説明

ワイシャツの仕上げ乾燥機

【解決手段】 加熱手段を内蔵した加熱収容容器2内に、複数のワイシャツ成形機3を出し入れ可能に収容してなり、前記ワイシャツ成形機3が、ワイシャツ21を起立状態で支える支柱6と、当該支柱6の両側部にリンク機構9により支柱6に対して側方に張り出し可能に設けられた展張部材10とを有し、ワイシャツ成形機3を加熱収容容器2内に収容したときに前記リンク機構9を展張部材10を側方に張り出させるように作動せしめる作動部材16を設ける。
【効果】 加熱収容容器の外における作業は簡単であり、複数のワイシャツ成形機にワイシャツを装着することができ、それらを加熱収容容器内において展張しながら乾燥するので、極めて効率よくワイシャツを仕上げ乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイシャツの仕上げ乾燥機に関するものであって、特にクリーニング後のワイシャツのしわを伸ばして乾燥するための装置に関するものである。
【0002】
なおこの明細書において「ワイシャツ」とは、本来のワイシャツに限らず、開襟シャツ、カラーシャツ、ブラウス、Tシャツなどの、ワイシャツに類似した薄手の衣類一般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
従来ワイシャツのしわを伸ばして乾燥するには、アイロンやプレス機を使用することが多かった。また特開2003−199994号公報に示されるように、人体形の袋にワイシャツを被せ、前記袋を膨らませつつ加熱するものも知られている。
【0004】
しかしながらこれらはいずれも、単一のワイシャツを仕上げ乾燥するためのものであり、大量のワイシャツを取り扱うクリーニング工場などにおいては、必ずしも作業効率が良いものとはいえなかった。
【0005】
また、個々の装置にワイシャツのしわを伸ばした状態でセットしなければならないのであり、これらの仕上げ乾燥機を多数併設しても、さほど作業効率を向上させることはできない。
【特許文献1】特開2003−199994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、複数のワイシャツを同時にかつ効率よく仕上げ乾燥することのできる、ワイシャツ仕上げ乾燥機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明は、加熱手段を内蔵した加熱収容容器(2)内に、複数のワイシャツ成形機を出し入れ可能に収容してなり、前記ワイシャツ成形機が、ワイシャツを起立状態で支える支柱と、当該支柱の両側部にリンク機構により支柱に対して側方に張り出し可能に設けられた展張部材とを有し、ワイシャツ成形機を加熱収容容器内に収容したときに前記リンク機構を展張部材を側方に張り出させるように作動せしめる作動部材を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、前記加熱手段が、加熱収容容器内に熱風を送入する熱風送風機であることができる。また前記加熱手段を、前記複数のワイシャツ成形機の間の位置に設けられた熱板とすることもできる。また前記ワイシャツ成形機の支柱に、その表面から熱風を放出する手段を設けるのも好ましい。
【0009】
また本発明においては、前記支柱の上端に、ハンガー支持部を設けて当該ハンガー支持部にハンガーを支持し、ワイシャツをハンガーにかけた状態で仕上げ乾燥することができるようにするのが好ましい。
【0010】
また前記作動部材が、前記リンク機構の下端に設けられた、ばね手段を介して押し上げることにより展張部材を側方に張り出させるロッドと、加熱収容容器の下部に設けられた前記ロッドを押し上げる凸片とよりなるものとするのが好ましい。さらに前記ワイシャツ成形機の前面中央部に、それぞれワイシャツの前立部を支柱との間に挟持する前立押さえ部材を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱収容容器からワイシャツ成形機を引き出した状態で、当該ワイシャツ成形機に濡れた状態のワイシャツを被せ、この状態でワイシャツ成形機を加熱収容容器内に挿入すると、作動部材により展張部材が側方に拡がってワイシャツを内側から展張し、加熱収容容器内で加熱されて乾燥される。
【0012】
従って、ワイシャツをワイシャツ成形機に被せるときには、さほど丁寧にしわを伸ばしながら被せる必要がなく、適当に被せれば加熱収容容器内において展張部材によりワイシャツが展張され、自動的にしわが伸ばされる。
【0013】
そのため加熱収容容器の外における作業は簡単であり、複数のワイシャツ成形機にワイシャツを装着することができ、それらを加熱収容容器内において展張しながら乾燥するので、極めて効率よくワイシャツを仕上げ乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明のワイシャツ仕上げ乾燥機1を示すものであって、2は加熱収容容器であり、3は当該加熱収容容器2内にレール4に沿って出し入れ可能に設けられたワイシャツ成形機であり、加熱収容容器2に対して複数のワイシャツ成形機3が設けられている。
【0015】
