説明

ロール製品用コンテナ

【課題】 あらゆる方向からの力に対抗してロール製品を確実に固定することができ、収納、取り出しが容易であり、かつ、ロール支軸の径が変更されても受け台の交換不要なロール製品用コンテナを提供する。
【解決手段】 円筒形支軸R1にシート状物を巻き付けてなるロール製品Rを収納するためのコンテナであって、このコンテナは前記支軸を保持する一対の保持機構7を備え、この保持機構は、支軸の両端部近辺が載置される受け台8と、支軸端部に近接して配置され支軸端部を挟持してロール製品を固定するための取っ手付き挟持部9を主要部とし、この挟持部は台座9bを有し、この台座の前記受け台側には、支軸の円筒孔内部に差込んでロール製品を懸架させるためのディスク9c、台座と受け台とを連結するための受け台を貫通するロッド12とその貫通側に巻回させたスプリング13が設けられていて、前記台座と受け台とが蝶ネジ14によって随時固定可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形支軸にシート状物、例えばPDP(プラズマディスプレイパネル)の構成材料として用いる転写フィルム等を巻き付けたロール製品を、収納、搬送する際に利用するコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)の誘電体層、電極、隔壁、蛍光体、抵抗体、カラーフィルタ、ブラックマトリックスなどを構成する材料は液状で取り扱われることが多いが、一部は転写フィルムの形態で取り扱われる。
【0003】
転写フィルムの形態の場合は、ポリエチレンテレフタレート等の支持フィルム上に上記の材料層を剥離可能に形成し、さらに材料層の上に必要に応じてカバーフィルムを形成した2層または3層構造の転写フィルムを円筒形の支軸に巻回してロール状とし、このロール製品をポリエチレン製の袋に入れ、コンテナに収納した状態で保管、あるいは搬送するようにしている。
【0004】
上記転写フィルムを巻回したロール製品がコンテナ内で不安定な状態で収納されていると材料層に悪影響を与える。そこで特許文献1および特許文献2に開示されるようなコンテナ(梱包箱)が提案されている。
【0005】
特許文献1に開示されるコンテナは、パレット上に一対の受け台を設け、この受け台に形成した受け溝にロール製品の両側から突出している支軸を載せ、この上から抑え部材で押さえ付けることで、ロール製品を固定する構造になっている。
また、特許文献2に開示される梱包箱は、文献1と同様、一対の受け台を設け、この受け台と押さえ部材とによってロール体の支管を挟持させる点は同じであるが、上記受け台と押さえ部材それぞれの支管を挟持させる部分に、弾性体よりなる摩擦材を設けている。
【特許文献1】特開2002−205789号公報
【特許文献2】特開2003−104480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1および2に開示されるコンテナにあっては、ロール製品の支軸を上下方向から押さえつけるので、上下方向の動きに対しては十分に対処できるが、ロール製品の軸方向に強い力が加わった場合にはズレが生じるおそれがある。このため、例えばトラックなどで搬送する場合にはトラックの進行方向と軸方向とが直交するように積載しなければならず、作業者に余分な注意を喚起しなければならない。
【0007】
また、特許文献1および2に開示されるコンテナにあっては、受け台にロール製品の支軸が嵌り込む半円形の溝(凹部)を形成しており、ロール製品の機種変更によって支軸の径が変更されると、受け台ごと交換しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、あらゆる方向からの力に対抗してロール製品を確実に固定することができ、収納、取り出しが容易であり、かつ、ロール支軸の径が変更されても受け台の交換不要なロール製品用コンテナを提供することである。
【0009】
上記課題を解決するため本発明のロール製品用コンテナは、円筒形支軸にシート状物を巻き付けてなるロール製品を収納するためのコンテナであって、このコンテナは前記支軸を保持する一対の保持機構を備え、この保持機構は、支軸の両端部近辺が載置される受け台と、前記支軸の端部に近接して配置され支軸端部を挟持してロール製品を固定するための取っ手付き挟持部を備え、この挟持部は台座を有するとともに台座の前記受け台側には、支軸の円筒孔内部に差込んでロール製品を懸架させるためのディスクが設けられ、更に、前記台座と受け台とが止着具によって固定可能とされた構成とした。
【0010】
前記取っ手付き挟持部には、台座と受け台とを連結する手段を設けることが好ましい。この連結手段としては、例えば受け台を貫通するロッドとその貫通側に巻回させたスプリングとから構成される。また、少なくとも一方の前記台座に、シート状物固定用の移動型スペーサを設置することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロール製品用コンテナは、取っ手付き挟持部のディスクを円筒形支軸の両端から差込み、スプリングの圧力と蝶ネジによって挟持部を受け台に固定するため、あらゆる方向からの力にも対抗してロール製品を確実に固定することができる。
【0012】
また、スプリングの弾性力を利用した操作と蝶ネジ止めだけで良いため、収納、取り出し作業が容易である。さらに円筒形支軸は、その端部を一対の台座によって挟持させることで固定するため、ロール製品の機種変更によって支軸の径が変更されても対応可能である。
【0013】
また、台座に移動型スペーサを設けた場合は、円筒形支軸に巻回されたシート状物が運搬時の衝撃等によって支軸上でズレて巻きが緩む等のトラブルを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るロール製品用コンテナの蓋体を外した状態の斜視図、図2は保持機構の端面図、図3は図2のA方向矢示図、図4は図2のB方向矢示図である。
【0015】
ロール製品用コンテナは本体1と下面を開放したボックス状蓋体2から構成され、ボックス状蓋体2の上面の四隅には段積みの際の位置決め用凸部3が設けられている。なお、この凸部3と係合する凹部についての図示は省略するがコンテナ本体1の下面に形成されている。
【0016】
一方、コンテナ本体1は平板状パレット4の下面に脚部5を設け、また平板状パレット4の上面には周縁部に沿って蓋体2を冠した際のガタツキを防止するための凸条6が形成され、この凸条6の内側に対をなす保持機構7、7を設けている。図示例では2対の保持機構7を設けているが、これは一対であっても3対以上であってもよい。また、保持機構7は製品ロールの長さに合わせて動かせるようにしてもよい。
【0017】
保持機構7は受け台8と取っ手付き挟持部9からなる。図2〜図4に示すように、受け台8はV字状切込みの上部をロール製品Rの受け面10とし、ロール製品Rの円筒形支軸R1の外径寸法に左右されずに円筒形支軸R1を支持することができるようにしている。なお、受け面10の上面には衝撃を吸収する弾性シート11を貼着している。
【0018】

