説明

ロール製品用コンテナ

【課題】ロール製品を傷付けることなく、また、ロール製品を汚すことなく、ロール製品の出し入れが容易で、しかも効率的にロール製品の保管および輸送が可能なロール製品用コンテナを提供すること。
【解決手段】パレット4と、パレット4の上に配置され、水平方向に位置するロール製品20の両端部から飛び出ている支軸22の下端を受ける受け溝32が形成してある少なくとも一対の受け台30と、受け台30に対して着脱自在に装着され、前記受け溝32の上に支軸22が載せられた状態で、支軸22を受け溝32との間で保持する押さえ部材40と、を有するロール製品用コンテナ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール製品用コンテナに係り、さらに詳しくは、ロール製品の出し入れが容易で、しかも効率的にロール製品の保管および輸送が可能なロール製品用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール製品を輸送するために適した組立式コンテナとして、たとえば特開平11−130062号公報に示すコンテナが知られている。このコンテナによれば、ロール製品は横向きに置かれ、コンテナの内部に懸架されるように収納してある。
【0003】
しかしながら、この公報に示すコンテナでは、パレットの上に組立自在に装着してある側板の一部を利用して、ロール製品の支軸を保持するように構成してあるために、コンテナ内からロール製品を出し入れする際の作業性に問題があった。たとえばコンテナ内からロール製品を取り出す際には、ロール製品がコンテナの側板で保持してあることから、側板をパレットから取り外すことができない。このため、ロール製品の支軸両端部をベルトまたはロープにより保持して、ロール製品を上方に持ち上げる際に、ロール製品が側板に衝突してロール製品を傷付ける可能性がある。また、ベルトやロープを用いてロール製品を持ち上げる際には、ベルトやロープの摩損などによりゴミやホコリなどが発生し、それらがロール製品のコンタミネーションの原因となるおそれもある。このような問題点は、ロール製品をコンテナの内部に収容する作業においても同様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ロール製品を傷付けることなく、また、ロール製品を汚すことなく、ロール製品の出し入れが容易で、しかも効率的にロール製品の保管および輸送が可能なロール製品用コンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るロール製品用コンテナは、
パレットと、
前記パレットの上に配置され、水平方向に位置するロール製品の両端部から飛び出ている支軸の下端を受ける受け溝受け溝の両側に形成され前記支軸が前記受け溝に収まることを案内するガイド用傾斜部、及び、前記支軸が前記受け溝内に収容された状態で当該支軸の最上部と略一致する高さを持つ略水平な突き合わせ面が形成してある少なくとも一対の受け台と、
前記受け台の前記付き合わせ面に突き合わされる下面を有する略直方体形状の部材であって、前記受け台に対して着脱自在に装着され、前記受け溝の上に支軸が載せられた状態で、前記支軸を前記受け溝との間で保持する押さえ部材と、
を有する。
【0006】
好ましくは、本発明に係るロール製品用コンテナは、前記パレットの上に着脱自在に装着され、前記受け台と押さえ部材とにより保持してあるロール製品を覆う上蓋が付いている側板をさらに有し、前記上蓋の四角部には、当該コンテナを積み重ねる際にコンテナ相互のズレを防止するためのズレ防止凸部が形成してある。
【0007】
また、好ましくは、前記押さえ部材の下面の前記支軸との当接部には、ゴム材などの緩衝材が貼着してある。
また、前記受け台の受け溝にも、ゴム材などの緩衝材が装着してあることが好ましい。
【0008】
好ましくは、前記パレットの上面で、前記一対の受け台が接近および離反移動自在に装着してある。
【0009】
好ましくは、前記パレットの上には、複数対の受け台が配置してある。
本発明において、パレットとしては、特に限定されないが、フォークリフトの爪部が差し込み可能な凹部が形成してあるパレットが好ましい。なお、パレットとしては、移動用キャスター付きのパレットであっても良い。パレットおよび上蓋付き側板の材質としては、特に限定されず、木材、金属、プラスチック、あるいはこれらの複合材料が例示される。
【0010】
前記上蓋の上面には、コンテナを積み重ねる際にコンテナ相互のズレを防止するためのズレ防止凸部が形成してあることが好ましい。
本発明のロール製品用コンテナがトラックなどに積み込まれて搬送される際には、ロール製品の軸芯方向がトラックの進行方向に対して略直交するように、コンテナを積み込むことが好ましい。
【0011】
