説明

ロール紙ホルダ

【課題】悪意者によって予備ロール紙が容易に持ち去られてしまうことを防止できるロール紙ホルダを提供すること。
【解決手段】このロール紙ホルダRHは、現用ロール紙が使用される使用位置12aと、現用ロール紙の使用後の芯を取出可能とする取出位置12bとの間で移動可能に構成される支持軸12と、予備ロール紙を使用部へ移動可能にしながら予備ロール紙の周囲を覆うカバーと、を備え、支持軸12の取出位置12bへの移動に連動して、予備ロール紙の使用部への移動を規制する規制部材である突起部142を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現用ロール紙が配置される使用部に、予備ロール紙が収納される収納部が隣接して設けられるロール紙ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパといったロール紙を保持するロール紙ホルダとして、下記特許文献1に記載されているようなロール紙ホルダが提案されている。下記特許文献1に記載されているロール紙ホルダは、二つのロール紙を並列して保持し、双方のロール紙を現用ロール紙として使用可能なように保持するものである。この特許文献1に記載のロール紙ホルダに対して、一つのロール紙を現用ロール紙とし、他のロール紙を予備ロール紙として保持するロール紙ホルダが下記特許文献2に提案されている。
【0003】
下記特許文献2に記載されているロール紙ホルダは、前向きの開口を有するロール紙ホルダの側板に心棒を前向き回動可能なように設け、この心棒にその自由端からロール紙の芯を挿通してロール紙を回転可能に支持するとともに、このロール紙ホルダ内に心棒の自由端に芯が向かうように予備ロール紙を保管するロール紙ストッカを一体的に備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−127525号公報
【特許文献2】特開2002−347998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載されているロール紙ホルダは、心棒が前向き回動可能に枢支されているため、同文献図1に記載されているように心棒に挿通されているロール紙が芯のみの状態若しくは芯が取り去られている状態では、予備ロール紙が自由に取り出せてしまう場合がある。このように予備ロール紙が自由に取り出せてしまうと、公共の場所に設置されている場合等には悪意者によって予備ロール紙が持ち去られてしまうことが想定される。
【0006】
そこで本発明では、現用ロール紙が配置される使用部に、予備ロール紙が収納される収納部が隣接して設けられるロール紙ホルダであって、悪意者によって予備ロール紙が容易に持ち去られてしまうことを防止できるロール紙ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るロール紙ホルダは、現用ロール紙が配置される使用部に、予備ロール紙が収納される収納部が隣接して設けられるロール紙ホルダであって、前記使用部に設けられて前記現用ロール紙を支持する支持軸であって、前記現用ロール紙が使用される使用位置と、前記現用ロール紙の使用後の芯を取出可能とする取出位置との間で移動可能に構成される支持軸と、前記収納部に設けられ、前記予備ロール紙を前記使用部へ移動可能にしながら前記予備ロール紙の周囲を覆うカバーと、を備え、前記支持軸の前記取出位置への移動に連動して、前記予備ロール紙の前記使用部への移動を規制する規制部材を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るロール紙ホルダによれば、支持軸の取出位置への移動に連動して、規制部材が予備ロール紙の収納部から使用部への移動を規制するので、支持軸が取出位置へと移動した状態のままで予備ロール紙を使用せずに収納部から直接取り出すことが容易にできないように構成されている。従って、予備ロール紙を使用部において使用することなく取り出して持ち去ることが容易にはできないため、悪意者によって予備ロール紙が容易に持ち去られてしまうことを防止できる。
【0009】
本願請求項2に係るロール紙ホルダは、前記支持軸が、所定点を中心として回動することによって前記使用位置と前記取出位置との間を移動可能なように構成されており、前記規制部材は、前記支持軸の回動に連動して前記収納部に向けて突出する突起であることを特徴とする。
【0010】
この態様によれば、支持軸の回動に連動して収納部に向けて突出する突起によって、予備ロール紙を使用せずに収納部から直接取り出すことが容易にできないように構成されているので、突起という簡易な構成によって、予備ロール紙が容易に持ち去られてしまうことを防止できる。
【0011】
本願請求項3に係るロール紙ホルダは、前記支持軸は、前記使用位置から上方の取出位置に向けて回動することを特徴とする。
【0012】
ロール紙ホルダを使用する使用者は、現用ロール紙の切れ端を手元側や下方に必要量だけ引き出し、その引き出した分の現用ロール紙を引きちぎって使用する。本願発明の請求項3に係る態様では、支持軸を使用位置から上方の取出位置に向けて回動するように構成しているので、前述した使用者が現用ロール紙に作用させる力とは異なる方向に可動域を有することになり、通常の現用ロール紙の使用によって支持軸が使用位置から取出位置へ向けて動いてしまうことを防止できる。
【0013】
本願請求項4に係るロール紙ホルダは、前記使用部に隣接して配置され、前記支持軸の一端側を保持する保持部が枢支されるように構成された側板を有し、前記突起は、前記保持部よりも下方へ突出するように構成されると共に、前記支持軸が前記使用位置にあるときに前記側板と当接するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
