために半輝度状態を解除する(S56)。
【0115】次に、ステップS22における定義値ボタンの処理を図29に基づいて説明する。この処理は、簡単に言えばロール紙保持機構13を、特定条件を示した定義値のボタンを押せば、特定条件に結び付いた高さまで昇降させる処理である。図23において網掛けして説明したように、定義値のボタン102,103,105,111は16個だが、マクロ情報はマクロボタンM1〜M4毎に定義する。そこで表示マクロ情報IDと選択した定義値IDをキーとにして、該当する値をテーブルから取得する(S60)。取得した値が目指す高さとなる。次に、ボタン102,103,105,111の中から選択したボタンを反転させ(S61)、停止ボタン114以外のボタンを半輝度状態に表示して選択を不可とする(S62)。ステップS61での処理は、選択されたボタンの定義値に従って昇降機構14を駆動してロール紙保持機構13を昇降させる制御を含む。
【0116】ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたかを判断し、否定されたときは(S63のN)、昇降機構14によりロール紙保持機構13の昇降を続行し(S64)、そのときのロール紙保持機構13の高さデータを取得し、表示枠101に現在の高さとして表示する(S65)。
【0117】ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたと判断したときは(S63のY)、昇降機構14を停止させ(S66)、そのロール紙保持機構13の高さを保持し(S67)、停止ボタン114以外のボタンを選択可能とするために半輝度状態を解除し(S68)、それまでボタン102,103,106,111の何れかから選択されていたボタンの反転状態を解除する(S69)。
【0118】次に、ステップS23におけるマクロボタンの処理を図30に基づいて説明する。マクロ情報はM1〜M4の4通りある。図19に示すようにM1のマクロボタン112が選択されているときは、それに対応するマクロ情報が表示されている。もし違うマクロ情報を表示させたい場合は、他のマクロボタン112を選択する。すなわち、ステップS70では、選択したマクロボタン112のIDとテーブル(図示せず)に設定されている表示マクロ情報IDとを比較し、異なるときは、今までの選択状態のマクロボタン112の反転を解除し、今回選択されたマクロボタン112の反転表示を行い(S71)、テーブルの表示マクロIDを更新し(S72)、選択したマクロボタン112に関するマクロ情報IDをテーブル(図示せず)から取得し(S73)、等間隔の値を画面の等間隔の表示枠104に表示する。
【0119】次に、ステップS24の実行ボタンの処理を図31に基づいて説明する。この処理は、実行ボタン109が押されたときに、テンキー108で入力した値が指す高さまでロール紙保持機構13を昇降させる処理である。まず入力値と有効値を取得する(S80)。有効値はここでは上昇限界値と下降限界値との間の昇降可能な高さとして予め定められている。入力値が有効範囲内であると判断したときは(S81のY)、実行ボタン109を反転させ(S82)、停止ボタン114以外のボタンを半輝度状態にして選択不可とする(S83)。
【0120】続いて、ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたかを判断し、否定されたときは(S84のN)、昇降機構14によりロール紙保持機構13の昇降を続行し(S85)、そのときのロール紙保持機構13の高さデータを取得し、表示枠101に現在の高さとして表示する(S86)。
【0121】ロール紙保持機構13が目標の高さに達し、又は停止ボタン114が押されたと判断したときは(S84のY)、昇降機構14を停止させ(S87)、そのロール紙保持機構13の高さを保持し(S88)、停止ボタン114以外のボタンを選択可能とするために半輝度状態を解除し(S89)、それまで選択されていた実行ボタン109の反転状態を解除する(S89−1)。
【0122】ステップS81において、入力値が有効でないと判断したとき(S81のN)は、警告を発する(S89−2)。
【0123】次に、ステップS25における定義値変更の処理を図32に基づいて説明する。この処理は、定義値変更ボタン113が押されたときに実行するもので、まず、図19の値指定画面を閉じ(S90)、図22の定義値変更画面を起動する(S91)。その後、表示マクロ情報のIDに関する定義値情報をテーブルから作業用バッファにコピーし(S92)、現在の高さの値を作業用バッファにコピーし(S93)、表示マクロ情報のIDを定義値変更画面の「マクロ」の表示枠128に表示し(S94)、現在の高さの値を「保持機構の高さ」の表示枠115にそれぞれ表示する(S95)。
【0124】次に、ステップ31における確定ボタンの処理を図33に基づいて説明する。この処理は図22に示す確定ボタン121を押したときの処理で、反転状態の定義値ボタンから定義値IDを取得し(S100)、その定義値IDをキーにして定義値テーブルから有効値を取得する(S101)。ここでいう有効値とは基本的にロール紙保持機構13の上昇限界値と下降限界値を指すが、垂直回転が可能な高さのボタン131については、(用紙サイズの幅の半分+α)が下降限界値になる。