本発明において、ロール製品としては、特に限定されず、たとえば磁気テープ、液晶用フィルム、金属箔、各種フィルムシート、織物などが支軸の回りに巻回してあるものなどが例示される。支軸は、中実棒材あるいは中空パイプでも良く、その材質は、特に限定されず、金属でもプラスチックなどでも良い。支軸が中空パイプである場合には、支軸の両端部は、キャップにより閉塞してあっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール製品を傷付けることなく、また、ロール製品を汚すことなく、ロール製品の出し入れが容易で、しかも効率的にロール製品の保管および輸送が可能なロール製品用コンテナを提供することができる。
【0013】
本発明に係るロール製品用コンテナでは、ロール製品の支軸は、従来のように側板の一部で支持されるのではなく、パレット上の受け台により支持されるため、コンテナの側板を取り外した状態で、ロール製品の出し入れが可能である。そのため、ロール製品の出し入れ時にロール製品が側板に衝突することもなく、ロール製品に傷が付くことを有効に防止することができる。
【0014】
また、側板をパレットから完全に取り外した状態となるので、ロール製品の支軸を電動フォークなどにより把持してロール製品の出し入れが可能になり、ロール製品の出し入れ作業が容易になる。また、ロープやベルトを用いないので、コンタミネーションが少なく、ロール製品を汚すおそれも少ない。
【0015】
さらに、複数のロール製品を収容するコンテナを積み重ねることで、効率的なロール製品の保管および搬送が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るロール製品用コンテナ2は、パレット4を有する。パレット4は、たとえばステンレスなどの金属製棒材を組み合わせて構成してあり、フォークリフトの爪部が差し込まれる凹部6を有する。
【0017】
このパレット4の上面には底板4aが設置してあり、その上面には、パレット4の長手方向Xに沿って相互に向き合う二対の受け台30が配置してある。パレット4の長手方向に沿って向き合う一対の受け台30毎に、一つのロール製品20(図2(B)参照)の両端部から飛び出ている支軸22の両端部が保持される。すなわち、図1に示すコンテナ2では、二つのロール製品20を収容することが可能である。受け台30の詳細については後述する。
【0018】
図1に示すように、パレット4の上には、上蓋8付きの側板10aおよび10bが着脱自在に装着される。上蓋8付きの側板10aおよび10bは、パレット4の上に配置されるロール製品20の四方と上部とを覆うようになっている。上蓋8付きの側板10aおよび10bにおいて、上蓋8と側板10aおよび10bとは、予め組み立ててあるが、着脱自在な構成としても良い。
【0019】
長手方向Xに細長い一対の側板10aには、その下端部に、側板止め金具12が固定してある。側板止め金具12は、パレット4に対して係合し、側板10aの下端部をパレット4に対して着脱自在に取り付ける。また、各側板10aの上端部には、一対の取っ手14が固定してあり、上蓋8付き側板10aおよび10bをパレット4から持ち上げ操作可能になっている。
【0020】
上蓋8の四角部には、ズレ防止凸部16が形成してある。ズレ防止凸部16は、コンテナを積み重ねる際にコンテナ相互のズレを防止するためのものである。また、上蓋8の略中央部には、一対の覗き窓18が形成してあり、コンテナの内部を観察可能になっている。覗き窓18は、たとえば透明ガラスまたは透明プラスチックにより構成してある。
【0021】
図1、図2(A)および図2(B)に示すように、パレット4の長手方向Xの両側に位置する各一対の受け台30は、スライドバー31の上に固定してある。スライドバー31の両端部は、移動案内用金具33に係合している。固定用ボルト35によりスライドバー31がパレット4に対して固定されていない状態では、スライドバー31は、移動案内用金具33に沿って、パレット4の長手方向Xに沿って移動可能になっている。
【0022】
すなわち、パレット4の長手方向に沿って相互に向き合う受け台30は、スライドバー31の移動により、接近および離反移動自在になっている。スライドバー31の移動量は、受け台30により保持されるロール製品の軸方向長さに合わせて調節され、ロール製品の軸方向長さに合わせた適切な位置で、スライドバー31は、ボルト35によりパレット4に対して固定される。
【0023】
なお、スライドバー31の移動量を制限するために、図2(B)に示すように、パレット4の上面には、ストッパ用金具35が固定してある。このストッパ用金具35は、移動案内用金具33と一体に成形しても良い。
【0024】
図2(A)に示すように、各受け台30の上部には、支軸22の半径に合わせた半円形状の受け溝32が形成してあり、その受け溝32の両側には、ガイド用傾斜部37と、略水平な突き合わせ面39とが形成してある。ガイド用傾斜部37は、支軸22が受け溝32内に収まることを案内するための傾斜部である。また、突き合わせ面39は、押さえ部材40の下面に突き合わされる部分であり、支軸22が受け溝32内に収容された状態で、支軸22の最上部と略一致する高さを持つ。受け溝32およびガイド用傾斜部37には、緩衝材34が貼着してある。緩衝材34を構成する材料はとくに限定されないが、例えば、ゴム、熱可塑性樹脂、フェルト等が挙げられる。