また図4に示すように、取っ手付き挟持部9は、取っ手9aと台座9bを有し、この台座9bの受け台8に対向する側には、円筒形支軸R1の円筒孔内部に差込んでロール製品を懸架させるためのディスク9cが設けられている。
【0019】
さらに台座9bには、受け台8と摺動自在に連結するためのロッド12を受け台8を貫通して設け、このロッド12の貫通側にスプリング13を縮装し、取っ手付き挟持部9を閉じ方向に付勢している。また、台座9bと受け台8とは蝶ネジ14によって随時固定可能としている。
【0020】
また、図3に示すように受け台8には、支軸R1に巻回されたシート状物が運搬時の衝撃等によって支軸R1上でズレて巻きが緩む等のトラブルが生じないよう、シート状物を固定するための移動型スペーサ15が取り付けられている。
【0021】
以上において、コンテナ本体1にロール製品Rを収納するには、蝶ネジ14を台座9bから開放した状態で一対の受け台8の両受け面10にロール製品Rの円筒形支軸R1の端部近辺を懸架する。このとき、台座9bはスプリング13の作用により受け台8の外面に押し付けられている。
【0022】
次に、一方の保持機構7の取っ手9aを、スプリング13を縮ませる方向、即ち取っ手付き挟持部9を受け台8から引き離す方向に引っぱりながら、ディスク9cを円筒形支軸R1端部の円筒孔内部に差し込み手を放す。するとスプリング13の弾発力によりディスク9cは円筒孔内部に押し付けられる。また、反対側の円筒形支軸R1端部についても同様の操作を行なってディスク9cを差込む。このとき、円筒孔内径よりもディスク9cの外形が僅かに小さいためロール製品Rを完全に固定することができる。
【0023】
また、ディスク9cにテーパを付けておけば、ロール製品Rの機種変更によって支軸R1の径が多少変更されても対応可能である。しかし、ディスク9cの外形が円筒孔内径よりも小さいという条件さえ満たせば、円筒形支軸R1端部は一対の台座9bによって挟持されるため問題はない。
【0024】
最後に、蝶ネジ14で取っ手付き挟持部9を受け台8に固定して収納作業は完了する。また、取り出し時には上記述べた手順の逆を行なえば良く、容易にロール製品Rを取り外すことができる。
【0025】
なお、ロール製品Rをディスク9cで懸架させることにより、円筒形支軸R1端部は受け台8から浮き上がる場合があるが、上記のように蝶ネジ14を締めることによって取っ手付き挟持部9は受け台8と一体化されるため、ロール製品Rは受け台8に完全固定されていると同様の状態となる。したがって安定して収納され搬送時にもコンテナ本体1内部で動くことはない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のロール製品用コンテナは、ロール製品の収納、取り出しが容易で運搬中の荷ずれ等を防ぐことができる等の利点があるため、PDP(プラズマディスプレイパネル)の誘電体層、電極、隔壁、蛍光体、抵抗体、カラーフィルタ、ブラックマトリックス等の各原料を転写シート形態で取り扱う際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るロール製品用コンテナの蓋体を外した状態の斜視図。
【図2】本発明に係る保持機構の端面図。
【図3】図2のA方向矢示図。
【図4】図2のB方向矢示図。
【符号の説明】
【0028】
1…コンテナ本体、2…ボックス状蓋体、3…位置決め用凸部、4…平板状パレット、5…脚部、6…凸条、7…保持機構、8…受け台、9…取っ手付き挟持部、9a…取っ手、9b…台座、9c…ディスク、10…受け面、l1…弾性シート、12…ロッド、13…スプリング、14…蝶ネジ、15…移動型スペーサ、R…ロール製品、R1…円筒形支軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形支軸にシート状物を巻き付けてなるロール製品を収納するためのコンテナであって、このコンテナは前記支軸を保持する一対の保持機構を備え、この保持機構は、支軸の両端部近辺が載置される受け台と、前記支軸の端部に近接して配置され支軸端部を挟持してロール製品を固定するための取っ手付き挟持部を備え、この挟持部は台座を有するとともに台座の前記受け台側には、支軸の円筒孔内部に差込んでロール製品を懸架させるためのディスクが設けられ、更に、前記台座と受け台とが止着具によって固定可能とされていることを特徴とするロール製品用コンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のロール製品用コンテナにおいて、前記挟持部は台座と受け台とを連結する手段を設けたことを特徴とするロール製品用コンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のロール製品用コンテナにおいて、前記台座と受け台とを連結する手段が、受け台を貫通するロッドとその貫通側に巻回させたスプリングとからなることを特徴とするロール製品用コンテナ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のロール製品用コンテナにおいて、前記台座の少なくとも一方に、シート状物固定用の移動型スペーサを設置したことを特徴とするロール製品用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−143275(P2006−143275A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335419(P2004−335419)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】