【0125】次に「定義値の入力」からの入力値を取得し(S102)、有効かどうかをチェックし(S103)、有効と判断したとき(S103のY)は、定義値IDを基に、作業用バッファ内の所定の場所に入力値を書き込み(S104)、図22に示す定義値変更画面の「現在値」の表示枠118に入力値を表示する(S105)。ステップS103において入力値が有効でないと判断したときは(S103のN)、何もせず処理を終えるか、メッセージで警告表示(S106)して処理を終える。
【0126】次に、ステップS32における定義値ボタンの処理を図34に基づいて説明する。この処理は、定義値変更画面において、定義値設定用のボタン130,131,132,126,127の何れかが選択されたときの処理である。まず、選択されたボタンを反転し(S110)、その選択されたボタンが「その他」に属するボタン126又は「トレイの高さ」に属するボタン127に属しているかを判断し、属していると判断したときは(S111のY)、標準値がないので、標準ボタン125を半輝度にして選択不可にし(S112)、定義値IDを基に、作業用テーブルから定義値を取得し(S113)、定義値変更画面の「現在値」の表示枠118に定義値を表示する(S114)。
【0127】逆に「その他」「トレイの高さ」に属しないボタン130,131,132が選択された場合(S115のN)、標準ボタン125を全輝度にして選択可能状態にし(S116)、ステップS113に移行する。
【0128】次に、ステップS33における標準ボタンの処理を図35に基づいて説明する。この処理は、定義値変更画面において標準ボタン125が選択されたときに実行する。標準ボタン125を選択すると標準値に設定するが、前述のように「その他」「トレイの高さ」に属するボタン126,127が選択された場合は標準値の設定を必要としないので、まず、反転状態の定義値ボタンの有無を判断し(S120)、あると判断したとき(S120のY)に、その定義値IDを取得し(S121)、次に、その選択したボタンの定義値IDが標準値をもっているか否かを判断し(S122)、もっていると判断した場合(S122のY)にのみ、その定義値IDの基に定義値テーブルから標準値を取得し(S123)し、その標準値を作業用バッファ(図示せず)書き込む(S124)。標準値は、ここでは以下の値と仮定する。
【0129】最上ボタン130の場合は、ロール紙保持機構13の上昇限界値中央ボタン130の場合は、(ロール紙保持機構13の上昇限界値−ロール紙保持機構13の下降限界値)÷2最下ボタン130の場合は、ロール紙保持機構13の下降限界値A0ボタン131の場合は、A0サイズの幅/2+αA1ボタン131の場合は、A1サイズの幅/2+αA2ボタン131の場合は、A2サイズの幅/2+αA3ボタン131の場合は、A3サイズの幅/2+αA4ボタン131及び他ボタン131の場合は、A4サイズの幅/2+αここで、αは、垂直回転時にロール紙3の端部が床面に接しないようにするためのマージンで、これは必要に応じて任意に設定すればよい。
【0130】このようにした取得した標準値を更新値として、作業用バッファに書き込み、定義値変更画面の「現在値」の表示枠118に表示する(S125)。
【0131】次に、ステップ34における更新ボタン、取消ボタンの処理を図36に基づいて説明する。この処理は、定義値本稿画面において更新ボタン122、又は取消ボタン129が選択された場合の処理である。更新ボタン122が選択された場合(S130のY)、表示用マクロ情報IDを基に、作業用テーブルのデータを定義値情報テーブルにコピーし(S131)、図22の定義値変更画面を閉じ(S132)、図19の値指定画面を起動し(S133)、該当する表示マクロ情報のマクロボタン112を反転する(S134)。続いて、該当するマクロ情報IDを基に定義値情報テーブルより等間隔の値を取得し(S135)、その等間隔の値を値指定画面の表示枠104に表示し(S136)、ロール紙保持機構13の現在の高さを取得し作業用テーブルに保存し、値指定画面の「現在の高さ」の表示枠101に表示する(S137)。
【0132】なお、定義値変更画面において、取消ボタン129が選択された場合は、ステップS134の処理をしないが、更新ボタン122が選択された場合と同様にステップS130〜137の処理は実行する。
【0133】次に、ステップS35における表示値入力の処理を図37に基づいて説明する。この処理は、図22R>2の定義値変更画面において>マークで示すボタン116,119の何れかが選択されたときの処理である。まず、「保持機構の高さ」のボタン116と「現在値」のボタン119との何れが選択されたかを判断する(S140)。ボタン116が選択されたと判断した場合(反転状態のボタンが指す定義値の現在値と判断した場合)は、作業用バッファから定義値IDを基に定義値の現在値を取得してコピーし(S141)。「定義値の入力」の表示枠117に表示する(S143)。