【0025】
押さえ部材40の下面において、支軸22との当接部には、緩衝材34と同様な材料で構成してある緩衝材42が貼着してある。各押さえ部材40を、各受け台30の上部に着脱自在に装着するために、押さえ部材40には、受け台30に形成してある嵌合孔36に嵌合自在な連結ロッド44と、フック部46とが固定してある。フック部46には、受け台30に固定してある止め金具38が着脱自在に係合可能になっている。
【0026】
また、図2(B)に示すように、押さえ部材40には、ロール製品20が軸方向に移動することを防止するためのロール移動防止ストッパ48が形成してある。ストッパ48のロール製品側面には、ゴム材などで構成してある緩衝材が貼着してある。緩衝材は、押さえ部材40の下面において、受け台30の突き合わせ面39との突き合わせ面部分にも貼着しても良い。その緩衝材の厚みは、支軸22に直接に接触する緩衝材42よりも薄いことが好ましい。
【0027】
本実施形態に係るコンテナ2では、ロール製品20の支軸は、従来のように側板の一部で支持されるのではなく、パレット4上の受け台30により支持されるため、コンテナ2の側板10aおよび10bを取り外した状態で、ロール製品20の出し入れが可能である。そのため、ロール製品20の出し入れ時にロール製品20が側板10aおよび10bに衝突することもなく、ロール製品20に傷が付くことを有効に防止することができる。
【0028】
また、側板10aおよび10bをパレット2から完全に取り外した状態となるので、ロール製品20の支軸22を電動フォークなどにより把持してロール製品20の出し入れが可能になり、ロール製品20の出し入れ作業が容易になる。また、ロープやベルトを用いないので、コンタミネーションが少なく、ロール製品20を汚すおそれも少ない。
【0029】
さらに、複数のロール製品20を収容するコンテナ2を積み重ねることで、効率的なロール製品の保管および搬送が可能になる。
さらにまた、相互に向かい合う受け台30がパレット4の長手方向X(ロール製品20の軸方向に一致する)に沿って移動可能であるために、種々のサイズのロール製品20をコンテナ2の内部に収容可能である。
【0030】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係るロール製品用コンテナの分解斜視図である。
【図2】図2(A)および図2(B)は図1に示すコンテナにおける受け台の詳細を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
2… コンテナ
4… パレット
8… 上蓋
10a,10b… 側板
16… ズレ防止凸部
20… ロール製品
22… 支軸
30… 受け台
32… 受け溝
33… 移動案内用金具
34,42… 緩衝材
40… 押さえ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレットの上に配置され、水平方向に位置するロール製品の両端部から飛び出ている支軸の下端を受ける受け溝受け溝の両側に形成され前記支軸が前記受け溝に収まることを案内するガイド用傾斜部、及び、前記支軸が前記受け溝内に収容された状態で当該支軸の最上部と略一致する高さを持つ略水平な突き合わせ面が形成してある少なくとも一対の受け台と、
前記受け台の前記付き合わせ面に突き合わされる下面を有する略直方体形状の部材であって、前記受け台に対して着脱自在に装着され、前記受け溝の上に支軸が載せられた状態で、前記支軸を前記受け溝との間で保持する押さえ部材と、
を有するロール製品用コンテナ。
【請求項2】
前記パレットの上に着脱自在に装着され、前記受け台と押さえ部材とにより保持してあるロール製品を覆う上蓋が付いている側板をさらに有し、前記上蓋の四角部には、当該コンテナを積み重ねる際にコンテナ相互のズレを防止するためのズレ防止凸部が形成してある請求項1に記載のロール製品用コンテナ。
【請求項3】
前記押さえ部材の下面の前記支軸との当接部には、緩衝材が貼着してある請求項1または2に記載のロール製品用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−297017(P2008−297017A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239463(P2008−239463)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【分割の表示】特願2000−402252(P2000−402252)の分割
【原出願日】平成12年12月28日(2000.12.28)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】