各ワイシャツ成形機3は図3に示すように、加熱収容容器2の下部に設けられたレール4に沿って移動する台5に支柱6が立設されており、当該支柱6の上端にはハンガー7を支持するハンガー支持部8が形成されている。
【0016】
当該ハンガー支持部8はハンガー7の形式や形状に応じて、当該ハンガー7を係止する係止部であってもよく、またハンガー7を嵌合するする溝であってもよく、また単に支柱6の上端にハンガー7を引っ掛けるようになっているだけでもよい。
【0017】
また支柱6の両側部には、リンク機構9を介して支柱6から側方に張り出し可能の展張部材10が取り付けられている。リンク機構9はそれぞれ一対のリンクバー11、12がX字状に交差してその中央部で回動自在に軸支されており、リンクバー11の基端は支柱6の下部に軸支され、リンクバー12の基端は支柱6の上部に上下に摺動可能且つ回動可能に軸支されており、各リンクバー11、12の先端が展張部材10の両端に軸支され、当該展張部材10は支柱6と平行に上下に延びている。
【0018】
そしてリンクバー11の下端には操作バー13が軸支されており、支柱6の左右のリンク機構9の操作バー13の端末が支柱6の下部において互いに回動自在且つ支柱6に沿って上下に摺動可能に軸支されており、当該軸支部17にはばね手段14を介してロッド15を取り付けた作動部材16が形成されている。
【0019】
而してこのリンク機構9は、ロッド15を上方に押し上げることにより、操作バー13の軸支部17が上方に押し上げられ、操作バー13が図3における鎖線で示すように回動して、リンクバー11の下端を内方に引き寄せて上部を外方に張り出させ、このリンクバー11とリンクバー12とが協働して展張部材10を支柱6に対して平行を維持しつつ側方に張り出させるのである。
【0020】
そしてこのワイシャツ成形機3は、台5が前記レール4に沿って摺動して加熱収容容器2の前面開口部24から加熱収容容器2に出し入れ可能に設けられ、ワイシャツ成形機3を加熱収容容器2から引き出した状態においては、リンク機構9はフリーの状態であり、伸縮自在の状態となっている。
【0021】
またワイシャツ成形機3を加熱収容容器2内に収容したときには、ロッド15がレール4の前面に設けられた凸片18に乗り上げて、ばね手段14を介して軸支部17を押し上げ、リンクバー11は支柱6との軸支部19を支点として上部が外方に揺動し、リンクバー12と協働して展張部材10を外方に張り出させるようになっている。なお20は加熱収容容器2の前面扉である。
【0022】
而して本発明のワイシャツ仕上げ乾燥機1を使用するには、先ずワイシャツ成形機3を加熱収容容器2の前面開口部24から前方に引き出し、支柱6の上端のハンガー支持部8にハンガー7を装着し、展張部材10の外側からワイシャツ21を着せ掛け、襟元を整えてハンガー7にかけ、前ボタン形式の場合にはボタンをかける。
【0023】
このときリンク機構9はフリーの状態になっているので、展張部材10がワイシャツ21を着せ掛ける邪魔になることはなく、ワイシャツ21の上部をハンガー7にかけて襟元を整えるだけで、あとは垂れ下がった状態で十分である。
【0024】
また前ボタン形式のワイシャツ21の場合には、その前ボタンをかけた後、その前ボタンの列を筒状織布6の前面中央に整列させ、支柱6の前面に設けられた前立押さえ部材22により前立部を支柱6との間に挟持するのが好ましい。
【0025】
この状態でワイシャツ成形機3をレール4に沿って移動させて加熱収容容器2内に収容する。このとき作動部材16のロッド15がレール4前面の凸片18に当接して押し上げられ、ばね手段14を介して軸支部17を上動させる。
【0026】
これにより操作バー13を介してリンクバー11の下端が内方に引かれ、リンクバー11は軸支部19を支点として回動して上端が外方に張り出し、リンクバー12と協働して展張部材10を支柱6と平行を維持したまま外方に張り出させる。そして当該展張部材10はワイシャツ21の両側部を内方から押し出し、ワイシャツ21はしわが除去されてピンと張った状態となる。
【0027】
加熱収容容器2に設けられた複数のワイシャツ成形機3について、このようにしてワイシャツ21を装着して加熱収容容器2内に収容する。この状態で加熱収容容器2の前面扉20を閉じ、加熱収容容器2内に設けられた加熱手段によりワイシャツ21を加熱して仕上げ乾燥する。
【0028】
加熱手段としては、加熱収容容器2内に熱風を送入する熱風送風機(図示せず)を使用することができ、また図2に示すように加熱収容容器2内のワイシャツ成形機3の間の位置に熱板23を設け、当該熱板23からの輻射熱によりワイシャツ21を乾燥せしめることもできる。またこれらの加熱手段と併せて、前記支柱6の表面から熱風を放出せしめ、ワイシャツ21の内側からも加熱乾燥せしめる手段を設けることも、好ましいことである。
【0029】
ワイシャツ21が十分に乾燥したならば、前面扉20を開いて加熱収容容器2の前面開口部24からワイシャツ成形機3を引き出す。これにより作動部材16のロッド15は凸片18から外れるため、展張部材10がワイシャツ21を内側から展張する力は除去されるのでリンク機構9が収縮し、ワイシャツ21をハンガー7と共にワイシャツ成形機3から取り外す。
【0030】