【0134】ボタン119(保持機構(ロール紙保持機構13)の高さ)が選択されたと判断した場合は、作業用バッファから保持機構(ロール紙保持機構13)の高さ取得してコピーし(S142)。「定義値の入力」の表示枠117に表示する(S143)。
【0135】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、ロール紙の外周を把持する保持ハンド及びこの保持ハンドを開閉操作部により開閉させてロール紙を着脱自在に把持するロール紙保持機構と、ロール紙保持機構を任意の高さに昇降させる昇降機構と、ロール紙保持機構及び昇降機構を床面に沿って運搬する運搬機構と、を具備するので、運搬機構によりロール紙保持機構を昇降機構とともに所望の位置に移動させ、昇降機構により保持ハンドを所望の高さに昇降させ、開閉操作部を操作して保持ハンドを開閉させることにより、印刷装置に対するロール紙のセットや交換、ロール紙保管場所でのロール紙の受け取りや受け渡しの作業に際し、労力を軽減するとともに作業の容易化を図ることができる。
【0136】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ロール紙を水平姿勢と垂直姿勢との何れの姿勢でも保持できるように保持ハンドの向きを選択的に変換させる向き変換機構を具備するので、向き変換機構により保持ハンドの向きを選択することにより、ロール紙の軸方向の向きを水平方向又は垂直方向の何れの方向にも変換することができる。これにより、ロール紙保管場所でのロール紙の向きが垂直で、印刷装置でのロール紙の向きが水平であっても、垂直姿勢で保管されたロール紙を把持し、そのロール紙を水平姿勢に向きを変換して印刷装置にセットすることができる。さらに、不使用時には保持ハンドの向きを垂直に向けることにより狭いスペースに保管することができる。
【0137】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、ロール紙保持機構は、保持ハンドに把持される前記ロール紙の端面に対向する端面ガイド部材を具備するので、保持ハンドに対してロール紙の端面の位置を端面ガイド部材により定めた状態でロール紙を把持することができる。また、ロール紙を垂直姿勢で把持した場合には、その把持状態が不確実であってもロール紙の落下を端面ガイド部材により防止することができる。
【0138】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、端面ガイド部材は、ロール紙の幅サイズに対応して移動自在及び任意位置固定自在に設けられているので、ロール紙の幅サイズに応じて端面ガイド部材の位置を調整することができ、これにより、ロール紙の幅サイズが異なっても、ロール紙の端面の位置を端面ガイド部材により定めた状態でロール紙の中央部を保持ハンドの中央部でバランスよく把持することができる。
【0139】請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、ロール紙保持機構は、保持ハンドの端部の外側に向けて延出しロール紙側からの圧力により支点部を中心に揺動可能な揺動アームを有し、この揺動アームに端面ガイド部材が支持されているので、保持ハンドを印刷装置のロール紙セット位置に接近させる過程で端面ガイド部材が印刷装置側の部材に接触した場合には、支点部を中心に揺動ガイドを揺動させて端面ガイド部材を退避させることができ、これにより、端面ガイド部材及び相手側の部材の損傷を防止できる。
【0140】請求項6記載の発明は、請求項3ないし5の何れか一記載の発明において、端面ガイド部材は、ロール紙の中心に挿入されるロール軸とは干渉しない形状に形成されているので、保持ハンドでロール紙が保持された状態においても、ロール紙の中心にロール軸を挿入することができる。
【0141】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、保持ハンドは、対称的に接離する開閉方向に回動自在に支持され対をなす二者でロール紙の略半周を囲繞する開閉部材と、これら対をなす開閉部材のそれぞれに摺動自在及び任意位置固定自在に支持されて対をなす二者で開閉部材の内周面の延長面上で前記ロール紙の外周を囲繞する摺動部材とを具備するので、開閉操作部の操作により対をなす開閉部材がそれぞれ摺動部材とともに開閉される。この場合、開閉部材が開放状態から閉じられたときに、対をなす開閉部材と対をなす摺動部材との四者によってロール紙の外周が半周以上にわたって把持することができ、また、摺動部材を開閉部材の内側に摺動させると、対をなす摺動部材の端縁同士の開口幅を広げることができるため、ロール紙の径が大きい場合には把持し易くすることができる。