ロール紙ホルダを使用する使用者は、便器に着座している状態から立ち上がる場合などに、現用ロール紙又は支持軸に手を置くことでそれらに体重をかけてしまう場合がある。本願発明の請求項4に係る態様では、支持軸を保持して側板に枢支される保持部から下方に突出するように突起を構成すると共に、支持軸が使用位置にあるときにその突起と側板とが当接するように構成している。そのような構成により、支持軸に使用者の体重がかかったような場合であっても、突起が側板に当接することで反力を発生させることができ、保持部が側板から外れてしまうような事態を回避することができる。すなわち、予備ロール紙を収納部から直接取り出しにくいように規制している突起によって、保持部が側板から外れにくく、大きな荷重に耐え得るような強固なものとすることができる。
【0015】
本願請求項5に係るロール紙ホルダは、前記支持軸が前記使用位置にあるときには前記突起が前記使用部に突出しないように、前記側板に前記突起を格納する凹部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この態様によれば、側板に突起を格納する凹部を設けることで、支持軸が使用位置にあるときに突起をその凹部に格納して使用部に突出しないように構成しているので、現用ロール紙を使用する際に突起に引っ掛かってしまうような事態の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、悪意者によって予備ロール紙が容易に持ち去られてしまうことを防止できるロール紙ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明を実施するための形態であるロール紙ホルダを示す斜視図である。
【図2】本願発明を実施するための形態であるロール紙ホルダを示す斜視図である。
【図3】図2の領域Aを拡大して示す図である。
【図4】本願発明を実施するための形態であるロール紙ホルダを示す正面図である。
【図5】本願発明を実施するための形態であるロール紙ホルダを示す正面図である。
【図6】本願発明を実施するための形態であるロール紙ホルダを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
本発明を実施するための形態であるロール紙ホルダについて図1を参照しながら説明する。図1は、ロール紙ホルダRHの外観を示す斜視図である。図1に示すロール紙ホルダRHは、現用ロール紙としてのロール紙RPが配置される使用部10に、予備ロール紙としてのロール紙RPが収納される収納部30が隣接して設けられている。
【0021】
使用部10は、側板11と支持軸12と紙切板13とを備えている。側板11は、ロール紙ホルダRHをトイレ等の壁面に取り付けるためのベースプレート(図1に明示しない)から略水平方向に向けて延出するように構成されている。支持軸12は、現用ロール紙としてのロール紙RPの芯RCに挿入される軸であって、ロール紙RPを回転自在に保持するための軸である。紙切板13は、支持軸12によって保持されるロール紙RPの最外周部分に当接するように構成されており、使用者がロール紙RPの切れ端を手元側や下方に必要量だけ引き出し、その引き出した分のロール紙RPを引きちぎって使用する際にカッター代わりになる部分である。
【0022】
収納部30は、側面カバー31と正面カバー32とを備えている。側面カバー31はベースプレート(図1に明示しない)側の辺を軸として回動可能なように構成されており、この側面カバー31を開いて予備ロール紙としてのロール紙RPを正面カバー32内へと補充することができるように構成されている。正面カバー32は、予備ロール紙としてのロール紙RPを、その予備ロール紙としてのロール紙RPの上面、前面、下面を覆うように構成されたカバーとしての役割を果たしている。また、正面カバー32にはスリット33が設けられており、使用者はここから手指を挿入することで、正面カバー32内の予備ロール紙としてのロール紙RPを、使用部10へ移動可能とするように構成されている。
【0023】
図2は、ロール紙ホルダRHの外観を示す斜視図であって、図1とは見通す方向を異ならせて側板11の内側を見通せるように描いた図である。図2に示すように、側面カバー31には錠34が設けられており、施錠により、予備ロール紙としてのロール紙RPを正面カバー32内へと補充するときや清掃時以外などには、側面カバー31が開かないよう構成されている。また、側板11には、揺動板14が枢支されており、揺動板14には支持軸12が立設されている。揺動板14及び支持軸12近傍の領域Aを拡大して図3に示す。
【0024】
図3に示すように、側板11の使用部10に向かう内面111には、揺動板14が格納されるように凹部112が設けられている。揺動板14は、保持部141と突起部142とによって構成されている。
【0025】
保持部141は、支持軸12の一端側を保持する部分である。保持部141の支持軸12を保持しているのとは反対側の端部には、側板11に枢支されるように軸141aが設けられている。軸141aは、凹部112の側壁に設けられた穴に挿通されており、揺動板14は、軸141aを中心として揺動自在に構成されている。このような構成によって、揺動板14は、使用位置である14aの位置から取出位置である14bの位置まで揺動するように構成されている。この揺動板14の揺動に連動して、支持軸12も、使用位置である12aの位置から取出位置である12bの位置まで回動するように構成されている。
【0026】
突起部142は、保持部141の支持軸12を保持している側の端部から軸141aとは反対側に向かって延出するように設けられている。従って、突起部142は、揺動板14の一部分であるから、揺動板14の揺動に伴って揺動し、収納部30に向けて突出する突起として構成されている。