ワイシャツ21を取り外したあとのワイシャツ成形機3には新たにハンガー7及びワイシャツ21を装着して加熱収容容器2内に収容することにより、繰り返してワイシャツ21を仕上げ乾燥することができる。
【0031】
本発明によれば、ワイシャツ成形機3にハンガー7及びワイシャツ21を装着して加熱収容容器2内に収容することにより、作動部材16が作動して展張部材10によりワイシャツ21をピンと張った状態となり、ここで加熱手段により加熱乾燥するので、仕上げの準備段階でワイシャツ21のしわを伸ばしたり畳んだりする必要がなく、効率良く加熱収容容器2内に収容することができる。また加熱収容容器2に複数のワイシャツ成形機3を同時に収容してワイシャツ21を仕上げ乾燥することができ、作業効率がきわめて良好である。
【0032】
また本発明によれば、ワイシャツ21はその両側部が展張部材10により内側から展張されるので、ピンと張った状態の両側部に折り目が形成され、これをワイシャツ成形機3から取り外した状態で容易に畳むことができる。
【0033】
またワイシャツ21の前立部を前立押さえ部材22で押さえて支柱6との間に挟持することにより、展張部材10で展張したときに前立のボタンの列が乱れるのを防止すると共に、展張部材10がワイシャツ21の両側部の正しい位置で展張することができ、美しい仕上がりが得られる。従って前立押さえ部材22は、本来のワイシャツのように前ボタン形式のシャツに限らず、Tシャツなどの前ボタンのない形式のシャツ類においても使用するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のワイシャツ仕上げ乾燥機の縦断面図
【図2】本発明のワイシャツ仕上げ乾燥機における加熱収容容器の正面から見た図
【図3】本発明におけるワイシャツ成形機の正面図
【符号の説明】
【0035】
1 ワイシャツ仕上げ乾燥機
2 加熱収容容器
3 ワイシャツ成形機
6 支柱
7 ハンガー
8 ハンガー支持部
9 リンク機構
10 展張部材
14 ばね手段
15 ロッド
16 作動部材
18 凸片
21 ワイシャツ
22 前立押さえ部材
23 熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段を内蔵した加熱収容容器(2)内に、複数のワイシャツ成形機(3)を出し入れ可能に収容してなり、前記ワイシャツ成形機(3)が、ワイシャツ(21)を起立状態で支える支柱(6)と、当該支柱(6)の両側部にリンク機構(9)により支柱(6)に対して側方に張り出し可能に設けられた展張部材(10)とを有し、ワイシャツ成形機(3)を加熱収容容器(2)内に収容したときに前記リンク機構(9)を展張部材(10)を側方に張り出させるように作動せしめる作動部材(16)を設けたことを特徴とする、ワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項2】
前記加熱手段が、加熱収容容器(2)内に熱風を送入する熱風送風機であることを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項3】
前記加熱手段が、前記複数のワイシャツ成形機(3)の間の位置に設けられた熱板(23)であることを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項4】
前記ワイシャツ成形機(3)の支柱(6)に、その表面から熱風を放出する手段を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項5】
前記支柱(6)の上端に、ハンガー支持部(8)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項6】
前記作動部材(16)が、前記リンク機構(9)の下端に設けられた、ばね手段(14)を介して押し上げることにより展張部材(10)を側方に張り出させるロッド(15)と、加熱収容容器(2)の下部に設けられた前記ロッド(10)を押し上げる凸片(18)とよりなることを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機
【請求項7】
前記ワイシャツ成形機(3)の前面中央部に、それぞれワイシャツの前立部を支柱(6)との間に挟持する前立押さえ部材(22)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のワイシャツの仕上げ乾燥機

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−118865(P2009−118865A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292501(P2007−292501)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(306021169)有限会社クロセテクニカル (6)
【出願人】(507372637)パボナイン インターナショナル コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】