【0142】請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、昇降機構は、床面に対して垂直方向に立設された支柱に沿って回転自在に支持されたウォーム棒と、このウォーム棒の歯に噛合されてロール紙保持機構に連結されたラック部材とを具備するので、ウォーム棒を回転させることにより、ロール紙保持機構を床面に対して垂直方向に昇降させることができる。これにより、保持ハンドを目的とするセット位置の真上に正確に移動させることができる。
【0143】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、ウォーム棒には手動回転可能なハンドルが連結されているので、動力を用いることなく安価な構造で昇降機構を構成することができる。
【0144】請求項10記載の発明は、請求項8記載の発明において、ウォーム棒は正逆回転可能なモータに連結されているので、労力を要することなくロール紙保持機構を昇降させることができ、さらに、昇降動作の自動制御が可能となる。
【0145】請求項11記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、運搬機構には床面に対して垂直方向の軸線上で回転自在及び任意位置固定自在に支持された回転体を有し、この回転体に昇降機構が支持されているので、回転体を昇降機構とともに回転させることにより、昇降機構により昇降されるロール紙保持機構の向きを所望の向きに向けることができ、これにより、ロール紙保持機構の向きを変える場合に、狭い場所で運搬機構を旋回させることを回避することができる。
【0146】請求項12記載の発明は、請求項2記載の発明において、運搬機構は、複数のロール紙を垂直姿勢で保管する台車を連結する連結部を有するので、運搬機構で台車を牽引することにより、複数の印刷装置にロール紙をセット又は交換する際に、運搬経路を短縮することが可能となる。また、ロール紙は垂直姿勢で保管されるため積み重ねられることがなく、これにより損傷を防止することができる。
【0147】請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、台車は、ロール紙の外周の複数箇所を外側から弾性的に押圧する複数の支持アームが前記ロール紙の半径方向に変位自在に設けられているので、複数の支持アームでロール紙の外周を支えることができ、これにより台車上のロール紙の倒れを防止することができる。
【0148】請求項14記載の発明は、請求項12記載の発明において、台車は、ロール紙の端面を支えるとともにそのロール紙の中心に挿入されるロール軸の端部を嵌合させる筒状の支持部材を具備するので、ロール紙をその中心に挿入されたロール軸とともに一緒に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態における印刷装置のトレイを断面にしてそのトレイにロール紙をセットする状態を示す説明図である。
【図2】ロール紙の中心に挿入されるロール軸をその一部を断面にして示す正面図である。
【図3】ロール紙の中心にロール軸を挿入した状態を示す正面図である。
【図4】保持ハンドを水平姿勢にしたロール紙セット補助装置及びこれに連結された台車を示す側面図である。
【図5】その平面図である。
【図6】保持ハンドを垂直姿勢にしたロール紙セット補助装置を示す側面図である。
【図7】台車上の支持部材の構成を示す縦断側面図である。
【図8】ロール紙セット補助装置の分解斜視図である。
【図9】保持ハンドの開閉操作部を示す分解斜視図である。
【図10】その縦断側面図である。
【図11】運搬機構の平面図である。
【図12】運搬機構の内部構造を示す平面図である。
【図13】運搬機構の内部構造を示す断面図である。
【図14】トレイにロール紙をセットする状態を示す説明図である。
【図15】台車の平面図である。
【図16】本発明の第二の実施の形態における端面ガイド部材の支持構造を示す斜視図である。
【図17】端面ガイド部材の支持構造を示す正面図である。
【図18】端面ガイド部材の支持構造を拡大して示す縦断側面図である。
【図19】本発明の第三の実施の形態における操作入力/表示パネルの説明図である。
【図20】操作入力/表示パネルの説明図である。
【図21】操作入力/表示パネルの説明図である。
【図22】操作入力/表示パネルの説明図である。
【図23】操作入力/表示パネルの説明図である。
【図24】操作入力/表示パネルの説明図である。
【図25】制御処理を示すフローチャートである。
【図26】制御処理を示すフローチャートである。
【図27】制御処理を示すフローチャートである。
【図28】制御処理を示すフローチャートである。
【図29】制御処理を示すフローチャートである。
【図30】制御処理を示すフローチャートである。
【図31】制御処理を示すフローチャートである。
【図32】制御処理を示すフローチャートである。
【図33】制御処理を示すフローチャートである。
【図34】制御処理を示すフローチャートである。
【図35】制御処理を示すフローチャートである。
【図36】制御処理を示すフローチャートである。
【図37】制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 ロール紙
7 ロール軸