【0027】
突起部142は、小幅部142aと大幅部142bとによって構成されている。小幅部142aは、保持部141と同じ幅で保持部141から直接延出している部分である。大幅部142bは、小幅部142aの先端に設けられている部分であって、小幅部142aよりも幅広に形成されている。大幅部142bの幅は、ロール紙RPの芯RCの内径よりも幅広に形成されており、突起部142が収納部30に向けて使用部10内に突出した際に、未使用のロール紙RPが取り出され難いように構成されている。
【0028】
尚、凹部112は揺動板14の外形に沿って形成されているけれども、必ずしもこの態様に限られるものではなく、凹部112を単純な矩形状の凹部となして揺動板14との間にある程度の隙間が生じても構わない。
【0029】
続いて、図4〜図6を参照しながら、ロール紙ホルダRHからロール紙RPを取り出す際の挙動について説明する。図4,図5,図6は、ロール紙ホルダRHを正面から見た図である。図4は、使用部10にロール紙RPがある場合を示し、図5及び図6は、収納部30からロール紙RPを取り出す場合を示している。
【0030】
図4に示すように、使用部10にロール紙RPがあり、且つロール紙RPの紙がまだ残存している場合、ロール紙RPが正面カバー32に引っ掛かるため支持軸12を取出位置まで回動させることができない。従って、使用部10にロール紙RPがあって、且つロール紙RPの紙がまだ残存している場合には、悪意者によってロール紙RPが持ち去られ難い。尚、図には明示しないけれども、ロール紙RPの紙が無くなった場合には、図4に示すように支持軸12を取出位置まで回動させることで、芯RCを取り出すことができる。
【0031】
本実施形態のロール紙ホルダRHの場合、使用部10にロール紙RPが無くなった場合には、支持軸12を取出位置から使用位置に戻し、収納部30に収納されているロール紙RPを横にスライドさせ、そのロール紙RPの芯RCに支持軸12を挿入してロール紙RPを使用部10へと移動させる。一方、図5に示すように、支持軸12から空の芯RCを取出した後に、収納部30に収納されているロール紙RPを外部に取り出そうとすると、収納部30に向けて突出している突起部142がロール紙RPの芯RC近傍に当接し、ロール紙RPを無理に取り出し難いように作用している。
【0032】
更に、図6に示すように、収納部30に収納されているロール紙RPを使用部10の下方から取り出そうとしても、収納部30に向けて突出している突起部142がロール紙RPの芯RC上方に当接し、ロール紙RPを無理に取り出し難いように作用している。従って、支持軸12の揺動に連動して収納部30に向けて突出する突起である突起部142によって、予備のロール紙RPを使用せずに収納部30から直接取り出すことが容易にできないように構成することが可能となり、突起という簡易な構成によって、予備のロール紙RPが容易に持ち去られてしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0033】
10:使用部
11:側板
12:支持軸
13:紙切板
14:揺動板
30:収納部
31:側面カバー
32:正面カバー
33:スリット
34:上面カバー
111:内面
112:凹部
141:保持部
141a:軸
142:突起部
142a:小幅部
142b:大幅部
RC:芯
RH:ロール紙ホルダ
RP:ロール紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現用ロール紙が配置される使用部に、予備ロール紙が収納される収納部が隣接して設けられるロール紙ホルダであって、
前記使用部に設けられて前記現用ロール紙を支持する支持軸であって、前記現用ロール紙が使用される使用位置と、前記現用ロール紙の使用後の芯を取出可能とする取出位置との間で移動可能に構成される支持軸と、
前記収納部に設けられ、前記予備ロール紙を前記使用部へ移動可能にしながら前記予備ロール紙の周囲を覆うカバーと、を備え、
前記支持軸の前記取出位置への移動に連動して、前記予備ロール紙の前記使用部への移動を規制する規制部材を備えることを特徴とするロール紙ホルダ。
【請求項2】
前記支持軸は、所定点を中心として回動することによって前記使用位置と前記取出位置との間を移動可能なように構成されており、
前記規制部材は、前記支持軸の回動に連動して前記収納部に向けて突出する突起であることを特徴とする請求項1に記載のロール紙ホルダ。
【請求項3】
前記支持軸は、前記使用位置から上方の取出位置に向けて回動することを特徴とする請求項2に記載のロール紙ホルダ。
【請求項4】
前記使用部に隣接して配置され、前記支持軸の一端側を保持する保持部が枢支されるように構成された側板を有し、
前記突起は、前記保持部よりも下方へ突出するように構成されると共に、前記支持軸が前記使用位置にあるときに前記側板と当接するよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載のロール紙ホルダ。
【請求項5】
前記支持軸が前記使用位置にあるときには前記突起が前記使用部に突出しないように、前記側板に前記突起を格納する凹部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のロール紙ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173770(P2010−173770A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16852(P2009−16852)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】