12 ロール紙セット補助装置
13 ロール紙保持機構
14 昇降機構
15 運搬機構
16 向き変換機構
19 保持ハンド
21 開閉操作部
23 端面ガイド部材
26 ネジ(支点部)
27 揺動アーム
30 回転体
31 床面
32 支柱
33 ウォーム棒
34 ラック部材(可動アタッチメント)
35 ハンドル
36 モータ
42,43 開閉部材
44.45摺動部材
59 台車
60 連結部
64 支持部材
65 支持アーム
80揺動アーム
81 支点部
83 端面ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロール紙の外周を把持する保持ハンド及びこの保持ハンドを開閉操作部により開閉させて前記ロール紙を着脱自在に把持するロール紙保持機構と、前記ロール紙保持機構を任意の高さに昇降させる昇降機構と、前記ロール紙保持機構及び前記昇降機構を床面に沿って運搬する運搬機構と、を具備するロール紙セット補助装置。
【請求項2】 前記ロール紙を水平姿勢と垂直姿勢との何れの姿勢でも保持できるように前記保持ハンドの向きを選択的に変換させる向き変換機構を具備する請求項1記載のロール紙セット補助装置。
【請求項3】 前記ロール紙保持機構は、前記保持ハンドに把持される前記ロール紙の端面に対向する端面ガイド部材を具備する請求項1又は2記載のロール紙セット補助装置。
【請求項4】 前記端面ガイド部材は、前記ロール紙の幅サイズに対応して移動自在及び任意位置固定自在に設けられている請求項3記載のロール紙セット補助装置。
【請求項5】 前記ロール紙保持機構は、前記保持ハンドの端部の外側に向けて延出し前記ロール紙側からの圧力により支点部を中心に揺動可能な揺動アームを有し、この揺動アームに前記端面ガイド部材が支持されている請求項3又は4記載のロール紙セット補助装置。
【請求項6】 前記端面ガイド部材は、前記ロール紙の中心に挿入されるロール軸とは干渉しない形状に形成されている請求項3ないし5の何れか一記載のロール紙セット補助装置。
【請求項7】 前記保持ハンドは、対称的に接離する開閉方向に回動自在に支持され対をなす二者で前記ロール紙の略半周を囲繞する開閉部材と、これら対をなす開閉部材のそれぞれに摺動自在及び任意位置固定自在に支持されて対をなす二者で前記開閉部材の内周面の延長面上で前記ロール紙の外周を囲繞する摺動部材とを具備する請求項1記載のロール紙セット補助装置。
【請求項8】 前記昇降機構は、床面に対して垂直方向に立設された支柱に沿って回転自在に支持されたウォーム棒と、前記支柱に沿って昇降自在に支持され前記ウォーム棒の歯に噛合されて前記ロール紙保持機構に連結されたラック部材とを具備する請求項1記載のロール紙セット補助装置。
【請求項9】 前記ウォーム棒には手動回転可能なハンドルが連結されている請求項8記載のロール紙セット補助装置。
【請求項10】 前記ウォーム棒は正逆回転可能なモータに連結されている請求項8記載のロール紙セット補助装置。
【請求項11】 前記運搬機構には床面に対して垂直方向の軸線上で回転自在及び任意位置固定自在に支持された回転体を有し、この回転体に前記昇降機構が支持されている請求項1又は2記載のロール紙セット補助装置。
【請求項12】 前記運搬機構は、複数の前記ロール紙を垂直姿勢で保管する台車を連結する連結部を有する請求項2記載のロール紙セット補助装置。
【請求項13】 前記台車は、前記ロール紙の外周の複数箇所を外側から弾性的に押圧する複数の支持アームが前記ロール紙の半径方向に変位自在に設けられている請求項12記載のロール紙セット補助装置。
【請求項14】 前記台車は、前記ロール紙の端面を支えるとともにそのロール紙の中心に挿入されるロール軸の端部を嵌合させる筒状の支持部材を具備する請求項12記載のロール紙セット補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図20】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図29】
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【図25】
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【図37】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図32】
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【図30】
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【図33】
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【図31】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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